有価証券報告書-第63期(2023/01/01-2023/12/31)

【提出】
2024/03/28 15:55
【資料】
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【項目】
145項目
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社および連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
(経営成績)
当連結会計年度における事業環境は、経済活動の緩やかな正常化が見られましたが、拭えない世界情勢不安、西側諸国と中露の対立が緊張を増す中で、インフレの長期化や景気減速のあおりを受け先行き不透明な状況が続きました。
当社グループに関連深い電子機器業界においては、生成AI関連を中心としたデータセンター向けサーバーなど新たな成長領域で動きがあったものの、半導体市場の長引く低迷によりロジック系、メモリー系等の主力分野では回復基調を感じられないまま2023年度を終了しております。このような状況のもと、当社グループは、需要回復期に向けた効率改善と生産能力増強を進めてまいりました。
このようなことから、当連結会計年度の売上高は25,338百万円(前年同期比12.9%減)となり、営業利益は3,778百万円(同39.0%減)、経常利益は4,073百万円(同39.5%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は3,077百万円(同38.4%減)となっております。
次にセグメント別の状況ですが、「日本」では、長引く半導体市場の低迷により厳しい状況が続きました。売上高(セグメント間取引消去額を含む。以下同じ。)は17,648百万円(前年同期比18.1%減)となり、セグメント利益(営業利益)は2,783百万円(前年同期比47.4%減)となっております。
日本を除く「アジア」では、売上高は12,194百万円(同9.8%減)となり、セグメント利益は279百万円(同73.7%減)となっております。
その他、北米地区での売上高は1,707百万円(同2.7%増)、セグメント利益は153百万円(同44.2%増)、欧州地区の売上高は2,124百万円(同10.8%減)、セグメント利益は31百万円(同83.5%減)となっております。
(財政状態)
a. 資産の部
当連結会計年度末の資産合計は、70,605百万円(前連結会計年度末比1,469百万円増)となりました。
流動資産合計は39,539百万円(同1,175百万円減)となりました。主な変動要因は、現金及び預金(同1,595百万円減)、有価証券(同695百万円増)、棚卸資産(同248百万円減)であります。
固定資産合計は31,065百万円(同2,644百万円増)となっております。このうち、有形固定資産合計は24,462百万円(同1,979百万円増)となり、投資有価証券(同870百万円増)を含む投資その他の資産合計は6,518百万円(同640百万円増)となっております。
b. 負債の部
当連結会計年度末の負債合計は3,325百万円(前連結会計年度末比2,184百万円減)となりました。
流動負債合計は2,701百万円(同2,221百万円減)となり、固定負債合計は624百万円(同37百万円増)となっております。
c. 純資産の部
当連結会計年度末の純資産合計は67,279百万円(前連結会計年度末比3,653百万円増)となりました。株主資本合計が61,055百万円(同1,626百万円増)、その他の包括利益累計額合計が6,223百万円(同2,027百万円増)となっております。主な変動項目は利益剰余金(同1,626百万円増)と為替換算調整勘定(同1,170百万円増)であります。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ1,668百万円減少し、当連結会計年度末現在19,259百万円となっております。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、事業活動の安定と利益向上を主因として、4,688百万円の収入(前年同期比2,019百万円の収入の減少)となっております。主なキャッシュ・イン項目は、税金等調整前当期純利益4,033百万円、減価償却費2,717百万円および棚卸資産の減少額751百万円であり、主なキャッシュ・アウト項目は、法人税等の支払額2,522百万円であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、5,011百万円の支出(同3,048百万円の支出の増加)となりました。有形固定資産の取得による支出4,460百万円および投資有価証券の取得による支出600百万円が主な変動要因となっております。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、1,614百万円の支出(同64百万円の支出の増加)となりました。配当金の支払額1,450百万円が主な変動要因となっております。
③ 生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績
セグメントの名称生産高(百万円)前期比(%)
日本16,385△21.0
アジア6,569△16.7
北米--
欧州--
合計22,955△19.8

b. 受注実績
当社グループは一部の受注に見込み分を上乗せした見込み生産が主体であります。従いまして、当該事項の記載は省略しております。
c. 販売実績
セグメントの名称販売高(百万円)前期比(%)
日本9,950△18.9
アジア11,555△9.6
北米1,707+2.6
欧州2,124△10.8
合計25,338△12.9

(注) セグメント間取引については、相殺消去しております。

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、その達成を保証するものではありません。
① 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度は、売上高が前期比12.9%減となる25,338百万円となり、営業利益が前期比39.0%減の3,778百万円という実績になっております。
世界経済の回復基調から正常化が進んだものの、長期化するウクライナ紛争、インフレの継続、各国の金融引き締めによる急激な為替変動、中国経済の減速といった不確実性の高い状況が続きました。当社グループをとりまく事業環境は、パソコン、スマートフォン需要の減少、半導体市場の長引く低迷が大きく影響したことから、年度中盤まで生産調整を余儀なくされました。その後新たな成長領域となる生成AI関連、またデータセンター、サーバーなどの通信インフラの分野で動きがあり、当社グループの高付加価値ドリルの需要が高まりました。しかしながら、市況の回復、収益面で大きく貢献するまでには至らず、前連結会計年度から減収減益となりました。
その他、当社グループは経営管理項目として売上高営業利益率をあげており、当連結会計年度においては前年実績21.3%、目標値20.0%に対し、実績14.9%の計上となりました。主要拠点での生産調整により稼働益の確保および原価低減効果を出すことが難しい環境にありました。
今後期待される生成AI関連の需要動向を見極め、半導体パッケージなどの高度な電子部品向けの高付加価値ドリル需要の回復に備え、引続き当社グループの得意とする品質・技術での差別化戦略を推進するとともに、生産効率の改善と産出量の拡大を図ってまいりたいと思っております。
② 資本の財源及び資金の流動性
当社グループの運転資金需要の主なものは超硬合金などの原材料の購入費用であり、その他は製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資のための資金需要の多くは、内製している生産設備向けとなっております。当社グループは、非常に激しい需要変動にさらされており、資金に対しては十分な流動性と自由で迅速な意思決定を可能にする柔軟性の確保を重視しており、主に自己資金による財源確保を進めております。また経費節減やスリム化の努力も重ね、当連結会計年度末現在の現金及び現金同等物の残高は前期末比1,668百万円減となる19,259百万円となっております。
③ 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。連結財務諸表の作成にあたっては、経営者により、一定の会計基準の範囲内で見積が行われている部分があり、資産・負債や収益・費用に数値は反映されております。これらの見積もりについては、継続的に評価し、必要に応じて見直しを行っていますが、見積もりには不確実性が伴うため、実際の結果はこれらと異なることがあります。連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
イ 固定資産の減損
固定資産の減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュフローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。過年度の損益実績や事業計画に基づき検討しておりますが、市場環境の変化等により、事業計画の前提条件に変更が生じた場合には、減損損失の計上が必要となる可能性があります。
ロ 繰延税金資産の回収可能性
今年度の課税所得の実績や事業計画に基づく課税所得の見積りに基づき、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提条件に変更が生じた場合には、繰延税金資産を取り崩し税金費用の計上が必要となる可能性があります。
ハ 棚卸資産の評価
棚卸資産は、取得原価をもって貸借対照表価額とし、期末における正味売却価額が取得原価よりも下落している場合には、当該正味売却価額をもって貸借対照表価額としております。また、一定期間を超えて保有する棚卸資産については、収益性の低下の事実を反映するために、過去の販売・使用実績及び製品群ごとのライフサイクル等に基づき決定した方針により規則的に帳簿価額を切り下げております。しかし、当初想定できなかった生産需要や経済情勢等により、前提となるライフサイクルに変更が生じる場合、更なる帳簿価額の切り下げが必要となる可能性があります。
ニ 賞与引当金
当社の賞与引当金は翌期上期賞与に対する引当金でありますが、当社の営業利益見込み(業績予想)を用いて算定しております。業績予想については経営者の最善の見積もりと判断により行われますが、将来の不確実な経済情勢の変動の結果によって影響を受ける可能性があり、見直しが必要となる可能性があります。