四半期報告書-第161期第3四半期(令和3年10月1日-令和3年12月31日)

【提出】
2022/02/07 9:05
【資料】
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【項目】
41項目
(1) 業績の状況
当社グループは、「次の成長に向けた事業基盤の強化」を目標に、2019年度から2021年度までの3ヵ年を第6次中期経営計画として位置づけ、様々な取り組みを推進しています。安全・品質・コンプライアンス・環境を当社グループのコアバリューとした上で、「オペレーショナル・エクセレンス(競争力の不断の追求)」と「イノベーションへのチャレンジ(あたらしい価値の創造)」の2つの方針を掲げ、成長への新たな仕掛け、経営資源の強化、環境・社会への貢献の3つの経営課題に取り組んでいます。
当第3四半期連結累計期間の世界経済を概観すると、新型コロナウイルスの感染状況は国・地域でばらつきがみられましたが、経済社会活動の正常化が進んだことで、景気は持ち直しの動きが継続しました。一方で、半導体等部材の供給不足、原材料価格のコスト上昇及びサプライチェーン混乱の影響など、経済の先行きは未だ不透明な状況にあります。
地域別にみると、日本は自動車生産が足元で下振れしましたが、活動制限が緩和される中で個人消費が回復に向かうなど持ち直しの動きが続いています。米国及び欧州では部材の供給制約などが景気回復の下押し圧力となるものの、設備投資は底堅く推移するなど着実に持ち直しています。中国では新型コロナウイルス感染再拡大をうけた行動制限が経済活動の足かせとなり、景気の回復テンポは鈍化しました。
このような経済環境下、当第3四半期連結累計期間の売上高は6,327億80百万円と前年同期に比べて19.3%の増収となりました。非経常的な要因により当第3四半期連結会計期間に発生した、固定資産売却益及び自動車部品事業における減損損失も含めた営業利益は207億90百万円(前年同期は49億77百万円の損失)、税引前四半期利益は209億32百万円(前年同期は48億95百万円の損失)、親会社の所有者に帰属する四半期利益は120億55百万円(前年同期は79億48百万円の損失)となりました。
当社グループのセグメントごとの業績は次のとおりです。
① 産業機械事業
半導体市場の拡大に加えて、製造業を中心に設備投資が積極的に行われるなど需要は堅調に推移し、当第3四半期連結累計期間は対前年同期比で増収となりました。
地域別では、日本は工作機械、電機・電装及び半導体製造装置向けを中心に需要が増加しました。米州ではアフターマーケットや半導体製造装置向けの需要が好調を維持し増収となりました。欧州はアフターマーケットや電機・電装向けの販売が増加し増収となりました。中国では風力発電や鉄道向けの需要は一服感がみられるものの、工作機械やアフターマーケット向けの販売が増加し増収となりました。
この結果、産業機械事業の売上高は2,522億2百万円(前年同期比+28.5%)、営業利益は各地域で販売が増加したことにより、222億21百万円(前年同期は25億2百万円の利益)となりました。
当事業では、今後も需要動向の変化に機動的な対応をしていきます。また、IoTや5Gの進展をはじめ、ロボティクスや再生可能エネルギーなどの社会的ニーズが高まる中、これらの成長分野に対応した新たな事業基盤の構築を進めていくことで、市場におけるプレゼンスの中長期的な向上と、収益を伴う事業の拡大を図っていきます。
② 自動車事業
前年に大幅に落ち込んだ自動車生産台数が回復に転じたことで、足元では半導体等部材の供給不足による減産があったものの、当第3四半期連結累計期間は対前年同期比で増収となりました。
グローバルでは前年同期にコロナ禍によるロックダウンなどで落ち込んだ反動により増収となりました。地域別では、中国を除く各地域は需要が低迷した前年同期からの回復により増収となりました。一方、中国は一昨年春以降に自動車市場がいち早く回復していましたが、当期は半導体不足等の影響により自動車生産が落ち込み減収となりました。
なお、自動車部品事業にて90億44百万円の固定資産減損損失を計上しました。
この結果、自動車事業の売上高は3,529億84百万円(前年同期比+10.8%)、非経常的な要因により発生した固定資産減損損失を除いたセグメント損失は39億21百万円、営業損失は129億65百万円(前年同期は92億48百万円の損失)となりました。
当事業では、オートマチックトランスミッション(AT)の搭載率向上や多段化、自動車の電動化などへ対応することでパワートレインビジネスの拡大を図るとともに、ステアリングビジネスの収益の改善に取り組みます。また、安全性向上を背景に成長が見込まれる電動ブレーキ用製品の需要増加に対応していきます。さらに、これまで蓄積してきた技術と新たに取り組む技術開発によって、電動化・自動運転といった自動車の技術革新への貢献を目指すとともに、生産性向上や固定費抑制を進めることで収益力の向上を図っていきます。
(2) 財政状態の分析
当第3四半期連結会計期間は、サプライチェーンリスクに備えて棚卸資産を増加させました。一方で、業況の回復に伴い、前連結会計年度に新型コロナウイルス感染拡大をはじめとする不測の事態による流動性リスクに備えて調達した借入金の返済を進めました。
これらの結果、当第3四半期連結会計期間末における資産合計は前連結会計年度末に比べ290億62百万円増加した1兆2,007億62百万円となり、負債合計は81億89百万円減少した5,899億40百万円となりました。
当第3四半期連結会計期間末の資本合計は、剰余金の配当による減少があるものの、親会社の所有者に帰属する四半期利益、その他の資本の構成要素の増加等により、前連結会計年度末に比べて372億52百万円増加した6,108億22百万円となりました。
(3) キャッシュ・フローの状況
当第3四半期連結会計期間末の現金及び現金同等物の残高は1,444億20百万円となり、前連結会計年度末に比べて322億18百万円減少しました。また、前年同期末に比べて493億88百万円減少しました。
業況の回復に伴い借入金の返済を行ったこと等により、現金及び現金同等物の残高が減少しました。
当第3四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況は、次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により得られたキャッシュ・フローは、税引前四半期利益209億32百万円から減価償却費及び償却費、運転資本等の加減算を行った結果、前年同期に比べて265億64百万円減少し、117億16百万円の収入となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により使用されたキャッシュ・フローは、前年同期に比べて73億13百万円減少し、158億8百万円の支出となりました。有形固定資産の取得による支出237億86百万円があった一方で、資産効率の向上を図るため実施した有形固定資産の売却による収入106億20百万円、政策保有株式の縮減を進めたことに伴うその他の金融資産の売却による収入18億26百万円がありました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により使用されたキャッシュ・フローは、304億39百万円の支出となりました(前年同期は394億23百万円の収入)。主な内訳は、配当金の支払額101億0百万円、短期借入金の純減額156億59百万円です。
(4) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループの事業上及び財務上の対処すべき課題に重要な変更はありません。
(5) 当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針
当第3四半期連結累計期間において、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針に重要な変更はありません。
(6) 研究開発活動
当第3四半期連結累計期間における当社グループの研究開発活動の金額は、145億74百万円です。なお、研究開発活動の状況に重要な変更はありません。