有価証券報告書-第159期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2020年6月30日)現在において当社グループが判断したものです。
(1) 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、連結財務諸表規則第93条の規定によりIFRSに準拠して作成しています。連結財務諸表の作成にあたって、決算日における資産・負債の報告金額及び偶発資産・負債の開示、並びに報告期間における収益・費用の報告金額に影響を与えるような見積り・予測を必要とします。結果として、このような見積りと実績が異なる場合があります。
なお、連結財務諸表作成にあたっての重要な会計方針及び見積り等については、「第5[経理の状況] 1[連結財務諸表等] (1) [連結財務諸表] [連結財務諸表注記] 2.作成上の基礎 (6) 見積り及び判断の利用、3.重要な会計方針の要約」に記載のとおりです。
(2) 財政状態及び経営成績の状況
①事業全体の概況
当社グループは、「次の成長に向けた事業基盤の強化」を目標に、第6次中期経営計画(2020年3月期から2022年3月期)をスタートさせました。安全・品質・コンプライアンス・環境を当社グループのコアバリューとした上で、第5次中期経営計画(2017年3月期から2019年3月期)で据えた「オペレーショナル・エクセレンス(競争力の不断の追求)」と「イノベーションへのチャレンジ(あたらしい価値の創造)」の2つの方針を継続し、成長への新たな仕掛け、経営資源の強化、環境・社会への貢献の3つの経営課題に取り組んでいます。
当連結会計年度の世界経済は、米中貿易摩擦の影響や英国のEU離脱問題への懸念、中東情勢の緊迫化など先行きに不透明感が漂う中で低調に推移しました。
日本は主に中国向けの輸出が低迷し、米国では年度後半にかけて製造業を中心に景況感が悪化しました。欧州は自動車産業を中心とした製造業の低迷により景気が減速しました。中国は米中貿易摩擦の影響で外需及び内需が減少し、自動車市場の低迷も継続しました。加えて年度終盤においては、新型コロナウィルスの感染が中国を中心に世界中に拡大し、各国の経済活動に大きな影響を与えるなど景気の先行きは一層不透明なものとなりました。
このような経済環境下、当連結会計年度の売上高は8,310億34百万円と前期に比べて16.2%の減収となりました。営業利益は236億4百万円(前期比△70.2%)、税引前利益は240億65百万円(前期比△69.6%)、親会社の所有者に帰属する当期利益は174億12百万円と前期に比べて68.8%の減益となりました。
②セグメントごとの業績
(産業機械事業)
産業機械事業は、米中貿易摩擦を背景にグローバルで設備投資に対する慎重な動きが続いたことや、スマートフォン及び自動車市場が低調に推移したこと、さらには新型コロナウイルスの世界的な感染拡大により各地域で経済活動が停滞した影響により、対前期比で減収となりました。
地域別では、日本は工作機械向けを中心に需要が低迷しました。米州ではアフターマーケット向けの販売は増加しましたが、電機向けの減少により減収となりました。欧州は電機や一般産業機械向けの販売が減少し減収となりました。中国では風力発電や鉄道向けの販売が伸びた一方で、電機及び工作機械向けの需要が低迷したため売上が減少しました。その他アジアでは、韓国、台湾でアフターマーケット向けや工作機械向けを中心に減収となりました。
この結果、産業機械事業の売上高は2,324億70百万円(前期比△13.9%)となりました。営業利益は日本を中心に各地域で販売が減少した影響を受け、141億2百万円(前期比△57.1%)となりました。
当事業では、足元の市場環境は厳しい状況ではありますが、今後も需要動向の変化に機動的な対応をしていきます。また、IoTをはじめ、ロボティクスや再生可能エネルギーなどの社会的ニーズが高まる中、これらの成長分野に対応した新たな事業基盤の構築を進めていくことで、市場におけるプレゼンスの中長期的な向上と、収益を伴う事業の拡大を図っていきます。
(自動車事業)
自動車事業は、中国や欧州を中心にグローバルで自動車市場が低迷したことに加え、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大に伴い自動車生産台数が減少するなど、事業環境は総じて厳しいものとなりました。また、モデルチェンジの影響による電動パワーステアリング(EPS)の減少があり、対前期比で減収となりました。
地域別では、日本はオートマチックトランスミッション(AT)関連製品が主に中国自動車市場の減速影響を受けたことや、EPSの減少によって減収となりました。米州ではAT関連製品が拡販により増加しましたが、EPSの減少により対前年比減収となりました。欧州及び中国では低調な自動車市場が新型コロナウイルスの影響で更に悪化し、減収となりました。特に中国の自動車販売台数は対前年割れが続いていることに加え、年度末にかけて経済が停滞するなど厳しい事業環境となりました。その他アジアもインドなどで市場が低迷し、売上が減少しました。
この結果、自動車事業の売上高は5,738億14百万円(前期比△16.8%)となりました。営業利益は中国、日本など各地域の販売減少影響を受け、98億4百万円(前期比△78.2%)となりました。
当事業では、グローバル自動車市場の先行きは不透明な状況ではありますが、ATの搭載率向上や多段化、自動車の電動化などへ対応することでパワートレインビジネスの拡大を図るとともに、ステアリングビジネスの再成長や搭載の義務化が期待される電動ブレーキシステムにも注力していきます。さらに、これまで蓄積してきた技術と新たに取り組む技術開発によって、電動化・自動運転といった自動車の技術革新への貢献を目指します。また、生産性向上や固定費抑制を進めることで、収益力の改善を図っていきます。
③財政状態の分析
当連結会計年度末の資産合計は、売上債権及びその他の債権、その他の金融資産(非流動)の減少等により前連結会計年度末に比べ565億72百万円減少し、1兆298億84百万円となりました。売上債権及びその他の債権の減少は売上の減少等によるものであり、その他の金融資産(非流動)の減少は、保有株式の一部売却と株価下落による時価減少によるものです。当連結会計年度末の負債合計は、仕入債務及びその他の債務の減少等により前連結会計年度末に比べ226億90百万円減少し、5,033億65百万円となりました。当連結会計年度末の資本合計は、5,265億18百万円となり、当期利益による増加があるものの、その他の資本の構成要素の減少等により前連結会計年度末に比べて338億82百万円減少しました。
④キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は1,372億98百万円となり、前連結会計年度末に比べて73億33百万円増加しました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は、次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により得られたキャッシュ・フローは、税引前利益240億65百万円から減価償却費及び償却費、運転資本等の加減算を行った結果、前連結会計年度に比べて202億30百万円減少し、723億87百万円の収入となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動に使用されたキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べて328億88百万円減少し、397億84百万円の支出となりました。主な内訳は、有形固定資産の取得による支出478億76百万円です。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動に使用されたキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べて8億56百万円増加し、213億33百万円の支出となりました。主な収入の内訳は、長期借入れによる収入176億88百万円、社債の発行による収入300億円であり、一方で主な支出の内訳は、長期借入金の返済による支出217億88百万円、社債の償還による支出200億円、配当金の支払額204億83百万円です。
⑤目標とする経営指標の達成状況等
当連結会計年度は、第6次中期経営計画(2020年3月期から2022年3月期)の初年度であり、当計画に基づき「次の成長に向けた事業基盤の強化」に向けて経営課題に取り組んできました。一方で、当社グループを取り巻く環境は、米中貿易摩擦を背景に世界経済が低調に推移したことに加えて、年度終盤の新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受けるなど厳しい事業環境となり、産業機械事業及び自動車事業の販売は前期に比べて減少しました。
この結果、当連結会計年度における当社が経営上の目標として掲げる指標は、以下のとおりとなりました。
(注)第6次中期経営計画作成時点
足元では、新型コロナウイルスの感染拡大影響によって世界経済の先行きは不透明な状況ですが、このような環境下においても、当社グループは引き続き第6次中期経営計画を推進していきます。本中期経営計画で掲げた3つの経営課題(成長への新たな仕掛け、経営資源の強化、環境・社会への貢献)の取り組みを進め、中長期的な持続的成長を可能にする企業基盤の確立を目指していきます。
(3) 資本の財源及び資金の流動性
①財務戦略の基本方針
当社グループは、安定した財務体質のもと、成長投資と利益還元を両立することを財務戦略の基本方針としています。
(a) 財務基盤の安定
当社グループの持続的な成長を支え、景気変動の影響にも耐え得るには「財務基盤の安定維持」が前提となります。
当社グループのキャッシュ創出力は過去に比べて着実に高まり、財務基盤も安定的に推移しています。今後も債券格付A格の維持と、ネットD/Eレシオを0.3倍程度に抑制し、自己資本比率を50%程度に保つことで、当社グループの財務安定性は確保できると認識しています。
(b) 収益を伴う成長
キャッシュ・フローを創出して、次の成長につなげるための設備投資や研究開発投資を実施し、株主の皆様に安定的な利益還元を行うためには「収益を伴う成長」を持続的に達成することが必要です。
株主・投資家の皆様が期待する資本コストを上回る収益率をあげることは、株式上場会社の使命と言えます。当社グループは、過去の株価動向と事業特性、および株式市場の現況から推計した当社資本コストを上回る「ROE 10%以上」を第6次中期経営計画の目標としました。この目標を中期的に達成し続けることが、さらなる株主価値の向上につながると考えています。
(c) 安定的な利益還元
当社グループは株主の皆様に対する「安定的な利益還元」を重要な経営方針の一つとしています。
第6次中期経営計画では株主還元を一層強化し、配当性向を30%~50%として、1株当たり配当金は年40円以上という目標を掲げました。
さらに、当社グループは配当による利益還元に加えて、自己株式取得による機動的な資本政策の実行も選択肢の一つと認識しています。自己株式の取得は、当社のキャッシュ・ポジションや、株式市場の動向等を勘案して、適切かつ機動的に実施したいと考えており、第6次中期経営計画の3年間での総還元性向は50%とすることを目安としています。

②財務状況
当連結会計年度の財政状態は次のとおりです。
(注)第6次中期経営計画作成時点
③資金調達
当社グループは現在、自己資金及び金融機関の借入れ等により資金調達することとしています。運転資金について借入れによる資金調達を行う場合、期限が一年以内の短期借入金で各連結会社がその現地通貨で調達することが一般的で、生産設備などの長期資金は、主として長期借入金及び社債で調達しています。
本報告書提出時点において、格付投資情報センターから「A」、日本格付研究所から「A+」の格付を取得しており、外部からの資金調達に関しては問題なく実施可能と認識しています。当社グループは、その健全な財務状況、営業活動によりキャッシュ・フローを生み出す能力、金融機関のコミットメントライン契約800億円や、コマーシャルペーパー発行枠500億円などにより必要資金の確保と緊急時の流動性を確保しています。
(4) 生産、受注及び販売の実績
当社グループの販売・生産品目は極めて広範囲かつ多種多様であり、また見込み生産を行う製品もあるため、生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示していません。このため、販売及び生産の状況については、「(2)財政状態及び経営成績の状況」に関連づけて記載しています。
(5) 経営成績に重要な影響を与える要因
当社グループの事業展開、経営成績及び財務状況等に重要な影響を与えるリスク要因については、「2[事業等のリスク]」に記載のとおりです。
(1) 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、連結財務諸表規則第93条の規定によりIFRSに準拠して作成しています。連結財務諸表の作成にあたって、決算日における資産・負債の報告金額及び偶発資産・負債の開示、並びに報告期間における収益・費用の報告金額に影響を与えるような見積り・予測を必要とします。結果として、このような見積りと実績が異なる場合があります。
なお、連結財務諸表作成にあたっての重要な会計方針及び見積り等については、「第5[経理の状況] 1[連結財務諸表等] (1) [連結財務諸表] [連結財務諸表注記] 2.作成上の基礎 (6) 見積り及び判断の利用、3.重要な会計方針の要約」に記載のとおりです。
(2) 財政状態及び経営成績の状況
①事業全体の概況
当社グループは、「次の成長に向けた事業基盤の強化」を目標に、第6次中期経営計画(2020年3月期から2022年3月期)をスタートさせました。安全・品質・コンプライアンス・環境を当社グループのコアバリューとした上で、第5次中期経営計画(2017年3月期から2019年3月期)で据えた「オペレーショナル・エクセレンス(競争力の不断の追求)」と「イノベーションへのチャレンジ(あたらしい価値の創造)」の2つの方針を継続し、成長への新たな仕掛け、経営資源の強化、環境・社会への貢献の3つの経営課題に取り組んでいます。
当連結会計年度の世界経済は、米中貿易摩擦の影響や英国のEU離脱問題への懸念、中東情勢の緊迫化など先行きに不透明感が漂う中で低調に推移しました。
日本は主に中国向けの輸出が低迷し、米国では年度後半にかけて製造業を中心に景況感が悪化しました。欧州は自動車産業を中心とした製造業の低迷により景気が減速しました。中国は米中貿易摩擦の影響で外需及び内需が減少し、自動車市場の低迷も継続しました。加えて年度終盤においては、新型コロナウィルスの感染が中国を中心に世界中に拡大し、各国の経済活動に大きな影響を与えるなど景気の先行きは一層不透明なものとなりました。
このような経済環境下、当連結会計年度の売上高は8,310億34百万円と前期に比べて16.2%の減収となりました。営業利益は236億4百万円(前期比△70.2%)、税引前利益は240億65百万円(前期比△69.6%)、親会社の所有者に帰属する当期利益は174億12百万円と前期に比べて68.8%の減益となりました。
②セグメントごとの業績
(産業機械事業)
産業機械事業は、米中貿易摩擦を背景にグローバルで設備投資に対する慎重な動きが続いたことや、スマートフォン及び自動車市場が低調に推移したこと、さらには新型コロナウイルスの世界的な感染拡大により各地域で経済活動が停滞した影響により、対前期比で減収となりました。
地域別では、日本は工作機械向けを中心に需要が低迷しました。米州ではアフターマーケット向けの販売は増加しましたが、電機向けの減少により減収となりました。欧州は電機や一般産業機械向けの販売が減少し減収となりました。中国では風力発電や鉄道向けの販売が伸びた一方で、電機及び工作機械向けの需要が低迷したため売上が減少しました。その他アジアでは、韓国、台湾でアフターマーケット向けや工作機械向けを中心に減収となりました。
この結果、産業機械事業の売上高は2,324億70百万円(前期比△13.9%)となりました。営業利益は日本を中心に各地域で販売が減少した影響を受け、141億2百万円(前期比△57.1%)となりました。
当事業では、足元の市場環境は厳しい状況ではありますが、今後も需要動向の変化に機動的な対応をしていきます。また、IoTをはじめ、ロボティクスや再生可能エネルギーなどの社会的ニーズが高まる中、これらの成長分野に対応した新たな事業基盤の構築を進めていくことで、市場におけるプレゼンスの中長期的な向上と、収益を伴う事業の拡大を図っていきます。
(自動車事業)
自動車事業は、中国や欧州を中心にグローバルで自動車市場が低迷したことに加え、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大に伴い自動車生産台数が減少するなど、事業環境は総じて厳しいものとなりました。また、モデルチェンジの影響による電動パワーステアリング(EPS)の減少があり、対前期比で減収となりました。
地域別では、日本はオートマチックトランスミッション(AT)関連製品が主に中国自動車市場の減速影響を受けたことや、EPSの減少によって減収となりました。米州ではAT関連製品が拡販により増加しましたが、EPSの減少により対前年比減収となりました。欧州及び中国では低調な自動車市場が新型コロナウイルスの影響で更に悪化し、減収となりました。特に中国の自動車販売台数は対前年割れが続いていることに加え、年度末にかけて経済が停滞するなど厳しい事業環境となりました。その他アジアもインドなどで市場が低迷し、売上が減少しました。
この結果、自動車事業の売上高は5,738億14百万円(前期比△16.8%)となりました。営業利益は中国、日本など各地域の販売減少影響を受け、98億4百万円(前期比△78.2%)となりました。
当事業では、グローバル自動車市場の先行きは不透明な状況ではありますが、ATの搭載率向上や多段化、自動車の電動化などへ対応することでパワートレインビジネスの拡大を図るとともに、ステアリングビジネスの再成長や搭載の義務化が期待される電動ブレーキシステムにも注力していきます。さらに、これまで蓄積してきた技術と新たに取り組む技術開発によって、電動化・自動運転といった自動車の技術革新への貢献を目指します。また、生産性向上や固定費抑制を進めることで、収益力の改善を図っていきます。
③財政状態の分析
当連結会計年度末の資産合計は、売上債権及びその他の債権、その他の金融資産(非流動)の減少等により前連結会計年度末に比べ565億72百万円減少し、1兆298億84百万円となりました。売上債権及びその他の債権の減少は売上の減少等によるものであり、その他の金融資産(非流動)の減少は、保有株式の一部売却と株価下落による時価減少によるものです。当連結会計年度末の負債合計は、仕入債務及びその他の債務の減少等により前連結会計年度末に比べ226億90百万円減少し、5,033億65百万円となりました。当連結会計年度末の資本合計は、5,265億18百万円となり、当期利益による増加があるものの、その他の資本の構成要素の減少等により前連結会計年度末に比べて338億82百万円減少しました。
④キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は1,372億98百万円となり、前連結会計年度末に比べて73億33百万円増加しました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は、次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により得られたキャッシュ・フローは、税引前利益240億65百万円から減価償却費及び償却費、運転資本等の加減算を行った結果、前連結会計年度に比べて202億30百万円減少し、723億87百万円の収入となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動に使用されたキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べて328億88百万円減少し、397億84百万円の支出となりました。主な内訳は、有形固定資産の取得による支出478億76百万円です。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動に使用されたキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べて8億56百万円増加し、213億33百万円の支出となりました。主な収入の内訳は、長期借入れによる収入176億88百万円、社債の発行による収入300億円であり、一方で主な支出の内訳は、長期借入金の返済による支出217億88百万円、社債の償還による支出200億円、配当金の支払額204億83百万円です。
⑤目標とする経営指標の達成状況等
当連結会計年度は、第6次中期経営計画(2020年3月期から2022年3月期)の初年度であり、当計画に基づき「次の成長に向けた事業基盤の強化」に向けて経営課題に取り組んできました。一方で、当社グループを取り巻く環境は、米中貿易摩擦を背景に世界経済が低調に推移したことに加えて、年度終盤の新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受けるなど厳しい事業環境となり、産業機械事業及び自動車事業の販売は前期に比べて減少しました。
この結果、当連結会計年度における当社が経営上の目標として掲げる指標は、以下のとおりとなりました。
第6次中期経営計画 | |||||
経営指標 | 2019年3月期 実績 | 2020年3月期 実績 | 目標(注) | ||
①売上高/成長率 | 9,914億円 | 8,310億円/ 対前期比△16.2% | 売上成長2%/年 | ||
②営業利益率 | 8.0% | 2.8% | 8%以上 | ||
③ROE | 10.4% | 3.3% | 10%以上 | ||
④ネットD/Eレシオ | 0.27倍 | 0.28倍 | 0.3倍程度 |
(注)第6次中期経営計画作成時点
足元では、新型コロナウイルスの感染拡大影響によって世界経済の先行きは不透明な状況ですが、このような環境下においても、当社グループは引き続き第6次中期経営計画を推進していきます。本中期経営計画で掲げた3つの経営課題(成長への新たな仕掛け、経営資源の強化、環境・社会への貢献)の取り組みを進め、中長期的な持続的成長を可能にする企業基盤の確立を目指していきます。
(3) 資本の財源及び資金の流動性
①財務戦略の基本方針
当社グループは、安定した財務体質のもと、成長投資と利益還元を両立することを財務戦略の基本方針としています。
(a) 財務基盤の安定
当社グループの持続的な成長を支え、景気変動の影響にも耐え得るには「財務基盤の安定維持」が前提となります。
当社グループのキャッシュ創出力は過去に比べて着実に高まり、財務基盤も安定的に推移しています。今後も債券格付A格の維持と、ネットD/Eレシオを0.3倍程度に抑制し、自己資本比率を50%程度に保つことで、当社グループの財務安定性は確保できると認識しています。
(b) 収益を伴う成長
キャッシュ・フローを創出して、次の成長につなげるための設備投資や研究開発投資を実施し、株主の皆様に安定的な利益還元を行うためには「収益を伴う成長」を持続的に達成することが必要です。
株主・投資家の皆様が期待する資本コストを上回る収益率をあげることは、株式上場会社の使命と言えます。当社グループは、過去の株価動向と事業特性、および株式市場の現況から推計した当社資本コストを上回る「ROE 10%以上」を第6次中期経営計画の目標としました。この目標を中期的に達成し続けることが、さらなる株主価値の向上につながると考えています。
(c) 安定的な利益還元
当社グループは株主の皆様に対する「安定的な利益還元」を重要な経営方針の一つとしています。
第6次中期経営計画では株主還元を一層強化し、配当性向を30%~50%として、1株当たり配当金は年40円以上という目標を掲げました。
さらに、当社グループは配当による利益還元に加えて、自己株式取得による機動的な資本政策の実行も選択肢の一つと認識しています。自己株式の取得は、当社のキャッシュ・ポジションや、株式市場の動向等を勘案して、適切かつ機動的に実施したいと考えており、第6次中期経営計画の3年間での総還元性向は50%とすることを目安としています。

②財務状況
当連結会計年度の財政状態は次のとおりです。
第6次中期経営計画 | ||||||
財務戦略の基本方針 | 経営指標 | 2019年3月期 実績 | 2020年3月期 実績 | 目標(注) | ||
(a)財務基盤の安定維持 | ネットD/Eレシオ | 0.27倍 | 0.28倍 | 0.3倍程度 | ||
自己資本比率 | 49.4% | 49.1% | 50%程度 | |||
(b)収益を伴う成長 | ROE | 10.4% | 3.3% | 10%以上 | ||
(c)安定的な利益還元 | 配当性向 | 37.2% | 88.2% | 30~50% | ||
総還元性向 | 73.1% | 88.2% | 50%目安 |
(注)第6次中期経営計画作成時点
③資金調達
当社グループは現在、自己資金及び金融機関の借入れ等により資金調達することとしています。運転資金について借入れによる資金調達を行う場合、期限が一年以内の短期借入金で各連結会社がその現地通貨で調達することが一般的で、生産設備などの長期資金は、主として長期借入金及び社債で調達しています。
本報告書提出時点において、格付投資情報センターから「A」、日本格付研究所から「A+」の格付を取得しており、外部からの資金調達に関しては問題なく実施可能と認識しています。当社グループは、その健全な財務状況、営業活動によりキャッシュ・フローを生み出す能力、金融機関のコミットメントライン契約800億円や、コマーシャルペーパー発行枠500億円などにより必要資金の確保と緊急時の流動性を確保しています。
(4) 生産、受注及び販売の実績
当社グループの販売・生産品目は極めて広範囲かつ多種多様であり、また見込み生産を行う製品もあるため、生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示していません。このため、販売及び生産の状況については、「(2)財政状態及び経営成績の状況」に関連づけて記載しています。
(5) 経営成績に重要な影響を与える要因
当社グループの事業展開、経営成績及び財務状況等に重要な影響を与えるリスク要因については、「2[事業等のリスク]」に記載のとおりです。