四半期報告書-第85期第3四半期(平成30年10月1日-平成30年12月31日)
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。
なお、「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 平成30年2月16日)等を第1四半期連結会計期間の期首から適用しており、財政状態の状況については、当該会計基準等を遡って適用した後の数値で前連結会計年度との比較・分析を行っております。
(1) 財政状態の状況
総資産は、前年度比11億2千4百万円増加し3,168億2千万円となりました。
流動資産は、80億1千9百万円増加し1,667億2千7百万円となりました。現金及び預金が15億5千9百万円減少する一方、売上増から受取手形及び売掛金が22億2百万円、投資有価証券からの振替などにより有価証券が17億4千1百万円、仕入価格上昇などから製品が21億3千万円および原材料及び貯蔵品が30億2千2百万円増加しました。
固定資産は、68億9千4百万円減少し1,500億9千2百万円となりました。株価下落などから投資有価証券が64億6千万円減少しました。
負債は、14億9千6百万円減少し448億9千3百万円となりました。未払法人税等が17億2千2百万円減少しました。
純資産につきましては、26億2千1百万円増加し2,719億2千6百万円となりました。親会社株主に帰属する四半期純利益を112億7千6百万円確保する一方、配当金の支払が66億6千8百万円あり、またその他有価証券評価差額金が23億2千8百万円減少しました。
なお、資本の財源および資金の流動性については、前連結会計年度と大きな変動はありません。
(2) 経営成績の状況
当第3四半期連結累計期間におけるわが国経済は、自然災害による一時的な足踏みはあったものの、雇用・所得環境の改善などを背景に、景気は緩やかな回復が続きました。海外では、米国経済が個人消費に支えられ堅調に推移、ASEAN諸国も概ね安定的に推移しました。一方、貿易摩擦による影響が懸念されるなか、中国の一部指標に減速感が窺われ、不透明な状況になりました。
鉄鋼業界は、国内需要は建築・自動車など鉄鋼需要産業の関連指標も上昇し底堅く推移し、海外鋼材需要は安定的ではありましたが、総じてピークを過ぎたとの感が強まっております。
事業全体の状況は、以下のとおりであります。
販売数量は前年同期比ほぼ横這いながら材料高による販売単価の上昇により、売上高は1,256億6千9百万円(前年同期比8.1%増)と増収になりました。しかしながら、利益面は日本でのスプレッドの悪化が響き、コストダウンや生産効率の向上に努めましたが、営業利益は155億3百万円(同3.7%減)と減益になりました。
営業外損益で、新興国通貨安等に伴う為替差損の増加があったものの受取配当金の増加などから前年同期比1億4千2百万円改善しましたが、経常利益は175億1千万円(同2.6%減)と減益になりました。特別損益で固定資産売却益が減少し、投資有価証券評価損6億6千7百万円の発生に加え、災害による損失2億9千4百万円の計上などから前年同期比11億4千万円悪化したこともあり、親会社株主に帰属する四半期純利益は112億7千6百万円(同8.7%減)と減益になりました。
なお、対米ドル換算レートは1米ドル109円61銭であります。
セグメント別の状況は、以下のとおりであります。
(日本)
国内事業につきましては、第3四半期連結会計期間では販売数量が前年同期比プラスに転じたものの、上期末での相次ぐ自然災害による物流の混乱等もあり、累計期間での販売数量は前年同期を若干下回りました。一方、販売単価は前年同期比では上昇しており、売上高は767億3千3百万円(前年同期比4.3%増)と増収になりました。材料コイルの仕入価格が上昇する中で製品価格への転嫁は難航し、スプレッドが悪化したことからセグメント利益は117億2千3百万円(前年同期比13.1%減)と減益になりました。また、特別損益項目ですが、台風被害での災害による損失が累計期間で2億9千4百万円発生しております。引き続き、修復費用などが追加で発生しますが、これも含め保険金の受け取りでカバー出来る見込みであります。
(北米)
北米事業につきましては、カナダ向け輸出ウェイトの高い米国マルイチ・オレゴン・スチール・チューブLLC(MOST社)がカナダ政府による報復関税の7月1日からの発動の影響で販売が急減しました。加えて、1,000米ドル/MTレベルまで急騰した米国のホットコイル市況は、7月をピークに第3四半期連結会計期間を通じて値下がりとなり、北米全拠点の販売数量が前年同期比マイナスに転じました。上期での販売数量の前年同期比二桁伸長と販売単価の上昇があり、累計期間では売上高は251億1千4百万円(前年同期比23.4%増)と増収になりました。米国通商拡大法232条に基づく輸入税(25%)の3月23日から賦課の輸入制限措置施行に伴い、米国内での母材仕入価格が急騰する局面の中で、コストアップの販売価格への転嫁を先行させ、採算を重視した販売によりスプレッドの改善が図れたことにより、セグメント利益は27億5千5百万円(前年同期比75.2%増)と増益になりました。
(アジア)
アジア事業につきましては、販売数量は前年同期比微減ながら材料高による販売単価の上昇により、売上高は238億2千1百万円(前年同期比6.9%増)と増収になりました。一方、セグメント利益は8億3千9百万円(前年同期比0.1%増)とほぼ横這いになりました。これは、ベトナムのマルイチ・サン・スチール・(ハノイ)・カンパニー・リミテッド(SUNSCO(HNI)社)では、販売数量は増加したものの材料費の値上がりがあったこと、インドのマルイチ・クマ・スチール・チューブ・プライベート・リミテッド(KUMA社)では、インド国内の好調であった4輪&2輪市場は在庫調整局面に入り、当社排気管用パイプ販売が急減し一時的な踊り場となったうえ、ルピー安が響き利益が伸びなかったことによります。
(3) 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等
①経営方針について
前連結会計年度末より重要な変更はありません。
②事業上及び財務上の対処すべき課題
今後の見通しにつきましては、足元の国内外景気は引き続き堅調に推移するものの、米国通商拡大法232条に基づく鉄鋼輸入制限措置に留まらず米中貿易摩擦は拡大の方向にあり、中国経済の減速懸念、欧米での金融引締めによる金利上昇など、先行き不透明感が更に高まっております。当社といたしましては、第5次中期経営計画のスタート年度として主要施策の着実な実行の為、各地域での変化を把握しマイナス要因をミニマイズする方針を引き続き進めてまいります。
セグメント別の今後の見通しについては、以下のとおりです。
(日本)
国内事業につきましては、建築向け製品を中心に需要の増加が期待されます。一方、足元でコイル価格の高止まり感はあるものの、製品価格への転嫁が未達の中で、引き続き販売価格の値上げを最優先に取組んでまいります。加えて、新規開拓や生産性の向上やコストダウンなどの収益確保に努めてまいります。
(北米)
北米事業につきましては、米国輸入関税の発動により、米国内で急騰した鋼材価格が足元では大幅に下がっており、客先のパイプ購入控えが強まりピークアウトが鮮明になり、高い原材料を抱えスプレッド維持が難しい状況が見込まれます。また、カナダ政府による報復関税の発動により、カナダ向け輸出ウェイトの高い米国MOST社の販売の苦戦が続いております。なお、米国マルイチ・アメリカン・コーポレーション(MAC社)、米国マルイチ・レビット・パイプ・アンド・チューブLLC(Leavitt社)も含めた北米3拠点の連携強化を図りながら収益の確保に努めるとともに、3拠点ともに2インチラインの更新・増設を推進中であり、小径サイズの販売強化に取組んでまいります。メキシコのマルイチメックスS.A.de C.V.(Maruichimex社)では自動車向け鋼管販売強化に向けた切断体制強化などの対応をしてまいります。
(アジア)
アジア事業につきましては、米国の通商問題やEUのセーフガード措置の影響でアジア地区全体の鉄鋼市況が混乱しつつあります。これに伴いベトナムのマルイチ・サン・スチール・ジョイント・ストック・カンパニー(SUNSCO社)では、国内メーカーの設備投資過多による生産能力の超過が原因で、販売量の低迷やスプレッド改善が難航する厳しい状況が続いておりますが、1千6百万米ドル/年と高位にあるベトナムでの償却を進め借入金を削減する経営に注力してまいります。また、ベトナムSUNSCO(HNI)社では、材料の値上がりによるコスト高の吸収に取り組んでまいります。インドKUMA社では、4輪&2輪販売が踊り場となっており、販売の拡大に努めてまいりますが、ドル高ルピー安の為替変動リスクが懸念され外貨負債の圧縮に努力致します。
なお、当社は財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針を定めており、その内容等(会社法施行規則第118条第3号に掲げる事項)は次のとおりであります。
当社株式に対する大規模買付行為への対応方針(買収防衛策)について
当社は、平成17年6月7日開催の取締役会において、特定株主グループの議決権割合を20%以上とすることを目的とする当社株券の買付行為、または結果として特定株主グループの議決権割合が20%以上となる当社株券等の買付行為(いずれについてもあらかじめ当社取締役会が同意したものを除き、また市場取引、公開買付け等の具体的な買付方法の如何を問いません。以下、かかる買付行為を「大規模買付行為」といい、かかる買付行為を行う者を「大規模買付者」といいます。)に対する方針(以下、「本方針」といいます。)を決定したのち、その後の法律の改正や情勢の変化等を踏まえた本方針の一部変更および継続を平成28年6月24日開催の第82回定時株主総会で株主の皆様にご承認を得ており、その内容は以下の通りであります。
大規模買付ルールの必要性
当社取締役会は、公開会社として当社株式の自由な売買を認める以上、大規模買付行為に応じて当社株式の売却を行うか否かは、最終的には当社株式を保有する当社株主の皆様の判断に委ねられるべきものであると考えております。そのためには、大規模買付行為にあたり十分な情報が株主の皆様に提供されることが重要と考えます。従いまして、当社取締役会としましては、株主の皆様の判断のために、大規模買付行為に関する情報が大規模買付者から提供された後、これを評価・検討し取締役会としての意見を取りまとめて開示いたします。
当社の経営には、鉄鋼産業の一翼を担う鋼管の製造加工および販売などを行う企業としての豊富な経験、国内外の取引先および顧客等との間に築かれた長期的取引関係、全国に立地する各工場と地域社会との関係等への理解が不可欠です。これらに関する十分な理解なくしては、株主の皆様が将来実現することのできる株主価値を適正に判断することはできません。そのため、当社株式の適正な価値を投資家の皆様にご理解いただくよう、IR 活動を通じて事業内容の適時開示に努めておりますが、突然大規模買付行為がなされたときに、大規模買付者の提示する当社株式の取得対価が妥当かどうかを株主の皆様が短期間の間に適切に判断されるためには、大規模買付者および当社取締役会の双方から適切かつ十分な情報が提供されることが不可欠です。さらに、当社株式をそのまま継続的に保有することを考えられる株主の皆様にとっても、大規模買付行為が当社に与える影響、当社の従業員、関連会社、取引先および顧客等のステークホルダーとの関係など大規模買付後の経営方針や事業計画等は、重要な判断材料であります。同様に、当社取締役会が当該大規模買付行為についてどのような意見を有しているのかも、当社株主にとっては重要な判断材料になると考えます。
また、当社取締役会は、大規模買付者との間にも中長期的な企業価値向上を目的として建設的な対話は可能であり、そのための機会と十分な時間の確保は当社および大規模買付者双方にとっても有意義なものと考えております。
これらを考慮し、当社取締役会は、大規模買付行為に際しては、従前より、一定のルールを設け、株主の皆様への十分な情報の提供と検討の期間を確保し、取締役会が大規模買付者との間で必要な交渉を行うとともに、当社の業務執行を行う者から独立した委員により構成される独立委員会への諮問を通じて、対抗措置の発動の是非についての取締役会の判断の公正性および透明性を担保する仕組みを構築してまいりましたが、今般、株主意思のさらなる尊重のため、必要に応じて株主の皆様の意思を直接に確認する仕組みを追加することといたしました。これらの仕組みは、株主の皆様が大規模買付者の相当性、妥当性を判断する上でも有用と考えております。
以上の見解に基づき、当社取締役会は、当社が社会のインフラを供給する企業として継続的、持続的に成長戦略を実施するために本ルールを一部変更の上、継続することは、決して当社の取締役の保身を目的としないのみならず、当社グループの企業価値、株主共同の利益の維持、向上に資するものと思料いたします。
なお、本方針の詳細につきましては、インターネット上の当社ウェブサイト(http://www.maruichikokan.co.jp)に掲載した平成28年5月11日付プレスリリースをご参照ください。
(4) 研究開発活動
当第3四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発費の総額は1億8百万円であります。なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の重要な変更はありません。
(5) 主要な設備
当第3四半期連結累計期間において、新たに確定した重要な設備の新設計画は次の通りであります。
なお、「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 平成30年2月16日)等を第1四半期連結会計期間の期首から適用しており、財政状態の状況については、当該会計基準等を遡って適用した後の数値で前連結会計年度との比較・分析を行っております。
(1) 財政状態の状況
総資産は、前年度比11億2千4百万円増加し3,168億2千万円となりました。
流動資産は、80億1千9百万円増加し1,667億2千7百万円となりました。現金及び預金が15億5千9百万円減少する一方、売上増から受取手形及び売掛金が22億2百万円、投資有価証券からの振替などにより有価証券が17億4千1百万円、仕入価格上昇などから製品が21億3千万円および原材料及び貯蔵品が30億2千2百万円増加しました。
固定資産は、68億9千4百万円減少し1,500億9千2百万円となりました。株価下落などから投資有価証券が64億6千万円減少しました。
負債は、14億9千6百万円減少し448億9千3百万円となりました。未払法人税等が17億2千2百万円減少しました。
純資産につきましては、26億2千1百万円増加し2,719億2千6百万円となりました。親会社株主に帰属する四半期純利益を112億7千6百万円確保する一方、配当金の支払が66億6千8百万円あり、またその他有価証券評価差額金が23億2千8百万円減少しました。
なお、資本の財源および資金の流動性については、前連結会計年度と大きな変動はありません。
(2) 経営成績の状況
当第3四半期連結累計期間におけるわが国経済は、自然災害による一時的な足踏みはあったものの、雇用・所得環境の改善などを背景に、景気は緩やかな回復が続きました。海外では、米国経済が個人消費に支えられ堅調に推移、ASEAN諸国も概ね安定的に推移しました。一方、貿易摩擦による影響が懸念されるなか、中国の一部指標に減速感が窺われ、不透明な状況になりました。
鉄鋼業界は、国内需要は建築・自動車など鉄鋼需要産業の関連指標も上昇し底堅く推移し、海外鋼材需要は安定的ではありましたが、総じてピークを過ぎたとの感が強まっております。
事業全体の状況は、以下のとおりであります。
販売数量は前年同期比ほぼ横這いながら材料高による販売単価の上昇により、売上高は1,256億6千9百万円(前年同期比8.1%増)と増収になりました。しかしながら、利益面は日本でのスプレッドの悪化が響き、コストダウンや生産効率の向上に努めましたが、営業利益は155億3百万円(同3.7%減)と減益になりました。
営業外損益で、新興国通貨安等に伴う為替差損の増加があったものの受取配当金の増加などから前年同期比1億4千2百万円改善しましたが、経常利益は175億1千万円(同2.6%減)と減益になりました。特別損益で固定資産売却益が減少し、投資有価証券評価損6億6千7百万円の発生に加え、災害による損失2億9千4百万円の計上などから前年同期比11億4千万円悪化したこともあり、親会社株主に帰属する四半期純利益は112億7千6百万円(同8.7%減)と減益になりました。
なお、対米ドル換算レートは1米ドル109円61銭であります。
セグメント別の状況は、以下のとおりであります。
(日本)
国内事業につきましては、第3四半期連結会計期間では販売数量が前年同期比プラスに転じたものの、上期末での相次ぐ自然災害による物流の混乱等もあり、累計期間での販売数量は前年同期を若干下回りました。一方、販売単価は前年同期比では上昇しており、売上高は767億3千3百万円(前年同期比4.3%増)と増収になりました。材料コイルの仕入価格が上昇する中で製品価格への転嫁は難航し、スプレッドが悪化したことからセグメント利益は117億2千3百万円(前年同期比13.1%減)と減益になりました。また、特別損益項目ですが、台風被害での災害による損失が累計期間で2億9千4百万円発生しております。引き続き、修復費用などが追加で発生しますが、これも含め保険金の受け取りでカバー出来る見込みであります。
(北米)
北米事業につきましては、カナダ向け輸出ウェイトの高い米国マルイチ・オレゴン・スチール・チューブLLC(MOST社)がカナダ政府による報復関税の7月1日からの発動の影響で販売が急減しました。加えて、1,000米ドル/MTレベルまで急騰した米国のホットコイル市況は、7月をピークに第3四半期連結会計期間を通じて値下がりとなり、北米全拠点の販売数量が前年同期比マイナスに転じました。上期での販売数量の前年同期比二桁伸長と販売単価の上昇があり、累計期間では売上高は251億1千4百万円(前年同期比23.4%増)と増収になりました。米国通商拡大法232条に基づく輸入税(25%)の3月23日から賦課の輸入制限措置施行に伴い、米国内での母材仕入価格が急騰する局面の中で、コストアップの販売価格への転嫁を先行させ、採算を重視した販売によりスプレッドの改善が図れたことにより、セグメント利益は27億5千5百万円(前年同期比75.2%増)と増益になりました。
(アジア)
アジア事業につきましては、販売数量は前年同期比微減ながら材料高による販売単価の上昇により、売上高は238億2千1百万円(前年同期比6.9%増)と増収になりました。一方、セグメント利益は8億3千9百万円(前年同期比0.1%増)とほぼ横這いになりました。これは、ベトナムのマルイチ・サン・スチール・(ハノイ)・カンパニー・リミテッド(SUNSCO(HNI)社)では、販売数量は増加したものの材料費の値上がりがあったこと、インドのマルイチ・クマ・スチール・チューブ・プライベート・リミテッド(KUMA社)では、インド国内の好調であった4輪&2輪市場は在庫調整局面に入り、当社排気管用パイプ販売が急減し一時的な踊り場となったうえ、ルピー安が響き利益が伸びなかったことによります。
(3) 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等
①経営方針について
前連結会計年度末より重要な変更はありません。
②事業上及び財務上の対処すべき課題
今後の見通しにつきましては、足元の国内外景気は引き続き堅調に推移するものの、米国通商拡大法232条に基づく鉄鋼輸入制限措置に留まらず米中貿易摩擦は拡大の方向にあり、中国経済の減速懸念、欧米での金融引締めによる金利上昇など、先行き不透明感が更に高まっております。当社といたしましては、第5次中期経営計画のスタート年度として主要施策の着実な実行の為、各地域での変化を把握しマイナス要因をミニマイズする方針を引き続き進めてまいります。
セグメント別の今後の見通しについては、以下のとおりです。
(日本)
国内事業につきましては、建築向け製品を中心に需要の増加が期待されます。一方、足元でコイル価格の高止まり感はあるものの、製品価格への転嫁が未達の中で、引き続き販売価格の値上げを最優先に取組んでまいります。加えて、新規開拓や生産性の向上やコストダウンなどの収益確保に努めてまいります。
(北米)
北米事業につきましては、米国輸入関税の発動により、米国内で急騰した鋼材価格が足元では大幅に下がっており、客先のパイプ購入控えが強まりピークアウトが鮮明になり、高い原材料を抱えスプレッド維持が難しい状況が見込まれます。また、カナダ政府による報復関税の発動により、カナダ向け輸出ウェイトの高い米国MOST社の販売の苦戦が続いております。なお、米国マルイチ・アメリカン・コーポレーション(MAC社)、米国マルイチ・レビット・パイプ・アンド・チューブLLC(Leavitt社)も含めた北米3拠点の連携強化を図りながら収益の確保に努めるとともに、3拠点ともに2インチラインの更新・増設を推進中であり、小径サイズの販売強化に取組んでまいります。メキシコのマルイチメックスS.A.de C.V.(Maruichimex社)では自動車向け鋼管販売強化に向けた切断体制強化などの対応をしてまいります。
(アジア)
アジア事業につきましては、米国の通商問題やEUのセーフガード措置の影響でアジア地区全体の鉄鋼市況が混乱しつつあります。これに伴いベトナムのマルイチ・サン・スチール・ジョイント・ストック・カンパニー(SUNSCO社)では、国内メーカーの設備投資過多による生産能力の超過が原因で、販売量の低迷やスプレッド改善が難航する厳しい状況が続いておりますが、1千6百万米ドル/年と高位にあるベトナムでの償却を進め借入金を削減する経営に注力してまいります。また、ベトナムSUNSCO(HNI)社では、材料の値上がりによるコスト高の吸収に取り組んでまいります。インドKUMA社では、4輪&2輪販売が踊り場となっており、販売の拡大に努めてまいりますが、ドル高ルピー安の為替変動リスクが懸念され外貨負債の圧縮に努力致します。
なお、当社は財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針を定めており、その内容等(会社法施行規則第118条第3号に掲げる事項)は次のとおりであります。
当社株式に対する大規模買付行為への対応方針(買収防衛策)について
当社は、平成17年6月7日開催の取締役会において、特定株主グループの議決権割合を20%以上とすることを目的とする当社株券の買付行為、または結果として特定株主グループの議決権割合が20%以上となる当社株券等の買付行為(いずれについてもあらかじめ当社取締役会が同意したものを除き、また市場取引、公開買付け等の具体的な買付方法の如何を問いません。以下、かかる買付行為を「大規模買付行為」といい、かかる買付行為を行う者を「大規模買付者」といいます。)に対する方針(以下、「本方針」といいます。)を決定したのち、その後の法律の改正や情勢の変化等を踏まえた本方針の一部変更および継続を平成28年6月24日開催の第82回定時株主総会で株主の皆様にご承認を得ており、その内容は以下の通りであります。
大規模買付ルールの必要性
当社取締役会は、公開会社として当社株式の自由な売買を認める以上、大規模買付行為に応じて当社株式の売却を行うか否かは、最終的には当社株式を保有する当社株主の皆様の判断に委ねられるべきものであると考えております。そのためには、大規模買付行為にあたり十分な情報が株主の皆様に提供されることが重要と考えます。従いまして、当社取締役会としましては、株主の皆様の判断のために、大規模買付行為に関する情報が大規模買付者から提供された後、これを評価・検討し取締役会としての意見を取りまとめて開示いたします。
当社の経営には、鉄鋼産業の一翼を担う鋼管の製造加工および販売などを行う企業としての豊富な経験、国内外の取引先および顧客等との間に築かれた長期的取引関係、全国に立地する各工場と地域社会との関係等への理解が不可欠です。これらに関する十分な理解なくしては、株主の皆様が将来実現することのできる株主価値を適正に判断することはできません。そのため、当社株式の適正な価値を投資家の皆様にご理解いただくよう、IR 活動を通じて事業内容の適時開示に努めておりますが、突然大規模買付行為がなされたときに、大規模買付者の提示する当社株式の取得対価が妥当かどうかを株主の皆様が短期間の間に適切に判断されるためには、大規模買付者および当社取締役会の双方から適切かつ十分な情報が提供されることが不可欠です。さらに、当社株式をそのまま継続的に保有することを考えられる株主の皆様にとっても、大規模買付行為が当社に与える影響、当社の従業員、関連会社、取引先および顧客等のステークホルダーとの関係など大規模買付後の経営方針や事業計画等は、重要な判断材料であります。同様に、当社取締役会が当該大規模買付行為についてどのような意見を有しているのかも、当社株主にとっては重要な判断材料になると考えます。
また、当社取締役会は、大規模買付者との間にも中長期的な企業価値向上を目的として建設的な対話は可能であり、そのための機会と十分な時間の確保は当社および大規模買付者双方にとっても有意義なものと考えております。
これらを考慮し、当社取締役会は、大規模買付行為に際しては、従前より、一定のルールを設け、株主の皆様への十分な情報の提供と検討の期間を確保し、取締役会が大規模買付者との間で必要な交渉を行うとともに、当社の業務執行を行う者から独立した委員により構成される独立委員会への諮問を通じて、対抗措置の発動の是非についての取締役会の判断の公正性および透明性を担保する仕組みを構築してまいりましたが、今般、株主意思のさらなる尊重のため、必要に応じて株主の皆様の意思を直接に確認する仕組みを追加することといたしました。これらの仕組みは、株主の皆様が大規模買付者の相当性、妥当性を判断する上でも有用と考えております。
以上の見解に基づき、当社取締役会は、当社が社会のインフラを供給する企業として継続的、持続的に成長戦略を実施するために本ルールを一部変更の上、継続することは、決して当社の取締役の保身を目的としないのみならず、当社グループの企業価値、株主共同の利益の維持、向上に資するものと思料いたします。
なお、本方針の詳細につきましては、インターネット上の当社ウェブサイト(http://www.maruichikokan.co.jp)に掲載した平成28年5月11日付プレスリリースをご参照ください。
(4) 研究開発活動
当第3四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発費の総額は1億8百万円であります。なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の重要な変更はありません。
(5) 主要な設備
当第3四半期連結累計期間において、新たに確定した重要な設備の新設計画は次の通りであります。
事業所名 (所在地) | セグメントの名称 | 設備の内容 | 投資予定額 | 資金調達方法 | 着手年月 | 完了予定 年月 | |
総額 (百万円) | 既支払額 (百万円) | ||||||
マルイチ・サン・ スチール・ジョイント・ ストック・カンパニー (Binh Duong Province,Vietnam) | アジア | 建物及び表面処理 鋼板製造設備 | 2,886 | - | 自己資金 及び 借入金 | 平成31年 3月 | 平成33年 4月 |