四半期報告書-第82期第3四半期(平成30年10月1日-平成30年12月31日)
本項における将来に関する事項は、別段の記載がない限り、当第3四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 財政状態の分析
<資産の部>当第3四半期連結会計期間末の総資産は前年度末比2,941億円(1.4%)増加の21兆4,292億円となりました。内訳は流動資産が同2,504億円(1.2%)増加の20兆7,289億円であり、このうち有価証券が同965億円(9.8%)増加の1兆837億円、トレーディング商品が同6,799億円(10.2%)増加の7兆3,470億円、営業貸付金が同1,757億円(12.2%)増加の1兆6,186億円、有価証券担保貸付金が同7,004億円(10.8%)減少の5兆7,962億円となっております。固定資産は同437億円(6.7%)増加の7,002億円となっております。
<負債の部・純資産の部>負債合計は前年度末比4,172億円(2.1%)増加の20兆1,817億円となりました。内訳は流動負債が同2,545億円(1.5%)増加の17兆2,896億円であり、このうち有価証券担保借入金が同3,716億円(6.4%)増加の6兆1,475億円、銀行業における預金が同2,175億円(6.4%)増加の3兆6,060億円、トレーディング商品が同1,880億円(3.7%)減少の4兆8,427億円、1年内償還予定の社債が同940億円(36.0%)減少の1,673億円、短期借入金が同198億円(1.8%)減少の1兆719億円となっております。固定負債は同1,626億円(6.0%)増加の2兆8,880億円であり、このうち社債が同781億円(5.9%)増加の1兆3,935億円、長期借入金が同839億円(6.3%)増加の1兆4,116億円となっております。
純資産合計は同1,230億円(9.0%)減少の1兆2,474億円となりました。資本金及び資本剰余金の合計は4,780億円となりました。利益剰余金は親会社株主に帰属する四半期純利益を504億円計上したほか、配当金435億円の支払いを行ったこと等により、同66億円(0.9%)増加の7,924億円となっております。自己株式の控除額は同250億円(46.2%)増加の793億円、その他有価証券評価差額金は同174億円(28.5%)減少の437億円、為替換算調整勘定は同15億円(59.5%)増加の40億円、非支配株主持分は同854億円(96.4%)減少の31億円となっております。
(2) 経営成績の分析
① 事業全体の状況
当第3四半期連結累計期間の営業収益は前年同期比1.8%増の5,364億円、純営業収益は同10.9%減の3,337億円となりました。
受入手数料は2,183億円と、同6.7%の減収となりました。委託手数料は、株式取引が減少したことにより、同16.1%減の458億円となりました。引受業務では、大型のエクイティ引受案件等により、引受け・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の手数料は、同24.2%増の355億円となりました。
トレーディング損益は、急激な市場変動の中でポジション運営に苦戦し、同14.7%減の661億円となりました。
販売費・一般管理費は同2.6%増の2,798億円となりました。取引関係費は販売促進に関連する費用の増加により同1.2%増の544億円、人件費は米国のSagent Holdings, Inc.とSignal Hill Holdings LLCを買収統合して昨年度発足させたDCS Advisory Holdings Inc.を連結子会社化したことにより同1.6%増の1,384億円、減価償却費は新システムの稼働等により同4.2%増の190億円となっております。
以上より、経常利益は同41.6%減の654億円となりました。
これに特別損益、法人税等及び非支配株主に帰属する四半期純損失を差し引いた結果、親会社株主に帰属する四半期純利益は前年同期比31.9%減の504億円となりました。
② セグメント情報に記載された区分ごとの状況
純営業収益及び経常利益をセグメント別に分析した状況は次のとおりであります。
(単位:百万円)
[リテール部門]
リテール部門の主な収益源は、国内の個人投資家及び未上場会社のお客様の資産管理・運用に関する商品・サービスの手数料であり、経営成績に重要な影響を与える要因には、お客様動向を左右する国内外の金融市場及び経済環境の状況に加え、お客様のニーズに合った商品の開発状況や引受け状況及び販売戦略が挙げられます。
当第3四半期連結累計期間においては、エクイティ募集では国内で過去最大となるグローバルIPOなどの大型案件もあったため販売額が拡大し、またファンドラップでは株式市場の下落により評価額が減少したものの純増額は引き続き堅調に推移しております。
一方で株式投資信託は、外国株式を主要投資対象とするファンドやIoT、ロボット関連等のテーマ型ファンドの販売が好調だった前年同期と比べると販売額が大幅に減少しました。
その結果、当第3四半期連結累計期間のリテール部門における純営業収益は前年同期比9.6%減の1,443億円、経常利益は同41.7%減の227億円となりました。リテール部門の当第3四半期連結累計期間の純営業収益及び経常利益のグループ全体の連結純営業収益及び連結経常利益に占める割合は、それぞれ43.2%及び34.7%でした。
[ホールセール部門]
ホールセール部門は、機関投資家等を対象に有価証券のセールス及びトレーディングを行うグローバル・マーケッツと、事業法人、金融法人等が発行する有価証券の引き受け、M&Aアドバイザリー業務や上場コンサルティング業務を行うグローバル・インベストメント・バンキングによって構成されます。グローバル・マーケッツの主な収益源は、機関投資家に対する有価証券の売買に伴って得る取引手数料及びトレーディング収益です。グローバル・インベストメント・バンキングの主な収益源は、引受業務やM&Aアドバイザリー業務によって得る引受け・売出し手数料とM&A関連手数料です。グローバル・マーケッツにおいては、国際的な地政学リスクや経済状況等で変化する金融市場の動向や、それに伴う顧客フローの変化が、経営成績に重要な影響を与える要因となります。グローバル・インベストメント・バンキングにおいては、顧客企業の資金調達手段の決定やM&Aの需要を左右する国内外の経済環境等に加え、当社が企業の需要を捉え、案件を獲得できるかが経営成績に重要な影響を与える要因となります。
グローバル・マーケッツにおいては、米中貿易摩擦や世界的な景気減速に対する懸念の影響を受け、減収減益となりました。エクイティは、顧客フローは比較的堅調に推移したものの、急激な市場変動の中でポジション運営に苦戦し、減収となりました。金融市場は、金利が低下する中、顧客フローが減少し、減収となりました。これらの結果、当第3四半期連結累計期間の純営業収益は前年同期比12.5%減の788億円、経常利益は同50.2%減の114億円となりました。
グローバル・インベストメント・バンキングにおいては、国内で過去最大となるグローバルIPO案件を含め、複数のエクイティ募集・売出し案件でジョイント・グローバル・コーディネーターや主幹事を務めた結果、引受け・売出し手数料が増加しました。M&Aビジネスにおいては、欧州のDC Advisoryや、米国のDCS Advisoryが関与する海外・クロスボーダー案件や、国内の事業再編案件等が収益に貢献しました。一方で、DCS Advisory買収に伴うのれんを含む無形固定資産の償却等により、販売費・一般管理費が増加しました。これらの結果、当第3四半期連結累計期間の純営業収益は前年同期比10.3%増の374億円、経常利益は同32.5%減の56億円となりました。
当第3四半期連結累計期間のホールセール部門における純営業収益は前年同期比6.3%減の1,162億円、経常利益は同44.2%減の179億円となりました。ホールセール部門の当第3四半期連結累計期間の純営業収益及び経常利益のグループ全体の連結純営業収益及び連結経常利益に占める割合は、それぞれ34.8%及び27.3%でした。
[アセット・マネジメント部門]
アセット・マネジメント部門の収益は、主に当社連結子会社の大和証券投資信託委託における投資信託の組成と運用に関する報酬と、連結子会社の大和リアル・エステート・アセット・マネジメントの不動産運用収益によって構成されます。また、当社持分法適用関連会社である大和住銀投信投資顧問の投資信託の組成と運用及び投資顧問業務に関する報酬からの利益及び同じく持分法適用関連会社である大和証券オフィス投資法人の不動産運用収益からの利益は、それぞれ当社の持分割合に従って経常利益に計上されます。経営成績に重要な影響を与える要因としては、マーケット環境によって変動する顧客の投資信託及び投資顧問サービスへの需要と、マーケット環境に対するファンドの運用パフォーマンスや、顧客の関心を捉えたテーマ性のある商品開発等による商品自体の訴求性が挙げられます。大和リアル・エステート・アセット・マネジメント及び大和証券オフィス投資法人の経営成績は、国内の不動産市場・オフィス需要の動向に左右されます。
当第3四半期連結累計期間において、大和証券投資信託委託ではR&Iファンド大賞において複数のファンドが表彰を受けたことに示される運用力の高い商品等、投資家の資産形成ステージに応じた商品の提供を行い、大和住銀投信投資顧問ではアクティブ運用力を生かしたファンドの設定や投資一任において新規の年金顧客との取引を開始したものの、市場環境悪化の影響を受け、大和証券投資信託委託の公募投資信託の運用資産残高は前年同期比6.7%減の14.8兆円、大和住銀投信投資顧問の公募株式投資信託及び投資顧問の運用資産残高は前年同期比20.1%減の4.1兆円となりました。一方で、不動産アセット・マネジメントでは、大和リアル・エステート・アセット・マネジメントにおけるホテル私募リートの運用開始や新たな物流ファンドの組成に伴う物件取得等により、運用資産残高は前年同期比3.1%増の8,518億円と過去最高となりました。
その結果、当第3四半期連結累計期間のアセット・マネジメント部門の純営業収益は前年同期比0.9%減の364億円、経常利益は同0.1%増の218億円となりました。アセット・マネジメント部門の当第3四半期連結累計期間の純営業収益及び経常利益のグループ全体の連結純営業収益及び連結経常利益に占める割合は、それぞれ10.9%及び33.4%でした。
[投資部門]
投資部門は主に、連結子会社である大和企業投資、大和PIパートナーズ及び大和エナジー・インフラで構成されます。投資部門の主な収益源は、投資先の新規上場(IPO)・M&A等による売却益や、投資事業組合への出資を通じたキャピタルゲインのほか、契約に基づきファンドから受領する、管理運営に対する管理報酬や投資成果に応じた成功報酬です。
当第3四半期連結累計期間において、大和企業投資は、国内外の成長企業への投資を積極的に実行するとともに、投資先企業と大手企業とのマッチングを実施しました。大和PIパートナーズは、重点地域であるミャンマーにおいて3件目のプライベート・エクイティ投資を実行するなど引き続き積極的な投資を行いました。昨年7月に設立した大和エナジー・インフラでは、大和PIパートナーズから再生可能エネルギー事業を承継するとともに、持続可能な開発目標(SDGs)に資する新規投資も行いました。
収益面では、エクイティ投資先の売却益等により収益を確保したものの前年同期ほどの大型案件はなく、また既存投資案件の再評価に伴う損失を計上したため、投資部門の純営業収益は前年同期比90.5%減の20億円、経常利益は同99.9%減の15百万円となりました。投資部門の純営業収益及び経常利益のグループ全体の連結純営業収益及び連結経常利益に占める割合は、それぞれ0.6%及び0.0%でした。
[その他]
その他の事業には、主に大和総研と大和総研ビジネス・イノベーションからなる大和総研グループによるリサーチ・コンサルティング業務及びシステム業務のほか、大和ネクスト銀行による銀行業務などが含まれます。
大和総研は、当社グループ向けシステム開発を受託したほか、高付加価値のソリューション提案により、顧客との関係を強化し、当社グループのビジネスに貢献しました。
大和総研ビジネス・イノベーションは、大口顧客向けシステム開発案件を手掛けたこと等により、当社グループの収益に貢献しました。
大和ネクスト銀行では、外貨建てローン債権を裏付け資産とする資産流動化ローンの積み増しにより貸出金利息が増加しました。また2018年9月より「えらべる預金」の法人取り扱いを開始し、特にSDGsに対する企業・団体等の関心の高さを受けて「応援定期預金」への預入れが急増したことから、12月末時点で累計預入件数は23,545件、累計預入金額は308億円となりました。
その結果、その他・調整等に係る純営業収益は345億円(前年同期318億円)、経常利益は29億円(前年同期は経常損失8億円)となりました。その他・調整等の当第3四半期連結累計期間の純営業収益及び経常利益のグループ全体の連結純営業収益及び連結経常利益に占める割合は、それぞれ10.4%及び4.6%でした。
③ 経営方針・経営戦略等及び経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループでは、当連結会計年度より3ヵ年の中期経営計画“Passion for the Best” 2020を新たにスタートさせております。前連結会計年度を最終年度とする中期経営計画“Passion for the Best” 2017においては、数値目標として連結自己資本利益率(ROE)10%以上と固定費カバー率75%以上の指標を掲げておりましたが、“Passion for the Best” 2020においては、お客様本位を起点として健全な利益の確保を通じた持続的成長を図るべく、「お客様本位」「業績」「財務」の3つのキー・パフォーマンス・インディケーター(KPI)を設定しています。お客様本位KPIでは、お客様本位の業務運営をさらに進化させるため、「お客様満足度」をKPIのメインフレームに据えています。具体的には、ネット・プロモーター・スコア(NPS)という、お客様のロイヤリティーを数値化した指標を本格的にKPIとして導入します。また、お客様からの信頼の証しである預り資産についてもKPIとして設定し、2020年度に80兆円以上を目指します。業績KPIでは、これまでの取組みにより安定的に収益を上げる基盤ができてきたことから、大きな成長を目指す次なるステージに入ってきたと捉え、従来より掲げておりますROE10%以上に加えて、2020年度における連結経常利益2,000億円以上を新たに設定しました。財務KPIについては、当社グループとしてのハイブリッド化を進める中でも、強固な財務基盤を維持することを示すべく、連結総自己資本規制比率18%以上を掲げています。
④ 経営成績の前提となる当第3四半期連結累計期間のマクロ経済環境
<海外の状況>世界経済は緩やかに拡大しているものの、IMF(国際通貨基金)などの国際機関は、米国のトランプ大統領が保護主義的な通商政策を強力に推進したことで米中の貿易摩擦が激化し、さらに金融環境が引き締まったために、世界経済の先行きに対して下振れリスクが一段と高まっているとみています。
米国経済は、2018年4-6月期の実質GDP成長率が前期比年率4.2%増と約4年ぶりの高成長となり、また、7-9月期もやや減速したものの同3.4%増と高い成長となりました。税制改革の恩恵が、企業業績や企業マインドの改善に及び、消費の裏付けとなる雇用・所得環境も安定して推移したことから、個人消費主導の景気拡大が続いています。しかし、トランプ大統領の政権運営は米国内外の混乱を招いており、先行きに対する懸念が年末にかけて急速に高まりました。国内については、政府高官の相次ぐ交代や、12月下旬の予算不成立に伴う政府機関の一部閉鎖が起こりました。対外的には、トランプ大統領の強硬姿勢は、中国にとどまらず、EU(欧州連合)や韓国、メキシコ、カナダ、日本などにも拡大しています。中国以外の各国とは妥協が成立したり、新たな貿易交渉を開始するなど一定の成果を挙げているものの、中国との通商摩擦の行方は、依然として不透明なままです。
金融面では、底堅い景気拡大を受けて、FRB(連邦準備制度理事会)は2018年に計4回の利上げを実施しました。もっとも、FOMC(連邦公開市場委員会)参加者の政策金利見通しによると、2019年は2回(従来の3回から変更)、2020年は1回の利上げ(いずれも中央値)が想定されており、より緩やかな利上げペースが示されています。米国株式市場では、7月に入ると、底堅い米国経済や好調な企業決算を背景に、NYダウ平均株価は上昇し続け、10月初めには約8ヵ月ぶりに過去最高値を更新しました。しかし、12月に入ると、米中の通商交渉の先行き懸念や、中国をはじめとする世界全体の景気減速懸念の高まりを受けて同株価は大幅に下落し、年末の水準はピークから約13%下落しました。
欧州経済(ユーロ圏経済)では、2018年4-6月期のユーロ圏の実質GDP成長率は、企業の設備投資など総固定資本形成に牽引されて前期比年率1.7%増と1-3月期からやや加速したものの、7-9月期は同0.6%増、10-12月期も同0.9%増と大幅に減速し、欧州委員会が推計する潜在成長率1.5%程度を下回りました。2017年に進んだユーロ高が輸出を抑制し、その後は、米中の貿易摩擦の激化に加え、ユーロ圏と関係が深いトルコなどの新興国の景気減速が輸出の重石となっています。さらに、イギリスのEU離脱交渉の難航も輸出環境を一層厳しくしています。
金融面では、ECB(欧州中央銀行)は非伝統的な金融緩和政策の軌道修正を着実に進めています。2018年9月のECBの金融政策理事会では、6月に発表した金融緩和の出口戦略の方針に従って政策を進めていくことが確認されました。すなわち、資産買取額を2018年10月からはさらに減額した上で、2018年12月末で資産買取を終了し、残高を維持するための再投資を継続しています。また、政策金利は少なくとも2019年夏まで据え置かれる方針です。これらはFRBが実施した金融緩和政策からの出口戦略を踏襲する形となっていますが、ECBは、不透明さが増す世界経済を注視しながら、非伝統的な金融緩和政策の修正を慎重に進めていくものとみられます。
新興国を代表する、世界第2位の経済規模を持つ中国の実質GDP成長率は、2018年4-6月期の前年比6.7%増から、7-9月期の同6.5%増、10-12月期の同6.4%増と徐々に減速傾向が強まっています。また、米国との通商摩擦の激化は、互いに関税率を引き上げ合う形でエスカレートしており、輸出面を通じて、中国経済への影響が懸念されます。12月の米中首脳会談の結果、一段の通商摩擦の激化は当面回避されることになりましたが、90日間で協議がまとまらなければ、トランプ政権は、中国からの輸入品2,000億ドル分に対する10%の追加関税を25%に引き上げる方針を示しています。貿易問題が長期化すると、中国企業だけでなく、中国で製品や部品を生産して米国に輸出していた海外企業が被る打撃も大きくなり、海外企業がサプライチェーンを見直す動きが加速する可能性があります。さらに、中国の魅力が低下し、海外からの直接投資が減少することになれば、中国の中長期的な成長力も抑制されることにつながります。
一方、中国以外の新興国を見ると、原油などの資源価格の上昇は資源国経済にとって追い風になりましたが、世界景気の減速懸念を背景にエネルギー需要が落ち込むとの見通しから、11月以降、原油価格は大幅に下落し、12月末には約1年4ヵ月ぶりの安値となりました。このように、資源国は一転して逆風に直面していますが、資源の乏しい新興国にとっては、原油安は景気を下支えする要因になっています。もっとも、米中を中心とした貿易摩擦が、貿易数量の鈍化を通じて世界全体に及ぶことになれば、新興国経済への影響も避けられないと考えられます。
<日本の状況>日本経済は、2018年4-6月期の実質GDP成長率が前期比年率2.8%増と2四半期ぶりのプラス成長に転じ、5四半期ぶりの高成長となりました。しかし、7-9月期には、一転して同2.5%減と約4年ぶりの大幅なマイナス成長に落ち込みました。この背景として、夏の酷暑に加えて、7月の西日本を中心とした豪雨、9月上旬の大型台風、北海道で発生した大地震といった自然災害が相次いだことが悪影響を及ぼしたと考えられます。相次いだ自然災害に伴って、消費意欲が減退した他、生産・輸送面での制約が企業活動を一時的に抑制しました。もっとも、このような一過性の要因を除いても、景気の基調は弱く、2017年10-12月期以降、実質GDPの水準は概ね横ばい圏で推移しています。従って、日本経済は踊り場局面にあるという状況に変化はないとみられています。
需要項目ごとに見ると、個人消費は、2018年4-6月期は雇用・所得環境の着実な改善に支えられて増加しましたが、7-9月期には前期比年率0.7%減と再びマイナスに転じました。背景には、一連の自然災害があると考えられ、生鮮食品の価格高騰や酷暑による外出手控えなど、消費者の生活に大きな影響を及ぼしました。もっとも、10月以降は、これらの影響が徐々に薄まり、減少していた訪日外客数も再び増加基調に戻っています。住宅投資は、2018年7-9月期に5四半期ぶりに増加し、2019年10月に予定されている消費増税に向けた駆け込み需要が徐々に顕在化している可能性が考えられます。
一方、企業の設備投資は、2018年4-6月期の高成長から一転して、7-9月期には前期比年率10.6%減と2年ぶりに減少しました。2009年以来の大幅減となった要因としては、前期からの反動や、災害に伴う一時的な供給制約等が挙げられます。もっとも、堅調な企業収益や低金利、労働需給の逼迫といった企業を取り巻く環境に変化はなく、人手不足に対応した合理化・省人化投資や、競争力を維持するための機械・設備の更新、研究開発投資などに対する企業の意欲は強いままです。
外需に目を向けると、海外経済の緩やかな成長に合わせて輸出額は増加基調にありましたが、7-9月期には、自然災害に伴う一部メーカーの供給制約や関西国際空港の閉鎖によって下押しされ、実質輸出は5四半期ぶりに減少しました。10月に入って持ち直しの動きは見られるものの、輸出数量は高水準であった2018年初め頃からピークアウトしています。また、米国の保護主義的な通商政策によって、世界貿易の縮小につながるリスクがある点には留意が必要です。
金融面では、日本銀行による「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」の下で、強力な金融緩和措置が続いてきましたが、2018年7月末に、日本銀行は、短期金利のマイナス金利、長期金利(10年物国債金利)のゼロ%程度という大枠を維持しながら、長期金利の一定程度の変動を容認する姿勢に転じました。同時に、日本銀行は、政策金利のフォーワードガイダンスを導入することで、「強力な金融緩和継続のための枠組み強化」を図っています。この結果、2018年4-6月期にかけて0.05%前後で安定していた長期金利は緩やかに上昇し、8月以降は概ね0.1%台で推移するようになり、10月上旬には一時0.158%と、2016年1月に日銀がマイナス金利政策を導入した直前の水準まで上昇しました。もっとも、12月に入ると、世界経済の減速懸念を背景に世界的に金利が低下する中、日本の長期金利も大幅に低下し、12月末には0.01%前後と2017年4月以来の低水準になりました。
一方、為替市場をみると、対ドルでは、2018年に入ってリスク回避の動きから円高が加速し3月下旬に104円台を記録しましたが、その後は円安・ドル高に転じ、5月から6月にかけて概ね109円~111円という狭いレンジで推移しました。7月以降は、米中の貿易摩擦激化への警戒感から円高に振れる場面はあったものの、米国の金利上昇による日米金利差拡大も手伝って円安が進み、10月初めには114円台と約11カ月ぶりの円安水準となりました。もっとも、10月から12月中旬までは112~113円という狭いレンジで推移した後、年末にかけて110円台へ円高が進み、12月の日銀短観で示された大企業製造業の想定為替レート(109.41円)との乖離幅は小さくなっています。また、対ユーロでは、4月から5月にかけて円高・ユーロ安が進み、5月末には2017年6月以来となる円高水準となりました。6月以降は、政治リスクが後退したこともあり、ユーロは上昇基調となりましたが、7月半ばから円高・ユーロ安に転じ、さらに8月に入ると、米国とトルコの対立激化からトルコ・リラが急落したことを受けてユーロ安も加速し、5月末と同水準まで円高が進みました。その後、ユーロが対ドルで上昇したことから、対円でも上昇し、9月下旬には5カ月ぶりの円安水準となりました。もっとも、9月末以降は、再び円高・ユーロ安のトレンドに転じ、年末にかけてはリスク回避の動きが強まったことを受けて、対ドル同様に、対ユーロでも円高が加速しました。
2018年12月末の日経平均株価は20,014円77銭(同年9月末比4,105円27銭安)、10年国債利回りは0.013%(同0.121ポイントの低下)、為替は1ドル110円40銭(同3円4銭の円高)となりました。
(3) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当第3四半期連結累計期間において、事業上及び財務上の対処すべき課題について、重要な変更及び新たに生じた事項はありません。
(4) 研究開発活動
該当事項はありません。
(5) 資本の財源及び流動性に係る情報
① 流動性の管理
<財務の効率性と安定性の両立>当社グループは、多くの資産及び負債を用いて有価証券関連業務を中心としたビジネスを行っており、ビジネスを継続する上で十分な流動性を効率的かつ安定的に確保することを資金調達の基本方針としております。
当社グループの資金調達手段には、社債、ミディアム・ターム・ノート、金融機関借入、コマーシャル・ペーパー、コールマネー、預金受入等の無担保調達、現先取引、レポ取引等の有担保調達があり、これらの多様な調達手段を適切に組み合わせることにより、効率的かつ安定的な資金調達の実現を図っております。
財務の安定性という観点では、環境が大きく変動した場合においても、業務の継続に支障をきたすことのないよう、平時から安定的に資金を確保するよう努めております。特に近年においては、世界的金融危機及び信用危機による不測の事態に備え、市場からの資金調達、金融機関からの借入等により、手元流動性の更なる積み増しを行っております。同時に、危機発生等により、新規の資金調達及び既存資金の再調達が困難となる場合も想定し、調達資金の償還期限及び調達先の分散を図っております。
当社は、平成26年金融庁告示第61号による連結流動性カバレッジ比率(以下、「LCR」)の最低基準(2015年3月末から段階的に導入)の遵守が求められております。当社の当第3四半期日次平均のLCRは138.3%となっており、上記金融庁告示による要件を満たしております。また、当社は、上記金融庁告示による規制上のLCRのほかに、独自の流動性管理指標を用いた流動性管理態勢を構築しております。即ち、一定期間内に期日が到来する無担保調達資金及び同期間にストレスが発生した場合の資金流出見込額に対し、様々なストレスシナリオを想定したうえで、それらをカバーする流動性ポートフォリオが保持されていることを日次で確認しております。その他、1年以上の長期間に亘りストレス環境が継続することを想定した場合に、保有資産を維持するための長期性資金調達状況の十分性を計測及びモニタリングしており、1年間無担保資金調達が行えない場合でも業務の継続が可能となるように取り組んでおります。
当第3四半期日次平均のLCRの状況は次のとおりです。
(単位:億円)
<グループ全体の資金管理>当社グループでは、グループ全体での適正な流動性確保という基本方針の下、当社が一元的に資金の流動性の管理・モニタリングを行っております。当社は、当社固有のストレス又は市場全体のストレスの発生により新規の資金調達及び既存資金の再調達が困難となる場合も想定し、短期の無担保調達資金について、当社グループの流動性ポートフォリオが十分に確保されているかをモニタリングしております。また、当社は、必要に応じて当社からグループ各社に対し、機動的な資金の配分・供給を行うと共に、グループ内で資金融通を可能とする態勢を整えることで、効率性に基づく一体的な資金調達及び資金管理を行っております。
<コンティンジェンシー・ファンディング・プラン>当社グループは、流動性リスクへの対応の一環として、コンティンジェンシー・ファンディング・プランを策定しております。同プランは、信用力の低下等の内生的要因や金融市場の混乱等の外生的要因によるストレスの逼迫度に応じた報告体制や資金調達手段の確保などの方針を定めており、これにより当社グループは機動的な対応により流動性を確保する態勢を整備しております。
当社グループのコンティンジェンシー・ファンディング・プランは、グループ全体のストレスを踏まえて策定しており、変動する金融環境に機動的に対応するため、定期的な見直しを行っております。
また、金融市場の変動の影響が大きく、その流動性確保の重要性の高い大和証券株式会社、株式会社大和ネクスト銀行及び海外証券子会社においては、更に個別のコンティンジェンシー・ファンディング・プランも策定し、同様に定期的な見直しを行っております。
なお、当社は、子会社のコンティンジェンシー・ファンディング・プランの整備状況について定期的にモニタリングしており、必要に応じて想定すべき危機シナリオを考慮して子会社の資金調達プランやコンティンジェンシー・ファンディング・プランそのものの見直しを行い、更には流動性の積み増しを実行すると同時に資産圧縮を図るといった事前の対策を講じることとしております。
② 株主資本
当社グループが株式や債券、デリバティブ等のトレーディング取引、貸借取引、引受業務、ストラクチャード・ファイナンス、M&A、プリンシパル・インベストメント、証券担保ローン等の有価証券関連業を中心とした幅広い金融サービスを展開するためには、十分な資本を確保する必要があります。また、当社グループは、日本のみならず、海外においても有価証券関連業務を行っており、それぞれの地域において法規制上必要な資本を維持しなければなりません。
当第3四半期連結会計期間末の株主資本は、前連結会計年度末比184億円減少し、1兆1,910億円となりました。資本金及び資本剰余金の合計は4,780億円となっております。利益剰余金は親会社株主に帰属する四半期純利益504億円を計上したほか、配当金435億円の支払いを行ったこと等により、前連結会計年度末比66億円増の7,924億円となりました。自己株式の控除額は同250億円増加し、793億円となっております。
(1) 財政状態の分析
<資産の部>当第3四半期連結会計期間末の総資産は前年度末比2,941億円(1.4%)増加の21兆4,292億円となりました。内訳は流動資産が同2,504億円(1.2%)増加の20兆7,289億円であり、このうち有価証券が同965億円(9.8%)増加の1兆837億円、トレーディング商品が同6,799億円(10.2%)増加の7兆3,470億円、営業貸付金が同1,757億円(12.2%)増加の1兆6,186億円、有価証券担保貸付金が同7,004億円(10.8%)減少の5兆7,962億円となっております。固定資産は同437億円(6.7%)増加の7,002億円となっております。
<負債の部・純資産の部>負債合計は前年度末比4,172億円(2.1%)増加の20兆1,817億円となりました。内訳は流動負債が同2,545億円(1.5%)増加の17兆2,896億円であり、このうち有価証券担保借入金が同3,716億円(6.4%)増加の6兆1,475億円、銀行業における預金が同2,175億円(6.4%)増加の3兆6,060億円、トレーディング商品が同1,880億円(3.7%)減少の4兆8,427億円、1年内償還予定の社債が同940億円(36.0%)減少の1,673億円、短期借入金が同198億円(1.8%)減少の1兆719億円となっております。固定負債は同1,626億円(6.0%)増加の2兆8,880億円であり、このうち社債が同781億円(5.9%)増加の1兆3,935億円、長期借入金が同839億円(6.3%)増加の1兆4,116億円となっております。
純資産合計は同1,230億円(9.0%)減少の1兆2,474億円となりました。資本金及び資本剰余金の合計は4,780億円となりました。利益剰余金は親会社株主に帰属する四半期純利益を504億円計上したほか、配当金435億円の支払いを行ったこと等により、同66億円(0.9%)増加の7,924億円となっております。自己株式の控除額は同250億円(46.2%)増加の793億円、その他有価証券評価差額金は同174億円(28.5%)減少の437億円、為替換算調整勘定は同15億円(59.5%)増加の40億円、非支配株主持分は同854億円(96.4%)減少の31億円となっております。
(2) 経営成績の分析
① 事業全体の状況
当第3四半期連結累計期間の営業収益は前年同期比1.8%増の5,364億円、純営業収益は同10.9%減の3,337億円となりました。
受入手数料は2,183億円と、同6.7%の減収となりました。委託手数料は、株式取引が減少したことにより、同16.1%減の458億円となりました。引受業務では、大型のエクイティ引受案件等により、引受け・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の手数料は、同24.2%増の355億円となりました。
トレーディング損益は、急激な市場変動の中でポジション運営に苦戦し、同14.7%減の661億円となりました。
販売費・一般管理費は同2.6%増の2,798億円となりました。取引関係費は販売促進に関連する費用の増加により同1.2%増の544億円、人件費は米国のSagent Holdings, Inc.とSignal Hill Holdings LLCを買収統合して昨年度発足させたDCS Advisory Holdings Inc.を連結子会社化したことにより同1.6%増の1,384億円、減価償却費は新システムの稼働等により同4.2%増の190億円となっております。
以上より、経常利益は同41.6%減の654億円となりました。
これに特別損益、法人税等及び非支配株主に帰属する四半期純損失を差し引いた結果、親会社株主に帰属する四半期純利益は前年同期比31.9%減の504億円となりました。
② セグメント情報に記載された区分ごとの状況
純営業収益及び経常利益をセグメント別に分析した状況は次のとおりであります。
(単位:百万円)
純営業収益 | 経常利益又は経常損失(△) | |||||||
2017年 12月期 | 2018年 12月期 | 対前年同期 増減率 | 構成比率 | 2017年 12月期 | 2018年 12月期 | 対前年同期 増減率 | 構成比率 | |
リテール部門 | 159,673 | 144,313 | △9.6% | 43.2% | 39,019 | 22,737 | △41.7% | 34.7% |
ホールセール部門 | 124,057 | 116,284 | △6.3% | 34.8% | 32,120 | 17,907 | △44.2% | 27.3% |
アセット・マネジメント部門 | 36,802 | 36,486 | △0.9% | 10.9% | 21,827 | 21,850 | 0.1% | 33.4% |
投資部門 | 22,042 | 2,086 | △90.5% | 0.6% | 20,121 | 15 | △99.9% | 0.0% |
その他・調整等 | 31,887 | 34,577 | ― | 10.4% | △890 | 2,983 | ― | 4.6% |
連結 計 | 374,464 | 333,746 | △10.9% | 100.0% | 112,199 | 65,495 | △41.6% | 100.0% |
[リテール部門]
リテール部門の主な収益源は、国内の個人投資家及び未上場会社のお客様の資産管理・運用に関する商品・サービスの手数料であり、経営成績に重要な影響を与える要因には、お客様動向を左右する国内外の金融市場及び経済環境の状況に加え、お客様のニーズに合った商品の開発状況や引受け状況及び販売戦略が挙げられます。
当第3四半期連結累計期間においては、エクイティ募集では国内で過去最大となるグローバルIPOなどの大型案件もあったため販売額が拡大し、またファンドラップでは株式市場の下落により評価額が減少したものの純増額は引き続き堅調に推移しております。
一方で株式投資信託は、外国株式を主要投資対象とするファンドやIoT、ロボット関連等のテーマ型ファンドの販売が好調だった前年同期と比べると販売額が大幅に減少しました。
その結果、当第3四半期連結累計期間のリテール部門における純営業収益は前年同期比9.6%減の1,443億円、経常利益は同41.7%減の227億円となりました。リテール部門の当第3四半期連結累計期間の純営業収益及び経常利益のグループ全体の連結純営業収益及び連結経常利益に占める割合は、それぞれ43.2%及び34.7%でした。
[ホールセール部門]
ホールセール部門は、機関投資家等を対象に有価証券のセールス及びトレーディングを行うグローバル・マーケッツと、事業法人、金融法人等が発行する有価証券の引き受け、M&Aアドバイザリー業務や上場コンサルティング業務を行うグローバル・インベストメント・バンキングによって構成されます。グローバル・マーケッツの主な収益源は、機関投資家に対する有価証券の売買に伴って得る取引手数料及びトレーディング収益です。グローバル・インベストメント・バンキングの主な収益源は、引受業務やM&Aアドバイザリー業務によって得る引受け・売出し手数料とM&A関連手数料です。グローバル・マーケッツにおいては、国際的な地政学リスクや経済状況等で変化する金融市場の動向や、それに伴う顧客フローの変化が、経営成績に重要な影響を与える要因となります。グローバル・インベストメント・バンキングにおいては、顧客企業の資金調達手段の決定やM&Aの需要を左右する国内外の経済環境等に加え、当社が企業の需要を捉え、案件を獲得できるかが経営成績に重要な影響を与える要因となります。
グローバル・マーケッツにおいては、米中貿易摩擦や世界的な景気減速に対する懸念の影響を受け、減収減益となりました。エクイティは、顧客フローは比較的堅調に推移したものの、急激な市場変動の中でポジション運営に苦戦し、減収となりました。金融市場は、金利が低下する中、顧客フローが減少し、減収となりました。これらの結果、当第3四半期連結累計期間の純営業収益は前年同期比12.5%減の788億円、経常利益は同50.2%減の114億円となりました。
グローバル・インベストメント・バンキングにおいては、国内で過去最大となるグローバルIPO案件を含め、複数のエクイティ募集・売出し案件でジョイント・グローバル・コーディネーターや主幹事を務めた結果、引受け・売出し手数料が増加しました。M&Aビジネスにおいては、欧州のDC Advisoryや、米国のDCS Advisoryが関与する海外・クロスボーダー案件や、国内の事業再編案件等が収益に貢献しました。一方で、DCS Advisory買収に伴うのれんを含む無形固定資産の償却等により、販売費・一般管理費が増加しました。これらの結果、当第3四半期連結累計期間の純営業収益は前年同期比10.3%増の374億円、経常利益は同32.5%減の56億円となりました。
当第3四半期連結累計期間のホールセール部門における純営業収益は前年同期比6.3%減の1,162億円、経常利益は同44.2%減の179億円となりました。ホールセール部門の当第3四半期連結累計期間の純営業収益及び経常利益のグループ全体の連結純営業収益及び連結経常利益に占める割合は、それぞれ34.8%及び27.3%でした。
[アセット・マネジメント部門]
アセット・マネジメント部門の収益は、主に当社連結子会社の大和証券投資信託委託における投資信託の組成と運用に関する報酬と、連結子会社の大和リアル・エステート・アセット・マネジメントの不動産運用収益によって構成されます。また、当社持分法適用関連会社である大和住銀投信投資顧問の投資信託の組成と運用及び投資顧問業務に関する報酬からの利益及び同じく持分法適用関連会社である大和証券オフィス投資法人の不動産運用収益からの利益は、それぞれ当社の持分割合に従って経常利益に計上されます。経営成績に重要な影響を与える要因としては、マーケット環境によって変動する顧客の投資信託及び投資顧問サービスへの需要と、マーケット環境に対するファンドの運用パフォーマンスや、顧客の関心を捉えたテーマ性のある商品開発等による商品自体の訴求性が挙げられます。大和リアル・エステート・アセット・マネジメント及び大和証券オフィス投資法人の経営成績は、国内の不動産市場・オフィス需要の動向に左右されます。
当第3四半期連結累計期間において、大和証券投資信託委託ではR&Iファンド大賞において複数のファンドが表彰を受けたことに示される運用力の高い商品等、投資家の資産形成ステージに応じた商品の提供を行い、大和住銀投信投資顧問ではアクティブ運用力を生かしたファンドの設定や投資一任において新規の年金顧客との取引を開始したものの、市場環境悪化の影響を受け、大和証券投資信託委託の公募投資信託の運用資産残高は前年同期比6.7%減の14.8兆円、大和住銀投信投資顧問の公募株式投資信託及び投資顧問の運用資産残高は前年同期比20.1%減の4.1兆円となりました。一方で、不動産アセット・マネジメントでは、大和リアル・エステート・アセット・マネジメントにおけるホテル私募リートの運用開始や新たな物流ファンドの組成に伴う物件取得等により、運用資産残高は前年同期比3.1%増の8,518億円と過去最高となりました。
その結果、当第3四半期連結累計期間のアセット・マネジメント部門の純営業収益は前年同期比0.9%減の364億円、経常利益は同0.1%増の218億円となりました。アセット・マネジメント部門の当第3四半期連結累計期間の純営業収益及び経常利益のグループ全体の連結純営業収益及び連結経常利益に占める割合は、それぞれ10.9%及び33.4%でした。
[投資部門]
投資部門は主に、連結子会社である大和企業投資、大和PIパートナーズ及び大和エナジー・インフラで構成されます。投資部門の主な収益源は、投資先の新規上場(IPO)・M&A等による売却益や、投資事業組合への出資を通じたキャピタルゲインのほか、契約に基づきファンドから受領する、管理運営に対する管理報酬や投資成果に応じた成功報酬です。
当第3四半期連結累計期間において、大和企業投資は、国内外の成長企業への投資を積極的に実行するとともに、投資先企業と大手企業とのマッチングを実施しました。大和PIパートナーズは、重点地域であるミャンマーにおいて3件目のプライベート・エクイティ投資を実行するなど引き続き積極的な投資を行いました。昨年7月に設立した大和エナジー・インフラでは、大和PIパートナーズから再生可能エネルギー事業を承継するとともに、持続可能な開発目標(SDGs)に資する新規投資も行いました。
収益面では、エクイティ投資先の売却益等により収益を確保したものの前年同期ほどの大型案件はなく、また既存投資案件の再評価に伴う損失を計上したため、投資部門の純営業収益は前年同期比90.5%減の20億円、経常利益は同99.9%減の15百万円となりました。投資部門の純営業収益及び経常利益のグループ全体の連結純営業収益及び連結経常利益に占める割合は、それぞれ0.6%及び0.0%でした。
[その他]
その他の事業には、主に大和総研と大和総研ビジネス・イノベーションからなる大和総研グループによるリサーチ・コンサルティング業務及びシステム業務のほか、大和ネクスト銀行による銀行業務などが含まれます。
大和総研は、当社グループ向けシステム開発を受託したほか、高付加価値のソリューション提案により、顧客との関係を強化し、当社グループのビジネスに貢献しました。
大和総研ビジネス・イノベーションは、大口顧客向けシステム開発案件を手掛けたこと等により、当社グループの収益に貢献しました。
大和ネクスト銀行では、外貨建てローン債権を裏付け資産とする資産流動化ローンの積み増しにより貸出金利息が増加しました。また2018年9月より「えらべる預金」の法人取り扱いを開始し、特にSDGsに対する企業・団体等の関心の高さを受けて「応援定期預金」への預入れが急増したことから、12月末時点で累計預入件数は23,545件、累計預入金額は308億円となりました。
その結果、その他・調整等に係る純営業収益は345億円(前年同期318億円)、経常利益は29億円(前年同期は経常損失8億円)となりました。その他・調整等の当第3四半期連結累計期間の純営業収益及び経常利益のグループ全体の連結純営業収益及び連結経常利益に占める割合は、それぞれ10.4%及び4.6%でした。
③ 経営方針・経営戦略等及び経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループでは、当連結会計年度より3ヵ年の中期経営計画“Passion for the Best” 2020を新たにスタートさせております。前連結会計年度を最終年度とする中期経営計画“Passion for the Best” 2017においては、数値目標として連結自己資本利益率(ROE)10%以上と固定費カバー率75%以上の指標を掲げておりましたが、“Passion for the Best” 2020においては、お客様本位を起点として健全な利益の確保を通じた持続的成長を図るべく、「お客様本位」「業績」「財務」の3つのキー・パフォーマンス・インディケーター(KPI)を設定しています。お客様本位KPIでは、お客様本位の業務運営をさらに進化させるため、「お客様満足度」をKPIのメインフレームに据えています。具体的には、ネット・プロモーター・スコア(NPS)という、お客様のロイヤリティーを数値化した指標を本格的にKPIとして導入します。また、お客様からの信頼の証しである預り資産についてもKPIとして設定し、2020年度に80兆円以上を目指します。業績KPIでは、これまでの取組みにより安定的に収益を上げる基盤ができてきたことから、大きな成長を目指す次なるステージに入ってきたと捉え、従来より掲げておりますROE10%以上に加えて、2020年度における連結経常利益2,000億円以上を新たに設定しました。財務KPIについては、当社グループとしてのハイブリッド化を進める中でも、強固な財務基盤を維持することを示すべく、連結総自己資本規制比率18%以上を掲げています。
④ 経営成績の前提となる当第3四半期連結累計期間のマクロ経済環境
<海外の状況>世界経済は緩やかに拡大しているものの、IMF(国際通貨基金)などの国際機関は、米国のトランプ大統領が保護主義的な通商政策を強力に推進したことで米中の貿易摩擦が激化し、さらに金融環境が引き締まったために、世界経済の先行きに対して下振れリスクが一段と高まっているとみています。
米国経済は、2018年4-6月期の実質GDP成長率が前期比年率4.2%増と約4年ぶりの高成長となり、また、7-9月期もやや減速したものの同3.4%増と高い成長となりました。税制改革の恩恵が、企業業績や企業マインドの改善に及び、消費の裏付けとなる雇用・所得環境も安定して推移したことから、個人消費主導の景気拡大が続いています。しかし、トランプ大統領の政権運営は米国内外の混乱を招いており、先行きに対する懸念が年末にかけて急速に高まりました。国内については、政府高官の相次ぐ交代や、12月下旬の予算不成立に伴う政府機関の一部閉鎖が起こりました。対外的には、トランプ大統領の強硬姿勢は、中国にとどまらず、EU(欧州連合)や韓国、メキシコ、カナダ、日本などにも拡大しています。中国以外の各国とは妥協が成立したり、新たな貿易交渉を開始するなど一定の成果を挙げているものの、中国との通商摩擦の行方は、依然として不透明なままです。
金融面では、底堅い景気拡大を受けて、FRB(連邦準備制度理事会)は2018年に計4回の利上げを実施しました。もっとも、FOMC(連邦公開市場委員会)参加者の政策金利見通しによると、2019年は2回(従来の3回から変更)、2020年は1回の利上げ(いずれも中央値)が想定されており、より緩やかな利上げペースが示されています。米国株式市場では、7月に入ると、底堅い米国経済や好調な企業決算を背景に、NYダウ平均株価は上昇し続け、10月初めには約8ヵ月ぶりに過去最高値を更新しました。しかし、12月に入ると、米中の通商交渉の先行き懸念や、中国をはじめとする世界全体の景気減速懸念の高まりを受けて同株価は大幅に下落し、年末の水準はピークから約13%下落しました。
欧州経済(ユーロ圏経済)では、2018年4-6月期のユーロ圏の実質GDP成長率は、企業の設備投資など総固定資本形成に牽引されて前期比年率1.7%増と1-3月期からやや加速したものの、7-9月期は同0.6%増、10-12月期も同0.9%増と大幅に減速し、欧州委員会が推計する潜在成長率1.5%程度を下回りました。2017年に進んだユーロ高が輸出を抑制し、その後は、米中の貿易摩擦の激化に加え、ユーロ圏と関係が深いトルコなどの新興国の景気減速が輸出の重石となっています。さらに、イギリスのEU離脱交渉の難航も輸出環境を一層厳しくしています。
金融面では、ECB(欧州中央銀行)は非伝統的な金融緩和政策の軌道修正を着実に進めています。2018年9月のECBの金融政策理事会では、6月に発表した金融緩和の出口戦略の方針に従って政策を進めていくことが確認されました。すなわち、資産買取額を2018年10月からはさらに減額した上で、2018年12月末で資産買取を終了し、残高を維持するための再投資を継続しています。また、政策金利は少なくとも2019年夏まで据え置かれる方針です。これらはFRBが実施した金融緩和政策からの出口戦略を踏襲する形となっていますが、ECBは、不透明さが増す世界経済を注視しながら、非伝統的な金融緩和政策の修正を慎重に進めていくものとみられます。
新興国を代表する、世界第2位の経済規模を持つ中国の実質GDP成長率は、2018年4-6月期の前年比6.7%増から、7-9月期の同6.5%増、10-12月期の同6.4%増と徐々に減速傾向が強まっています。また、米国との通商摩擦の激化は、互いに関税率を引き上げ合う形でエスカレートしており、輸出面を通じて、中国経済への影響が懸念されます。12月の米中首脳会談の結果、一段の通商摩擦の激化は当面回避されることになりましたが、90日間で協議がまとまらなければ、トランプ政権は、中国からの輸入品2,000億ドル分に対する10%の追加関税を25%に引き上げる方針を示しています。貿易問題が長期化すると、中国企業だけでなく、中国で製品や部品を生産して米国に輸出していた海外企業が被る打撃も大きくなり、海外企業がサプライチェーンを見直す動きが加速する可能性があります。さらに、中国の魅力が低下し、海外からの直接投資が減少することになれば、中国の中長期的な成長力も抑制されることにつながります。
一方、中国以外の新興国を見ると、原油などの資源価格の上昇は資源国経済にとって追い風になりましたが、世界景気の減速懸念を背景にエネルギー需要が落ち込むとの見通しから、11月以降、原油価格は大幅に下落し、12月末には約1年4ヵ月ぶりの安値となりました。このように、資源国は一転して逆風に直面していますが、資源の乏しい新興国にとっては、原油安は景気を下支えする要因になっています。もっとも、米中を中心とした貿易摩擦が、貿易数量の鈍化を通じて世界全体に及ぶことになれば、新興国経済への影響も避けられないと考えられます。
<日本の状況>日本経済は、2018年4-6月期の実質GDP成長率が前期比年率2.8%増と2四半期ぶりのプラス成長に転じ、5四半期ぶりの高成長となりました。しかし、7-9月期には、一転して同2.5%減と約4年ぶりの大幅なマイナス成長に落ち込みました。この背景として、夏の酷暑に加えて、7月の西日本を中心とした豪雨、9月上旬の大型台風、北海道で発生した大地震といった自然災害が相次いだことが悪影響を及ぼしたと考えられます。相次いだ自然災害に伴って、消費意欲が減退した他、生産・輸送面での制約が企業活動を一時的に抑制しました。もっとも、このような一過性の要因を除いても、景気の基調は弱く、2017年10-12月期以降、実質GDPの水準は概ね横ばい圏で推移しています。従って、日本経済は踊り場局面にあるという状況に変化はないとみられています。
需要項目ごとに見ると、個人消費は、2018年4-6月期は雇用・所得環境の着実な改善に支えられて増加しましたが、7-9月期には前期比年率0.7%減と再びマイナスに転じました。背景には、一連の自然災害があると考えられ、生鮮食品の価格高騰や酷暑による外出手控えなど、消費者の生活に大きな影響を及ぼしました。もっとも、10月以降は、これらの影響が徐々に薄まり、減少していた訪日外客数も再び増加基調に戻っています。住宅投資は、2018年7-9月期に5四半期ぶりに増加し、2019年10月に予定されている消費増税に向けた駆け込み需要が徐々に顕在化している可能性が考えられます。
一方、企業の設備投資は、2018年4-6月期の高成長から一転して、7-9月期には前期比年率10.6%減と2年ぶりに減少しました。2009年以来の大幅減となった要因としては、前期からの反動や、災害に伴う一時的な供給制約等が挙げられます。もっとも、堅調な企業収益や低金利、労働需給の逼迫といった企業を取り巻く環境に変化はなく、人手不足に対応した合理化・省人化投資や、競争力を維持するための機械・設備の更新、研究開発投資などに対する企業の意欲は強いままです。
外需に目を向けると、海外経済の緩やかな成長に合わせて輸出額は増加基調にありましたが、7-9月期には、自然災害に伴う一部メーカーの供給制約や関西国際空港の閉鎖によって下押しされ、実質輸出は5四半期ぶりに減少しました。10月に入って持ち直しの動きは見られるものの、輸出数量は高水準であった2018年初め頃からピークアウトしています。また、米国の保護主義的な通商政策によって、世界貿易の縮小につながるリスクがある点には留意が必要です。
金融面では、日本銀行による「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」の下で、強力な金融緩和措置が続いてきましたが、2018年7月末に、日本銀行は、短期金利のマイナス金利、長期金利(10年物国債金利)のゼロ%程度という大枠を維持しながら、長期金利の一定程度の変動を容認する姿勢に転じました。同時に、日本銀行は、政策金利のフォーワードガイダンスを導入することで、「強力な金融緩和継続のための枠組み強化」を図っています。この結果、2018年4-6月期にかけて0.05%前後で安定していた長期金利は緩やかに上昇し、8月以降は概ね0.1%台で推移するようになり、10月上旬には一時0.158%と、2016年1月に日銀がマイナス金利政策を導入した直前の水準まで上昇しました。もっとも、12月に入ると、世界経済の減速懸念を背景に世界的に金利が低下する中、日本の長期金利も大幅に低下し、12月末には0.01%前後と2017年4月以来の低水準になりました。
一方、為替市場をみると、対ドルでは、2018年に入ってリスク回避の動きから円高が加速し3月下旬に104円台を記録しましたが、その後は円安・ドル高に転じ、5月から6月にかけて概ね109円~111円という狭いレンジで推移しました。7月以降は、米中の貿易摩擦激化への警戒感から円高に振れる場面はあったものの、米国の金利上昇による日米金利差拡大も手伝って円安が進み、10月初めには114円台と約11カ月ぶりの円安水準となりました。もっとも、10月から12月中旬までは112~113円という狭いレンジで推移した後、年末にかけて110円台へ円高が進み、12月の日銀短観で示された大企業製造業の想定為替レート(109.41円)との乖離幅は小さくなっています。また、対ユーロでは、4月から5月にかけて円高・ユーロ安が進み、5月末には2017年6月以来となる円高水準となりました。6月以降は、政治リスクが後退したこともあり、ユーロは上昇基調となりましたが、7月半ばから円高・ユーロ安に転じ、さらに8月に入ると、米国とトルコの対立激化からトルコ・リラが急落したことを受けてユーロ安も加速し、5月末と同水準まで円高が進みました。その後、ユーロが対ドルで上昇したことから、対円でも上昇し、9月下旬には5カ月ぶりの円安水準となりました。もっとも、9月末以降は、再び円高・ユーロ安のトレンドに転じ、年末にかけてはリスク回避の動きが強まったことを受けて、対ドル同様に、対ユーロでも円高が加速しました。
2018年12月末の日経平均株価は20,014円77銭(同年9月末比4,105円27銭安)、10年国債利回りは0.013%(同0.121ポイントの低下)、為替は1ドル110円40銭(同3円4銭の円高)となりました。
(3) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当第3四半期連結累計期間において、事業上及び財務上の対処すべき課題について、重要な変更及び新たに生じた事項はありません。
(4) 研究開発活動
該当事項はありません。
(5) 資本の財源及び流動性に係る情報
① 流動性の管理
<財務の効率性と安定性の両立>当社グループは、多くの資産及び負債を用いて有価証券関連業務を中心としたビジネスを行っており、ビジネスを継続する上で十分な流動性を効率的かつ安定的に確保することを資金調達の基本方針としております。
当社グループの資金調達手段には、社債、ミディアム・ターム・ノート、金融機関借入、コマーシャル・ペーパー、コールマネー、預金受入等の無担保調達、現先取引、レポ取引等の有担保調達があり、これらの多様な調達手段を適切に組み合わせることにより、効率的かつ安定的な資金調達の実現を図っております。
財務の安定性という観点では、環境が大きく変動した場合においても、業務の継続に支障をきたすことのないよう、平時から安定的に資金を確保するよう努めております。特に近年においては、世界的金融危機及び信用危機による不測の事態に備え、市場からの資金調達、金融機関からの借入等により、手元流動性の更なる積み増しを行っております。同時に、危機発生等により、新規の資金調達及び既存資金の再調達が困難となる場合も想定し、調達資金の償還期限及び調達先の分散を図っております。
当社は、平成26年金融庁告示第61号による連結流動性カバレッジ比率(以下、「LCR」)の最低基準(2015年3月末から段階的に導入)の遵守が求められております。当社の当第3四半期日次平均のLCRは138.3%となっており、上記金融庁告示による要件を満たしております。また、当社は、上記金融庁告示による規制上のLCRのほかに、独自の流動性管理指標を用いた流動性管理態勢を構築しております。即ち、一定期間内に期日が到来する無担保調達資金及び同期間にストレスが発生した場合の資金流出見込額に対し、様々なストレスシナリオを想定したうえで、それらをカバーする流動性ポートフォリオが保持されていることを日次で確認しております。その他、1年以上の長期間に亘りストレス環境が継続することを想定した場合に、保有資産を維持するための長期性資金調達状況の十分性を計測及びモニタリングしており、1年間無担保資金調達が行えない場合でも業務の継続が可能となるように取り組んでおります。
当第3四半期日次平均のLCRの状況は次のとおりです。
(単位:億円)
日次平均 (自 2018年10月 至 2018年12月) | |||
適格流動資産 | (A) | 25,018 | |
資金流出額 | (B) | 35,143 | |
資金流入額 | (C) | 17,059 | |
連結流動性カバレッジ比率(LCR) | |||
算入可能適格流動資産の合計額 | (D) | 25,018 | |
純資金流出額 | (B)-(C) | 18,083 | |
連結流動性カバレッジ比率 | (D)/((B)-(C)) | 138.3% |
<グループ全体の資金管理>当社グループでは、グループ全体での適正な流動性確保という基本方針の下、当社が一元的に資金の流動性の管理・モニタリングを行っております。当社は、当社固有のストレス又は市場全体のストレスの発生により新規の資金調達及び既存資金の再調達が困難となる場合も想定し、短期の無担保調達資金について、当社グループの流動性ポートフォリオが十分に確保されているかをモニタリングしております。また、当社は、必要に応じて当社からグループ各社に対し、機動的な資金の配分・供給を行うと共に、グループ内で資金融通を可能とする態勢を整えることで、効率性に基づく一体的な資金調達及び資金管理を行っております。
<コンティンジェンシー・ファンディング・プラン>当社グループは、流動性リスクへの対応の一環として、コンティンジェンシー・ファンディング・プランを策定しております。同プランは、信用力の低下等の内生的要因や金融市場の混乱等の外生的要因によるストレスの逼迫度に応じた報告体制や資金調達手段の確保などの方針を定めており、これにより当社グループは機動的な対応により流動性を確保する態勢を整備しております。
当社グループのコンティンジェンシー・ファンディング・プランは、グループ全体のストレスを踏まえて策定しており、変動する金融環境に機動的に対応するため、定期的な見直しを行っております。
また、金融市場の変動の影響が大きく、その流動性確保の重要性の高い大和証券株式会社、株式会社大和ネクスト銀行及び海外証券子会社においては、更に個別のコンティンジェンシー・ファンディング・プランも策定し、同様に定期的な見直しを行っております。
なお、当社は、子会社のコンティンジェンシー・ファンディング・プランの整備状況について定期的にモニタリングしており、必要に応じて想定すべき危機シナリオを考慮して子会社の資金調達プランやコンティンジェンシー・ファンディング・プランそのものの見直しを行い、更には流動性の積み増しを実行すると同時に資産圧縮を図るといった事前の対策を講じることとしております。
② 株主資本
当社グループが株式や債券、デリバティブ等のトレーディング取引、貸借取引、引受業務、ストラクチャード・ファイナンス、M&A、プリンシパル・インベストメント、証券担保ローン等の有価証券関連業を中心とした幅広い金融サービスを展開するためには、十分な資本を確保する必要があります。また、当社グループは、日本のみならず、海外においても有価証券関連業務を行っており、それぞれの地域において法規制上必要な資本を維持しなければなりません。
当第3四半期連結会計期間末の株主資本は、前連結会計年度末比184億円減少し、1兆1,910億円となりました。資本金及び資本剰余金の合計は4,780億円となっております。利益剰余金は親会社株主に帰属する四半期純利益504億円を計上したほか、配当金435億円の支払いを行ったこと等により、前連結会計年度末比66億円増の7,924億円となりました。自己株式の控除額は同250億円増加し、793億円となっております。