有価証券報告書-第89期(2025/04/01-2026/03/31)
本項における将来に関する事項は、別段の記載がない限り、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められた企業会計の基準に基づき作成されております。また、当社は、連結財務諸表を作成するにあたり、会計方針に基づいていくつかの重要な見積りを行っており、これらの見積りは一定の条件や仮定を前提としております。そのため、条件や仮定が変化した場合には、実際の結果が見積りと異なることがあり、結果として連結財務諸表に重要な影響を与える場合があります。重要な会計方針のうち、特に重要と考える項目は、次の4項目です。
① トレーディング商品の評価
当社グループでは、トレーディング商品に属する有価証券及びデリバティブ取引は、時価をもって連結貸借対照表価額とし、評価損益はトレーディング損益として連結損益計算書に計上しております。また、「時価の算定に関する会計基準」(企業会計基準第30号 2019年7月4日)等を適用しており、トレーディング商品の時価は、時価の算定に用いたインプットの観察可能性及び重要性に応じて、3つのレベルに分類しております。これらの時価は「第5 経理の状況 (金融商品関係) 2. 金融商品の時価等及び時価のレベルごとの内訳等に関する事項」に記載しております。
時価測定に用いた評価技法及びインプットの詳細は以下のとおりであります。これらは、市場参加者が商品を評価するときに考慮するであろう当社グループによる仮定及び見積りを含んでおります。
(ⅰ)商品有価証券等
主に同一又は類似の商品に関する市場価格を用いております。また、特定の負債性金融商品及び資産担保証券については、デリバティブ取引に準じた評価技法もしくは、ディスカウント・キャッシュ・フロー・モデルにより時価を測定しております。
(ⅱ)デリバティブ取引
上場デリバティブについては原則として市場価格を、店頭デリバティブについては、評価技法により時価を算定しております。
デリバティブ取引の時価には、信用リスク及び流動性リスクを考慮した調整が含まれており、時価測定においては、市場で一般に用いられるリスク中立測度の仮定のもとでの期待キャッシュ・フローの現在価値を、主に数値積分法、有限差分法及びモンテカルロ法による価格算定モデルにより算定しております。
価格算定モデルには、金利、為替レート、株価、ボラティリティ、相関係数などの様々なインプットがあります。また、市場で観察可能でないインプットとしては、相関係数、長期のボラティリティ、長期のクレジット・スプレッドなどがあります。
価格算定モデルの選択及びその価格算定モデルに投入するインプットの決定、信用リスク及び流動性リスクにかかる評価調整には見積り及び前提を含んでおり、特に、市場で観察可能でないインプットを使用する場合には、その見積り及び前提は、トレーディング商品の評価額に重要な影響を及ぼす可能性があります。
算定に用いたインプットを含め、価格算定モデルは社内における指針に基づいて承認され、価格算定モデルの開発部署から独立した部署が、モデル内の仮定及び技法、算定に用いたインプットについて検証を行っております。また、価格算定モデルを観察可能な市場情報や代替可能なモデルとの比較分析等により、市場動向に合わせて調整する体制を構築しております。
経営者は、時価測定に用いられた前提は合理的であると考えております。しかしながら、これらの見積りには不確実性が含まれているため、将来キャッシュ・フローや時価の下落を引き起こすような見積りの変化が、評価金額に不利に影響し、結果として、連結財務諸表に重要な影響を与える可能性があります。
② 有価証券の評価
当社グループでは、投資有価証券、営業投資有価証券等のトレーディング商品に属さない有価証券を保有しております。
(ⅰ)投資有価証券
市場価格のあるものについては、市場価格が著しく下落したときは、回復する見込みがあると認められる場合を除き、減損処理を行っております。具体的には、当連結会計年度末における市場価格の下落率が取得原価の50%以上の場合は、著しい下落かつ回復する見込みがないものと判断して、減損処理を行っております。市場価格の下落率が取得原価の30%以上50%未満の場合は、市場価格の推移及び発行会社の財政状態等を総合的に勘案して回復する見込みを検討し、回復する見込みがあると認められる場合を除き、減損処理を行っております。市場価格のないものについては、実質価額が著しく低下し、かつ、回復可能性が十分な証拠によって裏付けられない場合には、減損処理を行っております。
(ⅱ)営業投資有価証券
営業投資有価証券は、アセットマネジメント部門における非上場株式、国内外の再生可能エネルギー、インフラストラクチャーへの投資等により構成されております。
営業投資有価証券の評価については、その評価額に基づき実質価額を見積り、その実質価額が帳簿価額を下回り、損失発生の可能性が高い場合には投資損失引当金を計上しております。さらに、実質価額が帳簿価額に比して50%以上下落し、回復可能性が十分な証拠によって裏付けられない場合には、減損処理を行っております。実質価額の算定の前提となる当社の財政状態又は経営成績に対して重大な影響を与え得る会計上の見積り及び判断が必要となる項目は以下のとおりです。
1) 非上場株式
株式の評価額は、投資先の事業計画等をもとにした将来キャッシュ・フロー、類似取引事例との比較などにより算定しております。
2) 国内外の再生可能エネルギー、インフラストラクチャーへの投資等
評価額は、投資先の事業計画等をもとにした将来キャッシュ・フロー、財政状態などにより算定しております。
これらの評価額の測定には経営者が妥当と判断する見積り及び仮定を使用しており、これらの見積り及び仮定は、減損損失又は投資損失引当金の計上の要否の判断及び認識される損失金額に重要な影響を及ぼす可能性があります。
経営者は、実質価額の見積りに用いられた仮定は合理的であると判断しております。ただし、これらの見積りには不確実性が含まれているため、将来の予測不能な前提条件の変化などにより、これらの評価に関する見積りが変化した場合には、結果として将来において当社及び連結子会社が減損処理又は投資損失引当金の計上を行う可能性があります。
③ 固定資産の減損
当社グループでは、各資産グループにおいて、収益性が著しく低下した資産については、当該資産の帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。なお、資産のグルーピングは、事業用資産のうち、証券店舗等の個別性の強い資産については個別物件単位で行い、その他の事業用資産については管理会計上の区分に従って行っております。
④ 繰延税金資産の状況
(ⅰ)繰延税金資産の算入根拠
当社グループでは、会計基準に従い、税務上の繰越欠損金や企業会計上の資産・負債と税務上の資産・負債との差額である一時差異について税効果会計を適用し、繰延税金資産及び繰延税金負債を計上しております。繰延税金資産の回収可能性については、将来の合理的な見積可能期間における課税所得の見積額を限度として、当該期間における一時差異等のスケジューリングの結果に基づき判断しております。
(ⅱ)過去5年間の課税所得(繰越欠損金使用前の各年度の実績値)
(注) 提出会社を通算親法人とする通算グループの所得を記載しております。また、記載した課税所得は法人税確定申告書上の繰越欠損金控除前の数値であり、その後の変動は反映されておりません。
なお、当連結会計年度末に係る連結貸借対照表上の繰延税金資産73億円のうち、提出会社を通算親法人とする通算グループの計上額合計は33億円であります。
(ⅲ)見積りの前提とした税引前当期純利益の見込額
提出会社を通算親法人とする通算グループの課税所得見積期間を3年とし、同期間の税引前当期純利益を4,818億円と見積もっております。
(ⅳ)繰延税金資産・負債の主な発生原因
「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 税効果会計関係 1」に記載のとおりであります。
なお、ロシア・ウクライナ情勢及び中東情勢の緊迫化や、トランプ政権の関税政策による経済情勢や相場への影響は、現時点においてはこれらの見積りに重大な影響を及ぼしておりませんが、今後、入手可能となる情報等によりこれらの市場、経済又は地政学リスクが顕在化した場合には、会計上の見積りに用いられた前提条件に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループにおきましては、投資事業における保有資産の評価に関する見積りの変化による減損又は評価損の計上、不動産アセットマネジメント事業における資産の稼働率低下による財務内容悪化懸念などの可能性があります。
(2)当連結会計年度の財政状態の分析
<資産の部>当連結会計年度末の総資産は前年度末比2兆532億円(5.7%)増加の38兆776億円となりました。内訳は流動資産が同1兆9,438億円(5.7%)増加の36兆2,195億円であり、このうち現金・預金が同334億円(0.9%)増加の3兆7,901億円、有価証券が同5,538億円(34.9%)増加の2兆1,407億円、トレーディング商品が同4兆641億円(48.8%)増加の12兆3,916億円、営業貸付金が同8,170億円(29.2%)増加の3兆6,105億円、有価証券担保貸付金が同3兆2,248億円(21.0%)減少の12兆1,526億円となっております。固定資産は同1,094億円(6.3%)増加の1兆8,580億円となっております。
<負債の部・純資産の部>負債合計は前年度末比1兆9,307億円(5.7%)増加の36兆318億円となりました。内訳は流動負債が同2兆2,845億円(7.4%)増加の32兆9,799億円であり、このうちトレーディング商品が同1兆3,235億円(17.8%)増加の8兆7,607億円、有価証券担保借入金が同1兆6,370億円(10.6%)減少の13兆8,084億円、銀行業における預金が同7,443億円(17.3%)増加の5兆420億円、短期借入金が同6,185億円(43.7%)増加の2兆339億円となっております。固定負債は同3,557億円(10.5%)減少の3兆436億円であり、このうち社債が同1,874億円(15.4%)減少の1兆310億円、長期借入金が同1,858億円(9.1%)減少の1兆8,507億円となっております。
純資産合計は同1,225億円(6.4%)増加の2兆458億円となりました。資本金及び資本剰余金の合計は5,139億円となりました。利益剰余金は親会社株主に帰属する当期純利益を1,752億円計上したほか、配当金798億円の支払いを行ったこと等により、同799億円(7.7%)増加の1兆1,214億円となっております。自己株式の控除額は同364億円(32.2%)増加の1,495億円、その他有価証券評価差額金は同300億円(60.0%)増加の802億円、為替換算調整勘定は同362億円(27.2%)増加の1,699億円、非支配株主持分は同7億円(0.3%)減少の2,764億円となっております。
(3)当連結会計年度の経営成績の分析
① 事業全体の状況
当連結会計年度の営業収益は前年度比7.0%増の1兆4,679億円、純営業収益は同11.5%増の7,204億円となりました。
受入手数料は4,784億円と、同14.9%の増収となりました。委託手数料は、株式取引が増加したことにより、同23.2%増の1,096億円となりました。引受け・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の手数料は、エクイティ引受案件が減少したことにより、同16.7%減の399億円となりました。
トレーディング損益は、債券収益が減少したこと等により、同1.4%減の1,058億円となりました。
金融収支は、レポ取引費用が減少したこと等により、同18.7%増の926億円となりました。
販売費・一般管理費は同7.1%増の5,130億円となりました。取引関係費は、支払手数料が増加したこと等により、同9.2%増の1,001億円、人件費は、給料や業績に連動する賞与が増加したこと等により、同4.6%増の2,561億円となっております。
以上より、経常利益は同4.4%増の2,345億円となりました。
また、固定資産売却益や投資有価証券売却益等により特別利益が354億円(前年度41億円)、金融商品取引責任準備金繰入れや関係会社株式売却損等により特別損失が60億円(前年度98億円)となり、法人税等及び非支配株主に帰属する当期純利益を差し引いた結果、親会社株主に帰属する当期純利益は前年度比13.5%増の1,752億円となりました。
② セグメント情報に記載された区分ごとの状況
純営業収益及び経常利益をセグメント別に分析した状況は次のとおりであります。
(注)経常利益又は経常損失(△)の構成比率は、当連結会計年度において経常利益であったセグメントの経常利益合計に占める、各セグメントの経常利益の割合としております。
[ウェルスマネジメント部門]
ウェルスマネジメント部門の主な収益源は、国内の個人投資家及び未上場会社のお客様の資産管理・運用に関する商品・サービスの手数料と、大和ネクスト銀行における預金の受入れ等による調達資金の運用から得られる利鞘収入です。経営成績に重要な影響を与える要因には、お客様動向を左右する国内外の金融市場及び経済環境の状況に加え、お客様のニーズに合った商品の開発状況や引受け状況及び販売戦略が挙げられます。
当連結会計年度において大和証券は以下の事業計画に沿って活動を行いました。
1.お客様に対する深い理解に基づいた最適なコンサルティングの提供によるウェルスマネジメントビジネスのさらなる深化
2.富裕層や法人のお客様の高度なニーズに応えるオーダーメイドで付加価値の高い商品・サービス・ソリューションの拡充及び提供
3.デジタルマーケティングによるお客様に合わせたタイムリーかつ適切なサービス提供体制の深化
4.外部提携、ワークプレイス(職域)ビジネスによる顧客基盤の拡大
各項目の実績は以下のとおりです。
1.当期も引き続き、お客様の資産状況やニーズなどのヒアリングを踏まえ、最適なポートフォリオ提案やソリューション提案を実践しました。これらの取組みにより、資産導入額は2007年以来の高水準、ラップ口座サービスの契約金額および株式投資信託の純増額は過去最高を記録するなど、顧客基盤の拡充およびマーケット環境に左右されにくい収益基盤の構築が進展しました。
2.多様なお客様のニーズに応えられるよう、高度化するお客様のニーズに応えるべく、特定投資家向け銘柄制度(J-ships)の取扱い協会員として指定を受けるなど、商品・サービス・ソリューションの拡充に取り組みました。
3.グループ連携プラットフォームとして、資産管理および投資に関する情報を提供するスマートフォンアプリ「D-Port」を導入し、デジタル・営業店・コンタクトセンターが三位一体の体制となって、顧客に応じたアプローチを行う体制づくりに努めました。
4.株式会社ゆうちょ銀行に提供している「ゆうちょファンドラップ」に加え、株式会社あおぞら銀行を含む4行において「みらい彩りラップ」の取扱いを開始するなど外部提携の拡大にむけた取組みを強化しました。その結果、提携先経由でのファンドラップの契約残高は大きく増加しています。さらに、2026年4月より、株式会社岩手銀行との協業を開始するなど、顧客基盤の拡大を着実に進めています。
当連結会計年度は、引き続きお客様の資産状況や課題を把握することにより、最適なポートフォリオ提案やソリューション提案を実践しました。この取組みにより、ラップ口座サービス及び株式投資信託の純増額は過去最高を記録するなど、顧客基盤の拡充及びマーケット環境に左右されにくい収益基盤の構築が進展し、資産導入額は1兆6,342億円と高水準を維持しました。投信代理事務手数料及びラップ関連収益は増収となり、残高ベース収益は前年度比10.3%増の1,232億円と順調に拡大しました。
当連結会計年度において大和ネクスト銀行は以下の事業計画に沿って活動を行いました。
1.預金量の拡大と収益性の両立
2.グループ内連携の強化
3.国内外の金利環境に応じた運用残高の拡大及び運用高度化
4.応援定期預金やESG投融資への継続的取り組み
各項目の当連結会計年度における実績は以下のとおりです。
1.円預金について、金利環境の変化を踏まえた競争力のある金利水準を提供するとともに、預金残高の安定的な積み上げに取り組みました。外貨預金においても業界トップ水準の金利を維持し、各種キャンペーンの実施等を通じて新規預金の獲得を図りました。
2.大和証券との連携のもと、お客様の資産運用・資金ニーズを踏まえた商品・サービスの提供を行うなど、証銀連携の取り組みを通じてグループ内連携の強化を進めました。
3.国内外の金利環境及び市場動向を踏まえ、ポートフォリオの見直しや運用手法の高度化を進めるとともに、貸出や有価証券投資を通じた投融資に取り組み、収益機会の確保を図りました。
4.応援定期預金の提供を継続するとともに、サステナビリティKPIの一つである、ESG投融資について、残高維持に向けた取り組みを行いました。
大和ネクスト銀行の当連結会計年度末の預金残高(譲渡性預金含む)は前年度末比17.5%増の5.0兆円、銀行口座数は前年度比20.8%増の228万口座となりました。
これらの結果、当連結会計年度のウェルスマネジメント部門における純営業収益は前年度比15.6%増の2,957億円、経常利益は同38.9%増の1,120億円となりました。
[アセットマネジメント部門]
アセットマネジメント部門は、証券アセットマネジメント、不動産アセットマネジメント及びオルタナティブアセットマネジメントで構成されます。
証券アセットマネジメントの主な収益源は、当社連結子会社の大和アセットマネジメントにおける投資信託の組成と運用に関する報酬です。また、当社持分法適用関連会社である三井住友DSアセットマネジメントの投資信託組成と運用及び投資顧問業務に関する報酬からの利益は、当社の持分割合に従って経常利益に計上されます。経営成績に重要な影響を与える要因には、マーケット環境によって変動するお客様の投資信託及び投資顧問サービスへの需要と、マーケット環境に対するファンドの運用パフォーマンスや、お客様の関心を捉えたテーマ性のある商品開発等による商品自体の訴求性が挙げられます。
不動産アセットマネジメントの主な収益源は、当社連結子会社の大和リアル・エステート・アセット・マネジメント、大和証券リアルティ、大和証券オフィス投資法人及びサムティ・レジデンシャル投資法人の不動産運用収益等です。また、当社持分法適用関連会社であるSong Holdings合同会社(サムティホールディングスの親会社)、サムティアセットマネジメント及び大和証券リビング投資法人の損益は、当社の持分割合に従って経常利益に計上されます。経営成績に重要な影響を与える要因には、国内の不動産売買市場・賃貸需給の動向が挙げられます。
オルタナティブアセットマネジメントの主な収益源は、当社連結子会社である大和企業投資、大和PIパートナーズ及び大和エナジー・インフラの投資先の新規上場(IPO)・M&A等による売却益や、投資事業組合への出資を通じたキャピタルゲインのほか、契約に基づきファンドから受領する、管理運営に対する管理報酬や投資成果に応じた成功報酬、投資した株式からの配当、売電収入などのインカムゲインです。経営成績に重要な影響を与える要因には、株式市場やIPO市場の動向、投資先企業の評価額に影響を及ぼす可能性のある経済環境の状況、保有する有価証券や投資資産の流動性が挙げられます。
当連結会計年度において、アセットマネジメント部門は以下の事業計画を実行しました。
1.幅広い投資家層に訴求する運用商品・ブランドの確立、魅力的なオルタナティブ商品の展開を通じたさらなる運用残高拡大
2.かんぽ生命との資産運用分野における協業を軸にした運用の高度化、国内外における投資顧問ビジネスの基盤構築
3.不動産アセットマネジメント事業における運用力・物件ソーシング力の強化、運用商品の拡大及びグループ内連携の推進
4.オルタナティブファンドの拡大に向けたパフォーマンスの追求と基盤の構築
各項目の実績は以下のとおりです。
1.大和アセットマネジメントでは商品ブランドのマーケティングに注力し、iFreeシリーズやオルタナティブ商品への好調な資金流入により運用資産残高は過去最高水準となりました。
2.2025年7月に、大和アセットマネジメントは三井物産オルタナティブインベストメンツ株式会社(新商号:大和かんぽオルタナティブインベストメンツ株式会社)を子会社化し、オルタナティブ資産運用分野へ本格参入しました。
3.大和リアル・エステート・アセット・マネジメントでは運用する私募REITの物件取得や私募ファンドの運用受託を通じて運用資産残高が増加しました。
4.大和PIキャピタルでは運営するプライベート・エクイティファンドにおいて飲食ビジネスを中心に投資を実行しました。大和企業投資では、「大和日台バイオベンチャー3号投資事業有限責任組合」を設立しました。
証券アセットマネジメントは増収増益となりました。大和アセットマネジメントの運用資産残高は、資金純増と時価の上昇により、前年度末比10.9兆円増の44.2兆円となりました。その結果、証券アセットマネジメントの純営業収益は前年度比22.0%増の707億円、経常利益は同35.2%増の376億円となりました。
不動産アセットマネジメントは運用する投資法人向けの物件売却による売却益の計上や運用報酬の積み上げにより増収増益となりました。私募REITの物件取得や私募ファンドの運用受託等により、大和リアル・エステート・アセット・マネジメント及びサムティ・レジデンシャル投資法人の2社を合わせた運用資産残高は前年度末比2,015億円増の1兆7,978億円となりました。その結果、不動産アセットマネジメントの純営業収益は前年度比24.5%増の368億円、経常利益は同13.9%増の330億円となりました。
オルタナティブアセットマネジメントは経常損失を計上しました。大和企業投資では、国内外の成長企業への投資や上場支援に貢献しながら、投資先の売却益により収益を確保しました。大和PIパートナーズでは、国内外で金銭債権投資、不動産ローン、企業向け投融資を実行するとともに、既存案件の回収を進めました。大和エナジー・インフラでは、持続可能な開発目標(SDGs)に資するエネルギー・インフラ関連投資を実行しながら、インカムゲイン及びキャピタルゲインを計上した一方で、再生可能エネルギー関連における一部投資先の再評価により引当金の計上及び減損処理を行いました。その結果、オルタナティブアセットマネジメントの純営業収益は前年度比71.1%減の43億円、経常損失は52億円となりました。
これらの結果、当連結会計年度のアセットマネジメント部門の純営業収益は前年度比9.2%増の1,119億円、経常利益は同15.5%減の654億円となりました。
[グローバル・マーケッツ&インベストメント・バンキング部門]
グローバル・マーケッツ&インベストメント・バンキング部門は、機関投資家等を対象に有価証券のセールス及びトレーディングを行うグローバル・マーケッツと、事業法人、金融法人等が発行する有価証券の引受けやM&Aアドバイザリー業務を行うグローバル・インベストメント・バンキングによって構成されます。
グローバル・マーケッツの主な収益源は、機関投資家に対する有価証券の売買に伴って得る顧客フロー収益及びトレーディング収益であり、地政学リスクや国際的な経済状況等で変化する市場の動向や、それに伴う顧客フローの変化が、経営成績に重要な影響を与える要因となります。
グローバル・インベストメント・バンキングの主な収益源は、引受業務やM&Aアドバイザリー業務によって得る引受け・売出し手数料とM&A手数料であり、顧客企業の資金調達手段の決定やM&Aの需要を左右する国内外の経済環境等に加え、当社が企業の需要を捉え、案件を獲得できるかどうかが経営成績に重要な影響を与える要因となります。
当連結会計年度において、グローバル・マーケッツ&インベストメント・バンキング部門として以下の事業計画を実行しました。
1.幅広いお客様ニーズを捉えた多様なプロダクト・高度なソリューションの提供
2.ウェルスマネジメント部門をはじめとしたグループ連携の更なる強化によるビジネス基盤の拡大
3.未上場企業への更なるソリューションの提供及び国内外M&Aの強化
4.経営資源のリアロケーションを通じた収益性の向上
各項目の実績は、以下のとおりです。
1.引受ビジネス、M&Aの取組みとして、株式の非公開化や政策保有株式の売却、金利上昇局面における前倒し負債調達、業界再編、といったお客様の多様なニーズを的確に捉えた提案を行い、案件の獲得に取り組みました。
2.ウェルスマネジメント部門との連携強化として、外国株の売買代金・預り残高の拡大やポートフォリオ提案の推進など外貨資産領域に注力しました。
3.未上場企業のお客様に対してIPOに留まらない多様なソリューションを提供し、国内外M&Aビジネスにおいては、効率的な収益拡大のためにアドバイザリーサービスの高付加価値化に取り組みました。
4.グローバル・インベストメント・バンキングでは、テーマ別でのアプローチや大型案件に注力することで収益性の向上に取り組みました。グローバル・マーケッツでは、海外投資家からの継続的な日本株への関心の高さを背景とした体制強化など、お客様ニーズに合わせたリソースの再配分を進め、収益向上を図りました。
グローバル・マーケッツのエクイティ収益は、好調な株式市場を背景に機関投資家及び個人投資家の日本株フローが拡大したことに加え、個人投資家の外国株の売買が増加基調となったことにより、増収となりました。フィクスト・インカム収益は、国内において金利上昇を背景に機関投資家のポートフォリオ入れ替えニーズが強まり、増収となりました。海外においても米国金利の高いボラティリティの影響により増収となりました。その結果、グローバル・マーケッツの当連結会計年度の純営業収益は前年度比13.0%増の1,684億円、経常利益は同40.7%増の408億円となりました。
グローバル・インベストメント・バンキングでは、株式会社コーエーテクモホールディングス、信越化学工業株式会社の株式売出しや株式会社JVCケンウッドによる転換社債型新株予約権付社債及びKDDI株式会社による普通社債などで主幹事を務めたほか、伊藤忠商事株式会社による本邦初となるオレンジボンド(注1)の引受における主幹事及びStructuring Agent(注2)を務めました。当連結会計年度の引受け・売出し手数料は、前年度比16.7%減の399億円となりました。M&Aアドバイザリー業務では、NTT株式会社による株式会社NTTデータの完全子会社化、パラマウントベッドホールディングス株式会社の非上場化、株式会社パロマ・リームホールディングスによるフランスのGroupe Atlanticの株式過半数取得など、多くの案件に関与しました。これらの結果、グローバル・インベストメント・バンキングの当連結会計年度の純営業収益は前年度比4.4%増の889億円、経常利益は同25.5%増の145億円となりました。
その結果、当連結会計年度のグローバル・マーケッツ&インベストメント・バンキング部門における純営業収益は前年度比9.9%増の2,573億円、経常利益は同38.0%増の589億円となりました。
(注)1 オレンジボンド:女性活躍推進等、ジェンダー平等に資するプロジェクトに対する資金調達を目的とした債券。
2 Structuring Agent:フレームワークの策定や第三者評価の取得に関する助言を通じて、オレンジボンドなどの発行支援を行う者。
[その他]
その他の事業には、主に大和総研によるリサーチ・コンサルティング業務及びシステム業務などが含まれます。
当連結会計年度において大和総研グループは以下の事業計画を実行しました。
1.シンクタンクとしての時宜を得た良質な情報発信による、社会・経済の健全な発展と資産運用立国への貢献
2.AI・データサイエンスの活用によるお客様の企業価値最大化への貢献
3.ヘルステック事業を通じた人的資本経営への貢献
各項目の当連結会計年度における実績は以下のとおりです。
1.国内外の経済見通しや金融制度、人的資本経営、サステナビリティ、IT・デジタル技術等に関する調査・分析を行い、レポートや出版物、セミナー等による情報発信や政策提言活動を通じて、プレゼンス向上に寄与しました。
2.金融機関や事業法人向けに業務高度化・効率化のソリューションを提供したほか、開発の効率化・期間短縮を進めました。新規事業では、生成AIを活用した自律検証型システムマイグレーションツールやWeb3技術を活用したデジタル証明書サービスの展開を推進しました。
3.健康保険組合向け情報管理システム等について、商品性強化やサービス品質向上を目的とした再構築と機能改善を行いました。また、従業員向けの健康支援サービスを正式リリースしたほか、企業および健康保険組合向けのヘルスケアデータ分析支援サービス開発を進めました。
大和総研は、当社グループのシステム開発を着実に遂行したほか、高付加価値のソリューション提案により、お客様との関係を強化したこと、また、大口顧客向けシステム開発案件を手掛けたこと等により、当社グループの収益に貢献しました。
当連結会計年度において、その他・調整等に係る純営業収益は553億円(前年度534億円)、経常損失は19億円(前年度経常利益238億円)となりました。
③ 目標とする経営指標の達成状況等
当社グループでは、2024年度から2026年度にかけての中期経営計画~“Passion for the Best”2026~を公表し、業績KPIとして連結経常利益、連結ROE及びベース利益(注1)を掲げています。また、グループ経営基本方針である「お客様の資産価値最大化」を追求するお客様資産KPIとして、預り資産(注2)、ストック関連資産(注3)及びアセットマネジメント部門AUM(注4)を設定しています。
中期経営計画2年目となる当連結会計年度においては、業績KPIは、連結経常利益2,400億円以上の目標に対し2,345億円、連結ROE10%程度の目標に対し10.3%、ベース利益1,500億円の目標に対して1,827億円となり、順調な業績を上げることができました。お客様資産KPIは、預り資産120兆円の目標に対し104兆円、ストック関連資産13.6兆円の目標に対し12.2兆円、AM部門AUM44兆円の目標に対し46.1兆円となり、着実に目標値に向けて増加しています。
2025年度は、米国新政権の通商政策の本格化により世界経済が構造的な変化に直面する一方、国内では高市新政権の発足や企業のガバナンス改革の進展を背景に海外投資家からの資金流入が続き、日経平均株価が史上最高値を更新するとともに、「金利のある世界」が定着するなど、大きな転換点を迎えた一年となりました。当社ではこうした経済環境を追い風に、グループ経営基本方針である「お客様の資産価値最大化」に向けて、ウェルスマネジメントビジネスの強化やアセットマネジメントビジネスの高度化が着実に進捗した一年となりました。また、中長期的な経営指針となる「2030Vision」の根底に取り入れたサステナビリティへの取組み推進においても、サステナブルファイナンスへの社会的ニーズの一層の高まりを受けてSDGs債の引受け実績を積み上げ、着実な進捗があったと評価しています。
(注)1 ベース利益:ウェルスマネジメント部門、証券アセットマネジメント、不動産アセットマネジメントの経常利益合計
2 預り資産:大和証券の預り資産残高
3 ストック関連資産:投資信託、ファンドラップ、外貨預金
4 AM部門AUM:大和アセットマネジメント、大和ファンド・コンサルティング、大和リアル・エステート・アセット・マネジメント、サムティ・レジデンシャル投資法人、大和PIパートナーズ、大和エナジー・インフラ、大和企業投資のAUM合計
④ 経営成績の前提となる2025年度のマクロ経済環境
<海外の状況>2025年の世界経済を振り返ると、米国による追加関税措置があったにも関わらず、底堅い景気が続きました。この背景には、第二次トランプ政権が実施した関税率が公表当初よりも低下し、景気への悪影響が軽減されたことに加え、拡張的な財政政策や積極的なAI関連投資などが下支えしたことがあります。他方で、2026年の世界経済は成長の鈍化が見込まれます。IMF(国際通貨基金)が2026年4月に公表した世界経済見通しによれば、2026年の世界経済の実質GDP成長率は前年比+3.1%と、2025年の同+3.4%から減速すると予想されています。2026年2月末からの中東情勢の悪化が世界経済の下押し要因となっています。原油価格の上昇はインフレ圧力を強化し、家計の実質的な購買力を押し下げるとともに、金利上昇といった金融環境のタイト化を通じて、設備投資や住宅投資の重石となることが想定されます。
主要先進国・地域については、まず、米国の2026年1-3月期の実質GDP成長率が、前期比年率+2.0%と2025年10-12月期の同+0.5%から加速しました。政府支出が2025年10-12月期に発生した政府閉鎖による急減から反動増となったことに加え、AI関連の設備投資が全体を押し上げました。
金融面では、FRB(連邦準備制度理事会)は関税率引き上げによるインフレ再加速への警戒から2025年1-8月にかけて金利を据え置きました。他方、2025年夏場以降は雇用環境の悪化懸念が高まったことから、2025年9-12月に合計0.75%ptの利下げを実施しました。この結果、FF(フェデラルファンド)レートの誘導目標レンジは3.50-3.75%と、FOMC参加者が想定する景気に中立的な金利水準(中立金利)の上限付近まで低下しました。FFレートが中立金利の上限に位置する中で、2026年1月以降、FRBは再び金利を据え置いています。パウエルFRB議長は、2026年4月の連邦公開市場委員会(FOMC)後の記者会見で、わずかに引き締め的な金利水準にある現状は、中東情勢の混乱を巡って不確実性が高い中で様子見をするのに適していると述べています。
続いて、欧州経済(ユーロ圏経済)は、減速傾向を示しています。2026年1-3月期のユーロ圏の実質GDP成長率は前期比年率+0.6%と、2025年10-12月期の同+0.8%から減速しました。実質GDP成長率を国別に見ると、スペインが高成長を維持するとともに、財政支出を拡大させたドイツの成長ペースが加速した一方、フランスやイタリアが減速しました。金融面では、ECB(欧州中央銀行)は2024年6月から利下げフェーズへと転じた後、2025年1-6月にかけて合計1.00%ptの利下げを実施しました。他方で、インフレ2%目標の達成が近づいたとの認識から、2025年7月以降は政策金利(預金ファシリティ金利)を据え置き、様子見姿勢を続けています。ラガルドECB総裁は、2026年4月のECB理事会で政策金利の水準が良好な位置にあること、エネルギー価格上昇に伴う二次的な影響は見られないこと、データ等を精査・再検討する必要があること等から、様子見が妥当との見解を示しています。
最後に、新興国全体を概観すると、2025年は米国による追加関税措置がある中でも景気の底堅さが継続してきましたが、足元では中東情勢の混乱によるエネルギー価格の上昇が成長率鈍化をもたらしうるリスク要因となっています。IMFは2026年の新興国の実質GDP成長率を前年比+3.9%と見込んでおり、2025年の同+4.4%から減速すると予想しています。具体的には、原油高が続けば、原油備蓄量の小さいインドネシアや、ベトナム、原油輸入依存度の高いタイ、インドを中心に悪影響が拡大することが懸念されています。なお、原油高は資源輸出国に追い風となりえますが、武力攻撃によるインフラへの直接的な被害が大きい中東諸国を中心に短期的には景気の落ち込みが大きいと考えられます。
世界第二位の経済規模を誇る中国に関しては、2026年1-3月期の実質GDP成長率は前年同期比+5.0%と2025年10-12月期の同+4.5%から加速しました。設備・住宅投資などを含む総資本形成が加速し、全体を押し上げた一方、最終消費支出と純輸出のプラス幅は縮小しました。当面は不動産不況が継続するとともに、個人消費は家電や自動車といった買い替え補助金政策の変更等によって伸び悩むことが想定され、内需は厳しい状況が継続すると考えられます。
<日本の状況>日本経済は、個人消費や設備投資、輸出の増加を主因として、2024年4-6月期から5四半期連続でプラス成長を続けました。2025年7-9月期は、トランプ米政権による高関税政策(トランプ関税)の下で輸出が減少したり、建築基準法等の改正(2025年4月)前に生じた駆け込み需要の反動で、民間住宅が大きく落ち込んだりした結果、前期比年率△2.5%となりました。10-12月期は、設備投資が好調だったほか、民間住宅が持ち直しに転じたことなどから、前期比年率+0.8%のプラス成長に転じました。2026年1-3月期は、個人消費や輸出が堅調に推移したことで、前期比年率+2.1%程度のプラス成長で着地しました。
需要項目ごとにみると、個人消費は持ち直しを続けています。賃金上昇が物価上昇に追い付かない中で、実質賃金が低下を続けたことなどを背景に、個人消費は2023年4-6月期から5四半期連続で減少しました。しかし、2024年7-9月期以降は春闘での高水準の賃上げなどを受けて所得環境の改善が進んでいることもあり、増加基調が定着しています。2026年1-3月期も、非耐久財やサービスを中心に増加しました(前期比+0.3%)。
企業部門の需要である設備投資も、総じて増加基調にあります。設備投資は2023年度、外需における先行き不透明感の高まりや、自動車の減産などを背景に横ばい圏で推移しました。2024年4-6月期以降は自動車の生産体制が正常化したり、高水準の企業収益が続く中で省力化投資やデジタル化、脱炭素への対応が広がったりしたことを受けて、振れを伴いつつも増加しました。2026年1-3月期も前期比+0.3%と増加し、研究開発や建設、機械など、幅広く投資が進んだとみられます。
輸出は、2024年1-3月期には前述した自動車の減産などを受けて前期比△2.9%と減少しました。4-6月期には設備投資同様、自動車の増産を受けて持ち直しに転じ、その後はインバウンド消費を含むサービス輸出の拡大なども重なり、2025年4-6月期まで増加基調を維持しました。7-9月期は前期比△1.6%と、トランプ関税の影響などから減少に転じたものの、10-12月期は前期比+0.2%、2026年1-3月期は前期比+1.7%と持ち直しました。
金融面では、日本銀行は、2024年3月の金融政策決定会合で、マイナス金利政策の解除と、短期金利に加えて長期金利(10年国債利回り)も操作対象とする金融緩和措置(イールドカーブ・コントロール)の撤廃を決定し、短期金利を操作目標とする通常の金融政策へ移行しました。そして、2024年7月の金融政策決定会合において、短期金利の誘導目標を0.25%程度に引き上げました。その後も、基調的な物価上昇率が目標水準である2%に向けて徐々に高まっているとの判断のもと、2025年1月と12月の金融政策決定会合において、短期金利の誘導目標をそれぞれ0.50%程度、0.75%程度へ段階的に引き上げました。また、国債の買入れに関しては、2024年7月の金融政策決定会合で長期国債買入れ予定額を原則として毎四半期4,000億円程度ずつ減額する計画を示し、2025年6月には、2026年4月以降の減額幅を毎四半期2,000億円程度ずつに縮小する方針を示しました。2024年7月に月額5.7兆円程度であった買入れ額は、2026年度末で同2.1兆円程度へと減額され、日本銀行の保有する国債残高は2027年3月に減額開始前の2024年6月から16~17%減少すると見込まれています。さらに、2025年9月の金融政策決定会合では、日本銀行が保有するETFおよびJ-REITについて、それぞれ簿価で年間3,300億円程度、50億円程度のペースで市場への売却を行うことを決定しました。
為替市場をみると、2025年度は円高から円安基調への転換が進みました。2025年初以降、トランプ政権の関税政策が米国に景気後退をもたらすとの見方が強まったことで円高が進み、ドル円レートは4月に一時1ドル139円台となりました。ただしその後は、米中関税交渉の進展や堅調な米経済指標を背景とした早期利下げ期待の後退、高市早苗政権の誕生を受けた財政拡張懸念の高まりなどから、ドル円レートは2026年初にかけて円安が進行しました。1月下旬には日米当局による為替介入への警戒感が強まる中で一時円高方向に振れましたが、2月末の米国・イスラエルによるイランへの攻撃を受け、リスク回避のドル買い圧力や資源価格高騰を受けた貿易赤字の拡大懸念から、ドル円レートは再び円安方向で推移しました。
株式市場では、2025年度は下落から始まったものの、その後は概ね上昇傾向で推移しました。2025年に入ると、世界的な景気後退リスクの高まりから日経平均株価は軟調な動きとなり、4月には米国の関税政策の強化を背景に一時は約1年5カ月ぶりの安値まで落ち込みました。しかし、その後は生成AI市場の成長期待を受けた半導体関連銘柄への買い、米関税措置に関する日米協議の合意、高市政権の政策期待等が相場を押し上げ、日経平均株価は2026年2月に史上最高値を更新しました。もっとも、2月末の米国・イスラエルによるイランへの攻撃を受け、中東情勢の悪化と原油の供給不安が意識され、株価は3月にかけて大幅に下落しました。
2026年3月末の日経平均株価は51,063円72銭(2025年3月末比15,446円16銭高)、10年国債利回りは2.366%(同0.869%ptの上昇)、為替は1ドル159円63銭(同10円49銭の円安)となりました。
(4)当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況の分析
① 営業活動、投資活動及び財務活動によるキャッシュ・フロー並びに現金及び現金同等物
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。
当連結会計年度において、営業活動によるキャッシュ・フローは、トレーディング商品の増減、有価証券担保貸付金及び有価証券担保借入金の増減などにより、4,389億円(前年度は△4,540億円)となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、有価証券の取得による支出や売却及び償還による収入などにより、△5,835億円(同△3,534億円)となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは、短期借入金の純増減額などにより、1,994億円(同1,990億円)となりました。これらに為替変動の影響等を加えた結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は、前年度末比329億円増加の3兆7,726億円となりました。
② 資本の財源及び流動性に係る情報
(ⅰ)流動性の管理
<財務の効率性と安定性の両立>当社グループは、多くの資産及び負債を用いる有価証券関連業務や、投融資業務を行っており、これらのビジネスを継続する上で十分な流動性を効率的かつ安定的に確保することを資金調達の基本方針としております。
当社グループの資金調達手段には、社債、ミディアム・ターム・ノート、金融機関借入、コマーシャル・ペーパー、コールマネー、預金受入等の無担保調達、現先取引、レポ取引等の有担保調達があり、これらの多様な調達手段を適切に組み合わせることにより、効率的かつ安定的な資金調達の実現を図っております。
財務の安定性という観点では、環境が大きく変動した場合においても、業務の継続に支障をきたすことのないよう、平時から安定的に資金を確保するよう努めると同時に、危機発生等により、新規の資金調達及び既存資金の再調達が困難となる場合も想定し、調達資金の償還期限及び調達先の分散を図っております。
当社は、「金融商品取引法第五十七条の十七第一項の規定に基づき、最終指定親会社が当該最終指定親会社及びその子法人等の経営の健全性を判断するための基準として定める最終指定親会社及びその子法人等の経営の健全性のうち流動性に係る健全性の状況を表示する基準」(平成26年金融庁告示第61号)により連結流動性カバレッジ比率(以下、「LCR」という。)及び連結安定調達比率(以下、「NSFR」という。)を所定の比率(それぞれ100%)以上に維持することが求められており、当第4四半期日次平均のLCRは125.8%です。また、当第4四半期末のNSFRは有価証券報告書提出日における速報値で125.3%となっており、確定値は算出完了次第、当社ホームページにて公表する予定です。また、当社は、上記金融庁告示による規制上のLCR及びNSFRを流動性に係るリスクアペタイトとして管理・モニタリングしていることに加え、一定期間無担保調達が行えない場合でも業務の継続が可能となるように流動性ストレステストを中心とした流動性リスク管理態勢を構築しております。短期の無担保調達資金の十分性検証として、様々なストレスシナリオを想定したうえで、資金流出見込額をカバーする流動性ポートフォリオが保持されていることを日次で確認しております。長期の無担保調達資金の十分性検証として、ストレス期に換金性の低い資産に対する安定的な資金調達額を定期的にモニタリングしております。
当第4四半期日次平均のLCRの状況は次のとおりです。
<グループ全体の資金管理>当社グループでは、グループ全体での適正な流動性確保という基本方針の下、当社が一元的に資金の流動性の管理・モニタリングを行っており、当社は、必要に応じて当社からグループ各社に対し、機動的な資金の配分・供給を行うと共に、グループ内で資金融通を可能とする態勢を整えることで、効率性に基づく一体的な資金調達及び資金管理を行っております。
<コンティンジェンシー・ファンディング・プラン>当社グループは、流動性リスクへの対応の一環として、コンティンジェンシー・ファンディング・プランを策定しております。同プランは、信用力の低下等の内生的要因や金融市場の混乱等の外生的要因によるストレスの逼迫度に応じた報告体制や資金調達手段の確保などの方針を定めており、これにより当社グループは機動的な対応により流動性を確保する態勢を整備しております。
当社グループのコンティンジェンシー・ファンディング・プランは、グループ全体のストレスを踏まえて策定しており、変動する金融環境に機動的に対応するため、定期的な見直しを行っております。
また、金融市場の変動の影響が大きく、その流動性確保の重要性の高い大和証券、大和ネクスト銀行及び一部の海外証券子会社においては、更に個別のコンティンジェンシー・ファンディング・プランも策定し、同様に定期的な見直しを行っております。
なお、当社は、子会社のコンティンジェンシー・ファンディング・プランの整備状況について定期的にモニタリングしており、必要に応じて想定すべき危機シナリオを考慮して子会社の資金調達プランやコンティンジェンシー・ファンディング・プランそのものの見直しを行い、更には流動性の積み増しを実行すると同時に資産圧縮を図るといった事前の対策を講じることとしております。
(ⅱ)株主資本
当社グループが株式や債券、デリバティブ等のトレーディング取引、貸借取引、引受業務、ストラクチャード・ファイナンス、M&A、プリンシパル・インベストメント、証券担保ローン等の有価証券関連業を中心とした幅広い金融サービスを展開し、新たな価値の提供に資する投融資を行うためには、十分な資本を確保する必要があります。また、当社グループは、日本のみならず、海外においても有価証券関連業務を行っており、それぞれの地域において法規制上必要な資本を維持しなければなりません。
当連結会計年度末の株主資本は、前連結会計年度末比437億円増加し、1兆4,858億円となりました。また、資本金及び資本剰余金の合計は5,139億円となっております。利益剰余金は親会社株主に帰属する当期純利益を1,752億円計上したほか、配当金798億円の支払いを行ったこと等により、同799億円増加し1兆1,214億円となりました。自己株式の控除額は同364億円増加し、1,495億円となっております。
③ 財務戦略
当社グループの財務戦略の基本は、成長投資、資本効率性、財務健全性及び株主還元の最適なバランスを図り、健全な利益の確保を通じた持続的成長を実現することです。
持続的な成長の実現に際しては、規制並びに制度対応と適正な自己資本水準を維持することを重視しております。強固な財務基盤を堅持するため、過去の金融危機時のストレス・シナリオにも耐えうる資本のバッファーを加味して、連結総自己資本規制比率には社内管理水準を設定しております。
成長投資に関しましては、当連結会計年度も既存事業の競争力強化のための投資や事業ポートフォリオ多様化のための出資などを実行いたしました。その上で、連結総自己資本規制比率は、速報ベースで社内管理水準を上回っておりますので、証券ビジネスの顧客基盤拡大に向けた投資やコアビジネスと親和性のある周辺領域への投資は、今後も常に検討してまいります。
株主還元策については「第4提出会社の状況 3配当政策」に記載のとおりです。
当社の資金調達の方法については、「② 資本の財源及び流動性に係る情報」に記載しております。
(1)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められた企業会計の基準に基づき作成されております。また、当社は、連結財務諸表を作成するにあたり、会計方針に基づいていくつかの重要な見積りを行っており、これらの見積りは一定の条件や仮定を前提としております。そのため、条件や仮定が変化した場合には、実際の結果が見積りと異なることがあり、結果として連結財務諸表に重要な影響を与える場合があります。重要な会計方針のうち、特に重要と考える項目は、次の4項目です。
① トレーディング商品の評価
当社グループでは、トレーディング商品に属する有価証券及びデリバティブ取引は、時価をもって連結貸借対照表価額とし、評価損益はトレーディング損益として連結損益計算書に計上しております。また、「時価の算定に関する会計基準」(企業会計基準第30号 2019年7月4日)等を適用しており、トレーディング商品の時価は、時価の算定に用いたインプットの観察可能性及び重要性に応じて、3つのレベルに分類しております。これらの時価は「第5 経理の状況 (金融商品関係) 2. 金融商品の時価等及び時価のレベルごとの内訳等に関する事項」に記載しております。
時価測定に用いた評価技法及びインプットの詳細は以下のとおりであります。これらは、市場参加者が商品を評価するときに考慮するであろう当社グループによる仮定及び見積りを含んでおります。
(ⅰ)商品有価証券等
主に同一又は類似の商品に関する市場価格を用いております。また、特定の負債性金融商品及び資産担保証券については、デリバティブ取引に準じた評価技法もしくは、ディスカウント・キャッシュ・フロー・モデルにより時価を測定しております。
(ⅱ)デリバティブ取引
上場デリバティブについては原則として市場価格を、店頭デリバティブについては、評価技法により時価を算定しております。
デリバティブ取引の時価には、信用リスク及び流動性リスクを考慮した調整が含まれており、時価測定においては、市場で一般に用いられるリスク中立測度の仮定のもとでの期待キャッシュ・フローの現在価値を、主に数値積分法、有限差分法及びモンテカルロ法による価格算定モデルにより算定しております。
価格算定モデルには、金利、為替レート、株価、ボラティリティ、相関係数などの様々なインプットがあります。また、市場で観察可能でないインプットとしては、相関係数、長期のボラティリティ、長期のクレジット・スプレッドなどがあります。
価格算定モデルの選択及びその価格算定モデルに投入するインプットの決定、信用リスク及び流動性リスクにかかる評価調整には見積り及び前提を含んでおり、特に、市場で観察可能でないインプットを使用する場合には、その見積り及び前提は、トレーディング商品の評価額に重要な影響を及ぼす可能性があります。
算定に用いたインプットを含め、価格算定モデルは社内における指針に基づいて承認され、価格算定モデルの開発部署から独立した部署が、モデル内の仮定及び技法、算定に用いたインプットについて検証を行っております。また、価格算定モデルを観察可能な市場情報や代替可能なモデルとの比較分析等により、市場動向に合わせて調整する体制を構築しております。
経営者は、時価測定に用いられた前提は合理的であると考えております。しかしながら、これらの見積りには不確実性が含まれているため、将来キャッシュ・フローや時価の下落を引き起こすような見積りの変化が、評価金額に不利に影響し、結果として、連結財務諸表に重要な影響を与える可能性があります。
② 有価証券の評価
当社グループでは、投資有価証券、営業投資有価証券等のトレーディング商品に属さない有価証券を保有しております。
(ⅰ)投資有価証券
市場価格のあるものについては、市場価格が著しく下落したときは、回復する見込みがあると認められる場合を除き、減損処理を行っております。具体的には、当連結会計年度末における市場価格の下落率が取得原価の50%以上の場合は、著しい下落かつ回復する見込みがないものと判断して、減損処理を行っております。市場価格の下落率が取得原価の30%以上50%未満の場合は、市場価格の推移及び発行会社の財政状態等を総合的に勘案して回復する見込みを検討し、回復する見込みがあると認められる場合を除き、減損処理を行っております。市場価格のないものについては、実質価額が著しく低下し、かつ、回復可能性が十分な証拠によって裏付けられない場合には、減損処理を行っております。
(ⅱ)営業投資有価証券
営業投資有価証券は、アセットマネジメント部門における非上場株式、国内外の再生可能エネルギー、インフラストラクチャーへの投資等により構成されております。
営業投資有価証券の評価については、その評価額に基づき実質価額を見積り、その実質価額が帳簿価額を下回り、損失発生の可能性が高い場合には投資損失引当金を計上しております。さらに、実質価額が帳簿価額に比して50%以上下落し、回復可能性が十分な証拠によって裏付けられない場合には、減損処理を行っております。実質価額の算定の前提となる当社の財政状態又は経営成績に対して重大な影響を与え得る会計上の見積り及び判断が必要となる項目は以下のとおりです。
1) 非上場株式
株式の評価額は、投資先の事業計画等をもとにした将来キャッシュ・フロー、類似取引事例との比較などにより算定しております。
2) 国内外の再生可能エネルギー、インフラストラクチャーへの投資等
評価額は、投資先の事業計画等をもとにした将来キャッシュ・フロー、財政状態などにより算定しております。
これらの評価額の測定には経営者が妥当と判断する見積り及び仮定を使用しており、これらの見積り及び仮定は、減損損失又は投資損失引当金の計上の要否の判断及び認識される損失金額に重要な影響を及ぼす可能性があります。
経営者は、実質価額の見積りに用いられた仮定は合理的であると判断しております。ただし、これらの見積りには不確実性が含まれているため、将来の予測不能な前提条件の変化などにより、これらの評価に関する見積りが変化した場合には、結果として将来において当社及び連結子会社が減損処理又は投資損失引当金の計上を行う可能性があります。
③ 固定資産の減損
当社グループでは、各資産グループにおいて、収益性が著しく低下した資産については、当該資産の帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。なお、資産のグルーピングは、事業用資産のうち、証券店舗等の個別性の強い資産については個別物件単位で行い、その他の事業用資産については管理会計上の区分に従って行っております。
④ 繰延税金資産の状況
(ⅰ)繰延税金資産の算入根拠
当社グループでは、会計基準に従い、税務上の繰越欠損金や企業会計上の資産・負債と税務上の資産・負債との差額である一時差異について税効果会計を適用し、繰延税金資産及び繰延税金負債を計上しております。繰延税金資産の回収可能性については、将来の合理的な見積可能期間における課税所得の見積額を限度として、当該期間における一時差異等のスケジューリングの結果に基づき判断しております。
(ⅱ)過去5年間の課税所得(繰越欠損金使用前の各年度の実績値)
| (単位:百万円) | |||||
| 回次 | 第84期 | 第85期 | 第86期 | 第87期 | 第88期 |
| 決算年月 | 2021年3月 | 2022年3月 | 2023年3月 | 2024年3月 | 2025年3月 |
| 通算グループの課税所得 | 92,842 | 106,263 | 51,393 | 161,466 | 147,874 |
(注) 提出会社を通算親法人とする通算グループの所得を記載しております。また、記載した課税所得は法人税確定申告書上の繰越欠損金控除前の数値であり、その後の変動は反映されておりません。
なお、当連結会計年度末に係る連結貸借対照表上の繰延税金資産73億円のうち、提出会社を通算親法人とする通算グループの計上額合計は33億円であります。
(ⅲ)見積りの前提とした税引前当期純利益の見込額
提出会社を通算親法人とする通算グループの課税所得見積期間を3年とし、同期間の税引前当期純利益を4,818億円と見積もっております。
(ⅳ)繰延税金資産・負債の主な発生原因
「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 税効果会計関係 1」に記載のとおりであります。
なお、ロシア・ウクライナ情勢及び中東情勢の緊迫化や、トランプ政権の関税政策による経済情勢や相場への影響は、現時点においてはこれらの見積りに重大な影響を及ぼしておりませんが、今後、入手可能となる情報等によりこれらの市場、経済又は地政学リスクが顕在化した場合には、会計上の見積りに用いられた前提条件に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループにおきましては、投資事業における保有資産の評価に関する見積りの変化による減損又は評価損の計上、不動産アセットマネジメント事業における資産の稼働率低下による財務内容悪化懸念などの可能性があります。
(2)当連結会計年度の財政状態の分析
<資産の部>当連結会計年度末の総資産は前年度末比2兆532億円(5.7%)増加の38兆776億円となりました。内訳は流動資産が同1兆9,438億円(5.7%)増加の36兆2,195億円であり、このうち現金・預金が同334億円(0.9%)増加の3兆7,901億円、有価証券が同5,538億円(34.9%)増加の2兆1,407億円、トレーディング商品が同4兆641億円(48.8%)増加の12兆3,916億円、営業貸付金が同8,170億円(29.2%)増加の3兆6,105億円、有価証券担保貸付金が同3兆2,248億円(21.0%)減少の12兆1,526億円となっております。固定資産は同1,094億円(6.3%)増加の1兆8,580億円となっております。
<負債の部・純資産の部>負債合計は前年度末比1兆9,307億円(5.7%)増加の36兆318億円となりました。内訳は流動負債が同2兆2,845億円(7.4%)増加の32兆9,799億円であり、このうちトレーディング商品が同1兆3,235億円(17.8%)増加の8兆7,607億円、有価証券担保借入金が同1兆6,370億円(10.6%)減少の13兆8,084億円、銀行業における預金が同7,443億円(17.3%)増加の5兆420億円、短期借入金が同6,185億円(43.7%)増加の2兆339億円となっております。固定負債は同3,557億円(10.5%)減少の3兆436億円であり、このうち社債が同1,874億円(15.4%)減少の1兆310億円、長期借入金が同1,858億円(9.1%)減少の1兆8,507億円となっております。
純資産合計は同1,225億円(6.4%)増加の2兆458億円となりました。資本金及び資本剰余金の合計は5,139億円となりました。利益剰余金は親会社株主に帰属する当期純利益を1,752億円計上したほか、配当金798億円の支払いを行ったこと等により、同799億円(7.7%)増加の1兆1,214億円となっております。自己株式の控除額は同364億円(32.2%)増加の1,495億円、その他有価証券評価差額金は同300億円(60.0%)増加の802億円、為替換算調整勘定は同362億円(27.2%)増加の1,699億円、非支配株主持分は同7億円(0.3%)減少の2,764億円となっております。
(3)当連結会計年度の経営成績の分析
① 事業全体の状況
当連結会計年度の営業収益は前年度比7.0%増の1兆4,679億円、純営業収益は同11.5%増の7,204億円となりました。
受入手数料は4,784億円と、同14.9%の増収となりました。委託手数料は、株式取引が増加したことにより、同23.2%増の1,096億円となりました。引受け・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の手数料は、エクイティ引受案件が減少したことにより、同16.7%減の399億円となりました。
トレーディング損益は、債券収益が減少したこと等により、同1.4%減の1,058億円となりました。
金融収支は、レポ取引費用が減少したこと等により、同18.7%増の926億円となりました。
販売費・一般管理費は同7.1%増の5,130億円となりました。取引関係費は、支払手数料が増加したこと等により、同9.2%増の1,001億円、人件費は、給料や業績に連動する賞与が増加したこと等により、同4.6%増の2,561億円となっております。
以上より、経常利益は同4.4%増の2,345億円となりました。
また、固定資産売却益や投資有価証券売却益等により特別利益が354億円(前年度41億円)、金融商品取引責任準備金繰入れや関係会社株式売却損等により特別損失が60億円(前年度98億円)となり、法人税等及び非支配株主に帰属する当期純利益を差し引いた結果、親会社株主に帰属する当期純利益は前年度比13.5%増の1,752億円となりました。
② セグメント情報に記載された区分ごとの状況
純営業収益及び経常利益をセグメント別に分析した状況は次のとおりであります。
| (単位:百万円) | |||||||||
| 純営業収益 | 経常利益又は経常損失(△) | ||||||||
| 2025年 3月期 | 2026年 3月期 | 増減率 | 構成比率 | 2025年 3月期 | 2026年 3月期 | 増減率 | 構成比率 (注) | ||
| ウェルスマネジメント部門 | 255,841 | 295,788 | 15.6% | 41.1% | 80,664 | 112,033 | 38.9% | 47.4% | |
| アセットマネジメント部門 | 102,517 | 111,930 | 9.2% | 15.5% | 77,418 | 65,432 | △15.5% | 27.7% | |
| 証券アセットマネジメント | 57,960 | 70,722 | 22.0% | 9.8% | 27,841 | 37,652 | 35.2% | - | |
| 不動産アセットマネジメント | 29,619 | 36,885 | 24.5% | 5.1% | 29,029 | 33,053 | 13.9% | - | |
| オルタナティブアセットマネジメント | 14,938 | 4,321 | △71.1% | 0.6% | 20,547 | △5,272 | - | - | |
| グローバル・マーケッツ&インベストメント・バンキング部門 | 234,196 | 257,395 | 9.9% | 35.7% | 42,738 | 58,995 | 38.0% | 24.9% | |
| グローバル・マーケッツ | 149,044 | 168,472 | 13.0% | 23.4% | 29,005 | 40,805 | 40.7% | 17.3% | |
| グローバル・インベストメント・バンキング | 85,151 | 88,922 | 4.4% | 12.3% | 11,605 | 14,566 | 25.5% | 6.2% | |
| その他・調整等 | 53,435 | 55,313 | - | 7.7% | 23,895 | △1,950 | - | - | |
| 連結 計 | 645,990 | 720,427 | 11.5% | 100.0% | 224,716 | 234,510 | 4.4% | 100.0% | |
(注)経常利益又は経常損失(△)の構成比率は、当連結会計年度において経常利益であったセグメントの経常利益合計に占める、各セグメントの経常利益の割合としております。
[ウェルスマネジメント部門]
ウェルスマネジメント部門の主な収益源は、国内の個人投資家及び未上場会社のお客様の資産管理・運用に関する商品・サービスの手数料と、大和ネクスト銀行における預金の受入れ等による調達資金の運用から得られる利鞘収入です。経営成績に重要な影響を与える要因には、お客様動向を左右する国内外の金融市場及び経済環境の状況に加え、お客様のニーズに合った商品の開発状況や引受け状況及び販売戦略が挙げられます。
当連結会計年度において大和証券は以下の事業計画に沿って活動を行いました。
1.お客様に対する深い理解に基づいた最適なコンサルティングの提供によるウェルスマネジメントビジネスのさらなる深化
2.富裕層や法人のお客様の高度なニーズに応えるオーダーメイドで付加価値の高い商品・サービス・ソリューションの拡充及び提供
3.デジタルマーケティングによるお客様に合わせたタイムリーかつ適切なサービス提供体制の深化
4.外部提携、ワークプレイス(職域)ビジネスによる顧客基盤の拡大
各項目の実績は以下のとおりです。
1.当期も引き続き、お客様の資産状況やニーズなどのヒアリングを踏まえ、最適なポートフォリオ提案やソリューション提案を実践しました。これらの取組みにより、資産導入額は2007年以来の高水準、ラップ口座サービスの契約金額および株式投資信託の純増額は過去最高を記録するなど、顧客基盤の拡充およびマーケット環境に左右されにくい収益基盤の構築が進展しました。
2.多様なお客様のニーズに応えられるよう、高度化するお客様のニーズに応えるべく、特定投資家向け銘柄制度(J-ships)の取扱い協会員として指定を受けるなど、商品・サービス・ソリューションの拡充に取り組みました。
3.グループ連携プラットフォームとして、資産管理および投資に関する情報を提供するスマートフォンアプリ「D-Port」を導入し、デジタル・営業店・コンタクトセンターが三位一体の体制となって、顧客に応じたアプローチを行う体制づくりに努めました。
4.株式会社ゆうちょ銀行に提供している「ゆうちょファンドラップ」に加え、株式会社あおぞら銀行を含む4行において「みらい彩りラップ」の取扱いを開始するなど外部提携の拡大にむけた取組みを強化しました。その結果、提携先経由でのファンドラップの契約残高は大きく増加しています。さらに、2026年4月より、株式会社岩手銀行との協業を開始するなど、顧客基盤の拡大を着実に進めています。
当連結会計年度は、引き続きお客様の資産状況や課題を把握することにより、最適なポートフォリオ提案やソリューション提案を実践しました。この取組みにより、ラップ口座サービス及び株式投資信託の純増額は過去最高を記録するなど、顧客基盤の拡充及びマーケット環境に左右されにくい収益基盤の構築が進展し、資産導入額は1兆6,342億円と高水準を維持しました。投信代理事務手数料及びラップ関連収益は増収となり、残高ベース収益は前年度比10.3%増の1,232億円と順調に拡大しました。
当連結会計年度において大和ネクスト銀行は以下の事業計画に沿って活動を行いました。
1.預金量の拡大と収益性の両立
2.グループ内連携の強化
3.国内外の金利環境に応じた運用残高の拡大及び運用高度化
4.応援定期預金やESG投融資への継続的取り組み
各項目の当連結会計年度における実績は以下のとおりです。
1.円預金について、金利環境の変化を踏まえた競争力のある金利水準を提供するとともに、預金残高の安定的な積み上げに取り組みました。外貨預金においても業界トップ水準の金利を維持し、各種キャンペーンの実施等を通じて新規預金の獲得を図りました。
2.大和証券との連携のもと、お客様の資産運用・資金ニーズを踏まえた商品・サービスの提供を行うなど、証銀連携の取り組みを通じてグループ内連携の強化を進めました。
3.国内外の金利環境及び市場動向を踏まえ、ポートフォリオの見直しや運用手法の高度化を進めるとともに、貸出や有価証券投資を通じた投融資に取り組み、収益機会の確保を図りました。
4.応援定期預金の提供を継続するとともに、サステナビリティKPIの一つである、ESG投融資について、残高維持に向けた取り組みを行いました。
大和ネクスト銀行の当連結会計年度末の預金残高(譲渡性預金含む)は前年度末比17.5%増の5.0兆円、銀行口座数は前年度比20.8%増の228万口座となりました。
これらの結果、当連結会計年度のウェルスマネジメント部門における純営業収益は前年度比15.6%増の2,957億円、経常利益は同38.9%増の1,120億円となりました。
[アセットマネジメント部門]
アセットマネジメント部門は、証券アセットマネジメント、不動産アセットマネジメント及びオルタナティブアセットマネジメントで構成されます。
証券アセットマネジメントの主な収益源は、当社連結子会社の大和アセットマネジメントにおける投資信託の組成と運用に関する報酬です。また、当社持分法適用関連会社である三井住友DSアセットマネジメントの投資信託組成と運用及び投資顧問業務に関する報酬からの利益は、当社の持分割合に従って経常利益に計上されます。経営成績に重要な影響を与える要因には、マーケット環境によって変動するお客様の投資信託及び投資顧問サービスへの需要と、マーケット環境に対するファンドの運用パフォーマンスや、お客様の関心を捉えたテーマ性のある商品開発等による商品自体の訴求性が挙げられます。
不動産アセットマネジメントの主な収益源は、当社連結子会社の大和リアル・エステート・アセット・マネジメント、大和証券リアルティ、大和証券オフィス投資法人及びサムティ・レジデンシャル投資法人の不動産運用収益等です。また、当社持分法適用関連会社であるSong Holdings合同会社(サムティホールディングスの親会社)、サムティアセットマネジメント及び大和証券リビング投資法人の損益は、当社の持分割合に従って経常利益に計上されます。経営成績に重要な影響を与える要因には、国内の不動産売買市場・賃貸需給の動向が挙げられます。
オルタナティブアセットマネジメントの主な収益源は、当社連結子会社である大和企業投資、大和PIパートナーズ及び大和エナジー・インフラの投資先の新規上場(IPO)・M&A等による売却益や、投資事業組合への出資を通じたキャピタルゲインのほか、契約に基づきファンドから受領する、管理運営に対する管理報酬や投資成果に応じた成功報酬、投資した株式からの配当、売電収入などのインカムゲインです。経営成績に重要な影響を与える要因には、株式市場やIPO市場の動向、投資先企業の評価額に影響を及ぼす可能性のある経済環境の状況、保有する有価証券や投資資産の流動性が挙げられます。
当連結会計年度において、アセットマネジメント部門は以下の事業計画を実行しました。
1.幅広い投資家層に訴求する運用商品・ブランドの確立、魅力的なオルタナティブ商品の展開を通じたさらなる運用残高拡大
2.かんぽ生命との資産運用分野における協業を軸にした運用の高度化、国内外における投資顧問ビジネスの基盤構築
3.不動産アセットマネジメント事業における運用力・物件ソーシング力の強化、運用商品の拡大及びグループ内連携の推進
4.オルタナティブファンドの拡大に向けたパフォーマンスの追求と基盤の構築
各項目の実績は以下のとおりです。
1.大和アセットマネジメントでは商品ブランドのマーケティングに注力し、iFreeシリーズやオルタナティブ商品への好調な資金流入により運用資産残高は過去最高水準となりました。
2.2025年7月に、大和アセットマネジメントは三井物産オルタナティブインベストメンツ株式会社(新商号:大和かんぽオルタナティブインベストメンツ株式会社)を子会社化し、オルタナティブ資産運用分野へ本格参入しました。
3.大和リアル・エステート・アセット・マネジメントでは運用する私募REITの物件取得や私募ファンドの運用受託を通じて運用資産残高が増加しました。
4.大和PIキャピタルでは運営するプライベート・エクイティファンドにおいて飲食ビジネスを中心に投資を実行しました。大和企業投資では、「大和日台バイオベンチャー3号投資事業有限責任組合」を設立しました。
証券アセットマネジメントは増収増益となりました。大和アセットマネジメントの運用資産残高は、資金純増と時価の上昇により、前年度末比10.9兆円増の44.2兆円となりました。その結果、証券アセットマネジメントの純営業収益は前年度比22.0%増の707億円、経常利益は同35.2%増の376億円となりました。
不動産アセットマネジメントは運用する投資法人向けの物件売却による売却益の計上や運用報酬の積み上げにより増収増益となりました。私募REITの物件取得や私募ファンドの運用受託等により、大和リアル・エステート・アセット・マネジメント及びサムティ・レジデンシャル投資法人の2社を合わせた運用資産残高は前年度末比2,015億円増の1兆7,978億円となりました。その結果、不動産アセットマネジメントの純営業収益は前年度比24.5%増の368億円、経常利益は同13.9%増の330億円となりました。
オルタナティブアセットマネジメントは経常損失を計上しました。大和企業投資では、国内外の成長企業への投資や上場支援に貢献しながら、投資先の売却益により収益を確保しました。大和PIパートナーズでは、国内外で金銭債権投資、不動産ローン、企業向け投融資を実行するとともに、既存案件の回収を進めました。大和エナジー・インフラでは、持続可能な開発目標(SDGs)に資するエネルギー・インフラ関連投資を実行しながら、インカムゲイン及びキャピタルゲインを計上した一方で、再生可能エネルギー関連における一部投資先の再評価により引当金の計上及び減損処理を行いました。その結果、オルタナティブアセットマネジメントの純営業収益は前年度比71.1%減の43億円、経常損失は52億円となりました。
これらの結果、当連結会計年度のアセットマネジメント部門の純営業収益は前年度比9.2%増の1,119億円、経常利益は同15.5%減の654億円となりました。
[グローバル・マーケッツ&インベストメント・バンキング部門]
グローバル・マーケッツ&インベストメント・バンキング部門は、機関投資家等を対象に有価証券のセールス及びトレーディングを行うグローバル・マーケッツと、事業法人、金融法人等が発行する有価証券の引受けやM&Aアドバイザリー業務を行うグローバル・インベストメント・バンキングによって構成されます。
グローバル・マーケッツの主な収益源は、機関投資家に対する有価証券の売買に伴って得る顧客フロー収益及びトレーディング収益であり、地政学リスクや国際的な経済状況等で変化する市場の動向や、それに伴う顧客フローの変化が、経営成績に重要な影響を与える要因となります。
グローバル・インベストメント・バンキングの主な収益源は、引受業務やM&Aアドバイザリー業務によって得る引受け・売出し手数料とM&A手数料であり、顧客企業の資金調達手段の決定やM&Aの需要を左右する国内外の経済環境等に加え、当社が企業の需要を捉え、案件を獲得できるかどうかが経営成績に重要な影響を与える要因となります。
当連結会計年度において、グローバル・マーケッツ&インベストメント・バンキング部門として以下の事業計画を実行しました。
1.幅広いお客様ニーズを捉えた多様なプロダクト・高度なソリューションの提供
2.ウェルスマネジメント部門をはじめとしたグループ連携の更なる強化によるビジネス基盤の拡大
3.未上場企業への更なるソリューションの提供及び国内外M&Aの強化
4.経営資源のリアロケーションを通じた収益性の向上
各項目の実績は、以下のとおりです。
1.引受ビジネス、M&Aの取組みとして、株式の非公開化や政策保有株式の売却、金利上昇局面における前倒し負債調達、業界再編、といったお客様の多様なニーズを的確に捉えた提案を行い、案件の獲得に取り組みました。
2.ウェルスマネジメント部門との連携強化として、外国株の売買代金・預り残高の拡大やポートフォリオ提案の推進など外貨資産領域に注力しました。
3.未上場企業のお客様に対してIPOに留まらない多様なソリューションを提供し、国内外M&Aビジネスにおいては、効率的な収益拡大のためにアドバイザリーサービスの高付加価値化に取り組みました。
4.グローバル・インベストメント・バンキングでは、テーマ別でのアプローチや大型案件に注力することで収益性の向上に取り組みました。グローバル・マーケッツでは、海外投資家からの継続的な日本株への関心の高さを背景とした体制強化など、お客様ニーズに合わせたリソースの再配分を進め、収益向上を図りました。
グローバル・マーケッツのエクイティ収益は、好調な株式市場を背景に機関投資家及び個人投資家の日本株フローが拡大したことに加え、個人投資家の外国株の売買が増加基調となったことにより、増収となりました。フィクスト・インカム収益は、国内において金利上昇を背景に機関投資家のポートフォリオ入れ替えニーズが強まり、増収となりました。海外においても米国金利の高いボラティリティの影響により増収となりました。その結果、グローバル・マーケッツの当連結会計年度の純営業収益は前年度比13.0%増の1,684億円、経常利益は同40.7%増の408億円となりました。
グローバル・インベストメント・バンキングでは、株式会社コーエーテクモホールディングス、信越化学工業株式会社の株式売出しや株式会社JVCケンウッドによる転換社債型新株予約権付社債及びKDDI株式会社による普通社債などで主幹事を務めたほか、伊藤忠商事株式会社による本邦初となるオレンジボンド(注1)の引受における主幹事及びStructuring Agent(注2)を務めました。当連結会計年度の引受け・売出し手数料は、前年度比16.7%減の399億円となりました。M&Aアドバイザリー業務では、NTT株式会社による株式会社NTTデータの完全子会社化、パラマウントベッドホールディングス株式会社の非上場化、株式会社パロマ・リームホールディングスによるフランスのGroupe Atlanticの株式過半数取得など、多くの案件に関与しました。これらの結果、グローバル・インベストメント・バンキングの当連結会計年度の純営業収益は前年度比4.4%増の889億円、経常利益は同25.5%増の145億円となりました。
その結果、当連結会計年度のグローバル・マーケッツ&インベストメント・バンキング部門における純営業収益は前年度比9.9%増の2,573億円、経常利益は同38.0%増の589億円となりました。
(注)1 オレンジボンド:女性活躍推進等、ジェンダー平等に資するプロジェクトに対する資金調達を目的とした債券。
2 Structuring Agent:フレームワークの策定や第三者評価の取得に関する助言を通じて、オレンジボンドなどの発行支援を行う者。
[その他]
その他の事業には、主に大和総研によるリサーチ・コンサルティング業務及びシステム業務などが含まれます。
当連結会計年度において大和総研グループは以下の事業計画を実行しました。
1.シンクタンクとしての時宜を得た良質な情報発信による、社会・経済の健全な発展と資産運用立国への貢献
2.AI・データサイエンスの活用によるお客様の企業価値最大化への貢献
3.ヘルステック事業を通じた人的資本経営への貢献
各項目の当連結会計年度における実績は以下のとおりです。
1.国内外の経済見通しや金融制度、人的資本経営、サステナビリティ、IT・デジタル技術等に関する調査・分析を行い、レポートや出版物、セミナー等による情報発信や政策提言活動を通じて、プレゼンス向上に寄与しました。
2.金融機関や事業法人向けに業務高度化・効率化のソリューションを提供したほか、開発の効率化・期間短縮を進めました。新規事業では、生成AIを活用した自律検証型システムマイグレーションツールやWeb3技術を活用したデジタル証明書サービスの展開を推進しました。
3.健康保険組合向け情報管理システム等について、商品性強化やサービス品質向上を目的とした再構築と機能改善を行いました。また、従業員向けの健康支援サービスを正式リリースしたほか、企業および健康保険組合向けのヘルスケアデータ分析支援サービス開発を進めました。
大和総研は、当社グループのシステム開発を着実に遂行したほか、高付加価値のソリューション提案により、お客様との関係を強化したこと、また、大口顧客向けシステム開発案件を手掛けたこと等により、当社グループの収益に貢献しました。
当連結会計年度において、その他・調整等に係る純営業収益は553億円(前年度534億円)、経常損失は19億円(前年度経常利益238億円)となりました。
③ 目標とする経営指標の達成状況等
当社グループでは、2024年度から2026年度にかけての中期経営計画~“Passion for the Best”2026~を公表し、業績KPIとして連結経常利益、連結ROE及びベース利益(注1)を掲げています。また、グループ経営基本方針である「お客様の資産価値最大化」を追求するお客様資産KPIとして、預り資産(注2)、ストック関連資産(注3)及びアセットマネジメント部門AUM(注4)を設定しています。
中期経営計画2年目となる当連結会計年度においては、業績KPIは、連結経常利益2,400億円以上の目標に対し2,345億円、連結ROE10%程度の目標に対し10.3%、ベース利益1,500億円の目標に対して1,827億円となり、順調な業績を上げることができました。お客様資産KPIは、預り資産120兆円の目標に対し104兆円、ストック関連資産13.6兆円の目標に対し12.2兆円、AM部門AUM44兆円の目標に対し46.1兆円となり、着実に目標値に向けて増加しています。
2025年度は、米国新政権の通商政策の本格化により世界経済が構造的な変化に直面する一方、国内では高市新政権の発足や企業のガバナンス改革の進展を背景に海外投資家からの資金流入が続き、日経平均株価が史上最高値を更新するとともに、「金利のある世界」が定着するなど、大きな転換点を迎えた一年となりました。当社ではこうした経済環境を追い風に、グループ経営基本方針である「お客様の資産価値最大化」に向けて、ウェルスマネジメントビジネスの強化やアセットマネジメントビジネスの高度化が着実に進捗した一年となりました。また、中長期的な経営指針となる「2030Vision」の根底に取り入れたサステナビリティへの取組み推進においても、サステナブルファイナンスへの社会的ニーズの一層の高まりを受けてSDGs債の引受け実績を積み上げ、着実な進捗があったと評価しています。
(注)1 ベース利益:ウェルスマネジメント部門、証券アセットマネジメント、不動産アセットマネジメントの経常利益合計
2 預り資産:大和証券の預り資産残高
3 ストック関連資産:投資信託、ファンドラップ、外貨預金
4 AM部門AUM:大和アセットマネジメント、大和ファンド・コンサルティング、大和リアル・エステート・アセット・マネジメント、サムティ・レジデンシャル投資法人、大和PIパートナーズ、大和エナジー・インフラ、大和企業投資のAUM合計
④ 経営成績の前提となる2025年度のマクロ経済環境
<海外の状況>2025年の世界経済を振り返ると、米国による追加関税措置があったにも関わらず、底堅い景気が続きました。この背景には、第二次トランプ政権が実施した関税率が公表当初よりも低下し、景気への悪影響が軽減されたことに加え、拡張的な財政政策や積極的なAI関連投資などが下支えしたことがあります。他方で、2026年の世界経済は成長の鈍化が見込まれます。IMF(国際通貨基金)が2026年4月に公表した世界経済見通しによれば、2026年の世界経済の実質GDP成長率は前年比+3.1%と、2025年の同+3.4%から減速すると予想されています。2026年2月末からの中東情勢の悪化が世界経済の下押し要因となっています。原油価格の上昇はインフレ圧力を強化し、家計の実質的な購買力を押し下げるとともに、金利上昇といった金融環境のタイト化を通じて、設備投資や住宅投資の重石となることが想定されます。
主要先進国・地域については、まず、米国の2026年1-3月期の実質GDP成長率が、前期比年率+2.0%と2025年10-12月期の同+0.5%から加速しました。政府支出が2025年10-12月期に発生した政府閉鎖による急減から反動増となったことに加え、AI関連の設備投資が全体を押し上げました。
金融面では、FRB(連邦準備制度理事会)は関税率引き上げによるインフレ再加速への警戒から2025年1-8月にかけて金利を据え置きました。他方、2025年夏場以降は雇用環境の悪化懸念が高まったことから、2025年9-12月に合計0.75%ptの利下げを実施しました。この結果、FF(フェデラルファンド)レートの誘導目標レンジは3.50-3.75%と、FOMC参加者が想定する景気に中立的な金利水準(中立金利)の上限付近まで低下しました。FFレートが中立金利の上限に位置する中で、2026年1月以降、FRBは再び金利を据え置いています。パウエルFRB議長は、2026年4月の連邦公開市場委員会(FOMC)後の記者会見で、わずかに引き締め的な金利水準にある現状は、中東情勢の混乱を巡って不確実性が高い中で様子見をするのに適していると述べています。
続いて、欧州経済(ユーロ圏経済)は、減速傾向を示しています。2026年1-3月期のユーロ圏の実質GDP成長率は前期比年率+0.6%と、2025年10-12月期の同+0.8%から減速しました。実質GDP成長率を国別に見ると、スペインが高成長を維持するとともに、財政支出を拡大させたドイツの成長ペースが加速した一方、フランスやイタリアが減速しました。金融面では、ECB(欧州中央銀行)は2024年6月から利下げフェーズへと転じた後、2025年1-6月にかけて合計1.00%ptの利下げを実施しました。他方で、インフレ2%目標の達成が近づいたとの認識から、2025年7月以降は政策金利(預金ファシリティ金利)を据え置き、様子見姿勢を続けています。ラガルドECB総裁は、2026年4月のECB理事会で政策金利の水準が良好な位置にあること、エネルギー価格上昇に伴う二次的な影響は見られないこと、データ等を精査・再検討する必要があること等から、様子見が妥当との見解を示しています。
最後に、新興国全体を概観すると、2025年は米国による追加関税措置がある中でも景気の底堅さが継続してきましたが、足元では中東情勢の混乱によるエネルギー価格の上昇が成長率鈍化をもたらしうるリスク要因となっています。IMFは2026年の新興国の実質GDP成長率を前年比+3.9%と見込んでおり、2025年の同+4.4%から減速すると予想しています。具体的には、原油高が続けば、原油備蓄量の小さいインドネシアや、ベトナム、原油輸入依存度の高いタイ、インドを中心に悪影響が拡大することが懸念されています。なお、原油高は資源輸出国に追い風となりえますが、武力攻撃によるインフラへの直接的な被害が大きい中東諸国を中心に短期的には景気の落ち込みが大きいと考えられます。
世界第二位の経済規模を誇る中国に関しては、2026年1-3月期の実質GDP成長率は前年同期比+5.0%と2025年10-12月期の同+4.5%から加速しました。設備・住宅投資などを含む総資本形成が加速し、全体を押し上げた一方、最終消費支出と純輸出のプラス幅は縮小しました。当面は不動産不況が継続するとともに、個人消費は家電や自動車といった買い替え補助金政策の変更等によって伸び悩むことが想定され、内需は厳しい状況が継続すると考えられます。
<日本の状況>日本経済は、個人消費や設備投資、輸出の増加を主因として、2024年4-6月期から5四半期連続でプラス成長を続けました。2025年7-9月期は、トランプ米政権による高関税政策(トランプ関税)の下で輸出が減少したり、建築基準法等の改正(2025年4月)前に生じた駆け込み需要の反動で、民間住宅が大きく落ち込んだりした結果、前期比年率△2.5%となりました。10-12月期は、設備投資が好調だったほか、民間住宅が持ち直しに転じたことなどから、前期比年率+0.8%のプラス成長に転じました。2026年1-3月期は、個人消費や輸出が堅調に推移したことで、前期比年率+2.1%程度のプラス成長で着地しました。
需要項目ごとにみると、個人消費は持ち直しを続けています。賃金上昇が物価上昇に追い付かない中で、実質賃金が低下を続けたことなどを背景に、個人消費は2023年4-6月期から5四半期連続で減少しました。しかし、2024年7-9月期以降は春闘での高水準の賃上げなどを受けて所得環境の改善が進んでいることもあり、増加基調が定着しています。2026年1-3月期も、非耐久財やサービスを中心に増加しました(前期比+0.3%)。
企業部門の需要である設備投資も、総じて増加基調にあります。設備投資は2023年度、外需における先行き不透明感の高まりや、自動車の減産などを背景に横ばい圏で推移しました。2024年4-6月期以降は自動車の生産体制が正常化したり、高水準の企業収益が続く中で省力化投資やデジタル化、脱炭素への対応が広がったりしたことを受けて、振れを伴いつつも増加しました。2026年1-3月期も前期比+0.3%と増加し、研究開発や建設、機械など、幅広く投資が進んだとみられます。
輸出は、2024年1-3月期には前述した自動車の減産などを受けて前期比△2.9%と減少しました。4-6月期には設備投資同様、自動車の増産を受けて持ち直しに転じ、その後はインバウンド消費を含むサービス輸出の拡大なども重なり、2025年4-6月期まで増加基調を維持しました。7-9月期は前期比△1.6%と、トランプ関税の影響などから減少に転じたものの、10-12月期は前期比+0.2%、2026年1-3月期は前期比+1.7%と持ち直しました。
金融面では、日本銀行は、2024年3月の金融政策決定会合で、マイナス金利政策の解除と、短期金利に加えて長期金利(10年国債利回り)も操作対象とする金融緩和措置(イールドカーブ・コントロール)の撤廃を決定し、短期金利を操作目標とする通常の金融政策へ移行しました。そして、2024年7月の金融政策決定会合において、短期金利の誘導目標を0.25%程度に引き上げました。その後も、基調的な物価上昇率が目標水準である2%に向けて徐々に高まっているとの判断のもと、2025年1月と12月の金融政策決定会合において、短期金利の誘導目標をそれぞれ0.50%程度、0.75%程度へ段階的に引き上げました。また、国債の買入れに関しては、2024年7月の金融政策決定会合で長期国債買入れ予定額を原則として毎四半期4,000億円程度ずつ減額する計画を示し、2025年6月には、2026年4月以降の減額幅を毎四半期2,000億円程度ずつに縮小する方針を示しました。2024年7月に月額5.7兆円程度であった買入れ額は、2026年度末で同2.1兆円程度へと減額され、日本銀行の保有する国債残高は2027年3月に減額開始前の2024年6月から16~17%減少すると見込まれています。さらに、2025年9月の金融政策決定会合では、日本銀行が保有するETFおよびJ-REITについて、それぞれ簿価で年間3,300億円程度、50億円程度のペースで市場への売却を行うことを決定しました。
為替市場をみると、2025年度は円高から円安基調への転換が進みました。2025年初以降、トランプ政権の関税政策が米国に景気後退をもたらすとの見方が強まったことで円高が進み、ドル円レートは4月に一時1ドル139円台となりました。ただしその後は、米中関税交渉の進展や堅調な米経済指標を背景とした早期利下げ期待の後退、高市早苗政権の誕生を受けた財政拡張懸念の高まりなどから、ドル円レートは2026年初にかけて円安が進行しました。1月下旬には日米当局による為替介入への警戒感が強まる中で一時円高方向に振れましたが、2月末の米国・イスラエルによるイランへの攻撃を受け、リスク回避のドル買い圧力や資源価格高騰を受けた貿易赤字の拡大懸念から、ドル円レートは再び円安方向で推移しました。
株式市場では、2025年度は下落から始まったものの、その後は概ね上昇傾向で推移しました。2025年に入ると、世界的な景気後退リスクの高まりから日経平均株価は軟調な動きとなり、4月には米国の関税政策の強化を背景に一時は約1年5カ月ぶりの安値まで落ち込みました。しかし、その後は生成AI市場の成長期待を受けた半導体関連銘柄への買い、米関税措置に関する日米協議の合意、高市政権の政策期待等が相場を押し上げ、日経平均株価は2026年2月に史上最高値を更新しました。もっとも、2月末の米国・イスラエルによるイランへの攻撃を受け、中東情勢の悪化と原油の供給不安が意識され、株価は3月にかけて大幅に下落しました。
2026年3月末の日経平均株価は51,063円72銭(2025年3月末比15,446円16銭高)、10年国債利回りは2.366%(同0.869%ptの上昇)、為替は1ドル159円63銭(同10円49銭の円安)となりました。
(4)当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況の分析
① 営業活動、投資活動及び財務活動によるキャッシュ・フロー並びに現金及び現金同等物
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。
| (単位:百万円) | ||
| 2025年3月期 | 2026年3月期 | |
| 営業活動によるキャッシュ・フロー | △454,066 | 438,963 |
| 投資活動によるキャッシュ・フロー | △353,443 | △583,599 |
| 財務活動によるキャッシュ・フロー | 199,019 | 199,423 |
| 現金及び現金同等物に係る換算差額 | △3,763 | △21,861 |
| 現金及び現金同等物の増減額(△は減少) | △612,253 | 32,925 |
| 現金及び現金同等物の期首残高 | 4,351,951 | 3,739,698 |
| 現金及び現金同等物の期末残高 | 3,739,698 | 3,772,624 |
当連結会計年度において、営業活動によるキャッシュ・フローは、トレーディング商品の増減、有価証券担保貸付金及び有価証券担保借入金の増減などにより、4,389億円(前年度は△4,540億円)となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、有価証券の取得による支出や売却及び償還による収入などにより、△5,835億円(同△3,534億円)となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは、短期借入金の純増減額などにより、1,994億円(同1,990億円)となりました。これらに為替変動の影響等を加えた結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は、前年度末比329億円増加の3兆7,726億円となりました。
② 資本の財源及び流動性に係る情報
(ⅰ)流動性の管理
<財務の効率性と安定性の両立>当社グループは、多くの資産及び負債を用いる有価証券関連業務や、投融資業務を行っており、これらのビジネスを継続する上で十分な流動性を効率的かつ安定的に確保することを資金調達の基本方針としております。
当社グループの資金調達手段には、社債、ミディアム・ターム・ノート、金融機関借入、コマーシャル・ペーパー、コールマネー、預金受入等の無担保調達、現先取引、レポ取引等の有担保調達があり、これらの多様な調達手段を適切に組み合わせることにより、効率的かつ安定的な資金調達の実現を図っております。
財務の安定性という観点では、環境が大きく変動した場合においても、業務の継続に支障をきたすことのないよう、平時から安定的に資金を確保するよう努めると同時に、危機発生等により、新規の資金調達及び既存資金の再調達が困難となる場合も想定し、調達資金の償還期限及び調達先の分散を図っております。
当社は、「金融商品取引法第五十七条の十七第一項の規定に基づき、最終指定親会社が当該最終指定親会社及びその子法人等の経営の健全性を判断するための基準として定める最終指定親会社及びその子法人等の経営の健全性のうち流動性に係る健全性の状況を表示する基準」(平成26年金融庁告示第61号)により連結流動性カバレッジ比率(以下、「LCR」という。)及び連結安定調達比率(以下、「NSFR」という。)を所定の比率(それぞれ100%)以上に維持することが求められており、当第4四半期日次平均のLCRは125.8%です。また、当第4四半期末のNSFRは有価証券報告書提出日における速報値で125.3%となっており、確定値は算出完了次第、当社ホームページにて公表する予定です。また、当社は、上記金融庁告示による規制上のLCR及びNSFRを流動性に係るリスクアペタイトとして管理・モニタリングしていることに加え、一定期間無担保調達が行えない場合でも業務の継続が可能となるように流動性ストレステストを中心とした流動性リスク管理態勢を構築しております。短期の無担保調達資金の十分性検証として、様々なストレスシナリオを想定したうえで、資金流出見込額をカバーする流動性ポートフォリオが保持されていることを日次で確認しております。長期の無担保調達資金の十分性検証として、ストレス期に換金性の低い資産に対する安定的な資金調達額を定期的にモニタリングしております。
当第4四半期日次平均のLCRの状況は次のとおりです。
| (単位:億円) | |||
| 日次平均 (自 2026年1月 至 2026年3月) | |||
| 適格流動資産 | (A) | 30,784 | |
| 資金流出額 | (B) | 54,437 | |
| 資金流入額 | (C) | 29,972 | |
| 連結流動性カバレッジ比率(LCR) | |||
| 算入可能適格流動資産の合計額 | (D) | 30,784 | |
| 純資金流出額 | (E) | 24,465 | |
| 連結流動性カバレッジ比率 | (D)/(E) | 125.8% | |
<グループ全体の資金管理>当社グループでは、グループ全体での適正な流動性確保という基本方針の下、当社が一元的に資金の流動性の管理・モニタリングを行っており、当社は、必要に応じて当社からグループ各社に対し、機動的な資金の配分・供給を行うと共に、グループ内で資金融通を可能とする態勢を整えることで、効率性に基づく一体的な資金調達及び資金管理を行っております。
<コンティンジェンシー・ファンディング・プラン>当社グループは、流動性リスクへの対応の一環として、コンティンジェンシー・ファンディング・プランを策定しております。同プランは、信用力の低下等の内生的要因や金融市場の混乱等の外生的要因によるストレスの逼迫度に応じた報告体制や資金調達手段の確保などの方針を定めており、これにより当社グループは機動的な対応により流動性を確保する態勢を整備しております。
当社グループのコンティンジェンシー・ファンディング・プランは、グループ全体のストレスを踏まえて策定しており、変動する金融環境に機動的に対応するため、定期的な見直しを行っております。
また、金融市場の変動の影響が大きく、その流動性確保の重要性の高い大和証券、大和ネクスト銀行及び一部の海外証券子会社においては、更に個別のコンティンジェンシー・ファンディング・プランも策定し、同様に定期的な見直しを行っております。
なお、当社は、子会社のコンティンジェンシー・ファンディング・プランの整備状況について定期的にモニタリングしており、必要に応じて想定すべき危機シナリオを考慮して子会社の資金調達プランやコンティンジェンシー・ファンディング・プランそのものの見直しを行い、更には流動性の積み増しを実行すると同時に資産圧縮を図るといった事前の対策を講じることとしております。
(ⅱ)株主資本
当社グループが株式や債券、デリバティブ等のトレーディング取引、貸借取引、引受業務、ストラクチャード・ファイナンス、M&A、プリンシパル・インベストメント、証券担保ローン等の有価証券関連業を中心とした幅広い金融サービスを展開し、新たな価値の提供に資する投融資を行うためには、十分な資本を確保する必要があります。また、当社グループは、日本のみならず、海外においても有価証券関連業務を行っており、それぞれの地域において法規制上必要な資本を維持しなければなりません。
当連結会計年度末の株主資本は、前連結会計年度末比437億円増加し、1兆4,858億円となりました。また、資本金及び資本剰余金の合計は5,139億円となっております。利益剰余金は親会社株主に帰属する当期純利益を1,752億円計上したほか、配当金798億円の支払いを行ったこと等により、同799億円増加し1兆1,214億円となりました。自己株式の控除額は同364億円増加し、1,495億円となっております。
③ 財務戦略
当社グループの財務戦略の基本は、成長投資、資本効率性、財務健全性及び株主還元の最適なバランスを図り、健全な利益の確保を通じた持続的成長を実現することです。
持続的な成長の実現に際しては、規制並びに制度対応と適正な自己資本水準を維持することを重視しております。強固な財務基盤を堅持するため、過去の金融危機時のストレス・シナリオにも耐えうる資本のバッファーを加味して、連結総自己資本規制比率には社内管理水準を設定しております。
成長投資に関しましては、当連結会計年度も既存事業の競争力強化のための投資や事業ポートフォリオ多様化のための出資などを実行いたしました。その上で、連結総自己資本規制比率は、速報ベースで社内管理水準を上回っておりますので、証券ビジネスの顧客基盤拡大に向けた投資やコアビジネスと親和性のある周辺領域への投資は、今後も常に検討してまいります。
株主還元策については「第4提出会社の状況 3配当政策」に記載のとおりです。
当社の資金調達の方法については、「② 資本の財源及び流動性に係る情報」に記載しております。