有価証券報告書-第55期(2024/03/21-2025/03/20)

【提出】
2025/06/17 10:22
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【項目】
171項目
(1) 経営成績等の状況の概要
① 経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、雇用・所得環境の改善やインバウンド需要増加等を背景に景気は緩やかに回復しているものの、物価高の継続に加え海外景気の下振れリスクや米国の政策動向に対する不確実性が意識されるなど、先行きは不透明な状況が続いています。
当社グループの主な関連業界である建設及び住宅関連業界においては、民間部門の設備投資や政府による国土強靭化の加速化対策などから建設投資は引き続き堅調に推移しています。一方で、人手不足や建設業における労働規制強化による工期の長期化、資材価格の高騰などが購買の抑制要因となり、建設用仮設機材の購入を検討している顧客が機材をレンタルで対応する動きが継続しています。このような状況の中、当社グループではコア事業である建設用仮設機材の販売とレンタルの連携を強化することにより、新型足場「アルバトロス」や付加価値の高い製品群の市場シェア拡大を進めるとともに、2024年4月3日に公表しました「中期経営計画2027」(2025年3月期(第55期)から2027年3月期(第57期)まで)の実行に取り組みました。
この結果、当連結会計年度の売上高は、既存事業である建設用仮設機材分野での販売とレンタルの売上高増加に加え、物流関連分野においても物流ソリューションや半導体工場向けニーズを着実に捉えたことによって、前期比6.4%増の616億1百万円と2期振りに過去最高を更新しました。利益面においては、コア事業や物流関連分野の売上高が好調であったことや、「中期経営計画2027」の策定を機に実施したレンタル資産の減価償却方法の見直しによる減価償却費の減少によって、営業利益は前期比23.2%増の21億96百万円となりました。しかしながら経常利益は、金融・為替環境の影響を受けて為替差益が前期比4億44百万円減少したことによって、前期比2億1百万円減(7.0%減)の26億78百万円となり、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比1.4%減の19億59百万円となりました。
各セグメントの状況は次のとおりであります。なお、セグメント区分の売上高はセグメント間の内部売上高を含んでおりません。
セグメントの名称連結売上高セグメント利益又は損失(△)
金額(百万円)前期比(%)金額(百万円)前期比(%)
建設機材関連事業24,56512.52,212△12.0
レンタル関連事業18,0012.21,407267.2
住宅機器関連事業13,9735.3△523-
電子機器関連事業5,061△2.0△534-
報告セグメント計61,6016.42,5628.1
調整額--115-
連結損益計算書計上額61,6016.42,678△7.0

(注) 1 セグメント利益又は損失は、連結損益計算書の経常利益と調整を行っております。
2 セグメント利益又は損失の調整額は、主に報告セグメントに帰属しない為替差損益や支払利息などの営業外収益及び営業外費用であります。
建設機材関連事業
当事業の売上高は、前期比12.5%増の245億65百万円となりました。主要販売先である建設用仮設機材レンタル会社の投資動向に大きな変化はなく、引き続き“購買からレンタル”への動きが継続しているものの、個別の現場ニーズを捉えて販売が増加しました。また、物流関連分野では、次世代物流倉庫のほか広範に期初から販売が好調に推移するとともに、半導体製造工場向けにも販路を拡大するなど、売上高が前期比20.9%増と大幅に増加し過去最高となりました。
損益面では、物流関連分野での売上高増加が受注採算の改善を伴って寄与したものの、建設用仮設機材分野における円安などによる製造コストの増加によって、セグメント利益は前期比12.0%減の22億12百万円となりました。
レンタル関連事業
当事業の売上高は、前期比2.2%増の180億1百万円となりました。中高層用レンタルにおいて建設用仮設機材の購入を検討している顧客層のレンタルニーズが、「アルバトロス」をはじめとした主要な製品群の稼働率を押し上げ売上高が好調に推移しました。また、低層用レンタルにおいても施工人員の安定と工事量の平準化が進んだ結果、売上高が堅調に推移しました。
損益面では、第1四半期連結会計期間よりレンタル資産の減価償却の方法を、従来の定率法(5年)から定額法(8年)へ変更したことによって、減価償却費が前年同期比で12億16百万円減少したこともあり、セグメント利益は前期比267.2%増の14億7百万円となりました。
住宅機器関連事業
当事業の売上高は、前期比5.3%増の139億73百万円となりました。半導体工場向けに販路を拡大した子会社㈱シィップの高所作業台や、建機レンタルなどの販路を中心にアルミ製昇降器具などの販売が堅調に推移しました。また、フィットネス関連製品もウエストガードベルトなどの新製品が好評であったことや、コロナ禍での巣ごもり需要の大きな反動を受けた電動ウォーカーなどの既存ジャンルにも回復の兆しが見えた結果、売上高は前期比6.7%増となりました。
損益面では、当事業の輸入コストに影響を与える円安の進行に対応して、販売価格の見直しと仕入コスト低減に取り組みましたが、為替相場の変動幅とそのスピードが想定を上回ったため、セグメント利益は前期比61百万円減少し5億23百万円の損失となりました。
電子機器関連事業
当事業の売上高は、前期比2.0%減の50億61百万円となりました。特定小電力無線機や業務用無線機の販売は堅調に推移しましたが、プリント配線板製造の子会社、東電子工業㈱において、アミューズメント向けの受注がひと段落したため売上高が減少しました。東電子工業㈱においては前期に完了した設備増強による営業強化によって試作受注が増加しており、今後の売上高増加に向けた取り組みが進んでおります。
損益面では、売上高の減少や東電子工業㈱の新工場への投資による減価償却費の増加によって、セグメント利益は前期比4億69百万円減少し5億34百万円の損失となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は前期末に比べ1億61百万円増加し67億83百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、建設機材関連事業において前期に計画的に生産した棚卸資産が減少したことが要因となり、54億24百万円の収入(前期比37億38百万円の収入増)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、レンタル資産への積極的な投資などにより有形固定資産が増加したことなどから、55億60百万円の支出(前期比2億28百万円の支出増)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入金の返済による支出などにより、1億3百万円の支出(前期は36億52百万円の収入)となりました。
③ 生産、受注及び販売の状況
a.生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称生産高(千円)前期比(%)
建設機材関連事業20,867,356△7.7
電子機器関連事業4,841,240△7.3
住宅機器関連事業1,480,032△2.9
合計27,188,629△7.3

(注) 金額は販売価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。
b.商品仕入実績
当連結会計年度における商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称仕入高(千円)前期比(%)
住宅機器関連事業8,334,5579.4
建設機材関連事業3,263,70176.9
合計11,598,25822.6

(注) 金額は仕入価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。
c.受注実績
当社グループの主な製品は、そのほとんどが需要予測による見込生産を行っているため、受注実績は記載しておりません。
d.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称販売高(千円)前期比(%)
建設機材関連事業24,565,14112.5
レンタル関連事業18,001,3412.2
住宅機器関連事業13,973,3165.3
電子機器関連事業5,061,319△2.0
合計61,601,1186.4

(注) セグメント間の取引については相殺消去しております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.財政状態の分析
(資産)
当連結会計年度末の総資産は708億83百万円となり、前期末に比べ25億67百万円増加しました。総資産の内訳は、流動資産が431億94百万円(前期末比7億円減)、固定資産が276億89百万円(前期末比32億68百万円増)となりました。総資産の主な増加要因は、レンタル資産の増加(前期末比15億55百万円増)、建設仮勘定の増加(前期末比11億87百万円増)によるものです。
(負債)
負債は、388億88百万円となり、前期末に比べ11億17百万円増加しました。その内訳は、流動負債が217億39百万円(前期末比18億79百万円増)、固定負債が171億49百万円(前期末比7億61百万円減)となりました。負債の主な増加要因は、短期借入金の増加(前期末比12億66百万円増)によるものです。
(純資産)
純資産は、親会社株主に帰属する当期純利益が19億59百万円となったことや、剰余金の配当を8億36百万円実施したことなどにより、319億94百万円(前期末比14億50百万円増)となりました。
b.経営成績の分析
経営成績及びセグメントごとの状況につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 経営成績の状況」に記載のとおりであります。
③ 経営成績に重要な影響を与える要因について
「3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
④ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
a.キャッシュ・フローの状況
キャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
b.資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社グループは、製造販売及びレンタル事業を行うための投融資計画に基づく、各事業に必要な資金の調達として、内部資金及び外部借入による資金調達を基本方針としております。なお外部借入のうち、主に運転資金に関するものは短期資金で、投融資に関するものは長期資金での調達を基本としております。
内部資金に関しては、営業活動によるキャッシュ・フローにより継続的に資金を獲得しております。
⑤ 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当連結会計年度の連結業績に関する目標の達成状況は次のとおりであります。
売上高は、当社グループのコア事業である建設用仮設機材分野において販売とレンタルの両面で売上高が増加したことに加え、物流関連分野においても物流ソリューションや半導体工場向けニーズを捉えたことによって過去最高の売上高となりました。この結果、当社グループの売上高は計画比1.0%増と計画値を上回っております。
利益面においては、物流関連分野での売上高増加が寄与したものの、建設用仮設機材分野及び住宅機器関連事業における円安などによる製造・仕入コストの上昇や、電子機器関連事業での生産能力増強のための設備投資によって減価償却費が増加したことなどにより、営業利益は計画比31.4%減となりました。
また、金融・為替環境が影響し、経常利益は計画比18.8%減、親会社株主に帰属する当期純利益は計画比6.7%減となりました。
指標2024年3月期
(実績)
2025年3月期
(計画)
2025年3月期
(実績)
対前期比
増減
対計画比
増減
売上高 (百万円)57,87661,00061,601+6.4%+1.0%
営業利益 (百万円)1,7813,2002,196+23.2%△31.4%
営業利益率 (%)3.15.23.6--
経常利益 (百万円)2,8793,3002,678△7.0%△18.8%
経常利益率 (%)5.05.44.3--
親会社株主に帰属する
当期純利益 (百万円)
1,9882,1001,959△1.4%△6.7%

経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等につきましては、「中期経営計画2027」に記載しております。なお、中期経営計画につきましては、2025年3月期から2027年3月期までの3ヵ年を実行年度とする「中期経営計画2027」を策定し、2024年4月3日に公表いたしました。これらの内容につきましては、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。