有価証券報告書-第107期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)

【提出】
2021/06/24 14:18
【資料】
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【項目】
105項目
業績等の概要
(1) 業績
当期においては、新型コロナウイルス感染症の拡大が、我が国経済に甚大な影響を及ぼすなか、国内の粗鋼生産量は、およそ半世紀ぶりとなる水準まで落ち込み、鉄鋼製品市況は秋口にかけて低迷した。一方下半期には、海外で各国の景気刺激策などにより鋼材需要が高まり、世界的に鉄鋼生産が回復したため、鉄鋼原料価格に強い上昇圧力がかった。
このような状況のもと、当社においては、製品販売数量が、国内鋼材需要の低迷を受けて、前期比で30万トンを超える落ち込みとなった。製品出荷単価については、期初以降、前期を大幅に下回る水準で推移するなか、段階的に販売価格を値上げしたが、販売単価の上昇が出荷単価に反映されるまでには時間を要することもあり、当期間の平均出荷単価は前期比で8千円弱の下落となった。一方、主原料である鉄スクラップの平均単価は、第3四半期以降の海外市況の急伸を背景に、前期から2.5千円程度上昇したため、利幅が縮小し、当社の業績を圧迫した。
売上高は、製品出荷数量の減少と製品出荷単価の下落により141,448百万円(前年実績179,924百万円)となった。利益面では、営業利益は3,995百万円(前年実績17,360百万円)、経常利益は4,994百万円(前年実績17,858百万円)となった。また、繰延税金資産を追加計上したこと等により、当期純利益は5,889百万円(前年実績13,795百万円)となった。
(2) キャッシュ・フローの状況
当事業年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前期末に比べ8,414百万円減少し、当期末の資金残高は58,332百万円となった。なお、営業活動によるキャッシュ・フローに投資活動によるキャッシュ・フローを合算したフリーキャッシュ・フローは、1,366百万円の支出である。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は7,585百万円(前期23,738百万円)となった。これは、主として税引前当期純利益が4,293百万円であったことと、減価償却費が5,563百万円であったこと等によるものである。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は8,952百万円(前期9,153百万円)となった。これは、有形固定資産の取得による支出が7,418百万円であったこと等によるものである。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は7,220百万円(前期7,997百万円)となった。これは、自己株式の取得による支出が5,625百万円であったこと及び配当金の支払額が2,002百万円であったこと等によるものである。
資本の財源及び資金の流動性について、装置産業と市況産業に属する当社は、業績が景気変動に大きく左右されるなかで、最新の生産技術を保持し生産性と競争力を向上させるための設備投資を、自己資金を活用し、自己の判断で的確なタイミングで実施することを原則としている。
また、株主還元については、一定の株主還元を保つという考え方をとるのではなく、業績に応じて総還元性向を決定する方針である。
このような方針のもと、将来に向けたより強固な経営基盤の構築のため、当社では、キャッシュ・フローへの貢献度を個々の事業推進のための経営判断の指標としている。
当期においては、当社の資金は8,414百万円減少し、58,332百万円となった。
生産、受注及び販売の実績
(1) 生産実績
品目生産数量(トン)前期比(%)
製品鋼材2,113,96285.5
半製品鋼片2,243,06387.5

(2) 受注実績
輸出は受注生産を行っており、その受注実績は次のとおりである。
品目受注高受注残高
数量(トン)前期比(%)数量(トン)前期比(%)
鋼材587,014608.3168,765235.3
鋼片その他25,050-3,000-
612,064634.2171,765239.4

(注) 販売価格は、出荷時点で決定されるため、受注高及び受注残高とも金額による表示は困難であるので数量表示によっている。
(3) 販売実績
品目販売高(百万円)前期比(%)
鋼材138,57578.1
鋼片その他2,873114.9
141,44878.6

(注) 1 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりである。
相手先前事業年度当事業年度
金額(百万円)割合(%)金額(百万円)割合(%)
阪和興業㈱24,07013.423,00616.3
エムエム建材㈱21,42711.915,01910.6

2 上記の金額には、消費税等は含まれていない。
財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
(1) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されている。この財務諸表の作成にあたり、見積りが必要となる事項については、合理的な基準に基づき、会計上の見積りを行っている。詳細については、本報告書「第5 経理の状況 2 財務諸表 注記事項 重要な会計方針 及び 重要な会計上の見積り」に記載している。
市況産業に属する当社の業績は、景気変動に大きく左右されることがある。また、今般の新型コロナウイルス感染症の感染拡大は、当社を取り巻く経済環境に重大な影響を及ぼすことも想定される。当社としては、会計上の見積りにあたり、期末時点で入手可能な情報を基に、以下の検証を行っている。
(繰延税金資産)
当社は、繰延税金資産について、将来の利益計画に基づいた課税所得が十分に確保できることや、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を計上している。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性がある。
(固定資産の減損処理)
当社は、固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上している。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定に当たっては、事業計画や市場環境の変化により、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、減損処理が必要となる可能性がある。
(2) 業績比較
当事業年度の売上高は、141,448百万円(前期 179,924百万円)となった。一方、売上原価は、121,639百万円(前期 143,130百万円)となった。
販売費及び一般管理費は、15,813百万円(前期 19,434百万円)であり、営業利益は3,995百万円(前期 17,360百万円)となった。
営業外収益は、受取配当金301百万円等により1,188百万円(前期 757百万円)となった。また、営業外費用は、189百万円(前期 259百万円)となった。以上から、経常利益は4,994百万円(前期 17,858百万円)となった。
特別利益は、17百万円(前期 156百万円)となった。特別損失は、718百万円(前期 1,657百万円)となった。これに、法人税、住民税及び事業税34百万円及び法人税等調整額△1,631百万円を計上した結果、当期純利益は5,889百万円(前期 13,795百万円)となった。
(3) 資金の流動性
営業活動によるキャッシュ・フローは、前事業年度比で16,152百万円減少し、7,585百万円の収入となった。これは、主として税引前当期純利益が4,293百万円であったことと、減価償却費が5,563百万円であったこと等によるものである。
投資活動によるキャッシュ・フローは、前事業年度比で201百万円増加し、8,952百万円の支出となった。これは有形固定資産の取得による支出が7,418百万円であったこと等によるものである。
財務活動によるキャッシュ・フローは、前事業年度比で777百万円増加し、7,220百万円の支出となった。これは、主として自己株式の取得による支出が5,625百万円であったこと及び配当金の支払額が2,002百万円であったこと等によるものである。
これらの結果、現金及び現金同等物の期末残高は、前事業年度比で8,414百万円減少し、58,332百万円となった。
(4) 財政状態
当事業年度末の流動資産合計の残高は、前事業年度比で326百万円増加し、105,391百万円となった。また、固定資産合計の残高は、前事業年度比で7,247百万円増加し、80,496百万円となった。これは主として投資有価証券が前事業年度比で4,832百万円増加したこと等による。以上により、資産合計の残高は、前事業年度比で7,573百万円増加し、185,887百万円となった。
流動負債合計の残高は、前事業年度比で5,691百万円増加し、42,014百万円となった。これは主として、買掛金が前事業年度比で8,060百万円増加したこと等による。一方、固定負債合計の残高は、前事業年度比で872百万円増加し、12,969百万円となった。以上により負債合計の残高は、前事業年度比で6,563百万円増加し、54,984百万円となった。
純資産合計の残高は、前事業年度比で1,010百万円増加し、130,903百万円となった。これは、主として繰越利益剰余金が、3,965百万円増加したこと等による。これらにより、当事業年度末の自己資本比率は、70.4%となった。