有価証券報告書-第90期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)

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2020/06/29 9:30
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154項目
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における当社グループの経営環境は、米中貿易摩擦による中国・欧州経済の減速や中東の地政学的リスクのほか、国内での台風被害や消費増税が響き、先行き不透明感が強い状況となりました。当社グループの主力製品であるステンレス鋼線を巡る環境については、顧客の需要減や在庫調整により販売数量は前年度から減少傾向にあり、さらに下期に入って自動車関連の需要が減速しました。中国や韓国のステンレス鋼線メーカーとの競争も激化し、業界全体の出荷数量は前期比減となりました。また、LMEニッケル価格が、インドネシアの禁輸措置などによりポンド当たり8ドル超に価格高騰する局面もありましたが、期末にかけては世界経済の不透明感の拡がりとともに、当期末は5ドル台前半まで値を下げました。金属繊維(ナスロン®)についても、化合繊維向けなどの一般汎用製品については競争が激しくなってきております。一方、半導体関連業界向け超精密ガスフィルター(NASclean®)製品については、前年度からの在庫調整の影響が上半期は残りましたが、年度後半からは第5世代移動通信システム(5G)向けなどの半導体生産が回復基調に転じました。
この結果、当連結会計年度の経営成績は、売上高349億10百万円(前期比9.9%減)、営業利益19億26百万円(同45.8%減)、経常利益19億99百万円(同45.6%減)、親会社株主に帰属する当期純利益13億95百万円(同47.1%減)となりました。
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。なお、セグメントごとの経営成績については、セグメント間の内部売上高又は振替高の相殺消去前の金額を記載しております。
[日本]
線径11μmの超極細線など、高い技術力が求められるステンレス鋼線アイテムの量産化を実現しました。また、真空炉の本格稼働により半導体関連業界向け超精密ガスフィルター(NASclean®)製品の上方弾力を確保しました。しかし、ステンレス鋼線部門及び金属繊維部門とも需要低迷が響き、売上高は320億9百万円(前期比11.2%減)、セグメント利益は17億3百万円(同47.8%減)となりました。なお、当連結会計年度の金額には、新規連結の対象となった日精テクノ株式会社の金額が含まれています。
[タイ]
投資した極細線の増産設備が本格稼働したほか、ばね材増産に向けた伸線機の投資を実施しました。また、電磁SUS事業の強化に努めました。しかし、ステンレス鋼線部門の需要低迷が響き、売上高は40億87百万円(前期比10.4%減)、セグメント利益は1億70百万円(同37.2%減)となりました。
[中国・韓国]
耐素龍精密濾機(常熟)有限公司において、増産投資した真空炉が本格稼働し、化合繊維・樹脂等向け高機能メタルフィルターの増収に寄与しました。当連結会計年度より、前連結会計年度末において非連結子会社であった韓国現地法人の韓国ナスロン株式会社を連結の範囲に含めたことに伴い、報告セグメントを従来の「中国」から「中国・韓国」に変更しております。また、当連結会計年度の売上高11億1百万円、セグメント利益1億19百万円には、新規連結の対象となった大同不銹鋼(大連)有限公司、韓国ナスロン株式会社の金額が含まれています。
当連結会計年度末における総資産は、433億15百万円となり前連結会計年度末に比べ10億87百万円増加しました。主な要因は、有形固定資産などの増加となります。負債については、118億68百万円となり前連結会計年度末に比べ1億8百万円増加しました。純資産は、314億46百万円となり、自己資本比率71.7%と前期比0.2ポイント上昇しました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は117億66百万円となり、前連結会計年度末に比べ5億32百万円増加しました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは28億14百万円の収入となり、前期に比べ4億35百万円増加しました。これは法人税等の支払額が減少したことなどによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは22億44百万円の支出となり、前期に比べ8億77百万円減少しました。これは有形固定資産の取得による支出が減少したことなどによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入金による収入があるも配当金の支払いなどにより3億35百万円の支出となりました。
(キャッシュ・フロー指標)
なお、キャッシュ・フロー指標のトレンドは以下のとおりです。
2017年3月期2018年3月期2019年3月期2020年3月期
自己資本比率 (%)69.267.471.571.7
時価ベースの自己資本比率(%)56.872.047.441.9
キャッシュ・フロー対有利子負債比率0.30.20.20.3
インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)394.3359.8326.1379.8

※ 自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い
(注)1.各指標はいずれも連結ベースの財務数値により計算しております。
2.株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式総数により計算しております。
3.営業キャッシュ・フローは連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フロー
を使用しております。
4.有利子負債は連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を払っている負債を対象としてお
ります。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用してお
ります。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2019年4月1日
至 2020年3月31日)
前年同期比(%)
日 本(百万円)28,920△13.7
タ イ(百万円)4,078△10.0
中国・韓国(百万円)1,047100.6
合計(百万円)34,047△11.7

(注)1.金額は平均販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。
2.当連結会計年度より、前連結会計年度末において非連結子会社であった韓国現地法人の韓国ナスロン株式会社を連結の範囲に含めたことに伴い、報告セグメントを従来の「中国」から「中国・韓国」に変更しております。
3.上記の金額には、当連結会計年度より、大同不銹鋼(大連)有限公司の金額が「中国・韓国」に含まれております。
4.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
b.受注実績
当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度(自 2019年4月1日 至 2020年3月31日)
受注高
(百万円)
前年同期比(%)受注残高
(百万円)
前年同期比(%)
日 本31,953△9.74,2051.5
タ イ2,130△5.53124.6
中国・韓国84548.81520.3
合計34,930△8.64,6711.7

(注)1.金額は販売価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.当連結会計年度より、前連結会計年度末において非連結子会社であった韓国現地法人の韓国ナスロン株式会社を連結の範囲に含めたことに伴い、報告セグメントを従来の「中国」から「中国・韓国」に変更しております。
3.上記の金額には、当連結会計年度より、大同不銹鋼(大連)有限公司の金額が「中国・韓国」に含まれております。
4.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2019年4月1日
至 2020年3月31日)
前年同期比(%)
日 本(百万円)32,009△11.2
タ イ(百万円)4,087△10.4
中国・韓国(百万円)1,10188.8
消 去(百万円)△2,288△5.8
合計(百万円)34,910△9.9

(注)1.金額は販売価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.当連結会計年度より、前連結会計年度末において非連結子会社であった韓国現地法人の韓国ナスロン株式会社を連結の範囲に含めたことに伴い、報告セグメントを従来の「中国」から「中国・韓国」に変更しております。
3.上記の金額には、当連結会計年度より、大同不銹鋼(大連)有限公司、韓国ナスロン株式会社及び日精テクノ株式会社の金額がそれぞれ含まれております。
4.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先前連結会計年度
(自 2018年4月1日
至 2019年3月31日)
当連結会計年度
(自 2019年4月1日
至 2020年3月31日)
大同興業株式会社金額(百万円)割合(%)金額(百万円)割合(%)
8,42821.77,83822.5

5.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書の提出日現在において判断したものであります。
①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されています。この連結財務諸表の作成にあたり重要となる会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載のとおりですが、決算日における資産及び負債の報告数値、報告期間における収益及び費用の報告数値に影響を与える見積りは、退職給付会計、賞与引当金、環境対策引当金、税効果会計、貸倒引当金、減損会計、資産除去債務、棚卸資産の評価であり、継続して評価を行っております。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大は経済や企業活動に広範な影響を与える事象であり、長期化する不確実性を考慮しつつも、当社グループでは、世界経済は2021年3月期第3四半期(2020年10月~2020年12月)以降に徐々に回復するとの仮定のもと、繰延税金資産の回収可能性等の会計上の見積りを行っております。
なお、見積り及び判断・評価につきましては、過去実績や状況に応じて合理的と考えられる要因等に基づき行っておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果は異なる場合があります。
②財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.財政状態の分析
当連結会計年度より、連結決算の開示内容の充実及びグループ経営の強化を図るため、前連結会計年度において非連結子会社であった大同不銹鋼(大連)有限公司、韓国ナスロン株式会社及び日精テクノ株式会社を連結の範囲に含めております。
(百万円)

当連結会計年度金額前期比うち新規連結3社寄与額
流動資産27,029+781+554
うち現金及び預金11,980+642+390
うち営業債権7,769▲199+53
うちたな卸資産7,128+313+109
固定資産16,285+306▲201
うち有形固定資産13,986+808+121
うち無形固定資産319▲43-
うち投資その他の資産1,979▲458▲326
資産合計43,315+1,087+353
流動負債7,033▲337+101
うち営業債務4,972+320+72
うち短期借入金437▲126-
固定負債4,835+4460
うち長期借入金372+372-
うち退職給付に係る負債4,394+720
負債合計11,868+108+101
株主資本31,170+911+142
その他の包括利益累計額▲111▲620
非支配株主持分387+130+108
純資産合計31,446+979+251

(資産の部)
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ10億87百万円増加し、433億15百万円となりました。主な要因は、設備投資により有形固定資産が8億円8百万円増加したことによります。そのほか、現金及び預金が6億42百万円増加しましたが、主として新規連結3社の寄与によるものです。たな卸資産の増加については、当社単体での増減は軽微であり、在外子会社での材料在庫の確保によるものです。
(負債の部)
負債については、前連結会計年度末に比べ1億8百万円増加し、118億68百万円となりました。主な要因は、長期借入金5億50百万円を借り入れたためであり、取引金融機関との取引関係の維持強化を図るためのもので、手元流動性を高めました。
(純資産の部)
純資産は、前連結会計年度末に比べ9億79百万円増加し、314億46百万円となりました。増加要因の大半は、利益剰余金が9億11百万円増加したことによるもので、新規連結3社の寄与額は2億51百万円の増加と軽微にとどまります。結果として、自己資本比率は71.7%(前期比0.2ポイント増)となりました。
b.経営成績の分析
(百万円)

当連結会計年度金額前期比うち新規連結3社寄与額
売上高34,910▲3,849+321
売上総利益5,218▲1,693+135
営業利益1,926▲1,628+36
経常利益1,999▲1,675+41
親会社株主に帰属する当期純利益1,395▲1,240+19

(売上高)
当連結会計年度における売上高は349億10百万円(前連結会計年度比9.9%減)となり、前連結会計年度に比べ38億49百万円減少しました。売上高における新規連結3社の寄与額は3億21百万円となります。
高機能・独自製品が売上高全体に占めるシェアは60.2%と前期比減少したものの、ほぼ横ばいで推移しています。高機能・独自製品の売上高減少の主な要因は、在庫調整による極細線と超精密ガスフィルター(NASclean®)の販売減少によるものです。
なお、2020年3月期においては、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大が当社の業績に与える影響は、いまだ軽微に留まっています。
0102010_001.png
事業部門別の売上状況は、次のとおりとなります。
[ステンレス鋼線]
自動車生産・販売の減少、建築需要の低迷などにより、月平均の販売数量が3,256tと大幅に減少(前期比200t/月減)しました。前年度に高水準の受注・出荷の実績を上げた極細線の売上高が、反動の在庫調整を強いられました。また、建築用途・自動車用途の鋲螺用材が大幅減少し、ばね用材も流通での在庫調整の影響を受けました。需給面に加えて、安価な中国・韓国材の攻勢が加わり、ステンレス鋼線の売上高は293億78百万円(前期比8.8%減)となりました。
海外現地法人であるTHAI SEISEN CO., LTD. 及び大同不銹鋼(大連)有限公司についても、ステンレス鋼線の販売数量の減少を強いられ、減収となりました。
[金属繊維(ナスロン®)]
ナスロン®フィルターは、ポリエステルフィルム用途向け補充品が底堅く推移したものの、競争環境の厳しい化合繊維用途向け製品の減収を補うに至りませんでした。超精密ガスフィルター(NASclean®)については、スマホ需要の減少により半導体関連投資が凍結され上半期は大幅減収を余儀なくされましたが、年度後半には需給環境が好転したことに伴い半導体関連設備投資も再開されました。在庫調整から急反転して売上を伸ばしましたが、上半期の減収を補うには至りませんでした。結果として、通期では売上高が55億31百万円(前期比15.3%減)となりました。
海外現地法人である耐素龍精密濾機(常熟)有限公司は、中国国内向けが好調に推移したことなどにより売上高は前期比増収となりました。
(経常利益及び親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度における経常利益は19億99百万円(前連結会計年度比45.6%減)となり、前連結会計年度に比べ16億75百万円減少し、経常利益率は5.7%となり前連結会計年度比3.8ポイント低下しました。結果として、親会社株主に帰属する当期純利益は13億95百万円(同47.1%減)となりました。
経常利益が前期比減益となった主な要因は、ニッケル市場の下落による在庫評価減3億40百万円や、数量減少に伴う工場操業度の悪化による減益影響11億19百万円に加え、高機能・独自製品の極細線や超精密ガスフィルター(NASclean®)などの販売減少による内容差も8億20百万円の減益要因となりました。一方、労務費や修繕費などの固定費抑制による増益額は5億88百万円となりました。
0102010_002.png(百万円)
18年度経常利益3,675
対比変化営業損益Ni市況▲340-
数量変化▲1,119-
内容差▲820-
固定費-+588
合計▲2,279+588
営業外損益他-+16
19年度経常利益1,999(▲1,675)

③キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
a.キャッシュ・フローの分析
キャッシュ・フローの分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
b.資金需要
成長投資への支出については、当社グループ中期計画の「高機能・独自製品の上方弾力確保及び拡販と持続的成長のための生産基盤強化を目指す」を実現するために、主力の製造拠点である国内工場及びタイ、中国の在外子会社における生産効率向上や増産を目的とした設備投資を図ってまいります。また、お客様のニーズに対応した新製品開発と新市場創出に向け研究開発にも注力してまいります。将来の成長に向けた戦略的な資金需要に対しては、財務健全性の維持と資本コストを意識しつつ、積極的に対応していくことを方針としております。
運転資金としては、当社グループ製品製造のための材料及び部品の購入のほか、製造費用や営業費用が必要となります。事業運営上の必要資金に加え、大地震等の自然災害、感染症のまん延、テロ等の事件、大事故、サプライチェーン(供給網)の途絶、突発的な経営環境の変化など不測の事態が発生しても、事業を中断させない、または中断しても可能な限り短い期間で復旧に備えるために、後述の退職給付債務の支払い原資の控除後、月商3ヵ月分の現金及び現金同等物の流動性確保を目指しております。
株主還元への支出については、連結業績や財政状態などを総合的に勘案し、連結配当性向30%程度を目途に配当を行うことを基本としております。
なお、当社グループでは退職一時金制度のみを採用しており、退職給付債務43億94百万円(2020年3月末現在)の支払い原資を、現金及び現金同等物にて実質的に保全しております。
c.資金調達
当社グループの運転資金及び投資資金は、原則として営業活動により獲得したキャッシュ・フローにより充当することを基本方針としております。ただし、有事の場合など、必要に応じ銀行借入による資金調達ができるように、取引金融機関との取引関係の維持強化に配慮した財務政策に努めております。

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