有価証券報告書-第31期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)

【提出】
2020/06/29 15:20
【資料】
PDFをみる
【項目】
137項目
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は以下のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国の経済は、米中、米朝等の国際情勢に起因した海外景気の先行き不透明な状況が続いている中、国内においては雇用の改善、改元効果や消費税増税による駆け込み需要など、緩やかな回復基調で推移しておりました。しかしながら、第4四半期より発生した新型コロナウイルスの感染拡大による経済への影響により先行きが不透明な状況となっております。
また、広告業界における総広告費については、6年連続で2桁成長を遂げているインターネット広告費が全体を押し上げる形で、前年比106.2%となりました。媒体別では、マスコミ四媒体広告費が前年より減少しましたが、インターネット広告費は大型プラットフォーマーを中心に堅調な伸びが続いており、屋外広告費についても前年比微増となりました。
このような環境の下、当社は安定的な収益が確保できる体制を強化するため、デジタルサイネージ関連事業において、機器リース、運営といった安定収益事業、新たなデジタルサイネージマーケットの開拓を中心に展開してまいりました。また、デジタルプロモーション株式会社が運営するValue creating事業においても、積極的に拡大展開を図ってまいりました。
しかしながら、第4四半期に発生した新型コロナウイルス感染拡大の影響等による売上高の減少や、2020年3月19日に開示しましたとおり、事業構造改革に伴う特別損失の計上をしたことから、期初の想定を下回る結果となりました。
これらの結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
a.財政状態
(資産の部)
当連結会計年度末における資産の額は、1,353,669千円となり、前連結会計年度末と比べ65,988千円の減少となりました。減少の主な要因は、減損損失の計上によりレンタル資産が減少したことによるものであります。
(負債の部)
当連結会計年度末における負債の額は、971,949千円となり、前連結会計年度末と比べ120,509千円の増加となりました。増加の主な要因は、長期借入金が増加したことによるものであります。
(純資産の部)
当連結会計年度末における純資産の額は、381,719千円となり、前連結会計年度末と比べ186,497千円の減少となりました。減少の主な要因は、親会社株主に帰属する当期純損失の計上により利益剰余金が減少したことによるものであります。

b.経営成績
当連結会計年度における業績は、売上高815,203千円と前年同期と比べ189,924千円(18.9%減)の減収、営業損失は、121,891千円と前年同期と比べ135,162千円の減益、経常損失は、130,067千円と前年同期と比べ135,324千円の減益、親会社株主に帰属する当期純損失は202,899千円と前年同期と比べ213,397千円の減益なりました。
当連結会計年度における各セグメントの経営成績は、次のとおりです。
(a)デジタルサイネージ関連事業
機器リース、運営部門につきましては、長期契約による収益安定事業であることから、安定的な推移となりました。
情報機器部門につきましては、上述のとおり新型コロナウイルス感染拡大の影響等により、低調な結果となりました。
以上の結果、デジタルサイネージ関連事業は売上高753,456千円(前年同期比21.6%減)、セグメント損失103,015千円(前年同期は40,884千円のセグメント利益)となりました。
(b)Value creating事業
デジタルプロモーション株式会社が運営するValue creating事業につきましては、SNSと大型LED表示機を連動して地域に特化した販促、広告、マーケティングシステムの運営を行っており、当事業を推進するにあたり、SNSサイトを立ち上げる毎に、地域エリアに特化したデータベースやマーケティングが必要になること等により初期段階での投資が先行するビジネス形態となっております。その様な状況の中、自動車ディーラーや商業施設などを中心に拡大展開を進めておりますが、現時点ではまだ費用が先行しており、損失を計上することとなりました。
以上の結果、Value creating事業は、売上高61,746千円(前年同期比41.7%増)、セグメント損失18,876千円(前年同期は27,614千円のセグメント損失)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金および現金同等物は、前連結会計年度末に比べ48,600千円増の960,993千円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、以下のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
減価償却費52,190千円の計上や減損損失48,006千円の計上があったものの、税金等調整前当期純損失205,066千円等により、88,366千円の支出(前年同期は95,127千円の収入)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
工具、器具及び備品等の有形固定資産の取得による支出27,176千円等により、31,518千円の支出(前年同期は72,640千円の支出)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
長期借入金の返済による支出321,293千円等があったものの、長期借入による収入450,000千円等により、168,486千円の収入(前年同期は32,075千円の収入)となりました。
③生産、受注及び販売の状況
a.生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称第31期
(自 2019年4月1日
至 2020年3月31日)
生産高(千円)前期比(%)
デジタルサイネージ関連事業3,92210.1
Value creating事業
合計3,92210.1

(注) 1 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2 上記の金額には、工事加工費が含まれております。
b.仕入実績
当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称第31期
(自 2019年4月1日
至 2020年3月31日)
仕入高(千円)前期比(%)
デジタルサイネージ関連事業197,08879.8
Value creating事業
合計197,08879.8

(注) 1 金額は、仕入価格によっております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
c.受注実績
当社グループは、一部受注生産しておりますが、基本的には代理店、ユーザー等から入手する設備投資情報に基づく見込生産を行っております。
d.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称第31期(自 2019年4月1日 至 2020年3月31日)
販売高(千円)前期比(%)
デジタルサイネージ関連事業753,45678.4
Value creating事業61,746141.7
合計815,20381.1

(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合
相手先前連結会計年度当連結会計年度
金額(千円)割合(%)金額(千円)割合(%)
アイリスオーヤマ株式会社113,09613.9
株式会社王将フードサービス113,42911.3

3 金額には消費税等は含まれておりません。
4 前連結会計年度におけるアイリスオーヤマ株式会社に対する販売実績及び当連結会計年度における株式会社王将フードサービスに対する販売実績は、総販売実績に対する割合が10%未満であるため、記載しておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
また、新型コロナウイルス感染症拡大によりわが国の経済への影響が生じております。現時点では当社グループへの影響は軽微と予測しておりますが、今後の拡大状況次第では、財政状態及び経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。
①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づいて作成されています。この連結財務諸表の作成にあたっては、当連結会計年度における財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与えるような見積り、予測を必要としております。当社グループは、過去の実績値や状況を踏まえ合理的と判断される前提に基づき、継続的に見積り、予測を行っております。そのため実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。特に以下の事項は、会計上の見積りの判断が財政状態及び経営成績に重要な影響を及ぼすと考えております。
(固定資産の減損)
減損損失の算定にあたっては、継続的に収支の把握を行っている管理会計上の区分を基礎として資産のグルーピングを行い、遊休資産については当該資産単独でグルーピングをしています。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定に当たっては、将来キャッシュ・フローの見積額を用いた回収可能額により検討しております。
将来キャッシュ・フローの見積額は事業計画や市場環境を基に慎重に検討しておりますが、その前提とした条件や仮定に変化が生じ減少した場合、減損処理が必要となる可能性があります。
②資本の財源及び資金の流動性
当社グループの資金需要の主なものは、商品の購入、リース資産等の設備投資及びソフトウェア・コンテンツ開発によるものであります。
中長期的に安定した成長を遂げるため、「デジタルサイネージ関連事業」「Value creating事業」の両事業において、ソフトウェア・コンテンツの開発が必要と考えており、今後の機動的な開発投資に備えるべく、当面は相応の現預金を保有しておく必要があると認識しております。そのため、財務基盤を強化するとともに、長期借入により必要資金を調達することを考えております。
なお、当連結会計年度末の借入金総額819,749千円に対し、現金及び預金は960,993千円であります。
③当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの重要な経営指標であるROA・ROEについて、当連結会計年度の実績は次のとおりであります。
指標第30期
(前連結会計年度)
第31期
(当連結会計年度)
前年同期比
ROA0.4%△9.6%△10.0%
ROE1.9%△43.4%△45.3%

当連結会計年度の実績については、デジタルサイネージ関連事業は新型コロナウイルス感染拡大の影響等、Value creating事業においては、初期投資・環境整備を行ったことなどにより、ROA、ROEともに低調な結果となりました。
両指標に共通する売上収益率、総資産回転率の改善を図り、ROEに関しては、一定水準以下の財務レバレッジ(一定水準以上の自己資本比率)の中で最適値を検討し、中長期的に資本コストを上回るROEを目指してまいります。
具体的な経営戦略につきましては、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)中長期的な会社の経営戦略」をご参照下さい。