有価証券報告書-第27期(令和3年3月1日-令和4年2月28日)

【提出】
2022/05/25 16:15
【資料】
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【項目】
131項目
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
当連結会計年度(2021年3月1日~2022年2月28日)におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染拡大による経済活動の制限が繰り返される中、新たな変異株の出現等により、景気の先行きは予断を許さない状況となっております。
外食業界におきましても、度重なる緊急事態宣言、まん延防止等重点措置の発出による休業要請や外出自粛の強まりを背景に極めて厳しい経営環境が続きました。
こうした環境の中、当社グループは、安全面に配慮しながら、エリアや業態ごとに柔軟な運営を行ってきました。日本国内におきましては、人流が戻りにくいエリアや業態においては、雇用調整助成金の獲得によるスタッフの雇用維持や休業協力金を効率的に受けるための営業体制の最適化を図りました。一方で、消費が戻りつつあるエリアや業態におきましては、安全安心を第一義に積極的な営業、また、アフターコロナを見据え、お客様により楽しんでいただくことを目的に各事業のブラッシュアップを進めてきました。
① 財政状態及び経営成績の状況
アロハテーブル事業において、“リアルハワイ”を掲げたリブランディングとして、空間や商品の見直しを図りました。また、ブライダル事業では、来期への布石として、当社グループの大型店舗である「徳川園」にて、2022年4月よりのPark-PFI制度を活用した管理運営に切り替わることに伴い、コンソーシアムグループ「徳川の杜」の一員として、これまでのレストラン・ウエディング事業のみならず、特定公園施設の整備にも携わることが決定しており、来期の再開業を目指し大幅リニューアル及び新規事業を計画し、事業を拡張していきます。
米国ハワイ州にて事業を運営しております連結子会社のZETTON,INC.におけるインターナショナル事業におきましては、日本より早い経済活動の回復を背景に、業績が高水準にて推移いたしました。加えて、2021年9月に米国政府による「RRF(レストラン活性化基金)」受給に向けていち早く申請手続きを行い、早期に助成金を得たことで、向こう約1年程度の運転資金を確保いたしました。これらを背景に、2021年11月には、カジュアルフレンチ店舗「Paris.Hawaii」を、ハワイの豊かな“AINA”(大地)に育まれた良質かつ環境に配慮された食材を使用し、フレンチの伝統技法 で創り出す、アイランドフレンチの新店「natuRe waikiki」へリニューアルを実施いたしました。また、来期に向けて新規事業も計画、進行しております。
また、当社グループは、2021年12月に財務体質の強化及び企業価値の最大化を目的に、株式会社アダストリアに対して第三者割当増資による新株式の発行を行うと同時に、資本業務提携契約を締結し、2022年2月の同社の公開買付けを受け入れ、同社が当社の発行済株式総数の51%を保有したことにより、当社は同社の連結子会社となりました。
今後、同社とのシナジー効果を創出して、当社グループの持つブランド力を最大限に生かしてまいります。また、創業時からの企業理念「店づくりは、人づくり。店づくりは、街づくり。」はアフターコロナの新しい時代においてこそ、ぶれる事のない普遍の理念であることを再認識し、持続可能な社会の実現と永続的な企業価値の向上を目指してまいります。
当連結会計年度(2021年3月1日~2022年2月28日)の連結業績は、売上高4,619百万円(前年同期比2.1%減)、営業損失1,179百万円(前年同期は営業損失1,692百万円)、経常利益263百万円(前年同期は経常損失1,577百万円)、親会社株主に帰属する当期純利益582百万円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純損失1,251百万円)となりました。
※店舗数については、当期間において2店舗の減少により、当連結会計年度末の店舗数は、直営店69店舗(国内63店舗、海外6店舗)、FC店4店舗の合計73店舗となっております。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ1,788百万円増加の2,313百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は1,161百万円(前年同期は1,450百万円の支出)となりました。これは主に助成金の受取額2,599百万円、税金等調整前当期純利益635百万円等の資金増加要因が、助成金収入1,478百万円、債務免除益372百万円等の資金減少要因を上回ったこと等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は81百万円(前年同期は497百万円の支出)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出30百万円、差入保証金の差入による支出54百万円等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は661百万円(前年同期は1,709百万円の収入)となりました。これは主に短期借入金の減少額609百万円、株式の発行による収入1,292百万円等によるものであります。
③ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度の生産実績を示すと、次のとおりであります。
なお、当社グループは単一セグメントであるため、セグメントの名称を飲食事業として記載しております。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2021年3月1日
至 2022年2月28日)
金額(千円)前期比(%)
飲食事業1,189,08992.0
合計1,189,08992.0

(注)1.当社グループの主たる事業は、飲食店舗の運営であるため、生産実績の金額には売上原価の金額を記載しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
b.受注実績
当社グループの主たる事業は飲食店舗の運営であり、提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、記載を省略しております。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績を示すと、次のとおりであります。
なお、当社グループは単一セグメントであるため、セグメントの名称を飲食事業として記載しております。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2021年3月1日
至 2022年2月28日)
金額(千円)前期比(%)
飲食事業4,619,51097.9
合計4,619,51097.9

(注)上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づいて作成しております。この連結財務諸表の作成にあたっては、決算日における財政状態及び経営成績に影響を与えるような経営者の見積り及び予測を必要としております。当社グループは、過去の実績値や状況を総合的に勘案して合理的と判断される前提に基づき、見積り及び予測を行っております。実際の結果は、見積り特有の不確実性が存在するため、これら見積りと異なる場合があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
(固定資産の減損)
当社グループは、各店舗を独立したキャッシュ・フローを生み出す最小の単位としてグルーピングをしており、減損の兆候がある店舗について、割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、減損損失を計上しております。回収可能価額は、正味売却価額または使用価値により算定しております。
減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定に当たっては慎重に検討しておりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、減損処理が必要となる場合があります。
なお、新型コロナウイルス感染症の当社グループの影響につきましては、店舗の休業及び営業時間の短縮等により来客数及び売上高が減少し、経営成績に大きな影響を受けております。
新型コロナウイルス感染症の収束時期は不透明であり、予測することは困難な状況ではありますが、2023年2月期については緩やかに持ち直し、2024年2月期以降については、当該感染症の拡大以前の状況まで回復するとの仮定に基づき、固定資産の減損の会計上の見積りを行っております。
(繰延税金資産)
当社グループは、繰延税金資産について、将来の利益計画に基づいた課税所得が十分に確保できることや、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、繰延税金資産及び法人税等調整額に重要な影響を与える可能性があります。
なお、新型コロナウイルス感染症の当社グループの影響につきましては、店舗の休業及び営業時間の短縮等により来客数及び売上高が減少し、経営成績に大きな影響を受けております。
新型コロナウイルス感染症の収束時期は不透明であり、予測することは困難な状況ではありますが、2023年2月期については緩やかに持ち直し、2024年2月期以降については、当該感染症の拡大以前の状況まで回復するとの仮定に基づき、繰延税金資産の回収可能性の会計上の見積りを行っております。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する分析及び検討内容
イ 財政状態
財政状態の分析については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」をご参照ください。
ロ 経営成績
Ⅰ(売上高)
日本国内におきましては、行政からの要請に基づき、また、安全面に配慮しながら、エリアや業態ごとに柔軟な運営を行ってきました。消費が戻りつつあるエリアや業態におきましては、安全安心を第一義に積極的な営業を行うと同時に、お客様により楽しんでいただくことを目的に各事業のブラッシュアップを進めてきました。これらが功を奏して、特にブライダル事業は好調に推移いたしました。
米国ハワイ州にて事業を運営しております、連結子会社のZETTON,INC.が運営するインターナショナル事業におきましては、日本より早い経済活動の回復を背景に、アメリカ本土からのツーリストが増加、業績は高水準にて推移いたしました。これらの結果、4,619百万円(前年同期比2.1%減)となりました。
Ⅱ(営業損失)
新型コロナウイルス感染症の影響により、売上高が損益分岐点を下回り、雇用調整助成金の獲得によるスタッフの雇用維持、店舗家賃の減額交渉や各種コスト削減等を行ったものの固定費の回収までには至りませんでした。これらの結果、1,179百万円の営業損失(前年同期は営業損失1,692百万円)となりました。
Ⅲ(経常利益)
休業協力金を効率的に受けるための営業体制の最適化を図りました。これらの結果、263百万円の経常利益(前年同期は経常損失1,577百万円)となりました。
Ⅳ(親会社株主に帰属する当期純利益)
親会社株主に帰属する当期純利益582百万円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純損失1,251百万円)となりました。主な要因といたしましては、債務免除益372百万円の計上等によるものであります。
ハ 経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」をご参照ください。
ニ 資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、原材料費、人件費及び店舗家賃等の営業費用であり、設備投資資金需要のうち主なものは、新規出店及び既存店の改装費等であります。
これらの必要資金については、営業キャッシュ・フローで充当するとともに、必要に応じて金融機関等からの借入れによる資金調達を実施して充当しております。今後におきましても、安定的な経営を続けるために必要な流動性を確保しながら、金融情勢を勘案して、安定資金を重点的に調達していく方針であります。なお、当連結会計年度末における有利子負債の残高は、1,447百万円であります。
ホ 経営者の問題認識と今後の方針について
当社グループにおける今後の成長に向けた課題については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照ください。
へ 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、売上高、営業利益、総資産当期純利益率及び自己資本比率を重要な経営指標として位置付け、2023年2月期を最終年度とする中期事業計画の数値目標(売上高120億円、営業利益8億40百万円、総資産当期純利益率10%以上、自己資本比率40%以上)を掲げておりました。
一方でこの2年、新型コロナウイルス感染症の影響等により、当社グループの業績は、当初計画を大きく下回る結果となりましたが、アフターコロナへ向けて、当社グループの経営方針、経営戦略の見直し等を含め、経営上の目標を精査の上、企業価値の最大化に向けて邁進してまいります。