半期報告書-第88期(2024/04/01-2025/03/31)
本項における将来に関する事項は、別段の記載がない限り、当中間連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)財政状態の分析
<資産の部>当中間連結会計期間末の総資産は前連結会計年度末比1兆6,675億円(5.2%)増加の33兆6,948億円となりました。内訳は流動資産が同1兆5,579億円(5.1%)増加の31兆9,972億円であり、このうち現金・預金が同5,355億円(12.2%)減少の3兆8,630億円、トレーディング商品が同7,133億円(9.5%)増加の8兆2,483億円、営業貸付金が同1,978億円(7.3%)増加の2兆9,201億円、有価証券担保貸付金が同1兆1,670億円(9.4%)増加の13兆5,355億円となっております。固定資産は同1,096億円(6.9%)増加の1兆6,976億円となっております。
<負債の部・純資産の部>負債合計は前連結会計年度末比1兆6,367億円(5.4%)増加の31兆8,754億円となりました。内訳は流動負債が同1兆7,584億円(6.6%)増加の28兆5,559億円であり、このうちトレーディング商品が同1,934億円(3.3%)減少の5兆6,703億円、約定見返勘定が同1兆2,448億円(85.4%)減少の2,124億円、有価証券担保借入金が同3兆147億円(25.8%)増加の14兆7,136億円、銀行業における預金が同3,106億円(6.9%)減少の4兆2,009億円、預り金が同1,724億円(30.7%)増加の7,348億円となっております。固定負債は同1,216億円(3.5%)減少の3兆3,138億円であり、このうち社債が同1,006億円(7.9%)減少の1兆1,756億円、長期借入金が同179億円(0.9%)減少の2兆28億円となっております。
純資産合計は同307億円(1.7%)増加の1兆8,194億円となりました。資本金及び資本剰余金の合計は4,811億円となりました。利益剰余金は親会社株主に帰属する中間純利益を777億円計上したほか、配当金350億円の支払いを行ったこと等により、同427億円(4.4%)増加の1兆41億円となっております。自己株式の控除額は同65億円(5.3%)減少の1,165億円、その他有価証券評価差額金は同70億円(13.3%)増加の599億円、為替換算調整勘定は同86億円(6.4%)減少の1,255億円、非支配株主持分は同28億円(1.1%)減少の2,566億円となっております。
(2)経営成績の分析
① 事業全体の状況
当中間連結会計期間の営業収益は前年同期比21.0%増の6,896億円、純営業収益は同11.4%増の3,102億円となりました。
受入手数料は1,917億円と、同13.8%の増収となりました。委託手数料は、株式取引が増加したことにより、同1.3%増の443億円となりました。引受業務では、債券引受案件が増加した一方で、エクイティ引受案件が減少したことにより、引受け・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の手数料は、同6.1%減の194億円となりました。
トレーディング損益は、債券収益が増加したこと等により、同25.9%増の562億円となりました。
金融収支は、レポ取引費用が増加したこと等により、同12.2%減の388億円となりました。
販売費・一般管理費は前年同期比11.2%増の2,334億円となりました。取引関係費は、支払手数料等が増加したことから同14.5%増の445億円、人件費は、賞与引当金繰入や給与等の増加により同12.3%増の1,187億円となっております。
以上より、経常利益は同43.8%増の1,106億円となりました。
これに特別損益を加え、法人税等及び非支配株主に帰属する中間純利益を差し引いた結果、親会社株主に帰属する中間純利益は前年同期比45.4%増の777億円となりました。
② セグメント情報に記載された区分ごとの状況
純営業収益及び経常利益をセグメント別に分析した状況は次のとおりであります。なお、当中間連結会計期間より、当社グループが目指すビジネスモデルに合わせ、報告セグメントを「ウェルスマネジメント部門」、「アセットマネジメント部門」及び「グローバル・マーケッツ&インベストメント・バンキング部門」の3区分に変更しております。以下、前中間連結会計期間のセグメント情報は、変更後のセグメント区分に基づき作成したものを記載しております。
(注)経常利益又は経常損失(△)の構成比率は、当中間連結会計期間において経常利益であったセグメントの経常利益合計に占める、各セグメントの経常利益の割合としております。
[ウェルスマネジメント部門]
ウェルスマネジメント部門の主な収益源は、国内の個人投資家及び未上場会社のお客様の資産管理・運用に関する商品・サービスの手数料と、大和ネクスト銀行における預金の受入れ等による調達資金の運用から得られる利鞘収入です。経営成績に重要な影響を与える要因には、お客様動向を左右する国内外の金融市場及び経済環境の状況に加え、お客様のニーズに合った商品の開発状況や引受け状況及び販売戦略が挙げられます。
当中間連結会計期間においては、マーケットのボラティリティが上昇したことにより、お客様のアクティビティが低下し、フロー収益は減収となったものの、資産管理型ビジネスが着実に進展したことにより、投信代理事務手数料やラップ関連収益が大幅に増収となり、残高ベース収益は550億円まで拡大しました。また、ラップ口座サービスについても、契約額、純増額ともに高水準を維持し、契約資産残高は過去最高の4兆5,097億円となりました。
大和ネクスト銀行における当中間連結会計期間末の預金残高(譲渡性預金を含む)は前連結会計年度末比7.1%減の4兆2,080億円となりました。銀行口座数は同3.0%増の183万口座となりました。
その結果、当中間連結会計期間のウェルスマネジメント部門における純営業収益は前年同期比12.4%増の1,233億円、経常利益は同22.3%増の364億円となりました。
[アセットマネジメント部門]
アセットマネジメント部門は、証券アセットマネジメント、不動産アセットマネジメント及びオルタナティブアセットマネジメントで構成されます。
証券アセットマネジメントの主な収益源は、当社連結子会社の大和アセットマネジメントにおける投資信託の組成と運用に関する報酬です。また、当社持分法適用関連会社である三井住友DSアセットマネジメントの投資信託の組成と運用及び投資顧問業務に関する報酬からの利益は、当社の持分割合に従って経常利益に計上されます。経営成績に重要な影響を与える要因には、マーケット環境によって変動するお客様の投資信託及び投資顧問サービスへの需要と、マーケット環境に対するファンドの運用パフォーマンスや、お客様の関心を捉えたテーマ性のある商品開発等による商品自体の訴求性が挙げられます。
証券アセットマネジメントは増収増益となりました。大和アセットマネジメントでは、資金純増を確保したものの、時価の下落により、公募投資信託の運用資産残高は前連結会計年度末比1.3%減の28.6兆円となりましたが、期中平均残高は前年同期を上回り、当中間連結会計期間の純営業収益は前年同期比23.9%増の278億円、経常利益は同43.4%増の137億円となりました。
不動産アセットマネジメントの主な収益源は、当社連結子会社の大和リアル・エステート・アセット・マネジメント、大和証券オフィス投資法人及びサムティ・レジデンシャル投資法人の不動産運用収益です。また、当社持分法適用関連会社であるサムティホールディングス株式会社の各子会社、及び同じく持分法適用関連会社である大和証券リビング投資法人の不動産運用収益からの利益は、当社の持分割合に従って経常利益に計上されます(注1、2)。経営成績に重要な影響を与える要因には、国内の不動産市場・オフィス需要の動向が挙げられます。
不動産アセットマネジメントは増収増益となりました。新規の物件取得などにより、大和リアル・エステート・アセット・マネジメント及びサムティ・レジデンシャル投資法人の2社を合わせた運用資産残高は前連結会計年度末比2.9%増の1兆5,008億円となりました。その結果、当中間連結会計期間の純営業収益は前年同期比23.2%増の162億円、経常利益は同24.0%増の129億円となりました。
オルタナティブアセットマネジメントの主な収益源は、当社連結子会社である大和企業投資、大和PIパートナーズ及び大和エナジー・インフラの投資先の新規上場(IPO)・M&A等による売却益や、投資事業組合への出資を通じたキャピタルゲインのほか、契約に基づきファンドから受領する、管理運営に対する管理報酬や投資成果に応じた成功報酬、投資した株式からの配当、売電収入などのインカムゲインです。経営成績に重要な影響を与える要因には、株式市場やIPO市場の動向、投資先企業の評価額に影響を及ぼす可能性のある経済環境の状況、保有する有価証券や投資資産の流動性が挙げられます。
オルタナティブアセットマネジメントは増収増益となりました。大和企業投資では、国内外の成長企業への投資や上場支援に貢献しながら、投資先の売却益により収益を確保しました。また、大和PIパートナーズでは、国内外で金銭債権投資、不動産ローン、企業向け投融資を実行するとともに、既存案件の回収を進め、大和エナジー・インフラでは、太陽光発電所の取得など、持続可能な開発目標(SDGs)に資するエネルギー・インフラ関連投資を実行しながら、インカムゲイン及びキャピタルゲインを計上しました。その結果、当中間連結会計期間の純営業収益は前年同期比45.0%増の87億円、経常利益は同29.5%増の92億円となりました。
その結果、当中間連結会計期間のアセットマネジメント部門における純営業収益は前年同期比26.8%増の528億円、経常利益は同32.3%増の359億円となりました。
(注)1 当社の持分法適用関連会社であったサムティ株式会社は、2024年6月3日付で、単独株式移転の方式により設立されたサムティホールディングス株式会社を完全親会社とする持株会社体制に移行しております。かかる持株会社体制への移行後、当社はサムティホールディングス株式会社を持分法適用関連会社としており、サムティホールディングス株式会社の各子会社の不動産運用収益等からの利益が、当社の持分割合に従って経常利益に計上されております。
2 2024年10月11日付でサムティホールディングス株式会社が公表したとおり、同社の普通株式に対するSong Bidco合同会社(以下「公開買付者」といいます。)による公開買付けが開始しております。当社及び大和PIパートナーズは、公開買付者との間で不応募契約を締結しており、当社は、サムティホールディングス株式会社との資本関係を継続し、同社の企業価値の最大化を図る観点から、当該公開買付けの成立後も継続して同社の運営に関与する予定です。
[グローバル・マーケッツ&インベストメント・バンキング部門]
グローバル・マーケッツ&インベストメント・バンキング部門は、機関投資家等を対象に有価証券のセールス及びトレーディングを行うグローバル・マーケッツと、事業法人、金融法人等が発行する有価証券の引受けやM&Aアドバイザリー業務を行うグローバル・インベストメント・バンキングによって構成されます。
グローバル・マーケッツの主な収益源は、機関投資家に対する有価証券の売買に伴って得る顧客フロー収益及びトレーディング収益であり、地政学リスクや国際的な経済状況等で変化する市場の動向や、それに伴う顧客フローの変化が、経営成績に重要な影響を与える要因となります。
グローバル・マーケッツは減収減益となりました。エクイティ収益は、主に海外投資家のアクティビティが増加したことから増収となりましたが、フィクスト・インカム収益は、金利が乱高下する中、ポジション運営に苦戦し減収となりました。その結果、当中間連結会計期間の純営業収益は前年同期比1.5%減の726億円、経常利益は同28.2%減の136億円となりました。
グローバル・インベストメント・バンキングの主な収益源は、引受業務やM&Aアドバイザリー業務によって得る引受け・売出し手数料とM&A手数料であり、顧客企業の資金調達手段の決定やM&Aの需要を左右する国内外の経済環境等に加え、当社が企業の需要を捉え、案件を獲得できるかどうかが経営成績に重要な影響を与える要因となります。
グローバル・インベストメント・バンキングは増収減益となりました。引受け・売出し手数料は、エクイティにおいて大型案件の主幹事を務めた前年同期との比較では、減収となりました。またM&Aビジネスでは、多数の案件を遂行し増収となったものの、海外におけるM&Aビジネス関連費用の増加を賄う収益を確保することができず、収支が悪化しました。これらの結果、当中間連結会計期間の純営業収益は前年同期比3.4%増の339億円、経常損失は9億円(前年同期は40億円の経常利益)となりました。
その結果、当中間連結会計期間のグローバル・マーケッツ&インベストメント・バンキング部門における純営業収益は前年同期比0.0%増の1,066億円、経常利益は同40.4%減の141億円となりました。
[その他]
その他の事業には、主に大和総研によるリサーチ・コンサルティング業務及びシステム業務などが含まれます。
大和総研は、当社グループのシステム開発を着実に遂行したほか、高付加価値のソリューション提案により、お客様との関係を強化したこと、大口顧客向けシステム開発案件を手掛けたこと等により、当社グループの収益に貢献しました。
当中間連結会計期間において、その他セグメントに属する一部のグループ会社が前年同期比で増益となったことや、あおぞら銀行の株式取得及び持分法適用に係る負ののれん発生益などにより、その他・調整等に係る純営業収益は273億円(前年同期204億円)、経常利益は240億円(前年同期は38億円の経常損失)となりました。
③ 経営方針・経営戦略等及び経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当中間連結会計期間において、経営方針・経営戦略等及び経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等について、第87期有価証券報告書の「目標とする経営指標の達成状況等」に記載した経営指標から重要な変更及び新たに生じた事項はありません。
④ 経営成績の前提となる当中間連結会計期間のマクロ経済環境
<海外の状況>世界経済は、2020年前半の新型コロナウイルスの感染拡大による落ち込みからの急回復が一服し、その改善ペースは鈍化しています。IMF(国際通貨基金)が2024年10月に公表した世界経済見通しによれば、2020年の大幅な落ち込みからの反動もあり、2021年の世界経済成長率は+6.6%と、IMFが成長率を公表する1980年以降で最も高い成長となりました。一方、2022年の世界経済成長率は+3.6%、2023年には+3.3%へと低下し、2024年には+3.2%となることが見込まれています。歴史的に高いインフレ率や、それに対応するための当局による金融引き締めが、景気の拡大ペースを鈍化させたとみられます。また、2022年2月に始まったロシアによるウクライナへの侵攻や、中東情勢の緊迫化による地政学的緊張の高まりも世界経済におけるリスク要因となっています。
米国の2024年1-3月期の実質GDP成長率は、前期比年率+1.6%となり、2023年10-12月期以降減速基調にありました。もっとも、輸入の急増を主因に外需がマイナスに寄与したものの、個人消費や設備投資、住宅投資の増加が経済を下支えしました。2024年4-6月期の実質GDP成長率は、前期比年率+3.0%となり、1-3月期から加速しました。内訳を見ると、屋台骨である個人消費は前期比年率+2.8%と1-3月期の前期比年率+1.9%から伸び率が高まりました。住宅投資は前期比年率▲2.8%とマイナスに転じましたが、設備投資は前期比年率+3.9%と加速しました。全体としては、FRB(連邦準備制度理事会)が金融引き締めを続ける中でも米国経済は内需主導で好調を維持したと評価できます。7-9月期の実質GDP成長率は、前期比年率+2.8%となりました。個人消費が前期比年率+3.7%と加速したことがけん引役となりました。
金融面では、FRBは歴史的な高インフレの鎮静化から景気の下支えへと徐々にスタンスを変化させています。インフレ率がFRBの目標である2%を大幅に上回っていることを背景に、2022年3月のFOMC(連邦公開市場委員会)では政策金利が0.25%pt引き上げられ、2020年3月以降続いてきた実質的なゼロ金利政策が終了し、その後も、政策金利は段階的に引き上げられました。2023年に入ってもFRBはインフレ抑制の姿勢を崩さず、3月、5月、7月のFOMCではそれぞれ0.25%ptの利上げを決定しました。その後のFOMCでは誘導目標レンジが据え置かれましたが、2024年9月のFOMCでは、誘導目標レンジを0.50%pt引き下げ、従来の5.25-5.50%から4.75-5.00%へと変更しました。インフレの減速が続く可能性が高まる中、景気や雇用を下支えする必要性が高まったことが利下げに転じた背景にあるとみられます。
欧州経済(ユーロ圏経済)は、2023年前半以降、緩やかながらも拡大を続けています。ユーロ圏の実質GDP成長率は2023年1-3月期に小幅のマイナス成長を記録しましたが、4-6月期の実質GDP成長率は前期比年率+0.2%と、小幅ながらも3四半期ぶりのプラス成長に転じました。その後、7-9月期には前期比年率+0.2%、10-12月期には前期比年率+0.2%と小幅ながらもプラス成長を維持しました。2024年1-3月期には前期比年率+1.2%となり、成長ペースが加速しました。家計消費支出の持ち直しや、輸出の増加がけん引役となりました。4-6月期の実質GDP成長率は前期比年率+0.8%と、1-3月期から成長ペースは鈍化しました。家計消費支出が減少に転じたことが重石となりましたが、輸出の拡大が経済を下支えした格好です。7-9月期の実質GDP成長率は前期比年率+1.5%となり、成長ペースが加速しました。
金融面では、ECB(欧州中央銀行)は近年インフレの抑制に努めてきましたが、足元では景気停滞に対応すべく利下げが続いています。2022年7月のECB理事会では、0.50%ptの利上げに踏み切り、2014年に導入された預金ファシリティ金利のマイナス状態が8年ぶりに解消されました。その後も段階的に利上げを実施してきましたが、2023年10月と12月の理事会では、政策金利の水準が据え置かれました。2024年に入っても1月、3月、4月の理事会で政策金利の水準据え置きが決定されましたが、6月の理事会では、2019年9月以来、4年9ヵ月ぶりの利下げを決定し、主要3金利(主要リファイナンス・オペ金利、限界貸付ファシリティ金利、預金ファシリティ金利)をそれぞれ0.25%pt引き下げました。7月の理事会では政策金利の水準は据え置かれたものの、9月の理事会では0.25%ptの利下げが全会一致で決定されました。
IMFによると、2022年の新興国の実質GDP成長率は、+4.0%の成長となりました。2023年も+4.4%の成長となった模様ですが、先進国において景気後退懸念が高まる中、新興国経済でも景気減速のリスクが高まりつつあります。2024年の成長率は+4.2%と見込まれています。中国を中心に外需の減速によって経済成長のペースが鈍化する見込みです。
新興国のうち、世界第2位の経済規模を持つ中国では、2024年1-3月期の実質GDP成長率は前年同期比+5.3%となりました。4-6月期の実質GDP成長率は前年同期比+4.7%と、1-3月期から伸び率は低下しましたが、背景には不動産不況による家計のバランスシート調整の影響により、消費の伸びが鈍化したことがあります。7-9月期の実質GDP成長率は前年同期比+4.6%となり、減速が続いています。
中国以外の新興国は、経済活動の正常化が進展したことなどを背景に、2022年以降は総じてみれば持ち直しの動きが続きました。2022年には高インフレや米国での金利上昇に伴う資金流出抑制のため、多くの国が利上げを余儀なくされましたが、2023年以降は利上げを行う国は減少しています。2024年に米国が利下げに転じたことから、新興国でも利下げによる景気下支えの余地が広がっています。
<日本の状況>日本経済は2023年後半以降停滞が続きました。2023年7-9月期の実質GDP成長率は前期比年率▲4.3%のマイナス成長となりました。個人消費が引き続き減少したことに加え、輸入の増加が成長率を下押ししました。10-12月期には、輸出が大幅に増加したものの、個人消費の減少ペースが加速するなど内需の停滞が続いたことで、前期比年率+0.2%となりました。2024年1-3月期の実質GDP成長率は前期比年率▲2.4%となりました。依然として個人消費の減少が経済全体の重石となっています。4-6月期は前期比年率+2.9%と、2四半期ぶりのプラス成長を記録しました。個人消費が持ち直しに転じたことに加え、設備投資や輸出の増加も経済を下支えしました。7-9月期の実質GDP成長率もプラス成長が見込まれています。
需要項目ごとにみると、停滞感が強まっていた個人消費に回復の兆しがみられます。物価上昇率に賃金上昇率が追い付かず、実質賃金が減少していたことなどを背景に、個人消費は2023年4-6月期から2024年1-3月期まで、4四半期連続で減少していました。しかし、4-6月期に入ると、所得環境の改善もあって個人消費は5四半期ぶりに増加に転じました。7-9月期の個人消費は財消費にけん引される形で増加したとみられます。
企業部門の需要である設備投資は一進一退の動きとなっています。2024年1-3月期には輸送用機械への投資停滞を主因に、設備投資は前期比▲0.5%と減少しました。しかし、4-6月期に入ると、設備投資は前期比+0.8%と増加しました。内訳を見ると、輸送用機械や設備機械等が増加に転じました。自動車の生産体制の正常化が進んだことが背景にあるとみられます。7-9月期の設備投資は、機械投資が停滞したことを主因に減少に転じたとみられます。
2024年1-3月期の輸出は前期比▲4.6%と減少しました。自動車の減産が下押し要因となったほか、資本財などの輸出も伸び悩みました。4-6月期には前期比+1.5%と増加しました。中間財や情報関連財の減少が重石となったものの、自動車の増産が輸出をけん引しました。7-9月期に入っても輸出は増加を続けたとみられます。
金融面では、2024年3月の金融政策決定会合で日本銀行は、マイナス金利政策の解除とイールドカーブ・コントロールの撤廃を決定しました。日本銀行は、短期金利に加えて長期金利(10年国債利回り)も操作対象とする金融緩和措置(イールドカーブ・コントロール)を2016年9月に導入し、強力な金融緩和政策を続けていました。しかし、2024年3月の金融政策決定会合で、マイナス金利政策の解除とイールドカーブ・コントロールの撤廃を決定し、短期金利を操作目標とする通常の金融政策へと転換を図りました。また、2024年7月30日、31日に開催した金融政策決定会合において、短期金利の誘導目標を0.25%程度に引き上げることを決定しました。さらに、同会合で日本銀行は、6月会合で予告していた長期国債買入れの減額計画を示しました。減額計画では、月間の長期国債の買入れ予定額を原則として毎四半期4,000億円程度ずつ減額するとされています。2024年7月に5.7兆円程度であった買入れ額は、2024年度末で月額4.5兆円程度、2025年度末で同2.9兆円程度へと減額され、日本銀行の保有する国債残高はおおよそ7~8%減少すると見込まれています。
為替市場をみると、2024年度に入って以降、変動の大きい展開となっています。4月から7月前半にかけては円安基調で推移し、ドル円レートは一時161円台後半まで円安が進みました。しかし、その後は、日本銀行が追加利上げに踏み切る中、米国の景気に陰りが見えたことでFRBの利下げ観測が高まったことなどもあり、日米金融政策の方向感の違いが強く意識されたことで、円高方向への急速な揺り戻しが生じました。対ユーロでも、2024年初時点に156円台を付けてからは円安基調で推移しましたが、7月中頃からは急速に円高に振れ、2024年9月末には159円台を付けました。
株式市場では、2024年の株価は一進一退の動きとなっています。2024年に入ると、デフレ脱却期待を背景に外国人投資家による買いが相場を下支えしたことで、日経平均株価は一時4万円を超えました。7月にはドル円レートが160円を超えたこともあり、企業収益の回復期待や外国人投資家による買い姿勢の強まりなどを背景に、日経平均株価は史上最高値を更新しました。しかしその後は、ドル円レートが急速に円高に振れたことで、日経平均株価が下落しました。
2024年9月末の日経平均株価は37,919円55銭(2024年6月末比1,663円53銭安)、10年国債利回りは0.894%(同0.168%ptの低下)、為替は1ドル142円38銭(同18円55銭の円高)となりました。
(3)繰延税金資産の状況
① 繰延税金資産の算入根拠
当社グループでは、会計基準に従い、税務上の繰越欠損金や企業会計上の資産・負債と税務上の資産・負債との差額である一時差異等について税効果会計を適用し、繰延税金資産及び繰延税金負債を計上しております。繰延税金資産の回収可能性については、将来の合理的な見積可能期間における課税所得の見積額を限度として、当該期間における一時差異等のスケジューリングの結果に基づき判断しております。
② 過去5年間の課税所得(繰越欠損金使用前の各年度の実績値)
(注) 提出会社を通算親法人とする通算グループの所得を記載しております。また、記載した課税所得は法人税確定申告書上の繰越欠損金控除前の数値であり、その後の変動は反映されておりません。
なお、当中間連結会計期間に係る中間連結貸借対照表上の繰延税金資産73億円のうち、提出会社を通算親法人とする通算グループの計上額合計は27億円であります。
③ 見積りの前提とした税引前当期純利益の見込額
提出会社を通算親法人とする通算グループの課税所得見積期間を3年とし、同期間の税引前当期純利益を3,458億円と見積もっております。
④ 繰延税金資産・負債の主な発生原因
当中間連結会計期間末現在、中間連結貸借対照表上の繰延税金資産及び繰延税金負債の内訳は次のとおりであります。
(4)キャッシュ・フローの状況
営業活動、投資活動及び財務活動によるキャッシュ・フロー並びに現金及び現金同等物
当中間連結会計期間におけるキャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。
当中間連結会計期間において、営業活動によるキャッシュ・フローは、トレーディング商品の増減、有価証券担保貸付金及び有価証券担保借入金の増減、銀行業における預金の増減などにより△5,154億円(前年同期は4,929億円)となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、有価証券の取得による支出、有価証券の売却及び償還による収入、関係会社株式の取得による支出などにより△2,184億円(同△879億円)となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは、短期借入金の純増減、社債の発行による収入、社債の償還による支出などにより2,408億円(同886億円)となりました。これらに為替変動の影響等を加えた結果、当中間連結会計期間末の現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べ5,082億円減少し、3兆8,436億円となりました。
(5)事業上及び財務上の対処すべき課題
当中間連結会計期間において、事業上及び財務上の対処すべき課題について、重要な変更及び新たに生じた事項はありません。
(6)研究開発活動
該当事項はありません。
(7)資本の財源及び流動性に係る情報
① 流動性の管理
<財務の効率性と安定性の両立>当社グループは、多くの資産及び負債を用いる有価証券関連業務や、投融資業務を行っており、これらのビジネスを継続する上で十分な流動性を効率的かつ安定的に確保することを資金調達の基本方針としております。
当社グループの資金調達手段には、社債、ミディアム・ターム・ノート、金融機関借入、コマーシャル・ペーパー、コールマネー、預金受入等の無担保調達、現先取引、レポ取引等の有担保調達があり、これらの多様な調達手段を適切に組み合わせることにより、効率的かつ安定的な資金調達の実現を図っております。
財務の安定性という観点では、環境が大きく変動した場合においても、業務の継続に支障をきたすことのないよう、平時から安定的に資金を確保するよう努めると同時に、危機発生等により、新規の資金調達及び既存資金の再調達が困難となる場合も想定し、調達資金の償還期限及び調達先の分散を図っております。
当社は、「金融商品取引法第五十七条の十七第一項の規定に基づき、最終指定親会社が当該最終指定親会社及びその子法人等の経営の健全性を判断するための基準として定める最終指定親会社及びその子法人等の経営の健全性のうち流動性に係る健全性の状況を表示する基準」(平成26年金融庁告示第61号)により連結流動性カバレッジ比率(以下、「LCR」という。)及び連結安定調達比率(以下、「NSFR」という。)を所定の比率(それぞれ100%)以上に維持することが求められており、第88期第2四半期日次平均のLCRは136.6%です。当中間期末のNSFRは所定の比率を上回る見込みとなっております。また、当社は、上記金融庁告示による規制上のLCR及びNSFRのほかに、独自の流動性管理指標を用いた流動性管理態勢を構築しております。即ち、一定期間内に期日が到来する無担保調達資金及び同期間にストレスが発生した場合の資金流出見込額に対し、様々なストレスシナリオを想定したうえで、それらをカバーする流動性ポートフォリオが保持されていることを日次で確認しており、1年間無担保資金調達が行えない場合でも業務の継続が可能となるように取り組んでおります。
第88期第2四半期日次平均のLCRの状況は次のとおりです。
<グループ全体の資金管理>当社グループでは、グループ全体での適正な流動性確保という基本方針の下、当社が一元的に資金の流動性の管理・モニタリングを行っております。当社は、当社グループ固有のストレス又は市場全体のストレスの発生により新規の資金調達及び既存資金の再調達が困難となる場合も想定し、短期の無担保調達資金について、当社グループの流動性ポートフォリオが十分に確保されているかをモニタリングしております。また、当社は、必要に応じて当社からグループ各社に対し、機動的な資金の配分・供給を行うと共に、グループ内で資金融通を可能とする態勢を整えることで、効率性に基づく一体的な資金調達及び資金管理を行っております。
<コンティンジェンシー・ファンディング・プラン>当社グループは、流動性リスクへの対応の一環として、コンティンジェンシー・ファンディング・プランを策定しております。同プランは、信用力の低下等の内生的要因や金融市場の混乱等の外生的要因によるストレスの逼迫度に応じた報告体制や資金調達手段の確保などの方針を定めており、これにより当社グループは機動的な対応により流動性を確保する態勢を整備しております。
当社グループのコンティンジェンシー・ファンディング・プランは、グループ全体のストレスを踏まえて策定しており、変動する金融環境に機動的に対応するため、定期的な見直しを行っております。
また、金融市場の変動の影響が大きく、その流動性確保の重要性の高い大和証券株式会社、株式会社大和ネクスト銀行及び一部の海外証券子会社においては、更に個別のコンティンジェンシー・ファンディング・プランも策定し、同様に定期的な見直しを行っております。
なお、当社は、子会社のコンティンジェンシー・ファンディング・プランの整備状況について定期的にモニタリングしており、必要に応じて想定すべき危機シナリオを考慮して子会社の資金調達プランやコンティンジェンシー・ファンディング・プランそのものの見直しを行い、更には流動性の積み増しを実行すると同時に資産圧縮を図るといった事前の対策を講じることとしております。
② 株主資本
当社グループが株式や債券、デリバティブ等のトレーディング取引、貸借取引、引受業務、ストラクチャード・ファイナンス、M&A、プリンシパル・インベストメント、証券担保ローン等の有価証券関連業を中心とした幅広い金融サービスを展開し、新たな価値の提供に資する投融資を行うためには、十分な資本を確保する必要があります。また、当社グループは、日本のみならず、海外においても有価証券関連業務を行っており、それぞれの地域において法規制上必要な資本を維持しなければなりません。
当中間連結会計期間末の株主資本は、前連結会計年度末比506億円増加し、1兆3,688億円となりました。また、資本金及び資本剰余金の合計は4,811億円となっております。利益剰余金は親会社株主に帰属する中間純利益を777億円計上したほか、配当金350億円の支払いを行ったこと等により、同427億円増加の1兆41億円となりました。自己株式の控除額は同65億円減少し、1,165億円となっております。
(1)財政状態の分析
<資産の部>当中間連結会計期間末の総資産は前連結会計年度末比1兆6,675億円(5.2%)増加の33兆6,948億円となりました。内訳は流動資産が同1兆5,579億円(5.1%)増加の31兆9,972億円であり、このうち現金・預金が同5,355億円(12.2%)減少の3兆8,630億円、トレーディング商品が同7,133億円(9.5%)増加の8兆2,483億円、営業貸付金が同1,978億円(7.3%)増加の2兆9,201億円、有価証券担保貸付金が同1兆1,670億円(9.4%)増加の13兆5,355億円となっております。固定資産は同1,096億円(6.9%)増加の1兆6,976億円となっております。
<負債の部・純資産の部>負債合計は前連結会計年度末比1兆6,367億円(5.4%)増加の31兆8,754億円となりました。内訳は流動負債が同1兆7,584億円(6.6%)増加の28兆5,559億円であり、このうちトレーディング商品が同1,934億円(3.3%)減少の5兆6,703億円、約定見返勘定が同1兆2,448億円(85.4%)減少の2,124億円、有価証券担保借入金が同3兆147億円(25.8%)増加の14兆7,136億円、銀行業における預金が同3,106億円(6.9%)減少の4兆2,009億円、預り金が同1,724億円(30.7%)増加の7,348億円となっております。固定負債は同1,216億円(3.5%)減少の3兆3,138億円であり、このうち社債が同1,006億円(7.9%)減少の1兆1,756億円、長期借入金が同179億円(0.9%)減少の2兆28億円となっております。
純資産合計は同307億円(1.7%)増加の1兆8,194億円となりました。資本金及び資本剰余金の合計は4,811億円となりました。利益剰余金は親会社株主に帰属する中間純利益を777億円計上したほか、配当金350億円の支払いを行ったこと等により、同427億円(4.4%)増加の1兆41億円となっております。自己株式の控除額は同65億円(5.3%)減少の1,165億円、その他有価証券評価差額金は同70億円(13.3%)増加の599億円、為替換算調整勘定は同86億円(6.4%)減少の1,255億円、非支配株主持分は同28億円(1.1%)減少の2,566億円となっております。
(2)経営成績の分析
① 事業全体の状況
当中間連結会計期間の営業収益は前年同期比21.0%増の6,896億円、純営業収益は同11.4%増の3,102億円となりました。
受入手数料は1,917億円と、同13.8%の増収となりました。委託手数料は、株式取引が増加したことにより、同1.3%増の443億円となりました。引受業務では、債券引受案件が増加した一方で、エクイティ引受案件が減少したことにより、引受け・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の手数料は、同6.1%減の194億円となりました。
トレーディング損益は、債券収益が増加したこと等により、同25.9%増の562億円となりました。
金融収支は、レポ取引費用が増加したこと等により、同12.2%減の388億円となりました。
販売費・一般管理費は前年同期比11.2%増の2,334億円となりました。取引関係費は、支払手数料等が増加したことから同14.5%増の445億円、人件費は、賞与引当金繰入や給与等の増加により同12.3%増の1,187億円となっております。
以上より、経常利益は同43.8%増の1,106億円となりました。
これに特別損益を加え、法人税等及び非支配株主に帰属する中間純利益を差し引いた結果、親会社株主に帰属する中間純利益は前年同期比45.4%増の777億円となりました。
② セグメント情報に記載された区分ごとの状況
純営業収益及び経常利益をセグメント別に分析した状況は次のとおりであります。なお、当中間連結会計期間より、当社グループが目指すビジネスモデルに合わせ、報告セグメントを「ウェルスマネジメント部門」、「アセットマネジメント部門」及び「グローバル・マーケッツ&インベストメント・バンキング部門」の3区分に変更しております。以下、前中間連結会計期間のセグメント情報は、変更後のセグメント区分に基づき作成したものを記載しております。
(単位:百万円) | |||||||||
純営業収益 | 経常利益又は経常損失(△) | ||||||||
2023年 9月期 | 2024年 9月期 | 対前年同期 増減率 | 構成比率 | 2023年 9月期 | 2024年 9月期 | 対前年同期 増減率 | 構成比率 | ||
ウェルスマネジメント部門 | 109,676 | 123,316 | 12.4% | 39.7% | 29,791 | 36,427 | 22.3% | 32.9% | |
アセットマネジメント部門 | 41,721 | 52,893 | 26.8% | 17.0% | 27,205 | 35,984 | 32.3% | 32.5% | |
証券アセットマネジメント | 22,472 | 27,853 | 23.9% | 9.0% | 9,599 | 13,766 | 43.4% | 12.5% | |
不動産アセットマネジメント | 13,189 | 16,251 | 23.2% | 5.2% | 10,471 | 12,982 | 24.0% | 11.7% | |
オルタナティブアセットマネジメント | 6,059 | 8,788 | 45.0% | 2.8% | 7,134 | 9,235 | 29.5% | 8.3% | |
グローバル・マーケッツ&インベストメント・バンキング部門 | 106,617 | 106,644 | 0.0% | 34.4% | 23,807 | 14,189 | △40.4% | 12.8% | |
グローバル・マーケッツ | 73,770 | 72,691 | △1.5% | 23.5% | 18,941 | 13,609 | △28.2% | - | |
グローバル・インベストメント・バンキング | 32,847 | 33,953 | 3.4% | 10.9% | 4,092 | △946 | - | - | |
その他・調整等 | 20,416 | 27,384 | - | 8.9% | △3,871 | 24,027 | - | 21.8% | |
連結 計 | 278,432 | 310,238 | 11.4% | 100.0% | 76,932 | 110,627 | 43.8% | 100.0% |
(注)経常利益又は経常損失(△)の構成比率は、当中間連結会計期間において経常利益であったセグメントの経常利益合計に占める、各セグメントの経常利益の割合としております。
[ウェルスマネジメント部門]
ウェルスマネジメント部門の主な収益源は、国内の個人投資家及び未上場会社のお客様の資産管理・運用に関する商品・サービスの手数料と、大和ネクスト銀行における預金の受入れ等による調達資金の運用から得られる利鞘収入です。経営成績に重要な影響を与える要因には、お客様動向を左右する国内外の金融市場及び経済環境の状況に加え、お客様のニーズに合った商品の開発状況や引受け状況及び販売戦略が挙げられます。
当中間連結会計期間においては、マーケットのボラティリティが上昇したことにより、お客様のアクティビティが低下し、フロー収益は減収となったものの、資産管理型ビジネスが着実に進展したことにより、投信代理事務手数料やラップ関連収益が大幅に増収となり、残高ベース収益は550億円まで拡大しました。また、ラップ口座サービスについても、契約額、純増額ともに高水準を維持し、契約資産残高は過去最高の4兆5,097億円となりました。
大和ネクスト銀行における当中間連結会計期間末の預金残高(譲渡性預金を含む)は前連結会計年度末比7.1%減の4兆2,080億円となりました。銀行口座数は同3.0%増の183万口座となりました。
その結果、当中間連結会計期間のウェルスマネジメント部門における純営業収益は前年同期比12.4%増の1,233億円、経常利益は同22.3%増の364億円となりました。
[アセットマネジメント部門]
アセットマネジメント部門は、証券アセットマネジメント、不動産アセットマネジメント及びオルタナティブアセットマネジメントで構成されます。
証券アセットマネジメントの主な収益源は、当社連結子会社の大和アセットマネジメントにおける投資信託の組成と運用に関する報酬です。また、当社持分法適用関連会社である三井住友DSアセットマネジメントの投資信託の組成と運用及び投資顧問業務に関する報酬からの利益は、当社の持分割合に従って経常利益に計上されます。経営成績に重要な影響を与える要因には、マーケット環境によって変動するお客様の投資信託及び投資顧問サービスへの需要と、マーケット環境に対するファンドの運用パフォーマンスや、お客様の関心を捉えたテーマ性のある商品開発等による商品自体の訴求性が挙げられます。
証券アセットマネジメントは増収増益となりました。大和アセットマネジメントでは、資金純増を確保したものの、時価の下落により、公募投資信託の運用資産残高は前連結会計年度末比1.3%減の28.6兆円となりましたが、期中平均残高は前年同期を上回り、当中間連結会計期間の純営業収益は前年同期比23.9%増の278億円、経常利益は同43.4%増の137億円となりました。
不動産アセットマネジメントの主な収益源は、当社連結子会社の大和リアル・エステート・アセット・マネジメント、大和証券オフィス投資法人及びサムティ・レジデンシャル投資法人の不動産運用収益です。また、当社持分法適用関連会社であるサムティホールディングス株式会社の各子会社、及び同じく持分法適用関連会社である大和証券リビング投資法人の不動産運用収益からの利益は、当社の持分割合に従って経常利益に計上されます(注1、2)。経営成績に重要な影響を与える要因には、国内の不動産市場・オフィス需要の動向が挙げられます。
不動産アセットマネジメントは増収増益となりました。新規の物件取得などにより、大和リアル・エステート・アセット・マネジメント及びサムティ・レジデンシャル投資法人の2社を合わせた運用資産残高は前連結会計年度末比2.9%増の1兆5,008億円となりました。その結果、当中間連結会計期間の純営業収益は前年同期比23.2%増の162億円、経常利益は同24.0%増の129億円となりました。
オルタナティブアセットマネジメントの主な収益源は、当社連結子会社である大和企業投資、大和PIパートナーズ及び大和エナジー・インフラの投資先の新規上場(IPO)・M&A等による売却益や、投資事業組合への出資を通じたキャピタルゲインのほか、契約に基づきファンドから受領する、管理運営に対する管理報酬や投資成果に応じた成功報酬、投資した株式からの配当、売電収入などのインカムゲインです。経営成績に重要な影響を与える要因には、株式市場やIPO市場の動向、投資先企業の評価額に影響を及ぼす可能性のある経済環境の状況、保有する有価証券や投資資産の流動性が挙げられます。
オルタナティブアセットマネジメントは増収増益となりました。大和企業投資では、国内外の成長企業への投資や上場支援に貢献しながら、投資先の売却益により収益を確保しました。また、大和PIパートナーズでは、国内外で金銭債権投資、不動産ローン、企業向け投融資を実行するとともに、既存案件の回収を進め、大和エナジー・インフラでは、太陽光発電所の取得など、持続可能な開発目標(SDGs)に資するエネルギー・インフラ関連投資を実行しながら、インカムゲイン及びキャピタルゲインを計上しました。その結果、当中間連結会計期間の純営業収益は前年同期比45.0%増の87億円、経常利益は同29.5%増の92億円となりました。
その結果、当中間連結会計期間のアセットマネジメント部門における純営業収益は前年同期比26.8%増の528億円、経常利益は同32.3%増の359億円となりました。
(注)1 当社の持分法適用関連会社であったサムティ株式会社は、2024年6月3日付で、単独株式移転の方式により設立されたサムティホールディングス株式会社を完全親会社とする持株会社体制に移行しております。かかる持株会社体制への移行後、当社はサムティホールディングス株式会社を持分法適用関連会社としており、サムティホールディングス株式会社の各子会社の不動産運用収益等からの利益が、当社の持分割合に従って経常利益に計上されております。
2 2024年10月11日付でサムティホールディングス株式会社が公表したとおり、同社の普通株式に対するSong Bidco合同会社(以下「公開買付者」といいます。)による公開買付けが開始しております。当社及び大和PIパートナーズは、公開買付者との間で不応募契約を締結しており、当社は、サムティホールディングス株式会社との資本関係を継続し、同社の企業価値の最大化を図る観点から、当該公開買付けの成立後も継続して同社の運営に関与する予定です。
[グローバル・マーケッツ&インベストメント・バンキング部門]
グローバル・マーケッツ&インベストメント・バンキング部門は、機関投資家等を対象に有価証券のセールス及びトレーディングを行うグローバル・マーケッツと、事業法人、金融法人等が発行する有価証券の引受けやM&Aアドバイザリー業務を行うグローバル・インベストメント・バンキングによって構成されます。
グローバル・マーケッツの主な収益源は、機関投資家に対する有価証券の売買に伴って得る顧客フロー収益及びトレーディング収益であり、地政学リスクや国際的な経済状況等で変化する市場の動向や、それに伴う顧客フローの変化が、経営成績に重要な影響を与える要因となります。
グローバル・マーケッツは減収減益となりました。エクイティ収益は、主に海外投資家のアクティビティが増加したことから増収となりましたが、フィクスト・インカム収益は、金利が乱高下する中、ポジション運営に苦戦し減収となりました。その結果、当中間連結会計期間の純営業収益は前年同期比1.5%減の726億円、経常利益は同28.2%減の136億円となりました。
グローバル・インベストメント・バンキングの主な収益源は、引受業務やM&Aアドバイザリー業務によって得る引受け・売出し手数料とM&A手数料であり、顧客企業の資金調達手段の決定やM&Aの需要を左右する国内外の経済環境等に加え、当社が企業の需要を捉え、案件を獲得できるかどうかが経営成績に重要な影響を与える要因となります。
グローバル・インベストメント・バンキングは増収減益となりました。引受け・売出し手数料は、エクイティにおいて大型案件の主幹事を務めた前年同期との比較では、減収となりました。またM&Aビジネスでは、多数の案件を遂行し増収となったものの、海外におけるM&Aビジネス関連費用の増加を賄う収益を確保することができず、収支が悪化しました。これらの結果、当中間連結会計期間の純営業収益は前年同期比3.4%増の339億円、経常損失は9億円(前年同期は40億円の経常利益)となりました。
その結果、当中間連結会計期間のグローバル・マーケッツ&インベストメント・バンキング部門における純営業収益は前年同期比0.0%増の1,066億円、経常利益は同40.4%減の141億円となりました。
[その他]
その他の事業には、主に大和総研によるリサーチ・コンサルティング業務及びシステム業務などが含まれます。
大和総研は、当社グループのシステム開発を着実に遂行したほか、高付加価値のソリューション提案により、お客様との関係を強化したこと、大口顧客向けシステム開発案件を手掛けたこと等により、当社グループの収益に貢献しました。
当中間連結会計期間において、その他セグメントに属する一部のグループ会社が前年同期比で増益となったことや、あおぞら銀行の株式取得及び持分法適用に係る負ののれん発生益などにより、その他・調整等に係る純営業収益は273億円(前年同期204億円)、経常利益は240億円(前年同期は38億円の経常損失)となりました。
③ 経営方針・経営戦略等及び経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当中間連結会計期間において、経営方針・経営戦略等及び経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等について、第87期有価証券報告書の「目標とする経営指標の達成状況等」に記載した経営指標から重要な変更及び新たに生じた事項はありません。
④ 経営成績の前提となる当中間連結会計期間のマクロ経済環境
<海外の状況>世界経済は、2020年前半の新型コロナウイルスの感染拡大による落ち込みからの急回復が一服し、その改善ペースは鈍化しています。IMF(国際通貨基金)が2024年10月に公表した世界経済見通しによれば、2020年の大幅な落ち込みからの反動もあり、2021年の世界経済成長率は+6.6%と、IMFが成長率を公表する1980年以降で最も高い成長となりました。一方、2022年の世界経済成長率は+3.6%、2023年には+3.3%へと低下し、2024年には+3.2%となることが見込まれています。歴史的に高いインフレ率や、それに対応するための当局による金融引き締めが、景気の拡大ペースを鈍化させたとみられます。また、2022年2月に始まったロシアによるウクライナへの侵攻や、中東情勢の緊迫化による地政学的緊張の高まりも世界経済におけるリスク要因となっています。
米国の2024年1-3月期の実質GDP成長率は、前期比年率+1.6%となり、2023年10-12月期以降減速基調にありました。もっとも、輸入の急増を主因に外需がマイナスに寄与したものの、個人消費や設備投資、住宅投資の増加が経済を下支えしました。2024年4-6月期の実質GDP成長率は、前期比年率+3.0%となり、1-3月期から加速しました。内訳を見ると、屋台骨である個人消費は前期比年率+2.8%と1-3月期の前期比年率+1.9%から伸び率が高まりました。住宅投資は前期比年率▲2.8%とマイナスに転じましたが、設備投資は前期比年率+3.9%と加速しました。全体としては、FRB(連邦準備制度理事会)が金融引き締めを続ける中でも米国経済は内需主導で好調を維持したと評価できます。7-9月期の実質GDP成長率は、前期比年率+2.8%となりました。個人消費が前期比年率+3.7%と加速したことがけん引役となりました。
金融面では、FRBは歴史的な高インフレの鎮静化から景気の下支えへと徐々にスタンスを変化させています。インフレ率がFRBの目標である2%を大幅に上回っていることを背景に、2022年3月のFOMC(連邦公開市場委員会)では政策金利が0.25%pt引き上げられ、2020年3月以降続いてきた実質的なゼロ金利政策が終了し、その後も、政策金利は段階的に引き上げられました。2023年に入ってもFRBはインフレ抑制の姿勢を崩さず、3月、5月、7月のFOMCではそれぞれ0.25%ptの利上げを決定しました。その後のFOMCでは誘導目標レンジが据え置かれましたが、2024年9月のFOMCでは、誘導目標レンジを0.50%pt引き下げ、従来の5.25-5.50%から4.75-5.00%へと変更しました。インフレの減速が続く可能性が高まる中、景気や雇用を下支えする必要性が高まったことが利下げに転じた背景にあるとみられます。
欧州経済(ユーロ圏経済)は、2023年前半以降、緩やかながらも拡大を続けています。ユーロ圏の実質GDP成長率は2023年1-3月期に小幅のマイナス成長を記録しましたが、4-6月期の実質GDP成長率は前期比年率+0.2%と、小幅ながらも3四半期ぶりのプラス成長に転じました。その後、7-9月期には前期比年率+0.2%、10-12月期には前期比年率+0.2%と小幅ながらもプラス成長を維持しました。2024年1-3月期には前期比年率+1.2%となり、成長ペースが加速しました。家計消費支出の持ち直しや、輸出の増加がけん引役となりました。4-6月期の実質GDP成長率は前期比年率+0.8%と、1-3月期から成長ペースは鈍化しました。家計消費支出が減少に転じたことが重石となりましたが、輸出の拡大が経済を下支えした格好です。7-9月期の実質GDP成長率は前期比年率+1.5%となり、成長ペースが加速しました。
金融面では、ECB(欧州中央銀行)は近年インフレの抑制に努めてきましたが、足元では景気停滞に対応すべく利下げが続いています。2022年7月のECB理事会では、0.50%ptの利上げに踏み切り、2014年に導入された預金ファシリティ金利のマイナス状態が8年ぶりに解消されました。その後も段階的に利上げを実施してきましたが、2023年10月と12月の理事会では、政策金利の水準が据え置かれました。2024年に入っても1月、3月、4月の理事会で政策金利の水準据え置きが決定されましたが、6月の理事会では、2019年9月以来、4年9ヵ月ぶりの利下げを決定し、主要3金利(主要リファイナンス・オペ金利、限界貸付ファシリティ金利、預金ファシリティ金利)をそれぞれ0.25%pt引き下げました。7月の理事会では政策金利の水準は据え置かれたものの、9月の理事会では0.25%ptの利下げが全会一致で決定されました。
IMFによると、2022年の新興国の実質GDP成長率は、+4.0%の成長となりました。2023年も+4.4%の成長となった模様ですが、先進国において景気後退懸念が高まる中、新興国経済でも景気減速のリスクが高まりつつあります。2024年の成長率は+4.2%と見込まれています。中国を中心に外需の減速によって経済成長のペースが鈍化する見込みです。
新興国のうち、世界第2位の経済規模を持つ中国では、2024年1-3月期の実質GDP成長率は前年同期比+5.3%となりました。4-6月期の実質GDP成長率は前年同期比+4.7%と、1-3月期から伸び率は低下しましたが、背景には不動産不況による家計のバランスシート調整の影響により、消費の伸びが鈍化したことがあります。7-9月期の実質GDP成長率は前年同期比+4.6%となり、減速が続いています。
中国以外の新興国は、経済活動の正常化が進展したことなどを背景に、2022年以降は総じてみれば持ち直しの動きが続きました。2022年には高インフレや米国での金利上昇に伴う資金流出抑制のため、多くの国が利上げを余儀なくされましたが、2023年以降は利上げを行う国は減少しています。2024年に米国が利下げに転じたことから、新興国でも利下げによる景気下支えの余地が広がっています。
<日本の状況>日本経済は2023年後半以降停滞が続きました。2023年7-9月期の実質GDP成長率は前期比年率▲4.3%のマイナス成長となりました。個人消費が引き続き減少したことに加え、輸入の増加が成長率を下押ししました。10-12月期には、輸出が大幅に増加したものの、個人消費の減少ペースが加速するなど内需の停滞が続いたことで、前期比年率+0.2%となりました。2024年1-3月期の実質GDP成長率は前期比年率▲2.4%となりました。依然として個人消費の減少が経済全体の重石となっています。4-6月期は前期比年率+2.9%と、2四半期ぶりのプラス成長を記録しました。個人消費が持ち直しに転じたことに加え、設備投資や輸出の増加も経済を下支えしました。7-9月期の実質GDP成長率もプラス成長が見込まれています。
需要項目ごとにみると、停滞感が強まっていた個人消費に回復の兆しがみられます。物価上昇率に賃金上昇率が追い付かず、実質賃金が減少していたことなどを背景に、個人消費は2023年4-6月期から2024年1-3月期まで、4四半期連続で減少していました。しかし、4-6月期に入ると、所得環境の改善もあって個人消費は5四半期ぶりに増加に転じました。7-9月期の個人消費は財消費にけん引される形で増加したとみられます。
企業部門の需要である設備投資は一進一退の動きとなっています。2024年1-3月期には輸送用機械への投資停滞を主因に、設備投資は前期比▲0.5%と減少しました。しかし、4-6月期に入ると、設備投資は前期比+0.8%と増加しました。内訳を見ると、輸送用機械や設備機械等が増加に転じました。自動車の生産体制の正常化が進んだことが背景にあるとみられます。7-9月期の設備投資は、機械投資が停滞したことを主因に減少に転じたとみられます。
2024年1-3月期の輸出は前期比▲4.6%と減少しました。自動車の減産が下押し要因となったほか、資本財などの輸出も伸び悩みました。4-6月期には前期比+1.5%と増加しました。中間財や情報関連財の減少が重石となったものの、自動車の増産が輸出をけん引しました。7-9月期に入っても輸出は増加を続けたとみられます。
金融面では、2024年3月の金融政策決定会合で日本銀行は、マイナス金利政策の解除とイールドカーブ・コントロールの撤廃を決定しました。日本銀行は、短期金利に加えて長期金利(10年国債利回り)も操作対象とする金融緩和措置(イールドカーブ・コントロール)を2016年9月に導入し、強力な金融緩和政策を続けていました。しかし、2024年3月の金融政策決定会合で、マイナス金利政策の解除とイールドカーブ・コントロールの撤廃を決定し、短期金利を操作目標とする通常の金融政策へと転換を図りました。また、2024年7月30日、31日に開催した金融政策決定会合において、短期金利の誘導目標を0.25%程度に引き上げることを決定しました。さらに、同会合で日本銀行は、6月会合で予告していた長期国債買入れの減額計画を示しました。減額計画では、月間の長期国債の買入れ予定額を原則として毎四半期4,000億円程度ずつ減額するとされています。2024年7月に5.7兆円程度であった買入れ額は、2024年度末で月額4.5兆円程度、2025年度末で同2.9兆円程度へと減額され、日本銀行の保有する国債残高はおおよそ7~8%減少すると見込まれています。
為替市場をみると、2024年度に入って以降、変動の大きい展開となっています。4月から7月前半にかけては円安基調で推移し、ドル円レートは一時161円台後半まで円安が進みました。しかし、その後は、日本銀行が追加利上げに踏み切る中、米国の景気に陰りが見えたことでFRBの利下げ観測が高まったことなどもあり、日米金融政策の方向感の違いが強く意識されたことで、円高方向への急速な揺り戻しが生じました。対ユーロでも、2024年初時点に156円台を付けてからは円安基調で推移しましたが、7月中頃からは急速に円高に振れ、2024年9月末には159円台を付けました。
株式市場では、2024年の株価は一進一退の動きとなっています。2024年に入ると、デフレ脱却期待を背景に外国人投資家による買いが相場を下支えしたことで、日経平均株価は一時4万円を超えました。7月にはドル円レートが160円を超えたこともあり、企業収益の回復期待や外国人投資家による買い姿勢の強まりなどを背景に、日経平均株価は史上最高値を更新しました。しかしその後は、ドル円レートが急速に円高に振れたことで、日経平均株価が下落しました。
2024年9月末の日経平均株価は37,919円55銭(2024年6月末比1,663円53銭安)、10年国債利回りは0.894%(同0.168%ptの低下)、為替は1ドル142円38銭(同18円55銭の円高)となりました。
(3)繰延税金資産の状況
① 繰延税金資産の算入根拠
当社グループでは、会計基準に従い、税務上の繰越欠損金や企業会計上の資産・負債と税務上の資産・負債との差額である一時差異等について税効果会計を適用し、繰延税金資産及び繰延税金負債を計上しております。繰延税金資産の回収可能性については、将来の合理的な見積可能期間における課税所得の見積額を限度として、当該期間における一時差異等のスケジューリングの結果に基づき判断しております。
② 過去5年間の課税所得(繰越欠損金使用前の各年度の実績値)
(単位:百万円) | |||||
回次 | 第83期 | 第84期 | 第85期 | 第86期 | 第87期 |
決算年月 | 2020年3月 | 2021年3月 | 2022年3月 | 2023年3月 | 2024年3月 |
通算グループの課税所得 | 60,907 | 92,842 | 106,263 | 51,393 | 161,466 |
(注) 提出会社を通算親法人とする通算グループの所得を記載しております。また、記載した課税所得は法人税確定申告書上の繰越欠損金控除前の数値であり、その後の変動は反映されておりません。
なお、当中間連結会計期間に係る中間連結貸借対照表上の繰延税金資産73億円のうち、提出会社を通算親法人とする通算グループの計上額合計は27億円であります。
③ 見積りの前提とした税引前当期純利益の見込額
提出会社を通算親法人とする通算グループの課税所得見積期間を3年とし、同期間の税引前当期純利益を3,458億円と見積もっております。
④ 繰延税金資産・負債の主な発生原因
当中間連結会計期間末現在、中間連結貸借対照表上の繰延税金資産及び繰延税金負債の内訳は次のとおりであります。
(単位:百万円) | |
当中間連結会計期間 (2024年9月30日) | |
繰延税金資産 | |
繰越欠損金 | 47,997 |
退職給付に係る負債 | 13,365 |
営業投資有価証券関連損益 | 9,369 |
減価償却超過額 | 8,781 |
賞与引当金 | 7,407 |
投資有価証券評価損 | 7,346 |
未実現利益の消去 | 4,875 |
貸倒引当金 | 4,560 |
減損損失 | 3,726 |
関係会社株式評価損 | 3,256 |
資産除去債務 | 2,089 |
事業税・事業所税 | 1,981 |
金融商品取引責任準備金 | 1,728 |
その他有価証券評価差額金 | 1,259 |
繰延ヘッジ損益 | 1,232 |
商品有価証券・デリバティブ | 860 |
訴訟損失引当金 | 71 |
その他 | 12,112 |
繰延税金資産小計 | 132,020 |
評価性引当額 | △98,300 |
繰延税金資産合計 | 33,719 |
繰延税金負債 | |
企業結合に伴う評価差額 | 37,769 |
その他有価証券評価差額金 | 24,047 |
繰延ヘッジ損益 | 3,004 |
その他 | 5,304 |
繰延税金負債合計 | 70,126 |
繰延税金資産(負債)の純額 | △36,406 |
(4)キャッシュ・フローの状況
営業活動、投資活動及び財務活動によるキャッシュ・フロー並びに現金及び現金同等物
当中間連結会計期間におけるキャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。
(単位:百万円) | ||
2023年9月期 | 2024年9月期 | |
営業活動によるキャッシュ・フロー | 492,971 | △515,442 |
投資活動によるキャッシュ・フロー | △87,932 | △218,401 |
財務活動によるキャッシュ・フロー | 88,641 | 240,823 |
現金及び現金同等物に係る換算差額 | 30,808 | △15,254 |
現金及び現金同等物の増減額(△は減少) | 524,489 | △508,274 |
現金及び現金同等物の期首残高 | 3,835,559 | 4,351,951 |
現金及び現金同等物の中間期末残高 | 4,360,048 | 3,843,676 |
当中間連結会計期間において、営業活動によるキャッシュ・フローは、トレーディング商品の増減、有価証券担保貸付金及び有価証券担保借入金の増減、銀行業における預金の増減などにより△5,154億円(前年同期は4,929億円)となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、有価証券の取得による支出、有価証券の売却及び償還による収入、関係会社株式の取得による支出などにより△2,184億円(同△879億円)となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは、短期借入金の純増減、社債の発行による収入、社債の償還による支出などにより2,408億円(同886億円)となりました。これらに為替変動の影響等を加えた結果、当中間連結会計期間末の現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べ5,082億円減少し、3兆8,436億円となりました。
(5)事業上及び財務上の対処すべき課題
当中間連結会計期間において、事業上及び財務上の対処すべき課題について、重要な変更及び新たに生じた事項はありません。
(6)研究開発活動
該当事項はありません。
(7)資本の財源及び流動性に係る情報
① 流動性の管理
<財務の効率性と安定性の両立>当社グループは、多くの資産及び負債を用いる有価証券関連業務や、投融資業務を行っており、これらのビジネスを継続する上で十分な流動性を効率的かつ安定的に確保することを資金調達の基本方針としております。
当社グループの資金調達手段には、社債、ミディアム・ターム・ノート、金融機関借入、コマーシャル・ペーパー、コールマネー、預金受入等の無担保調達、現先取引、レポ取引等の有担保調達があり、これらの多様な調達手段を適切に組み合わせることにより、効率的かつ安定的な資金調達の実現を図っております。
財務の安定性という観点では、環境が大きく変動した場合においても、業務の継続に支障をきたすことのないよう、平時から安定的に資金を確保するよう努めると同時に、危機発生等により、新規の資金調達及び既存資金の再調達が困難となる場合も想定し、調達資金の償還期限及び調達先の分散を図っております。
当社は、「金融商品取引法第五十七条の十七第一項の規定に基づき、最終指定親会社が当該最終指定親会社及びその子法人等の経営の健全性を判断するための基準として定める最終指定親会社及びその子法人等の経営の健全性のうち流動性に係る健全性の状況を表示する基準」(平成26年金融庁告示第61号)により連結流動性カバレッジ比率(以下、「LCR」という。)及び連結安定調達比率(以下、「NSFR」という。)を所定の比率(それぞれ100%)以上に維持することが求められており、第88期第2四半期日次平均のLCRは136.6%です。当中間期末のNSFRは所定の比率を上回る見込みとなっております。また、当社は、上記金融庁告示による規制上のLCR及びNSFRのほかに、独自の流動性管理指標を用いた流動性管理態勢を構築しております。即ち、一定期間内に期日が到来する無担保調達資金及び同期間にストレスが発生した場合の資金流出見込額に対し、様々なストレスシナリオを想定したうえで、それらをカバーする流動性ポートフォリオが保持されていることを日次で確認しており、1年間無担保資金調達が行えない場合でも業務の継続が可能となるように取り組んでおります。
第88期第2四半期日次平均のLCRの状況は次のとおりです。
(単位:億円) | |||
日次平均 (自 2024年7月 至 2024年9月) | |||
適格流動資産 | (A) | 26,326 | |
資金流出額 | (B) | 43,387 | |
資金流入額 | (C) | 24,124 | |
連結流動性カバレッジ比率(LCR) | |||
算入可能適格流動資産の合計額 | (D) | 26,326 | |
純資金流出額 | (E) | 19,263 | |
連結流動性カバレッジ比率 | (D)/(E) | 136.6% |
<グループ全体の資金管理>当社グループでは、グループ全体での適正な流動性確保という基本方針の下、当社が一元的に資金の流動性の管理・モニタリングを行っております。当社は、当社グループ固有のストレス又は市場全体のストレスの発生により新規の資金調達及び既存資金の再調達が困難となる場合も想定し、短期の無担保調達資金について、当社グループの流動性ポートフォリオが十分に確保されているかをモニタリングしております。また、当社は、必要に応じて当社からグループ各社に対し、機動的な資金の配分・供給を行うと共に、グループ内で資金融通を可能とする態勢を整えることで、効率性に基づく一体的な資金調達及び資金管理を行っております。
<コンティンジェンシー・ファンディング・プラン>当社グループは、流動性リスクへの対応の一環として、コンティンジェンシー・ファンディング・プランを策定しております。同プランは、信用力の低下等の内生的要因や金融市場の混乱等の外生的要因によるストレスの逼迫度に応じた報告体制や資金調達手段の確保などの方針を定めており、これにより当社グループは機動的な対応により流動性を確保する態勢を整備しております。
当社グループのコンティンジェンシー・ファンディング・プランは、グループ全体のストレスを踏まえて策定しており、変動する金融環境に機動的に対応するため、定期的な見直しを行っております。
また、金融市場の変動の影響が大きく、その流動性確保の重要性の高い大和証券株式会社、株式会社大和ネクスト銀行及び一部の海外証券子会社においては、更に個別のコンティンジェンシー・ファンディング・プランも策定し、同様に定期的な見直しを行っております。
なお、当社は、子会社のコンティンジェンシー・ファンディング・プランの整備状況について定期的にモニタリングしており、必要に応じて想定すべき危機シナリオを考慮して子会社の資金調達プランやコンティンジェンシー・ファンディング・プランそのものの見直しを行い、更には流動性の積み増しを実行すると同時に資産圧縮を図るといった事前の対策を講じることとしております。
② 株主資本
当社グループが株式や債券、デリバティブ等のトレーディング取引、貸借取引、引受業務、ストラクチャード・ファイナンス、M&A、プリンシパル・インベストメント、証券担保ローン等の有価証券関連業を中心とした幅広い金融サービスを展開し、新たな価値の提供に資する投融資を行うためには、十分な資本を確保する必要があります。また、当社グループは、日本のみならず、海外においても有価証券関連業務を行っており、それぞれの地域において法規制上必要な資本を維持しなければなりません。
当中間連結会計期間末の株主資本は、前連結会計年度末比506億円増加し、1兆3,688億円となりました。また、資本金及び資本剰余金の合計は4,811億円となっております。利益剰余金は親会社株主に帰属する中間純利益を777億円計上したほか、配当金350億円の支払いを行ったこと等により、同427億円増加の1兆41億円となりました。自己株式の控除額は同65億円減少し、1,165億円となっております。