有価証券報告書-第29期(2023/11/01-2024/10/31)

【提出】
2025/01/30 16:17
【資料】
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【項目】
148項目
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1)財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度(2023年11月1日から2024年10月31日)におけるわが国経済は、ウクライナ情勢の長期化に加え、中東情勢の緊迫化、不安定な為替変動などにより、景気の先行きは依然として不透明な状況が続いております。外食産業におきましても、物価高による外食控え、仕入れ価格や人件費の上昇等、厳しい環境が続いております。
このような状況のもと、当社グループは、抗菌寿司カバーやお客様が入れ替わるごとに醤油差しなどの備品を入れ替えるクリーンテーブルなど安心・安全に関するさまざまな取り組みを行いながら、「ビッくらポン!」や大手回転寿司チェーンの中で唯一、回転レーンでお寿司を提供しているエンターテインメント性を大切にし、回転寿司本来の手軽さと楽しさを追求してまいりました。
店舗開発につきましては、国内11店舗、米国14店舗、アジア5店舗の計30店舗を出店いたしました。この結果、当連結会計年度末の店舗数は、全て直営で677店舗(「無添蔵」4店舗、「くらおさかな市場」1店舗、米国64店舗、アジア61店舗を含む)となりました。
セグメント業績は次の通りであります。
<日本>日本国内におきましては、当社の強みである「まぐろ」「かに」など質の高い商品を中心にしたフェアの展開、TV放送開始から25周年となる人気アニメ「ONE PIECE」など話題性の高いコンテンツとのコラボ企画の実施により、売上高は好調に推移いたしました。
また、当社の強みである現場力を生かし、経営と現場が一体となって、個々の商品ごとにきめ細かな商品設計を適宜行うことで、原価率の低減に努めました。タッチパネルの更新など次年度以降を見据えた戦略的な先行投資も実施いたしました。
この結果、売上高1,742億73百万円(前年同期比6.2%増)、経常利益65億69百万円(前年同期比375.5%増)となり、大幅な増収増益となりました。
<北米>米国子会社 Kura Sushi USA,Inc.(KSU)におきましては、米国経済の減速で同国内の多くの外食企業が影響を受けている中、コラボ企画などを展開し売上高は回復傾向にあるものの、売上高、利益ともに軟調に推移いたしました。一方で、積極的な新規出店は継続的に実施し、ニューヨーク州スミスヘブンモール店など14店舗となりました。
この結果、売上高358億66百万円(前年同期比38.1%増)、経常損失10億41百万円(前年同期は経常利益2億47百万円)となりました。
<アジア>台湾子会社 亞洲藏壽司股份有限公司(KSA)におきましては、日本でも大変話題となった「ちいかわ」とのコラボ企画などによりお客様に大変ご好評をいただきました。また、沙鹿中山路店、頭份運動公園店など5店舗を新規出店いたしました。一方、組織強化のための投資に加え、人件費や光熱費の上昇による影響を受けました。
この結果、売上高251億26百万円(前年同期比16.5%増)、経常利益9億15百万円(前年同期比37.5%減)となりました。
以上の結果、当連結会計年度の業績は、売上高2,349億50百万円(前年同期比11.1%増)、経常利益62億24百万円(前年同期比115.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は32億26百万円(前年同期比273.7%増)となり、大幅な増収増益となりました。
(2)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローは、営業活動によるキャッシュ・フローが183億63百万円の収入、投資活動によるキャッシュ・フローが103億46百万円の支出、財務活動によるキャッシュ・フローが40億8百万円の支出となりました。この結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物(以下「資金」という)残高は、230億43百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度におきまして営業活動の結果得られた資金は183億63百万円(前年同期比33.8%増)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益が43億39百万円となり、減価償却費が105億32百万円、減損損失が17億48百万円、仕入債務の増加額が11億15百万円あったこと等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度におきまして投資活動の結果使用した資金は103億46百万円(前年同期比28.9%減)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出が102億86百万円あったこと等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度におきまして財務活動の結果使用した資金は40億8百万円(前年同期は54億95百万円の収入)となりました。これは主にリース債務の返済による支出が37億25百万円、配当金の支払が7億96百万円あったこと等によるものであります。
(3)生産、受注及び販売の実績
①生産実績
当社グループは、最終消費者へ直接販売する飲食業を行っておりますので、生産実績は記載しておりません。
②仕入実績
当連結会計年度の仕入実績は、次のとおりであります。
品目当連結会計年度
(自 2023年11月1日
至 2024年10月31日)
前年同期比(%)
魚介類(百万円)56,6902.7
穀類・麺類(百万円)6,2158.0
調味料(百万円)6,3657.3
野菜・果物類(百万円)4,2258.0
酒類・飲料(百万円)2,8557.0
その他(百万円)12,4055.4
合計(百万円)88,7594.1

③受注実績
当社グループは、最終消費者へ直接販売する飲食業を行っておりますので、受注実績は記載しておりません。
④販売実績
当連結会計年度の販売実績は、次のとおりであります。
事業部門別当連結会計年度
(自 2023年11月1日
至 2024年10月31日)
前年同期比(%)
回転すし(百万円)234,95011.1
合計(百万円)234,95011.1

(4)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析
①経営成績
(売上高)
国内におきましては、人流回復と大幅な円安の進行に伴うインバウンド需要の増加等により、経済活動の緩やかな回復の動きが見られ、質の高い商品を中心にしたフェアの展開や話題性の高いコンテンツとのコラボ企画により順調に推移いたしました。海外におきましては、米国において国内経済の減速で多くの外食企業が影響を受けている中、コラボ企画の展開などで堅調に推移し、特に台湾においては、日本でも大変話題となった「ちいかわ」とのコラボ企画などによりお客様に大変ご好評いただきました。資源高・物価高や人材不足による人件費の高騰等の不安定な経済状況ではあるものの、日本、米国、台湾で店舗開発を積極化した結果、日米台3地域全てで過去最高を更新いたしました。この結果、当連結会計年度の売上高は2,349億50百万円(前年同期比11.1%増)となりました。
(営業利益)
人流回復に伴いインバウンド需要が回復してきたことに加え、コストアップに対応するため、商品ごとにきめ細かく適正に商品設計を適宜行うことで、原価率の低減に努めた結果、収益面の改善に貢献いたしました。また、米国においては国内景気の減速の影響を受け、台湾においても人件費や光熱費の上昇による影響を受け、それぞれ収益面は軟調に推移いたしました。この結果、営業利益は56億99百万円(前年同期比132.0%増)となりました。
(経常利益)
当連結会計年度における営業外収益は、受取利息の発生等により、9億31百万円となりました。営業外費用は、支払利息の発生等により、4億6百万円となりました。
この結果、経常利益は62億24百万円(前年同期比115.9%増)となりました。
(特別損益及び親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度における特別損失は、減損損失等を計上した結果、18億85百万円となりました。また、親会社株主に帰属する当期純利益は32億26百万円(前年同期比273.7%増)となりました。
②財政状態
(資産の部)
当連結会計年度末における資産総額は、1,394億46百万円となり、前連結会計年度末と比較して93億27百万円増加いたしました。これは、主に現金及び預金が41億3百万円、有形固定資産が49億78百万円それぞれ増加したこと等によるものであります。
(負債の部)
負債につきましては、前連結会計年度末と比較して69億46百万円増加し、664億99百万円となりました。これは、主に買掛金が10億85百万円、固定負債のリース債務が21億7百万円それぞれ増加したこと等によるものであります。
(純資産の部)
純資産につきましては、利益剰余金が24億31百万円増加したこと等により、前連結会計年度末と比較して23億80百万円増加し、729億46百万円となりました。
(5)資本の財源及び資金の流動性についての分析
(キャッシュ・フロー)
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの概況については、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(2)キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
(資金調達及び流動性)
取引銀行1行と貸出コミットメントライン契約(総額15億円)を締結しております。本契約における当連結会計年度末の借入実行残高はありません。
加えて、リスク管理の一環として、大規模な天災等の不測の事態に備え、流動性を確保するためのバックアップラインとして総額20億円の長期コミットメントライン契約を取引銀行2行との間で締結しております。本契約における当連結会計年度末の借入実行残高はありません。
(6)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、不正又は誤謬による重要な虚偽表示のない連結財務諸表を作成しております。
会計上の見積りにつきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
(7)経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、2020年1月に2030年度を最終年度とする「長期構想」を公表しております。計画の基本方針は、第二の創業期として日本国内、海外を両輪で拡大していくことで、全世界での売上3,600億円以上、店舗数1,100店舗以上を目標値として設定しております。