有価証券報告書-第171期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)

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2021/06/24 14:16
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(1)経営成績等の状況に関する分析
当連結会計年度における当社グループを取り巻く事業環境は、新型コロナウイルス感染症の世界的な感染拡大がいまだ終息の見通しが立たず、日本国内においても流行の波が繰り返す事態が続いております。それにより、消費マインドの落ち込みや、企業収益の悪化による設備投資の抑制、雇用・所得環境の悪化等、国内・海外経済ともに厳しい局面が続き、先行き不透明な状況となっております。
このような状況下、当社グループは、3ヵ年中期経営計画『CI・J-3(Challenge&Innovation・Joint)』最終年度として、今後も成長が見込まれる環境・エネルギー関連分野に注力し、成長性に重きを置いた事業領域の拡大を図るとともに、高付加価値なシステム・ソリューションビジネスの展開による収益性の向上に取組んでまいりました。
しかしながら、コロナ禍において取組みました短期的な施策は限定的な内容にとどまり、売上は、景気の先行き不透明感による設備投資の抑制や事業活動の制限により、情通・デバイス事業を除き苦戦を強いられました。また、利益に関しても、徹底的な経費削減に努めましたが、FAシステム事業の利益減少が大きく影響し苦戦しました。
その結果、当連結会計年度における売上高につきましては 108,229百万円(前期比 14.5%減)となり、経常利益につきましては、2,819百万円(前期比 966百万円減)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益につきましては、投資有価証券売却益 739百万円を計上しましたが、前期は旧本社社屋及び土地の売却益 1,433百万円があったことから 2,319百万円(前期比 1,096百万円減)となり、3ヵ年中期経営計画『CI・J-3』で掲げた目標数値は未達となりました。
なお、新型コロナウイルス感染症の感染拡大による、当期の経営成績に対し影響する会計上の見積りの変更等はございません。
①売上高
売上高は、前連結会計年度より 18,289百万円減少し、108,229百万円(前期比 14.5%減)となりました。
(単位:百万円)

前連結会計年度当連結会計年度増減率
増減額
FAシステム事業売 上 高45,03935,508△21.2%
経常利益2,2611,064△1,197
ビル設備事業売 上 高19,72613,796△30.1%
経常利益353137△216
インフラ事業売 上 高37,08032,687△11.8%
経常利益562409△152
情通・デバイス事業売 上 高24,67326,2366.3%
経常利益4561,067610

(FAシステム事業)
FA分野は、新型コロナウイルス感染拡大による企業活動の停滞や、機械装置メーカ及び自動車産業関連顧客等の設備投資抑制により、駆動機器やコントローラをはじめ全商品群で苦戦し低調な推移となりました。
産業メカトロニクス分野は、放電・レーザ加工機共に案件少なく低調な推移となりました。
産業システム分野は、前期の電気設備の大口案件が剥落し減少しました。
その結果、当該事業としては 21.2%の減収となり、経常利益は 1,197百万円の大幅減益となりました。
(ビル設備事業)
設備機器分野は、情報・通信事業者向け受変電設備の需要は堅調に推移していますが、設備投資の波により前期に案件が集中したため、減少しました。昇降機は前期の大口案件の剥落により減少しました。
空調・冷熱機器分野は、新型コロナウイルス感染拡大による影響を大きく受けている飲食業を始めサービス業向けが低調に推移し、空調機器が苦戦しました。
その結果、当該事業としては 30.1%の減収となり、経常利益は 216百万円の減益となりました。
(インフラ事業)
交通分野は、鉄道事業者向け無線通信機器が好調に推移しましたが、設備投資抑制により車両用機器が低調に推移したことから大幅に減少しました。
社会システム分野は、官公庁ビジネスは前期の大口案件が剥落し減少しました。再生可能エネルギー関連ビジネスである太陽光発電(メガソーラー)の案件も減少しました。
その結果、当該事業としては 11.8%の減収となり、経常利益は 152百万円の減益となりました。
(情通・デバイス事業)
情報通信分野は、画像・映像機器は前期並みに推移し、電子医療装置が案件増加し増収となりました。
半導体・デバイス分野は、ハードディスクドライブ用ICが新型コロナウイルス感染症拡大による部材入手難からハードディスクドライブの生産減の影響等により減少しましたが、産業用パワーデバイスは産業機器関連顧客の復調により好調に推移しました。
その結果、当該事業としては 6.3%の増収となり、経常利益は 610百万円の増益となりました。
②売上原価、総経費
売上原価は、前連結会計年度より16,294百万円減少し、94,168百万円(前期比14.8%減)となりました。売上高に対する売上原価の比率は0.3%減少の87.0%となりました。なお、各セグメント毎の売上原価の比率は、FAシステム事業は84.4%(前期比0.0%減)、ビル設備事業は87.9%(前期比1.7%減)、インフラ事業は94.6%(前期比0.4%増)、情通・デバイス事業は80.6%(前期比0.2%増)となりました。
総経費は、人件費を除く販売費及び一般管理費が667百万円減少、人件費が311百万円減少したこと等により、前連結会計年度より978百万円減少し、11,388百万円(前期比7.9%減)となりました。FAシステム事業は4,461百万円(前期比6.0%減)、ビル設備事業は1,534百万円(前期比10.1%減)、インフラ事業は1,361百万円(前期比13.8%減)、情通・デバイス事業は4,025百万円(前期比8.4%減)、全社(共通)は△141百万円(前期比10百万円増)となりました。
③経常利益
経常利益は、前連結会計年度より966百万円減少し、2,819百万円(前期比25.5%減)となりました。FAシステム事業は、減収により1,064百万円(前期比52.9%減)となりました。ビル設備事業は、減収により137百万円(前期比61.1%減)となりました。インフラ事業は、減収により409百万円(前期比27.2%減)となりました。情通・デバイス事業は、電子医療装置が案件増加し1,067百万円(前期比134.0%増)となりました。全社(共通)は、141百万円(前期比10百万円減)となりました。
④特別損益
特別利益は、前連結会計年度より728百万円減少し、739百万円となりました。これは、投資有価証券売却益が739百万円発生したことが主な要因です。特別損失は、前連結会計年度より49百万円減少し、70百万円となりました。これは、固定資産除却損が67百万円、投資有価証券売却損が3百万円発生したことが主な要因です。
⑤親会社株主に帰属する当期純利益
親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度より1,096百万円減少し、2,319百万円(前期比32.1%減)となりました。従って、1株当たり当期純利益は、前連結会計年度の119.88円に対し82.85円となりました。
(2)財政状態及びキャッシュ・フローの状況に関する分析
①財政状態に関する分析
当連結会計年度末における総資産は、77,299百万円(前連結会計年度末比 3,711百万円減)となりました。
流動資産は、62,373百万円(前連結会計年度末比 2,990百万円減)となりました。これは、前連結会計年度末と比較して、有価証券が 1,500百万円増加、商品及び製品が 1,746百万円増加した一方で、現金及び預金が 3,803百万円減少、受取手形及び売掛金が 1,689百万円減少、電子記録債権が 718百万円減少したことが主要な要因であります。
固定資産は、14,926百万円(前連結会計年度末比 720百万円減)となりました。これは、前連結会計年度末と比較して、無形固定資産が 153百万円が増加した一方で、投資有価証券が 405百万円減少、繰延税金資産が 285百万円減少したことが主要な要因であります。
一方、流動負債は、31,415百万円(前連結会計年度末比 2,937百万円減)となりました。これは、前連結会計年度末と比較して、前受金が 1,215百万円増加した一方で、支払手形及び買掛金が 2,234百万円減少、電子記録債務が688百万円減少、未払金が 498百万円減少、未払消費税等が 380百万円減少したことが主要な要因であります。
固定負債は、1,366百万円(前連結会計年度末比 581百万円減)となりました。これは退職給付に係る負債が 613百万円減少したことが主要な要因であります。
純資産は、44,517百万円(前連結会計年度末比 192百万円減)となりました。これは、前連結会計年度末と比較して、親会社株主に帰属する当期純利益を 2,319百万円計上、配当金の支払が 883百万円あったこと等により、利益剰余金が 1,420百万円増加、その他有価証券評価差額金が 159百万円増加、退職給付に係る調整累計額が 421百万円増加した一方で、自己株式が 2,113百万円増加したことが主要な要因であります。
その結果、当連結会計年度末における自己資本比率は 57.6%、1株当たり純資産額は 1,659円45銭となりました。
②キャッシュ・フローの状況及び資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社グループの営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益を主な源泉としております。営業活動によるキャッシュ・フローにおける変動要因としましては、売上債権・たな卸資産及び仕入債務の増減が主な要因となっておりますが、決算日において仕入債務の支払時期と売上債権の回収時期にずれが生じた場合に営業活動によるキャッシュ・フローに大きな影響を与えます。当社グループにおきましては、債権債務の収支管理を徹底して行っており、これらの収支のずれによる影響を最小限とすることで営業活動によるキャッシュ・フローの確保に努めております。
投資活動によるキャッシュ・フローにおきましては、売買目的の有価証券の取得による支出及び売却による収入はなく、固定資産の取得による支出、売却による収入が増減の要因となっております。
財務活動によるキャッシュ・フローにおきましては、事業活動を行う上での十分な流動性を確保していることから、資金の調達ニーズはなく、自己株式の取得による支出、配当金の支払による支出が減少の要因となっております。
以上のことから、当社グループの当連結会計年度における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ2,304百万円減少し、当連結会計年度末には16,658百万円(前期比12.2%減)となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、源泉である税金等調整前当期純利益について3,487百万円(前期は 5,132百万円)、売上債権の減少が 2,380百万円、前受金の増加が 1,210百万円あった一方で、たな卸資産の増加が 1,757百万円、仕入債務の減少が 2,901百万円、投資有価証券売却損益が 735百万円、法人税等の支払額が 1,342百万円であったこと等により、19百万円の支出(前期は 4,827百万円の収入)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、投資有価証券の売却による収入 1,362百万円があった一方で、有形固定資産の取得による支出 248百万円、無形固定資産の取得による支出 313百万円があったこと等により、778百万円の収入(前期は 1,029百万円の支出)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、自己株式の取得による支出 2,147百万円、配当金の支払 883百万円があったこと等により、3,055百万円の支出(前期は 1,220百万円の支出)となりました。
資本の財源及び資金の流動性につきましては、当社グループの運転資金需要のうち主なものは、商品仕入の他、販売費及び一般管理費等の費用であります。当該資金については、内部留保による手元資金で十分賄えている状況です。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されております。この連結財務諸表の作成に当たり必要とされている、これらの見積りにつきましては、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、見積り特有の不確実が伴うため、実際の結果はこれらの見積りとは異なることがあります。
当社グループの重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等(1)連結財務諸表「注記事項」(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。
④生産、受注及び販売の状況
(1)仕入実績
当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称金額(百万円)前期比(%)
FAシステム事業30,173△20.8
ビル設備事業12,712△29.3
インフラ事業31,943△9.1
情通・デバイス事業21,0489.0
合計95,878△13.3

(注)本表の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称金額(百万円)前期比(%)
FAシステム事業35,508△21.2
ビル設備事業13,796△30.1
インフラ事業32,687△11.8
情通・デバイス事業26,2366.3
合計108,229△14.5

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.本表の金額には、消費税等は含まれておりません。
3.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先前連結会計年度
(自 2019年4月1日
至 2020年3月31日)
当連結会計年度
(自 2020年4月1日
至 2021年3月31日)
金額(百万円)割合(%)金額(百万円)割合(%)
東日本旅客鉄道株式会社11,1608.88,7728.1