四半期報告書-第86期第1四半期(令和4年4月1日-令和4年6月30日)
本項における将来に関する事項は、別段の記載がない限り、当第1四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)財政状態の分析
<資産の部>当第1四半期連結会計期間末の総資産は前連結会計年度末比1兆2,160億円(4.4%)増加の28兆7,471億円となりました。内訳は流動資産が同1兆1,985億円(4.6%)増加の27兆2,081億円であり、このうち現金・預金が同6,354億円(13.8%)減少の3兆9,569億円、トレーディング商品が同6,259億円(7.8%)増加の8兆6,308億円、営業貸付金が同2,215億円(11.5%)増加の2兆1,553億円、有価証券担保貸付金が同8,719億円(10.4%)増加の9兆2,662億円となっております。固定資産は同175億円(1.2%)増加の1兆5,389億円となっております。
<負債の部・純資産の部>負債合計は前連結会計年度末比1兆1,873億円(4.6%)増加の27兆785億円となりました。内訳は流動負債が同1兆1,045億円(4.8%)増加の24兆497億円であり、このうちトレーディング商品が同9,877億円(20.0%)増加の5兆9,336億円、約定見返勘定が同4,642億円(84.6%)減少の842億円、有価証券担保借入金が同9,435億円(10.0%)増加の10兆4,072億円、また短期借入金が同4,757億円(22.1%)減少の1兆6,800億円となっております。固定負債は同828億円(2.8%)増加の3兆250億円であり、このうち社債が同1,046億円(6.7%)減少の1兆4,589億円、長期借入金が同1,827億円(14.8%)増加の1兆4,197億円となっております。
純資産合計は同287億円(1.8%)増加の1兆6,686億円となりました。資本金及び資本剰余金の合計は4,778億円となりました。利益剰余金は、親会社株主に帰属する四半期純利益を118億円計上したほか、自己株式の消却を807億円、配当金の支払いを237億円行ったこと等により、同924億円(9.8%)減少の8,503億円となっております。自己株式の控除額は、自己株式の消却等を行った結果、同812億円(60.5%)減少の529億円、その他有価証券評価差額金は同51億円(17.4%)減少の244億円、為替換算調整勘定は同351億円(74.4%)増加の824億円、非支配株主持分は同21億円(0.8%)増加の2,596億円となっております。
(2)経営成績の分析
① 事業全体の状況
当第1四半期連結累計期間の営業収益は前年同期比2.1%減の1,466億円、純営業収益は同16.3%減の1,061億円となりました。
受入手数料は670億円と、同13.3%の減収となりました。委託手数料は、マーケット環境の悪化により顧客フローが減少し、同18.6%減の151億円となりました。引受業務では、エクイティや債券引受案件等が減少し、引受け・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の手数料が同49.4%減の53億円となりました。
トレーディング損益は、株券・債券ともにポジション運営で苦戦し収益が減少したことから、同40.7%減の155億円となりました。
販売費・一般管理費は同2.5%増の972億円となりました。取引関係費は支払手数料が増加したことから同14.3%増の174億円、人件費は、円安影響もあり海外の人件費が増加した一方で、国内の賞与が減少したことから同0.2%減の491億円となっております。
以上より、経常利益は同48.2%減の180億円となりました。
これに特別損益を加え、法人税等及び非支配株主に帰属する四半期純利益を差し引いた結果、親会社株主に帰属する四半期純利益は前年同期比49.6%減の118億円となりました。
② セグメント情報に記載された区分ごとの状況
純営業収益及び経常利益をセグメント別に分析した状況は次のとおりであります。
(注)経常利益又は経常損失(△)の構成比率は、当第1四半期連結累計期間において経常利益であったセグメントの経常利益合計に占める、各セグメントの経常利益の割合としております。
[リテール部門]
リテール部門の主な収益源は、国内の個人投資家及び未上場会社のお客様の資産管理・運用に関する商品・サービスの手数料であり、経営成績に重要な影響を与える要因には、お客様動向を左右する国内外の金融市場及び経済環境の状況に加え、お客様のニーズに合った商品の開発状況や引受け状況及び販売戦略が挙げられます。
当第1四半期連結累計期間においては、エクイティ収益は委託手数料が減少したほか、募集・売出し案件が前年同期に比べて少なかったことに起因する募集手数料収入の減少等により減収となりました。債券収益は募集・売出し案件の減少等により減収となりました。株式投資信託についても、販売額が減少したことから販売手数料収入は減収となりました。
その結果、当第1四半期連結累計期間のリテール部門における純営業収益は前年同期比14.7%減の403億円、経常利益は同37.2%減の62億円となりました。リテール部門の当第1四半期連結累計期間の純営業収益及び経常利益のグループ全体の連結純営業収益及び連結経常利益に占める割合は、それぞれ38.1%及び28.7%でした。
なお、当第1四半期連結累計期間のリテール部門における、新型コロナウイルスの感染拡大による業績への影響は限定的です。
[ホールセール部門]
ホールセール部門は、機関投資家等を対象に有価証券のセールス及びトレーディングを行うグローバル・マーケッツと、事業法人、金融法人等が発行する有価証券の引受けやM&Aアドバイザリー業務を行うグローバル・インベストメント・バンキングによって構成されます。
グローバル・マーケッツの主な収益源は、機関投資家に対する有価証券の売買に伴って得る顧客フロー収益及びトレーディング収益であり、地政学リスクや国際的な経済状況等で変化する市場の動向や、それに伴う顧客フローの変化が、経営成績に重要な影響を与える要因となります。
グローバル・マーケッツは減収減益となりました。エクイティ収益は、市場の不透明感を背景とした顧客フローの減少に加え、ポジション運営も苦戦したことから、減収となりました。フィクストインカム収益は、海外において、金利のボラティリティ上昇を背景に収益機会が増加した一方、国内において、クレジットスプレッドのワイドニングによりクレジット収益が低迷し、また、デリバティブのポジション運営で苦戦したことから、減収となりました。その結果、当第1四半期連結累計期間の純営業収益は244億円(前年同期316億円)、経常損失は20億円(前年同期は77億円の経常利益)となりました。
グローバル・インベストメント・バンキングの主な収益源は、引受業務やM&Aアドバイザリー業務によって得る引受け・売出し手数料とM&A手数料であり、顧客企業の資金調達手段の決定やM&Aの需要を左右する国内外の経済環境等に加え、当社が企業の需要を捉え、案件を獲得できるかどうかが経営成績に重要な影響を与える要因となります。
グローバル・インベストメント・バンキングは減収減益となりました。引受け・売出し手数料は、エクイティ大型公募売出し案件でグローバル・コーディネーターを務め、かつ、多数の債券主幹事案件を積上げた前年同期との比較では、減収となりました。また、M&Aビジネスでは、海外で多数の案件を遂行しました。これらの結果、グローバル・インベストメント・バンキングの純営業収益は114億円(前年同期150億円)、経常損失は11億円(前年同期は31億円の経常利益)となりました。
その結果、当第1四半期連結累計期間のホールセール部門における純営業収益は359億円(前年同期467億円)、経常損失は26億円(前年同期は113億円の経常利益)となりました。ホールセール部門の当第1四半期連結累計期間の純営業収益のグループ全体に占める割合は33.9%でした。
なお、当第1四半期連結累計期間のホールセール部門における、新型コロナウイルスの感染拡大による業績への影響は限定的です。
[アセット・マネジメント部門]
アセット・マネジメント部門は、証券アセット・マネジメントと不動産アセット・マネジメントで構成されます。
証券アセット・マネジメントの主な収益源は、大和アセットマネジメントにおける投資信託の組成と運用に関する報酬です。また、持分法適用関連会社である三井住友DSアセットマネジメントの投資信託の組成と運用及び投資顧問業務に関する報酬からの利益は、持分割合に従って経常利益に計上されます。経営成績に重要な影響を与える要因には、マーケット環境によって変動するお客様の投資信託及び投資顧問サービスへの需要と、マーケット環境に対するファンドの運用パフォーマンスや、お客様の関心を捉えたテーマ性のある商品開発等による商品自体の訴求性が挙げられます。
証券アセット・マネジメントは増収増益となりました。大和アセットマネジメントでは、時価の下落により、公募投資信託の運用資産残高は前連結会計年度末比4.5%減の20.7兆円となりましたが、期中平均残高は前年同期を上回り、当第1四半期累計期間の純営業収益は前年同期比1.9%増の113億円、経常利益は同2.4%増の53億円となりました。
不動産アセット・マネジメントの主な収益源は、大和リアル・エステート・アセット・マネジメント、大和証券オフィス投資法人及びサムティ・レジデンシャル投資法人の不動産運用収益です。また、持分法適用関連会社であるサムティ株式会社及び大和証券リビング投資法人の不動産運用収益からの利益は持分割合に従って経常利益に計上されます。経営成績に重要な影響を与える要因には、国内の不動産市場・オフィス需要の動向が挙げられます。
不動産アセット・マネジメントは増収増益となりました。大和リアル・エステート・アセット・マネジメント及びサムティ・レジデンシャル投資法人の2社を合わせた運用資産残高は前連結会計年度末比2.0%増の1兆3,049億円となりました。その結果、当第1四半期累計期間の純営業収益は前年同期比16.7%増の72億円、経常利益は同21.7%増の58億円となりました。
当第1四半期連結累計期間のアセット・マネジメント部門における純営業収益は前年同期比7.2%増の186億円、経常利益は同11.7%増の111億円となりました。アセット・マネジメント部門の当第1四半期連結累計期間の純営業収益及び経常利益のグループ全体の連結純営業収益及び連結経常利益に占める割合は、それぞれ17.5%及び50.9%でした。
なお、当第1四半期連結累計期間のアセット・マネジメント部門における、新型コロナウイルスの感染拡大による業績への影響は限定的です。
[投資部門]
投資部門は主に、大和企業投資、大和PIパートナーズ及び大和エナジー・インフラで構成されます。投資部門の主な収益源は、投資先の新規上場(IPO)・M&A等による売却益や、投資事業組合への出資を通じたキャピタルゲインのほか、契約に基づきファンドから受領する、管理運営に対する管理報酬や投資成果に応じた成功報酬、株式への配当、売電収入などのインカムゲインです。
当第1四半期連結累計期間において、大和企業投資では、国内外の成長企業への投資や上場支援に貢献しながら、投資先の売却益により収益を確保しました。また、大和PIパートナーズでは、ローン、不良債権、不動産、国内外のPE投資を着実に実行し、大和エナジー・インフラでは、太陽光発電所の取得など、持続可能な開発目標(SDGs)に資するエネルギー・インフラ関連投資を拡大しながら、インカムゲイン及びキャピタルゲインを計上しました。
その結果、当第1四半期連結累計期間の投資部門における純営業収益は前年同期比33.8%増の36億円、経常利益は同145.7%増の44億円となりました。投資部門の当第1四半期連結累計期間の純営業収益及び経常利益のグループ全体の連結純営業収益及び連結経常利益に占める割合は、それぞれ3.5%及び20.4%でした。
なお、新型コロナウイルス感染症を起因とする投資先の株価下落や業績悪化等による、当第1四半期連結累計期間の投資部門における業績への影響は限定的です。
[その他]
その他の事業には、主に大和総研によるリサーチ・コンサルティング業務及びシステム業務のほか、大和ネクスト銀行による銀行業務などが含まれます。
大和総研は、当社グループのシステム開発を着実に遂行したほか、高付加価値のソリューション提案により、お客様との関係を強化したこと、また、大口顧客向けシステム開発案件を手掛けたこと等により、当社グループの収益に貢献しました。
大和ネクスト銀行では、引き続き、銀行代理業者である大和証券と連携して各種キャンペーンを実施しました。当第1四半期連結会計期間末の預金残高(譲渡性預金含む)は前連結会計年度末比1.1%減の4兆1,515億円、銀行口座数は同1.3%増の158万口座となりました。
当第1四半期連結累計期間において、その他セグメントに属する一部のグループ会社の収益が前年同期比で減少したため、その他・調整等に係る純営業収益は74億円(前年同期125億円)、経常損失は11億円(前年同期は17億円の経常利益)となりました。その他・調整等の当第1四半期連結累計期間の純営業収益のグループ全体の連結純営業収益に占める割合は7.0%でした。
なお、当第1四半期連結累計期間のその他・調整等における、新型コロナウイルスの感染拡大による業績への影響は限定的です。
③ 経営方針・経営戦略等及び経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当第1四半期連結累計期間において、経営方針・経営戦略等及び経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等について、第85期有価証券報告書の「目標とする経営指標の達成状況等」に記載した経営指標から重要な変更及び新たに生じた事項はありません。
④ 経営成績の前提となる当第1四半期連結累計期間のマクロ経済環境
<海外の状況>世界経済は、2020年前半の新型コロナウイルスの感染拡大による落ち込みからの回復局面が依然として続いていますが、経済の正常化が進むにしたがってその改善ペースは鈍化しつつあります。IMF(国際通貨基金)が2022年7月に公表した世界経済見通しによれば、2020年の大幅な落ち込みからの反動もあり、2021年の世界経済成長率は+6.1%と、IMFが成長率を公表する1980年以降で最も高い成長となりました。一方、2022年の世界経済成長率は+3.2%へと低下することが見込まれています。世界的にコロナ禍で落ち込んだサービス活動の回復が継続すると見込まれる一方、歴史的に高いインフレ率や、それに対応するための当局による金融引き締めが、景気拡大ペースを抑制すると予想されています。また、2022年初に始まったロシアによるウクライナへの侵攻を契機とした地政学的リスクの高まりは、世界経済における新たなリスクとなっています。
米国経済は、回復傾向が続いているものの、そのペースが鈍化しつつあります。2022年1-3月期の実質GDP成長率は、前期比年率△1.6%と2020年4-6月期以来のマイナス成長となりました。国内最終需要については前期から伸びが加速する一方、世界的な半導体不足などの供給制約を背景とした輸出の伸び悩みや、輸入の増加及び在庫調整が、GDPを押し下げました。また、好調だった国内最終需要のなかでも、個人消費及び住宅投資については前期から伸びが鈍化しました。これは、記録的なペースでの物価上昇が続く中、消費者マインドの悪化が個人消費の抑制につながっていることに加えて、金利の上昇が住宅投資を抑制したものです。4-6月期に入ってもインフレ率は非常に高い状態が続いていることに加えて、株価の下落基調が続いていることもあり、個人消費を中心とした内需の減速傾向が継続し、4-6月期の実質GDP成長率は、前期比年率△0.9%と2四半期連続で低下しました。
金融面では、FRB(連邦準備制度理事会)は、コロナ禍以降続けてきた緩和的な金融政策を終了し、金融緩和の縮小、金融引き締めへと姿勢を転換しています。FRBは、米国経済がコロナ禍による落ち込みから回復してきていることを受けて、2021年11月のFOMC(連邦公開市場委員会)で量的緩和の縮小開始を決定し、コロナ禍以降続いてきたFRBによるバランスシートの拡大は、2022年2月に停止されました。また、米国のインフレ率が目標である2%を大幅に上回っていることを背景に、2022年3月のFOMCでは政策金利が0.25%pt引き上げられ、2020年3月以降続いてきた実質的なゼロ金利政策が終了しました。続く5月のFOMCでは、0.50%ptの利上げに加えて、バランスシートの縮小の開始が決定されました。6月のFOMCでは、3会合連続での利上げが決定され、利上げ幅も0.75%ptへとさらに拡大しました。
欧州経済(ユーロ圏経済)は、緩やかな回復基調が続いています。2021年末にかけて、欧州では新型コロナウイルスの感染拡大による行動制限が経済の下押し要因となっていましたが、2022年に入ると行動制限が緩和され、経済への下押し圧力は弱まりました。一方で、2月下旬に開始したロシアによるウクライナ侵攻に伴うマインドの悪化やエネルギー価格の高騰が、個人消費や企業活動を鈍らせる要因となりました。2022年1-3月期の実質GDP成長率は、輸入の減少を主因に前期比年率+2.0%と伸びが加速しましたが、国内需要については前期から伸びが鈍化し、小幅な増加にとどまりました。ウクライナを巡る問題は4-6月期に入っても解決せず、とりわけロシアからの禁輸措置によるエネルギーの供給不安が、企業活動を鈍らせる要因になっています。4-6月期の実質GDP成長率は前期比年率+2.8%とプラス成長が続いたものの、エネルギー価格の高騰を主因とした高インフレは企業や家計への打撃となっており、先行きに対する不透明感が増しています。
金融面では、ECB(欧州中央銀行)はコロナ禍以降の金融緩和から正常化へと舵を切りつつあります。2021年12月のECB理事会では、コロナ禍で新設されたパンデミック緊急購入プログラムによる資産の買い入れを2022年3月に終了することが決定されました。また、インフレが加速する中、2022年3月のECB理事会では、コロナ禍以前から実施されてきた資産買入プログラムについても終了を前倒しする方針が示され、6月の理事会では、7月1日で同プログラムを終了することが決定されました。さらに、同じく6月の理事会では、次回の7月の理事会で政策金利の0.25%ptの利上げを実施する方針が示され、その後もさらに利上げを続けていく姿勢が示されました。
新興国経済は、2020年後半以降、総じて持ち直しの動きが続いています。IMFによれば、2021年の新興国の実質GDP成長率は、前年の落ち込みの反動から+6.8%と高い成長となりました。また、2022年は+3.6%の成長が見込まれています。
新興国のうち、世界第2位の経済規模を持つ中国では、2022年1-3月期の実質GDP成長率は前年比+4.8%となり、前期から伸びが加速しました。しかし、新型コロナウイルスの感染者数が急増し、ゼロコロナ政策の下、上海などの多くの都市でロックダウンが実施されたことを主因に、4-6月期前半の中国経済は急減速し、4-6月期の実質GDP成長率は前年比+0.4%の低成長となりました。しかし、感染者数の減少を受けてロックダウンが順次解除されたことに加えて、財政・金融政策による下支えもあり、4-6月期後半から、中国経済は再び持ち直しに向かっています。
中国以外の新興国は、総じて見れば持ち直しの動きが続きました。欧米を中心とした主要国経済の回復による外需の拡大が新興国経済を下支えしたことに加え、一部の資源国では、資源価格の上昇が経済を押し上げる要因となりました。一方、高インフレや、米国での金融緩和縮小、金利上昇に伴う資金流出抑制のため、多くの国が利上げを余儀なくされており、新興国でも景気減速のリスクは高まりつつあります。
<日本の状況>日本経済は、新型コロナウイルスの感染動向に大きく左右されつつ、2022年度は回復基調にあります。2022年1-3月期は、感染者数の増加を受けて多くの地域でまん延防止等重点措置が適用されたことに加え、半導体不足による供給制約なども影響し、実質GDP成長率は前期比年率△0.5%と、小幅ながら2四半期ぶりのマイナス成長となりました。しかし、まん延防止等重点措置が解除され、経済活動の正常化が進んだことで、4-6月期には再び経済は回復へと向かいました。ただし、中国の上海でのロックダウンに伴うサプライチェーンの混乱や需要の減少などが足を引っ張り、経済の回復ペースは緩やかなものとなっています。
需要項目ごとに見ると、個人消費は、2022年度に入って持ち直しに向かっています。2022年1-3月期は、感染再拡大に伴い多くの地域でまん延防止等重点措置が適用されたことで、サービス消費の回復に足踏みがみられました。巣ごもり消費の増加は個人消費を下支えしましたが、半導体不足による自動車の供給不足などの影響で耐久財の消費が減少したこともあり、個人消費全体では前期からほぼ横ばいとなりました。その後、まん延防止等重点措置が3月21日を期限に全面解除されたことで、4-6月期に入ってサービス消費を中心に個人消費は持ち直しに向かっています。住宅投資については、資材価格上昇を背景とした価格上昇などにより、2021年後半以降は緩やかに減少傾向が続いています。
企業部門の需要である設備投資は、横ばい圏で推移しています。2022年1-3月期の設備投資は、まん延防止等重点措置に伴う個人消費の減少や、供給制約による生産活動の停滞、さらにはロシアのウクライナ侵攻による先行きの不透明感などが影響し、前期から減少しました。しかし、4-6月期に入って新型コロナウイルスの感染者数が減少し、国内の経済活動が再開される中、設備投資にも再び増加の兆しが見られています。ただし、中国のロックダウンによるサプライチェーン混乱の影響などもあり、4-6月期の設備投資の持ち直しは非常に緩やかなものとなっています。なお、新型コロナウイルス感染症拡大の影響などから2021年に見送られた設備投資の一部は2022年に先送りされているとみられ、日銀短観(2022年6月調査)によれば、2022年度の設備投資計画(含む土地投資額)は、前年比+14.1%と高い伸びが見込まれています。
金融面では、短期金利に加えて長期金利も操作対象とする日本銀行の金融緩和措置が継続しています。ただし、日本経済がコロナ禍による落ち込みから持ち直す中、日本銀行は、2021年12月の政策決定会合で、コロナ禍への対応として導入された社債などの買い入れ増額の一部について2022年3月で終了することを決定しました。日本銀行による緩和的な金融政策が続くものの、2022年に入って米国長期金利が上昇する中、日本の10年国債利回りでも上昇圧力が強まっており、2022年3月頃からは、日本銀行が政策目標とする範囲の上限である0.25%近傍で推移しています。
為替市場をみると、2022年以降、総じて円安傾向で推移しました。米国では高インフレを抑制するためにFRBが利上げを続ける姿勢を示し、長期金利の上昇が続いた一方、日本では日本銀行による低金利政策が維持されたことで、日米金利差が拡大し、対ドルレートは非常に速いペースで円安が進みました。年初時点で115円台だった対ドルレートは、6月には一時137円台とおよそ24年ぶりの円安水準となりました。対ユーロでも同様に、ユーロ圏との金利差拡大を背景に円安が進み、年初時点の130円台から6月には一時144円台まで円安が進みました。
株式市場では、2022年に入って株価は一進一退での推移が続いています。FRBによる利上げ観測が急速に高まったことに加え、ロシアによるウクライナ侵攻による市場センチメントの悪化もあって、日本株式は年初をピークに下落し、年初に29,300円台だった日経平均株価は3月半ばには25,000円を割り込みました。しかし3月後半に入ると、米国株式が一時的に持ち直したことに加えて、円安が急速に進んだことを背景に、日経平均株価も持ち直しました。その後、4-6月期に入ると、米国での金融引き締めや、景気減速懸念によって米国の株価が一進一退となる中、日経平均も上昇・下落を繰り返す不安定な相場展開となりました。
2022年6月末の日経平均株価は26,393円4銭(同年3月末比1,428円39銭安)、10年国債利回りは0.242%(同0.024%ptの上昇)、為替は1ドル136円20銭(同14円56銭の円安)となりました。
(3)事業上及び財務上の対処すべき課題
当第1四半期連結累計期間において、事業上及び財務上の対処すべき課題について、重要な変更及び新たに生じた事項はありません。
(4)研究開発活動
該当事項はありません。
(5)資本の財源及び流動性に係る情報
① 流動性の管理
<財務の効率性と安定性の両立>当社グループは、多くの資産及び負債を用いる有価証券関連業務や、投融資業務を行っており、これらのビジネスを継続する上で十分な流動性を効率的かつ安定的に確保することを資金調達の基本方針としております。
当社グループの資金調達手段には、社債、ミディアム・ターム・ノート、金融機関借入、コマーシャル・ペーパー、コールマネー、預金受入等の無担保調達、現先取引、レポ取引等の有担保調達があり、これらの多様な調達手段を適切に組み合わせることにより、効率的かつ安定的な資金調達の実現を図っております。
財務の安定性という観点では、環境が大きく変動した場合においても、業務の継続に支障をきたすことのないよう、平時から安定的に資金を確保するよう努めると同時に、危機発生等により、新規の資金調達及び既存資金の再調達が困難となる場合も想定し、調達資金の償還期限及び調達先の分散を図っております。
当社は、「金融商品取引法第五十七条の十七第一項の規定に基づき、最終指定親会社が当該最終指定親会社及びその子法人等の経営の健全性を判断するための基準として定める最終指定親会社及びその子法人等の経営の健全性のうち流動性に係る健全性の状況を表示する基準」(平成26年金融庁告示第61号)により連結流動性カバレッジ比率(以下、「LCR」という。)及び連結安定調達比率(以下、「NSFR」という。)を所定の比率(それぞれ100%)以上に維持することが求められており、当第1四半期日次平均のLCRは141.1%です。当第1四半期末のNSFRは所定の比率を上回る見込みとなっております。また、当社は、上記金融庁告示による規制上のLCR及びNSFRのほかに、独自の流動性管理指標を用いた流動性管理態勢を構築しております。即ち、一定期間内に期日が到来する無担保調達資金及び同期間にストレスが発生した場合の資金流出見込額に対し、様々なストレスシナリオを想定したうえで、それらをカバーする流動性ポートフォリオが保持されていることを日次で確認しており、1年間無担保資金調達が行えない場合でも業務の継続が可能となるように取り組んでおります。
当第1四半期日次平均のLCRの状況は次のとおりです。
<グループ全体の資金管理>当社グループでは、グループ全体での適正な流動性確保という基本方針の下、当社が一元的に資金の流動性の管理・モニタリングを行っております。当社は、当社グループ固有のストレス又は市場全体のストレスの発生により新規の資金調達及び既存資金の再調達が困難となる場合も想定し、短期の無担保調達資金について、当社グループの流動性ポートフォリオが十分に確保されているかをモニタリングしております。また、当社は、必要に応じて当社からグループ各社に対し、機動的な資金の配分・供給を行うと共に、グループ内で資金融通を可能とする態勢を整えることで、効率性に基づく一体的な資金調達及び資金管理を行っております。
<コンティンジェンシー・ファンディング・プラン>当社グループは、流動性リスクへの対応の一環として、コンティンジェンシー・ファンディング・プランを策定しております。同プランは、信用力の低下等の内生的要因や金融市場の混乱等の外生的要因によるストレスの逼迫度に応じた報告体制や資金調達手段の確保などの方針を定めており、これにより当社グループは機動的な対応により流動性を確保する態勢を整備しております。
当社グループのコンティンジェンシー・ファンディング・プランは、グループ全体のストレスを踏まえて策定しており、変動する金融環境に機動的に対応するため、定期的な見直しを行っております。
また、金融市場の変動の影響が大きく、その流動性確保の重要性の高い大和証券株式会社、株式会社大和ネクスト銀行及び一部の海外証券子会社においては、更に個別のコンティンジェンシー・ファンディング・プランも策定し、同様に定期的な見直しを行っております。
なお、当社は、子会社のコンティンジェンシー・ファンディング・プランの整備状況について定期的にモニタリングしており、必要に応じて想定すべき危機シナリオを考慮して子会社の資金調達プランやコンティンジェンシー・ファンディング・プランそのものの見直しを行い、更には流動性の積み増しを実行すると同時に資産圧縮を図るといった事前の対策を講じることとしております。
② 株主資本
当社グループが株式や債券、デリバティブ等のトレーディング取引、貸借取引、引受業務、ストラクチャード・ファイナンス、M&A、プリンシパル・インベストメント、証券担保ローン等の有価証券関連業を中心とした幅広い金融サービスを展開し、ハイブリッド型総合証券グループとしての新たな価値の提供に資する投融資を行うためには、十分な資本を確保する必要があります。また、当社グループは、日本のみならず、海外においても有価証券関連業務を行っており、それぞれの地域において法規制上必要な資本を維持しなければなりません。
当第1四半期連結会計期間末の株主資本は、前連結会計年度末比112億円減少し、1兆2,752億円となりました。また、資本金及び資本剰余金の合計は4,778億円となっております。利益剰余金は、親会社株主に帰属する四半期純利益118億円を計上したほか、自己株式の消却を807億円、配当金の支払いを237億円行った結果、前連結会計年度末比924億円減少の8,503億円となりました。自己株式の控除額は、自己株式の消却等を行った結果、同812億円減少し、529億円となっております。
(1)財政状態の分析
<資産の部>当第1四半期連結会計期間末の総資産は前連結会計年度末比1兆2,160億円(4.4%)増加の28兆7,471億円となりました。内訳は流動資産が同1兆1,985億円(4.6%)増加の27兆2,081億円であり、このうち現金・預金が同6,354億円(13.8%)減少の3兆9,569億円、トレーディング商品が同6,259億円(7.8%)増加の8兆6,308億円、営業貸付金が同2,215億円(11.5%)増加の2兆1,553億円、有価証券担保貸付金が同8,719億円(10.4%)増加の9兆2,662億円となっております。固定資産は同175億円(1.2%)増加の1兆5,389億円となっております。
<負債の部・純資産の部>負債合計は前連結会計年度末比1兆1,873億円(4.6%)増加の27兆785億円となりました。内訳は流動負債が同1兆1,045億円(4.8%)増加の24兆497億円であり、このうちトレーディング商品が同9,877億円(20.0%)増加の5兆9,336億円、約定見返勘定が同4,642億円(84.6%)減少の842億円、有価証券担保借入金が同9,435億円(10.0%)増加の10兆4,072億円、また短期借入金が同4,757億円(22.1%)減少の1兆6,800億円となっております。固定負債は同828億円(2.8%)増加の3兆250億円であり、このうち社債が同1,046億円(6.7%)減少の1兆4,589億円、長期借入金が同1,827億円(14.8%)増加の1兆4,197億円となっております。
純資産合計は同287億円(1.8%)増加の1兆6,686億円となりました。資本金及び資本剰余金の合計は4,778億円となりました。利益剰余金は、親会社株主に帰属する四半期純利益を118億円計上したほか、自己株式の消却を807億円、配当金の支払いを237億円行ったこと等により、同924億円(9.8%)減少の8,503億円となっております。自己株式の控除額は、自己株式の消却等を行った結果、同812億円(60.5%)減少の529億円、その他有価証券評価差額金は同51億円(17.4%)減少の244億円、為替換算調整勘定は同351億円(74.4%)増加の824億円、非支配株主持分は同21億円(0.8%)増加の2,596億円となっております。
(2)経営成績の分析
① 事業全体の状況
当第1四半期連結累計期間の営業収益は前年同期比2.1%減の1,466億円、純営業収益は同16.3%減の1,061億円となりました。
受入手数料は670億円と、同13.3%の減収となりました。委託手数料は、マーケット環境の悪化により顧客フローが減少し、同18.6%減の151億円となりました。引受業務では、エクイティや債券引受案件等が減少し、引受け・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の手数料が同49.4%減の53億円となりました。
トレーディング損益は、株券・債券ともにポジション運営で苦戦し収益が減少したことから、同40.7%減の155億円となりました。
販売費・一般管理費は同2.5%増の972億円となりました。取引関係費は支払手数料が増加したことから同14.3%増の174億円、人件費は、円安影響もあり海外の人件費が増加した一方で、国内の賞与が減少したことから同0.2%減の491億円となっております。
以上より、経常利益は同48.2%減の180億円となりました。
これに特別損益を加え、法人税等及び非支配株主に帰属する四半期純利益を差し引いた結果、親会社株主に帰属する四半期純利益は前年同期比49.6%減の118億円となりました。
② セグメント情報に記載された区分ごとの状況
純営業収益及び経常利益をセグメント別に分析した状況は次のとおりであります。
(単位:百万円) | |||||||||
純営業収益 | 経常利益又は経常損失(△) | ||||||||
2021年 6月期 | 2022年 6月期 | 対前年同期 増減率 | 構成比率 | 2021年 6月期 | 2022年 6月期 | 対前年同期 増減率 | 構成比率 | ||
リテール部門 | 47,356 | 40,393 | △14.7% | 38.1% | 10,037 | 6,298 | △37.2% | 28.7% | |
ホールセール部門 | 46,751 | 35,965 | △23.1% | 33.9% | 11,328 | △2,672 | - | - | |
グローバル・マーケッツ | 31,682 | 24,491 | △22.7% | 23.1% | 7,795 | △2,073 | - | - | |
グローバル・インベストメント・バンキング | 15,068 | 11,474 | △23.9% | 10.8% | 3,144 | △1,155 | - | - | |
アセット・マネジメント部門 | 17,352 | 18,605 | 7.2% | 17.5% | 10,000 | 11,173 | 11.7% | 50.9% | |
証券アセット・マネジメント | 11,096 | 11,306 | 1.9% | 10.6% | 5,184 | 5,309 | 2.4% | 24.2% | |
不動産アセット・マネジメント | 6,255 | 7,299 | 16.7% | 6.9% | 4,816 | 5,863 | 21.7% | 26.7% | |
投資部門 | 2,757 | 3,689 | 33.8% | 3.5% | 1,824 | 4,483 | 145.7% | 20.4% | |
その他・調整等 | 12,502 | 7,466 | - | 7.0% | 1,730 | △1,196 | - | - | |
連結 計 | 126,721 | 106,122 | △16.3% | 100.0% | 34,922 | 18,085 | △48.2% | 100.0% |
(注)経常利益又は経常損失(△)の構成比率は、当第1四半期連結累計期間において経常利益であったセグメントの経常利益合計に占める、各セグメントの経常利益の割合としております。
[リテール部門]
リテール部門の主な収益源は、国内の個人投資家及び未上場会社のお客様の資産管理・運用に関する商品・サービスの手数料であり、経営成績に重要な影響を与える要因には、お客様動向を左右する国内外の金融市場及び経済環境の状況に加え、お客様のニーズに合った商品の開発状況や引受け状況及び販売戦略が挙げられます。
当第1四半期連結累計期間においては、エクイティ収益は委託手数料が減少したほか、募集・売出し案件が前年同期に比べて少なかったことに起因する募集手数料収入の減少等により減収となりました。債券収益は募集・売出し案件の減少等により減収となりました。株式投資信託についても、販売額が減少したことから販売手数料収入は減収となりました。
その結果、当第1四半期連結累計期間のリテール部門における純営業収益は前年同期比14.7%減の403億円、経常利益は同37.2%減の62億円となりました。リテール部門の当第1四半期連結累計期間の純営業収益及び経常利益のグループ全体の連結純営業収益及び連結経常利益に占める割合は、それぞれ38.1%及び28.7%でした。
なお、当第1四半期連結累計期間のリテール部門における、新型コロナウイルスの感染拡大による業績への影響は限定的です。
[ホールセール部門]
ホールセール部門は、機関投資家等を対象に有価証券のセールス及びトレーディングを行うグローバル・マーケッツと、事業法人、金融法人等が発行する有価証券の引受けやM&Aアドバイザリー業務を行うグローバル・インベストメント・バンキングによって構成されます。
グローバル・マーケッツの主な収益源は、機関投資家に対する有価証券の売買に伴って得る顧客フロー収益及びトレーディング収益であり、地政学リスクや国際的な経済状況等で変化する市場の動向や、それに伴う顧客フローの変化が、経営成績に重要な影響を与える要因となります。
グローバル・マーケッツは減収減益となりました。エクイティ収益は、市場の不透明感を背景とした顧客フローの減少に加え、ポジション運営も苦戦したことから、減収となりました。フィクストインカム収益は、海外において、金利のボラティリティ上昇を背景に収益機会が増加した一方、国内において、クレジットスプレッドのワイドニングによりクレジット収益が低迷し、また、デリバティブのポジション運営で苦戦したことから、減収となりました。その結果、当第1四半期連結累計期間の純営業収益は244億円(前年同期316億円)、経常損失は20億円(前年同期は77億円の経常利益)となりました。
グローバル・インベストメント・バンキングの主な収益源は、引受業務やM&Aアドバイザリー業務によって得る引受け・売出し手数料とM&A手数料であり、顧客企業の資金調達手段の決定やM&Aの需要を左右する国内外の経済環境等に加え、当社が企業の需要を捉え、案件を獲得できるかどうかが経営成績に重要な影響を与える要因となります。
グローバル・インベストメント・バンキングは減収減益となりました。引受け・売出し手数料は、エクイティ大型公募売出し案件でグローバル・コーディネーターを務め、かつ、多数の債券主幹事案件を積上げた前年同期との比較では、減収となりました。また、M&Aビジネスでは、海外で多数の案件を遂行しました。これらの結果、グローバル・インベストメント・バンキングの純営業収益は114億円(前年同期150億円)、経常損失は11億円(前年同期は31億円の経常利益)となりました。
その結果、当第1四半期連結累計期間のホールセール部門における純営業収益は359億円(前年同期467億円)、経常損失は26億円(前年同期は113億円の経常利益)となりました。ホールセール部門の当第1四半期連結累計期間の純営業収益のグループ全体に占める割合は33.9%でした。
なお、当第1四半期連結累計期間のホールセール部門における、新型コロナウイルスの感染拡大による業績への影響は限定的です。
[アセット・マネジメント部門]
アセット・マネジメント部門は、証券アセット・マネジメントと不動産アセット・マネジメントで構成されます。
証券アセット・マネジメントの主な収益源は、大和アセットマネジメントにおける投資信託の組成と運用に関する報酬です。また、持分法適用関連会社である三井住友DSアセットマネジメントの投資信託の組成と運用及び投資顧問業務に関する報酬からの利益は、持分割合に従って経常利益に計上されます。経営成績に重要な影響を与える要因には、マーケット環境によって変動するお客様の投資信託及び投資顧問サービスへの需要と、マーケット環境に対するファンドの運用パフォーマンスや、お客様の関心を捉えたテーマ性のある商品開発等による商品自体の訴求性が挙げられます。
証券アセット・マネジメントは増収増益となりました。大和アセットマネジメントでは、時価の下落により、公募投資信託の運用資産残高は前連結会計年度末比4.5%減の20.7兆円となりましたが、期中平均残高は前年同期を上回り、当第1四半期累計期間の純営業収益は前年同期比1.9%増の113億円、経常利益は同2.4%増の53億円となりました。
不動産アセット・マネジメントの主な収益源は、大和リアル・エステート・アセット・マネジメント、大和証券オフィス投資法人及びサムティ・レジデンシャル投資法人の不動産運用収益です。また、持分法適用関連会社であるサムティ株式会社及び大和証券リビング投資法人の不動産運用収益からの利益は持分割合に従って経常利益に計上されます。経営成績に重要な影響を与える要因には、国内の不動産市場・オフィス需要の動向が挙げられます。
不動産アセット・マネジメントは増収増益となりました。大和リアル・エステート・アセット・マネジメント及びサムティ・レジデンシャル投資法人の2社を合わせた運用資産残高は前連結会計年度末比2.0%増の1兆3,049億円となりました。その結果、当第1四半期累計期間の純営業収益は前年同期比16.7%増の72億円、経常利益は同21.7%増の58億円となりました。
当第1四半期連結累計期間のアセット・マネジメント部門における純営業収益は前年同期比7.2%増の186億円、経常利益は同11.7%増の111億円となりました。アセット・マネジメント部門の当第1四半期連結累計期間の純営業収益及び経常利益のグループ全体の連結純営業収益及び連結経常利益に占める割合は、それぞれ17.5%及び50.9%でした。
なお、当第1四半期連結累計期間のアセット・マネジメント部門における、新型コロナウイルスの感染拡大による業績への影響は限定的です。
[投資部門]
投資部門は主に、大和企業投資、大和PIパートナーズ及び大和エナジー・インフラで構成されます。投資部門の主な収益源は、投資先の新規上場(IPO)・M&A等による売却益や、投資事業組合への出資を通じたキャピタルゲインのほか、契約に基づきファンドから受領する、管理運営に対する管理報酬や投資成果に応じた成功報酬、株式への配当、売電収入などのインカムゲインです。
当第1四半期連結累計期間において、大和企業投資では、国内外の成長企業への投資や上場支援に貢献しながら、投資先の売却益により収益を確保しました。また、大和PIパートナーズでは、ローン、不良債権、不動産、国内外のPE投資を着実に実行し、大和エナジー・インフラでは、太陽光発電所の取得など、持続可能な開発目標(SDGs)に資するエネルギー・インフラ関連投資を拡大しながら、インカムゲイン及びキャピタルゲインを計上しました。
その結果、当第1四半期連結累計期間の投資部門における純営業収益は前年同期比33.8%増の36億円、経常利益は同145.7%増の44億円となりました。投資部門の当第1四半期連結累計期間の純営業収益及び経常利益のグループ全体の連結純営業収益及び連結経常利益に占める割合は、それぞれ3.5%及び20.4%でした。
なお、新型コロナウイルス感染症を起因とする投資先の株価下落や業績悪化等による、当第1四半期連結累計期間の投資部門における業績への影響は限定的です。
[その他]
その他の事業には、主に大和総研によるリサーチ・コンサルティング業務及びシステム業務のほか、大和ネクスト銀行による銀行業務などが含まれます。
大和総研は、当社グループのシステム開発を着実に遂行したほか、高付加価値のソリューション提案により、お客様との関係を強化したこと、また、大口顧客向けシステム開発案件を手掛けたこと等により、当社グループの収益に貢献しました。
大和ネクスト銀行では、引き続き、銀行代理業者である大和証券と連携して各種キャンペーンを実施しました。当第1四半期連結会計期間末の預金残高(譲渡性預金含む)は前連結会計年度末比1.1%減の4兆1,515億円、銀行口座数は同1.3%増の158万口座となりました。
当第1四半期連結累計期間において、その他セグメントに属する一部のグループ会社の収益が前年同期比で減少したため、その他・調整等に係る純営業収益は74億円(前年同期125億円)、経常損失は11億円(前年同期は17億円の経常利益)となりました。その他・調整等の当第1四半期連結累計期間の純営業収益のグループ全体の連結純営業収益に占める割合は7.0%でした。
なお、当第1四半期連結累計期間のその他・調整等における、新型コロナウイルスの感染拡大による業績への影響は限定的です。
③ 経営方針・経営戦略等及び経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当第1四半期連結累計期間において、経営方針・経営戦略等及び経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等について、第85期有価証券報告書の「目標とする経営指標の達成状況等」に記載した経営指標から重要な変更及び新たに生じた事項はありません。
④ 経営成績の前提となる当第1四半期連結累計期間のマクロ経済環境
<海外の状況>世界経済は、2020年前半の新型コロナウイルスの感染拡大による落ち込みからの回復局面が依然として続いていますが、経済の正常化が進むにしたがってその改善ペースは鈍化しつつあります。IMF(国際通貨基金)が2022年7月に公表した世界経済見通しによれば、2020年の大幅な落ち込みからの反動もあり、2021年の世界経済成長率は+6.1%と、IMFが成長率を公表する1980年以降で最も高い成長となりました。一方、2022年の世界経済成長率は+3.2%へと低下することが見込まれています。世界的にコロナ禍で落ち込んだサービス活動の回復が継続すると見込まれる一方、歴史的に高いインフレ率や、それに対応するための当局による金融引き締めが、景気拡大ペースを抑制すると予想されています。また、2022年初に始まったロシアによるウクライナへの侵攻を契機とした地政学的リスクの高まりは、世界経済における新たなリスクとなっています。
米国経済は、回復傾向が続いているものの、そのペースが鈍化しつつあります。2022年1-3月期の実質GDP成長率は、前期比年率△1.6%と2020年4-6月期以来のマイナス成長となりました。国内最終需要については前期から伸びが加速する一方、世界的な半導体不足などの供給制約を背景とした輸出の伸び悩みや、輸入の増加及び在庫調整が、GDPを押し下げました。また、好調だった国内最終需要のなかでも、個人消費及び住宅投資については前期から伸びが鈍化しました。これは、記録的なペースでの物価上昇が続く中、消費者マインドの悪化が個人消費の抑制につながっていることに加えて、金利の上昇が住宅投資を抑制したものです。4-6月期に入ってもインフレ率は非常に高い状態が続いていることに加えて、株価の下落基調が続いていることもあり、個人消費を中心とした内需の減速傾向が継続し、4-6月期の実質GDP成長率は、前期比年率△0.9%と2四半期連続で低下しました。
金融面では、FRB(連邦準備制度理事会)は、コロナ禍以降続けてきた緩和的な金融政策を終了し、金融緩和の縮小、金融引き締めへと姿勢を転換しています。FRBは、米国経済がコロナ禍による落ち込みから回復してきていることを受けて、2021年11月のFOMC(連邦公開市場委員会)で量的緩和の縮小開始を決定し、コロナ禍以降続いてきたFRBによるバランスシートの拡大は、2022年2月に停止されました。また、米国のインフレ率が目標である2%を大幅に上回っていることを背景に、2022年3月のFOMCでは政策金利が0.25%pt引き上げられ、2020年3月以降続いてきた実質的なゼロ金利政策が終了しました。続く5月のFOMCでは、0.50%ptの利上げに加えて、バランスシートの縮小の開始が決定されました。6月のFOMCでは、3会合連続での利上げが決定され、利上げ幅も0.75%ptへとさらに拡大しました。
欧州経済(ユーロ圏経済)は、緩やかな回復基調が続いています。2021年末にかけて、欧州では新型コロナウイルスの感染拡大による行動制限が経済の下押し要因となっていましたが、2022年に入ると行動制限が緩和され、経済への下押し圧力は弱まりました。一方で、2月下旬に開始したロシアによるウクライナ侵攻に伴うマインドの悪化やエネルギー価格の高騰が、個人消費や企業活動を鈍らせる要因となりました。2022年1-3月期の実質GDP成長率は、輸入の減少を主因に前期比年率+2.0%と伸びが加速しましたが、国内需要については前期から伸びが鈍化し、小幅な増加にとどまりました。ウクライナを巡る問題は4-6月期に入っても解決せず、とりわけロシアからの禁輸措置によるエネルギーの供給不安が、企業活動を鈍らせる要因になっています。4-6月期の実質GDP成長率は前期比年率+2.8%とプラス成長が続いたものの、エネルギー価格の高騰を主因とした高インフレは企業や家計への打撃となっており、先行きに対する不透明感が増しています。
金融面では、ECB(欧州中央銀行)はコロナ禍以降の金融緩和から正常化へと舵を切りつつあります。2021年12月のECB理事会では、コロナ禍で新設されたパンデミック緊急購入プログラムによる資産の買い入れを2022年3月に終了することが決定されました。また、インフレが加速する中、2022年3月のECB理事会では、コロナ禍以前から実施されてきた資産買入プログラムについても終了を前倒しする方針が示され、6月の理事会では、7月1日で同プログラムを終了することが決定されました。さらに、同じく6月の理事会では、次回の7月の理事会で政策金利の0.25%ptの利上げを実施する方針が示され、その後もさらに利上げを続けていく姿勢が示されました。
新興国経済は、2020年後半以降、総じて持ち直しの動きが続いています。IMFによれば、2021年の新興国の実質GDP成長率は、前年の落ち込みの反動から+6.8%と高い成長となりました。また、2022年は+3.6%の成長が見込まれています。
新興国のうち、世界第2位の経済規模を持つ中国では、2022年1-3月期の実質GDP成長率は前年比+4.8%となり、前期から伸びが加速しました。しかし、新型コロナウイルスの感染者数が急増し、ゼロコロナ政策の下、上海などの多くの都市でロックダウンが実施されたことを主因に、4-6月期前半の中国経済は急減速し、4-6月期の実質GDP成長率は前年比+0.4%の低成長となりました。しかし、感染者数の減少を受けてロックダウンが順次解除されたことに加えて、財政・金融政策による下支えもあり、4-6月期後半から、中国経済は再び持ち直しに向かっています。
中国以外の新興国は、総じて見れば持ち直しの動きが続きました。欧米を中心とした主要国経済の回復による外需の拡大が新興国経済を下支えしたことに加え、一部の資源国では、資源価格の上昇が経済を押し上げる要因となりました。一方、高インフレや、米国での金融緩和縮小、金利上昇に伴う資金流出抑制のため、多くの国が利上げを余儀なくされており、新興国でも景気減速のリスクは高まりつつあります。
<日本の状況>日本経済は、新型コロナウイルスの感染動向に大きく左右されつつ、2022年度は回復基調にあります。2022年1-3月期は、感染者数の増加を受けて多くの地域でまん延防止等重点措置が適用されたことに加え、半導体不足による供給制約なども影響し、実質GDP成長率は前期比年率△0.5%と、小幅ながら2四半期ぶりのマイナス成長となりました。しかし、まん延防止等重点措置が解除され、経済活動の正常化が進んだことで、4-6月期には再び経済は回復へと向かいました。ただし、中国の上海でのロックダウンに伴うサプライチェーンの混乱や需要の減少などが足を引っ張り、経済の回復ペースは緩やかなものとなっています。
需要項目ごとに見ると、個人消費は、2022年度に入って持ち直しに向かっています。2022年1-3月期は、感染再拡大に伴い多くの地域でまん延防止等重点措置が適用されたことで、サービス消費の回復に足踏みがみられました。巣ごもり消費の増加は個人消費を下支えしましたが、半導体不足による自動車の供給不足などの影響で耐久財の消費が減少したこともあり、個人消費全体では前期からほぼ横ばいとなりました。その後、まん延防止等重点措置が3月21日を期限に全面解除されたことで、4-6月期に入ってサービス消費を中心に個人消費は持ち直しに向かっています。住宅投資については、資材価格上昇を背景とした価格上昇などにより、2021年後半以降は緩やかに減少傾向が続いています。
企業部門の需要である設備投資は、横ばい圏で推移しています。2022年1-3月期の設備投資は、まん延防止等重点措置に伴う個人消費の減少や、供給制約による生産活動の停滞、さらにはロシアのウクライナ侵攻による先行きの不透明感などが影響し、前期から減少しました。しかし、4-6月期に入って新型コロナウイルスの感染者数が減少し、国内の経済活動が再開される中、設備投資にも再び増加の兆しが見られています。ただし、中国のロックダウンによるサプライチェーン混乱の影響などもあり、4-6月期の設備投資の持ち直しは非常に緩やかなものとなっています。なお、新型コロナウイルス感染症拡大の影響などから2021年に見送られた設備投資の一部は2022年に先送りされているとみられ、日銀短観(2022年6月調査)によれば、2022年度の設備投資計画(含む土地投資額)は、前年比+14.1%と高い伸びが見込まれています。
金融面では、短期金利に加えて長期金利も操作対象とする日本銀行の金融緩和措置が継続しています。ただし、日本経済がコロナ禍による落ち込みから持ち直す中、日本銀行は、2021年12月の政策決定会合で、コロナ禍への対応として導入された社債などの買い入れ増額の一部について2022年3月で終了することを決定しました。日本銀行による緩和的な金融政策が続くものの、2022年に入って米国長期金利が上昇する中、日本の10年国債利回りでも上昇圧力が強まっており、2022年3月頃からは、日本銀行が政策目標とする範囲の上限である0.25%近傍で推移しています。
為替市場をみると、2022年以降、総じて円安傾向で推移しました。米国では高インフレを抑制するためにFRBが利上げを続ける姿勢を示し、長期金利の上昇が続いた一方、日本では日本銀行による低金利政策が維持されたことで、日米金利差が拡大し、対ドルレートは非常に速いペースで円安が進みました。年初時点で115円台だった対ドルレートは、6月には一時137円台とおよそ24年ぶりの円安水準となりました。対ユーロでも同様に、ユーロ圏との金利差拡大を背景に円安が進み、年初時点の130円台から6月には一時144円台まで円安が進みました。
株式市場では、2022年に入って株価は一進一退での推移が続いています。FRBによる利上げ観測が急速に高まったことに加え、ロシアによるウクライナ侵攻による市場センチメントの悪化もあって、日本株式は年初をピークに下落し、年初に29,300円台だった日経平均株価は3月半ばには25,000円を割り込みました。しかし3月後半に入ると、米国株式が一時的に持ち直したことに加えて、円安が急速に進んだことを背景に、日経平均株価も持ち直しました。その後、4-6月期に入ると、米国での金融引き締めや、景気減速懸念によって米国の株価が一進一退となる中、日経平均も上昇・下落を繰り返す不安定な相場展開となりました。
2022年6月末の日経平均株価は26,393円4銭(同年3月末比1,428円39銭安)、10年国債利回りは0.242%(同0.024%ptの上昇)、為替は1ドル136円20銭(同14円56銭の円安)となりました。
(3)事業上及び財務上の対処すべき課題
当第1四半期連結累計期間において、事業上及び財務上の対処すべき課題について、重要な変更及び新たに生じた事項はありません。
(4)研究開発活動
該当事項はありません。
(5)資本の財源及び流動性に係る情報
① 流動性の管理
<財務の効率性と安定性の両立>当社グループは、多くの資産及び負債を用いる有価証券関連業務や、投融資業務を行っており、これらのビジネスを継続する上で十分な流動性を効率的かつ安定的に確保することを資金調達の基本方針としております。
当社グループの資金調達手段には、社債、ミディアム・ターム・ノート、金融機関借入、コマーシャル・ペーパー、コールマネー、預金受入等の無担保調達、現先取引、レポ取引等の有担保調達があり、これらの多様な調達手段を適切に組み合わせることにより、効率的かつ安定的な資金調達の実現を図っております。
財務の安定性という観点では、環境が大きく変動した場合においても、業務の継続に支障をきたすことのないよう、平時から安定的に資金を確保するよう努めると同時に、危機発生等により、新規の資金調達及び既存資金の再調達が困難となる場合も想定し、調達資金の償還期限及び調達先の分散を図っております。
当社は、「金融商品取引法第五十七条の十七第一項の規定に基づき、最終指定親会社が当該最終指定親会社及びその子法人等の経営の健全性を判断するための基準として定める最終指定親会社及びその子法人等の経営の健全性のうち流動性に係る健全性の状況を表示する基準」(平成26年金融庁告示第61号)により連結流動性カバレッジ比率(以下、「LCR」という。)及び連結安定調達比率(以下、「NSFR」という。)を所定の比率(それぞれ100%)以上に維持することが求められており、当第1四半期日次平均のLCRは141.1%です。当第1四半期末のNSFRは所定の比率を上回る見込みとなっております。また、当社は、上記金融庁告示による規制上のLCR及びNSFRのほかに、独自の流動性管理指標を用いた流動性管理態勢を構築しております。即ち、一定期間内に期日が到来する無担保調達資金及び同期間にストレスが発生した場合の資金流出見込額に対し、様々なストレスシナリオを想定したうえで、それらをカバーする流動性ポートフォリオが保持されていることを日次で確認しており、1年間無担保資金調達が行えない場合でも業務の継続が可能となるように取り組んでおります。
当第1四半期日次平均のLCRの状況は次のとおりです。
(単位:億円) | |||
日次平均 (自 2022年4月 至 2022年6月) | |||
適格流動資産 | (A) | 24,470 | |
資金流出額 | (B) | 36,422 | |
資金流入額 | (C) | 19,083 | |
連結流動性カバレッジ比率(LCR) | |||
算入可能適格流動資産の合計額 | (D) | 24,470 | |
純資金流出額 | (E) | 17,338 | |
連結流動性カバレッジ比率 | (D)/(E) | 141.1% |
<グループ全体の資金管理>当社グループでは、グループ全体での適正な流動性確保という基本方針の下、当社が一元的に資金の流動性の管理・モニタリングを行っております。当社は、当社グループ固有のストレス又は市場全体のストレスの発生により新規の資金調達及び既存資金の再調達が困難となる場合も想定し、短期の無担保調達資金について、当社グループの流動性ポートフォリオが十分に確保されているかをモニタリングしております。また、当社は、必要に応じて当社からグループ各社に対し、機動的な資金の配分・供給を行うと共に、グループ内で資金融通を可能とする態勢を整えることで、効率性に基づく一体的な資金調達及び資金管理を行っております。
<コンティンジェンシー・ファンディング・プラン>当社グループは、流動性リスクへの対応の一環として、コンティンジェンシー・ファンディング・プランを策定しております。同プランは、信用力の低下等の内生的要因や金融市場の混乱等の外生的要因によるストレスの逼迫度に応じた報告体制や資金調達手段の確保などの方針を定めており、これにより当社グループは機動的な対応により流動性を確保する態勢を整備しております。
当社グループのコンティンジェンシー・ファンディング・プランは、グループ全体のストレスを踏まえて策定しており、変動する金融環境に機動的に対応するため、定期的な見直しを行っております。
また、金融市場の変動の影響が大きく、その流動性確保の重要性の高い大和証券株式会社、株式会社大和ネクスト銀行及び一部の海外証券子会社においては、更に個別のコンティンジェンシー・ファンディング・プランも策定し、同様に定期的な見直しを行っております。
なお、当社は、子会社のコンティンジェンシー・ファンディング・プランの整備状況について定期的にモニタリングしており、必要に応じて想定すべき危機シナリオを考慮して子会社の資金調達プランやコンティンジェンシー・ファンディング・プランそのものの見直しを行い、更には流動性の積み増しを実行すると同時に資産圧縮を図るといった事前の対策を講じることとしております。
② 株主資本
当社グループが株式や債券、デリバティブ等のトレーディング取引、貸借取引、引受業務、ストラクチャード・ファイナンス、M&A、プリンシパル・インベストメント、証券担保ローン等の有価証券関連業を中心とした幅広い金融サービスを展開し、ハイブリッド型総合証券グループとしての新たな価値の提供に資する投融資を行うためには、十分な資本を確保する必要があります。また、当社グループは、日本のみならず、海外においても有価証券関連業務を行っており、それぞれの地域において法規制上必要な資本を維持しなければなりません。
当第1四半期連結会計期間末の株主資本は、前連結会計年度末比112億円減少し、1兆2,752億円となりました。また、資本金及び資本剰余金の合計は4,778億円となっております。利益剰余金は、親会社株主に帰属する四半期純利益118億円を計上したほか、自己株式の消却を807億円、配当金の支払いを237億円行った結果、前連結会計年度末比924億円減少の8,503億円となりました。自己株式の控除額は、自己株式の消却等を行った結果、同812億円減少し、529億円となっております。