四半期報告書-第88期第2四半期(令和3年7月1日-令和3年9月30日)

【提出】
2021/11/12 11:48
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45項目
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。
(1) 財政状態の状況
総資産は、前年度比235億5千1百万円増加し3,538億3百万円となりました。
流動資産は、142億1千5百万円増加し1,834億7千1百万円となりました。売上の伸長から受取手形及び売掛金が44億3千5百万円増加、原材料価格の高騰等により製品が37億8千9百万円、原材料及び貯蔵品が68億3千4百万円増加したことによります。
固定資産は、93億3千5百万円増加し1,703億3千1百万円となりました。主な増減要因は、投資有価証券が時価評価の影響等により81億3千4百万円増加したことによります。
負債は、30億7千8百万円増加し563億5千3百万円となりました。主な増減要因は、支払手形及び買掛金が32億1百万円増加したことによります。
純資産につきましては、204億7千2百万円増加し2,974億5千万円となりました。主な増減要因は、その他有価証券評価差額金が投資有価証券の時価評価の影響で72億6千4百万円増加したほか、親会社株主に帰属する四半期純利益を134億5千3百万円確保する一方、配当金の支払が38億9千4百万円あったことによります。
なお、資本の財源および資金の流動性については、前連結会計年度と大きな変動は無く、運転資金及び設備資金は自己資金を中心に充当し、国内及び海外子会社の借入金の返済の流動性は満たしておりますが、新型コロナウイルス感染症に伴う先行き不透明感からも、当社グループ全体での円滑な事業活動の資金について留意してまいります。
(2) 経営成績の状況
当第2四半期連結累計期間におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響により、依然として厳しい状況にあるものの、製造業を中心に持ち直しの動きが続いております。ただ、半導体不足や感染症再拡大により東南アジアからの部品調達のサプライチェーンの目詰まりから、自動車生産の大幅減が足元余儀なくされており、持ち直しのテンポは弱まりつつあります。海外では、感染症の抑制状況や経済対策により、国・地域ごとの回復に濃淡が見られます。米国の大規模な経済対策による景気回復や欧州圏での持ち直しの一方、中国では堅調な成長から一転足元での経済活動の鈍化が窺われ、中進国での感染拡大と経済の低迷が懸念されます。
鉄鋼業界は、国内市場は中小建築案件の需要低迷や部品供給不足による自動車部門需要減の一時的な影響はあるものの、産業機械部門など製造業での改善が見られ、鋼材供給不足が継続されております。一方、海外では、中国での旺盛な鋼材需要と生産及び輸出抑制策の為、東南アジア・日本でのコイル価格高が続き、米国では需要拡大を背景に価格高騰が続く状況となりました。
事業全体の状況は、以下のとおりであります。
販売数量面では、日本・北米・アジアの3セグメントともに前年同期を上回り、海外が2桁伸長したことから全体では前年同期比+10.6%となりました。売上高は、数量増に加え販売価格の値上げ効果もあり995億5千1百万円(前年同期比28.7%増)と増収になりました。利益面も、日本・北米・アジアの3セグメントともに増益になり、営業利益は172億9千9百万円(同138.3%増)と大幅増益になりました。営業外損益は、為替差益や持分法による投資利益の改善から前年同期1億6千6百万円改善し、経常利益は186億3千7百万円(同121.0%増)と増益になりました。特別損益は、投資有価証券売却益が減少し固定資産除却損が増加したことから、前年同期4千2百万円悪化しました。これらの結果、親会社株主に帰属する四半期純利益は134億5千3百万円(同147.6%増)と増益になりました。なお、対米ドル換算レートは1米ドル107円69銭であります。
セグメント別の状況は、以下のとおりであります。
(日本)
国内事業につきましては、材料コイルの供給状況が高炉の生産能力削減を背景にタイトなことに加え、価格の急速かつ大幅な値上げとなる厳しい状況を踏まえ、販売・生産数量を抑制しつつ製品価格の値上げを優先注力しました。その結果、単体の販売数量は、前年同期比+4.6%伸長しましたが、前年同期がコロナの影響で落ち込んだこともあり、前々年同期比では△12.9%とコロナ前の水準には回復出来ておりません。売上高は、製品値上げ効果により601億7千万円(前年同期比10.5%増)と増収になりました。セグメント利益は、単体での製品値上げによるスプレッドの前年同期対比での同レベル維持と数量増からの製造コスト負担減に加え、丸一ステンレス鋼管㈱での付加価値の高い半導体製造装置向けBA管高採算品の販売増やステンレス管の製品価格値上げなどの収益性改善効果も寄与し、95億5千4百万円(同43.4%増)と増益になりました。
(北米)
北米事業につきましては、米国の熱間圧延コイル(HRC)価格(英国CRU社による米国中西部コイル価格指数)が上期中においてメトリックトン当たりUS$818の大幅な高騰となり、米国マルイチ・アメリカン・コーポレーション(MAC社)、米国マルイチ・レビット・パイプ・アンド・チューブLLC(Leavitt社)、米国マルイチ・オレゴン・スチール・チューブLLC(MOST社)の米国3拠点合計の販売数量は、前年同期比+19.7%となりました。メキシコのマルイチメックスS.A.de C.V.(Maruichimex社)の販売数量は前年同期がロックダウンした期間もあり前年同期比+55.2%となり、北米4拠点合計の販売数量は前年同期比+21.1%となりました。
売上高は、HRC価格の急騰に連動した製品値上げによる販売単価の上昇から215億2千3百万円(前年同期比95.8%増)と数量増を大幅に上回りました。セグメント利益も、製品販売価格の値上げが材料コイルの消費単価の上昇に先行した結果、販売数量の増加とスプレッドの大幅改善により55億8千8百万円(前年同期は1億6千8百万円のセグメント損失)と大幅な増益になりました。
(アジア)
アジア事業につきましては、ベトナムのマルイチ・サン・スチール・ジョイント・ストック・カンパニー(SUNSCO社)ではベトナム国内市場の競争激化はあったものの、ベトナム国内販売比率拡大などから販売数量は前年同期比+16.7%を確保しました。また、マルイチ・サン・スチール・(ハノイ)・カンパニー・リミテッド(SUNSCO(HNI)社)では、前年同期に感染症から二輪車ディーラーの営業停止期間があったことから、販売数量は前年同期比+16.9%となりました。インドのマルイチ・クマ・スチール・チューブ・プライベート・リミテッド(KUMA社)では、一部ロックダウンしたものの前年同期の長期の操業停止と比較して期間も短く、販売数量は前年同期比+41.4%と増加しました。
売上高は178億5千7百万円(前年同期比50.1%増)と増収になりました。セグメント利益も、増収効果とスプレッド改善により20億2千5百万円(同198.8%増)と約3倍の増益になりました。
(3) キャッシュ・フローの状況
当第2四半期連結累計期間末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前年度末より5千6百万円減少し、640億3千万円となりました。
当第2四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によって増加した資金は47億2千5百万円(前年同期比7億8千4百万円の収入減)となりました。主な収入内容は、税金等調整前四半期純利益186億1千6百万円、仕入債務の増減額29億6千万円、非資金支出である減価償却費28億5千4百万円などであります。それに対し、主な支出内容は、棚卸資産の増減額98億8千8百万円、売上債権の増減額41億4千4百万円、法人税等の支払額39億8千6百万円などによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によって減少した資金は10億5千8百万円(前年同期比131億3千4百万円の支出減)となりました。主な収入内容は、有価証券の純増減額21億3千6百万円、投資有価証券の売却及び償還による収入19億3千8百万円などであります。支出につきましては、有形及び無形固定資産の取得による支出40億1千9百万円、投資有価証券の取得による支出15億3千3百万円等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によって減少した資金は40億7千3百万円(前年同期比10億6千5百万円の支出増)となりました。主な支出内容は、配当金の支払額38億9千4百万円などであります。
(4) 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等
①経営方針について
前連結会計年度末より重要な変更はありません。
②事業上及び財務上の対処すべき課題
今後の見通しにつきましては、新型コロナウイルス感染症の影響により引き続き厳しい状況が続きますが、抑制状況や経済対策効果によって国・地域ごとに回復にバラツキが見込まれます。米国では大規模な財政出動などインフラ整備の期待感から、米国の熱間圧延コイル(HRC)価格は高騰し続けておりましたが、足元やや高止まり感もみられます(7-9月期の3ケ月間の値上がり幅はメトリックトン当たりUS$259、特に8月US$78、9月US$63)。アジアではいまだコロナ禍に苦しむ国が多い中、中国では足元やや景気回復テンポは鈍化しているものの、中国国内の鋼材需要の拡大とCO2排出抑制を目的に鉄鋼生産調整を行っており、制度改正もあり輸出減が見込まれています。日本国内でも、この海外情勢を反映してHRC供給はタイトな状況が続き、足元大幅な値上がりとなった鉄鋼製品が入荷・使用されており、加工製品価格は店売りはもとよりユーザーへの転嫁の動きが急速化しております。
このような情勢のもと、当社といたしましては、感染症の拡大防止に努めながら、第6次中期経営計画のスタート年度として主要施策の着実な実行の為、各地域での状況変化を的確に把握し、マイナス要因をミニマイズする迅速な対応を引き続き進めてまいります。セグメント別には以下の通りとなっております。
(日本)
国内単体事業につきましては、自動車減産により材料コイル不足は一時的に緩和状態にありますが、1月以降再び供給がタイトになる見込みであり、下期の販売予定数量は自動車向け販売減を考慮して前年同期比微減としております。結果、年間の販売予定数量は、新型コロナウイルス感染症の影響で前年比△11.9%と大幅に減少した前年比微増の見通しとしました。更に、材料コイル調達価格が大幅な値上げとなるため、販売数量の確保以上に製品価格の値上げを優先して鋭意取り組んでおります。上期は、店売り向け製品値上げが順調で、コイル消費単価の上昇をカバーしてスプレッドは前年同期対比でほぼ維持出来ていたものの、下期以降のコイル消費単価の急激かつ大幅な上昇には、製品値上げの継続が不可欠であり、遅れていた自動車を始め大手ユーザー向けの値上げペースを上げ、その効果によりスプレッドの悪化をミニマイズすると同時に、工場の生産性向上やコストダウンに努め、業績予想の達成に取り組んでまいります。
また、連結子会社に関しては、丸一ステンレス鋼管㈱も、ステンレス管生産を抑えて付加価値の高い半導体製造装置向けBA管の増産強化を行い、加えて収益力改善の各種社内活動の推進を図ってまいります。設備投資関連では、環境対応仕様の角管&C型鋼のカラー製品のニーズに対応すべく、九州丸一鋼管㈱に続き、北海道丸一鋼管㈱でのカラー塗装設備の導入を終えました。更には、丸一鋼販㈱では、昨年12月の浜松の新切断工場建設に続き、四国営業所に倉庫新築・岡山営業所に倉庫増築が完了し、エンドユーザー向けの木目細かいニーズに対応してまいります。なお、加えて丸一ステンレス鋼管㈱に於けるBA管製造設備の増強投資を、2年後完成を目指し順次進めてまいります。
(北米)
北米事業につきましては、経済活動の早期再開に加え、新政権による追加経済対策のインフラ整備への期待もあり、鉄鋼価格が急上昇し、需要の回復により受注数量も堅調に推移しております。足元ではコイル価格が過去最高水準まで急激に上昇し、やや高止まり感はあるものの、需給バランスを考慮した経営に取り組んでまいります。なお、決算期がずれている北米4拠点合計の第3四半期(7-9月)の販売・受注状況も好調は継続しており、製品値上げの方もコイル消費単価上昇に先行を維持しており、スプレッド確保により見込みを上回る高収益となっております。また、未経験な高値レベルとなったHRC価格(現状US$2,158/トン)の下落が大きなリスクではありますが、いまだ需要環境は良好であり、注意深い運営に努めてまいります。また、10月14日に対外公表しましたとおり、11月1日付で米国ネブラスカ州にあるGeneva Structural Tubes, LLCを買収し、連結子会社としました。Leavitt社本田社長が社長を兼務し、農業中心のネブラスカ州周辺の市場への供給体制を整備し、米国4拠点体制で米国内での「需要地生産体制」を充実してまいります。
(アジア)
アジア事業につきましては、変異株の流行とワクチン接種の遅れで新型コロナウイルス感染拡大の経済への影響とインフレ懸念から、価格上昇への抵抗が強まりつつあります。ベトナムSUNSCO社では、ベトナム国内の販売比率拡大・コイル価格上昇の転嫁・新規客先への拡販に加え、在庫の圧縮や設備の減価償却を進め、借入金を削減し競争力強化によるサステナブルな経営に注力しております。また、冷間圧延能力不足の解消、コスト削減、品質向上と能力アップに向けた第2冷延ミルの新設は6月にHOT RUN開始し、足元ではフル稼働体制が整いました。感染症拡大で7月19日より工場内隔離(労・住・食を工場内で集約)をしながらSUNSCO社は操業を継続、これが現在解除されつつありワクチン接種も進んでおり、今後経済の回復が期待されます。ベトナムSUNSCO(HNI)社では、販売数量の確保と共に、二輪メーカーとの製品納入価格の交渉に取り組んでまいります。
インドKUMA社では、ロックダウン解除後に二輪&四輪市場の需要が急回復、足元で半導体不足から下振れリスクがあるものの、大気汚染規制強化から二輪向けSUS排気管需要が増加しており、バンガロール工場での1インチミルの増設を進めております。
(5) 研究開発活動
当第2四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発費の総額は1億3千5百万円であります。なお、当第2四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の重要な変更はありません。
(6) 主要な設備
当第2四半期累計期間において、新たに確定した重要な設備の新設計画は、次の通りであります。
事業所名
(所在地)
セグメントの名称設備の内容投資予定額資金調達方法着手年月完了予定
年月
総額
(百万円)
既支払額
(百万円)
丸一ステンレス鋼管株式会社
(山口県下関市)
日本建物及び
BA管製造設備
1,5401借入金2021年
8月
2023年
3月