有価証券報告書-第50期(平成31年3月21日-令和2年3月20日)

【提出】
2020/06/19 12:12
【資料】
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【項目】
158項目
(1)経営成績等の状況の概要
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、雇用や所得環境の改善を背景に緩やかな景気回復が持続しておりましたが、2019年10月に実施された消費税増税後は、個人消費が停滞し足踏み状態となりました。加えて、年明けからの新型コロナウイルス感染症の世界的な感染拡大等により、極めて不確実性の高い状況が続いております。
当社グループの主な関連業界である建設及び住宅関連業界におきましては、東京オリンピック・パラリンピック関連の建設工事や、老朽化した社会インフラの改修・整備や首都圏並びに主要都市における再開発案件をはじめとした建設需要などにより、事業環境は堅調に推移しました。新型コロナウイルス感染症の拡大によって住宅機器及び電子機器関連事業の一部でサプライチェーンに混乱が生じましたが、当期の経営成績に対する影響は限定的でした。
この結果、売上高は前期比3.3%増の556億13百万円と10期連続の増収となり、過去最高となりました。利益面では、営業利益が売上高の増加によって前期比14.3%増の33億38百万円と過去最高となりました。経常利益は金融市場の混乱によって外貨建資産の評価において為替差損が発生しましたが、前期比4.7%増の34億61百万円となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、海外の子会社について固定資産の減損損失を計上しましたが、投資有価証券売却益を計上したことによって、前期比14.0%増の21億55百万円となりました。
各セグメントの状況は次のとおりであります。なお、セグメント区分の売上高はセグメント間の内部売上高を 含んでおりません。
セグメントの名称売上高セグメント利益
金額(百万円)前期比(%)金額(百万円)前期比(%)
建設機材関連事業20,0513.72,4631.6
レンタル関連事業17,1920.155578.8
住宅機器関連事業14,9105.7354△31.2
電子機器関連事業3,4586.50
報告セグメント計55,6133.33,3736.7
調整額87
連結損益計算書計上額55,6133.33,4614.7

(注) 1 セグメント利益は、連結損益計算書の経常利益と調整を行っております。
2 セグメント利益の調整額は、主に報告セグメントに帰属しない持分法による投資損益、為替差損益や支払利息などの営業外収益及び営業外費用であります。
建設機材関連事業
当事業の売上高は、前期比3.7%増の200億51百万円となりました。建設用仮設機材の販売が新型足場「アルバトロス」や高速道路補修工事向けの「SKパネル」を中心に広範なジャンルにわたって高水準で継続しました。
また、子会社の双福鋼器㈱においても物流倉庫向けラックの販売が好調に推移しました。
損益面では、売上高の増加によって、セグメント利益は前期比1.6%増の24億63百万円となりました。
レンタル関連事業
当事業の売上高は、前期比0.1%増の171億92百万円となりました。低層向けレンタルにおいてここ数年注力してきた非住宅分野での売上高が拡大しました。
損益面では、新型足場「アルバトロス」を中心としてレンタル資産の稼働率が期初から好調に推移したことなどから、セグメント利益は前期比78.8%増の5億55百万円となりました。
住宅機器関連事業
当事業の売上高は、前期比5.7%増の149億10百万円となりました。子会社化した昭和ブリッジ販売㈱の売上高が業績に寄与したほか、機械工具ルート向けにアルミ製脚立の新製品「GAUDI」の販売が好調に推移しました。また、フィットネス機器については、マッサージ関連の新商品が量販店や家電販売店を中心に好調であったほか、電動ランナーやバイクが通販やネット販売で好調に推移しました。
損益面では、為替差益が減少したため、セグメント利益は前期比31.2%減の3億54百万円となりました。
電子機器関連事業
当事業の売上高は、前期比6.5%増の34億58百万円となりました。建設や土木現場で使用される測量器や建設機械に搭載される無線モジュールの拡販が進むとともに、前期から繰り越された防災行政無線の納入が始まりました。
損益面では、売上高の増加によって、セグメント利益は前期比89百万円改善して0百万円となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当期末における現金及び現金同等物の残高は前期末に比べ6億47百万円増加し49億91百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、前年同期と比較して税金等調整前当期純利益は増加しましたが、たな卸資産が増加したことなどから、48億91百万円の収入(前期比1億50百万円の収入減)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、前期に発生したM&Aにともなう子会社株式の取得による支出が無くなり、主にレンタル資産の取得が中心となったことから、31億23百万円の支出(前期比35億38百万円の支出減)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入金の返済などにより、12億33百万円の支出(前期は10億17百万円の収入)となりました。
③生産、受注及び販売の状況
a.生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称生産高(千円)前期比(%)
建設機材関連事業20,987,51810.5
電子機器関連事業3,534,46113.1
住宅機器関連事業2,622,86536.5
合計27,144,84412.9

(注) 1 金額は販売価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。


b.商品仕入実績
当連結会計年度における商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称仕入高(千円)前期比(%)
住宅機器関連事業8,066,176△5.0
建設機材関連事業2,827,3653.5
合計10,893,542△2.9

(注) 1 金額は仕入価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
c.受注実績
当社グループの主な製品は、そのほとんどが需要予測による見込生産を行っているため、受注実績は記載し ておりません。
d.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称販売高(千円)前期比(%)
建設機材関連事業20,051,0863.7
レンタル関連事業17,192,9010.1
住宅機器関連事業14,910,5935.7
電子機器関連事業3,458,5636.5
合計55,613,1443.3

(注) 1 セグメント間の取引については相殺消去しております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたっては、重要な会計方針等に基づき、資産・負債の評価及び収益・費用の認識に影響を与える見積り及び判断を行っております。これらの見積り及び判断に関しましては、継続して評価を行っておりますが、見積り特有の不確実性のため、実際の結果は見積りと異なる可能性があります。
なお、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、当社グループにおきましても、主に建設機材関連事業における建設工事の遅れや減少、得意先である仮設機材レンタル会社の購買意欲低下などが懸念されております。
そのため、当社グループにおいては、新型コロナウイルス感染症拡大による影響は、2021年3月期の一定期間にわたり継続すると仮定し、固定資産の減損損失の判定に用いる将来キャッシュ・フローの見積りを行い会計処理に反映しております。
②当事業年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.財政状態の分析
(資産)
当連結会計年度末の総資産は543億51百万円となり、前期末に比べ4億11百万円増加しました。総資産の内訳は、流動資産が333億56百万円(前期末比22億18百万円増)、固定資産が209億94百万円(前期末比18億7百万円減)であります。総資産の主な増加要因は、売上高が好調に推移するなか将来の販売に備えて計画的な生産を実施したことからたな卸資産が増加した一方、新型コロナウイルス感染症拡大の影響による金融市場の混乱から投資有価証券や退職給付に係る資産の時価が下落したことによります。
(負債)
負債は、269億27百万円となり、前期末に比べ6億53百万円減少しました。その内訳は、流動負債が167億57百万円(前期末比6億34百万円増)、固定負債が101億69百万円(前期末比12億88百万円減)であります。負債の主な減少要因は、借入金の減少であります。
(純資産)
純資産は、親会社株主に帰属する当期純利益が21億55百万円となったことや、剰余金の配当を7億53百万円実施したこと、及び投資有価証券や退職給付に係る資産の時価が下落した影響からその他の包括利益累計額が5億35百万円減少したことなどによって、274億24百万円(前期末比10億64百万円増)となりました。
b.経営成績の分析
経営成績及びセグメントごとの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
③経営成績に重要な影響を与える要因について
「2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
なお、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、足元の建設機材及びレンタル関連事業を取り巻く事業環境は、東京オリンピック・パラリンピックの開催延期や大手ゼネコンの建設工事中断に向けた協議が開始されるなど時々刻々と変化しており、得意先である仮設機材レンタル会社の機材稼働率低下にともなう影響を想定することは困難な状況です。また、住宅機器及び電子機器関連事業においては、中国のサプライチェーンの混乱は解消しておりますが、主要な販売ルートにおける事業活動自粛の影響を想定することが困難な状況になっております。
今後、当社グループは、引き続き新型コロナウイルス感染症に関する情報収集及び対応を実施し、その影響の最小化に努めるとともに、感染終息後の需要回復に向けた準備を進めてまいります。
④資本の財源及び資金の流動性の分析
a.キャッシュ・フロー
キャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」 に記載のとおりであります。
b.資金の需要
当社の運転資金需要の主なものは、レンタル資産等の固定資産の購入、生産に係る材料費・外注費・経費、商品の購入のほか、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。営業費用の主なものは従業員の人件費であります。
c.資金調達
運転資金及び設備資金については、内部資金又は借入により資金調達することとしています。
⑤経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当連結会計年度の連結業績に関する目標の達成状況は次のとおりであります。
売上高は、東京オリンピック・パラリンピック関連の建設工事や、主に首都圏における再開発工事などの建設需要が堅調に推移したことにより、前期に比べて増加し、過去最高となりましたが、計画比では△3.1%と減少しました。また、営業利益につきましても、売上高の増加に伴い過去最高となりましたが、計画比では△7.0%、経常利益は計画比△8.2%、親会社株主に帰属する当期純利益についても、計画比は△4.2%となりました。
なお、下表の計画は、2020年3月期第2四半期までの好調な業績推移をふまえ、当初の計画を上方修正した値であります。
指標2019年3月期
(実績)
2020年3月期
(計画)
2020年3月期
(実績)
対前期比
増減
対計画比
増減
売上高 (百万円)53,86257,38055,613+3.3%△3.1%
営業利益 (百万円)2,9203,5903,338+14.3%△7.0%
営業利益率 (%)5.46.36.0
経常利益 (百万円)3,3063,7703,461+4.7%△8.2%
経常利益率 (%)6.16.66.2
親会社株主に帰属する
当期純利益 (百万円)
1,8912,2502,155+14.0%△4.2%
EBITDA (百万円)6,9157,6137,145+3.3%△6.1%

また、当社グループでは、建設用仮設機材等のレンタル資産の積極的な投資や、M&A等を活用した事業展開などを推進していくため、EBITDA(経常利益+減価償却費+のれん償却額)を重要な経営指標として位置付け、経営会議等において定期的にモニタリングを行い、今後の投資活動の判断に用いるなど経営管理に役立てております。
当連結会計年度のEBITDAは71億45百万円(前期比3.3%増 計画比6.1%減)となりました。