四半期報告書-第88期第3四半期(令和3年10月1日-令和3年12月31日)

【提出】
2022/02/14 11:15
【資料】
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【項目】
46項目
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。
(1) 財政状態の状況
総資産は、前年度比255億6千4百万円増加し3,558億1千7百万円となりました。
流動資産は、161億8千6百万円増加し1,854億4千3百万円となりました。主な増減要因は、売上の伸長から受取手形及び売掛金が126億2千5百万円増加、原材料価格の高騰等により原材料及び貯蔵品が121億6千3百万円、製品が71億5千7百万円増加した一方で、現金及び預金が運転資金負担の増加に加え、自己株式の取得や新規連結子会社の持分取得等により165億9千3百万円減少したことによります。
固定資産は、93億7千8百万円増加し1,703億7千4百万円となりました。主な増減要因は、投資有価証券が時価評価の影響等により76億6千6百万円増加したことによります。
負債は、30億8千万円増加し563億5千5百万円となりました。主な増減要因は、支払手形及び買掛金が49億8千6百万円増加したことによります。
純資産につきましては、224億8千4百万円増加し2,994億6千1百万円となりました。主な増減要因は、親会社株主に帰属する四半期純利益を217億7千5百万円確保、その他有価証券評価差額金が投資有価証券の時価評価の影響で64億3千9百万円増加した一方で、配当金の支払71億7千5百万円、自己株式の取得で34億8千1百万円減少したこと等によります。
なお、資本の財源および資金の流動性については、前連結会計年度と大きな変動は無く、運転資金及び設備資金は自己資金を中心に充当し、国内及び海外子会社の借入金の返済の流動性は満たしておりますが、新型コロナウイルス感染症に伴う先行き不透明感からも、当社グループ全体での円滑な事業活動の資金について留意してまいります。
(2) 経営成績の状況
当第3四半期連結累計期間におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響による厳しい状況が徐々に緩和され持ち直しの動きが続いているものの、依然一部で弱さもみられます。海外では、感染症の抑制状況や経済対策により、国・地域ごとの回復にバラツキが見られます。米国では大規模な経済対策により景気回復しつつも、足元では物流コストや燃料価格の上昇及び燃料の供給不足に加え、インフレリスクの顕在化により回復ペースが鈍化しています。中国でも堅調な成長から、エネルギー高騰による電力不足や不動産市場での調整圧力の高まり等によって経済活動の鈍化が窺われます。
鉄鋼業界は、国内市場は中小建築案件の需要低迷や部品供給不足による自動車部門需要減の一時的な影響はあるものの、産業機械部門など製造業での改善が見られ、2021年暦年(1-12月)の国内粗鋼生産量は、2014年以来7年ぶりに前年実績を上回りました。一方、海外(決算期がずれている1-9月期)では、中国での旺盛な鋼材需要と生産及び輸出抑制策の為、東南アジア・日本でのコイル価格高が続き、米国では需要拡大を背景に価格高騰が続く状況となりました。
事業全体の状況は、以下のとおりであります。
販売数量面では、日本・北米・アジアの3セグメントともに前年同期を上回り、全体では前年同期比+5.9%となりました。売上高は、数量増に加え販売価格の値上げ効果もあり1,607億5千2百万円(前年同期比35.9%増)と増収になりました。利益面も、3セグメントともに増益になり、営業利益は282億5千7百万円(同130.2%増)と大幅増益になりました。営業外損益は、受取配当金や持分法による投資利益の改善から前年同期1億9千万円改善し、経常利益は303億4百万円(同114.4%増)と増益になりました。特別損益は、投資有価証券売却益が減少し固定資産除却損が増加したことから、前年同期6千3百万円悪化しました。これらの結果、親会社株主に帰属する四半期純利益は217億7千5百万円(同128.5%増)と増益になりました。なお、対米ドル換算レートは1米ドル108円50銭であります。
セグメント別の状況は、以下のとおりであります。
(日本)
国内事業につきましては、材料コイルの供給状況のタイト感はやや薄れたものの、コイル消費単価の急激かつ大幅な上昇に継続して対応するため、上期の店売り向けと比較し遅れている自動車を始め大手ユーザー向けの値上げを優先注力し、それなりの成果もありましたが第4四半期に残った部分もあります。単体の販売数量は第3四半期累計期間で、前年同期比+3.3%伸長しましたが、前年同期がコロナの影響で落ち込んだこともあり、前々年同期比では△11.7%とコロナ前の水準には回復出来ておりません。売上高は、製品値上げ効果により977億9千2百万円(前年同期比18.5%増)と増収になりました。セグメント利益は、単体での製品値上げによるスプレッドの前年同期比での同レベル維持と数量増からの製造コスト負担減に加え、丸一ステンレス鋼管㈱での付加価値の高い半導体製造装置向けBA管高採算品の販売構成比増やステンレス管の製品価格値上げなどの収益性改善効果も寄与し、162億1千7百万円(同46.8%増)と増益になりました。
(北米)
北米事業につきましては、米国の熱間圧延コイル(HRC)価格(英国CRU社による米国中西部コイル価格指数)が、メトリックトン当たり上期(1-6月期)のUS$818の上昇に引き続き、7-9月期もUS$259の大幅な高騰となりました。米国マルイチ・アメリカン・コーポレーション(MAC社)、米国マルイチ・レビット・パイプ・アンド・チューブLLC(Leavitt社)、米国マルイチ・オレゴン・スチール・チューブLLC(MOST社)の米国3拠点合計の販売数量は、前年同期比+11.5%となりました。メキシコのマルイチメックスS.A.de C.V.(Maruichimex社)の販売数量は、前年同期がロックダウンした期間もあり前年同期比+33.6%となり、北米4拠点合計の販売数量は前年同期比+12.5%となりました。
売上高は、HRC価格の急騰に連動した製品の単価上昇により353億7千8百万円(前年同期比108.4%増)と数量増を上回る倍増となりました。セグメント利益も、製品販売価格の値上げが材料コイルの消費単価の上昇に先行した結果、販売数量の増加とスプレッドの大幅改善により90億1千6百万円(前年同期は3億7千8百万円のセグメント損失)と大幅な増益になりました。
(アジア)
アジア事業につきましては、ベトナムのマルイチ・サン・スチール・ジョイント・ストック・カンパニー(SUNSCO社)ではベトナム国内市場の競争激化はあったものの、ベトナム国内販売比率拡大などから販売数量は前年同期比+7.9%を確保し、収益性も改善しました。マルイチ・サン・スチール・(ハノイ)・カンパニー・リミテッド(SUNSCO(HNI)社)では、ロックダウンの影響から、販売数量は前年同期比△1.8%となりました。また、単価改定においてもユーザー対象の販売であり苦戦しました。インドのマルイチ・クマ・スチール・チューブ・プライベート・リミテッド(KUMA社)では、一部ロックダウンしたものの前年同期の長期の操業停止と比較して期間も短く、販売数量は前年同期比+11.5%と増加しました。
売上高は275億8千万円(前年同期比46.9%増)と増収になりました。セグメント利益も、増収効果とスプレッド改善により28億1千5百万円(同92.8%増)と約2倍の増益になりました。
(3) 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等
①経営方針について
当社は、2021年4月7日に発表いたしました第6次中期経営計画について、当社グループが目標とする数値目標に下記項目を追加・修正することといたしました。
1.数値目標の追加・修正の内容(2021年4月7日発表第6次中期経営計画 2.-2)の箇所)
(旧)(新)
第6次中期経営計画第6次中期経営計画
売上高(億円)2,000売上高(億円)2,000
営業利益(億円)260営業利益(億円)260
営業利益率(%)13.0営業利益率(%)13.0
ROE(%)6.5
株主還元率(%)50株主還元率(%)50
環境目標本社及び北海道/四国/九州工場での「CO2直接排出量相当分実質0」環境目標国内グループで2030年に46%(2013年度比)CO2排出量削減に向けて省エネ、低炭素燃料への転換等に取り組み、2023年度で30%(2013年度比)削減する
①売上高:国内外での販売数量の回復を見込①売上高:国内外での販売数量の回復を見込
②営業利益/営業利益率:単体は営業利益率15%、主要連結各社は営業利益率最終10%(Leavittのみ5%以上)を目標②営業利益/営業利益率:単体は営業利益率15%、主要連結各社は営業利益率最終10%(Leavittのみ5%以上)を目標
③株主還元率:引き続き配当方針を堅持し高い還元率を実現③(追加)ROE:連結ROE6.5%を目標とする
④環境方針:本社及び北海道/四国/九州工場での「CO2直接排出量相当分実質0」をめざす④株主還元率:引き続き配当方針を堅持し高い還元率を実現
⑤(修正)環境方針:CO2排出量を2013年度比、国内グループ2030年△46%(2023年度△30%)削減

2.追加・修正の理由
1)ROE目標の追加
当社では以前からROEを意識した経営を行って来ておりますが、第6次中期経営計画の数値目標として明確にするため追加いたします。
2)環境目標の修正
第6次中期経営計画の環境目標について精査・検討した結果、目標を修正いたしました。
②事業上及び財務上の対処すべき課題
今後の見通しにつきましては、新型コロナウイルス感染症の影響により引き続き厳しい状況が続きますが、抑制状況や経済対策効果によって国・地域ごとに回復にバラツキが見込まれます。米国では大規模な財政出動などインフラ整備の期待感から、高騰を続けていた熱間圧延コイル(HRC)価格は、昨年9月末のメトリックトン当たりUS$2,159の過去最高値から下がり始め、足元メトリックトン当たりUS$1,400台と昨年3月後半水準まで下落しております。アジアではいまだコロナ禍に苦しむ国が多く、中国ではCO2排出抑制を目的に鉄鋼生産調整を行っており、制度改正もあり輸出減が見込まれています。日本国内では、半導体不足やサプライチェーンの問題から依然自動車の生産は不安定で、鉄鋼市況は上昇を欠く展開となっております。
このような情勢のもと、当社といたしましては、感染症の拡大防止に努めながら、第6次中期経営計画のスタート年度として主要施策の着実な実行の為、各地域での状況変化を的確に把握し、マイナス要因をミニマイズする迅速な対応を引き続き進めてまいります。セグメント別には以下の通りとなっております。
(日本)
国内単体事業につきましては、材料コイルの供給タイト感はやや薄れたものの、自動車減産の回復遅れ等から、下期の販売予定数量は前年同期比微減としております。結果、年間の販売予定数量は、新型コロナウイルス感染症の影響で前年比△11.9%と大幅に減少した前年比2%程度の微増の見通しとしました。更に、材料コイルの消費価格はこれまでの値上がりを反映し依然上昇中であり、販売数量の確保以上にユーザー向け製品価格の値上げを優先して鋭意取り組んでおります。上期は、店売り向け製品値上げが順調で、コイル消費単価の上昇をカバーしてスプレッドは前年同期比でほぼ維持出来ていたものの、下期以降のコイル消費単価の急激かつ大幅な上昇に対応して、引き続き遅れていた自動車を始め大手ユーザー向けの値上げを行いスプレッドの悪化をミニマイズすると同時に、工場の生産性向上やコストダウンに努め、業績予想の達成に取り組んでまいります。
また、連結子会社に関しては、丸一ステンレス鋼管㈱も、採算の悪い輸出用ステンレス管生産を抑えて付加価値の高い半導体製造装置向けBA管の増産強化を行い、加えて収益力改善の各種社内活動の推進を図っております。設備投資関連では、環境対応仕様の角管&C形鋼のカラー製品のニーズに対応すべく、九州丸一鋼管㈱に続き、北海道丸一鋼管㈱でのカラー塗装設備の導入を終えました。更には、丸一鋼販㈱では、四国営業所に倉庫新築・岡山営業所に倉庫増築が完了し、木目細かいニーズに対応してまいります。なお、加えて丸一ステンレス鋼管㈱に於けるBA管製造設備の増強投資を、2023年中旬の完成を目指し順次進めてまいります。
(北米)
北米事業につきましては、経済活動の早期再開に加え、新政権による追加経済対策のインフラ整備への期待もありましたが、足元物流コストや燃料価格の上昇及び燃料の供給不足に加え、インフレリスクの顕在化により、回復ペースが鈍化しています。鉄鋼需要の回復は堅調に推移しておりますが、過去最高水準まで急激に上昇したコイル価格は、10月以降下落し続けております。ただ、北米4拠点合計の第4四半期(10-12月)の販売・受注状況はやや鈍化したものの、比較的堅調に推移し、スプレッドは相応のレベルを維持できたため、見込みを上回る収益となっております。
また、米国内での需要地生産体制を充実させるために、11月1日付でネブラスカ州にあるGeneva Structural Tubes,LLCを買収のうえ、社名をMaruichi Nebraska Tube,LLCに変更し、当社グループとして今後全面的に支援し、日本と同等の品質・サービスを提供するとともに、農業中心のネブラスカ州周辺への供給体制を整えました。これにより北米事業は5拠点体制(うち米国4拠点)となりました。
(アジア)
アジア事業につきましては、変異株の流行とワクチン接種の遅れで新型コロナウイルス感染拡大の経済への影響とインフレ懸念から、中国鉄鋼価格の下落に起因して価格下押し圧力が強まっております。ベトナムSUNSCO社では、ベトナム国内の販売比率拡大に努め、在庫の圧縮や設備の減価償却を進め、借入金を削減し競争力強化によるサステナブルな経営に注力しております。また、冷間圧延能力不足の解消、コスト削減、品質向上と能力アップに向けた第2冷延ミルの新設は昨年6月にHOT RUN開始し、足元ではフル稼働体制が整いました。ベトナムSUNSCO(HNI)社では、販売数量の確保と共に、二輪メーカーへの製品納入価格の交渉に取り組んでまいります。
インドKUMA社では、ロックダウン解除後に二輪&四輪市場の需要の回復が期待されますが、足元では半導体不足から下振れリスクがあります。尚、バンガロール工場での1インチミルの増設も完了し12月に稼働しました。
(4) 研究開発活動
当第3四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発費の総額は2億1千9百万円であります。なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の重要な変更はありません。
(5) 主要な設備
当第3四半期連結累計期間において、新たに確定した重要な設備の新設計画は、次の通りであります。
事業所名
(所在地)
セグメントの名称設備の内容投資予定額資金調達方法着手年月完了予定
年月
総額
(百万円)
既支払額
(百万円)
丸一ステンレス鋼管株式会社
(山口県下関市)
日本建物及び
BA管製造設備
1,54039借入金2021年
8月
2023年
3月