四半期報告書-第158期第2四半期(平成30年7月1日-平成30年9月30日)

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2018/11/09 9:02
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(1) 業績の状況
当社は、2016年11月8日に創立100周年を迎えました。当社グループの企業理念の実現に向けて、創立100周年から10年後の2026年に目指していく姿を「NSKビジョン2026(あたらしい動きをつくる。)」として策定しました。
この「NSKビジョン2026」の下、当社グループは2016年度から2018年度迄の第5次中期経営計画を進めています。この中期経営計画では、「次の100年に向けた進化のスタート」をスローガンとし、「オペレーショナル・エクセレンス(競争力の不断の追求)」と「イノベーション&チャレンジ(あたらしい価値の創造)」を方針に据えて、持続的成長、収益基盤の再構築、新成長領域確立の3つの経営課題に取り組んでいます。
当第2四半期連結累計期間の世界経済を概観すると、全体としては拡大が続きましたが、米国を発端とした貿易摩擦の深刻化、新興国の通貨安や資源価格の高騰などによる景気の下振れリスクが懸念されています。地域別にみると、日本経済は消費の持ち直しと設備投資の増加により成長を維持しました。米国経済は個人消費や設備投資の増加を受け堅調に推移しました。欧州はユーロ圏を中心に緩やかな景気拡大が続きました。中国は米国との貿易摩擦の影響により、成長に減速傾向がみられました。その他アジアは、一部で通貨安の不安があるものの、内需に支えられ成長が継続しました。
このような経済環境下、当第2四半期連結累計期間の売上高は5,095億76百万円と前年同期に比べて3.3%の増収となりました。営業利益は449億64百万円(前年同期比+5.2%)、税引前四半期利益は451億4百万円(前年同期比+6.3%)、親会社の所有者に帰属する四半期利益は309億41百万円と前年同期に比べて9.0%の増益となりました。
当社グループのセグメントごとの業績は次のとおりです。
① 産業機械事業
産業機械事業は対前年で増収を維持しました。但し、足元の需要動向には減速感がみられます。当社グループの状況を地域別にみると、日本では、工作機械や半導体製造装置向けを中心に増収となりました。米州及び欧州では、工作機械向けの売上高が増加しました。中国では、アフターマーケットや建設機械向けが堅調に推移し売上高が増加しました。その他アジアにおいても、アフターマーケット向けを中心に需要の回復が続き増収となりました。これらの物量増加を背景に営業利益も増加しました。能力増強投資等により生産力強化を行うとともに、高付加価値製品や高収益セクターに注力し、収益力を強化しました。
この結果、産業機械事業の売上高は1,358億72百万円(前年同期比+7.1%)、営業利益は167億29百万円(前年同期比+63.3%)となりました。
足元の需要動向の変化に機動的に対応しつつ、IoT・ロボティクス・再生可能エネルギーなどの成長分野に注力し、市場におけるプレゼンスの中長期的な向上と、収益を伴う事業の拡大を図っていきます。
② 自動車事業
自動車事業は、電動パワーステアリングの売上高が減少した一方で、パワートレインビジネスの成長により、全体の売上高は継続して拡大しました。当社グループの状況を地域別にみると、日本及び米州では、トランスミッション向けが好調に推移し増収となりました。欧州及び中国では、電動パワーステアリングの減収もあり、売上高は減少しました。その他アジアにおいては、インドを中心に売上高が増加しました。一方、営業利益については、鋼材価格の上昇や人件費等のコスト増、及び将来の成長に向けた技術開発を進めたことで、前年同期を下回りました。
この結果、自動車事業の売上高は3,575億77百万円(前年同期比+1.5%)、営業利益は267億3百万円(前年同期比△14.5%)となりました。
今後も、パワートレインビジネスを中心とした自動車事業の継続的成長と、生産性向上や固定費管理の強化により収益力の向上を進めていきます。また、これまで蓄積してきた要素技術と新たに取り組む技術開発によって、電動化・自動運転等の自動車の技術革新に貢献し、事業の拡大を目指していきます。
(2) 財政状態の分析
資産合計は1兆974億10百万円となり、前連結会計年度末に比べて50億99百万円増加しました。主な増加は棚卸資産151億83百万円、有形固定資産34億71百万円、その他の金融資産(非流動)23億70百万円、退職給付に係る資産34億19百万円であり、主な減少は現金及び現金同等物102億3百万円、売上債権及びその他の債権90億9百万円です。
負債合計は5,237億85百万円となり、前連結会計年度末に比べて75億10百万円減少しました。主な増加はその他の金融負債(流動)124億60百万円、その他の流動負債31億62百万円であり、主な減少は仕入債務及びその他の債務83億14百万円、金融負債(非流動)123億28百万円です。
資本合計は5,736億25百万円となり、前連結会計年度末に比べて126億10百万円増加しました。主な増加は親会社の所有者に帰属する四半期利益309億41百万円、その他の資本の構成要素49億19百万円であり、主な減少は利益剰余金の配当111億円9百万円、自己株式107億64百万円です。
(3) キャッシュ・フローの状況
当第2四半期連結会計期間末の現金及び現金同等物の残高は1,210億79百万円となり、前連結会計年度末に比べて102億3百万円減少しました。また、前年同期末に比べて330億23百万円減少しました。
当第2四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況は、次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により得られたキャッシュ・フローは、前年同期に比べて56億40百万円増加し、490億85百万円の収入となりました。主な収入の内訳は、税引前四半期利益451億4百万円、減価償却費及び償却費239億28百万円、売上債権の減少額81億16百万円であり、一方で主な支出の内訳は、棚卸資産の増加額139億23百万円、法人所得税の支払額140億6百万円です。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動に使用されたキャッシュ・フローは、前年同期に比べて158億71百万円増加し、329億19百万円の支出となりました。主な内訳は、有形固定資産の取得による支出302億5百万円です。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動に使用されたキャッシュ・フローは、前年同期に比べて122億76百万円増加し、260億62百万円の支出となりました。主な収入の内訳は、長期借入れによる収入80億円であり、一方で主な支出の内訳は、長期借入金の返済による支出82億98百万円、自己株式の取得による支出108億49百万円、配当金の支払額110億96百万円、非支配持分への配当金の支払額28億92百万円です。
(4) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当第2四半期連結累計期間において、当社グループの事業上及び財務上の対処すべき課題に重要な変更はありません。
なお、当社は財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針を定めており、その内容等(会社法施行規則第118条第3号に掲げる事項)は次のとおりです。
① 当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針の内容の概要
当社は、資本市場に公開された株式会社であるため、当社株式の大量の買付行為がなされた場合にそれに応じるべきか否かは、最終的には株主の皆様のご判断に委ねられるべきであると考えます。
しかしながら、株式の大量の買付行為の中には、株主の皆様に対する必要十分な情報開示や熟慮のための機会が与えられることなく、あるいは当社取締役会が意見表明を行い、代替案を提示するための情報や時間が提供されずに、突如として強行されるものもあり得ます。このような株式の大量の買付行為の中には、真摯に合理的な経営を行う意思が認められないもの等、当社の企業価値ひいては株主の皆様の共同の利益を毀損する買付行為もあり得ます。
かかる当社の企業価値ひいては株主の皆様の共同の利益を毀損する当社株式の大量の買付行為を行う者は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者として不適切であると考えます。
② 基本方針の実現に資する特別な取り組みの概要
(イ)中期経営計画等による企業価値向上への取り組み
当社グループは、創立100周年を契機に策定した「NSKビジョン2026(あたらしい動きをつくる。)」の下、2016年度から2018年度迄の第5次中期経営計画を進めています。この中期経営計画では、「次の100年に向けた進化のスタート」をスローガンとし、「オペレーショナル・エクセレンス(競争力の不断の追求)」と「イノベーション&チャレンジ(あたらしい価値の創造)」を方針に据えて、持続的成長、収益基盤の再構築、新成長領域確立の3つの経営課題に取り組んでいます。
なお、「オペレーショナル・エクセレンス(競争力の不断の追求)」の施策として、
・事業の競争力の追求
・効率経営の追求
・人づくり、モノつくり
「イノベーション&チャレンジ(あたらしい価値の創造)」の施策としては、
・次の成長への種まき
・モノつくりの革新
・新商品、新領域技術の開発
を推進しています。
当社グループは、当社事業を通じ機械製品のエネルギーロスを削減することで、地球環境の保全と持続可能な社会の発展に向けた貢献を果たすために、環境経営のレベルアップに取り組んでいます。
また、関連法令を遵守すると共に社会の一員としての高い倫理観を持って行動することで、顧客や地域社会等の様々なステークホルダーから信頼される企業として発展し続けることを目指しており、コンプライアンス強化の取り組みとして更なる体制・制度の整備、教育・啓発の徹底を図っています。
加えて当社は、執行と監督の役割を明確にすることにより、経営の透明性と健全性を高め、公正で迅速な意思決定を行うために機関設計として指名委員会等設置会社を採用しています。持続的成長と中長期的な企業価値向上を目指しコーポレートガバナンス・コード等の社会的な要請を踏まえたガバナンス体制の強化に取り組んでいます。
(ロ)コーポレートガバナンスに関する取り組み
当社は、社会的責任を果たし、企業価値ひいては株主の皆様の共同の利益を確保し、持続的に向上させるため、経営に関する意思決定の透明性と健全性の向上に積極的に取り組んできました。2004年に当時の委員会等設置会社に移行する以前から、執行役員制度の導入、社外取締役の招聘及び任意の報酬委員会・監査委員会の設置をしてきました。現在、当社は指名委員会等設置会社であり、指名・監査・報酬の3つの委員会は、それぞれ社内取締役と過半数を占める社外取締役で構成され、経営に関する意思決定の透明性と健全性の確保に大きな役割を果たしています。
なお、当社の社外取締役については全員を独立役員として東京証券取引所に届け出ています。
③ 基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止するため
の取り組みの概要
当社は、2008年6月25日開催の当社定時株主総会において、当社株式の大量買付行為に関する対応策を導入し、その後、2011年6月24日、2014年6月25日及び2017年6月23日開催の当社定時株主総会において株主の皆様のご賛同を得て当社株式の大量買付行為に関する対応策(以下2017年6月23日開催の当社定時株主総会において導入された対応策を「本プラン」といいます。)を継続しています。なお、本プランの有効期間は2020年6月に開催予定の当社定時株主総会の終結時までとしています。
本プランは、特定株主グループの議決権割合を20%以上とすることを目的とする当社株券等の買付行為、又は結果として特定株主グループの議決権割合が20%以上となる当社株券等の買付行為(但し、あらかじめ当社取締役会が同意した買付行為は除きます。以下「大量買付行為」といいます。)を行い又は行おうとする者(以下「大量買付者」といいます。)に対して、本プランに定められた所定の手続(以下「大量買付ルール」といいます。)を遵守することを求めています。大量買付ルールは、大量買付者が事前に大量買付行為に対する株主の皆様のご判断及び当社取締役会の評価、検討等のために必要かつ十分な情報を提供した上で、当社取締役会による評価、検討、交渉、意見形成、代替案立案のための期間(以下「取締役会評価期間」といいます。)満了後に大量買付行為を開始できることを原則的な手続としています。
大量買付者が大量買付ルールを遵守した場合、当社取締役会は、仮に当該大量買付行為に反対であったとしても、反対意見の表明等を行うことはあり得るものの、原則として、当該大量買付行為に対する対抗措置は発動しません。但し、当該大量買付行為が当社の企業価値ひいては株主の皆様の共同の利益を著しく損なうおそれがあると合理的に認められる場合には、取締役会評価期間満了後に、株主総会を開催し、大量買付行為に対し、対抗措置を発動すべきか否かを株主の皆様のご判断に委ねることができるものとします。また、当社取締役会は、大量買付者がいわゆるグリーンメイラーである場合、大量買付者の提案する買収の方法が、いわゆる強圧的二段階買付けに代表される、構造上株主の皆様の判断の機会又は自由を制約し、事実上、株主の皆様に当社株券等の売却を強要するおそれがある場合等、大量買付行為が一定の類型に該当し、当社の企業価値ひいては株主の皆様の共同の利益を著しく損なうものであると合理的に認められる場合には、例外的に対抗措置を発動することがあります。
これに対して、大量買付者が大量買付ルールを遵守しない場合には、具体的な買付方法の如何にかかわらず、当社取締役会は、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を確保・向上させることを目的として、対抗措置を発動する場合があります。但し、当社取締役会が、株主の皆様のご意思を確認することが実務上可能であり、かつ、当社取締役会が株主の皆様のご意思を確認するために株主総会を開催し、対抗措置を発動することの是非について株主の皆様にご判断いただくことが適切であると合理的に判断した場合には、取締役会評価期間満了後に、株主総会を開催し、大量買付行為に対し、対抗措置を発動することの是非について株主の皆様のご判断に委ねるものとします。
当社取締役会が、株主総会を開催し、対抗措置を発動することの是非について株主の皆様にご判断いただく場合には、大量買付者は、当該株主総会終結時まで、大量買付行為を開始してはならないものとします。また、当社取締役会が対抗措置の発動を判断するに当たっては、その判断の合理性及び公正性を担保するために、次の手続を経ることとします(但し、対抗措置の発動の是非について株主総会を招集する場合は、この限りではありません。)。
まず、当社取締役会は、対抗措置の発動に先立ち、独立社外取締役その他独立性が認められる弁護士等の中から当社取締役会が選任した者によって構成される独立委員会に対して対抗措置の発動の是非について諮問し、独立委員会は、当社取締役会に対して対抗措置の発動の是非について勧告を行います。当社取締役会は、対抗措置を発動するか否かの判断に際して、独立委員会による勧告を最大限尊重するものとします。また、対抗措置の発動に係る当社取締役会の決議は、当社取締役全員が出席する取締役会において、全会一致により行うものとします。なお、当社は、本プランにおける対抗措置として、原則として、新株予約権無償割当てを行います。
本プランに係る手続の流れの概要については、次ページに記載のとおりです。また、本プランの詳細につきましては、当社ウェブサイト(http://www.nsk.com/jp/company/governance/index.html#tab4)に掲載しています、2017年5月23日付「当社株式の大量買付行為に関する対応策(買収防衛策)の継続に関するお知らせ」をご参照ください。
④ 上記の取り組みについての取締役会の判断及びその理由
上記②の取り組みは、当社の中長期的な企業価値の向上のための基本的な取り組みの一環であり、当社の企業価値ひいては株主の皆様の共同の利益を向上させることを目的として実施しているものです。
上記③の取り組みは、当社の企業価値ひいては株主の皆様の共同の利益を確保・向上させることを目的として、大量買付者に対して、大量買付行為に関する必要な情報の提供、及び、その内容の評価・検討等に必要な期間の確保を求めるために導入されるものです。また、そのような情報提供と検討等の期間の確保の要請に応じない大量買付者、及び、当社の企業価値ひいては株主の皆様の共同の利益を著しく損なうおそれがあると合理的に認められる大量買付行為を行おうとする大量買付者に対して対抗措置を発動できることとすることで、これらの大量買付者による大量買付行為を防止するものであり、よって、上記①の基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止するための取り組みです。
さらに、上記③の取り組みにおいては、大量買付者が大量買付ルールを遵守している場合において対抗措置を発動しようとする場合には、原則として、株主総会を開催して、対抗措置を発動することの是非について株主の皆様にご判断いただくこととしています。また、大量買付者が大量買付ルールを遵守していない場合を含め、当社取締役会が対抗措置の発動を決議する場合には、対抗措置の発動に先立ち、独立委員会に対して対抗措置の発動の是非について諮問し、その勧告を最大限尊重した上で、社外取締役を含む取締役全員が出席する当社取締役会において、全会一致により行うこととしています。このように、上記③の取り組みにおいては、当社取締役会の恣意的な判断を排し、その取り組みの合理性及び公正性を確保するための様々な制度及び手続が確保されています。
従いまして、上記②及び③の取り組みは上記①の基本方針に沿うものであり、当社の株主の皆様の共同の利益を損なうものではなく、また、当社の役員の地位の維持を目的とするものではありません。

(5) 研究開発活動
当第2四半期連結累計期間における当社グループの研究開発活動の金額は、94億36百万円です。なお、研究開発活動の状況に重要な変更はありません。