有価証券報告書-第23期(平成29年11月1日-平成30年10月31日)

【提出】
2019/01/30 14:35
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99項目
経営成績等の状況の概要
(1)財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度(平成29年11月1日から平成30年10月31日まで)におけるわが国経済は、世界経済の好調から企業収益が伸び、緩やかな景気回復基調となりました。個人消費は、地震や台風などの自然災害の影響により一時的に押し下げられたものの、おおむね堅調な推移となりました。
外食産業におきましては、競合他社の積極的な出店による影響に加え、コンビニエンスストアによる低価格で付加価値の高い商品の展開、労働需給ひっ迫による人件費の上昇など、当社グループにとって引き続き厳しい環境が継続しております。
このような状況のもと、当社グループは『食の戦前回帰』を企業理念とし、添加物を含まない、素材そのものの味わいを求め、「食」が安心・安全だった戦前のバランスの取れた理想的で健康的な食生活を取り戻すという理念のもと、創業以来全食材から『四大添加物(化学調味料・人工甘味料・合成着色料・人工保存料)』を完全に排除した商品を開発・提供してまいりました。
平成30年7月には健康への関心の高まりなど時代のニーズに対応し、創業以来41年間守り続けたシャリの味を3種類の黒酢をブレンドした「健康黒酢のシャリ」に変更いたしました。黒酢は熟成期間が長く、必須アミノ酸が多く含まれることから健康や美容に役立つとされています。お客様からも「コクがあり深みがある」「素材の味がはっきりした」と高い評価をいただいております。今後とも、お客様に安心・安全・健康にお食事いただけるよう、当社グループの行動指針の一つであります「見えないところを大切に」を積み重ね、従業員自身が店舗や商品に誇りを持ち、家族や友達を呼びたいと思う店づくりに努め、誠実に商品提供させていただいております。
平成30年7月には全従業員を対象に、くら寿司店舗での飲食代金が割安になる「みんな割り」制度をスタートいたしました。これは従業員本人が家族や友達とくら寿司で飲食時に会計から飲食代金の10%を割引するもので、何人でも何度でも使うことができるなど従業員のメリットも多く、採用の改善にもつながっております。
また、平成30年5月より大手回転寿司チェーンで初めて、国産天然魚を余すことなく活用する、環境に配慮した「さかな100%プロジェクト」を開始いたしました。自社加工センターにおいて天然魚を提供する際に出る年間約600トンの骨やアラなどの食べられない部位を魚粉に加工、養殖魚用飼料として活用し、「循環フィッシュ」として販売いたしました。
商品開発におきましては「その価格で最高の味を実現する」との考えのもと、専門店に負けないメニューの開発に努めております。平成30年7月には、回転寿司チェーン初めての試みとして「キヌア」や「アサイー」などスーパーフードを用いた手巻き寿司やサラダを発売しご好評をいただきました。引き続きお客様のニーズを敏感に反映し商品開発してまいります。
販売促進面におきましては、人気寿司ネタの「とろとサーモン」、「贅沢北海フェア」、「とろVSふぐ」などのフェアを毎月実施いたしました。また、フェアにあわせて「ポケットモンスター」等とタイアップし、オリジナルグッズが当たるキャンペーンを実施いたしました。
店舗開発につきましては、当連結会計年度におきまして、日本18店舗、米国4店舗、台湾5店舗に新規出店し、当社グループ全体で27店舗の新規出店を行いました。
これにより、当連結会計年度末の店舗数は、全て直営で453店舗(無添蔵4店舗、くら天然魚市場1店舗、米国17店舗、台湾14店舗を含む)となりました。
当連結会計年度におきましても積極的な投資を行いました。効率性に優れたエアコンの導入や店舗の改装・設備更新を進め、競争力強化につながる投資を継続いたしました。
また、当社グループは当社グループを取り巻くさまざまな事業リスクに対応するため、財務戦略を重視してまいりました。前連結会計年度に引き続き実質無借金(現預金の額が有利子負債を上回ること)にて運営しており、自己資本比率は当連結会計年度末66.3%と、財務の健全性を維持しております。良好な財務内容を背景に、原材料の安定調達を担保すると同時に、快適な飲食環境を提供するため、国内外におきまして戦略的な投資を実行してまいります。
以上の結果、当連結会計年度の売上高は1,324億99百万円(前連結会計年度比7.9%増)、経常利益76億55百万円(同5.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は51億30百万円(同5.0%増)となりました。
なお、当社グループは飲食事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
(2)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローは、営業活動によるキャッシュ・フローが102億9百万円の収入、投資活動によるキャッシュ・フローが44億7百万円の支出、財務活動によるキャッシュ・フローが22億31百万円の支出となりました。この結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物(以下「資金」という)残高は、164億51百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において営業活動の結果得られた資金は102億9百万円(前年同期比24.0%増)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益が74億43百万円となり、減価償却費が36億50百万円あった一方で、法人税等の支払額が20億78百万円あったこと等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において投資活動の結果使用した資金は44億7百万円(前年同期比13.1%減)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出が37億7百万円、貸付けによる支出(建設協力金の支出)が5億73百万円あったこと等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において財務活動の結果使用した資金は22億31百万円(前年同期比30.3%増)となりました。これはリース債務の返済による支出が16億円、配当金の支払が5億91百万円あったことによるものであります。
(3)生産、受注及び販売の実績
①生産実績
当社グループは、最終消費者へ直接販売する飲食業を行っておりますので、生産実績は記載しておりません。
②仕入実績
当社グループは、飲食事業の単一セグメントであり、当連結会計年度の原材料の仕入実績を品目別に記載しております。
品目当連結会計年度
(自 平成29年11月1日
至 平成30年10月31日)
前年同期比(%)
魚介類(千円)33,637,0819.8
穀類・麺類(千円)4,777,1915.3
調味料(千円)4,205,4757.3
野菜・果物類(千円)2,911,222△0.2
酒類・飲料(千円)2,256,9541.8
その他(千円)7,875,4756.9
合計(千円)55,663,4017.9

(注)上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
③受注実績
当社グループは、最終消費者へ直接販売する飲食業を行っておりますので、受注実績は記載しておりません。
④販売実績
当社グループは、飲食事業の単一セグメントであり、当連結会計年度の販売実績を事業部門別に記載しております。
事業部門別当連結会計年度
(自 平成29年11月1日
至 平成30年10月31日)
前年同期比(%)
回転すし(千円)132,499,4717.9
合計(千円)132,499,4717.9

(注)上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(4)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析
①経営成績
(売上高)
国内において18店舗の新規出店を行い、「健康黒酢のシャリ」や新商品の販売が寄与し、当連結会計年度の売上高は、前年同期実績を上回る1,324億99百万円(前年同期比7.9%増)となりました。
(営業利益)
売上原価は、604億円となり、対売上高原価率は45.6%となりました。また、販売費及び一般管理費は、652億23百万円となり、対売上高販管費比率は49.2%となりました。その結果、営業利益は68億75百万円(同8.4%増)となり、前年同期実績を上回りました。
(経常利益)
受取手数料の発生等により、営業外収益は9億47百万円となりました。営業外費用は、物販原価等により、1億67百万円となりました。
以上により、経常利益は76億55百万円(同5.1%増)となりました。
(特別損益及び親会社株主に帰属する当期純利益)
特別損失は減損損失1億68百万円等を計上した結果、2億71百万円となりました。
以上により、親会社株主に帰属する当期純利益は、51億30百万円(同5.0%増)となりました。
②財政状態
(資産の部)
当連結会計年度末の総資産額は590億69百万円となり、前連結会計年度末と比較して63億24百万円増加となりました。これは主に現金及び預金が36億10百万円、売掛金が3億43百万円、有形固定資産が16億71百万円増加したこと等によるものであります。
(負債の部)
負債につきましては、前連結会計年度末と比較して17億73百万円増加し、197億94百万円となりました。これは主に買掛金が4億8百万円、未払金が5億18百万円、リース債務を含む固定負債が4億25百万円増加したこと等によるものであります。
(純資産の部)
純資産につきましては、利益剰余金が45億37百万円増加したこと等により、前連結会計年度末と比較して45億50百万円増加し、392億75百万円となりました。
(5)資本の財源及び資金の流動性についての分析
(キャッシュ・フロー)
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの概況については、「3経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(2)キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
(資金調達及び流動性)
取引銀行1行と貸出コミットメントライン契約(総額15億円)を締結しております。本契約における当連結会計年度末の借入実行残高はありません。
また、リスク管理の一環として、大規模な天災等の不測の事態に備え、流動性を確保するためのバックアップラインとして総額20億円の長期コミットメントライン契約を取引銀行2行との間で締結しております。
本契約における当連結会計年度末の借入実行残高はありません。