四半期報告書-第87期第3四半期(令和2年10月1日-令和2年12月31日)

【提出】
2021/02/15 10:01
【資料】
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【項目】
43項目
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。
(1) 財政状態の状況
総資産は、丸一ステンレス鋼管㈱を新規連結したこともあり、前年度比58億2千9百万円増加し3,159億5千万円となりました。
流動資産は、100億2百万円減少し1,593億7千9百万円となりました。丸一ステンレス鋼管㈱の株式譲受資金137億2千4百万円の支出等によって現金及び預金が126億2千4百万円減少しました。一方、丸一ステンレス鋼管㈱の新規連結等から原材料及び貯蔵品が45億2千3百万円増加したことによります。
固定資産は、158億3千2百万円増加し1,565億7千万円となりました。主な増減要因は、丸一ステンレス鋼管㈱の新規連結等から有形固定資産が95億5千万円増加、および株価の回復から投資有価証券が65億3千6百万円増加したことによります。
負債は、19億1千1百万円増加し447億4千8百万円となりました。主な増減要因は、丸一ステンレス鋼管㈱の新規連結等から、短期借入金が23億5千5百万円、退職給付に係る負債が19億6千7百万円増加したことによります。また、支払手形及び買掛金が52億6千2百万円減少する一方、繰延税金負債が22億9百万円増加しました。
純資産につきましては、39億1千8百万円増加し2,712億1百万円となりました。主な増減要因は、親会社株主に帰属する四半期純利益を95億3千1百万円確保し配当金の支払が74億9千8百万円あったことに加え、その他有価証券評価差額金が45億5千6百万円増加したことによります。
なお、資本の財源および資金の流動性については、前連結会計年度と大きな変動は無く、運転資金及び設備資金は自己資金を中心に充当し、国内及び海外子会社の借入金の返済の流動性は満たしておりますが、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う先行き不透明感からも、引き続き当社グループ全体での円滑な事業活動の資金について留意してまいります。
(2) 経営成績の状況
当第3四半期連結累計期間におけるわが国経済は、新型コロナウイルスの感染症拡大の影響により依然として厳しい状況にあるものの、自動車や半導体製造装置の輸出の復調や鉱工業生産指数の上昇など、緩慢ながら持ち直しの動きもみられる様になりました。海外では、感染症の拡大状況から、米国の景気回復・欧州の停滞・中国の堅調な成長など国・地域ごとに回復にバラツキが見られる状況です。
これら感染症の収束が見通せない中で、日本では経済活動の再開と感染予防の両立を進めるものの、引き続き先行き不透明な厳しい状況が見込まれております。
鉄鋼業界は、国内市場は自動車や電気機械部門での改善は見られるものの、建築部門の低迷など総じて弱く、海外粗鋼生産も増勢を強める中国を除きマイナスが続く厳しい状況が続いております。
事業全体の状況は、以下のとおりであります。
販売数量面では、北米4拠点合計では前年同期を上回り、アジア3拠点合計でもほぼ前年同期水準を確保出来たものの、日本国内の落ち込みが大きく、全体では1割弱の減少となりました。丸一ステンレス鋼管㈱の新規連結効果から、表面上の売上高は1,183億3百万円(前年同期比0.3%増)と微増収になりましたが、実質ベースでは約15%弱の減収となりました。利益面は、国内は減益になったものの、北米・アジアが前年同期比改善したことから、営業利益は122億7千6百万円(同12.2%増)と増益になりました。
営業外損益で受取配当金の減少や持分法による投資利益の悪化などから前年同期比2億8千7百万円悪化しましたが、経常利益は141億3千2百万円(同8.0%増)と増益になりました。特別損益は固定資産売却益や投資有価証券売却益が減少したものの、前年同期に発生した投資有価証券評価損が無かったことから、前年同期比12億2千3百万円改善しました。
これらの結果、親会社株主に帰属する四半期純利益は95億3千1百万円(同25.3%増)と増益になりました。
なお、対米ドル換算レートは1米ドル107円59銭であります。
セグメント別の状況は、以下のとおりであります。
(日本)
国内事業につきましては、需要減少から単体販売数量の四半期毎の落ち込み幅は、第1四半期△18.9%・第2四半期△14.6%・第3四半期△10.2%と改善縮小しているものの、累計では前年同期比△14.5%の水準となっています。加えて、販売単価も需要低迷から、足元コイル価格の上昇に連動した製品値上げに取り組んでいるものの、前年同期比では未だ下回っております。売上高は、丸一ステンレス鋼管㈱の新規連結効果によって825億4千3百万円(前年同期比7.1%増)と表面上は増収となりましたが、既存売上高は実質約△15%強の減収に止まりました。上期までの材料コイル調達価格の低下によってスプレッドは改善出来たものの、販売数量の減少および製造コスト負担増等から、セグメント利益は丸一ステンレス鋼管㈱を加えても、110億4千5百万円(同5.6%減)と減益になりました。
(北米)
北米事業につきましては、米国マルイチ・アメリカン・コーポレーション(MAC社)、米国マルイチ・レビット・パイプ・アンド・チューブLLC(Leavitt社)、米国マルイチ・オレゴン・スチール・チューブLLC(MOST社)の米国3拠点は、鉄鋼製造業として安全保障上ロックダウン適用外で操業は継続出来ており、米国3拠点合計での販売数量は前年同期比約5%増となりました。一方、メキシコのマルイチメックスS.A.de C.V.(Maruichimex社)はロックダウンの影響もあり、販売数量は前年同期比約△18%となりました。
北米4拠点合計の売上高は、前年同期比で販売単価の下落もあって169億7千8百万円(前年同期比16.3%減)と減収になりました。一方セグメント利益は、前年同期の高値のコイル在庫に起因する損失が当四半期では発生しないことから、3億7千8百万円の赤字にはなったものの、前年同期比では8億8千9百万円(前年同期は12億6千7百万円のセグメント損失)改善しました。
(アジア)
アジア事業につきましては、ベトナムのマルイチ・サン・スチール・ジョイント・ストック・カンパニー(SUNSCO社)ではベトナム国内市場の競争激化と近隣国の輸入制限措置拡大等はあったものの、ベトナム国内販売シェア拡大などから前年同期並みの販売数量は確保しました。一方、マルイチ・サン・スチール・(ハノイ)・カンパニー・リミテッド(SUNSCO(HNI)社)では、新型コロナウイルス感染症対策として二輪車ディラーの営業停止があり、その影響から販売数量は前年同期比約△15%となりました。インドのマルイチ・クマ・スチール・チューブ・プライベート・リミテッド(KUMA社)では、4月から6月はロックダウンによる操業停止が続き販売数量が前年同期比8割減と大幅に減少しましたが、7月から12月は経済活動の再開から販売数量は一転して前年同期比44%増となりました。
結果、売上高は187億8千1百万円(前年同期比8.9%減)と減収になりましたが、セグメント利益は前年度に固定資産を減損処理したSUNSCO社の減価償却費負担の低減もあり、14億6千万円(同344.2%増)と増益になりました。
(3) 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等
①経営方針について
前連結会計年度末より重要な変更はありません。
②事業上及び財務上の対処すべき課題
今後の見通しにつきましては、新型コロナウイルス感染症の影響により厳しい状況が続くと見込まれます。感染症の収束が見通せない中、日本を含む全世界経済への悪影響と下振れリスクから先行き不透明感が続いております。
2021年3月期の連結業績予想は、上期は国内で予想を下回った一方、海外がロックダウンの影響があったものの想定した程に悪化しなかったことから予想を上回り、上期連結では予想を上回る実績となりました。第3四半期も国内・海外ともに前回公表した予想を上回る進捗で推移しました。
第4四半期、10-12月の米国の熱間圧延コイル(HRC)市況(英国CRU社による米国中西部コイル価格指数)は3ケ月間でUS$355/トンの値上がりとなり、例年の鉄鋼不需要期が販売・生産ともにハイレベルな活況を呈する経験したことがない年末となりました。アジアはいまだコロナ禍に苦しむ国が多い中、いち早く経済回復した中国の鉄鋼需要を背景にHRC市況が高騰し始め、当社にとり原材料高が先行する展開となっています。日本国内でもこの1-3月はこの海外情勢を反映してHRC供給はタイトとなり大幅な値上がりとなりつつあり、大変厳しい情勢となっています。
このような情勢のもと、当社といたしましては、感染症の拡大防止に努めながら、第5次中期経営計画の最終年度として主要施策の着実な実行の為、各地域での状況変化を的確に把握し、マイナス要因をミニマイズする迅速な対応を引き続き進めてまいります。セグメント別には以下の通りとなっております。
(日本)
国内単体事業につきましては、足元で仮需を含め需要回復の兆しがある一方で、材料コイル供給が極めてタイトであることから、第4四半期の販売数量を前年同期比約△5%程度の減産水準で計画しました。更に、材料コイル調達価格が急激かつ大幅な値上げとなるため、販売数量の確保以上に製品価格の値上げに優先して鋭意取り組んでまいります。現状ではスプレッドの悪化は避けられず、工場の生産性向上やコストダウンに努め、業績予想の確保に取り組んでまいります。また、新規連結した丸一ステンレス鋼管㈱も、ステンレス管は需要減の影響から受注が減少しており、付加価値の高い半導体製造装置向けや自動車用BA管の取り組み強化や、収益力改善の各種社内活動の推進を図ってまいります。設備投資関連では、環境対応仕様の角管カラー製品需要の拡大に対応すべく、連結子会社である九州丸一鋼管㈱では新規カラー塗装設備による生産を昨年5月から開始し、一方、北海道丸一鋼管㈱での新工場建設も11月に完成し、カラー塗装設備の導入を順調に進めております。更には、連結子会社の丸一鋼販㈱では、浜松に新切断工場の建設が12月に完了しており、エンドユーザーの切断ニーズに木目細かく対応してまいります。
(北米)
北米事業につきましては、経済活動の早期再開と鉄鋼価格の急上昇から需要が急回復しており、決算期がずれている北米4拠点合計の第4四半期(10-12月)の販売数量は前年同期比約20%程度増の水準となっており、受注数量も順調に推移しております。足元ではコイル価格が過去最高水準まで急激かつ大幅に上昇しており、販売数量の確保と共に製品価格の値上げが業績改善のカギであり、鋭意取り組んでまいります。また、未経験な高値レベルとなったHRC価格(現状US$1,200/トン)の急激な変動に対応すべく、木目細かな仕入・在庫量のコントロールを図り適正水準を維持して在庫リスクの軽減努力をしてまいります。
(アジア)
アジア事業につきましては、米国の通商問題や近隣諸国の輸入制限措置の影響で供給過剰によるアジア地区全体の鉄鋼市況は混乱しております。ベトナムSUNSCO社では、ベトナム国内の販売シェア拡大・販売数量確保と販売価格アップと共に、在庫の圧縮や設備の減価償却を進め、借入金を削減する経営に注力してまいります。また、冷間圧延能力不足の解消、コスト削減、品質向上などに向け第2冷延ミルの新設工事は順調に進めております。ベトナムSUNSCO(HNI)社では、ベトナム国内での二輪販売の動きが鈍くなりつつあり、下期は前年同期比1割程度減の販売数量となっております。インドKUMA社では、ロックダウン解除後に二輪&四輪市場の需要が急回復しており、下期販売数量は前年同期比3割増程度の確保に取り組んでまいります。加えて、環境規制強化から二輪向け排気管需要が増加しており、バンガロール工場でのライン増設を決定しました。
(4) 研究開発活動
当第3四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発費の総額は2億2千万円であります。なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の重要な変更はありません。
(5) 従業員数の状況
当第3四半期連結累計期間において、当社グループは新たに丸一ステンレス鋼管㈱の従業員368名を連結の範囲に含めたため日本セグメントにおいて362名増加しております。
なお、従業員数は、当社グループから当社グループ外への出向者を除き、当社グループ外から当社グループへの出向者を含む従業員数であります。
(6) 主要な設備
当第3四半期連結累計期間において、新たに確定した重要な設備の新設計画はありません。