有価証券報告書-第110期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)

【提出】
2021/06/28 9:29
【資料】
PDFをみる
【項目】
141項目
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1) 経営成績
当連結会計年度における我が国経済は、前半に新型コロナウイルス感染症による急激な経済環境の悪化に見舞われましたが、後半になって徐々に持ち直しの動きが見られるようになりました。しかし、2021年1月に再び国内の一部地域において緊急事態宣言が発出され、緊急事態宣言解除後もリバウンドが懸念されるなど、収束時期が見通せず極めて厳しい状況が続きました。
また、海外においては、中国、北米では新型コロナウイルス感染症による経済の停滞から比較的早期に脱却することができましたが、いまだ収束時期の見通しが立たない地域もあり、先行きは極めて不透明な状況となりました。
このような状況のもと、当社グループは、第14次中期経営計画「Accomplish V-20」(2018年4月より2021年3月までの3ヵ年計画)に掲げた基本方針である「新技術・新商品・新規事業の迅速な開発と市場投入」、「現在と将来を担うグローバル人財の確保と育成」、「安全・品質・CSR活動のグローバル体制の構築」を推進し、企業価値の向上を図ってまいりました。
また、新型コロナウイルス感染症による事業環境の急激な変化に対し、余剰時間を教育訓練時間に活用し、拠点間の柔軟な作業応援を実施するとともに、設備投資計画の見直しや出張の抑制などの諸経費の削減に取り組み、原価低減に努めてまいりました。
当連結会計年度の後半から受注は着実に回復してまいりましたが、前半の新型コロナウイルス感染症による受注減少の影響が大きく、当連結会計年度の売上高は42,567百万円(前年同期比12.8%減)、原価低減に努めているものの減収の影響が大きく、営業利益は920百万円(前年同期比55.9%減)、経常利益は1,475百万円(前年同期比28.8%減)、韓国熱錬株式会社についてのれんの減損損失を計上したものの、投資有価証券売却益を計上したことなどにより、親会社株主に帰属する当期純利益は268百万円(前年同期比7.0%増)となりました。
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
(製品事業部関連事業)
土木・建築関連製品の売上高は、新型コロナウイルス感染症拡大による工事の延期などがあったものの、販売量が確保でき、前年同期と比較して僅かに増加いたしました。
自動車関連製品の売上高は、当連結会計年度前半の新型コロナウイルス感染症の拡大による世界的な市場減速に大きく影響を受け、前年同期と比較し大幅に減少いたしました。
建設機械関連製品の売上高は、新型コロナウイルス感染症の拡大による世界的な市場減速に影響を受けましたが、回復の早かった中国で販売量が伸びたことなどにより、前年同期と比較して増加いたしました。
この結果、業況は着実に回復してきたものの、前半の受注の急激な落ち込みの影響が大きく、売上高は24,537百万円(前年同期比7.5%減)、中国市場の回復や原価低減活動を推し進めた結果、営業利益は685百万円(前年同期比27.8%増)となりました。
(IH事業部関連事業)
熱処理受託加工関連の売上高は、当連結会計年度前半の自動車、工作機械、建設機械などの主要業界の新型コロナウイルス感染症の拡大による市場減速に大きく影響を受け、前年同期と比較し減少いたしました。
誘導加熱装置関連の売上高は、新型コロナウイルス感染症の拡大による顧客の設備投資の見直しやメンテナンス時期の先送りなど、受注の回復が遅れていることにより、前年同期と比較し大幅に減少いたしました。
この結果、業況は着実に回復してきたものの、前半の受注の急激な落ち込みの影響が大きく、売上高は17,898百万円(前年同期比19.2%減)、主として減収の影響により、営業利益は170百万円(前年同期比88.5%減)となりました。
(その他)
当該セグメントは、報告セグメントに含まれない不動産賃貸事業などであります。
当社保有の賃貸物件については、小規模ではありますが安定的に業績に寄与しております。
この結果、売上高は131百万円(前年同期比0.7%減)、営業利益は57百万円(前年同期比2.8%減)となりました。
生産、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。
① 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称金額(百万円)前期比(%)
製品事業部関連事業20,56792.8
IH事業部関連事業14,00885.4
合計34,57589.7

(注) 1 金額は、製造費によっており、セグメント間の取引については消去しております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
② 受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称受注高
(百万円)
前期比
(%)
受注残高
(百万円)
前期比
(%)
製品事業部関連事業25,04599.52,267128.8
IH事業部関連事業
(誘導加熱装置関連)
3,44148.22,11954.9

(注) 1 IH事業部関連事業のうち、熱処理受託加工関連は継続的な取引が多く、加工賃収入のため受注高及び受注残高の把握が困難のため、誘導加熱装置関連の受注状況を記載しております。
2 受注金額は販売価格によっており、セグメント間の取引については消去しております。
3 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
4 IH事業部関連事業(誘導加熱装置関連)において、受注高、受注残高が大幅に減少しました。これは、新型コロナウイルス感染症の拡大による顧客の設備投資の見直しやメンテナンス時期の先送りに伴い、受注状況が悪化したことなどによります。
③ 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称金額(百万円)前期比(%)
製品事業部関連事業24,53792.5
IH事業部関連事業17,89880.8
その他13199.3
合計42,56787.2

(注) 1 上記の金額は、セグメント間の内部売上高を消去しております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)財政状態
当連結会計年度末における総資産は75,574百万円(前年同期比0.9%減)となりました。この主な要因は、流動資産が増加したものの、設備投資の抑制により有形固定資産が減少したこと、のれんの減損により無形固定資産が減少したことなどによります。
セグメントごとの資産は、製品事業部関連事業、IH事業部関連事業において減少いたしました。製品事業部関連事業においては、設備投資の抑制により有形固定資産が減少したこと、IH事業部関連事業においては、設備投資の抑制により有形固定資産が減少したことに加え、のれんの減損損失を計上したことにより無形固定資産が減少したことなどによります。
なお、セグメントごとの資産は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (セグメント情報等)」に記載しております。
当連結会計年度末における負債は12,860百万円(前年同期比4.8%減)となりました。この主な要因は、長期借入金や退職給付に係る負債が減少したことなどによります。
当連結会計年度末における純資産は62,714百万円(前年同期比0.1%減)となりました。この主な要因は、その他有価証券評価差額金が増加したものの、利益剰余金が減少したことに加え、自己株式の取得を実施したことなどによります。
この結果、当連結会計年度末における自己資本比率は74.4%となりました。
(3)キャッシュ・フロー
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、13,309百万円(前連結会計年度末と比べて1,611百万円の増加)となっておりますが、その内訳は以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、3,969百万円(前年同期は6,298百万円の収入)であります。
これは、税金等調整前当期純利益を1,198百万円計上したこと、売上債権の減少額が前連結会計年度に比べて少額であったことなどによります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果支出した資金は、758百万円(前年同期は4,020百万円の支出)であります。
これは、投資有価証券の売却及び償還による収入が1,000百万円あったこと、有形固定資産の取得による支出が1,408百万円にとどまったことなどによります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果支出した資金は、1,595百万円(前年同期は1,810百万円の支出)であります。
これは、自己株式の取得による支出が506百万円あったことなどによります。
キャッシュ・フロー関連指標
項目前連結会計年度当連結会計年度
自己資本比率73.874.4
時価ベースの自己資本比率37.732.1
キャッシュ・フロー対有利子負債比率0.50.7
インタレスト・カバレッジ・レシオ167.5107.4

(注) 1 各指標の算出方法
自己資本比率 :自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率 :株式時価総額(株価終値×発行済株式総数)/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率 :有利子負債/営業キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ :営業キャッシュ・フロー/利払い金額
2 株式時価総額は、自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しております。営業キャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている借入金を対象としております。また、利払い金額については、連結損益及び包括利益計算書に計上されている支払利息の金額を使用しております。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、次のように認識しております。
当社グループは、設備投資計画に照らして、設備投資に必要な資金は自己資金及び金融機関からの借入でまかなっております。また、短期的な運転資金は主に自己資金及び金融機関からの借入でまかなっております。なお、設備投資額及び設備投資予定額につきましては、「第3 設備の状況」に記載のとおりであります。
(4)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づいて作成されております。連結財務諸表を作成するにあたり重要となる会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」をご参照願います。 連結財務諸表の作成にあたっては、報告期間の期末日における資産・負債の計上、期中の収益・費用の計上を行うため、必要に応じて会計上の見積り及び仮定を用いております。この会計上の見積り及び仮定は、その性質上不確実であり、実際の結果と異なる可能性があります。
なお、新型コロナウイルス感染症が当社グループの業績に与える影響について合理的な見積りが極めて困難な状況にありますが、ワクチン接種等の感染拡大防止策が講じられる中で、国内外の景気動向は緩やかな回復基調で推移することが期待されます。しかし、2021年4月に国内の一部の地域に三度目の緊急事態宣言が発出される状況となったこと、国内及び海外とも、ワクチン接種が完了するまでには時間を要することが見込まれることなどから、しばらくは予断を許さない状況が継続し、当社グループの受注状況に何らかの影響を与えるという仮定に基づき、会計上の見積りを行っております。
当社は、これらの見積りは合理的であると考えておりますが、新型コロナウイルス感染症拡大による影響は不確定要素が多く、想定を超えた変化等が生じた場合、当社グループの連結財務諸表に大きな影響を及ぼすことがあります。連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
(固定資産の減損)
当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、原則として、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローを見積り、見積られた割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定に当たっては、慎重に検討しておりますが、事業計画や経営環境等の諸前提の変化により、追加の減損処理又は新たな減損処理が必要となる可能性があります。
(繰延税金資産の回収可能性)
当社グループは、繰延税金資産について、回収可能性が高いと考えられる金額へ減額するために評価性引当額を計上しております。評価性引当額の必要性及び必要額を評価するに当たっては、課税主体ごとに将来の課税所得を見積り、繰延税金資産の回収見込みを慎重に検討しておりますが、課税所得見積りの前提とした諸条件・諸前提の変化により、追加引当又は引当額の取崩しが必要となる可能性があります。