有価証券報告書-第24期(平成30年11月1日-令和1年10月31日)

【提出】
2020/01/30 15:12
【資料】
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【項目】
140項目
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1)財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度(2018年11月1日から2019年10月31日まで)におけるわが国経済は、雇用・所得環境の改善がすすみ、緩やかな景気回復基調となりました。
外食産業におきましては、コンビニエンスストアによる低価格で付加価値の高い商品の展開や、労働需給ひっ迫による人件費の上昇に加え、梅雨明けの遅れや大型台風の上陸など天候不順による影響を受けるなど、引き続き厳しい環境が継続しております。
このような状況のもと、当社グループは『食の戦前回帰』を企業理念とし、添加物を含まない、素材そのものの味わいを求め、「食」が安心・安全だった戦前のバランスの取れた理想的で健康的な食生活を取り戻すという理念のもと、創業以来全食材から『四大添加物(化学調味料・人工甘味料・合成着色料・人工保存料)』を完全に排除した商品を開発・提供してまいりました。
2019年3月にスタートいたしました期間限定で旬の高級食材を提供する「旬の極み」シリーズにおきましては「下関天然とらふぐ」や「はも天寿司」「北海道こぼれいくら」「天然本まぐろ」などを販売し、お客様からご好評をいただきました。また、新商品発売に合わせて人気アニメ「キングダム」や「ワンピース」等とタイアップし、オリジナルグッズが当たるキャンペーンを実施いたしました。
商品開発におきましては「その価格で最高の味を実現する」考えのもと、専門店に負けないメニューの開発に努めております。2019年9月には、ワンランク上のスイーツブランドとして「KURA ROYAL(クラロワイヤル)」を発売いたしました。「たっぷり完熟マンゴーパフェ」や「黒糖タピオカミルクティー」など、厳選された素材を贅沢に使用した、こだわりのオリジナルスイーツとして「旬の極み」シリーズ同様、季節感を感じられる商品を継続して展開してまいります。
2019年7月にはお客様の利便性を向上するために、スマートフォンを使ったサービス「スマホdeくら」を開始いたしました。座席を時間指定予約できる「スマホde予約」、お客様のスマートフォンから注文ができる業界初の「スマホde注文」、さらに、消費税増税による持ち帰り需要増加対策としてスマホからの持ち帰り注文を可能にした「スマホdeお持ち帰り」などのサービスを開始いたしました。
また、2019年8月には米国子会社Kura Sushi USA,Inc.がNASDAQ Global Marketに上場いたしました。日系外食企業の子会社としては初めての新規上場(IPO)で、資金調達に加え知名度や信頼の向上により米国での店舗展開を加速してまいります。
当社グループの店舗開発につきましては、当連結会計年度におきまして、日本20店舗、米国6店舗、台湾6店舗に新規出店し、当社グループ全体で32店舗の新規出店を行いました。
これにより、当連結会計年度末の店舗数は、全て直営で485店舗(無添蔵4店舗、くら天然魚市場1店舗、米国23店舗、台湾20店舗を含む)となりました。
以上の結果、当連結会計年度の売上高は1,361億34百万円(前連結会計年度比2.7%増)、経常利益61億35百万円(同19.9%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は37億66百万円(同26.6%減)となりました。
なお、当社グループは飲食事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
(2)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローは、営業活動によるキャッシュ・フローが86億26百万円の収入、投資活動によるキャッシュ・フローが66億2百万円の支出、財務活動によるキャッシュ・フローが25億60百万円の収入となりました。この結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物(以下「資金」という)残高は、209億65百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において営業活動の結果得られた資金は86億26百万円(前年同期比15.5%減)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益が58億76百万円となり、減価償却費が40億51百万円あった一方で、法人税等の支払額が21億36百万円あったこと等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において投資活動の結果使用した資金は66億2百万円(前年同期比49.8%増)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出が52億57百万円、貸付けによる支出(建設協力金の支出)が6億80百万円あったこと等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において財務活動の結果得られた資金は25億60百万円(前年同期は22億31百万円の支出)となりました。これは連結子会社の増資による収入が48億43百万円あった一方で、リース債務の返済による支出が16億52百万円、配当金の支払が5億91百万円あったこと等によるものであります。
(3)生産、受注及び販売の実績
①生産実績
当社グループは、最終消費者へ直接販売する飲食業を行っておりますので、生産実績は記載しておりません。
②仕入実績
当社グループは、飲食事業の単一セグメントであり、当連結会計年度の原材料の仕入実績を品目別に記載しております。
品目当連結会計年度
(自 2018年11月1日
至 2019年10月31日)
前年同期比(%)
魚介類(百万円)35,3985.2
穀類・麺類(百万円)4,175△12.6
調味料(百万円)3,995△5.0
野菜・果物類(百万円)2,784△4.4
酒類・飲料(百万円)2,2791.0
その他(百万円)8,2594.9
合計(百万円)56,8922.2

(注)上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
③受注実績
当社グループは、最終消費者へ直接販売する飲食業を行っておりますので、受注実績は記載しておりません。
④販売実績
当社グループは、飲食事業の単一セグメントであり、当連結会計年度の販売実績を事業部門別に記載しております。
事業部門別当連結会計年度
(自 2018年11月1日
至 2019年10月31日)
前年同期比(%)
回転すし(百万円)136,1342.7
合計(百万円)136,1342.7

(注)上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(4)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析
①経営成績
(売上高)
国内外において32店舗の新規出店を行ったこと等により、当連結会計年度の売上高は、前年同期実績を上回る1,361億34百万円(前年同期比2.7%増)となりました。
(営業利益)
売上原価は、616億32百万円となり、対売上高原価率は45.3%となりました。また、販売費及び一般管理費は、690億26百万円となり、対売上高販管費比率は50.7%となりました。その結果、営業利益は54億75百万円(同20.4%減)となりました。
(経常利益)
受取手数料の発生等により、営業外収益は8億58百万円となりました。営業外費用は、物販原価等により、1億99百万円となりました。
以上により、経常利益は61億35百万円(同19.9%減)となりました。
(特別損益及び親会社株主に帰属する当期純利益)
特別損失は減損損失等を計上した結果、2億58百万円となりました。
以上により、親会社株主に帰属する当期純利益は、37億66百万円(同26.6%減)となりました。
②財政状態
(資産の部)
当連結会計年度末の総資産額は682億16百万円となり、前連結会計年度末と比較して91億48百万円増加となりました。これは主に現金及び預金が45億14百万円、売掛金が7億43百万円、有形固定資産が25億49百万円増加したこと等によるものであります。
(負債の部)
負債につきましては、前連結会計年度末と比較して12億12百万円増加し、210億5百万円となりました。これは主に買掛金が1億79百万円、未払金が3億85百万円、その他の流動負債が6億5百万円増加したこと等によるものであります。
(純資産の部)
純資産につきましては、利益剰余金が31億74百万円、非支配株主持分が30億58百万円増加したこと等により、前連結会計年度末と比較して79億36百万円増加し、472億11百万円となりました。
(5)資本の財源及び資金の流動性についての分析
(キャッシュ・フロー)
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの概況については、「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(2)キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
(資金調達及び流動性)
取引銀行1行と貸出コミットメントライン契約(総額15億円)を締結しております。本契約における当連結会計年度末の借入実行残高はありません。
加えて、リスク管理の一環として、大規模な天災等の不測の事態に備え、流動性を確保するためのバックアップラインとして総額20億円の長期コミットメントライン契約を取引銀行2行との間で締結しております。本契約における当連結会計年度末の借入実行残高はありません。
また、当連結会計年度におきましては、連結子会社の増資により、資金調達を行っております。
(6)経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、資産の有効活用により企業価値を高めるという観点から、総資産経常利益率(ROA)18%を目標としております。
なお、当連結会計年度における総資産経常利益率(ROA)は9.6%であり、前連結会計年度と比較して、4.1%減少いたしました。要因といたしましては、連結子会社の増資や設備投資等により、総資産が前連結会計年度と比較して15.5%増加した反面、経常利益が前連結会計年度と比較して19.9%減少したことによります。
引き続き、企業価値の向上に努めてまいります。