四半期報告書-第47期第1四半期(令和2年4月1日-令和2年6月30日)

【提出】
2020/08/13 11:07
【資料】
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【項目】
32項目
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)経営成績の状況
当第1四半期連結累計期間におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響により、雇用情勢は悪化し、企業収益は急速に下振れし、総務省が発表した本年5月の家計調査では個人の消費支出は比較可能な2001年以降で最大の下げ幅となりました。本年5月25日の緊急事態宣言の全面解除により経済活動がほぼ再開されたことで、個人消費に持ち直しの動きがあるなど、最悪期を脱しつつあるとの見方があるものの、世界的な感染症拡大には未だ歯止めがかかっておらず、景気の先行きはなお予断を許さない状況です。
外食業界は、新型コロナウイルス感染症の影響を特に大きく受けた業界の一つで、本年4月7日からの緊急事態宣言期間中には外出自粛や休業・営業時間短縮による大幅な客数減があり、この傾向は緊急事態宣言が全面解除されてからも続きました。特に繁華街立地や夜の時間帯、休日等の客足の戻りは鈍く、ファーストフード等の一部の業態を除いて、業界全体の売上高は前年比で大幅に落ち込んでおります。
このような状況下において当社グループは、喫緊の課題である新型コロナウイルス感染症に対する取り組みとして、お客様と従業員の健康と安全を守ることを最優先にしながら、「新しい生活様式」に対応するため、日本フードサービス協会が定めるガイドラインに準じた感染防止対策をいち早く取り入れ、生活する上で欠かせない「美味しい食」の提供に注力してまいりました。
店舗では、全店舗に配布した感染予防ハンドブックにより全従業員が予防策について十分に理解し、出勤時の検温・体調チェック、従業員のマスク着用と手洗い・アルコール消毒、調理器具・店内各所のアルコール消毒等の徹底といった感染防止策とともに、飛沫感染を防ぐ店内環境作りとお客様対応を実施してまいりました。また、三密、飛沫感染を防止する店舗レイアウトの変更も順次進めてまいりました。
こうした取り組みがお客様に評価頂けたことに加え、緊急事態宣言解除による営業時間の延長によって、店内飲食売上は本年4月を底にして着実に回復いたしました。また、三密を避けて家庭での食事を希望されるテイクアウト需要の増大に応え、テイクアウト利用時の事前予約・事前決済等の利便性の向上、電子レンジでご飯とおかずが一度に温められるお持ち帰り弁当「レンチンシリーズ」の発売、デリバリーサービス対応店舗の211店舗への拡大、ご自宅で調理されるお客様向けに地域・期間限定での生餃子セールの実施、さらに東日本100店舗での「酒類持帰許可」取得による期間限定での缶ビールのテイクアウトの実施など、テイクアウトのさらなる拡充を図ったことが、店内飲食売上の落ち込みをカバーし、業績を下支えする結果となりました。
上記の施策に取り組むとともに、当社のブランド価値を引き上げる戦略である4つの主要戦略(人材戦略、商品戦略、店舗開発戦略、販促戦略)と6つのサポート戦略(工場戦略、FC店舗戦略、海外戦略、情報共有促進・社内広報強化、財務体質の強化、組織体制の強化)から成る中期経営計画は手を休めることなく着実に推進し、経営理念の実現に取り組んでおります。その主な戦略と成果については以下のとおりであります。
① 人材戦略
社内に開設した教育部署である「王将大学」が社員の階層ごとに実施している研修につきましては、先般の緊急事態宣言の発出を受けて、予定していた全ての研修を中止または延期いたしましたが、緊急事態宣言の解除後は、感染防止策を十分に行った上で少人数にて再開し、リモート研修の実験も開始いたしました。各研修は店舗運営や人材管理のためのマネジメントスキルの強化、及び各等級定義に応じた実践的な知識とスキルの習得を目的にしており、研修終了時に実施している受講者アンケートで高い研修満足度が得られております。このように人材育成に投資して来た成果は、この度のコロナ禍に於いて、いかんなく発揮され、売上対策、店舗環境整備、人件費コントロールなど本社からの細かな指示が無くとも、店舗毎に主体的に改善が行われ、早期に業績の回復を得られた大きな要因となりました。
② 商品戦略
「王将調理道場」では、調理技術認定制度を導入した調理研修により調理技術の向上を促進してまいりました。
また、グランドメニューを中心に常にレシピを見直して美味しさを追求するとともに、調理マニュアルを刷新し、合わせて調理動画を作成しました。これらを店舗に動画で配信し、いつでも学べる環境を作りました。これらのことにより、店舗での調理講習会の実施が容易となり、コロナ禍においても料理の味の向上に努めることができました。
③ 店舗開発戦略
既存店に関しましては、新型コロナウイルス感染防止のため日本フードサービス協会が定めるガイドラインに沿った対応(飛沫感染防止シートの設置、店内混雑緩和のためのテイクアウトコーナーの設置・レジの増設等)を行ったほか、快適な食空間作りのため、空調設備の定期的な交換を実施しております。また店内の安全性向上に向けて厨房・ホールの床の改修工事等を実施いたしました。
新店に関しましては、本年6月にさいたま市の車両通行量が多いロードサイドに出店しました(17号さいたま町谷店)。この店舗では、設計段階から感染防止を考慮し、店内飲食のお客様との動線を分けるためテイクアウト専用窓口を設け、カウンター席・テーブル席・レジ・テイクアウト窓口に感染防止の飛沫ガードを設置するなど、ガイドラインに準じた店舗作りを行いました。また、店内は和を感じさせる柔らかく温かみのある素材感で統一し、女性やお子様、お年寄りにも心地よくご利用して頂けるデザインを用い、王将の新たなイメージを演出しています。
④ 販促戦略
先般の緊急事態宣言による外出自粛などによりご来店が困難であった状況に鑑み、ご好評頂いている「お客様感謝キャンペーン」(お食事の会計金額に応じて押印されるスタンプを集めて各種賞品と交換)の、スタンプ押印期間を本年6月30日まで1カ月延長させて頂きました。7月1日からは新たに2021年版のぎょうざ倶楽部お客様感謝キャンペーンをスタートさせております。
また、「餃子の王将スマホアプリ」の最新バージョンをリリースし、これまでのクーポンや最新情報の配信、最寄りの店舗検索等の機能に加えて、「ぎょうざ倶楽部会員カード」をアプリに登録できるようにいたしました。これにより、会員カードが無くてもスマホの画面を提示することで会員特典を受けられるようになりました。
さらに「新しい生活様式」の中で当社をご利用頂くため、「もっと美味しい料理を提供したい」という当社従業員の熱い想いと、日々多忙な主婦の方々に対し、当社の生餃子や料理を役立てて頂きたいと言うメッセージを伝えるテレビCFを新たに制作し、積極的にTVCMを投下しました。
以上の結果、売上高は、客数が減少したこと等により、前年同期に比べて27億9百万円(13.0%)の減収で181億42百万円となりました。
営業利益は、売上高が大幅な減収となり、前年同期に比べて14億68百万円(77.9%)の減益で4億16百万円となりましたが、人件費コントロールや水道光熱費の抑制等もあり、コロナ禍においても黒字を達成することができました。
経常利益は、上記理由等により、前年同期に比べて14億2百万円(70.3%)の減益で5億93百万円となりました。
親会社株主に帰属する四半期純利益は、上記理由等により、前年同期に比べて9億72百万円(74.5%)の減益で3億31百万円となりました。
当第1四半期連結累計期間の店舗展開の状況につきましては、直営1店、FC2店の新規出店、FC4店の閉鎖を行っております。これにより当第1四半期連結会計期間末店舗数は、直営524店、FC212店となりました。
(2)財政状態の状況
(資産の部)
当第1四半期連結会計期間末における総資産の残高は、前連結会計年度末に比べ215億24百万円(31.9%)増加し、890億63百万円となりました。主な増減要因は次のとおりであります。
流動資産は、前連結会計年度末に比べ210億84百万円(107.8%)増加し、406億39百万円となりました。主な要因は現金及び預金の増加等であります。
固定資産は、前連結会計年度末に比べ4億40百万円(0.9%)増加し、484億23百万円となりました。主な要因は有形固定資産の増加等であります。
(負債の部)
当第1四半期連結会計期間末における負債の残高は、前連結会計年度末に比べ223億2百万円(129.4%)増加し、395億36百万円となりました。主な増減要因は次のとおりであります。
流動負債は、前連結会計年度末に比べ21億88百万円(16.0%)減少し、115億26百万円となりました。主な要因は未払法人税等の減少等であります。
固定負債は、前連結会計年度末に比べ244億91百万円(696.2%)増加し、280億9百万円となりました。主な要因は長期借入金の増加等であります。なお、借入金の残高は289億55百万円となりました。
(純資産の部)
当第1四半期連結会計期間末における純資産の残高は、前連結会計年度末に比べ7億78百万円(1.5%)減少し、495億26百万円となりました。主な要因は、親会社株主に帰属する四半期純利益3億31百万円の増加に対し、配当金11億25百万円の支払いによる減少等であります。以上の結果、自己資本比率は、前連結会計年度末の74.5%から55.6%となりました。
(3)キャッシュ・フローの状況
当第1四半期連結会計期間末の現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ208億60百万円増加し、379億78百万円となりました。
当第1四半期連結累計期間に係る区分ごとのキャッシュ・フローの状況は以下のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果使用した資金は、8億69百万円(前年同期は10億17百万円の獲得)となりました。主な要因は税金等調整前四半期純利益の減少であります。
主な内訳は、税金等調整前四半期純利益5億83百万円に減価償却費5億88百万円を加えた額から未払消費税等の減少額3億3百万円、法人税等の支払額12億94百万円等を減じた額であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、前年同期に比べて8億31百万円(193.4%)増加し、12億60百万円となりました。主な要因は有形固定資産の取得による支出の増加であります。
主な内訳は、有形固定資産の取得による支出11億75百万円等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は、229億91百万円(前年同期は3億45百万円の使用)となりました。主な要因は長期借入金の増加であります。
主な内訳は、借入金の純増加額241億17百万円による収入から配当金の支払額11億25百万円を減じた額であります。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第1四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題に重要な変更はありません。
(5)研究開発活動
該当事項はありません。