四半期報告書-第159期第2四半期(令和1年7月1日-令和1年9月30日)

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2019/11/08 9:04
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(1) 業績の状況
当社グループは、「次の成長に向けた事業基盤の強化」を目標に、2019年度から2021年度までの3ヵ年を第6次中期経営計画としてスタートしました。安全・品質・コンプライアンス・環境を当社グループのコアバリューとした上で、2016年度から2018年度までの第5次中期経営計画で据えた「オペレーショナル・エクセレンス(競争力の不断の追求)」と「イノベーションへのチャレンジ(あたらしい価値の創造)」の2つの方針を継続し、成長への新たな仕掛け、経営資源の強化、環境・社会への貢献の3つの経営課題に取り組んでいます。
当第2四半期連結累計期間の世界経済を概観すると、米中貿易摩擦が長期化する中、日本では中国向けを中心に外需が減少しました。米国は個人消費が堅調であったものの、外需の減少によって製造業の景況感に悪化がみられました。欧州では英国のEU離脱問題による混乱や自動車産業の低迷により景気は減速しました。中国は米国との貿易摩擦激化によって内需、外需が減少し、自動車生産台数も前年割れが続くなど成長が鈍化しました。その他アジアも世界経済の減速影響を受けたほか、インドで自動車市場が低迷しました。
このような経済環境の下、当第2四半期連結累計期間の売上高は4,348億20百万円と前年同期に比べて14.7%の減収となりました。営業利益は157億65百万円(前年同期比△64.9%)、税引前四半期利益は155億52百万円(前年同期比△65.5%)、親会社の所有者に帰属する四半期利益は118億16百万円と前年同期に比べて61.8%の減益となりました。
当社グループのセグメントごとの業績は次のとおりです。
① 産業機械事業
産業機械事業は、米中貿易摩擦を背景にグローバルで設備投資に対する慎重な姿勢が続いていることや、スマートフォン及び自動車市場が低調に推移したことによって、主に工作機械など生産財向けの需要が減少し、対前年同期比減収となりました。
地域別では、日本は工作機械や半導体製造装置向けを中心に売上が前年を下回りました。米州は電機向けの販売が減少しましたが、アフターマーケット向けの増加により微増となりました。欧州は電機向けの減少と為替の影響により減収となりました。中国は風力発電や鉄道向けが好調だったものの、電機及び工作機械向けの低迷によって売上が減少しました。その他アジアでは韓国を中心に減収となりました。
この結果、産業機械事業の売上高は1,196億77百万円(前年同期比△11.9%)となりました。営業利益は主に日本や中国での販売減少影響により83億13百万円(前年同期比△50.3%)となりました。
当事業では、需要動向の変化に機動的な対応をしつつ、IoTをはじめ、ロボティクスや再生可能エネルギーなどの成長分野に対応した新たな事業基盤の構築を目指しています。こうした取り組みによって、市場におけるプレゼンスの中長期的な向上と、収益を伴う事業の拡大を図っていきます。
② 自動車事業
自動車事業は、中国及び欧州、インドなどにおける自動車市場の低迷に加え、モデルチェンジの影響による電動パワーステアリング(EPS)の減少によって対前年同期比減収となりました。
地域別では、日本はオートマチックトランスミッション(AT)関連製品が海外市場の需要減速を受けたことや、EPSの減少によって減収となりました。米州は自動車軸受が堅調だったものの、EPSの減少によって売上が前年を下回りました。欧州及び中国では、自動車市場低迷による影響を受け減収となりました。その他アジアもインドを中心に販売減となりました。
この結果、自動車事業の売上高は3,021億52百万円(前年同期比△15.5%)となりました。営業利益は中国をはじめ各地域で減収となった影響により70億61百万円(前年同期比△73.6%)となりました。
当事業では、今後増加することが見込まれるAT関連製品を中心に事業の拡大を図ると共に、EPSビジネスの再成長を目指しています。さらに、これまで蓄積してきた技術と新たに取り組む技術開発によって、電動化・自動運転といった自動車の技術革新への貢献を目指します。また、生産性向上や固定費抑制を進めることで、収益力の改善を図っていきます。
(2) 財政状態の分析
資産合計は1兆648億69百万円となり、前連結会計年度末に比べて215億87百万円減少しました。主な増加は現金及び現金同等物25億95百万円、有形固定資産22億8百万円であり、主な減少は売上債権及びその他の債権235億11百万円、その他の流動資産42億44百万円、その他の金融資産(非流動)36億72百万円です。
負債合計は5,190億63百万円となり、前連結会計年度末に比べて69億91百万円減少しました。主な増加は金融負債(非流動)453億3百万円であり、主な減少は仕入債務及びその他の債務305億89百万円、その他の金融負債(流動)207億48百万円です。
資本合計は5,458億5百万円となり、前連結会計年度末に比べて145億95百万円減少しました。主な増加は親会社の所有者に帰属する四半期利益118億16百万円であり、主な減少は利益剰余金の配当102億49百万円、その他の資本の構成要素159億34百万円です。
(3) キャッシュ・フローの状況
当第2四半期連結会計期間末の現金及び現金同等物の残高は1,325億60百万円となり、前連結会計年度末に比べて25億95百万円増加しました。また、前年同期末に比べて114億80百万円増加しました。
当第2四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況は、次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により得られたキャッシュ・フローは、前年同期に比べて88億53百万円減少し、402億32百万円の収入となりました。主な収入の内訳は、税引前四半期利益155億52百万円、減価償却費及び償却費267億83百万円、売上債権の減少額174億59百万円であり、一方で主な支出の内訳は、仕入債務の減少額173億6百万円です。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動に使用されたキャッシュ・フローは、前年同期に比べて62億82百万円減少し、266億37百万円の支出となりました。主な内訳は、有形固定資産の取得による支出269億16百万円です。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動に使用されたキャッシュ・フローは、前年同期に比べて184億51百万円減少し、76億11百万円の支出となりました。主な収入の内訳は、社債の発行による収入300億円であり、一方で主な支出の内訳は、社債の償還による支出200億円、配当金の支払額102億38百万円です。
(4) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当第2四半期連結累計期間において、当社グループの事業上及び財務上の対処すべき課題に重要な変更はありません。
なお、当社は財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針を定めており、その内容等(会社法施行規則第118条第3号に掲げる事項)は次のとおりです。
① 当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針の内容の概要
当社は、資本市場に公開された株式会社であるため、当社株式の大量の買付行為がなされた場合にそれに応じるべきか否かは、最終的には株主の皆様のご判断に委ねられるべきであると考えます。
しかしながら、株式の大量の買付行為の中には、株主の皆様に対する必要十分な情報開示や熟慮のための機会が与えられることなく、あるいは当社取締役会が意見表明を行い、代替案を提示するための情報や時間が提供されずに、突如として強行されるものもあり得ます。このような株式の大量の買付行為の中には、真摯に合理的な経営を行う意思が認められないもの等、当社の企業価値ひいては株主の皆様の共同の利益を毀損する買付行為もあり得ます。
かかる当社の企業価値ひいては株主の皆様の共同の利益を毀損する当社株式の大量の買付行為を行う者は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者として不適切であると考えます。
② 基本方針の実現に資する特別な取り組みの概要
(イ)中期経営計画等による企業価値の向上への取り組み
当社グループは、「MOTION & CONTROLを通じ、円滑で安全な社会に貢献し、地球環境の保全をめざすとともに、グローバルな活動によって、国を越えた人と人の結びつきを強めること」を企業理念としています。また、当社グループは、その社会的責任を果たすとともに、企業として株主からの付託に応えて適切な利益を確保し続けることが、持続的かつ中長期的な企業価値の向上につながるものと考えています。
当社グループは、創立100周年を契機に策定した「NSKビジョン2026(あたらしい動きをつくる。)」の下、2019年度から2021年度までの3ヵ年を第6次中期経営計画としてスタートさせました。
第6次中期経営計画として掲げる目標は、「次の成長に向けた事業基盤の強化」です。安全・品質・コンプライアンスそして環境を当社グループのコアバリューとした上で、第5次中期経営計画で据えた「オペレーショナル・エクセレンス(競争力の不断の追求)」と「イノベーションへのチャレンジ(あたらしい価値の創造)」の2つの方針を継続し、成長への新たな仕掛け、経営資源の強化、環境・社会への貢献の3つの経営課題に取り組んでいきます。
3つの経営課題と取り組み内容は以下のとおりです。
1.成長への新たな仕掛けとして、
・IoT、電動化、自動化、環境の成長セグメントでNSKコア製品を伸ばします。
・成長セグメントへの新製品の市場化による成長を目指します。
・EPSビジネスは製品ラインナップを充実させ再成長を目指します。
2.経営資源の強化として、
・教育体系の再構築や働き方改革、健康経営の促進、ダイバーシティ&インクルージョンの推進によって
ヒトづくりを進化させます。
・IoTの活用によってモノつくりを進化させます。
・NSKコア技術の徹底追求やオープンイノベーションの更なる活用によって技術開発を進化させます。
3.環境・社会への貢献として、
・事業活動や環境貢献型の製品開発によるCO2排出量の削減及び資源の有効活用を目指します。
・市場、お客様へ安全・安心を与える品質づくりと安全文化づくりを目指します。
・社会から信頼され、働きがいのある会社づくりを目指します。
・グループガバナンスの強化やステークホルダーとの対話深化を進めていきます。
当社グループは、以上の取り組みによってたゆまぬ成長を目指すとともに、将来にわたって、企業活動とMOTION & CONTROLの進化を通じ、社会課題の解決と社会の持続的発展へ貢献し続けていきます。また、そのための指針としてSDGsに定められた17の目標を尊重すると共に当社グループの事業に関連した目標を重点課題として、積極的に取り組んでいきます。
(ロ)コーポレートガバナンスに関する取り組み
当社は、社会的責任を果たし、企業価値ひいては株主の皆様の共同の利益を確保し、持続的に向上させるため、経営に関する意思決定の透明性と健全性の向上に積極的に取り組んできました。2004年に当時の委員会等設置会社に移行する以前から、執行役員制度の導入、社外取締役の招聘及び任意の報酬委員会・監査委員会の設置をしてきました。現在、当社は指名委員会等設置会社であり、指名・監査・報酬の3つの委員会は、それぞれ社内取締役と過半数を占める社外取締役で構成され、経営に関する意思決定の透明性と健全性の確保に大きな役割を果たしています。
なお、当社の社外取締役については全員を独立役員として株式会社東京証券取引所に届け出ています。
③ 基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止するため
の取り組みの概要
当社は、2017年6月23日開催の当社定時株主総会決議に基づき当社株式の大量買付行為に関する対応策(以下「本プラン」という。)を継続しています。なお、本プランの有効期間は2020年6月に開催予定の当社定時株主総会の終結時までとしています。
本プランは、特定株主グループの議決権割合を20%以上とすることを目的とする当社株券等の買付行為等(以下「大量買付行為」という。)を行い又は行おうとする者(以下「大量買付者」という。)に対して、本プラン所定の手続(以下「大量買付ルール」という。)を遵守することを求めています。大量買付ルールは、大量買付者が事前に大量買付行為に対する株主の皆様のご判断及び当社取締役会の評価、検討等のために必要かつ十分な情報を提供した上で、当社取締役会による評価等のための期間(以下「取締役会評価期間」という。)満了後に大量買付行為を開始できることを原則的な手続としています。
大量買付者が大量買付ルールを遵守した場合、当社取締役会は、仮に当該大量買付行為に反対であったとしても、原則として、当該大量買付行為に対する対抗措置は発動しません。但し、当該大量買付行為が当社の企業価値ひいては株主の皆様の共同の利益を著しく損なうおそれがあると合理的に認められる場合には、取締役会評価期間満了後に株主総会を開催し、対抗措置を発動すべきか否かを株主の皆様のご判断に委ねることができるものとします。また、大量買付者がいわゆるグリーンメイラーである場合、大量買付者の提案する買収の方法が、いわゆる強圧的二段階買付けに代表される、構造上株主の皆様の判断の機会又は自由を制約し、事実上、株主の皆様に当社株券等の売却を強要するおそれがある場合等、大量買付行為が所定の5類型のいずれかに該当し、当社の企業価値ひいては株主の皆様の共同の利益を著しく損なうものであると合理的に認められる場合には、例外的に当社取締役会決議により対抗措置を発動することがあります。
これに対して、大量買付者が大量買付ルールを遵守しない場合には、当社取締役会は、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を確保・向上させることを目的として、対抗措置を発動する場合があります。但し、当社取締役会が、株主の皆様のご意思を確認することが実務上可能であり、かつ、株主の皆様のご意思を確認するために株主総会を開催し、対抗措置を発動することの是非について株主の皆様にご判断いただくことが適切であると合理的に判断した場合には、取締役会評価期間満了後に株主総会を開催し、対抗措置を発動することの是非について株主の皆様のご判断に委ねるものとします。
当社取締役会が、上記の株主総会を開催する場合には、大量買付者は、当該株主総会終結時まで、大量買付行為を開始してはならないものとします。
また、当社取締役会が対抗措置の発動を判断するにあたっては、その判断の合理性及び公正性を担保するために、次の手続を経ることとします。まず、当社取締役会は、対抗措置の発動に先立ち、当社取締役会から独立した組織である独立委員会に対して対抗措置の発動の是非について諮問し、対抗措置を発動するか否かの判断に際して、独立委員会による勧告を最大限尊重するものとします。また、対抗措置の発動に係る当社取締役会の決議は、当社取締役全員が出席する取締役会において、全会一致により行うものとします。なお、当社は、本プランにおける対抗措置として、原則として、新株予約権無償割当てを行います。
本プランに係る手続の流れの概要については、次ページに記載のとおりです。また、本プランの詳細につきましては当社ウェブサイト(https://www.nsk.com/jp/company/governance/index.html)に掲載しています、2017年5月23日付「当社株式の大量買付行為に関する対応策(買収防衛策)の継続に関するお知らせ」をご参照ください。
④ 上記の取り組みについての取締役会の判断及びその理由
上記②の取り組みは、当社の中長期的な企業価値の向上のための基本的な取り組みの一環であり、当社の企業価値ひいては株主の皆様の共同の利益を向上させることを目的として実施しているものです。
上記③の取り組みは、当社の企業価値ひいては株主の皆様の共同の利益を確保・向上させることを目的として、大量買付者に対して、大量買付行為に関する必要な情報の提供、及び、その内容の評価等に必要な期間の確保を求めるために導入されるものであり、また、上記③記載のとおり、本プラン所定の一定の類型に該当する大量買付行為を防止することにより、上記①の基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止するための取り組みです。さらに、上記③記載のとおり、対抗措置を発動しようとする場合には原則として株主総会を開催し、当社取締役会が対抗措置の発動を決議する場合には、独立委員会の勧告を最大限尊重した上で、取締役全員が出席する当社取締役会において、全会一致により行うこととしており、当社取締役会の恣意的な判断を排し、その取り組みの合理性及び公正性を確保するための様々な制度及び手続が確保されています。
従いまして、上記②及び③の取り組みは上記①の基本方針に沿うものであり、当社の株主の皆様の共同の利益を損なうものではなく、また、当社の役員の地位の維持を目的とするものではありません。



(5) 研究開発活動
当第2四半期連結累計期間における当社グループの研究開発活動の金額は、91億60百万円です。なお、研究開発活動の状況に重要な変更はありません。