有価証券報告書-第169期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)

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2019/06/19 16:41
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(1)経営成績等の状況に関する分析
当連結会計年度における当社グループを取り巻く事業環境は、企業収益や雇用・所得環境の改善が続くなか、引き続き緩やかな回復基調で推移しましたが、米中貿易摩擦の激化、欧州経済の悪化、また2019年10月からの消費増税の影響等先行き不透明感がますます拡大するものと思われます。
このような状況下、当社グループは、本年度より3ヵ年中期経営計画『CI・J-3(Challeng&Innovation・Joint)』をスタートさせ、今後も成長が見込まれる環境・エネルギー関連分野に注力し、成長性に重きを置いた事業領域の拡大を図るとともに、高付加価値なシステム・ソリューションビジネスの展開による収益性の向上に取組んでまいりました。
これらの取組みにより、FAシステム事業では製造業向けシステム・ソリューションビジネスが伸長し、ビル設備事業は、受変電設備は好調に推移しましたが、昇降機及び空調機器は前期の大口案件が剥落し低調に推移しました。インフラ事業では、太陽光発電案件が減少しましたが、鉄道会社及び官公庁向けビジネスが好調に推移しました。また、情通・デバイス事業では、OA機器向けの電子デバイス品が好調に推移しましたが、産業機械向けパワーデバイスは低調に推移し減少しました。
その結果、当連結会計年度における売上高につきましては123,337百万円(前期比1.0%増)、経常利益につきましては4,617百万円(前期比236百万円減)、親会社株主に帰属する当期純利益につきましては3,253百万円(前期比60百万円増)となりました。
① 売上高
売上高は、前連結会計年度より1,278百万円増加し、123,337百万円(前期比1.0%増)となりました。
(単位:百万円)

前連結会計年度当連結会計年度増減率
増減額
FAシステム事業売 上 高45,82048,8416.6%
経常利益2,4922,791298
ビル設備事業売 上 高17,47616,248△7.0%
経常利益467246△221
インフラ事業売 上 高29,96230,3441.3%
経常利益590419△170
情通・デバイス事業売 上 高28,79827,902△3.1%
経常利益1,2221,004△218

(FAシステム事業)
FA分野では、コントローラが低調に推移したことや、前期の電気設備の大口案件の剥落で減少したものの、機械装置メーカ向け駆動機器の受注が引き続き好調に推移したことにより増加しました。
産業メカトロニクス分野では、放電加工機が低調に推移したものの、レーザ加工機(CO2レーザ、ファイバーレーザ)は好調な推移となり増加しました。
産業システム分野は、プラントメーカ向けの電気設備の大口案件を計上し増加しました。
その結果、当該事業としては6.6%の増収となり、経常利益は298百万円の増益となりました。
(ビル設備事業)
設備機器分野は、昇降機は大口案件もなく低調な推移となったものの、情報・通信業者向け受変電設備の大口案件を計上し増加しました。
空調・冷熱機器分野は、首都圏を中心とした大手設備業者向け空調案件やビルマネジメントシステムが好調に推移したものの、前期の海外製空調大口案件の剥落により減少しました。
その結果、当該事業としては7.0%の減収となり、経常利益は221百万円の減益となりました。
(インフラ事業)
交通分野は、鉄道会社向け車両用機器、列車無線設備ともに大口案件があり増加しました。
社会システム分野は、官公庁ビジネスは好調に推移したものの、再生可能エネルギー関連ビジネスとして注力していた太陽光発電(メガソーラ)案件が低調に推移し減少しました。
その結果、当該事業としては1.3%の増収となりました。一方、経常利益は、交通分野に比べ利益率の高い太陽光発電案件が低調に推移したことによる減少に加え、前期の高採算であった太陽光発電の大口案件が剥落したことにより170百万円の減益となりました。
(情通・デバイス事業)
情報通信分野は、画像映像システムがセキュリティに関する需要が継続しており前年並みとなりました。
半導体・デバイス分野は、ハードディスクドライブ用のIC及びOA機器向け電子デバイス品が好調に推移したものの、産業用パワーデバイスは産業機器関連顧客の生産調整の影響を受け低調に推移し減少しました。
その結果、当該事業としては3.1%の減収となり、経常利益は218百万円の減益となりました。
② 売上原価、総経費
売上原価は、前連結会計年度より1,684百万円増加し、106,916百万円(前期比1.6%増)となりました。売上高に対する売上原価の比率は0.5%増加の86.7%となりました。FAシステム事業は、41,574百万円(前期比7.0%増)、ビル設備事業は、14,268百万円(前期比6.6%減)、インフラ事業は、28,345百万円(前期比2.7%増)、情通・デバイス事業は、22,727百万円(前期比3.3%減)となりました。
総経費は、人件費を除く販売費及び一般管理費が234百万円増加、人件費が350百万円減少したこと等により、前連結会計年度より168百万円減少し、11,803百万円(前期比1.4%減)となりました。FAシステム事業は、4,476百万円(前期比0.2%減)、ビル設備事業は、1,733百万円(前期比0.1%減)、インフラ事業は、1,579百万円(前期比10.4%減)、情通・デバイス事業は、4,170百万円(前期比2.5%増)、全社(共通)は、△156百万円(前期比75百万円減)となりました。
③ 経常利益
経常利益は、前連結会計年度より236百万円減少し、4,617百万円(前期比4.9%減)となりました。FAシステム事業は、増収により2,791百万円(前期比12.0%増)となりました。ビル設備事業は、大口案件の減少により246百万円(前期比47.4%減)となりました。インフラ事業は、高採算案件の減少により419百万円(前期比28.9%減)となりました。情通・デバイス事業は、減収により1,004百万円(前期比17.8%減)となりました。全社(共通)は、156百万円(前期比75百万円増)となりました。
④ 特別損益
特別利益は、前連結会計年度より72百万円増加し、95百万円となりました。これは、投資有価証券売却益が94百万円発生したことが主な要因です。特別損失は、前連結会計年度より92百万円減少し、7百万円となりました。これは、前期発生した事務所移転費用94百万円が当期発生しなかったことが主な要因です。
⑤ 親会社株主に帰属する当期純利益
親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度より60百万円増加し、3,253百万円(前期比1.9%増)となりました。従って、1株当たり当期純利益は、前連結会計年度の106.08円に対し110.05円となりました。
(2)財政状態及びキャッシュ・フローの状況に関する分析
①財政状態に関する分析
「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 平成30年2月16日)等を当連結会計年度の期首から適用しており、財政状態については遡及処理後の前連結会計年度末の数値で比較を行なっております。
当連結会計年度末における総資産は、86,801百万円(前連結会計年度末比8,931百万円増)となりました。
流動資産は、68,359百万円(前連結会計年度末比2,687百万円増)となりました。これは、前連結会計年度末と比較して、有価証券が2,399百万円減少した一方で、現金及び預金が1,844百万円増加、受取手形及び売掛金が2,406百万円増加、電子記録債権が216百万円増加、商品及び製品が273百万円増加したことが主要な要因であります。
固定資産は、18,441百万円(前連結会計年度末比6,244百万円増)となりました。これは、前連結会計年度末と比較して、投資有価証券が1,434百万円減少した一方で、繰延税金資産が1,102百万円増加、新本社事務所用の固定資産取得等により、建物及び構築物が3,013百万円増加、土地が3,432百万円増加したことが主要な要因であります。
一方、流動負債は、41,273百万円(前連結会計年度末比8,718百万円増)となりました。これは、前連結会計年度末と比較して、賞与引当金が351百万円減少した一方で、支払手形及び買掛金が3,400百万円増加、電子記録債務が1,577百万円増加、現本社事務所の固定資産売却等により、前受金が3,694百万円増加、未払法人税等が905百万円増加したことが主要な要因であります。
固定負債は、2,303百万円(前連結会計年度末比80百万円増)となりました。
純資産は、43,224百万円(前連結会計年度末比132百万円増)となりました。これは、前連結会計年度末と比較して、親会社株主に帰属する当期純利益を3,253百万円計上、自己株式の消却が2,205百万円、配当金の支払が1,082百万円あったことにより利益剰余金が34百万円減少、その他有価証券評価差額金が422百万円減少した一方で、自己株式が717百万円減少したことが主要な要因であります。
その結果、当連結会計年度末における自己資本比率は49.8%、1株当たり純資産額は1,517円60銭となりました。
なお、取得しました新本社事務所への移転につきましては、2020年3月期第2四半期を予定しております。
②キャッシュフローの状況及び資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社グループの営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益を主な源泉としております。営業活動によるキャッシュ・フローにおける変動要因としましては、売上債権・たな卸資産及び仕入債務の増減が主な要因となっておりますが、決算日において仕入債務の支払時期と売上債権の回収時期にずれが生じた場合に営業活動によるキャッシュ・フローに大きな影響を与えます。当社グループにおきましては、債権債務の収支管理を徹底して行っており、これらの収支のずれによる影響を最小限とすることで営業活動によるキャッシュ・フローの確保に努めております。
投資活動によるキャッシュ・フローにおきましては、売買目的の有価証券の取得による支出及び売却による収入はなく、固定資産の取得による支出、売却による収入が増減の要因となっております。
財務活動によるキャッシュ・フローにおきましては、事業活動を行う上での十分な流動性を確保していることから、資金の調達ニーズはなく、自己株式の取得による支出、配当金の支払による支出が減少の要因となっております。
以上のことから、当社グループの当連結会計年度における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ488百万円減少し、当連結会計年度末には16,400百万円(前期比2.9%減)となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、源泉である税金等調整前当期純利益について4,705百万円(前期は4,777百万円)を確保出来たことに加え、仕入債務の増加が5,019百万円あった一方で、売上債権の増加が2,667百万円、法人税等の支払額が1,462百万円であったこと等により、4,334百万円の収入(前期は3,307百万円の支出)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の売却による収入3,550百万円、投資有価証券の売却による収入499百万円、投資有価証券の償還による収入500百万円があった一方で、有形固定資産の取得による支出6,571百万円、無形固定資産の取得による支出150百万円があったこと等により、2,187百万円の支出(前期は411百万円の支出)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、自己株式の取得による支出1,519百万円、配当金の支払1,079百万円があったこと等により、2,618百万円の支出(前期は1,749百万円の支出)となりました。
③生産、受注及び販売の状況
(1) 仕入実績
当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称金額(百万円)前期比(%)
FAシステム事業41,3205.5
ビル設備事業14,170△4.2
インフラ事業28,2742.6
情通・デバイス事業23,439△2.5
合計107,2041.5

(注) 本表の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称金額(百万円)前期比(%)
FAシステム事業48,8416.6
ビル設備事業16,248△7.0
インフラ事業30,3441.3
情通・デバイス事業27,902△3.1
合計123,3371.0

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.本表の金額には、消費税等は含まれておりません。
3.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先前連結会計年度
(自 2017年4月1日
至 2018年3月31日)
当連結会計年度
(自 2018年4月1日
至 2019年3月31日)
金額(百万円)割合(%)金額(百万円)割合(%)
東日本旅客鉄道株式会社11,5829.513,86411.2