有価証券報告書-第91期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)

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2021/06/30 9:40
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142項目
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における世界経済は、新型コロナウイルス感染症(COVID‐19)の影響を受け大幅に落ち込みましたが、各国政府の経済対策の効果が奏功し、夏場以降に自動車をはじめとする一部の製造業の生産がボトムから持ち直してきました。さらに、早期にコロナ禍から回復した中国において設備投資が引き続き堅調であることに加え、バイデン政権による大規模な経済対策の成立やコロナワクチン接種開始によって米国の社会経済活動も回復してきました。但し、国内における新型コロナ変異株の影響深刻化や足元の車載用の半導体不足が自動車生産に影響するリスクなど、引き続き先行きへの不透明感が残っています。
当社グループの経営環境においても、当社製品に対する需要大幅減の状況から脱し、自動車や半導体などに関連した受注が回復しました。ステンレス鋼線の月平均販売数量は、上半期に2,513トンと大きく落ち込みましたが、下半期は3,268トンまで持ち直してきました。また、販売が好調に転じた超精密ガスフィルター(NASclean®)によって金属繊維は増収となりました。しかし、上半期の販売不振をカバーするには至らず、通期の売上高は341億8百万円(前期比2.3%減)となりました。損益については、高機能・独自製品の売上比率が相対的に高い水準で推移したことに加え、ステンレス鋼線の販売数量の回復による粗利増加及び操業度損圧縮の効果が寄与しました。営業利益23億80百万円(同23.5%増)、経常利益26億2百万円(同30.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益18億25百万円(同30.8%増)となりました。
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。なお、セグメントごとの経営成績については、セグメント間の内部売上高又は振替高の相殺消去前の金額を記載しております。
[日本]
生産面では、東大阪工場の自動酸洗設備が本格稼働したほか、11μm極細線や極細ばね用材の増産投資を展開し、高機能・独自製品の上方弾力を確保しました。また、超精密ガスフィルター(NASclean®)の自動酸洗装置導入によって生産性向上も推し進めました。しかし、ステンレス鋼線部門及び金属繊維部門とも、上半期にコロナ禍の影響による需要低迷や在庫調整が響き、売上高は314億90百万円(前期比1.6%減)となりました。一方、極細線や超精密ガスフィルター(NASclean®)といった高機能・独自製品が底堅く推移したことから、セグメント利益は22億56百万円(同32.4%増)となりました。
[タイ]
ばね用材、極細線の品質及び生産性の向上への取組みが奏功し、高機能・独自製品の生産拠点としての位置づけを確立しました。しかし、コロナ禍の影響によりステンレス鋼線の販売数量が低迷し、売上高は35億77百万円(前期比12.5%減)、セグメント利益は1億52百万円(同10.6%減)となりました。
[中国・韓国]
ステンレス鋼線、化合繊維向けナスロン®フィルターとも需要低迷から脱却できず、売上高は9億42百万円(前期比14.5%減)、セグメント利益は37百万円(同68.3%減)となりました。
当連結会計年度末における総資産は460億71百万円となり、前連結会計年度末に比べ27億56百万円増加しました。流動資産は現金及び預金の増加などにより、前連結会計年度末に比べ26億1百万円増加しました。固定資産は有形固定資産が増加したことなどにより、1億54百万円増加しました。
負債は130億97百万円となり、前連結会計年度末に比べ12億28百万円増加しました。流動負債は支払手形及び買掛金や未払法人税等の増加などにより、前連結会計年度末に比べ12億43百万円増加しました。固定負債は退職給付に係る負債が増えたものの長期借入金が減少したことなどにより15百万円減少しました。
純資産は利益剰余金が増加したことなどにより329億74百万円となり、前連結会計年度末に比べ15億27百万円増加しました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は132億99百万円となり、前連結会計年度末に比べ15億33百万円増加しました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは39億65百万円の収入となり、前期に比べ11億50百万円増加しました。これは法人税等の支払額が減少したことなどによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは17億87百万円の支出となり、前期に比べ4億57百万円減少しました。これは有形固定資産の取得による支出が減少したことなどによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払などにより7億2百万円の支出となりました。
(キャッシュ・フロー指標)
なお、キャッシュ・フロー指標のトレンドは以下のとおりです。
2018年3月期2019年3月期2020年3月期2021年3月期
自己資本比率 (%)67.471.571.770.7
時価ベースの自己資本比率(%)72.047.441.947.2
キャッシュ・フロー対有利子負債比率0.20.20.30.2
インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)359.8326.1379.8769.7

※ 自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い
(注)1.各指標はいずれも連結ベースの財務数値により計算しております。
2.株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式総数により計算しております。
3.営業キャッシュ・フローは連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フロー
を使用しております。
4.有利子負債は連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を払っている負債を対象としてお
ります。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用してお
ります。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2020年4月1日
至 2021年3月31日)
前年同期比(%)
日 本(百万円)28,916△0.0
タ イ(百万円)3,590△12.0
中国・韓国(百万円)812△22.4
合計(百万円)33,320△2.1

(注)1.金額は平均販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
b.受注実績
当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度(自 2020年4月1日 至 2021年3月31日)
受注高
(百万円)
前年同期比(%)受注残高
(百万円)
前年同期比(%)
日 本32,4011.45,24424.7
タ イ2,001△6.135011.9
中国・韓国817△3.318823.3
合計35,2200.85,78223.8

(注)1.金額は販売価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2020年4月1日
至 2021年3月31日)
前年同期比(%)
日 本(百万円)31,490△1.6
タ イ(百万円)3,577△12.5
中国・韓国(百万円)942△14.5
消 去(百万円)△1,901△16.9
合計(百万円)34,108△2.3

(注)1.金額は販売価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先前連結会計年度
(自 2019年4月1日
至 2020年3月31日)
当連結会計年度
(自 2020年4月1日
至 2021年3月31日)
大同興業株式会社金額(百万円)割合(%)金額(百万円)割合(%)
7,83822.57,91223.2

3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書の提出日現在において判断したものであります。
①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されています。この連結財務諸表の作成に当たり重要となる会計方針については、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)に記載のとおりです。連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりです。
なお、見積り及び判断・評価につきましては、過去実績や状況に応じて合理的と考えられる要因等に基づき行っておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果は異なる場合があります。
②財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.財政状態の分析
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ27億56百万円増加し、460億71百万円となりました。負債については、前連結会計年度末に比べ12億28百万円増加し、130億97百万円となりました。
当第4四半期は受注・販売とも好調に推移したために営業債権が9億79百万円増加しました。営業債権と同様に材料・部品の購入に伴う営業債務が5億22百万円増加し、増益により未払法人税等が6億36百万円増加したことから、運転資金の増減は軽微に留まりました。また、コロナ禍による先行き不透明感も踏まえて減価償却見合い程度の設備投資に抑制したため、固定資産は前期と同水準となっています。結果として、当期利益に見合う金額が現金及び預金として積み上がりました。
純資産は、利益剰余金が13億4百万円増加したことにより前連結会計年度末に比べ15億27百万円増加し、329億74百万円となりました。自己資本比率は70.7%(前期比1.0ポイント減)となりました。
b.経営成績の分析
(売上高)
当連結会計年度における売上高は341億8百万円(前連結会計年度比2.3%減)となり、前連結会計年度に比べ8億1百万円減少しました。
高機能・独自製品が売上高全体に占めるシェアは65.5%となり、前期より5.3ポイント増加しました。高機能・独自製品の売上高増加の主な要因は、年度を通じ細径の極細線が好調に推移、また、超精密ガスフィルター(NASclean®)は年度後半より需要が急回復し、販売が増加したことによるものです。
0102010_004.png事業部門別の売上状況は、次のとおりとなります。
[ステンレス鋼線]
上半期については、国内の建材用途や自動車関連用途の鋲螺用材やばね用材などステンレス鋼線全体としてはコロナ禍の影響により販売数量が大きく減少しました。下半期は自動車関連の受注が急回復したほか、巣籠り需要による家電用途など幅広いアイテムの受注が回復しました。また、LMEニッケル価格については、上半期平均のポンド当たり6.0ドルから、下半期平均の7.6ドルへ上昇(2020年度平均は6.8ドル)し、駆け込み需要も生じたものと捉えています。一方、太陽光発電パネルや電子部品の製造プロセスで使用されるスクリーン印刷向け極細線が底堅く推移するなど、高機能・独自製品における疫禍の影響は限定的に止まりました。結果として、通期におけるステンレス鋼線全体の月平均販売数量が2,891トン(前期比11.2%減)となりましたが、通期の売上高は280億51百万円(同4.5%減)と減収幅を抑制できました。
海外現地法人であるTHAI SEISEN CO., LTD. および大同不銹鋼(大連)有限公司についても、ステンレス鋼線の販売数量の減少を強いられ、減収となりました。
[金属繊維(ナスロン®)]
ポリエステルフィルムや炭素繊維に関連した設備投資が延期され国内外とも低調に推移したことや、中国国内の化合繊維向け需要減少が響き、ナスロン®フィルターの販売は低調に止まりました。
半導体関連業界向け超精密ガスフィルター(NASclean®)については、課題であった在庫調整の解消も確認でき、当社製品に対する需要も好転しました。背景には、第5世代移動通信システム(5G)の立ち上がりや、リモートワークなどの普及に伴いデータセンターに関連した半導体需要が堅調であったため、在庫調整を経てDRAM価格が上昇し半導体製造装置の投資が再開したことが挙げられます。結果として、通期では売上高が60億57百万円(前期比9.5%増)となりました。
海外現地法人である耐素龍精密濾機(常熟)有限公司についても、中国国内向けの化合繊維向け需要が低迷し売上高は前期比減収となりました。
(経常利益及び親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度における経常利益は26億2百万円(前連結会計年度比30.1%増)となり、前連結会計年度に比べ6億2百万円増加し、経常利益率は7.6%となり前連結会計年度比1.9ポイント上昇しました。結果として、親会社株主に帰属する当期純利益は18億25百万円(同30.8%増)となりました。
経常利益が前期比増益となった主な要因は、上半期におけるコロナ禍によるステンレス鋼線の汎用品の数量減少による工場操業度悪化などによる減益影響4億円はあったものの、高機能・独自製品の極細線や超精密ガスフィルター(NASclean®)の販売が好調で内容差の増益影響7億89百万円などが貢献し、経常利益は前期比6億2百万円の増益となりました。
0102010_005.png0102010_006.png

③キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
a.キャッシュ・フローの分析
キャッシュ・フローの分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
b.資金需要
成長投資への支出については、当社グループ中期経営計画の「日本精線リニューアル継続推進と高機能・独自製品でサステナビリティに貢献」を実現するために、主力の製造拠点である国内工場及びタイ、中国の在外子会社における生産効率向上や増産を目的とした設備投資を図ってまいります。また、お客様のニーズに対応した新製品開発と新市場創出に向け研究開発にも注力してまいります。将来の成長に向けた戦略的な資金需要に対しては、財務健全性の維持と資本コストを意識しつつ、積極的に対応していくことを方針としております。
運転資金としては、当社グループ製品製造のための材料及び部品の購入のほか、製造費用や営業費用が必要となります。事業運営上の必要資金に加え、大地震等の自然災害、感染症のまん延、テロ等の事件、大事故、サプライチェーン(供給網)の途絶、突発的な経営環境の変化など不測の事態が発生しても、事業を中断させない、または中断しても可能な限り短い期間で復旧に備えるために、後述の退職給付債務の支払い原資の控除後、月商3ヵ月分の現金及び現金同等物の流動性確保を目途としております。
株主還元への支出については、連結業績や財政状態などを総合的に勘案し、連結配当性向40%程度を目途に配当を行うことを基本としております。
なお、当社グループでは退職一時金制度のみを採用しており、退職給付債務45億44百万円(2021年3月末現在)の支払い原資を、現金及び現金同等物にて実質的に保全しております。
c.資金調達
当社グループの運転資金及び投資資金は、原則として営業活動により獲得したキャッシュ・フローにより充当することを基本方針としております。ただし、有事の場合など、必要に応じ銀行借入による資金調達ができるように、取引金融機関との取引関係の維持強化に配慮した財務政策に努めております。

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