有価証券報告書-第54期(平成30年3月1日-平成31年2月28日)

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2019/05/29 16:22
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(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国の経済は、企業収益や雇用・所得環境の改善が続くなかで、景気は緩やかな回復基調が続いていました。しかしながら、通商問題の動向が世界経済に与える影響や海外経済の不確実性、また相次ぐ自然災害の経済に与える影響により、不透明な状況にありました。
このような状況の中、当社グループは経営理念である「しあわせ社会学の確立と実践」のもと、主力事業である定期便(コレクション)事業の収益力改善と次代を担う新たな事業の育成に取り組んでまいりました。
定期便(コレクション)事業では、顧客との共感をベースにした価値の提供と継続的な関係性を軸としたクラスターマーケティングへの転換を進めており、当連結会計年度も顧客との接点を重視したマーケティング・コミュニケーションを実施してまいりました。
定期便(コレクション)の顧客数につきましては、新規顧客や復活顧客の獲得が目標に届かなかったことで、通期の延べ顧客数は前期を下回りましたが、「Live in comfort(リブ イン コンフォート)」及び「MEDE19F(メデ・ジュウキュウ)」といったファッションアイテムや、継続性の高いカテゴリーである日用消耗品や生活雑貨商品の売上げが好調だったことにより顧客の購入単価が上昇し、下半期の売上高は前年同期を上回って推移しました。一方、上半期の売上高の減少をカバーするには至らず、通期の売上高では前期を下回る結果となりました。
新規事業分野では、引き続き当社の保有リソースや資産を活用したB2B事業が伸長しました。当社の定期便プラットフォームに取引先事業者が出品・出稿できる「FELISSIMO PARTNERS(フェリシモパートナーズ)」事業は取扱高及び出品点数が拡大し、売上高を大きく伸長させました。また、物流及びEC支援事業は店舗配送の支援や当社物流システムとのAPI連携の強化などサービスメニューを拡張し、成長を加速させました。さらに、地域共生事業、及びスマートフォンやSNSを中心としたマーケティングが奏功したファッションブランド「haco!(ハコ)」の売上げも増加したことにより、新規事業分野全体でも前期比で増収となりました。
これらの活動の結果、当連結会計年度における当社グループの売上高は、28,882百万円(前期比 1.4%減)となりました。売上高は減少しましたが原価率が改善したことで、返品調整引当金繰入額及び戻入額調整後の売上総利益は15,436百万円(前期比 0.2%減)となりました。
販売費及び一般管理費につきましては、商品出荷件数の減少による影響や効率改善によるコスト削減効果によって広告費は減少しましたが、送料単価上昇により商品送料が増加したことで、14,902百万円(前期比 2.0%増)となりました。これらの結果、営業利益は534百万円(前期比 37.8%減)となりました。
営業外損益では、為替差益等による営業外収益を191百万円計上したことにより、経常利益は723百万円(前期比 21.0%減)となりました。税金等調整前当期純利益は704百万円(前期比 30.0%減)となり、親会社株主に帰属する当期純利益は695百万円(前期比 30.2%減)となりました。
② 財政状態の状況
当連結会計年度末における資産合計は30,658百万円となり、前連結会計年度末に比べ811百万円増加(2.7%増)いたしました。これは主に、合同運用指定金銭信託購入による有価証券の増加2,000百万円、2021年2月期に完成予定である当社の本社新社屋建設への投資等による有形固定資産の増加1,071百万円及びシステム投資等による無形固定資産の増加241百万円があった一方で、現金及び預金の減少が2,615百万円となったことによるものであります。なお、当連結会計年度において、新社屋建設用地として土地654百万円を取得しております。
負債合計は13,849百万円となり、前連結会計年度末に比べ24百万円増加(0.2%増)いたしました。これは主に、設備投資及び送料単価上昇等に伴う商品送料の増加による未払金の増加108百万円に対し、退職給付に係る負債の減少88百万円となったことによるものであります。
純資産合計は16,808百万円となり、前連結会計年度末に比べ786百万円増加(4.9%増)いたしました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益の計上695百万円によるものであります。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、13,082百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,687百万円減少いたしました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの主な要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果増加した資金は854百万円(前期比 41.0%減)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益の計上704百万円及び減価償却費の計上209百万円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果減少した資金は3,503百万円(前期比 137.7%増)となりました。これは主に、有価証券の取得による支出2,000百万円、有形固定資産の取得による支出1,103百万円及び無形固定資産の取得による支出370百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果減少した資金は66百万円(前期比 67.7%増)となりました。これは、リース債務の返済による支出32百万円及び配当金の支払額34百万円によるものであります。
④ 生産、受注及び販売の実績
当社グループは、カタログ等による一般消費者向けの通信販売を主な事業としておりますので、生産及び受注の状況に替えて商品仕入実績を記載しております。
なお、当社グループは、単一セグメント・単一事業部門であるため品目ごとに商品仕入実績及び販売実績を記載しております。
イ.商品仕入実績
事業区分品目当連結会計年度
(自 2018年3月1日
至 2019年2月28日)
前年同期比(%)
通信販売事業服飾・服飾雑貨(百万円)9,475105.0
生活関連(百万円)3,49194.1
その他(百万円)619101.5
合計(百万円)13,587101.8

(注)上記金額には、消費税等は含まれておりません。
ロ.販売実績
事業区分品目当連結会計年度
(自 2018年3月1日
至 2019年2月28日)
前年同期比(%)
通信販売事業服飾・服飾雑貨(百万円)20,230100.0
生活関連(百万円)7,60997.7
その他(百万円)1,04381.9
合計(百万円)28,88298.6

(注)上記金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。当社グループの連結財務諸表の作成にあたっては、連結会計年度末における資産、負債の報告数値及び収益、費用の報告数値に影響を与える見積り、判断及び仮定を必要としております。当社グループは連結財務諸表作成の基礎となる見積り、判断及び仮定を過去の経験や状況に応じて、合理的と判断される入手可能な情報により継続的に検証し、意思決定を行っております。しかしながら、これらの見積り、判断及び仮定は不確実性を伴うため、実際の結果と異なる場合があります。この差異は、当社グループの連結財務諸表に影響を及ぼす可能性があります。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度の売上高は28,882百万円となり、前連結会計年度と比べて403百万円の減少(1.4%減)となりました。売上高が減少したことで、返品調整引当金戻入額及び繰入額調整後の売上総利益は15,436百万円となり、前連結会計年度と比べて36百万円の減少(0.2%減)となりました。売上総利益の売上高に対する比率(返品調整引当金繰入額及び戻入額調整後の売上総利益率)は53.4%と前連結会計年度の52.8%と比べて0.6ポイント改善いたしました。
当社グループの業績に重要な影響を与える要因としましては、既存の定期便(コレクション)顧客の減少及び新規顧客の獲得が計画どおりに進まないことが挙げられます。通信販売全体の市場規模は拡大傾向にありますが、カタログを媒体とする通信販売の市場規模は縮小傾向にある中で、当連結会計年度も顧客との共感をベースにした価値の提供と継続的な関係性を軸としたクラスターマーケティングへの転換や、顧客との接点を重視したマーケティング・コミュニケーションを実施してまいりました。2020年2月期もこれらの施策を積極的に実施・活用することで、市場動向や対象顧客のニーズ分析等をしてまいります。
他方、販売費及び一般管理費につきましては14,902百万円と前連結会計年度と比べて288百万円の増加(2.0%増)となり、当連結会計年度における販売費及び一般管理費の売上高に対する比率(販売費及び一般管理費率)は、51.6%と前連結会計年度の49.9%と比べて1.7ポイント増加いたしました。
販売費及び一般管理費率が増加した要因としましては、送料単価上昇により商品送料が増加したことが挙げられます。通信販売という特性上、配送コストの増大は当社グループの業績に重要な影響を与える要因となりますが、物流コストの増大といった全国的な課題に対処するべく、今後とも配送関連コストを中心に費用の見直しを行ってまいります。
営業利益につきましては534百万円となり、前連結会計年度と比べて324百万円の減少(37.8%減)となりました。また、営業外損益では、為替差益等の営業外収益が191百万円に対して営業外費用が2百万円となり、経常利益は723百万円(前期比 21.0%減)となりました。これらの結果、税金等調整前当期純利益は704百万円(前期比 30.0%減)となり、親会社株主に帰属する当期純利益は695百万円(前期比 30.2%減)となりました。
経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等として、2020年2月期は連結売上高30,276百万円(前期比 4.8%増)、連結営業利益116百万円(前期比 78.1%減)、連結経常利益195百万円(前期比 73.0%減)、親会社株主に帰属する当期純利益183百万円(前期比 73.6%減)を見込んでおります。
2020年2月期の売上高につきましては当連結会計年度を上回る計画となっておりますが、販売費及び一般管理費のうち顧客へ商品を出荷する際の配送料が当連結会計年度に比べて上昇する見通しであることから、商品送料の増加を見込んでおります。今後配送関連コスト及び他の経費についても見直しを行い利益水準の向上を図ってまいりますが、現時点では2020年2月期の利益につきましては当連結会計年度を下回る見通しとなっております。
③ 資本の財源及び資金の流動性
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、商品仕入のほか、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、主に設備投資等によるものであります。
当社グループは、事業運営上必要な資金は自己資金をもって充当することを基本方針としております。
なお、当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は3,008百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は13,082百万円となっております。