有価証券報告書-第91期(令和2年1月1日-令和2年12月31日)

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2021/03/26 14:58
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(経営成績等の状況の概要)
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
(1) 経営成績の状況
① 事業の経過および成果
当連結会計年度における我が国経済は、新型コロナウイルス流行に伴う緊急事態宣言の発令などの影響から大きく低迷したものの、年度後半からは徐々に回復の傾向がみられるようになりました。世界経済においても、中国は比較的早期に生産や投資の回復傾向がみられ、米国やアセアンなどは、移動制限や都市封鎖などの影響から景気は予断を許さない状況となりましたが、年度後半からは地域的跛行性はあるものの改善がみられるようになりました。
当社グループが属する自動車業界におきましては、日本国内の自動車生産台数は、年度前半は特に第2四半期の落ち込みにより大幅なマイナスとなりましたが、年度後半では減少幅は縮小し、第4四半期では前年比でプラスに転じました。アセアンにおいても、3か国(タイ、インドネシア、マレーシア)合計の自動車生産台数は、ロックダウンなどの影響から年度前半は大きく落ち込みましたが年度後半で回復傾向となりました。インドネシアは減少幅は縮小傾向ながら第4四半期も前年比減少となったものの、マレーシアは第3四半期から、タイは第4四半期から、前年比増加に転じました。また、中国の自動車生産台数は第2四半期以降は前年比増加を継続しました。
このような環境の下、当連結会計年度においては、主力の国内では、売上高は自動車生産マーケットより小幅な減少率にとどまり、特に第4四半期の3か月では前年比で増加に転じました。アセアンでの売上高は、インドネシアでの減少をタイでの新車生産効果等で補い、減少率はマーケット水準より小幅に留まる結果となりました。
これらの結果、当連結会計年度では、売上高は113,859百万円(前年同期比14.4%減)、営業利益は経費の変動費化や国内外での早期退職実施等、徹底したコスト削減を図った結果、2,468百万円(前年同期比61.7%減)となり、経常利益は投資有価証券売却益2,090百万円を計上したことなどから5,048百万円(前年同期比31.4%減)となりました。また、特別損失として事業構造改善費用や減損損失を計上したことなどにより、親会社株主に帰属する当期純利益は2,857百万円(前年同期比45.2%減)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
自動車部品事業におきましては、主力の国内での売上高は自動車生産マーケットより小幅な減少率にとどまり、特に第4四半期の3か月では前年比で増加に転じました。アセアンでの売上高は、インドネシアでの減少をタイでの新車生産効果等で補い、減少率はマーケット水準より小幅に留まる結果となりました。
これらの結果、売上高は106,130百万円(前年同期比14.7%減)、営業利益は2,282百万円(前年同期比63.8%減)となりました。
用品事業におきましては、新型コロナウイルスの影響からアフターマーケットの売上が減少したことなどから、売上高は8,056百万円(前年同期比7.3%減)となりましたが、経費削減や昨年度の一過性経費の剥落などにより、営業利益は230百万円(前年同期比10.1%増)となりました。
(2) 財政状態の状況
当連結会計年度末における総資産は109,634百万円となり、前連結会計年度末対比で178百万円の減少となりました。主な要因は、短期貸付金が3,256百万円、受取手形及び売掛金が931百万円、有形固定資産が全体で3,223百万円それぞれ増加した一方で、現金及び預金が2,769百万円、棚卸資産が全体で1,071百万円それぞれ減少したこと等によるものであります。なお、短期貸付金の増加はヴァレオ社及びその関連会社への貸付金の増加であります。当該貸付については、市場金利を勘案して利率を決定しています。
負債は65,090百万円となり、前連結会計年度末対比で682百万円の増加となりました。主な要因は、支払手形及び買掛金が290百万円、未払法人税が1,007百万円、未払金が1,962百万円、それぞれ増加した一方で、短期借入金が1,012百万円、長期借入金(1年以内返済予定分を含む)が1,130百万円、リース債務(1年以内返済予定分を含む)が273百万円、それぞれ減少したこと等であります。
純資産は44,544百万円となり、前連結会計年度末対比で861百万円の減少となりました。主な要因は親会社株主に帰属する当期純利益の計上等により株主資本が2,424百万円増加した一方で、その他包括利益累計額が全体で3,105百万円減少したこと等によるものであります。なお、自己資本比率は39.7%となりました。
(3) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、5,426百万円となり、前連結会計年度末比2,769百万円の減少となりました。
営業活動の結果獲得した資金は11,219百万円(前連結会計年度は16,122百万円の獲得)となりました。当期における主な増加要因は、税金等調整前当期純利益4,005百万円、減価償却費7,433百万円、仕入債務の増加487百万円及びその他流動負債の増加3,135百万円であり、主な減少要因は、投資有価証券売却益2,090百万円、売上債権の増加額1,288百万円、持分法による投資利益445百万円、たな卸資産の増加830百万円、退職給付に係る負債の減少541百万円等であります。
投資活動の結果使用した資金は10,955百万円(前連結会計年度は16,724百万円の支出)となりました。当期における主な要因は、有形固定資産の取得による支出11,800百万円、短期貸付金の実行による支出3,239百万円等によるものである一方で、投資有価証券の売却による収入4,248百万円があること等によるものであります。
財務活動の結果返済した資金は2,917百万円(前連結会計年度は1,409百万円の返済)となりました。当期における主な要因は、長期借入金の返済による支出1,129百万円、リース債務の返済による支出394百万円、短期借入金の純増減による支出960百万円等があること等によるものであります。
(生産、受注及び販売の状況)
(1) 生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次の通りであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2020年1月1日 至 2020年12月31日)
前年同期比(%)
自動車部品事業(百万円)105,424△16.4
用品事業(百万円)6,8579.6
報告セグメント計(百万円)112,281△16.0
その他(百万円)868△26.5
合計(百万円)113,150△16.1

(注) 1.金額は販売価額によっております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 受注状況
当社グループは見込み生産を行っているため、該当事項はありません。
(3) 販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次の通りであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2020年1月1日 至 2020年12月31日)
前年同期比(%)
自動車部品事業(百万円)106,085△14.7
用品事業(百万円)6,900△7.9
報告セグメント計(百万円)112,985△14.3
その他(百万円)873△25.0
合計(百万円)113,859△14.4

(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次の通りであります。
相手先前連結会計年度
(自 2019年1月1日 至 2019年12月31日)
当連結会計年度
(自 2020年1月1日 至 2020年12月31日)
金額(百万円)割合(%)金額(百万円)割合(%)
トヨタ自動車㈱46,57935.042,19337.1
日産自動車㈱21,41616.119,40817.1

3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)
当社グループに関する財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの分析、検討内容は原則として連結財務諸表に基づいて分析した内容であります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものであります。
(1) 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成に当たりましては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者はこれらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、第5「経理の状況」1「連結財務諸表等」の「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しておりますが、特に以下の重要な会計方針が連結財務諸表の作成に大きな影響を及ぼすものと判断しております。
① 製品保証引当金
当社グループは、製品保証に関する費用の支出に備えるため、過去の実績率に基づいて発生見込額を見積り計上すると共に、特定の製品に関しては、個別に算出した発生見込額を見積り計上しております。従いまして、実際の製品保証費用は見積りと異なる場合があり、将来の業績に影響を及ぼす可能性があります。
② 退職給付に係る負債
当社グループの従業員退職給付費用及び債務は、割引率をはじめとした数理計算上で設定される前提条件や年金資産の長期期待運用収益率に基づいて算出しております。このため、実際の結果が前提条件と異なる場合、又は前提条件が変更された場合には、その影響は累積され、将来の会計期間において償却されるため、将来期間における退職給付費用及び債務に影響を及ぼす可能性があります。
(2) 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度のセグメントごとの経営成績は3「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」(1) 経営成績等の状況の概要に記載の通りであります。
① 経営成績の分析
当連結会計年度の売上高は113,859百万円(前年同期比14.4%減)、となりました。売上原価は91,611百万円となり、売上原価率は1.2%増加しました。販売費及び一般管理費は19,779百万円となり、売上高比率では1.5%増加しました。
以上の結果、営業利益は2,468百万円(前年同期比61.7%減)となりました。
営業外収益は、2,862百万円となりました。また、営業外費用は、281百万円となりました。
上記により、経常利益は5,048百万円(前年同期比31.4%減)となりました。
特別利益は、6百万円となりました。また、特別損失は、1,050百万円となりました。
法人税等調整額を含む、税金費用の合計額は1,311百万円となりました。また、非支配株主に帰属する当期純損失は163百万円となりました。
以上により、親会社株主に帰属する当期純利益は2,857百万円(前年同期比45.2%減)となりました。
なお、当連結会計年度の営業利益率は2.2%であり、コロナの影響で一時的に利益率が下がったものの、来期は回復を見込んでおり、当連結会計年度から2年後の連結会計年度における営業利益率7%を上回る水準とすることを目指しております。そして中期経営計画達成のため、①受注の獲得、②生産能力の増強・生産効率の向上、並びに③コスト構造改革の3点を重点的に推進してまいります。
② 財政状態の分析
(流動資産)
当連結会計年度末における流動資産の残高は、46,934百万円(前連結会計年度末は46,255百万円)となり、678百万円の増加となりました。主な要因は、短期貸付金が3,256百万円、受取手形及び売掛金が931百万円それぞれ増加した一方で、現金及び預金が2,769百万円、棚卸資産が全体で1,071百万円それぞれ減少したこと等によるものであります。
(固定資産)
当連結会計年度末における固定資産の残高は、62,700百万円(前連結会計年度末は63,558百万円)となり、857百万円の減少となりました。主な要因は、有形固定資産の残高が全体で3,223百万円、繰延税金資産が1,327百万円それぞれ増加した一方、投資有価証券が4,774百万円、退職給付に係る資産が1,002百万円それぞれ減少したことによるものであります。
(流動負債)
当連結会計年度末における流動負債の残高は、48,779百万円(前連結会計年度末は45,821百万円)となり、2,958百万円の増加となりました。主な要因は、支払手形及び買掛金が290百万円、未払法人税が1,007百万円、未払金が1,962百万円それぞれ増加した一方で、短期借入金が1,012百万円、リース債務が503百万円それぞれ減少したこと等であります。
(固定負債)
当連結会計年度末における固定負債の残高は、16,310百万円(前連結会計年度末は18,586百万円)となり、2,275百万円の減少となりました。主な要因は、リース債務が229百万円増加した一方、長期借入金が2,045百万円減少したことによるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産の残高は、44,544百万円(前連結会計年度末は45,405百万円)となり、861百万円の減少となりました。主な要因は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上等により株主資本が2,424百万円増加した一方で、その他包括利益累計額が全体で3,105百万円減少したことによるものであります。
③ キャッシュ・フローの分析
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、5,426百万円となり、前連結会計年度末比2,769百万円の減少となりました。
営業活動の結果獲得した資金は11,219百万円(前連結会計年度は16,122百万円の獲得)となりました。当期における主な増加要因は、税金等調整前当期純利益4,005百万円、減価償却費7,433百万円、仕入債務の増加487百万円及びその他流動負債の増加3,135百万円であり、主な減少要因は、投資有価証券売却益2,090百万円、売上債権の増加額1,288百万円、持分法による投資利益445百万円、たな卸資産の増加830百万円、退職給付に係る負債の減少541百万円等であります。
投資活動の結果使用した資金は10,955百万円(前連結会計年度は16,724百万円の支出)となりました。当期における主な要因は、有形固定資産の取得による支出11,800百万円、短期貸付金の実行による支出3,239百万円等によるものである一方で、投資有価証券の売却による収入4,248百万円があること等によるものであります。
財務活動の結果返済した資金は2,917百万円(前連結会計年度は1,409百万円の返済)となりました。当期における主な要因は、長期借入金の返済による支出1,129百万円、リース債務の返済による支出394百万円、短期借入金の純増減による支出960百万円等があること等によるものであります。
④ 当社グループの資本の財源及び資本の流動性
当社グループの運転資金需要の主なものは、当社グループ製品の材料費、労務費、経費等であります。また投資資金需要は、新製品の生産、生産効率の向上や設備更新等の設備投資等であります。
当社グループは、運転資金については内部資金を基本としつつ、必要に応じて親会社からの借入をしております。投資資金については、内部資金を基本としつつ、必要に応じて金融機関からの長期借入及びリースによる調達をしています。
なお、翌年度の主たる設備投資の予定及びその資金調達方法については、第3「設備の状況」3「設備の新設、除却等の計画」に記載の通りであります。