有価証券報告書-第51期(令和2年3月21日-令和3年3月20日)

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2021/06/18 9:03
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149項目
(1) 経営成績等の状況の概要
① 経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症拡大による社会・経済活動の急速な停滞の影響により期初から極めて厳しい状況となりました。経済活動の再開に伴い夏場以降景気動向には持ち直しの動きが見られたものの、新型コロナウイルス感染症収束の兆しは見えておらず、景気の先行きは依然として不透明な状況が続いております。
当社グループの主な関連業界である建設及び住宅関連業界においては、建築着工床面積は第2四半期まで前年比2桁の減少幅で推移しましたが、第3四半期にかけては減少幅が1桁台に縮小し、遅れ気味であった民間の新規現場が着工に向かうにしたがって、低迷していた仮設機材の稼働率も上昇に転じました。このような状況の中、社会インフラの改修・整備に向けた官民の建設需要の回復によって、期初から好調であった高速道路補修工事向けの「SKパネル」のほか建設用仮設機材の新製品も順調に販売を伸ばしたほか、eコマース市場の拡大による物流施設建設が堅調に推移するなか、子会社において次世代物流保管システム向けのラックの販売が過去最高となりました。また、アルミ製はしご、脚立やフィットネス機器は感染を懸念した「巣ごもり需要」によって年度を通じて好調な販売が継続しました。
以上の結果、売上高は前期比4.1%減の533億41百万円、営業利益は前期比23.5%減の25億54百万円、経常利益は前期比17.0%減の28億74百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比22.8%減の16億64百万円となりました。第2四半期までの社会・経済活動の大幅な停滞による影響は大きかったものの、事業多角化や多様な製品群と販売ルートを活用することによって、第3四半期以降は月を追うごとに回復に向かいました。
各セグメントの状況は次のとおりであります。なお、セグメント区分の売上高はセグメント間の内部売上高を含んでおりません。
セグメントの名称連結売上高セグメント利益
金額(百万円)前期比(%)金額(百万円)前期比(%)
建設機材関連事業17,400△13.21,410△42.7
レンタル関連事業15,265△11.256△89.9
住宅機器関連事業16,92513.51,029190.7
電子機器関連事業3,7518.553-
報告セグメント計53,341△4.12,550△24.4
調整額--323-
連結損益計算書計上額53,341△4.12,874△17.0

(注)1 セグメント利益は、連結損益計算書の経常利益と調整を行っております。
2 セグメント利益の調整額は、主に報告セグメントに帰属しない持分法による投資損益、為替差損益や支払利息などの営業外収益及び営業外費用であります。
建設機材関連事業
当事業の売上高は、前期比13.2%減の174億円となりました。建設用仮設機材の販売は、高速道路補修工事向けの「SKパネル」の販売が好調に推移したほか、新型足場「アルバトロス」の販売も増勢に転じ、加えて新製品も順調に販売を伸ばしましたが、第2四半期までの建設工事停滞の影響を補うことができませんでした。
子会社の双福鋼器㈱においては、次世代物流保管システム向けにラックの販売が好調に推移し、売上高は過去最高を記録しました。
損益面では、売上高の減少や双福鋼器株式会社の株式追加取得に係るのれんの償却によってセグメント利益は前期比42.7%減の14億10百万円となりました。
レンタル関連事業
当事業の売上高は、前期比11.2%減の152億65百万円となりました。低層用レンタル、中高層用レンタルとも、新規着工現場の立ち上がりにしたがって稼働率は第3四半期以降回復に向かいましたが、2度目の緊急事態宣言の発出によって再び鈍化しました。
損益面では、稼働率の状況を踏まえてレンタル資産への投資を控えたことから減価償却費は減少しましたが、売上高減少の影響が大きく、セグメント利益は前期比89.9%減の56百万円となりました。
住宅機器関連事業
当事業の売上高は、前期比13.5%増の169億25百万円となりました。感染を懸念した「巣ごもり需要」が継続
し、アルミ製はしごや脚立などのDIY製品、電動ウォーカーやバイクなどのフィットネス機器の販売が好調に推移しました。
損益面では、売上高の増加によって、セグメント利益は前期比190.7%増の10億29百万円となりました。
電子機器関連事業
当事業の売上高は、前期比8.5%増の37億51百万円となりました。前期から繰り越された防災行政無線の納入が着実に売上高を牽引するとともに、ICT向けに取り組みを進めている無線モジュールや特定小電力無線機の新製品販売も拡販が進みました。
損益面では、売上高の増加によって、セグメント利益は53百万円となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当期末における現金及び現金同等物の残高は前期末に比べ4億22百万円増加し54億14百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、前期と比較して、税金等調整前当期純利益が減少したものの、計画的な生産活動によりたな卸資産の増加幅が適正に調整されたことや、未払消費税等が増加したことなどにより、52億93百万円の収入(前期比4億2百万円の収入増)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、レンタル資産への投資を控えたものの、福知山物流センター着工などによる有形固定資産の取得が増加したことや、連結子会社である双福鋼器株式会社の株式の追加取得を行ったことなどから、46億81百万円の支出(前期比15億57百万円の支出増)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、手元資金確保や設備投資に備えた長期借入金が増加したものの、自己株式の取得を実施したことなどにより、1億57百万円の支出(前期比10億76百万円の支出減)となりました。
③ 生産、受注及び販売の状況
a.生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称生産高(千円)前期比(%)
建設機材関連事業17,507,638△16.6
電子機器関連事業3,433,101△2.9
住宅機器関連事業2,415,271△7.9
合計23,356,011△14.0

(注)1 金額は販売価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
b.商品仕入実績
当連結会計年度における商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称仕入高(千円)前期比(%)
住宅機器関連事業9,490,39917.7
建設機材関連事業2,028,193△28.3
合計11,518,5935.7

(注)1 金額は仕入価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
c.受注実績
当社グループの主な製品は、そのほとんどが需要予測による見込生産を行っているため、受注実績は記載しておりません。
d.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称販売高(千円)前期比(%)
建設機材関連事業17,400,080△13.2
住宅機器関連事業16,925,10613.5
レンタル関連事業15,265,180△11.2
電子機器関連事業3,751,3418.5
合計53,341,709△4.1

(注)1 セグメント間の取引については相殺消去しております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたっては、重要な会計方針等に基づき、資産・負債の評価及び収益・費用の認識に影響を与える見積り及び判断を行っております。これらの見積り及び判断に関しましては、継続して評価を行っておりますが、見積り特有の不確実性のため、実際の結果は見積りと異なる可能性があります。
当社グループが採用しております重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結
財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しておりますが、財政状態及
び経営成績に特に重要な影響を与える会計方針と見積りは以下のとおりと考えております。
a.固定資産の減損
当社グループは、固定資産の減損に係る回収可能性の評価にあたり、継続的に損益の把握を実施している単位を基礎として資産のグルーピングを行い、収益性が著しく低下した資産グループについて、固定資産の帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。
固定資産の回収可能価額につきましては、将来キャッシュ・フロー、割引率、正味売却価額等の前提条件に基づき算出しているため、当初想定していた収益や将来キャッシュ・フロー等の前提条件に変更があった場合等においては、固定資産の減損により当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
なお、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、当社グループにおきましても、主に建設機材関連事業やレンタル関連事業における建設工事停滞の影響に加え、度重なる緊急事態宣言の発出に伴う事業活動への影響などが懸念をされております。
そのため、当社グループにおきましては、新型コロナウイルス感染症拡大による影響が一定期間にわたり継続するものと仮定し、固定資産の減損損失の判定に用いる将来キャッシュ・フローの見積りを行い会計処理に反映しております。
b.繰延税金資産
当社グループは、繰延税金資産の計上にあたり、将来の課税所得等の見積りにより回収可能性を検討し、将来の税金負担額を軽減する効果を有すると考えられる範囲で繰延税金資産を計上し、必要に応じて評価性引当額を計上しております。
将来の課税所得等の見積りが変動した場合においては、繰延税金資産の取り崩しまたは追加計上により当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
c.貸倒引当金
当社グループは、売掛債権等の貸倒損失に備えて回収不能となる見積り額を貸倒引当金として計上しております。将来、顧客等の財政状態及び経営成績が悪化し、支払能力が低下した場合には、引当金の追加計上又は引当金を上回る貸倒損失が発生する可能性があります。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.財政状態の分析
(資産)
当連結会計年度末の総資産は554億43百万円となり、前期末に比べ10億92百万円増加しました。総資産の内訳は、流動資産が331億85百万円(前期末比1億71百万円減)、固定資産が222億58百万円(前期末比12億63百万円増)であります。総資産の主な増加要因は、年金資産の時価が持ち直したことによる退職給付に係る資産の増加(前期末比7億70百万円増)によるものであります。
(負債)
負債は、277億64百万円となり、前期末に比べ8億37百万円増加しました。その内訳は、流動負債が161億59百万円(前期末比5億98百万円減)、固定負債が116億5百万円(前期末比14億36百万円増)です。負債の主な増加要因は、借入金の増加(前期末比10億86百万円増)であり、新型コロナウイルス感染症が拡大する状況において、手元資金確保や双福鋼器株式会社の株式追加取得、設備投資などの資金需要に対応するため、長期借入金の調達を実施したことによるものです。
(純資産)
純資産は、276億79百万円となり、前期末に比べ2億54百万円増加しました。親会社株主に帰属する当期純利益が16億64百万円となったことや、剰余金の配当を7億43百万円実施したこと、双福鋼器株式会社を完全子会社としたことなどによって非支配株主持分が8億90百万円減少したことなどが主な要因です。
b.経営成績の分析
経営成績及びセグメントごとの状況につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
③ 経営成績に重要な影響を与える要因について
「2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
なお、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、当社グループにおきましても、主に建設機材関連事業やレンタル関連事業における建設工事停滞の影響に加え、度重なる緊急事態宣言の発出に伴う事業活動への影響などが懸念をされております。
今後、当社グループは、引き続き新型コロナウイルス感染症に関する情報収集及び対応を実施し、その影響の最小化に努めるとともに、感染終息後の需要回復に向けた準備を進めてまいります。
④ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
a.キャッシュ・フローの状況
キャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
b.資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社グループは、製造販売及びレンタル事業を行うための投融資計画に基づく、各事業に必要な資金の調達として、内部資金及び外部借入による資金調達を基本方針としております。なお外部借入のうち、主に運転資金に関するものは短期資金で、投融資に関するものは長期資金での調達を基本としております。
また、新型コロナウイルス感染症が拡大する状況において、金融環境の変化に備え手元資金を確保するため、長期借入金の調達を実施いたしました。
内部資金に関しては、営業活動によるキャッシュ・フローにより継続的に資金を獲得しております。
⑤ 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当連結会計年度の連結業績に関する目標の達成状況は次のとおりであります。
新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、建設機材関連事業及びレンタル関連事業においては、建築着工床面積が第2四半期まで2桁の減少幅が継続するなど期初から厳しい事業環境となりました。第3四半期以降は建築着工にも回復の兆しが見られたことに加え、次世代物流保管システム向けのラックの販売において大型案件を受注したことや、住宅機器関連事業において「巣ごもり需要」によるフィットネス機器などの販売が好調に推移しました。これらの事業の多角化によるリスク分散効果が寄与し、売上高は計画比2.5%の増加となりました。
利益面におきましては、売上高が計画比で増加したことに加えて、新型コロナウイルス感染症拡大による営業活動の制約から、販売費が想定を下回ったことなどにより、営業利益は計画比24.6%増、経常利益は計画比22.8%増、親会社株主に帰属する当期純利益は計画比20.6%増となりました。
指標2020年3月期
(実績)
2021年3月期
(計画)
2021年3月期
(実績)
対前期比
増減
対計画比
増減
売上高 (百万円)55,61352,05053,341△4.1%+2.5%
営業利益 (百万円)3,3382,0502,554△23.5%+24.6%
営業利益率 (%)6.03.94.8--
経常利益 (百万円)3,4612,3402,874△17.0%+22.8%
経常利益率 (%)6.24.55.4--
親会社株主に帰属する
当期純利益 (百万円)
2,1551,3801,664△22.8%+20.6%

なお、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等につきましては、上記のほか、2021年4月30日に公表いたしました「中期経営計画2024」に記載しております。内容については、「1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。