有価証券報告書-第60期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、経営成績等という。)の状況の概要は次のとおりです。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、米中通商摩擦の激化もあり中国経済が減速傾向にあることや、英国のEU離脱の方向性が不明なことなどの海外要因から輸出が鈍化傾向にあり、不透明感が高まっております。ただし、良好な雇用所得環境を背景として実質所得が拡大し個人消費が持ち直していることや、インバウンド消費が堅調に推移していること、合理化・省力化へのニーズを背景とした設備投資も一定水準を維持するとみられることなどは景気の下支え要因として考えられます。
当社グループの属する情報サービス業界におきましては、金融や流通分野での制度対応としてのシステム更新のほか、戦略投資としてのIT投資案件が継続しており、AIやIoT技術を利用した新しいビジネスの伸展、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)を活用した「働き方改革」に寄与する業務効率化への取り組み、フィンテックによる新たなサービスの提供などへのニーズの高まりを背景に、市場環境は引き続き良好な状態が続くものと思われます。
このような環境下、当社グループでは、2018年度から2020年度の3カ年で売上高140億円を目指す中期経営計画「Challenge to 2020」を策定し、強い事業領域での競争力維持、戦略商品の販売拡大、新しい市場の開拓、新技術の獲得・展開などに取り組んでおります。主力商品である金融機関向けプロダクトは、人口減やマイナス金利により金融機関の収益環境が厳しい状況となる中、収益源の多様化や業務の効率化を進めていくためのソリューションとして積極的に営業活動を行ってきました。小売業向けプロダクトでは、基幹システムやECサイト構築システムに加え、キャッシュレス化社会に対応するための決済クラウド「iRITSpay(アイリッツペイ)」とマルチ決済端末「iRITSpay決済ターミナル」の拡大に取り組んでおります。また、公共分野においては、地方自治体でのBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)業務や滞納管理等システム案件の受注獲得を進めております。
以上の結果、当連結会計年度の売上高は12,554百万円(前年同期比106.1%)、営業利益は1,637百万円(前年同期比106.6%)、経常利益は1,709百万円(前年同期比106.5%)、親会社株主に帰属する当期純利益は1,148百万円(前年同期比102.2%)となりました。売上高、経常利益、当期純利益は過去最高を更新しております。
当社グループは、システムインテグレーターとして顧客の業態やニーズに応じたソフトウェアを開発し、システム機器や関連商品と併せて提供するほか、情報通信ネットワークの構築・運用管理や保守サービスに至るITソリューション・サービスを行うとともにBPOなどを行っております。
当連結会計年度の受注高は16,329百万円(前年同期比127.1%)、受注残は12,155百万円(前年同期比145.0%)となりました。また、セグメント別の経営成績は次のとおりです。
(システムソリューション)
システムソリューションでは、フィナンシャルシステムにつきましては、販売強化中の個人ローン業務支援システム「SCOPE」をメインに、非対面チャネル強化の一環でWeb受付システムなど連携するサブモジュールについても多くの受注を獲得しております。債権管理分野に関しても、ノンバンクにおける「TCSWeb」や金融機関向け「CMS V5」に「e-SMS」や自動受架電システム「ロボティックコール」を組合せた業務効率化ならびに人員の有効活用を目指した受注を獲得しております。コールセンター向けソリューションにつきましては、「ロボティックコール」において好調に新規顧客の獲得が進んでおり、録音システムも既存顧客の大型更改案件を獲得しております。RPAについてはスモールスタートが多いものの、新規導入が進んでおります。小売業向けでは、小売業向け基幹システム「RITS」は上期にアパレル専門店より商品基幹システムの大型受注、下期に都内大手百貨店より消費増税、改正割賦販売法対応の「iRITSpay決済ターミナル」を含めた基幹システムの大型受注を獲得しております。公共システムにおきましては滞納管理、電話催告システムで新規の受注を複数の地方自治体から獲得しております。
その結果、受注高は9,737百万円(前年同期比118.2%)、売上高は7,569百万円(前年同期比113.8%)、セグメント利益は1,967百万円(前年同期比111.4%)となりました。
(サービスソリューション)
サービスソリューションでは、安定収益源である保守サービスや公共分野向けビジネスを中心に活動しております。地方自治体でのBPO事業は、2020年度より実施される会計年度任用職員制度の影響もあり、受注が好調に推移しております。
その結果、受注高は4,140百万円(前年同期比158.6%)、売上高は2,872百万円(前年同期比88.4%)、セグメント利益は509百万円(前年同期比97.1%)となりました。
(基盤ソリューション)
基盤ソリューションでは、システム機器販売、クラウドを含む基盤インフラ設計・構築・納入・設置、ネットワークシステムの提供を事業展開しております。複数事業部で幅広い提案活動を行うことで顧客層の拡大に取り組んでおり、受注が拡大しております。
その結果、受注高は2,451百万円(前年同期比122.4%)、売上高は2,112百万円(前年同期比109.7%)、セグメント利益は384百万円(前年同期比98.2%)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は6,428百万円となり、前連結会計年度末と比べ99百万円減少いたしました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動から得られた資金は899百万円(前年同期比49.2%)となりました。主な増加要因は税金等調整前当期純利益1,709百万円、仕入債務の増加額494百万円、減価償却費494百万円、主な減少要因は売上債権の増加額771百万円、法人税等の支払額693百万円、たな卸資産の増加額439百万円です。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は306百万円(前年同期比150.1%)となりました。主な減少要因は無形固定資産の取得による支出100百万円、有価証券の純増減額100百万円です。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は693百万円(前年同期比61.4%)となりました。減少要因は配当金の支払額523百万円、自己株式の取得による支出170百万円です。
③ 生産、受注及び販売の実績
a. 仕入実績
当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| 項目 | 当連結会計年度 (自 2018年4月1日 至 2019年3月31日) | 前年同期比(%) |
| システムソリューション(千円) | 682,179 | 156.5 |
| サービスソリューション(千円) | - | - |
| 基盤ソリューション(千円) | 1,319,050 | 110.0 |
| 合計(千円) | 2,001,230 | 122.39 |
(注) 1.セグメント間取引はありません。
2.上記金額には、消費税等は含まれておりません。
b. 受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| 項目 | 当連結会計年度 (自 2018年4月1日 至 2019年3月31日) | |||
| 受注高(千円) | 前年同期比(%) | 受注残高(千円) | 前年同期比(%) | |
| システムソリューション | 9,737,740 | 118.2 | 7,771,899 | 138.7 |
| サービスソリューション | 4,140,363 | 158.6 | 3,225,096 | 164.7 |
| 基盤ソリューション | 2,451,765 | 122.4 | 1,158,574 | 141.4 |
| 合計 | 16,329,868 | 127.1 | 12,155,571 | 145.0 |
(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.上記金額には、消費税等は含まれておりません。
c. 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| 項目 | 当連結会計年度 (自 2018年4月1日 至 2019年3月31日) | 前年同期比(%) |
| システムソリューション(千円) | 7,569,552 | 113.8 |
| サービスソリューション(千円) | 2,872,901 | 88.4 |
| 基盤ソリューション(千円) | 2,112,412 | 109.7 |
| 合計(千円) | 12,554,866 | 106.1 |
(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.上記金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、連結会計年度末日現在において当社グループが判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。財政状態及び経営成績の分析は、連結会計年度末現在で行っており、見積りについては見積りを必要とする事象及び見積りに与える要因を把握した上で適切な仮定を設定して評価を行っております。
連結財務諸表の作成にあたり、有価証券、たな卸資産、固定資産に関しては、重要な会計方針により継続的な評価を行っております。時価のある有価証券は連結会計年度末日の市場価格等に基づく時価法によっており、たな卸資産のうち商品・貯蔵品は移動平均法に基づく原価法、仕掛品は個別法に基づく原価法によっております。固定資産のうち無形固定資産は一定の償却期間を見積り費用配分するほか、資産性の判定を行って適切に処理しております。
なお、重要な会計方針のうち、見積りや仮定等により連結財務諸表に重要な影響を与えると考えている項目は次のとおりであります。
a.退職給付会計
退職給付債務は、年金数理計算に用いられる仮定により見積りに差が生じます。仮定となる割引率、将来の給付水準、退職率については、現時点で妥当と判断したデータその他の要因に基づき設定しております。実際の結果がこれらの仮定と異なる場合、また仮定を変更する必要が生じた場合には、将来の退職給付費用及び退職給付債務が変動する可能性があります。
b.繰延税金資産
繰延税金資産の回収可能性の判断に際しては、過去の実績等に基づき将来の課税所得を合理的に見積もっておりますが、将来において当社グループを取り巻く環境に大きな変化があったり、税制改正によって法定実効税率等が変化した場合には、繰延税金資産の回収可能性が変動する可能性があります。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度の経営成績等は、以下のとおりであります。
当社グループでは、中期経営計画「Challenge to 2020」について、クラウド化が進展する環境の下ビジネスモデルの転換に適応する、当社が強みを持つ分野と戦略商品・新市場の拡大を図る、将来の収益拡大の基盤を固めるものと位置付けております。また、事業基盤を固める、断トツ(圧倒的No.1)を目指すことをコンセプトとして計画の達成に向けて注力しております。その中期経営計画の下、以下の事業方針を打ち出し、事業を展開してまいりました。
ⅰ)全社で当社のお客様資産を共有し、すべての取引先にCTIや基盤のほか幅広いソリューションを提案し、販売拡大を図る。
ⅱ)金融機関でのCRMソリューション、自治体でのITやBPOの対象範囲の拡大、専門店向け基幹システムの開発などで新規のソリューション開発や対象範囲の拡大を図る。
ⅲ)金融機関や百貨店、専門店等へセキュリティ性に優れた決済サービスを提供する。
ⅳ)「iRITSpay(アイ・リッツペイ)」事業を全社的に展開する。
ⅴ)IoT、ブロックチェーンやLINE-APIなど最先端の技術の習得に努め技術力を強化し、更に充実した機能のパッケージを提供していく。
また、事業方針の具体的施策として以下のように打ち出しました。
ⅰ)戦略商品・新商品の販売拡大を目的として事業本部に『決済システムプロジェクト(2019年4月1日に決済ビジネス部へと改編)』および『AMLプロジェクト』を新設する。
ⅱ)一貫したサービス体制の構築によるハードウェアビジネスの効率化を目的としてCTI・基盤システム事業部営業二部第二グループをテクニカルサポート事業部に異動し、『基盤TS部』とする。
経営成績の分析
(売上高)
当連結会計年度における売上高は、前連結会計年度に比べて723百万円増加し、12,554百万円(前年同期比6.1%増)となりました。これは主に、金融機関向けを中心にシステムソリューションが好調に推移したことや、基盤ソリューションにおいて複数事業部が一体となって販売活動を進めたことなどによるものです。各報告セグメントの外部顧客に対する売上高の連結売上高に占める割合は、システムソリューションが60.3%、サービスソリューションが22.9%、基盤ソリューションが16.8%となりました。
(売上総利益)
当連結会計年度における売上総利益は、前連結会計年度に比べて124百万円増加し、4,652百万円(前年同期比2.7%増)となりました。また、売上総利益率は、システムソリューションで他社製品の販売が拡大したことにより前連結会計年度に比べ1.2ポイント減少し、37.1%となりました。
(営業利益)
当連結会計年度における販売費及び一般管理費は、営業所の移転に伴う修繕費等の増加により前連結会計年度に比べて22百万円増加し、3,014百万円(前年同期比0.8%増)となりました。
以上の結果、当連結会計年度の営業利益は前連結会計年度に比べ101百万円増加し、1,637百万円(前年同期比6.6%増)となりました。
(経常利益)
当連結会計年度における営業外収益は、前連結会計年度に比べ3百万円増加し、84百万円(前年同期比4.4%増)となりました。
営業外費用は、前連結会計年度に比べ1百万円増加し、12百万円(前年同期比9.2%増)となりました。
以上の結果、経常利益は、前連結会計年度に比べ104百万円増加し、1,709百万円(前年同期比6.5%増)となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度における特別利益、特別損失は、計上しておりません。
以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べ24百万円増加し、1,148百万円(前年同期比2.2%増)となりました。
財政状況の分析
(資産)
当連結会計年度末の総資産は、15,878百万円となり前連結会計年度末に比べ618百万円増加しました。これは主に受取手形及び売掛金、たな卸資産の増加によるものです。
(負債)
負債は3,511百万円となり前連結会計年度末に比べ465百万円増加しました。これは主に買掛金の増加によるものです。
(純資産)
純資産12,367百万円となり、前連結会計年度末に比べ153百万円増加し、自己資本比率は77.7%となりました。
キャッシュ・フローの分析
当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、運転資金及び設備投資資金は基本的に自己資金でまかなうこととしておりますが、不足時の一時的な運転資金を効率的に調達するため、主要取引銀行とコミットメントライン契約を締結しております。
なお、自己資本比率77.7%、流動比率379.1%などの指標が示すように、健全な財務体質や営業活動によるキャッシュ・フローを生み出す能力によって、当社グループの事業展開に必要な運転資金及び設備投資資金を調達することが可能と考えております。
セグメントごとの財政状況及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。