有価証券報告書-第59期(平成31年1月1日-令和1年12月31日)

【提出】
2020/03/27 15:31
【資料】
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【項目】
144項目
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社および連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
(経営成績)
当連結会計年度の事業環境は、中国景気の後退や米中貿易摩擦による不透明感の台頭から厳しい状況で推移しました。そのような中、当社に関連深い電子機器工業界においては、半導体パッケージなどの高度な電子部品需要に動きがあったものの、ここ数年需要を牽引してきた自動車向けの需要が減退したほか、スマートフォンも世代交代の端境期の中で端末生産とインフラ整備の谷をむかえたことなどがあり力強さに欠ける動きとなりました。当社グループはこのような状況のもと、生産効率の改善と高付加価値製品の産出量向上などに注力し、売上高と利益の改善に努めました。
このようなことから、当連結会計年度の売上高は22,877百万円(前年同期比6.7%減)となり、営業利益は3,074百万円(同26.4%減)、経常利益は2,963百万円(同31.5%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は2,383百万円(同26.2%減)となっております。
次に、セグメント別の状況ですが、「日本」では製造業界全般に様子見気運が高まり非常に厳しい状況になりました。この地区での売上高(セグメント間取引消去額を含む。以下同じ。)は15,487百万円(前年同期比12.6%減)となり、セグメント利益(営業利益)は1,655百万円(前年同期比48.6%減)となっております。
日本を除く「アジア」では、売上高が伸悩む状況に変わりはありませんでしたが、工場設備の改良や人材育成の強化などを図り、収益力の向上に努めました。この地区での売上高は11,230百万円(同0.6%減)となり、セグメント利益は976百万円(同29.9%増)となっております。
北米地区の売上高は1,278百万円(同5.6%減)、セグメント利益は14百万円(同60.8%減)となっております。
欧州地区の売上高は1,453百万円(同3.2%減)、セグメント利益は105百万円(同33.4%減)となっております。
(財政状態)
a. 資産の部
当連結会計年度末の資産合計は、57,418百万円(前連結会計年度末比939百万円増)となりました。
流動資産合計は28,399百万円(同870百万円増)となりました。主な変動要因は、現金及び預金(同1,754百万円増)、受取手形及び売掛金(同501百万円減)および棚卸資産(同473百万円減)であります。
固定資産合計は29,019百万円(同68百万円増)となっております。このうち、有形固定資産合計は22,739百万円(同45百万円増)となり、投資有価証券(同374百万円増)の増加を含む投資その他の資産合計は6,190百万円(同18百万円増)となっております。
b. 負債の部
当連結会計年度末の負債合計は3,862百万円(前連結会計年度末比630百万円減)となりました。
流動負債合計は2,865百万円(同870百万円減)となりました。主な変動要因は未払法人税等(同475百万円減)であります。 固定負債合計は996百万円(同240百万円増)となりました。
c. 純資産の部
当連結会計年度末の純資産合計は53,556百万円(前連結会計年度末比1,569百万円増)となりました。株主資本合計が51,922百万円(同1,342百万円増)、その他の包括利益累計額合計が1,634百万円(同227百万円増)となっております。主な変動項目は利益剰余金(同1,343百万円増)であります。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ1,922百万円増加し、当連結会計年度末現在10,965百万円となっております。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、事業活動の安定と利益向上を主因として、5,041百万円の収入(前年同期比488百万円の収入の増加)となっております。主なキャッシュ・イン項目は、税金等調整前当期純利益3,103百万円および減価償却費2,695百万円であり、主なキャッシュ・アウト項目は、法人税等の支払額1,094百万円であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、1,908百万円の支出(同1,543百万円の支出の減少)となりました。主なキャッシュ・イン項目は、有価証券の売却及び償還による収入1,397百万円であり、主なキャッシュ・アウト項目は、有形固定資産の取得による支出2,623百万円であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、1,110百万円の支出(同73百万円の支出の増加)となりました。配当金の支払1,036百万円が主な変動要因となっております。
③ 生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績
セグメントの名称生産高(千円)前期比(%)
日本14,827,798△16.0
アジア7,069,996△9.2
北米--
欧州--
合計21,897,795△13.9

(注) 金額は販売価格で換算しており、消費税等は含んでおりません。
b. 受注実績
当社グループは一部の受注に見込み分を上乗せした見込み生産が主体であります。従いまして、当該事項の記載は省略しております。
c. 販売実績
セグメントの名称販売高(千円)前期比(%)
日本9,284,088△13.0
アジア10,865,072△1.2
北米1,278,490△5.6
欧州1,450,318△3.2
合計22,877,969△6.7

(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 上記金額には、消費税等は含んでおりません。
④ 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。連結財務諸表の作成にあたっては、経営者により、一定の会計基準の範囲内で見積が行われている部分があり、資産・負債や収益・費用に数値は反映されております。これらの見積もりについては、継続的に評価し、必要に応じて見直しを行っていますが、見積もりには不確実性が伴うため、実際の結果はこれらと異なることがあります。
⑤ 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a. 財政状態の分析
当連結会計年度末の財政状態につきましては、「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況 (財政状態)」に記載のとおりであります。
b. 経営成績の分析
(売上高)
当社グループを取巻く営業環境は、活況が見られた需要を確保していくことに注力してまいりました。このような状況のもと、顧客重視の考え方を更に徹底させ、製品開発から生産現場に至るまでキメ細かな見直しを行ない、評価の高い当社の得意としている高機能製品の市場の浸透および評価の安定化を積極的に進めております。これらの製品は、今後の成長にも資するものとして定着を図ってきた製品でもあります。このようなことから、当連結会計年度の連結売上高は22,877百万円となっております。
(売上原価ならびに販売費及び一般管理費、営業利益)
活況な営業環境にあっては、需要に対する安定供給体制の確保を優先して進めております。原価低減やコスト削減もあわせて進めておりますが、将来を見据えた投資等も同時に行っているため固定的費用の削減幅が小さいものもあります。このような状況から、当連結会計年度の売上原価は15,327百万円となり、販売費及び一般管理費は4,476百万円となっております。このようなことから、当連結会計年度の営業利益は3,074百万円となりました。
(営業外損益および経常利益)
営業外収益から営業外費用を差し引いた営業外損益純額は、110百万円の損失となりました。この結果、経常利益は2,963百万円となっております。
(法人税等および親会社株主に帰属する当期純利益)
法人税等合計としては、719百万円を計上しております。
親会社株主に帰属する当期純利益は2,383百万円となりました。この結果、1株当たり当期純利益は137円97銭となっております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、その達成を保証するものではありません。
① 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度は、売上高が前期比6.7%減の22,877百万円、営業利益が同26.4%減の3,074百万円という実
績になっております。中国景気の後退や米中貿易摩擦による不透明感の台頭から厳しい状況が続き、前期比減
収減益を余儀なくされました。年後半においては、付加価値の高い日本での需要に低迷が見られ、一層混迷を
深めるところとなりました。
当社グループは、3ヶ月に1度、通期の業績目標値について進捗評価を行い、その妥当性を検討しておりま
す。当連結会計年度においては、売上高22,500百万円(前期比8.2%減)、営業利益2,950百万円(同29.4%減)等
の業績目標値を公表しており、前期比減収減益を免れるものではありませんでしたが、目標値をいずれも若干
上回る実績となりました。また、当社グループは経営管理項目として売上高営業利益率をあげており、当連結
会計年度においては目標値13.1%に対し実績13.4%を計上することができました。とりわけ地域別セグメント
の「アジア」において、最新鋭の省力化設備を導入するなど効率改善への注力が功を奏し、前期比29.9%増と
なる営業利益を確保しつつ、売上高営業利益率の6.7%から8.7%への改善を果たせたことに自信を深めており
ます。
半導体パッケージなどの高度な電子部品向け需要や中国の高付加価値品需要の高まりなどが感じられるよう
になってきましたので、引続き当社グループの得意とする品質・技術での差別化戦略を推進するとともに、生産効率の改善と産出量の拡大を図ってまいりたいと思っております。
② 資本の財源及び資金の流動性
当社グループの運転資金需要の主なものは超硬合金などの原材料の購入費用のほか、製造費、販売費及び一
般管理費等の営業費用であります。投資のための資金需要の多くは、内製している生産設備向けとなっており
ます。当社グループは、非常に激しい需要変動にさらされており、資金に対しては十分な流動性と自由で迅速
な意思決定を可能にする柔軟性の確保を重視しており、主に自己資金による財源確保を進めております。この
ようなことから期間業績が低迷する中にあっても経費節減やスリム化の努力を重ね、当連結会計年度末現在の
現金及び現金同等物の残高は前期末比1,922百万円増となる10,965百万円となっております。