有価証券報告書-第86期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社および持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概況は次のとおりです。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受け、経済・社会活動が停滞し消費が大きく落ち込みました。また、海外経済の悪化による外需の落ち込みにより設備投資が低調に推移するなど厳しい状況に陥りました。第2四半期以降徐々に経済活動が上向きましたが、変異株による感染の再拡大がみられるなど、先行きが不透明な状況が続きました。米国経済は、政府による景気対策が講じられ経済活動の再開の動きにより企業業績が持ち直していますが、米中対立などの影響から本格的な回復基調には至っておりません。欧州経済は、個人消費や企業業績が大幅に悪化し、景気の先行きに一段と不透明感が増しました。中国経済は、いち早く新型コロナウイルス感染症拡大を抑え込み、経済活動を再開し、緩やかな持ち直しの動きが見られました。
このような状況において当社は、コンデンサ事業では、EV、HVの進展によりモータ駆動インバータ平滑用のフィルムコンデンサがグローバルに採用車種の拡大を続けており、これに対応するため、日本国内と中国宿遷での増産体制構築を推進するとともに、原価改善に注力しました。また、アルミ電解コンデンサ事業においても、自動車電装用や電気自動車のオンボードチャージャー用として超高温度対応や耐振動の製品を開発するとともに、導電性高分子アルミ固体電解コンデンサや導電性高分子ハイブリッドアルミ電解コンデンサにおいて、自動車や5G市場をターゲットとした新製品開発や定格拡充を行いました。
また、当社の経営の新たな柱であるNECST事業におきましては、家庭用蓄電システムはFIT(固定価格買取制度)期間の終了、そして頻発する自然災害への備えを背景に、当社は「蓄電のニチコン」として、低炭素社会の実現に貢献するZEHに向けた太陽光発電とEVと蓄電池の3つをつなぐ「トライブリッド蓄電システム®」の拡販や、12kWh単機能蓄電システムの新製品をラインアップし、全負荷および200V対応の大容量単機能蓄電システムを開発するなど製品の充実を図りましたが、販売面では新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受けて、売上・利益が落ち込みました。一方、EV関連では、系統連系が可能になった新型V2Hシステム「EVパワー・ステーション®」やEV、PHV、FCVから電気を取り出す可搬型給電器「パワー・ムーバー®」が、電動車の普及や災害時の復旧支援への活用などから伸長しました。当社はこれらのNECST製品により、再生可能エネルギーの活用およびEV普及の促進による地球温暖化防止に寄与しており、あわせて気候変動に起因する昨今の自然災害による大規模停電においては、非常用電源として災害対策支援に貢献しました。その結果、「革新的技術開発等による温室効果ガス排出削減と災害対策における社会貢献活動」が評価され、2020年11月に令和2年度気候変動アクション環境大臣表彰を受賞しました。当社は引き続き、社会的課題の解決に向けた独自のソリューション提案活動を推進してまいります。
これらの結果、当連結会計年度の売上高は116,073百万円と前期比3.0%の減収となりました。また、利益につきましては、営業利益は1,573百万円と前期比38.3%の減益、経常利益は3,015百万円と前期比16.7%の減益、親会社株主に帰属する当期純利益は1,703百万円と前期比39.4%の減益となりました。
製品区分別売上高につきましては、電子機器用は、インバータ関連機器向けなどの売上が減少したものの、上半期に落ち込んだ車載関連機器向けが下期以降に回復したことや、情報通信機器向けが伸長したことなどにより62,644百万円と前期比0.7%の増収となりました。
電力・機器用及び応用機器は、主としてEV・HV向け機器用フィルムコンデンサの売上が増加しましたが、応用機器などの売上が減少したことになどにより15,976百万円と前期比2.3%の減収となりました。
回路製品は、V2HシステムなどのEV関連機器の売上が増加したものの、家庭用蓄電システムの売上が減少したことなどにより37,215百万円と前期比8.4%の減収となりました。
設備投資につきましては、新規事業の成長を見据えた技術・開発投資および新製品の小形リチウムイオン二次電池のラインアップ強化のほか、EV向けフィルムコンデンサの増強を中心に6,542百万円の設備投資を実施しました。
所在地別の経営成績は、次のとおりです。
a.日 本
国内においては、米中貿易摩擦や新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、アルミ電解コンデンサではインバータ関連機器向けの売上が減少したことに加え、応用機器および家庭用蓄電システムの売上も減少したことなどにより、売上高は53,373百万円と前期比9.6%の減収となりました。営業損失は、調達コストや固定費の削減を進めましたが、売上高の減収による稼働損などにより923百万円(前期は324百万円の営業利益)となりました。
b.米 国
米国地域においては、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、主に上半期においてアルミ電解コンデンサの自動車向け需要が減少したことなどにより、売上高は8,069百万円と前期比5.3%の減収となりました。営業利益は、販売コストの削減を進めた結果、292百万円と前期比52.5%の増益となりました。
c.アジア
アジア地域においては、インバータ関連機器向けの売上が減少したものの、情報通信機器向けが伸長したことなどにより、売上高は47,866百万円と前期比7.5%の増収となりました。営業利益は、製造コストの削減を進めた結果、1,911百万円と前期比50.8%の増益となりました。
d.欧州他
欧州その他の地域においては、自動車および産業機器向け需要が大幅に落ち込んだことなどにより、売上高は6,764百万円と前期比10.6%の減収となりました。営業利益は、売上高の減収などにより212百万円と前期比40.7%の減益となりました。
・所在地別の経営成績
前連結会計年度(自 2019年4月1日 至 2020年3月31日)
当連結会計年度(自 2020年4月1日 至 2021年3月31日)
・海外売上高
前連結会計年度(自 2019年4月1日 至 2020年3月31日)
当連結会計年度(自 2020年4月1日 至 2021年3月31日)
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、前連結会計年度末に比べ1,325百万円増加し19,766百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、前年に比べ2,284百万円収入が増加し7,095百万円の収入となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益が2,752百万円、減価償却費を5,245百万円を計上したことに加え、仕入債務の増加額が1,016百万円となったことなどによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、前年に比べ751百万円支出が減少し4,014百万円の支出となりました。これは主に、有価証券・投資有価証券の売却及び償還による収入が4,733百万円となりましたが、一方で、有価証券・投資有価証券の取得による支出が1,764百万円、有形固定資産の取得による支出が5,922百万円となったことなどによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、2,125百万円の支出(前年は4,982百万円の収入)となりました。これは主に、短期借入金の純増減が4,600百万円となった一方で、配当金の支払額が1,642百万円、長期借入金の返済による支出が4,672百万円となったことなどによるものです。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度(自 2020年4月1日 至 2021年3月31日)における製品区分の生産実績は、次のとおりです。
(注)1.金額は、販売価格によります。
2.上記の金額には、消費税等は含まれていません。
b.受注実績
当連結会計年度(自 2020年4月1日 至 2021年3月31日)における製品区分の受注実績は、次のとおりです。
(注)上記の金額には、消費税等は含まれていません。
c.販売実績
当連結会計年度(自 2020年4月1日 至 2021年3月31日)における製品区分の販売実績は、次のとおりです。
(注)上記の金額には、消費税等は含まれていません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
①重要な会計方針および見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づいて作成されています。連結財務諸表の作成にあたって、財政状態および経営成績に影響を与える項目は下記のとおりです。なお、当社グループの重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 4.会計方針に関する事項」に記載しています。また、連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しています。
a.固定資産の減損
当社グループは、事業用の様々な有形固定資産および無形資産を所有しています。毎期、資産または資産グループに減損が生じている可能性を示す事象(減損の兆候)があるかどうかを判定し、減損の兆候がある資産または資産グループについて、帳簿価額がこれらの資産の継続的使用と使用後の処分によって生ずると見込まれる割引前の将来キャッシュ・フローの総額を超える場合に、減損損失を認識することとしています。また、資産または資産グループの継続的使用と使用後の処分によって生ずると見込まれる将来キャッシュ・フローの割引現在価値と、正味売却価額のいずれか高い方の金額を資産の回収可能価額とし、帳簿価額が回収可能価額を上回る額を減損損失として測定しています。今後の事業計画との乖離や市況・需要の変化等によって、期待される収益やキャッシュ・フローが生み出せない可能性を示す事象(減損の兆候)が見られる場合、減損損失の計上が必要となる可能性があります。
b.貸倒引当金
当社グループは、売掛債権、貸付金等による損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権および破産更生債権については個別に回収可能性を検討し、回収不能見込額を計上しています。顧客の財政状態が悪化し、その支払能力が低下した場合は追加引当が必要となる可能性があります。
c.投資の減損
当社グループは、長期的な取引関係の維持のために、特定の顧客等および金融機関の株式を所有しています。これらの株式には価格変動性が高い上場会社の株式と、株価の決定が困難である非上場会社の株式が含まれています。当社グループは連結会計年度末において、上場会社では株価が取得価額を50%以上下落した場合、非上場会社では会社の純資産額が欠損により50%以上下落した場合に減損損失を計上しています。また、株価が取得価額の30~50%程度下落した場合には、回復可能性等を考慮して必要と認められた額について減損損失を計上しています。将来の市況悪化または投資先の経営成績不振により、減損損失の計上が必要となる可能性があります。
d.繰延税金資産の回収可能性
「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (重要な会計上の見積り) 2.繰延税金資産の回収可能性」に記載のとおりです。
e.退職給付に係る負債および年金制度
当社の退職金規程では、勤続年数3年以上の従業員については、原則として退職時に退職一時金の受給資格を有することになります。この退職給付金は、通常、勤務年数、退職の事由、退職時の算定基礎額により算出されています。
当社および一部の国内連結子会社は、従業員の退職給付に関し、確定給付型年金制度および退職一時金制度を採用しており、当社および在外連結子会社の一部につきましては、確定拠出型年金制度を採用しています。退職給付に係る負債および退職給付費用の計算は、数理計算上で設定された前提条件に基づいて算出されており、これらの前提条件には割引率、年金資産の長期期待運用収益率、将来の昇給率、退職率、死亡率などが含まれます。当社グループが使用した前提条件は妥当なものと考えていますが、実際の結果が異なる場合、または前提条件が変更された場合は、退職給付に係る負債および退職給付費用に影響を与える可能性があります。
f.製品保証引当金
当社は、製品の販売に係る一定期間内の無償サービスの費用に備えるため、当該費用の発生割合および支出実績を勘案した見積額を計上していますが、実際の製品不良率や保証費用が見積りと異なる場合には、追加の引当が必要となる可能性があります。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容
イ.財政状態の分析
当連結会計年度末の総資産は、前期末に比べて16,582百万円増加し156,008百万円(前期末比11.9%増)となりました。
流動資産は、前期末に比べて10百万円増加して77,865百万円(前期末比0.0%増)となりました。これは主に、有価証券が前期末に比べ1,578百万円減少し1,044百万円となった一方で、現金及び預金が前期末に比べて1,325百万円増加し19,766百万円となったことなどによるものです。
有形固定資産は、前期末に比べて1,739百万円増加して35,505百万円(前期末比5.2%増)となりました。これは主に、当連結会計年度における設備投資実施額が6,542百万円となり、減価償却費5,245百万円を上回ったことなどによるものです。
投資その他の資産は、前期末に比べて14,793百万円増加して41,551百万円(前期末比55.3%増)となりました。これは主に、投資有価証券が前期末に比べて14,229百万円増加して38,605百万円となったことなどによるものです。
流動負債は、前期末に比べて4,676百万円増加して41,183百万円(前期末比12.8%増)となりました。これは主に、未払費用および前受金を含むその他の流動負債が前期末に比べ1,292百万円減少し5,722百万円となった一方で、1年内返済予定の長期借入金を含む短期借入金が前期末に比べて4,600百万円増加し11,672百万円、支払手形及び買掛金が前期末に比べ1,580百万円増加し11,728百万円となったことなどによります。
固定負債は、前期末に比べて89百万円増加して25,558百万円(前期末比0.3%増)となりました。これは主に、長期借入金が前期末に比べ4,672百万円減少し1,152百万円となった一方で、繰延税金負債が前期末に比べて4,763百万円増加して7,891百万円となったことなどによるものです。
利益剰余金は、親会社株主に帰属する当期純利益1,703百万円を計上し、配当金の支払いを1,642百万円行ったことで、前期末に比べて61百万円増加して48,916百万円となりました。その他有価証券評価差額金は、前期末に比べて10,678百万円増加して18,512百万円となりました。また、為替換算調整勘定は、前期末に比べて854百万円増加して236百万円となりました。
自己株式の期末残高は、前期末に比べて0百万円増加して11,625百万円となりました。
以上の結果、純資産は前期末に比べて15.3%増加し89,266百万円となりました。
直近3事業年度の自己資本比率および時価ベースの自己資本比率は次のとおりです。
(注)1.自己資本比率:自己資本/総資産
2.時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
ロ.経営成績の分析
a.売上高
当連結会計年度の売上高は、前期に比べ3,602百万円減少し、116,073百万円(前期比3.0%減)となりました。
国内売上は、米中貿易摩擦や新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、アルミ電解コンデンサではインバータ関連機器向けの売上が減少したことに加え、応用機器および家庭用蓄電システムの売上も減少したことなどにより、売上高は52,502百万円と前期比9.7%の減収となりました。海外売上高については、アジア市場においてインバータ関連機器向けの売上が減少したものの、情報通信機器向けが伸長したことなどにより、売上高は48,730百万円と前期比7.3%の増収となりました。米州については新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、主に上半期においてアルミ電解コンデンサの自動車向け需要が減少したことなどにより、売上高は8,074百万円と前期比5.3%の減収となりました。また、欧州他は自動車および産業機器向け需要が大幅に落ち込んだことなどにより、売上高は6,766百万円と前期比10.5%の減収となり、海外市場全体では前期比3.4%の増収となりました。これらの結果、連結売上高に占める海外売上高の割合は、前期比3.4ポイント上昇し54.8%となりました。
b.売上原価・販売費及び一般管理費
当連結会計年度の売上原価は、調達コストの低減や生産性向上を図りましたが、売上高の減収による固定費負担の割合が増加したことなどにより、前期に比べ2,277百万円減少し99,185百万円(前期比2.2%減)となり、売上原価率は前期比0.7ポイント上昇して85.5%となりました。
販売費及び一般管理費は、前期に比べ349百万円減少し15,314百万円(前期比2.2%減)となりました。この結果、売上高販管費比率は前期比0.1ポイント上昇して13.2%となりました。
c.営業利益と親会社株主に帰属する当期純利益
当連結会計年度の営業利益は、上記a.およびb.の結果、前期に比べ975百万円減少し1,573百万円(前期比38.3%減)となりました。
営業外損益項目では、助成金収入を513百万円計上したことなどにより、経常利益は前期に比べ605百万円減少し3,015百万円(前期比16.7%減)となりました。
特別損益項目では、特別利益として投資有価証券売却益を289百万円(前期は218百万円)計上し、特別損失には、新型コロナウイルス感染症による損失469百万円を計上しました。この結果、親会社株主に帰属する当期純利益は前期に比べ1,108百万円減少し1,703百万円(前期比39.4%減)となりました。
ハ.キャッシュ・フローの状況の分析
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、前連結会計年度末に比べ1,325百万円増加し19,766百万円となりました。
変動要因は「第2 事業の状況 3経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。
なお、営業活動によるキャッシュ・フローから投資活動によるキャッシュ・フローを差し引いたフリー・キャッシュ・フローは、3,081百万円となりました。資金調達の方法および状況ならびに資金需要の動向については次項「ニ.資本の財源及び資金の流動性」に記載のとおりです。
ニ.資本の財源及び資金の流動性
当社グループの主な資金需要は、設備投資、改修等に係る投資資金や、当社製品製造のための人件費や経費、材料および部品などの製造費用、研究開発費を含む販売費及び一般管理費等の運転資金です。
これらに必要な資金の主な源泉は、営業活動によるキャッシュ・フロー、金融機関からの借入による資金調達および社債の発行により対応します。当連結会計年度においては、新型コロナウイルス感染症の影響拡大に備えた手許資金や短期の運転資金の確保のため、金融機関から短期借入金4,600百万円を調達しました。
当社グループは、手許資金ならびに直接・間接金融による資金調達を実施し、事業の拡大に必要な資金の流動性を確保できるものと考えています。
ホ.経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
翌期(2022年3月期)の経済環境の見通しは、引き続き新型コロナウイルス感染症拡大に伴う世界経済への影響や米中対立の長期化により先行きの不透明感と不確実性が高い状況が続いています。
当社グループにおいては、重点4市場と位置付ける「エネルギー・環境・医療機器」「自動車・車両関連機器」「白物家電・産業用インバータ機器」「情報通信機器」の各市場ともに、半導体不足などによるサプライチェーンの混乱や素材価格の上昇基調があるものの、カーボンニュートラルの動きの加速により需要は拡大する見通しです。
当連結会計年度の計画の達成状況は以下のとおりです。
(百万円)
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社および持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概況は次のとおりです。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受け、経済・社会活動が停滞し消費が大きく落ち込みました。また、海外経済の悪化による外需の落ち込みにより設備投資が低調に推移するなど厳しい状況に陥りました。第2四半期以降徐々に経済活動が上向きましたが、変異株による感染の再拡大がみられるなど、先行きが不透明な状況が続きました。米国経済は、政府による景気対策が講じられ経済活動の再開の動きにより企業業績が持ち直していますが、米中対立などの影響から本格的な回復基調には至っておりません。欧州経済は、個人消費や企業業績が大幅に悪化し、景気の先行きに一段と不透明感が増しました。中国経済は、いち早く新型コロナウイルス感染症拡大を抑え込み、経済活動を再開し、緩やかな持ち直しの動きが見られました。
このような状況において当社は、コンデンサ事業では、EV、HVの進展によりモータ駆動インバータ平滑用のフィルムコンデンサがグローバルに採用車種の拡大を続けており、これに対応するため、日本国内と中国宿遷での増産体制構築を推進するとともに、原価改善に注力しました。また、アルミ電解コンデンサ事業においても、自動車電装用や電気自動車のオンボードチャージャー用として超高温度対応や耐振動の製品を開発するとともに、導電性高分子アルミ固体電解コンデンサや導電性高分子ハイブリッドアルミ電解コンデンサにおいて、自動車や5G市場をターゲットとした新製品開発や定格拡充を行いました。
また、当社の経営の新たな柱であるNECST事業におきましては、家庭用蓄電システムはFIT(固定価格買取制度)期間の終了、そして頻発する自然災害への備えを背景に、当社は「蓄電のニチコン」として、低炭素社会の実現に貢献するZEHに向けた太陽光発電とEVと蓄電池の3つをつなぐ「トライブリッド蓄電システム®」の拡販や、12kWh単機能蓄電システムの新製品をラインアップし、全負荷および200V対応の大容量単機能蓄電システムを開発するなど製品の充実を図りましたが、販売面では新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受けて、売上・利益が落ち込みました。一方、EV関連では、系統連系が可能になった新型V2Hシステム「EVパワー・ステーション®」やEV、PHV、FCVから電気を取り出す可搬型給電器「パワー・ムーバー®」が、電動車の普及や災害時の復旧支援への活用などから伸長しました。当社はこれらのNECST製品により、再生可能エネルギーの活用およびEV普及の促進による地球温暖化防止に寄与しており、あわせて気候変動に起因する昨今の自然災害による大規模停電においては、非常用電源として災害対策支援に貢献しました。その結果、「革新的技術開発等による温室効果ガス排出削減と災害対策における社会貢献活動」が評価され、2020年11月に令和2年度気候変動アクション環境大臣表彰を受賞しました。当社は引き続き、社会的課題の解決に向けた独自のソリューション提案活動を推進してまいります。
これらの結果、当連結会計年度の売上高は116,073百万円と前期比3.0%の減収となりました。また、利益につきましては、営業利益は1,573百万円と前期比38.3%の減益、経常利益は3,015百万円と前期比16.7%の減益、親会社株主に帰属する当期純利益は1,703百万円と前期比39.4%の減益となりました。
製品区分別売上高につきましては、電子機器用は、インバータ関連機器向けなどの売上が減少したものの、上半期に落ち込んだ車載関連機器向けが下期以降に回復したことや、情報通信機器向けが伸長したことなどにより62,644百万円と前期比0.7%の増収となりました。
電力・機器用及び応用機器は、主としてEV・HV向け機器用フィルムコンデンサの売上が増加しましたが、応用機器などの売上が減少したことになどにより15,976百万円と前期比2.3%の減収となりました。
回路製品は、V2HシステムなどのEV関連機器の売上が増加したものの、家庭用蓄電システムの売上が減少したことなどにより37,215百万円と前期比8.4%の減収となりました。
設備投資につきましては、新規事業の成長を見据えた技術・開発投資および新製品の小形リチウムイオン二次電池のラインアップ強化のほか、EV向けフィルムコンデンサの増強を中心に6,542百万円の設備投資を実施しました。
所在地別の経営成績は、次のとおりです。
a.日 本
国内においては、米中貿易摩擦や新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、アルミ電解コンデンサではインバータ関連機器向けの売上が減少したことに加え、応用機器および家庭用蓄電システムの売上も減少したことなどにより、売上高は53,373百万円と前期比9.6%の減収となりました。営業損失は、調達コストや固定費の削減を進めましたが、売上高の減収による稼働損などにより923百万円(前期は324百万円の営業利益)となりました。
b.米 国
米国地域においては、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、主に上半期においてアルミ電解コンデンサの自動車向け需要が減少したことなどにより、売上高は8,069百万円と前期比5.3%の減収となりました。営業利益は、販売コストの削減を進めた結果、292百万円と前期比52.5%の増益となりました。
c.アジア
アジア地域においては、インバータ関連機器向けの売上が減少したものの、情報通信機器向けが伸長したことなどにより、売上高は47,866百万円と前期比7.5%の増収となりました。営業利益は、製造コストの削減を進めた結果、1,911百万円と前期比50.8%の増益となりました。
d.欧州他
欧州その他の地域においては、自動車および産業機器向け需要が大幅に落ち込んだことなどにより、売上高は6,764百万円と前期比10.6%の減収となりました。営業利益は、売上高の減収などにより212百万円と前期比40.7%の減益となりました。
・所在地別の経営成績
前連結会計年度(自 2019年4月1日 至 2020年3月31日)
| 日本 (百万円) | 米国 (百万円) | アジア (百万円) | 欧州他 (百万円) | 計 (百万円) | 消去又は 全社 (百万円) | 連結 (百万円) | |
| 売上高 | |||||||
| (1)外部顧客に対する売上高 | 59,064 | 8,517 | 44,531 | 7,562 | 119,675 | - | 119,675 |
| (2)所在地間の内部売上高又は振替高 | 31,765 | 0 | 7,367 | - | 39,133 | △39,133 | - |
| 計 | 90,830 | 8,517 | 51,899 | 7,562 | 158,809 | △39,133 | 119,675 |
| 営業利益 | 324 | 191 | 1,267 | 358 | 2,141 | 407 | 2,549 |
当連結会計年度(自 2020年4月1日 至 2021年3月31日)
| 日本 (百万円) | 米国 (百万円) | アジア (百万円) | 欧州他 (百万円) | 計 (百万円) | 消去又は 全社 (百万円) | 連結 (百万円) | |
| 売上高 | |||||||
| (1)外部顧客に対する売上高 | 53,373 | 8,069 | 47,866 | 6,764 | 116,073 | - | 116,073 |
| (2)所在地間の内部売上高又は振替高 | 34,422 | 2 | 9,445 | - | 43,870 | △43,870 | - |
| 計 | 87,796 | 8,072 | 57,311 | 6,764 | 159,944 | △43,870 | 116,073 |
| 営業利益または 営業損失(△) | △923 | 292 | 1,911 | 212 | 1,492 | 81 | 1,573 |
・海外売上高
前連結会計年度(自 2019年4月1日 至 2020年3月31日)
| 米州 | アジア | 欧州他 | 計 | |
| Ⅰ 海外売上高(百万円) | 8,522 | 45,414 | 7,564 | 61,501 |
| Ⅱ 連結売上高(百万円) | 119,675 | |||
| Ⅲ 連結売上高に占める海外売上高の割合(%) | 7.2 | 37.9 | 6.3 | 51.4 |
当連結会計年度(自 2020年4月1日 至 2021年3月31日)
| 米州 | アジア | 欧州他 | 計 | |
| Ⅰ 海外売上高(百万円) | 8,074 | 48,730 | 6,766 | 63,571 |
| Ⅱ 連結売上高(百万円) | 116,073 | |||
| Ⅲ 連結売上高に占める海外売上高の割合(%) | 7.0 | 42.0 | 5.8 | 54.8 |
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、前連結会計年度末に比べ1,325百万円増加し19,766百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、前年に比べ2,284百万円収入が増加し7,095百万円の収入となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益が2,752百万円、減価償却費を5,245百万円を計上したことに加え、仕入債務の増加額が1,016百万円となったことなどによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、前年に比べ751百万円支出が減少し4,014百万円の支出となりました。これは主に、有価証券・投資有価証券の売却及び償還による収入が4,733百万円となりましたが、一方で、有価証券・投資有価証券の取得による支出が1,764百万円、有形固定資産の取得による支出が5,922百万円となったことなどによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、2,125百万円の支出(前年は4,982百万円の収入)となりました。これは主に、短期借入金の純増減が4,600百万円となった一方で、配当金の支払額が1,642百万円、長期借入金の返済による支出が4,672百万円となったことなどによるものです。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度(自 2020年4月1日 至 2021年3月31日)における製品区分の生産実績は、次のとおりです。
| 製品区分 | 当連結会計年度(百万円) | 前期比(%) |
| 電子機器用 | 62,853 | 106.2 |
| 電力・機器用及び応用機器 | 15,699 | 94.4 |
| 回路製品 | 36,824 | 88.3 |
| その他 | 237 | 49.7 |
| 合計 | 115,614 | 98.0 |
(注)1.金額は、販売価格によります。
2.上記の金額には、消費税等は含まれていません。
b.受注実績
当連結会計年度(自 2020年4月1日 至 2021年3月31日)における製品区分の受注実績は、次のとおりです。
| 製品区分 | 受注高(百万円) | 前期比(%) | 受注残高(百万円) | 前期末比(%) |
| 電子機器用 | 77,989 | 129.0 | 28,010 | 221.2 |
| 電力・機器用及び応用機器 | 16,404 | 98.6 | 4,247 | 111.2 |
| 回路製品 | 37,429 | 90.0 | 4,325 | 105.2 |
| その他 | 331 | 62.5 | 342 | 138.1 |
| 合計 | 132,155 | 110.9 | 36,925 | 177.2 |
(注)上記の金額には、消費税等は含まれていません。
c.販売実績
当連結会計年度(自 2020年4月1日 至 2021年3月31日)における製品区分の販売実績は、次のとおりです。
| 製品区分 | 当連結会計年度(百万円) | 前期比(%) |
| 電子機器用 | 62,644 | 100.7 |
| 電力・機器用及び応用機器 | 15,976 | 97.7 |
| 回路製品 | 37,215 | 91.6 |
| その他 | 237 | 49.7 |
| 合計 | 116,073 | 97.0 |
(注)上記の金額には、消費税等は含まれていません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
①重要な会計方針および見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づいて作成されています。連結財務諸表の作成にあたって、財政状態および経営成績に影響を与える項目は下記のとおりです。なお、当社グループの重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 4.会計方針に関する事項」に記載しています。また、連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しています。
a.固定資産の減損
当社グループは、事業用の様々な有形固定資産および無形資産を所有しています。毎期、資産または資産グループに減損が生じている可能性を示す事象(減損の兆候)があるかどうかを判定し、減損の兆候がある資産または資産グループについて、帳簿価額がこれらの資産の継続的使用と使用後の処分によって生ずると見込まれる割引前の将来キャッシュ・フローの総額を超える場合に、減損損失を認識することとしています。また、資産または資産グループの継続的使用と使用後の処分によって生ずると見込まれる将来キャッシュ・フローの割引現在価値と、正味売却価額のいずれか高い方の金額を資産の回収可能価額とし、帳簿価額が回収可能価額を上回る額を減損損失として測定しています。今後の事業計画との乖離や市況・需要の変化等によって、期待される収益やキャッシュ・フローが生み出せない可能性を示す事象(減損の兆候)が見られる場合、減損損失の計上が必要となる可能性があります。
b.貸倒引当金
当社グループは、売掛債権、貸付金等による損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権および破産更生債権については個別に回収可能性を検討し、回収不能見込額を計上しています。顧客の財政状態が悪化し、その支払能力が低下した場合は追加引当が必要となる可能性があります。
c.投資の減損
当社グループは、長期的な取引関係の維持のために、特定の顧客等および金融機関の株式を所有しています。これらの株式には価格変動性が高い上場会社の株式と、株価の決定が困難である非上場会社の株式が含まれています。当社グループは連結会計年度末において、上場会社では株価が取得価額を50%以上下落した場合、非上場会社では会社の純資産額が欠損により50%以上下落した場合に減損損失を計上しています。また、株価が取得価額の30~50%程度下落した場合には、回復可能性等を考慮して必要と認められた額について減損損失を計上しています。将来の市況悪化または投資先の経営成績不振により、減損損失の計上が必要となる可能性があります。
d.繰延税金資産の回収可能性
「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (重要な会計上の見積り) 2.繰延税金資産の回収可能性」に記載のとおりです。
e.退職給付に係る負債および年金制度
当社の退職金規程では、勤続年数3年以上の従業員については、原則として退職時に退職一時金の受給資格を有することになります。この退職給付金は、通常、勤務年数、退職の事由、退職時の算定基礎額により算出されています。
当社および一部の国内連結子会社は、従業員の退職給付に関し、確定給付型年金制度および退職一時金制度を採用しており、当社および在外連結子会社の一部につきましては、確定拠出型年金制度を採用しています。退職給付に係る負債および退職給付費用の計算は、数理計算上で設定された前提条件に基づいて算出されており、これらの前提条件には割引率、年金資産の長期期待運用収益率、将来の昇給率、退職率、死亡率などが含まれます。当社グループが使用した前提条件は妥当なものと考えていますが、実際の結果が異なる場合、または前提条件が変更された場合は、退職給付に係る負債および退職給付費用に影響を与える可能性があります。
f.製品保証引当金
当社は、製品の販売に係る一定期間内の無償サービスの費用に備えるため、当該費用の発生割合および支出実績を勘案した見積額を計上していますが、実際の製品不良率や保証費用が見積りと異なる場合には、追加の引当が必要となる可能性があります。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容
イ.財政状態の分析
当連結会計年度末の総資産は、前期末に比べて16,582百万円増加し156,008百万円(前期末比11.9%増)となりました。
流動資産は、前期末に比べて10百万円増加して77,865百万円(前期末比0.0%増)となりました。これは主に、有価証券が前期末に比べ1,578百万円減少し1,044百万円となった一方で、現金及び預金が前期末に比べて1,325百万円増加し19,766百万円となったことなどによるものです。
有形固定資産は、前期末に比べて1,739百万円増加して35,505百万円(前期末比5.2%増)となりました。これは主に、当連結会計年度における設備投資実施額が6,542百万円となり、減価償却費5,245百万円を上回ったことなどによるものです。
投資その他の資産は、前期末に比べて14,793百万円増加して41,551百万円(前期末比55.3%増)となりました。これは主に、投資有価証券が前期末に比べて14,229百万円増加して38,605百万円となったことなどによるものです。
流動負債は、前期末に比べて4,676百万円増加して41,183百万円(前期末比12.8%増)となりました。これは主に、未払費用および前受金を含むその他の流動負債が前期末に比べ1,292百万円減少し5,722百万円となった一方で、1年内返済予定の長期借入金を含む短期借入金が前期末に比べて4,600百万円増加し11,672百万円、支払手形及び買掛金が前期末に比べ1,580百万円増加し11,728百万円となったことなどによります。
固定負債は、前期末に比べて89百万円増加して25,558百万円(前期末比0.3%増)となりました。これは主に、長期借入金が前期末に比べ4,672百万円減少し1,152百万円となった一方で、繰延税金負債が前期末に比べて4,763百万円増加して7,891百万円となったことなどによるものです。
利益剰余金は、親会社株主に帰属する当期純利益1,703百万円を計上し、配当金の支払いを1,642百万円行ったことで、前期末に比べて61百万円増加して48,916百万円となりました。その他有価証券評価差額金は、前期末に比べて10,678百万円増加して18,512百万円となりました。また、為替換算調整勘定は、前期末に比べて854百万円増加して236百万円となりました。
自己株式の期末残高は、前期末に比べて0百万円増加して11,625百万円となりました。
以上の結果、純資産は前期末に比べて15.3%増加し89,266百万円となりました。
直近3事業年度の自己資本比率および時価ベースの自己資本比率は次のとおりです。
| 2019年3月期 | 2020年3月期 | 2021年3月期 | |
| 自己資本比率(%) | 56.6 | 54.2 | 55.9 |
| 時価ベースの 自己資本比率(%) | 50.5 | 33.2 | 49.2 |
(注)1.自己資本比率:自己資本/総資産
2.時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
ロ.経営成績の分析
a.売上高
当連結会計年度の売上高は、前期に比べ3,602百万円減少し、116,073百万円(前期比3.0%減)となりました。
国内売上は、米中貿易摩擦や新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、アルミ電解コンデンサではインバータ関連機器向けの売上が減少したことに加え、応用機器および家庭用蓄電システムの売上も減少したことなどにより、売上高は52,502百万円と前期比9.7%の減収となりました。海外売上高については、アジア市場においてインバータ関連機器向けの売上が減少したものの、情報通信機器向けが伸長したことなどにより、売上高は48,730百万円と前期比7.3%の増収となりました。米州については新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、主に上半期においてアルミ電解コンデンサの自動車向け需要が減少したことなどにより、売上高は8,074百万円と前期比5.3%の減収となりました。また、欧州他は自動車および産業機器向け需要が大幅に落ち込んだことなどにより、売上高は6,766百万円と前期比10.5%の減収となり、海外市場全体では前期比3.4%の増収となりました。これらの結果、連結売上高に占める海外売上高の割合は、前期比3.4ポイント上昇し54.8%となりました。
b.売上原価・販売費及び一般管理費
当連結会計年度の売上原価は、調達コストの低減や生産性向上を図りましたが、売上高の減収による固定費負担の割合が増加したことなどにより、前期に比べ2,277百万円減少し99,185百万円(前期比2.2%減)となり、売上原価率は前期比0.7ポイント上昇して85.5%となりました。
販売費及び一般管理費は、前期に比べ349百万円減少し15,314百万円(前期比2.2%減)となりました。この結果、売上高販管費比率は前期比0.1ポイント上昇して13.2%となりました。
c.営業利益と親会社株主に帰属する当期純利益
当連結会計年度の営業利益は、上記a.およびb.の結果、前期に比べ975百万円減少し1,573百万円(前期比38.3%減)となりました。
営業外損益項目では、助成金収入を513百万円計上したことなどにより、経常利益は前期に比べ605百万円減少し3,015百万円(前期比16.7%減)となりました。
特別損益項目では、特別利益として投資有価証券売却益を289百万円(前期は218百万円)計上し、特別損失には、新型コロナウイルス感染症による損失469百万円を計上しました。この結果、親会社株主に帰属する当期純利益は前期に比べ1,108百万円減少し1,703百万円(前期比39.4%減)となりました。
ハ.キャッシュ・フローの状況の分析
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、前連結会計年度末に比べ1,325百万円増加し19,766百万円となりました。
変動要因は「第2 事業の状況 3経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。
なお、営業活動によるキャッシュ・フローから投資活動によるキャッシュ・フローを差し引いたフリー・キャッシュ・フローは、3,081百万円となりました。資金調達の方法および状況ならびに資金需要の動向については次項「ニ.資本の財源及び資金の流動性」に記載のとおりです。
ニ.資本の財源及び資金の流動性
当社グループの主な資金需要は、設備投資、改修等に係る投資資金や、当社製品製造のための人件費や経費、材料および部品などの製造費用、研究開発費を含む販売費及び一般管理費等の運転資金です。
これらに必要な資金の主な源泉は、営業活動によるキャッシュ・フロー、金融機関からの借入による資金調達および社債の発行により対応します。当連結会計年度においては、新型コロナウイルス感染症の影響拡大に備えた手許資金や短期の運転資金の確保のため、金融機関から短期借入金4,600百万円を調達しました。
当社グループは、手許資金ならびに直接・間接金融による資金調達を実施し、事業の拡大に必要な資金の流動性を確保できるものと考えています。
ホ.経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
翌期(2022年3月期)の経済環境の見通しは、引き続き新型コロナウイルス感染症拡大に伴う世界経済への影響や米中対立の長期化により先行きの不透明感と不確実性が高い状況が続いています。
当社グループにおいては、重点4市場と位置付ける「エネルギー・環境・医療機器」「自動車・車両関連機器」「白物家電・産業用インバータ機器」「情報通信機器」の各市場ともに、半導体不足などによるサプライチェーンの混乱や素材価格の上昇基調があるものの、カーボンニュートラルの動きの加速により需要は拡大する見通しです。
当連結会計年度の計画の達成状況は以下のとおりです。
(百万円)
| 指標 | 当連結会計年度 (計画) | 当連結会計年度 (実績) | 当連結会計年度 (計画比) |
| 売上高 | 116,000 | 116,073 | ( 0.1%) |
| 営業利益 | 1,600 | 1,573 | ( △1.6%) |
| 経常利益 | 2,500 | 3,015 | ( 20.6%) |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 1,750 | 1,703 | ( △2.7%) |