有価証券報告書-第60期(令和2年1月1日-令和2年12月31日)

【提出】
2021/03/30 14:43
【資料】
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【項目】
143項目
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社および連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
(経営成績)
当連結会計年度における事業環境は、年初から発生した新型コロナウイルスの感染拡大への対応や米中関係の緊張感の高まりによる様子見などから、先行き不透明な状況が続いていました。
当社グループに関連深い電子機器業界では、今後有望な新技術への期待感が高く、不透明な環境にあっても常に新たな取組みを続けており、めまぐるしい変化が見られました。地域別・製品別の強弱感が分かれる中、年度末においては少しずつ回復の手応えが感じられるようになり、2020年度を終了しております。
このような状況下、当社グループは、動きのよい製品向けの需要動向にきめ細かく対応し業績の向上に努めました。なお、一部の投資有価証券を売却したことから投資有価証券売却益が特別利益に計上され、親会社株主に帰属する当期純利益が前期比増加しております。
この結果、当連結会計年度の売上高は22,817百万円(前年同期比0.3%減)となり、営業利益は2,864百万円(同6.8%減)、経常利益は2,836百万円(同4.3%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は2,539百万円(同6.5%増)となっております。
次にセグメント別の状況ですが、「日本」では、前半厳しい状況が続きましたが、半導体関連製品の夏場からの回復と年度後半の自動車生産の回復により前期とほぼ同水準の業績となりました。不測の事態が相次ぐ中、当社グループの強みである柔軟性を活かして成果をあげることができたと思っております。この地区での売上高(セグメント間取引消去額を含む。以下同じ。)は16,033百万円(前年同期比3.5%増)となり、セグメント利益(営業利益)は1,652百万円(前年同期比0.2%減)となっております。
日本を除く「アジア」では、年初に新型コロナウィルス感染拡大による生産停止などがあり、極めて厳しい状況で始まりましたが、その後の次世代高速通信関連や半導体製品関連の中国向けの工具需要の高まりにより前期比増収増益と利益率の改善を達成しております。この地区での売上高は11,490百万円(同2.3%増)となり、セグメント利益は1,010百万円(同3.4%増)となっております。
その他、欧米地区では政治的な混乱や新型コロナウィルスの感染拡大による社会情勢不安から伸び悩んで推移しました。北米地区での売上高は1,133百万円(同11.3%減)、セグメント利益は41百万円(同193.7%増)となり、欧州地区の売上高は1,426百万円(同1.9%減)、セグメント利益は101百万円(同3.8%減)となっております。
(財政状態)
a. 資産の部
当連結会計年度末の資産合計は、58,032百万円(前連結会計年度末比613百万円増)となりました。
流動資産合計は32,138百万円(同3,738百万円増)となりました。主な変動要因は、現金及び預金(同4,631百万円増)、有価証券(同938百万円減)であります。
固定資産合計は25,894百万円(同3,125百万円減)となっております。このうち、有形固定資産合計は21,521百万円(同1,217百万円減)となり、投資有価証券の減少(同2,221百万円減)を含む投資その他の資産合計は4,306百万円(同1,884百万円減)となっております。
b. 負債の部
当連結会計年度末の負債合計は4,065百万円(前連結会計年度末比203百万円増)となりました。
流動負債合計は3,213百万円(同348百万円増)となり、固定負債合計は852百万円(同144百万円減)となっております。
c. 純資産の部
当連結会計年度末の純資産合計は53,966百万円(前連結会計年度末比410百万円増)となりました。株主資本合計が53,425百万円(同1,502百万円増)、その他の包括利益累計額合計が541百万円(同1,092百万円減)となっております。主な変動項目は利益剰余金(同1,503百万円増)とその他有価証券評価差額金(同1,105百万円減)であります。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ4,585百万円増加し、当連結会計年度末現在15,550百万円となっております。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、事業活動の安定と利益向上を主因として、5,071百万円の収入(前年同期比29百万円の収入の増加)となっております。主なキャッシュ・イン項目は、税金等調整前当期純利益3,467百万円および減価償却費2,747百万円であり、主なキャッシュ・アウト項目は、投資有価証券売却益の増加762百万円、売上債権の増加270百万円、仕入債務の減少203百万円および法人税等の支払額345百万円であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、684百万円の収入(同2,592百万円の収入の増加)となりました。主なキャッシュ・イン項目は、有価証券の売却及び償還による収入1,097百万円と投資有価証券の売却及び償還による収入1,235百万円であり、主なキャッシュ・アウト項目は、有形固定資産の取得による支出1,576百万円であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、1,112百万円の支出(同1百万円の支出の増加)となりました。配当金の支払額1,036百万円が主な変動要因となっております。
③ 生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績
セグメントの名称生産高(千円)前期比(%)
日本15,046,910+3.2
アジア7,051,940△0.1
北米--
欧州--
合計22,098,851+2.1

(注) 金額は販売価格で換算しており、消費税等は含んでおりません。
b. 受注実績
当社グループは一部の受注に見込み分を上乗せした見込み生産が主体であります。従いまして、当該事項の記載は省略しております。
c. 販売実績
セグメントの名称販売高(千円)前期比(%)
日本9,166,742△1.3
アジア11,092,269+2.1
北米1,132,917△11.4
欧州1,425,571△1.7
合計22,817,501△0.3

(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 上記金額には、消費税等は含んでおりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、その達成を保証するものではありません。
① 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度は、売上高が前期比0.3%減となる22,817百万円となり、営業利益が前期比6.8%減の2,864百万円という実績になっております。新型コロナウイルスの感染拡大や米中貿易摩擦の再燃が1年を通じて景気に重苦しい影響を及ぼしている中で、新たな生活様式への対応需要や製造拠点・サプライチェーンの見直しに伴う需要が高まり、製品別・地域別にまだら模様の事業環境になっていました。このような状況下、当社グループは、半導体、PC関連などの動きのよい製品向け需要を確実にとらえ、全般の需要が低迷する中、前期比横ばいの売上高を確保しています。一方、収益面では、高付加価値製品の主需要地である日本市場での低迷をカバーしきれず、若干の減益になってしまいました。
当社グループは、3ヶ月に1度、通期の業績目標値について進捗評価を行い、その妥当性を検討しております。当連結会計年度においては、極めて厳しい外部環境の中、前期比減収減益を余儀なくされましたが、第4四半期に入ってからの急激かつ局地的な需要回復をうまくとらえて、公表していた業績予想値(売上高21,400百万円(前期比6.5%減)、営業利益2,400百万円(同21.9%減)など)を上回る実績をあげることができています。
また、当社グループは経営管理項目として売上高営業利益率をあげており、当連結会計年度においては目標値11.2%に対し実績12.6%を計上することができました。とりわけ、地域別セグメントの「アジア」において、大変厳しい事業環境の中、最新鋭の省力化設備の導入や現地でのマーケティング強化などが功を奏し、前期比3.4%増となる営業利益を達成しつつ、売上高営業利益率を若干ですが向上させられたことに自信を深めております。
半導体パッケージなどの高度な電子部品向け需要や中国の高付加価値品需要の高まりなどが感じられるようになってきましたので、引続き当社グループの得意とする品質・技術での差別化戦略を推進するとともに、生産効率の改善と産出量の拡大を図ってまいりたいと思っております。
なお、新型コロナウイルス感染症の影響については、第2事業の状況の2事業等のリスクに項目⑧をたてて記載しておりますのでそちらをご覧ください。
② 資本の財源及び資金の流動性
当社グループの運転資金需要の主なものは超硬合金などの原材料の購入費用であり、その他は製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資のための資金需要の多くは、内製している生産設備向けとなっております。当社グループは、非常に激しい需要変動にさらされており、資金に対しては十分な流動性と自由で迅速な意思決定を可能にする柔軟性の確保を重視しており、主に自己資金による財源確保を進めております。このようなことから期間業績が低迷する中にあっても経費節減やスリム化の努力を重ね、当連結会計年度末現在の現金及び現金同等物の残高は前期末比4,585百万円増となる15,550百万円となっております。
③ 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。連結財務諸表の作成にあたっては、経営者により、一定の会計基準の範囲内で見積が行われている部分があり、資産・負債や収益・費用に数値は反映されております。これらの見積もりについては、継続的に評価し、必要に応じて見直しを行っていますが、見積もりには不確実性が伴うため、実際の結果はこれらと異なることがあります。
イ 固定資産の減損
固定資産の減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュフローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。過年度の損益実績や事業計画に基づき検討しておりますが、市場環境の変化等により、事業計画の前提条件に変更が生じた場合には、減損損失の計上が必要となる可能性があります。
ロ 繰延税金資産の回収可能性
今年度の課税所得の実績や事業計画に基づく課税所得の見積りに基づき、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提条件に変更が生じた場合には、繰延税金資産を取り崩し税金費用の計上が必要となる可能性があります。
なお、新型コロナウイルス感染症に関する会計上の見積りに係る仮定は、第5経理の状況の1連結財務諸表等の(1)連結財務諸表 注記事項の(追加情報)に記載しております。