有価証券報告書-第59期(平成29年4月1日-平成30年3月31日)
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、経営成績等という。)の状況の概要は次のとおりです。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、輸出を中心とした生産活動の持ち直しや、都市部での再開発需要の高まり、インバウンド需要の持ち直しなどから回復傾向にあります。今後についても、良好な雇用所得環境を背景とした個人消費の回復、企業収益の回復と人手不足を背景とした合理化・省力化へのニーズから堅調な推移が見込まれる設備投資、五輪関連の建設需要などが景気回復要因として考えられます。しかしながら、海外においては欧米諸国の政権運営に不透明感があることや、米中間での貿易摩擦などが懸念材料となっており、景気の先行きは依然として不透明な状況が続いております。
当社グループの属する情報サービス業界におきましては、金融や流通分野での制度対応としてのシステム更新のほか、戦略投資としてのIT投資案件が増加しており、AIやIoT技術を利用した新しいビジネスの伸展、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)を活用した「働き方改革」に寄与する業務合理化、フィンテックによる新たなサービスの提供などへのニーズの高まりを背景に、市場環境は引き続き良好な状態が続くものと思われます。
このような環境下、当社グループでは、お客様への幅広いソリューションやサービスの提案・提供、既存ソリューションの成長に加え新規のソリューションやサービスの開発、決済クラウド「iRITSpay(アイ・リッツペイ)」やRPAなどの戦略商品の拡大、新技術の取得によるソリューションの強化や新規事業の発掘などに取り組んでおります。主力商品である金融機関向けプロダクトは、金融機関の収益環境が人口減やマイナス金利により厳しい状況となる中、収益源の多様化や業務の効率化を進めていくためのソリューションとして積極的に営業活動を行ってきました。RPAにおいては、担当人員を増強したことに加え、複数事業部で協業して提案活動を行うことでの受注拡大に取り組んでおります。小売業向け基幹システムやECサイト構築システムでは、前期に受注した百貨店の基幹システムが順調に稼働を開始しました。また、公共分野においては、地方自治体でのBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)業務や学務支援システム案件で新規に受注を獲得しました。
以上の結果、当連結会計年度の売上高は11,831百万円(前年同期比106.5%)、営業利益は1,535百万円(前年同期比120.9%)、経常利益は1,605百万円(前年同期比120.6%)、親会社株主に帰属する当期純利益は1,124百万円(前年同期比124.0%)となりました。
当社グループは、システムインテグレーターとして顧客の業態やニーズに応じたソフトウェアを開発し、システム機器や関連商品と併せて提供するほか、情報通信ネットワークの構築・運用管理や保守サービスに至るITソリューション・サービスを行うとともにBPOなどを行っております。
当連結会計年度の受注高は12,852百万円(前年同期比120.9%)、受注残は8,380百万円(前年同期比113.9%)となりました。また、セグメント別の経営成績は次のとおりです。
(システムソリューション)
システムソリューションでは、フィナンシャルシステム事業部につきましては、リニューアルしたWeb版債権管理システムの開発が完了し地方銀行への導入を行いました。また、販売を開始した「SCOPE 個人ローン業務支援システム」は、当社の実績が評価され他社ベンダーからの移行も進んでおり、好調に受注を獲得しております。コールセンター向けソリューションにおいては、録音システムやロボティックコールで新規案件を受注しており、RPAにおいても中央官庁や大手通信会社で新規に受注を獲得したほか、地方銀行をはじめとする既存顧客からも本格運用に伴う追加受注を獲得しております。小売業向けでは、昨年度に受注した地方百貨店における基幹システムRITSや新型POSシステムが稼働したほか、戦略商品であるiRITSpayも既存ユーザーを含めて積極的な販売活動を行っております。ECサイト構築システムにつきましては「ITFOReC」の機能強化を実施したことも奏功し、多くの新規ユーザーを獲得しております。
その結果、受注高は8,237百万円(前年同期比137.9%)、売上高は6,653百万円(前年同期比111.8%)、セグメント利益は1,765百万円(前年同期比106.0%)となりました。
(サービスソリューション)
サービスソリューションでは、安定収益源である保守サービスや公共分野向けビジネスを中心に活動しています。注力市場として取り組んでいる公共分野向けビジネスは、前期に受注を獲得したBPO案件が期初から売上に寄与しており、順調に拡大していますが、一部大型BPO案件終了の影響もあって、受注は伸び悩んでおります。
その結果、受注高は2,610百万円(前年同期比94.8%)、売上高は3,251百万円(前年同期比105.8%)、セグメント利益は524百万円(前年同期比231.0%)となりました。
(基盤ソリューション)
基盤ソリューションでは、システム機器販売、基盤インフラ設計・構築・納入・設置、ネットワークシステム、クラウド基盤関連ソリューションの提供を事業展開しています。複数事業部で幅広い提案活動を行うことで顧客層の拡大に取り組んでおり、大型のシステム構築案件獲得もあり受注は前年同期を上回りました。ただし、大手モバイル通信キャリア向け案件の投資が一段落したことなどから前期末受注残が大幅に減少した影響で、売上高は伸び悩んでおります。
その結果、受注高は2,003百万円(前年同期比105.2%)、売上高は1,925百万円(前年同期比92.2%)、セグメント利益は391百万円(前年同期比107.3%)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は6,528百万円となり、前連結会計年度末と比べ497百万円増加いたしました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動から得られた資金は1,830百万円(前年同期比119.5%)となりました。主な増加要因は税金等調整前当期純利益1,691百万円、減価償却費570百万円、主な減少要因は法人税等の支払額450百万円、売上債権の増加額228百万円、投資有価証券売却益175百万円です。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は203百万円(前年同期比131.3%)となりました。主な増加要因は投資有価証券の売却による収入228百万円、主な減少要因は無形固定資産の取得による支出194百万円です。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は1,129百万円(前年同期比136.8%)となりました。主な減少要因は自己株式の取得による支出667百万円、配当金の支払額482百万円です。
③ 生産、受注及び販売の実績
a. 仕入実績
当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| 項目 | 当連結会計年度 (自 2017年4月1日 至 2018年3月31日) | 前年同期比(%) |
| システムソリューション(千円) | 435,822 | 122.5 |
| サービスソリューション(千円) | - | - |
| 基盤ソリューション(千円) | 1,199,353 | 87.5 |
| 合計(千円) | 1,635,175 | 94.7 |
(注) 1.セグメント間取引はありません。
2.上記金額には、消費税等は含まれておりません。
b. 受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| 項目 | 当連結会計年度 (自 2017年4月1日 至 2018年3月31日) | |||
| 受注高(千円) | 前年同期比(%) | 受注残高(千円) | 前年同期比(%) | |
| システムソリューション | 8,237,383 | 137.9 | 5,603,712 | 139.4 |
| サービスソリューション | 2,610,897 | 94.8 | 1,957,634 | 75.3 |
| 基盤ソリューション | 2,003,825 | 105.2 | 819,221 | 110.6 |
| 合計 | 12,852,106 | 120.9 | 8,380,568 | 113.9 |
(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.上記金額には、消費税等は含まれておりません。
c. 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| 項目 | 当連結会計年度 (自 2017年4月1日 至 2018年3月31日) | 前年同期比(%) |
| システムソリューション(千円) | 6,653,877 | 111.8 |
| サービスソリューション(千円) | 3,251,725 | 105.8 |
| 基盤ソリューション(千円) | 1,925,579 | 92.2 |
| 合計(千円) | 11,831,182 | 106.5 |
(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.上記金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、連結会計年度末日現在において当社グループが判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。財政状態及び経営成績の分析は、連結会計年度末現在で行っており、見積りについては見積りを必要とする事象及び見積りに与える要因を把握した上で適切な仮定を設定して評価を行っております。
連結財務諸表の作成にあたり、有価証券、たな卸資産、固定資産に関しては、重要な会計方針により継続的な評価を行っております。時価のある有価証券は連結会計年度末日の市場価格等に基づく時価法によっており、たな卸資産のうち商品・貯蔵品は移動平均法に基づく原価法、仕掛品は個別法に基づく原価法によっております。固定資産のうち無形固定資産は一定の償却期間を見積り費用配分するほか、資産性の判定を行って適切に処理しております。
なお、重要な会計方針のうち、見積りや仮定等により連結財務諸表に重要な影響を与えると考えている項目は次のとおりであります。
a.退職給付会計
退職給付債務は、年金数理計算に用いられる仮定により見積りに差が生じます。仮定となる割引率、将来の給付水準、退職率については、現時点で妥当と判断したデータその他の要因に基づき設定しております。実際の結果がこれらの仮定と異なる場合、また仮定を変更する必要が生じた場合には、将来の退職給付費用及び退職給付債務が変動する可能性があります。
b.繰延税金資産
繰延税金資産の回収可能性の判断に際しては、過去の実績等に基づき将来の課税所得を合理的に見積もっておりますが、将来において当社グループを取り巻く環境に大きな変化があったり、税制改正によって法定実効税率等が変化した場合には、繰延税金資産の回収可能性が変動する可能性があります。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度の経営成績等は、以下のとおりであります。
当社グループでは、以下の事業方針を打ち出し、事業を展開してまいりました。
ⅰ)全社で当社のお客様資産を共有し、すべての取引先にCTIや基盤のほか幅広いソリューションを提案し、販売拡大を図る。
ⅱ)金融機関でのCRMソリューション、自治体でのITやBPOの対象範囲の拡大、ホームセンターや専門店向け基幹システムの開発などで新規のソリューション開発や対象範囲の拡大を図る。
ⅲ)金融機関や百貨店、専門店等へセキュリティ性に優れた決済サービスを提供する。
ⅳ)「iRITSpay(アイ・リッツペイ)」事業を全社的に展開する。
ⅴ)IoT、ブロックチェーンやLINE-APIなど最先端の技術の習得に努め技術力を強化し、更に充実した機能のパッケージを提供していく。
また、事業方針の具体的施策として以下のように打ち出しました。
ⅰ)ITインフラ構築に関する顧客基盤を拡大し、戦略商品をタイムリーに提案していく体制の強化を目的として、『CTIシステム事業部』と『基盤ソリューション事業部』を統合し、『CTI・基盤システム事業部』を新設する。また、同事業部の下に『営業推進部』及び『営業企画部』を設置し提案力を向上させると同時に、営業担当者が訪問頻度を向上させるなど営業活動により専念できる体制を構築する。
ⅱ)主力の金融機関向けサービスにおいて幅広い顧客情報を集約し組織を簡素化することで、戦略をスピーディに展開することを目的として、『フィナンシャルシステム第一事業部』と『フィナンシャルシステム第二事業部』を統合し『フィナンシャルシステム事業本部』を『フィナンシャルシステム事業部』とする。
ⅲ)公共システム事業部の人員を増強し、公共向けパッケージソフトの販売を強化していく。
経営成績の分析
(売上高)
当連結会計年度における売上高は、前連結会計年度に比べて719百万円増加し、11,831百万円(前年同期比6.5%増)となりました。これは主に、金融機関向けを中心にシステムソリューションが好調に推移したことや、サービスソリューションにおいてBPO事業の売上が継続的に拡大したことなどによるものです。各報告セグメントの外部顧客に対する売上高の連結売上高に占める割合は、システムソリューションが56.2%、サービスソリューションが27.5%、基盤ソリューションが16.3%となりました。
(売上総利益)
当連結会計年度における売上総利益は、前連結会計年度に比べて448百万円増加し、4,528百万円(前年同期11.0%増)となりました。また、売上総利益率は、サービスソリューションでの業務効率化が進展したことにより前連結会計年度に比べて1.6ポイント増加し、38.3%となりました。
(営業利益)
当連結会計年度における販売費及び一般管理費は、人件費の増加等により前連結会計年度に比べて182百万円増加し、2,992百万円(前年同期比6.5%増)となりました。
以上の結果、営業利益は前連結会計年度に比べて265百万円増加し、1,535百万円(前年同期比20.9%増)となりました。
(経常利益)
当連結会計年度における営業外収益は、前連結会計年度に比べて11百万円増加し、80百万円(前年同期比16.3%増)となりました。
営業外費用は、前連結会計年度に比べて3百万円増加し、11百万円(前年同期比36.3%増)となりました。
以上の結果、経常利益は、前連結会計年度に比べて273百万円増加し、1,605百万円(前年同期比20.6%増)となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度における特別利益は、前連結会計年度に比べて162百万円増加し、176百万円(前年同期比1144.6%増と)となりました。
特別損失は、減損損失や事業整理損の計上により、90百万円(前年同期は計上しておりません)となりました。
以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べて217百万円増加し、1,124百万円(前年同期比24.0%増)となりました。
財政状況の分析
(資産)
当連結会計年度末の総資産は、15,418百万円となり前連結会計年度に比べて498百万円増加しました。これは主に現金及び預金の増加によるものです。
(負債)
負債は3,204百万円となり前連結会計年度に比べて373百万円増加しました。これは未払法人税等や買掛金の増加によるものです。
(純資産)
純資産は12,213百万円となり、前連結会計年度に比べて125百万円増加し、自己資本比率は79.1%となりました。
キャッシュ・フローの分析
当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況 」に記載のとおりであります。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、運転資金及び設備投資資金は基本的に自己資金でまかなうこととしておりますが、不足時の一時的な運転資金を効率的に調達するため、主要取引銀行とコミットメントライン契約を締結しております。
なお、自己資本比率79.1%、流動比率407.7%、固定比率33.6%などの指標が示すように、健全な財務体質や営業活動によるキャッシュ・フローを生み出す能力によって、当社グループの事業展開に必要な運転資金及び設備投資資金を調達することが可能と考えております。
セグメントごとの財政状況及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。