有価証券報告書-第30期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)

【提出】
2019/06/28 10:57
【資料】
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【項目】
137項目
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は以下のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国の経済は、雇用環境や所得環境の改善などを背景として緩やかな回復基調で推移いたしました。しかしながら米中間の通商問題の動向が世界経済に与える影響や、中国をはじめとする海外経済の不確実性の高まりなど、依然として先行き不透明な状況が続いております。
また、広告業界における総広告費についても、持続する緩やかな景気回復に伴い、インターネット広告費の好調が全体を押し上げる形で、前年比102.2%となりました。媒体別では、マスコミ四媒体広告費が引き続き前年より減少しましたが、インターネット広告費は運用型広告、動画広告の成長がさらに加速し全体を牽引する形となりました。屋外広告費については前年並の推移となりました。
このような環境の下、当社は安定的な収益が確保できる体制を強化するため、デジタルサイネージ関連事業において、DPS-150等の機器リース、コンテンツ及びメンテナンスといった安定収益事業を中心に展開してまいりました。また、安定収益がメインとなるデジタルプロモーション株式会社が運営するValue creating事業においても、積極的に拡大展開を図ってまいりました。
これらの結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
a.財政状態
(資産の部)
当連結会計年度末における資産の額は、1,419,658千円となり、前連結会計年度末と比べ71,627千円の増加となりました。増加の主な要因は、レンタル資産は減少したものの、現金及び預金、建設仮勘定が増加したことによるものであります。
(負債の部)
当連結会計年度末における負債の額は、851,440千円となり、前連結会計年度末と比べ46,359千円の増加となりました。増加の主な要因は、1年内償還予定の社債は減少したものの、買掛金、1年内返済予定の長期借入金が増加したことによるものであります。
(純資産の部)
当連結会計年度末における純資産の額は、568,217千円となり、前連結会計年度末と比べ25,267千円の増加となりました。増加の主な要因は、資本金、利益剰余金が増加したことによるものであります。

b.経営成績
当連結会計年度における業績は、売上高1,005,127千円と前年同期と比べ107,179千円(11.9%)の増収、営業利益は、13,270千円と前年同期と比べ5,918千円(30.8%)の減益、経常利益は、5,257千円と前年同期と比べ5,448千円(50.9%)の減益、親会社株主に帰属する当期純利益は10,498千円と前年同期と比べ4,260千円(28.9%)の減益なりました。
当連結会計年度における各セグメントの経営成績は、次のとおりです。
(a)デジタルサイネージ関連事業
機器リース、運営につきましては、長期契約による収益安定事業であることから、今後も安定的な収益が見込めており、その中でも簡易映像制作ソフトiTemPoが堅調に推移しました。
情報機器につきましては、従来からの市場であるパチンコホール業界においては、引き続き投資抑制傾向にありますが、製品の低価格化、オリンピック需要などを背景とした、新規市場の開拓が順調に推移し、全体としては低調ながらも、安定的に推移いたしました。
以上の結果、デジタルサイネージ関連事業は売上高961,541千円(前年同期比10.7%増)、セグメント利益40,884千円(同1.2%減)となりました。
(b)Value creating事業
デジタルプロモーション株式会社が運営するValue creating事業につきましては、SNSと大型LED表示機を連動して地域に特化した販促、広告、マーケティングシステムの運営を行っており、当事業を推進するにあたり、SNSサイトを立ち上げる毎に、地域エリアに特化したデータベースやマーケティングが必要になること等により初期段階での投資が先行するビジネス形態となっております。その様な状況の中、当事業のユーザーの反応が良いことから、拡大展開を積極的に進めていることもあり、費用が先行、想定以上の損失となりました。
そのため、Value creating事業は、売上高43,585千円(前年同期比48.7%増)、セグメント損失27,614千円(前年同期は22,211千円のセグメント損失)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金および現金同等物は、前連結会計年度末に比べ54,562千円増の912,392千円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、以下のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
税金等調整前当期純利益5,257千円の計上や減価償却費57,462千円の計上、仕入債務の増加額30,784千円等の影響により、95,127千円の収入(前年同期は130,120千円の収入)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
リース資産等の有形固定資産の取得による支出65,159千円等により、72,640千円の支出(前年同期は27,158千円の支出)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
長期借入金の返済による支出267,492千円及び社債の償還による支出30,000千円等があったものの、長期借入による収入300,000千円及び新株予約権の行使による株式の発行による収入19,550千円等により、32,075千円の収入(前年同期は80,388千円の収入)となりました。
③生産、受注及び販売の状況
a.生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称第30期
(自 2018年4月1日
至 2019年3月31日)
生産高(千円)前期比(%)
デジタルサイネージ関連事業38,598170.1
Value creating事業
合計38,598170.1

(注) 1 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2 上記の金額には、工事加工費が含まれております。
b.仕入実績
当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称第30期
(自 2018年4月1日
至 2019年3月31日)
仕入高(千円)前期比(%)
デジタルサイネージ関連事業246,911152.6
Value creating事業
合計246,911152.6

(注) 1 金額は、仕入価格によっております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
c.受注実績
当社グループは、一部受注生産しておりますが、基本的には代理店、ユーザー等から入手する設備投資情報に基づく見込生産を行っております。
d.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称第30期
(自 2018年4月1日
至 2019年3月31日)
販売高(千円)前期比(%)
デジタルサイネージ関連事業961,541110.7
Value creating事業43,585148.7
合計1,005,127111.9

(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合
相手先前連結会計年度当連結会計年度
金額(千円)割合(%)金額(千円)割合(%)
株式会社王将フードサービス113,42911.3

3 金額には消費税等は含まれておりません。
4 前連結会計年度における株式会社王将フードサービスの販売実績は総販売実績に対する割合が10%未満であるため、記載しておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づいて作成されています。この連結財務諸表の作成にあたっては、当連結会計年度における財務状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与えるような見積り、予測を必要としております。当社グループは、過去の実績値や状況を踏まえ合理的と判断される前提に基づき、継続的に見積り、予測を行っております。そのため実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
②資本の財源及び資金の流動性
当社グループの資金需要の主なものは、商品の購入、リース資産等の設備投資及びソフトウェア・コンテンツ開発によるものであります。
中長期的に安定した成長を遂げるため、「デジタルサイネージ関連事業」「Value creating事業」の両事業において、ソフトウェア・コンテンツの開発が必要と考えており、今後の機動的な開発投資に備えるべく、当面は相応の現預金を保有しておく必要があると認識しております。そのため、財務基盤を強化するとともに、長期借入により必要資金を調達することを考えております。
なお、当連結会計年度末の借入金総額691,042千円に対し、現金及び預金は912,392千円であります。
③当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの重要な経営指標であるROA・ROEについて、当連結会計年度の実績は次のとおりであります。
指標第29期
(前連結会計年度)
第30期
(当連結会計年度)
前年同期比
ROA0.8%0.4%△0.4%
ROE2.8%1.9%△0.9%

当連結会計年度の実績については、デジタルサイネージ関連事業は堅調に推移したものの、Value creating事業において、初期投資・環境整備を行ったことなどにより、ROA、ROEともに低調な結果となりました。
両指標に共通する売上収益率、総資産回転率の改善を図り、ROEに関しては、一定水準以下の財務レバレッジ(一定水準以上の自己資本比率)の中で最適値を検討し、中長期的に資本コストを上回るROEを目指してまいります。
具体的な経営戦略につきましては、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)中長期的な経営戦略」をご参照下さい。