有価証券報告書-第94期(2023/04/01-2024/03/31)

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2024/06/28 9:49
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(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
2023年度の世界経済は、ロシアによるウクライナ侵攻に加えてイスラエルとハマスの対立も激化し、世界各地での地政学リスクの増大のほか、米国におけるインフレ対策の金融引き締めの長期化や中国での不動産市場の調整など、景気の下振れリスクが増えてきました。日本経済は年後半に自動車生産の挽回が本格化し景気を牽引しましたが、海外経済の減速や半導体市況の回復の遅れのほか、円安、物価高、人手不足といった構造的な課題も顕在化してきており、景況感の先行きに対する不透明感が大きくなってきています。
このような事業環境の中で、当社及び連結子会社(以下「当社グループ」という。)は2024年3月期を最終年度とする『中期経営計画(NSR23)』において、「日本精線リニューアル(NSR)継続推進と高機能・独自製品でサステナビリティに貢献」を中期スローガンとして掲げ、高機能・独自製品の販売に注力して企業価値向上に努めてきました。
結果として通期の売上高は、447億27百万円(前期比8.8%減)となりました。損益については、太陽光発電パネルなどの製造プロセスで使用される極細線に対する需要の強さは継続したものの、サプライチェーン各社の在庫調整並びに実需低迷の影響を受けステンレス鋼線の販売量減少による操業度損増加や、これまで収益の牽引役だった半導体関連業界向け超精密ガスフィルター(NASclean®)の受注減少によって、減益を余儀なくされました。営業利益35億37百万円(同15.4%減)、経常利益36億99百万円(同14.3%減)、親会社株主に帰属する当期純利益25億92百万円(同16.0%減)となりました。
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。なお、セグメントごとの経営成績については、セグメント間の内部売上高又は振替高の相殺消去前の金額を記載しています。
[日本]
主力のステンレス鋼線は極細線で好調な受注を確保するも、自動車用途や建材用途における流通在庫の調整長期化により販売が低迷しました。金属繊維は半導体製造装置に組み込まれる超精密ガスフィルター(NASclean®)が調整局面となり、売上高は401億92百万円(前期比8.4%減)、セグメント利益は34億94百万円(同4.8%減)となりました。
[タイ]
ステンレス鋼線の販売数量は需要低迷・過剰在庫の調整から減少し、売上高は49億82百万円(前期比15.4%減)、セグメント損失は16百万円(前期は3億79百万円のセグメント利益)となりました。
[中国・韓国]
ナスロン®フィルターの需要が低迷し、売上高は13億77百万円(前期比20.3%減)、セグメント利益は1億9百万円(同37.7%減)となりました。
当連結会計年度末における総資産は534億2百万円となり、前連結会計年度末に比べ6億52百万円減少しました。流動資産は受取手形及び売掛金や棚卸資産の減少などにより、前連結会計年度末に比べ8億47百万円減少しました。固定資産は有形固定資産が増加したことなどにより、1億95百万円増加しました。
負債は139億12百万円となり、前連結会計年度末に比べ25億36百万円減少しました。流動負債は支払手形及び買掛金の減少などにより、前連結会計年度末に比べ21億83百万円減少しました。固定負債は長期借入金や退職給付に係る負債の減少などにより前連結会計年度末に比べ3億52百万円減少しました。
純資産は利益剰余金が増加したことなどにより394億89百万円となり、前連結会計年度末に比べ18億83百万円増加しました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は146億8百万円となり、前連結会計年度末に比べ4億86百万円増加しました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは46億82百万円の収入となり、前期に比べ28億20百万円増加しました。これは棚卸資産が減少したことなどによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは28億23百万円の支出となり、前期に比べ10億41百万円支出が増加しました。これは有形固定資産の取得による支出が増加したことなどによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは15億37百万円の支出となり、前期に比べ4億91百万円支出が増加しました。これは長期借入れによる収入が減少したことなどによるものです。
(キャッシュ・フロー指標)
なお、キャッシュ・フロー指標のトレンドは以下のとおりです。
2021年3月期2022年3月期2023年3月期2024年3月期
自己資本比率 (%)70.768.268.572.8
時価ベースの自己資本比率(%)47.253.352.081.1
キャッシュ・フロー対有利子負債比率0.20.10.40.1
インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)769.7954.3534.61,099.5

※ 自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い
(注)1.各指標はいずれも連結ベースの財務数値により計算しております。
2.株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式総数により計算しております。
3.営業キャッシュ・フローは連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。
4.有利子負債は連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を払っている負債を対象としております。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2023年4月1日
至 2024年3月31日)
前年同期比(%)
日 本(百万円)37,448△8.4
タ イ(百万円)4,847△16.3
中国・韓国(百万円)1,237△28.1
合計(百万円)43,532△10.1

(注)金額は平均販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。
b.受注実績
当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)
受注高
(百万円)
前年同期比(%)受注残高
(百万円)
前年同期比(%)
日 本39,706△6.35,056△6.5
タ イ3,738△3.072052.5
中国・韓国1,3612.138191.6
合計44,806△5.86,1581.3

(注)金額は販売価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2023年4月1日
至 2024年3月31日)
前年同期比(%)
日 本(百万円)40,192△8.4
タ イ(百万円)4,982△15.4
中国・韓国(百万円)1,377△20.3
消 去(百万円)△1,825△25.2
合計(百万円)44,727△8.8

(注)1.金額は販売価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先前連結会計年度
(自 2022年4月1日
至 2023年3月31日)
当連結会計年度
(自 2023年4月1日
至 2024年3月31日)
金額(百万円)割合(%)金額(百万円)割合(%)
大同興業株式会社11,17522.810,26823.0
株式会社メタルワン4,6909.65,45612.2

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書の提出日現在において判断したものであります。
①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されています。この連結財務諸表の作成に当たり重要となる会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりです。連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりです。
なお、見積り及び判断・評価につきましては、過去実績や状況に応じて合理的と考えられる要因等に基づき行っておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果は異なる場合があります。
②財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.財政状態の分析
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ6億52百万円減少し534億2百万円となりました。負債については、前連結会計年度末に比べ25億36百万円減少し139億12百万円となりました。
当連結会計年度の売上高が減収(前連結会計年度比43億27百万円減)となったために、売上債権(同比4億1百万円減)、棚卸資産(同比9億47百万円減)とも減少しましたが、それ以上に買入債務(同比17億13百万円減)が減少したことから、運転資金は3億64百万円増加しました。また、減価償却費以上の設備投資を実施したこともあり固定資産は1億95百万円増加しました。純資産は、利益剰余金が前連結会計年度末に比べ12億92百万円増加し394億89百万円となりました。結果として、現金及び預金の残高は前連結会計年度末に比べ5億80百万円増加しました。
利益の積み上がりによって自己資本比率は72.8%(前期比4.3ポイント増)に高まりましたが、経常利益が減益(前連結会計年度比6億17百万円減)となったためROA(経常利益/総資産)は6.9%(前期比1.3ポイント減)となりました。
b.経営成績の分析
(売上高)
当連結会計年度における売上高は447億27百万円(前期比8.8%減)となり、前連結会計年度に比べ43億27百万円減少しました。
高機能・独自製品が売上高全体に占めるシェアは66.3%(前期比2.3ポイント増)となりました。高機能・独自製品の売上高増加の主な要因は、細径の極細線が好調に推移したことによるものです。
0102010_008.png
事業部門別の売上状況は、次のとおりとなります。
[ステンレス鋼線]
ステンレス鋼線においては、2023年度上半期の販売量が自動車用途や建材用途の荷動き鈍化による過剰在庫の調整が生じたことから月当たり2,587トンと大きく減少し、下半期も需要回復の動きは鈍く、第3四半期月当たり2,677トン、第4四半期月当たり2,756トン(第3四半期比3.0%増)と下半期平均2,717トン(上半期比5.0%増)となりました。一方、太陽光発電パネルの製造プロセスで使用されるスクリーン印刷向け極細線は、お客さまの細径化ニーズに応える高付加価値製品として好調な受注を確保し、年度を通じて堅調に推移しました。
なお、LMEニッケル価格については、ウクライナ情勢の影響もあり2022年度の平均価格がポンド当たり11.63ドル(2021年度平均に比してポンド当たり2.28ドル上昇)と急激に上昇しましたが、2023年度は下落に転じ平均価格でポンド当たり8.68ドル(2022年度平均に比してポンド当たり2.94ドル下落)となりました。一方、2022年度の為替レート平均136.47円が2023年度に平均145.62円と円安で推移したため、円ベースのニッケル価格の下落幅は低減しました。
結果として、通期におけるステンレス鋼線全体の月平均販売数量が2,652トンと大幅に減少(前期比532トン減、同16.7%減)しましたが、値上げによる販売単価上昇や極細線の販売増によって売上高382億66百万円(同5.6%減)と減少幅を低減しました。
海外現地法人であるTHAI SEISEN CO., LTD. 及び大同不銹鋼(大連)有限公司についても、ステンレス鋼線の販売数量が低迷し、減収となりました。
[金属繊維(ナスロン®)]
金属繊維においては、2023年度上半期の半導体関連業界向け超精密ガスフィルター(NASclean®)の販売が月当たり2億98百万円と大きく減少し、下半期も半導体メーカーの設備投資の延期や縮小による在庫調整が続いたため半導体製造装置メーカー各社においても生産回復に遅延が生じました。第3四半期月当たり2億82百万円、第4四半期月当たり2億80百万円(第3四半期比0.7%減)と下半期平均2億81百万円(上半期比5.8%減)となりました。
ナスロン®フィルターについては、2023年度上半期の販売は国内外の高機能フィルム向けのフィルター販売が不振であったため月当たり2億23百万円と大きく減少しましたが、下半期は海外の炭素繊維関連の大型案件を中心に化合繊維向けのフィルターの販売増により、第3四半期月当たり2億57百万円、第4四半期月当たり2億88百万円(第3四半期比12.2%増)と下半期平均2億73百万円(上半期比22.5%増)となりました。
海外現地法人である耐素龍精密濾機(常熟)有限公司については、第1四半期(12月決算のため1~3月)に中国のゼロコロナ政策転換による感染症急拡大によって経済活動に大きな制約を受け、回復傾向にあるものの化合繊維用途の販売低迷が継続し減収となりました。
結果として、金属繊維部門の当期における売上高は64億61百万円(前期比24.2%減)となりました。
(経常利益及び親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度における経常利益は36億99百万円(前連結会計年度比14.3%減)となりました。経常利益率は8.3%となり前連結会計年度比0.5ポイント下がりました。結果として、親会社株主に帰属する当期純利益は25億92百万円(同16.0%減)となりました。
経常利益が前期比減益となった主な要因は、太陽光発電パネルなどの製造プロセスで使用される極細線に対する需要の強さは継続したものの、サプライチェーン各社の在庫調整並びに実需低迷の影響を受けたステンレス鋼線の販売量減少による操業度損増加や、これまで収益の牽引役だった半導体関連業界向け超精密ガスフィルター(NASclean®)の受注が減少したことにあります。
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③キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
a.キャッシュ・フローの分析
キャッシュ・フローの分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
b.資金需要
成長投資への支出については、当社グループ中期経営計画の「日本精線リニューアル(NSR)継続推進と高機能・独自製品でサステナビリティに貢献」を実現するために、主力の製造拠点である国内工場及びタイ、中国の在外子会社における生産効率向上や増産を目的とした設備投資を図ってまいります。また、お客様のニーズに対応した新製品開発と新市場創出に向け研究開発にも注力してまいります。将来の成長に向けた戦略的な資金需要に対しては、財務健全性の維持と資本コストを意識しつつ、積極的に対応していくことを方針としています。
運転資金としては、当社グループ製品製造のための材料及び部品の購入のほか、製造費用や営業費用が必要となります。事業運営上の必要資金に加え、大地震等の自然災害、感染症のまん延、テロ等の事件、大事故、サプライチェーン(供給網)の途絶、突発的な経営環境の変化など不測の事態が発生しても、事業を中断させない、または中断しても可能な限り短い期間で復旧に備えるために、後述の退職給付債務の支払い原資の控除後、月商3ヵ月分の現金及び現金同等物の流動性確保を目途としています。
株主還元への支出については、連結業績や財政状態などを総合的に勘案し、連結配当性向40%程度を目途に配当を行うことを基本としています。なお、新たな中期経営計画(NSG26)では連結配当性向の水準を50%程度に引き上げました。
なお、当社グループでは退職一時金制度のみを採用しており、退職給付債務45億35百万円(2024年3月末現在)の支払い原資を、現金及び現金同等物にて実質的に保全しています。
c.資金調達
当社グループの運転資金及び投資資金は、原則として営業活動により獲得したキャッシュ・フローにより充当することを基本方針としています。ただし、有事の場合など、必要に応じ銀行借入による資金調達ができるように、取引金融機関との取引関係の維持強化に配慮した財務政策に努めています。

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