四半期報告書-第85期第2四半期(令和3年7月1日-令和3年9月30日)
本項における将来に関する事項は、別段の記載がない限り、当第2四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)財政状態の分析
<資産の部>当第2四半期連結会計期間末の総資産は前連結会計年度末比5,885億円(2.3%)減少の25兆5,108億円となりました。内訳は流動資産が同6,053億円(2.5%)減少の24兆409億円であり、このうち現金・預金が同823億円(1.7%)減少の4兆6,808億円、トレーディング商品が同1兆92億円(12.9%)減少の6兆8,248億円、営業貸付金が同577億円(2.9%)減少の1兆9,383億円、有価証券担保貸付金が同3,845億円(5.2%)増加の7兆8,328億円となっております。固定資産は同168億円(1.2%)増加の1兆4,698億円となっております。
<負債の部・純資産の部>負債合計は前連結会計年度末比6,090億円(2.5%)減少の23兆8,984億円となりました。内訳は流動負債が同2,640億円(1.2%)減少の20兆9,552億円であり、このうちトレーディング商品が同4,405億円(10.1%)減少の3兆9,273億円、有価証券担保借入金が同4,141億円(5.1%)増加の8兆5,902億円、銀行業における預金が同1,246億円(2.8%)減少の4兆2,914億円となっております。固定負債は同3,450億円(10.5%)減少の2兆9,394億円であり、このうち社債が同560億円(3.6%)減少の1兆5,013億円、長期借入金が同2,916億円(18.4%)減少の1兆2,952億円となっております。
純資産合計は同205億円(1.3%)増加の1兆6,123億円となりました。資本金及び資本剰余金の合計は4,779億円となりました。利益剰余金は親会社株主に帰属する四半期純利益を502億円計上したほか、配当金380億円の支払いを行ったこと等により、同119億円(1.3%)増加の9,236億円となっております。自己株式の控除額は同80億円(7.5%)増加の1,157億円、その他有価証券評価差額金は同37億円(9.0%)増加の453億円、為替換算調整勘定は同47億円増加の176億円、非支配株主持分は同94億円(3.8%)増加の2,585億円となっております。
(2)経営成績の分析
① 事業全体の状況
当第2四半期連結累計期間の営業収益は前年同期比18.4%増の3,045億円、純営業収益は同18.5%増の2,559億円となりました。
受入手数料は1,602億円と、同24.7%の増収となりました。委託手数料は、株式取引が増加したことにより、同13.6%増の381億円となりました。引受業務では、債券引受案件等が増加し、引受け・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の手数料は、同8.2%増の204億円となりました。
トレーディング損益は、米州における債券収益が減少したこと等により、同5.0%減の521億円となりました。
販売費・一般管理費は前年同期比7.7%増の1,934億円となりました。取引関係費は支払手数料が増加し同9.7%増の303億円、人件費は主に国内外における賞与が増加したことから同10.3%増の1,010億円となっております。
以上より、経常利益は同59.4%増の719億円となりました。
これに特別損益を加え、法人税等及び非支配株主に帰属する四半期純利益を差し引いた結果、親会社株主に帰属する四半期純利益は前年同期比53.0%増の502億円となりました。
② セグメント情報に記載された区分ごとの状況
純営業収益及び経常利益をセグメント別に分析した状況は次のとおりであります。
[リテール部門]
リテール部門の主な収益源は、国内の個人投資家及び未上場会社のお客様の資産管理・運用に関する商品・サービスの手数料であり、経営成績に重要な影響を与える要因には、お客様動向を左右する国内外の金融市場及び経済環境の状況に加え、お客様のニーズに合った商品の開発状況や引受け状況及び販売戦略が挙げられます。
当第2四半期連結累計期間においては、エクイティ収益は、新型コロナウイルスの感染拡大に起因する前年同期のマーケット下落時に比べてお客様のアクティビティが拡大したことにより、増加しました。債券収益は、大型の債券引受案件があったことにより増加しました。投資信託は、投信フレックスプランの効果も寄与し、販売額が拡大した結果、募集手数料、代理事務手数料ともに増加しました。また、契約額の増加等により、ラップ口座サービスの契約資産残高は過去最高となりました。
収益の増加に対し販売費・一般管理費は前年と同水準に抑えられた結果、当第2四半期連結累計期間のリテール部門における純営業収益は前年同期比27.9%増の970億円、経常利益は同12.7倍の224億円となりました。リテール部門の当第2四半期連結累計期間の純営業収益及び経常利益のグループ全体の連結純営業収益及び連結経常利益に占める割合は、それぞれ37.9%及び31.1%でした。
[ホールセール部門]
ホールセール部門は、機関投資家等を対象に有価証券のセールス及びトレーディングを行うグローバル・マーケッツと、事業法人、金融法人等が発行する有価証券の引受け、M&Aアドバイザリー業務や上場コンサルティング業務を行うグローバル・インベストメント・バンキングによって構成されます。
グローバル・マーケッツの主な収益源は、機関投資家に対する有価証券の売買に伴って得る取引手数料及びトレーディング収益であり、地政学リスクや国際的な経済状況等で変化する市場の動向や、それに伴う顧客フローの変化が、経営成績に重要な影響を与える要因となります。
グローバル・マーケッツは減収減益となりました。エクイティ収益は、国内株式及び外国株式の相場上昇を背景に投資家のアクティビティが増加したことから増収となりました。フィクストインカム収益は、ボラティリティの低下により国内外での収益機会が減少したため、債券市場が活況を呈した前年同期比では減収となりました。その結果、当第2四半期連結累計期間の純営業収益は前年同期比18.2%減の642億円、経常利益は同43.8%減の166億円となりました。
グローバル・インベストメント・バンキングの主な収益源は、引受業務やM&Aアドバイザリー業務によって得る引受け・売出し手数料とM&A手数料であり、顧客企業の資金調達手段の決定やM&Aの需要を左右する国内外の経済環境等に加え、当社が企業の需要を捉え、案件を獲得できるかどうかが経営成績に重要な影響を与える要因となります。
グローバル・インベストメント・バンキングは増収増益となりました。引受け・売出し手数料は、多数の債券主幹事案件を積上げたことなどから増収となりました。またM&Aビジネスでは、国内外で多数の案件を遂行したことにより、増収となりました。これらの結果、当第2四半期連結累計期間の純営業収益は前年同期比61.0%増の331億円、経常利益は同143.3%増の65億円となりました。
その結果、当第2四半期連結累計期間のホールセール部門における純営業収益は前年同期比1.7%減の973億円、経常利益は同26.7%減の239億円となりました。ホールセール部門の当第2四半期連結累計期間の純営業収益及び経常利益のグループ全体の連結純営業収益及び連結経常利益に占める割合は、それぞれ38.0%及び33.3%でした。
なお、当第2四半期連結累計期間のホールセール部門における、新型コロナウイルスの感染拡大による業績への影響は限定的です。
[アセット・マネジメント部門]
アセット・マネジメント部門は、証券アセット・マネジメントと不動産アセット・マネジメントで構成されます。
証券アセット・マネジメントの主な収益源は、当社連結子会社の大和アセットマネジメントにおける投資信託の組成と運用に関する報酬です。また、当社持分法適用関連会社である三井住友DSアセットマネジメントの投資信託の組成と運用及び投資顧問業務に関する報酬からの利益は持分割合に従って経常利益に計上されます。経営成績に重要な影響を与える要因には、マーケット環境によって変動するお客様の投資信託及び投資顧問サービスへの需要と、マーケット環境に対するファンドの運用パフォーマンスや、お客様の関心を捉えたテーマ性のある商品開発等による商品自体の訴求性が挙げられます。
証券アセット・マネジメントは増収増益となりました。大和アセットマネジメントでは、R&Iファンド大賞において表彰された複数のファンド、NISA、iDeCo向け資産形成型商品やETFなど、投資家の資産形成ステージに応じた商品を提供しており、運用資産残高を拡大させた結果、公募投資信託の運用資産残高は前連結会計年度末比4.4%増の21兆9,190億円となりました。その結果、当第2四半期累計期間の純営業収益は前年同期比19.2%増の224億円、経常利益は同54.5%増の109億円となりました。
不動産アセット・マネジメントの主な収益源は、当社連結子会社の大和リアル・エステート・アセット・マネジメント、大和証券オフィス投資法人等及びサムティ・レジデンシャル投資法人の不動産運用収益です。また、当社持分法適用関連会社であるサムティ株式会社及び大和証券リビング投資法人の不動産運用収益からの利益は持分割合に従って経常利益に計上されます。経営成績に重要な影響を与える要因には、国内の不動産市場・オフィス需要の動向が挙げられます。
不動産アセット・マネジメントは増収増益となりました。前連結会計年度末の大和証券オフィス投資法人の連結子会社化に伴い、第1四半期連結会計期間の期首より同社の利益の100%を経常利益へ取り込んでいます。また、大和リアル・エステート・アセット・マネジメントが運用する不動産投資法人等及びサムティ・レジデンシャル投資法人を合わせた運用資産残高は前連結会計年度末比3.0%増の1兆2,490億円となりました。その結果、当第2四半期累計期間の純営業収益は前年同期比106.2%増の125億円、経常利益は同48.6%増の117億円となりました。
当第2四半期連結累計期間のアセット・マネジメント部門における純営業収益は前年同期比40.4%増の350億円、経常利益は同51.4%増の227億円となりました。アセット・マネジメント部門の当第2四半期連結累計期間の純営業収益及び経常利益のグループ全体の連結純営業収益及び連結経常利益に占める割合は、それぞれ13.7%及び31.6%でした。なお、当第2四半期連結累計期間のアセット・マネジメント部門における、新型コロナウイルスの感染拡大による業績への影響は限定的です。
[投資部門]
投資部門は主に、連結子会社である大和企業投資、大和PIパートナーズ及び大和エナジー・インフラで構成されます。投資部門の主な収益源は、投資先の新規上場(IPO)・M&A等による売却益や、投資事業組合への出資を通じたキャピタルゲインのほか、契約に基づきファンドから受領する、管理運営に対する管理報酬や投資成果に応じた成功報酬です。
当第2四半期連結累計期間において、大和企業投資では、国内外の成長企業への投資や上場支援に貢献しながら、投資先の売却益により収益を確保しました。また、大和PIパートナーズでは、ローン、不良債権、不動産、国内外のPE投資を着実に実行し、大和エナジー・インフラでは、蓄電池分野や通信事業への出資を行うなど、持続可能な開発目標(SDGs)に資するエネルギー・インフラ関連投資を拡大しながら、インカムゲイン及びキャピタルゲインを計上しました。しかしながら、当第2四半期連結累計期間においては、既存投資の再評価に伴う損失を計上した結果、減収減益となりました。
その結果、当第2四半期連結累計期間の投資部門における純営業収益は前年同期比19.1%減の37億円、経常利益は同42.0%減の13億円となりました。投資部門の当第2四半期連結累計期間の純営業収益及び経常利益のグループ全体の連結純営業収益及び連結経常利益に占める割合は、それぞれ1.5%及び1.9%でした。なお、新型コロナウイルス感染症の影響に伴い、航空需要の低下が長期化していることを踏まえて、航空機関連投資の一部について再評価を実施し、貸倒引当金を追加計上しております。
[その他]
その他の事業には、主に大和総研によるリサーチ・コンサルティング業務及びシステム業務のほか、大和ネクスト銀行による銀行業務などが含まれます。
大和総研は、当社グループのシステム開発を着実に遂行したほか、高付加価値のソリューション提案により、お客様との関係を強化したこと、また、大口顧客向けシステム開発案件を手掛けたこと等により、当社グループの収益に貢献しました。
大和ネクスト銀行では、引き続き、銀行代理業者である大和証券と連携して各種キャンペーンを実施しました。当第2四半期連結会計期間末の預金残高(譲渡性預金含む)は前連結会計年度末比2.9%減の4兆2,987億円、銀行口座数は同2.2%増の153万口座となりました。当第2四半期連結累計期間の業績は、金融収支が改善した結果、増収増益となりました。
その結果、その他・調整等に係る純営業収益は227億円(前年同期113億円)、経常利益は14億円(前年同期は66億円の経常損失)となりました。その他・調整等の当第2四半期連結累計期間の純営業収益及び経常利益のグループ全体の連結純営業収益及び連結経常利益に占める割合は、それぞれ8.9%及び2.0%でした。
なお、当第2四半期連結累計期間のその他・調整等における、新型コロナウイルスの感染拡大による業績への影響は限定的です。
③ 経営方針・経営戦略等及び経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当第2四半期連結累計期間において、経営方針・経営戦略等及び経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等について、第84期有価証券報告書の「目標とする経営指標の達成状況等」に記載した経営指標から重要な変更及び新たに生じた事項はありません。
④ 経営成績の前提となる当第2四半期連結累計期間のマクロ経済環境
<海外の状況>新型コロナウイルスの感染拡大により2020年初から急激に悪化した世界経済は、2020年後半以降、持ち直しへと向かっています。IMF(国際通貨基金)が2021年10月に公表した世界経済見通しによれば、2020年は先進国、新興国ともにマイナス成長に転じ、世界経済成長率は△3.1%とリーマン・ショック時を上回る大幅なマイナス成長となりました。一方、2021年は、世界的に新型コロナウイルスワクチンの普及が進みつつあることに加えて、前年の落ち込みからの反動もあり+5.9%と高い成長が見込まれています。もっとも、世界経済は最悪期を脱しつつも、引き続き新型コロナウイルスの感染状況に左右される不安定な状況が続いています。
米国経済は、2020年後半以降、回復傾向が続いています。新型コロナウイルスの感染拡大以降、政府が実行してきた経済対策が下支えとなったことに加えて、2021年に入って新型コロナウイルスワクチンの接種が順調に進む中、政府による行動規制が緩和されたことで、2021年1-3月期の実質GDP成長率は前期比年率+6.3%となりました。4-6月期に入ると経済再開の動きが一層進展したことに加えて、2021年1月に発足したバイデン政権が3月に成立させた追加経済対策による家計所得の増加が個人消費を後押ししました。個人消費の増加を主因に4-6月期の実質GDP成長率は前期比年率+6.7%と前期から加速し、実質GDPはコロナ禍前の水準を回復しました。7-9月期には変異株によって新型コロナウイルスの感染が再拡大し、経済の再開は足踏みすることになりましたが、雇用環境の回復が継続する中、実質GDP成長率は前期比年率+2.0%と前期から鈍化しつつも5四半期連続のプラス成長となりました。
金融面では、FRB(連邦準備制度理事会)がコロナ禍への対応として復活させたゼロ金利政策が続き、緩和的な環境が継続しています。また、FRBは経済が十分に回復するまでバランスシートの拡大を続けることを約束しており、量的緩和政策も継続されています。ただし、2021年に入ってインフレ率がFRBの目標とする2%を大きく上回って推移していることに加えて、雇用環境の改善が続いてきたことを受けて、2021年9月のFOMCでは、近いうちに量的緩和の縮小を開始する可能性があることが示されました。
欧州経済(ユーロ圏経済)は、新型コロナウイルス感染症による落ち込みから持ち直しつつあります。2020年後半からの感染再拡大を受け、ドイツ、フランスなど、多くの国で2度目のロックダウンを余儀なくされたことから、ユーロ圏経済は、2020年10-12月期、2021年1-3月期は2四半期連続のマイナス成長となりました。一方、4-6月期に入ると、新型コロナワクチンの接種が進展する中、行動制限が緩和されたことで、ユーロ圏経済は持ち直しへと向かっています。4―6月期の実質GDP成長率は前期比年率+8.7%と3四半期ぶりのプラス成長に転じ、続く7-9月期も前期比年率+9.1%と2四半期連続のプラス成長となりました。
金融面では、ECB(欧州中央銀行)による金融緩和が続いています。新型コロナウイルス感染症対応のための資産買い取りプログラムは「少なくとも2022年3月まで」継続するとされており、ECBは緩和的な金融政策を当面続けることを約束しています。ただし、ユーロ圏でもインフレが加速していることなどから、9月のECB理事会では10-12月期以降、資産の買い入れペースを幾分減速させる方針が示されました。
新興市場国・発展途上国経済は、先進国と同様に2020年前半に急激に悪化した後、2020年後半以降持ち直しの動きが続いています。IMFによれば、新興国の実質GDP成長率は2020年に△2.1%とマイナス成長に陥った後、2021年は+6.4%と高い成長が見込まれています。
新興国のうち、世界第2位の経済規模を持つ中国では、世界に先んじて新型コロナウイルスの感染が収束へ向かったこともあり、2020年4-6月期以降、経済の持ち直しが続いています。2021年に入ると、米国の成長加速を主因に輸出の伸びが加速したことに加え、出遅れていた個人消費の回復が進み、1-3月期の実質GDP成長率は前年比+18.3%と四半期統計の公表を開始した1992年以来、最も高い成長となりました。もっとも、4-6月期以降、中国の成長ペースは鈍化傾向にあります。4-6月期の実質GDP成長率は、前年からの反動の影響が一巡したこともあり、同+7.9%と前期から大きく減速しました。さらに7-9月期は、変異株の感染拡大を受けた行動制限や、資源価格の上昇、不動産市場の調整によって一層減速感が強まり、前年比+4.9%の成長にとどまりました。
中国以外の新興国についても、2020年後半以降総じて見れば持ち直しの動きが続いています。米国や中国を中心とした海外経済の回復や、それに伴う資源価格の上昇、世界的な金融緩和を背景とした資金流入が新興国経済を下支えしています。ただし、新興国ではワクチン接種の実施が遅れている国が多く、2021年夏場に東南アジア諸国がロックダウンを余儀なくされたように、感染拡大による経済の下振れリスクが高い状況が続いています。
<日本の状況>日本経済は、2020年後半には一時、新型コロナウイルス感染症による落ち込みから持ち直したものの、感染再拡大によって2021年に入り再び回復が足踏みしています。新型コロナウイルスの感染再拡大を受けて2021年1月8日に2回目の緊急事態宣言が発出され、2021年1-3月期の実質GDP成長率は、前期比年率△4.2%と3四半期ぶりのマイナス成長に転じました。4-6月期の実質GDP成長率は前期比年率+1.9%とプラスに転じましたが、4月25日に発出された3回目の緊急事態宣言が9月末まで続き、経済活動が抑制される中、日本経済はコロナ禍前に比べて低い水準での推移が続いています。
需要項目ごとに見ると、個人消費は低い水準で一進一退の動きが続いています。2020年後半には持ち直しの動きが見られていましたが、2回目の緊急事態宣言が発出されたことで、外食や娯楽サービスなどを中心としたサービス消費の減少を主因に、2021年1-3月期の個人消費は前期比年率△4.9%と3四半期ぶりに減少しました。4-6月期には一時的に人手が回復したことで前期比年率+3.8%と持ち直しに転じましたが、7-9月に入ると新型コロナウイルスの感染が再び拡大し、緊急事態宣言が続いたことで、サービスを中心に個人消費の抑制傾向が続きました。住宅投資についても、コロナ禍によって大きく落ちこんだ後、持ち直しの動きがみられつつも、雇用環境の先行きに対する不透明感が続く中で低い水準にとどまっています。
企業部門の需要である設備投資は、2020年後半に一時持ち直した後、緊急事態宣言の再発出によって2021年1-3月期には再び減少に転じました。しかし、4-6月期以降は、欧米や中国など海外経済の回復を背景に輸出の増加が続いたことが下支えとなり、設備投資についても増加傾向に転じています。日銀短観(2021年9月調査)によれば、2021年度の設備投資計画(含む土地投資額)は、2020年度からの反動もあり、前年比+7.9%と高めの伸びが見込まれています。
金融面では、日本銀行による短期金利に加えて長期金利も操作対象とする金融緩和措置が継続しています。また、新型コロナウイルスの感染拡大による急激な景気の悪化を受けて、2020年4月以降は日本銀行による国債の購入額の上限が撤廃されたほか、社債などの買い入れ枠が拡大されるなど、量的緩和が強化されています。こうした日本銀行による金融緩和策を受けて、日本の10年国債利回りは0%近傍での推移が続いています。ただし、2021年に入ってからは、特に米国長期金利の変動に影響される形で、日本の長期金利も小幅ながら上昇と下落を繰り返しました。2021年初めには米国での景気過熱や財政悪化への懸念から米国の長期金利が上昇したのに伴い日本の長期金利も小幅ながら上昇し、2月末には一時、2018年10月以来初めて0.15%を上回りました。その後、米国の長期金利が低下したことを受けて日本の長期金利も低下傾向に転じましたが、2021年7月から9月末にかけては、FRBの量的緩和が縮小されるとの観測による米国長期金利上昇を受けて、日本の長期金利は再び上昇傾向となりました。
為替市場をみると、2021年前半は対ドルでは総じて円安傾向で推移しました。米国での長期金利の大幅な上昇を受けて日米金利差が拡大したことで、2021年1-3月期は速いペースで円安が続き、年初時点で102円台だった対ドルレートは3月末には110円台となりました。米国金利の上昇が収まったことで4月には一時的に円高が進む局面もありましたが、米国での着実な景気回復や金利上昇を受けてその後は再びドル高・円安傾向となり、9月末には111円台まで円安が進みました。対ユーロについては、欧州では日本に比べて早くワクチンの接種が進んだことによる欧州経済の回復期待から、2021年年初から6月初頭まではユーロ高・円安傾向となりました。一方、ECBによる金融緩和が長期化するとの見方が広がったことにより、6月中旬以降は緩やかなユーロ安・円高となりました。
株式市場では、2021年2月に日経平均株価が一時1990年8月以来となる30,000円台まで上昇しました。その後、2021年度に入ると、緊急事態宣言が繰り返し発出されたことなどが重荷となり、株価は緩やかな下落傾向となりました。しかし、9月には新政権への期待感から株価は大幅に上昇し、日経平均株価は再び一時30,000円を上回りました。
2021年9月末の日経平均株価は29,452円66銭(同年6月末比661円13銭高)、10年国債利回りは0.081%(同0.011ポイントの上昇)、為替は1ドル111円88銭(同1円33銭の円安)となりました。
(3)繰延税金資産の状況
① 繰延税金資産の算入根拠
当社グループでは、会計基準に従い、税務上の繰越欠損金や企業会計上の資産・負債と税務上の資産・負債との差額である一時差異について税効果会計を適用し、繰延税金資産及び繰延税金負債を計上しております。繰延税金資産の回収可能性については、将来の合理的な見積可能期間における課税所得の見積額を限度として、当該期間における一時差異等のスケジューリングの結果に基づき判断しております。
② 過去5年間の課税所得(繰越欠損金使用前の各年度の実績値)
(注) 提出会社を連結納税親会社とする連結納税グループの所得を記載しております。また、記載した課税所得は法人税確定申告書上の繰越欠損金控除前の数値であり、その後の変動は反映されておりません。
なお、当第2四半期連結会計期間に係る四半期連結貸借対照表上の繰延税金資産81億円のうち、提出会社を親会社とする連結納税会社の計上額合計は63億円であります。
③ 見積りの前提とした税引前当期純利益の見込額
提出会社を連結納税親会社とする連結納税グループの課税所得見積期間を3年とし、同期間の税引前当期純利益を2,437億円と見積もっております。
④ 繰延税金資産・負債の主な発生原因
当第2四半期連結会計期間末現在、四半期連結貸借対照表上の繰延税金資産及び繰延税金負債の内訳は次のとおりであります。
(4)キャッシュ・フローの状況
営業活動、投資活動及び財務活動によるキャッシュ・フロー並びに現金及び現金同等物
当第2四半期連結累計期間におけるキャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。
当第2四半期連結累計期間において、営業活動によるキャッシュ・フローは、預り金の増減、銀行業における預金の増減などにより1,078億円(前年同期は△1,012億円)となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、有価証券の取得による支出、有価証券の売却及び償還による収入、投資有価証券の取得による支出などにより△799億円(同△685億円)となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは、短期借入金の純増減、社債の発行による収入や社債の償還による支出、配当金の支払などにより△1,051億円(同4,053億円)となりました。これらに為替変動の影響等を加えた結果、当第2四半期連結会計期間末の現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べ750億円減少し、4兆6,484億円となりました。
(5)事業上及び財務上の対処すべき課題
当第2四半期連結累計期間において、事業上及び財務上の対処すべき課題について、重要な変更及び新たに生じた事項はありません。
(6)研究開発活動
該当事項はありません。
(7)資本の財源及び流動性に係る情報
① 流動性の管理
<財務の効率性と安定性の両立>当社グループは、多くの資産及び負債を用いる有価証券関連業務や、投融資業務を行っており、これらのビジネスを継続するうえで十分な流動性を効率的かつ安定的に確保することを資金調達の基本方針としております。
当社グループの資金調達手段には、社債、ミディアム・ターム・ノート、金融機関借入、コマーシャル・ペーパー、コールマネー、預金受入等の無担保調達、現先取引、レポ取引等の有担保調達があり、これらの多様な調達手段を適切に組み合わせることにより、効率的かつ安定的な資金調達の実現を図っております。
財務の安定性という観点では、環境が大きく変動した場合においても、業務の継続に支障をきたすことのないよう、平時から安定的に資金を確保するよう努めると同時に、危機発生等により、新規の資金調達及び既存資金の再調達が困難となる場合も想定し、調達資金の償還期限及び調達先の分散を図っております。
当社は、平成26年金融庁告示第61号により連結流動性カバレッジ比率(以下、「LCR」という。)及び連結安定調達比率(以下、「NSFR」という。)を所定の比率(それぞれ100%)以上に維持することが求められており、当第2四半期日次平均のLCRは155.9%です。当第2四半期末のNSFRは所定の比率を上回る見込みとなっております。また、当社は、上記金融庁告示による規制上のLCRとNSFRのほかに、独自の流動性管理指標を用いた流動性管理態勢を構築しております。即ち、一定期間内に期日が到来する無担保調達資金及び同期間にストレスが発生した場合の資金流出見込額に対し、様々なストレスシナリオを想定したうえで、それらをカバーする流動性ポートフォリオが保持されていることを日次で確認しており、1年間無担保資金調達が行えない場合でも業務の継続が可能となるように取り組んでおります。
当第2四半期日次平均のLCRの状況は次のとおりです。
<グループ全体の資金管理>当社グループでは、グループ全体での適正な流動性確保という基本方針の下、当社が一元的に資金の流動性の管理・モニタリングを行っております。当社は、当社グループ固有のストレス又は市場全体のストレスの発生により新規の資金調達及び既存資金の再調達が困難となる場合も想定し、短期の無担保調達資金について、当社グループの流動性ポートフォリオが十分に確保されているかをモニタリングしております。また、当社は、必要に応じて当社からグループ各社に対し、機動的な資金の配分・供給を行うと共に、グループ内で資金融通を可能とする態勢を整えることで、効率性に基づく一体的な資金調達及び資金管理を行っております。
<コンティンジェンシー・ファンディング・プラン>当社グループは、流動性リスクへの対応の一環として、コンティンジェンシー・ファンディング・プランを策定しております。同プランは、信用力の低下等の内生的要因や金融市場の混乱等の外生的要因によるストレスの逼迫度に応じた報告体制や資金調達手段の確保などの方針を定めており、これにより当社グループは機動的な対応により流動性を確保する態勢を整備しております。
当社グループのコンティンジェンシー・ファンディング・プランは、グループ全体のストレスを踏まえて策定しており、変動する金融環境に機動的に対応するため、定期的な見直しを行っております。
また、金融市場の変動の影響が大きく、その流動性確保の重要性の高い大和証券株式会社、株式会社大和ネクスト銀行及び海外証券子会社においては、さらに個別のコンティンジェンシー・ファンディング・プランも策定し、同様に定期的な見直しを行っております。
なお、当社は、子会社のコンティンジェンシー・ファンディング・プランの整備状況について定期的にモニタリングしており、必要に応じて想定すべき危機シナリオを考慮して子会社の資金調達プランやコンティンジェンシー・ファンディング・プランそのものの見直しを行い、更には流動性の積み増しを実行すると同時に資産圧縮を図るといった事前の対策を講じることとしております。
② 株主資本
当社グループが株式や債券、デリバティブ等のトレーディング取引、貸借取引、引受業務、ストラクチャード・ファイナンス、M&A、プリンシパル・インベストメント、証券担保ローン等の有価証券関連業を中心とした幅広い金融サービスを展開し、ハイブリッド型総合証券グループとしての新たな価値の提供に資する投融資を行うためには、十分な資本を確保する必要があります。また、当社グループは、日本のみならず、海外においても有価証券関連業務を行っており、それぞれの地域において法規制上必要な資本を維持しなければなりません。
当第2四半期連結会計期間末の株主資本は、前連結会計年度末比37億円増加し、1兆2,858億円となりました。また、資本金及び資本剰余金の合計は4,779億円となっております。利益剰余金は親会社株主に帰属する四半期純利益502億円を計上したほか、配当金380億円の支払いを行った結果、前連結会計年度末比119億円増加の9,236億円となりました。自己株式の控除額は同80億円増加し、1,157億円となっております。
(1)財政状態の分析
<資産の部>当第2四半期連結会計期間末の総資産は前連結会計年度末比5,885億円(2.3%)減少の25兆5,108億円となりました。内訳は流動資産が同6,053億円(2.5%)減少の24兆409億円であり、このうち現金・預金が同823億円(1.7%)減少の4兆6,808億円、トレーディング商品が同1兆92億円(12.9%)減少の6兆8,248億円、営業貸付金が同577億円(2.9%)減少の1兆9,383億円、有価証券担保貸付金が同3,845億円(5.2%)増加の7兆8,328億円となっております。固定資産は同168億円(1.2%)増加の1兆4,698億円となっております。
<負債の部・純資産の部>負債合計は前連結会計年度末比6,090億円(2.5%)減少の23兆8,984億円となりました。内訳は流動負債が同2,640億円(1.2%)減少の20兆9,552億円であり、このうちトレーディング商品が同4,405億円(10.1%)減少の3兆9,273億円、有価証券担保借入金が同4,141億円(5.1%)増加の8兆5,902億円、銀行業における預金が同1,246億円(2.8%)減少の4兆2,914億円となっております。固定負債は同3,450億円(10.5%)減少の2兆9,394億円であり、このうち社債が同560億円(3.6%)減少の1兆5,013億円、長期借入金が同2,916億円(18.4%)減少の1兆2,952億円となっております。
純資産合計は同205億円(1.3%)増加の1兆6,123億円となりました。資本金及び資本剰余金の合計は4,779億円となりました。利益剰余金は親会社株主に帰属する四半期純利益を502億円計上したほか、配当金380億円の支払いを行ったこと等により、同119億円(1.3%)増加の9,236億円となっております。自己株式の控除額は同80億円(7.5%)増加の1,157億円、その他有価証券評価差額金は同37億円(9.0%)増加の453億円、為替換算調整勘定は同47億円増加の176億円、非支配株主持分は同94億円(3.8%)増加の2,585億円となっております。
(2)経営成績の分析
① 事業全体の状況
当第2四半期連結累計期間の営業収益は前年同期比18.4%増の3,045億円、純営業収益は同18.5%増の2,559億円となりました。
受入手数料は1,602億円と、同24.7%の増収となりました。委託手数料は、株式取引が増加したことにより、同13.6%増の381億円となりました。引受業務では、債券引受案件等が増加し、引受け・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の手数料は、同8.2%増の204億円となりました。
トレーディング損益は、米州における債券収益が減少したこと等により、同5.0%減の521億円となりました。
販売費・一般管理費は前年同期比7.7%増の1,934億円となりました。取引関係費は支払手数料が増加し同9.7%増の303億円、人件費は主に国内外における賞与が増加したことから同10.3%増の1,010億円となっております。
以上より、経常利益は同59.4%増の719億円となりました。
これに特別損益を加え、法人税等及び非支配株主に帰属する四半期純利益を差し引いた結果、親会社株主に帰属する四半期純利益は前年同期比53.0%増の502億円となりました。
② セグメント情報に記載された区分ごとの状況
純営業収益及び経常利益をセグメント別に分析した状況は次のとおりであります。
(単位:百万円) | |||||||||
純営業収益 | 経常利益又は経常損失(△) | ||||||||
2020年 9月期 | 2021年 9月期 | 対前年同期 増減率 | 構成比率 | 2020年 9月期 | 2021年 9月期 | 対前年同期 増減率 | 構成比率 | ||
リテール部門 | 75,851 | 97,010 | 27.9% | 37.9% | 1,766 | 22,401 | 12.7倍 | 31.1% | |
ホールセール部門 | 99,105 | 97,385 | △1.7% | 38.0% | 32,663 | 23,946 | △26.7% | 33.3% | |
グローバル・マーケッツ | 78,518 | 64,250 | △18.2% | 25.1% | 29,569 | 16,629 | △43.8% | 23.1% | |
グローバル・インベストメント・バンキング | 20,586 | 33,135 | 61.0% | 12.9% | 2,708 | 6,589 | 143.3% | 9.2% | |
アセット・マネジメント部門 | 24,955 | 35,032 | 40.4% | 13.7% | 15,031 | 22,758 | 51.4% | 31.6% | |
証券アセット・マネジメント | 18,869 | 22,485 | 19.2% | 8.8% | 7,117 | 10,996 | 54.5% | 15.3% | |
不動産アセット・マネジメント | 6,085 | 12,546 | 106.2% | 4.9% | 7,913 | 11,761 | 48.6% | 16.4% | |
投資部門 | 4,674 | 3,780 | △19.1% | 1.5% | 2,346 | 1,360 | △42.0% | 1.9% | |
その他・調整等 | 11,348 | 22,734 | - | 8.9% | △6,687 | 1,452 | - | 2.0% | |
連結 計 | 215,934 | 255,943 | 18.5% | 100.0% | 45,120 | 71,919 | 59.4% | 100.0% |
[リテール部門]
リテール部門の主な収益源は、国内の個人投資家及び未上場会社のお客様の資産管理・運用に関する商品・サービスの手数料であり、経営成績に重要な影響を与える要因には、お客様動向を左右する国内外の金融市場及び経済環境の状況に加え、お客様のニーズに合った商品の開発状況や引受け状況及び販売戦略が挙げられます。
当第2四半期連結累計期間においては、エクイティ収益は、新型コロナウイルスの感染拡大に起因する前年同期のマーケット下落時に比べてお客様のアクティビティが拡大したことにより、増加しました。債券収益は、大型の債券引受案件があったことにより増加しました。投資信託は、投信フレックスプランの効果も寄与し、販売額が拡大した結果、募集手数料、代理事務手数料ともに増加しました。また、契約額の増加等により、ラップ口座サービスの契約資産残高は過去最高となりました。
収益の増加に対し販売費・一般管理費は前年と同水準に抑えられた結果、当第2四半期連結累計期間のリテール部門における純営業収益は前年同期比27.9%増の970億円、経常利益は同12.7倍の224億円となりました。リテール部門の当第2四半期連結累計期間の純営業収益及び経常利益のグループ全体の連結純営業収益及び連結経常利益に占める割合は、それぞれ37.9%及び31.1%でした。
[ホールセール部門]
ホールセール部門は、機関投資家等を対象に有価証券のセールス及びトレーディングを行うグローバル・マーケッツと、事業法人、金融法人等が発行する有価証券の引受け、M&Aアドバイザリー業務や上場コンサルティング業務を行うグローバル・インベストメント・バンキングによって構成されます。
グローバル・マーケッツの主な収益源は、機関投資家に対する有価証券の売買に伴って得る取引手数料及びトレーディング収益であり、地政学リスクや国際的な経済状況等で変化する市場の動向や、それに伴う顧客フローの変化が、経営成績に重要な影響を与える要因となります。
グローバル・マーケッツは減収減益となりました。エクイティ収益は、国内株式及び外国株式の相場上昇を背景に投資家のアクティビティが増加したことから増収となりました。フィクストインカム収益は、ボラティリティの低下により国内外での収益機会が減少したため、債券市場が活況を呈した前年同期比では減収となりました。その結果、当第2四半期連結累計期間の純営業収益は前年同期比18.2%減の642億円、経常利益は同43.8%減の166億円となりました。
グローバル・インベストメント・バンキングの主な収益源は、引受業務やM&Aアドバイザリー業務によって得る引受け・売出し手数料とM&A手数料であり、顧客企業の資金調達手段の決定やM&Aの需要を左右する国内外の経済環境等に加え、当社が企業の需要を捉え、案件を獲得できるかどうかが経営成績に重要な影響を与える要因となります。
グローバル・インベストメント・バンキングは増収増益となりました。引受け・売出し手数料は、多数の債券主幹事案件を積上げたことなどから増収となりました。またM&Aビジネスでは、国内外で多数の案件を遂行したことにより、増収となりました。これらの結果、当第2四半期連結累計期間の純営業収益は前年同期比61.0%増の331億円、経常利益は同143.3%増の65億円となりました。
その結果、当第2四半期連結累計期間のホールセール部門における純営業収益は前年同期比1.7%減の973億円、経常利益は同26.7%減の239億円となりました。ホールセール部門の当第2四半期連結累計期間の純営業収益及び経常利益のグループ全体の連結純営業収益及び連結経常利益に占める割合は、それぞれ38.0%及び33.3%でした。
なお、当第2四半期連結累計期間のホールセール部門における、新型コロナウイルスの感染拡大による業績への影響は限定的です。
[アセット・マネジメント部門]
アセット・マネジメント部門は、証券アセット・マネジメントと不動産アセット・マネジメントで構成されます。
証券アセット・マネジメントの主な収益源は、当社連結子会社の大和アセットマネジメントにおける投資信託の組成と運用に関する報酬です。また、当社持分法適用関連会社である三井住友DSアセットマネジメントの投資信託の組成と運用及び投資顧問業務に関する報酬からの利益は持分割合に従って経常利益に計上されます。経営成績に重要な影響を与える要因には、マーケット環境によって変動するお客様の投資信託及び投資顧問サービスへの需要と、マーケット環境に対するファンドの運用パフォーマンスや、お客様の関心を捉えたテーマ性のある商品開発等による商品自体の訴求性が挙げられます。
証券アセット・マネジメントは増収増益となりました。大和アセットマネジメントでは、R&Iファンド大賞において表彰された複数のファンド、NISA、iDeCo向け資産形成型商品やETFなど、投資家の資産形成ステージに応じた商品を提供しており、運用資産残高を拡大させた結果、公募投資信託の運用資産残高は前連結会計年度末比4.4%増の21兆9,190億円となりました。その結果、当第2四半期累計期間の純営業収益は前年同期比19.2%増の224億円、経常利益は同54.5%増の109億円となりました。
不動産アセット・マネジメントの主な収益源は、当社連結子会社の大和リアル・エステート・アセット・マネジメント、大和証券オフィス投資法人等及びサムティ・レジデンシャル投資法人の不動産運用収益です。また、当社持分法適用関連会社であるサムティ株式会社及び大和証券リビング投資法人の不動産運用収益からの利益は持分割合に従って経常利益に計上されます。経営成績に重要な影響を与える要因には、国内の不動産市場・オフィス需要の動向が挙げられます。
不動産アセット・マネジメントは増収増益となりました。前連結会計年度末の大和証券オフィス投資法人の連結子会社化に伴い、第1四半期連結会計期間の期首より同社の利益の100%を経常利益へ取り込んでいます。また、大和リアル・エステート・アセット・マネジメントが運用する不動産投資法人等及びサムティ・レジデンシャル投資法人を合わせた運用資産残高は前連結会計年度末比3.0%増の1兆2,490億円となりました。その結果、当第2四半期累計期間の純営業収益は前年同期比106.2%増の125億円、経常利益は同48.6%増の117億円となりました。
当第2四半期連結累計期間のアセット・マネジメント部門における純営業収益は前年同期比40.4%増の350億円、経常利益は同51.4%増の227億円となりました。アセット・マネジメント部門の当第2四半期連結累計期間の純営業収益及び経常利益のグループ全体の連結純営業収益及び連結経常利益に占める割合は、それぞれ13.7%及び31.6%でした。なお、当第2四半期連結累計期間のアセット・マネジメント部門における、新型コロナウイルスの感染拡大による業績への影響は限定的です。
[投資部門]
投資部門は主に、連結子会社である大和企業投資、大和PIパートナーズ及び大和エナジー・インフラで構成されます。投資部門の主な収益源は、投資先の新規上場(IPO)・M&A等による売却益や、投資事業組合への出資を通じたキャピタルゲインのほか、契約に基づきファンドから受領する、管理運営に対する管理報酬や投資成果に応じた成功報酬です。
当第2四半期連結累計期間において、大和企業投資では、国内外の成長企業への投資や上場支援に貢献しながら、投資先の売却益により収益を確保しました。また、大和PIパートナーズでは、ローン、不良債権、不動産、国内外のPE投資を着実に実行し、大和エナジー・インフラでは、蓄電池分野や通信事業への出資を行うなど、持続可能な開発目標(SDGs)に資するエネルギー・インフラ関連投資を拡大しながら、インカムゲイン及びキャピタルゲインを計上しました。しかしながら、当第2四半期連結累計期間においては、既存投資の再評価に伴う損失を計上した結果、減収減益となりました。
その結果、当第2四半期連結累計期間の投資部門における純営業収益は前年同期比19.1%減の37億円、経常利益は同42.0%減の13億円となりました。投資部門の当第2四半期連結累計期間の純営業収益及び経常利益のグループ全体の連結純営業収益及び連結経常利益に占める割合は、それぞれ1.5%及び1.9%でした。なお、新型コロナウイルス感染症の影響に伴い、航空需要の低下が長期化していることを踏まえて、航空機関連投資の一部について再評価を実施し、貸倒引当金を追加計上しております。
[その他]
その他の事業には、主に大和総研によるリサーチ・コンサルティング業務及びシステム業務のほか、大和ネクスト銀行による銀行業務などが含まれます。
大和総研は、当社グループのシステム開発を着実に遂行したほか、高付加価値のソリューション提案により、お客様との関係を強化したこと、また、大口顧客向けシステム開発案件を手掛けたこと等により、当社グループの収益に貢献しました。
大和ネクスト銀行では、引き続き、銀行代理業者である大和証券と連携して各種キャンペーンを実施しました。当第2四半期連結会計期間末の預金残高(譲渡性預金含む)は前連結会計年度末比2.9%減の4兆2,987億円、銀行口座数は同2.2%増の153万口座となりました。当第2四半期連結累計期間の業績は、金融収支が改善した結果、増収増益となりました。
その結果、その他・調整等に係る純営業収益は227億円(前年同期113億円)、経常利益は14億円(前年同期は66億円の経常損失)となりました。その他・調整等の当第2四半期連結累計期間の純営業収益及び経常利益のグループ全体の連結純営業収益及び連結経常利益に占める割合は、それぞれ8.9%及び2.0%でした。
なお、当第2四半期連結累計期間のその他・調整等における、新型コロナウイルスの感染拡大による業績への影響は限定的です。
③ 経営方針・経営戦略等及び経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当第2四半期連結累計期間において、経営方針・経営戦略等及び経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等について、第84期有価証券報告書の「目標とする経営指標の達成状況等」に記載した経営指標から重要な変更及び新たに生じた事項はありません。
④ 経営成績の前提となる当第2四半期連結累計期間のマクロ経済環境
<海外の状況>新型コロナウイルスの感染拡大により2020年初から急激に悪化した世界経済は、2020年後半以降、持ち直しへと向かっています。IMF(国際通貨基金)が2021年10月に公表した世界経済見通しによれば、2020年は先進国、新興国ともにマイナス成長に転じ、世界経済成長率は△3.1%とリーマン・ショック時を上回る大幅なマイナス成長となりました。一方、2021年は、世界的に新型コロナウイルスワクチンの普及が進みつつあることに加えて、前年の落ち込みからの反動もあり+5.9%と高い成長が見込まれています。もっとも、世界経済は最悪期を脱しつつも、引き続き新型コロナウイルスの感染状況に左右される不安定な状況が続いています。
米国経済は、2020年後半以降、回復傾向が続いています。新型コロナウイルスの感染拡大以降、政府が実行してきた経済対策が下支えとなったことに加えて、2021年に入って新型コロナウイルスワクチンの接種が順調に進む中、政府による行動規制が緩和されたことで、2021年1-3月期の実質GDP成長率は前期比年率+6.3%となりました。4-6月期に入ると経済再開の動きが一層進展したことに加えて、2021年1月に発足したバイデン政権が3月に成立させた追加経済対策による家計所得の増加が個人消費を後押ししました。個人消費の増加を主因に4-6月期の実質GDP成長率は前期比年率+6.7%と前期から加速し、実質GDPはコロナ禍前の水準を回復しました。7-9月期には変異株によって新型コロナウイルスの感染が再拡大し、経済の再開は足踏みすることになりましたが、雇用環境の回復が継続する中、実質GDP成長率は前期比年率+2.0%と前期から鈍化しつつも5四半期連続のプラス成長となりました。
金融面では、FRB(連邦準備制度理事会)がコロナ禍への対応として復活させたゼロ金利政策が続き、緩和的な環境が継続しています。また、FRBは経済が十分に回復するまでバランスシートの拡大を続けることを約束しており、量的緩和政策も継続されています。ただし、2021年に入ってインフレ率がFRBの目標とする2%を大きく上回って推移していることに加えて、雇用環境の改善が続いてきたことを受けて、2021年9月のFOMCでは、近いうちに量的緩和の縮小を開始する可能性があることが示されました。
欧州経済(ユーロ圏経済)は、新型コロナウイルス感染症による落ち込みから持ち直しつつあります。2020年後半からの感染再拡大を受け、ドイツ、フランスなど、多くの国で2度目のロックダウンを余儀なくされたことから、ユーロ圏経済は、2020年10-12月期、2021年1-3月期は2四半期連続のマイナス成長となりました。一方、4-6月期に入ると、新型コロナワクチンの接種が進展する中、行動制限が緩和されたことで、ユーロ圏経済は持ち直しへと向かっています。4―6月期の実質GDP成長率は前期比年率+8.7%と3四半期ぶりのプラス成長に転じ、続く7-9月期も前期比年率+9.1%と2四半期連続のプラス成長となりました。
金融面では、ECB(欧州中央銀行)による金融緩和が続いています。新型コロナウイルス感染症対応のための資産買い取りプログラムは「少なくとも2022年3月まで」継続するとされており、ECBは緩和的な金融政策を当面続けることを約束しています。ただし、ユーロ圏でもインフレが加速していることなどから、9月のECB理事会では10-12月期以降、資産の買い入れペースを幾分減速させる方針が示されました。
新興市場国・発展途上国経済は、先進国と同様に2020年前半に急激に悪化した後、2020年後半以降持ち直しの動きが続いています。IMFによれば、新興国の実質GDP成長率は2020年に△2.1%とマイナス成長に陥った後、2021年は+6.4%と高い成長が見込まれています。
新興国のうち、世界第2位の経済規模を持つ中国では、世界に先んじて新型コロナウイルスの感染が収束へ向かったこともあり、2020年4-6月期以降、経済の持ち直しが続いています。2021年に入ると、米国の成長加速を主因に輸出の伸びが加速したことに加え、出遅れていた個人消費の回復が進み、1-3月期の実質GDP成長率は前年比+18.3%と四半期統計の公表を開始した1992年以来、最も高い成長となりました。もっとも、4-6月期以降、中国の成長ペースは鈍化傾向にあります。4-6月期の実質GDP成長率は、前年からの反動の影響が一巡したこともあり、同+7.9%と前期から大きく減速しました。さらに7-9月期は、変異株の感染拡大を受けた行動制限や、資源価格の上昇、不動産市場の調整によって一層減速感が強まり、前年比+4.9%の成長にとどまりました。
中国以外の新興国についても、2020年後半以降総じて見れば持ち直しの動きが続いています。米国や中国を中心とした海外経済の回復や、それに伴う資源価格の上昇、世界的な金融緩和を背景とした資金流入が新興国経済を下支えしています。ただし、新興国ではワクチン接種の実施が遅れている国が多く、2021年夏場に東南アジア諸国がロックダウンを余儀なくされたように、感染拡大による経済の下振れリスクが高い状況が続いています。
<日本の状況>日本経済は、2020年後半には一時、新型コロナウイルス感染症による落ち込みから持ち直したものの、感染再拡大によって2021年に入り再び回復が足踏みしています。新型コロナウイルスの感染再拡大を受けて2021年1月8日に2回目の緊急事態宣言が発出され、2021年1-3月期の実質GDP成長率は、前期比年率△4.2%と3四半期ぶりのマイナス成長に転じました。4-6月期の実質GDP成長率は前期比年率+1.9%とプラスに転じましたが、4月25日に発出された3回目の緊急事態宣言が9月末まで続き、経済活動が抑制される中、日本経済はコロナ禍前に比べて低い水準での推移が続いています。
需要項目ごとに見ると、個人消費は低い水準で一進一退の動きが続いています。2020年後半には持ち直しの動きが見られていましたが、2回目の緊急事態宣言が発出されたことで、外食や娯楽サービスなどを中心としたサービス消費の減少を主因に、2021年1-3月期の個人消費は前期比年率△4.9%と3四半期ぶりに減少しました。4-6月期には一時的に人手が回復したことで前期比年率+3.8%と持ち直しに転じましたが、7-9月に入ると新型コロナウイルスの感染が再び拡大し、緊急事態宣言が続いたことで、サービスを中心に個人消費の抑制傾向が続きました。住宅投資についても、コロナ禍によって大きく落ちこんだ後、持ち直しの動きがみられつつも、雇用環境の先行きに対する不透明感が続く中で低い水準にとどまっています。
企業部門の需要である設備投資は、2020年後半に一時持ち直した後、緊急事態宣言の再発出によって2021年1-3月期には再び減少に転じました。しかし、4-6月期以降は、欧米や中国など海外経済の回復を背景に輸出の増加が続いたことが下支えとなり、設備投資についても増加傾向に転じています。日銀短観(2021年9月調査)によれば、2021年度の設備投資計画(含む土地投資額)は、2020年度からの反動もあり、前年比+7.9%と高めの伸びが見込まれています。
金融面では、日本銀行による短期金利に加えて長期金利も操作対象とする金融緩和措置が継続しています。また、新型コロナウイルスの感染拡大による急激な景気の悪化を受けて、2020年4月以降は日本銀行による国債の購入額の上限が撤廃されたほか、社債などの買い入れ枠が拡大されるなど、量的緩和が強化されています。こうした日本銀行による金融緩和策を受けて、日本の10年国債利回りは0%近傍での推移が続いています。ただし、2021年に入ってからは、特に米国長期金利の変動に影響される形で、日本の長期金利も小幅ながら上昇と下落を繰り返しました。2021年初めには米国での景気過熱や財政悪化への懸念から米国の長期金利が上昇したのに伴い日本の長期金利も小幅ながら上昇し、2月末には一時、2018年10月以来初めて0.15%を上回りました。その後、米国の長期金利が低下したことを受けて日本の長期金利も低下傾向に転じましたが、2021年7月から9月末にかけては、FRBの量的緩和が縮小されるとの観測による米国長期金利上昇を受けて、日本の長期金利は再び上昇傾向となりました。
為替市場をみると、2021年前半は対ドルでは総じて円安傾向で推移しました。米国での長期金利の大幅な上昇を受けて日米金利差が拡大したことで、2021年1-3月期は速いペースで円安が続き、年初時点で102円台だった対ドルレートは3月末には110円台となりました。米国金利の上昇が収まったことで4月には一時的に円高が進む局面もありましたが、米国での着実な景気回復や金利上昇を受けてその後は再びドル高・円安傾向となり、9月末には111円台まで円安が進みました。対ユーロについては、欧州では日本に比べて早くワクチンの接種が進んだことによる欧州経済の回復期待から、2021年年初から6月初頭まではユーロ高・円安傾向となりました。一方、ECBによる金融緩和が長期化するとの見方が広がったことにより、6月中旬以降は緩やかなユーロ安・円高となりました。
株式市場では、2021年2月に日経平均株価が一時1990年8月以来となる30,000円台まで上昇しました。その後、2021年度に入ると、緊急事態宣言が繰り返し発出されたことなどが重荷となり、株価は緩やかな下落傾向となりました。しかし、9月には新政権への期待感から株価は大幅に上昇し、日経平均株価は再び一時30,000円を上回りました。
2021年9月末の日経平均株価は29,452円66銭(同年6月末比661円13銭高)、10年国債利回りは0.081%(同0.011ポイントの上昇)、為替は1ドル111円88銭(同1円33銭の円安)となりました。
(3)繰延税金資産の状況
① 繰延税金資産の算入根拠
当社グループでは、会計基準に従い、税務上の繰越欠損金や企業会計上の資産・負債と税務上の資産・負債との差額である一時差異について税効果会計を適用し、繰延税金資産及び繰延税金負債を計上しております。繰延税金資産の回収可能性については、将来の合理的な見積可能期間における課税所得の見積額を限度として、当該期間における一時差異等のスケジューリングの結果に基づき判断しております。
② 過去5年間の課税所得(繰越欠損金使用前の各年度の実績値)
(単位:百万円) | |||||
回次 | 第80期 | 第81期 | 第82期 | 第83期 | 第84期 |
決算年月 | 2017年3月 | 2018年3月 | 2019年3月 | 2020年3月 | 2021年3月 |
連結納税グループの課税所得 | 31,973 | 97,467 | 74,613 | 60,907 | 92,842 |
(注) 提出会社を連結納税親会社とする連結納税グループの所得を記載しております。また、記載した課税所得は法人税確定申告書上の繰越欠損金控除前の数値であり、その後の変動は反映されておりません。
なお、当第2四半期連結会計期間に係る四半期連結貸借対照表上の繰延税金資産81億円のうち、提出会社を親会社とする連結納税会社の計上額合計は63億円であります。
③ 見積りの前提とした税引前当期純利益の見込額
提出会社を連結納税親会社とする連結納税グループの課税所得見積期間を3年とし、同期間の税引前当期純利益を2,437億円と見積もっております。
④ 繰延税金資産・負債の主な発生原因
当第2四半期連結会計期間末現在、四半期連結貸借対照表上の繰延税金資産及び繰延税金負債の内訳は次のとおりであります。
(単位:百万円) | |
当第2四半期連結会計期間 (2021年9月30日) | |
繰延税金資産 | |
繰越欠損金 | 36,923 |
退職給付に係る負債 | 13,725 |
営業投資有価証券関連損益 | 8,729 |
投資有価証券評価損 | 8,284 |
減損損失 | 5,869 |
賞与引当金 | 5,638 |
貸倒引当金 | 4,875 |
未実現利益の消去 | 4,682 |
減価償却超過額 | 4,367 |
資産除去債務 | 2,738 |
繰延ヘッジ損益 | 1,893 |
事業税・事業所税 | 1,717 |
金融商品取引責任準備金 | 1,132 |
商品有価証券・デリバティブ | 978 |
その他 | 12,836 |
繰延税金資産小計 | 114,391 |
評価性引当額 | △88,573 |
繰延税金資産合計 | 25,818 |
繰延税金負債 | |
企業結合に伴う評価差額 | 38,426 |
その他有価証券評価差額金 | 18,062 |
その他 | 3,976 |
繰延税金負債合計 | 60,465 |
繰延税金資産(負債)の純額 | △34,647 |
(4)キャッシュ・フローの状況
営業活動、投資活動及び財務活動によるキャッシュ・フロー並びに現金及び現金同等物
当第2四半期連結累計期間におけるキャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。
(単位:百万円) | ||
2020年9月期 | 2021年9月期 | |
営業活動によるキャッシュ・フロー | △101,241 | 107,870 |
投資活動によるキャッシュ・フロー | △68,585 | △79,996 |
財務活動によるキャッシュ・フロー | 405,359 | △105,171 |
現金及び現金同等物に係る換算差額 | △4,568 | 2,267 |
現金及び現金同等物の増減額(△は減少) | 230,964 | △75,030 |
現金及び現金同等物の期首残高 | 3,933,149 | 4,723,526 |
現金及び現金同等物の四半期末残高 | 4,164,114 | 4,648,496 |
当第2四半期連結累計期間において、営業活動によるキャッシュ・フローは、預り金の増減、銀行業における預金の増減などにより1,078億円(前年同期は△1,012億円)となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、有価証券の取得による支出、有価証券の売却及び償還による収入、投資有価証券の取得による支出などにより△799億円(同△685億円)となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは、短期借入金の純増減、社債の発行による収入や社債の償還による支出、配当金の支払などにより△1,051億円(同4,053億円)となりました。これらに為替変動の影響等を加えた結果、当第2四半期連結会計期間末の現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べ750億円減少し、4兆6,484億円となりました。
(5)事業上及び財務上の対処すべき課題
当第2四半期連結累計期間において、事業上及び財務上の対処すべき課題について、重要な変更及び新たに生じた事項はありません。
(6)研究開発活動
該当事項はありません。
(7)資本の財源及び流動性に係る情報
① 流動性の管理
<財務の効率性と安定性の両立>当社グループは、多くの資産及び負債を用いる有価証券関連業務や、投融資業務を行っており、これらのビジネスを継続するうえで十分な流動性を効率的かつ安定的に確保することを資金調達の基本方針としております。
当社グループの資金調達手段には、社債、ミディアム・ターム・ノート、金融機関借入、コマーシャル・ペーパー、コールマネー、預金受入等の無担保調達、現先取引、レポ取引等の有担保調達があり、これらの多様な調達手段を適切に組み合わせることにより、効率的かつ安定的な資金調達の実現を図っております。
財務の安定性という観点では、環境が大きく変動した場合においても、業務の継続に支障をきたすことのないよう、平時から安定的に資金を確保するよう努めると同時に、危機発生等により、新規の資金調達及び既存資金の再調達が困難となる場合も想定し、調達資金の償還期限及び調達先の分散を図っております。
当社は、平成26年金融庁告示第61号により連結流動性カバレッジ比率(以下、「LCR」という。)及び連結安定調達比率(以下、「NSFR」という。)を所定の比率(それぞれ100%)以上に維持することが求められており、当第2四半期日次平均のLCRは155.9%です。当第2四半期末のNSFRは所定の比率を上回る見込みとなっております。また、当社は、上記金融庁告示による規制上のLCRとNSFRのほかに、独自の流動性管理指標を用いた流動性管理態勢を構築しております。即ち、一定期間内に期日が到来する無担保調達資金及び同期間にストレスが発生した場合の資金流出見込額に対し、様々なストレスシナリオを想定したうえで、それらをカバーする流動性ポートフォリオが保持されていることを日次で確認しており、1年間無担保資金調達が行えない場合でも業務の継続が可能となるように取り組んでおります。
当第2四半期日次平均のLCRの状況は次のとおりです。
(単位:億円) | |||
日次平均 (自 2021年7月 至 2021年9月) | |||
適格流動資産 | (A) | 26,664 | |
資金流出額 | (B) | 33,615 | |
資金流入額 | (C) | 16,516 | |
連結流動性カバレッジ比率(LCR) | |||
算入可能適格流動資産の合計額 | (D) | 26,664 | |
純資金流出額 | (E) | 17,099 | |
連結流動性カバレッジ比率 | (D)/(E) | 155.9% |
<グループ全体の資金管理>当社グループでは、グループ全体での適正な流動性確保という基本方針の下、当社が一元的に資金の流動性の管理・モニタリングを行っております。当社は、当社グループ固有のストレス又は市場全体のストレスの発生により新規の資金調達及び既存資金の再調達が困難となる場合も想定し、短期の無担保調達資金について、当社グループの流動性ポートフォリオが十分に確保されているかをモニタリングしております。また、当社は、必要に応じて当社からグループ各社に対し、機動的な資金の配分・供給を行うと共に、グループ内で資金融通を可能とする態勢を整えることで、効率性に基づく一体的な資金調達及び資金管理を行っております。
<コンティンジェンシー・ファンディング・プラン>当社グループは、流動性リスクへの対応の一環として、コンティンジェンシー・ファンディング・プランを策定しております。同プランは、信用力の低下等の内生的要因や金融市場の混乱等の外生的要因によるストレスの逼迫度に応じた報告体制や資金調達手段の確保などの方針を定めており、これにより当社グループは機動的な対応により流動性を確保する態勢を整備しております。
当社グループのコンティンジェンシー・ファンディング・プランは、グループ全体のストレスを踏まえて策定しており、変動する金融環境に機動的に対応するため、定期的な見直しを行っております。
また、金融市場の変動の影響が大きく、その流動性確保の重要性の高い大和証券株式会社、株式会社大和ネクスト銀行及び海外証券子会社においては、さらに個別のコンティンジェンシー・ファンディング・プランも策定し、同様に定期的な見直しを行っております。
なお、当社は、子会社のコンティンジェンシー・ファンディング・プランの整備状況について定期的にモニタリングしており、必要に応じて想定すべき危機シナリオを考慮して子会社の資金調達プランやコンティンジェンシー・ファンディング・プランそのものの見直しを行い、更には流動性の積み増しを実行すると同時に資産圧縮を図るといった事前の対策を講じることとしております。
② 株主資本
当社グループが株式や債券、デリバティブ等のトレーディング取引、貸借取引、引受業務、ストラクチャード・ファイナンス、M&A、プリンシパル・インベストメント、証券担保ローン等の有価証券関連業を中心とした幅広い金融サービスを展開し、ハイブリッド型総合証券グループとしての新たな価値の提供に資する投融資を行うためには、十分な資本を確保する必要があります。また、当社グループは、日本のみならず、海外においても有価証券関連業務を行っており、それぞれの地域において法規制上必要な資本を維持しなければなりません。
当第2四半期連結会計期間末の株主資本は、前連結会計年度末比37億円増加し、1兆2,858億円となりました。また、資本金及び資本剰余金の合計は4,779億円となっております。利益剰余金は親会社株主に帰属する四半期純利益502億円を計上したほか、配当金380億円の支払いを行った結果、前連結会計年度末比119億円増加の9,236億円となりました。自己株式の控除額は同80億円増加し、1,157億円となっております。