四半期報告書-第83期第3四半期(令和1年10月1日-令和1年12月31日)
本項における将来に関する事項は、別段の記載がない限り、当第3四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 財政状態の分析
<資産の部>当第3四半期連結会計期間末の総資産は前連結会計年度末比3兆2,827億円(15.5%)増加の24兆4,094億円となりました。内訳は流動資産が同3兆486億円(14.9%)増加の23兆4,542億円であり、このうち現金・預金が同1,544億円(3.7%)増加の4兆3,077億円、有価証券が同869億円(10.7%)増加の8,993億円、トレーディング商品が同6,312億円(9.4%)増加の7兆3,473億円、有価証券担保貸付金が同2兆401億円(34.2%)増加の8兆139億円となっております。固定資産は同2,341億円(32.5%)増加の9,552億円となっております。
<負債の部・純資産の部>負債合計は前連結会計年度末比3兆2,520億円(16.4%)増加の23兆1,222億円となりました。内訳は流動負債が同3兆4,166億円(20.0%)増加の20兆4,986億円であり、このうちトレーディング商品が同1,470億円(3.1%)増加の4兆8,948億円、約定見返勘定が同4,458億円(174.3%)増加の7,016億円、有価証券担保借入金が同2兆4,887億円(41.8%)増加の8兆4,367億円、銀行業における預金が同6,276億円(17.3%)増加の4兆2,601億円、短期借入金が同5,932億円(44.2%)減少の7,481億円となっております。固定負債は同1,646億円(5.9%)減少の2兆6,196億円であり、このうち社債が同1,631億円(12.0%)減少の1兆1,987億円となっております。
純資産合計は同307億円(2.4%)増加の1兆2,871億円となりました。資本金及び資本剰余金の合計は4,780億円となりました。利益剰余金は親会社株主に帰属する四半期純利益を490億円計上したほか、配当金311億円の支払いを行ったこと等により、同175億円(2.2%)増加の8,232億円となっております。自己株式の控除額は同234億円(26.9%)増加の1,107億円、その他有価証券評価差額金は同34億円(7.2%)増加の510億円、為替換算調整勘定は同26億円(44.2%)減少の33億円、非支配株主持分は11.9倍の382億円となっております。
(2) 経営成績の分析
① 事業全体の状況
当第3四半期連結累計期間の営業収益は前年同期比4.6%減の5,116億円、純営業収益は同5.4%減の3,156億円となりました。
受入手数料は1,982億円と、同9.2%の減収となりました。委託手数料は、株式取引が減少したことにより、同14.7%減の390億円となりました。引受業務では、複数の大型エクイティ引受案件等が貢献した前年同期と比べ、引受け・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の手数料は減少し、同30.5%減の247億円となりました。
トレーディング損益は、顧客のアクティビティが活発となったことで債券収益が増加し、同14.0%増の754億円となりました。
販売費・一般管理費は同0.8%減の2,777億円となりました。取引関係費は投信販売会社への支払手数料や、販売促進に関連する費用の減少により同4.5%減の519億円、人件費は国内の賞与などが減少したことにより同0.9%減の1,371億円、減価償却費はシステムの更改や、海外子会社における新リース基準の適用により同21.1%増の230億円となっております。
以上より、経常利益は同23.6%減の500億円となりました。
これに特別損益を加え、法人税等及び非支配株主に帰属する四半期純利益を差し引いた結果、親会社株主に帰属する四半期純利益は前年同期比2.6%減の490億円となりました。
② セグメント情報に記載された区分ごとの状況
純営業収益及び経常利益をセグメント別に分析した状況は次のとおりであります。
(単位:百万円)
[リテール部門]
リテール部門の主な収益源は、国内の個人投資家及び未上場会社のお客様の資産管理・運用に関する商品・サービスの手数料であり、経営成績に重要な影響を与える要因には、お客様動向を左右する国内外の金融市場及び経済環境の状況に加え、お客様のニーズに合った商品の開発状況や引受け状況及び販売戦略が挙げられます。
当第3四半期連結累計期間においては、ラップ口座サービスの契約資産残高が堅調に推移し過去最高水準となったものの、低調な顧客アクティビティからエクイティ収益は減少しました。また、株式投資信託の販売額が減少し、投信募集手数料が減少しました。
その結果、当第3四半期連結累計期間のリテール部門における純営業収益は前年同期比13.3%減の1,251億円、経常利益は同78.7%減の48億円となりました。リテール部門の当第3四半期連結累計期間の純営業収益及び経常利益のグループ全体の連結純営業収益及び連結経常利益に占める割合は、それぞれ39.4%及び9.0%でした。
[ホールセール部門]
ホールセール部門は、機関投資家等を対象に有価証券のセールス及びトレーディングを行うグローバル・マーケッツと、事業法人、金融法人等が発行する有価証券の引き受け、M&Aアドバイザリー業務や上場コンサルティング業務を行うグローバル・インベストメント・バンキングによって構成されます。グローバル・マーケッツの主な収益源は、機関投資家に対する有価証券の売買に伴って得る取引手数料及びトレーディング収益です。グローバル・インベストメント・バンキングの主な収益源は、引受業務やM&Aアドバイザリー業務によって得る引受け・売出し手数料とM&A関連手数料です。グローバル・マーケッツにおいては、国際的な地政学リスクや経済状況等で変化する金融市場の動向や、それに伴う顧客フローの変化が、経営成績に重要な影響を与える要因となります。グローバル・インベストメント・バンキングにおいては、顧客企業の資金調達手段の決定やM&Aの需要を左右する国内外の経済環境等に加え、当社が企業の需要を捉え、案件を獲得できるかが経営成績に重要な影響を与える要因となります。
グローバル・マーケッツは増収増益となりました。エクイティ収益は、顧客のアクティビティが低調に推移したことから減収となりましたが、フィクスト・インカム収益は低金利環境下でクレジット投資が堅調となったことに加えて、当第3四半期連結会計期間において海外で米国債を中心に販売が特に好調であったことから増収となりました。これらの結果、当第3四半期連結累計期間の純営業収益は前年同期比14.4%増の901億円、経常利益は同86.1%増の213億円となりました。
グローバル・インベストメント・バンキングでは、エクイティの引受け・売出し手数料が複数の大型エクイティ募集・売出し案件でジョイント・グローバル・コーディネーターや主幹事を務めた前年同期と比べ、減収となりました。その一方でM&Aビジネスにおいては、DC Advisoryが関与する海外・クロスボーダー案件や、国内案件が収益に貢献し、増収となりました。これらの結果、当第3四半期連結累計期間の純営業収益は前年同期比0.8%増の377億円、経常利益は同25.2%増の70億円となりました。
当第3四半期連結累計期間のホールセール部門における純営業収益は前年同期比10.0%増の1,279億円、経常利益は同60.8%増の287億円となりました。ホールセール部門の当第3四半期連結累計期間の純営業収益及び経常利益のグループ全体の連結純営業収益及び連結経常利益に占める割合は、それぞれ40.3%及び53.2%でした。
[アセット・マネジメント部門]
アセット・マネジメント部門の収益は、主に当社連結子会社の大和証券投資信託委託における投資信託の組成と運用に関する報酬と、連結子会社の大和リアル・エステート・アセット・マネジメント及びサムティ・レジデンシャル投資法人の不動産運用収益によって構成されます。また、当社持分法適用関連会社である三井住友DSアセットマネジメント(注)の投資信託の組成と運用及び投資顧問業務に関する報酬からの利益、同じく持分法適用関連会社である大和証券オフィス投資法人の不動産運用収益からの利益は、それぞれ当社の持分割合に従って経常利益に計上されます。経営成績に重要な影響を与える要因としては、マーケット環境によって変動する顧客の投資信託及び投資顧問サービスへの需要と、マーケット環境に対するファンドの運用パフォーマンスや、顧客の関心を捉えたテーマ性のある商品開発等による商品自体の訴求性が挙げられます。大和リアル・エステート・アセット・マネジメント、サムティ・レジデンシャル投資法人及び大和証券オフィス投資法人の経営成績は、国内の不動産市場・オフィス需要の動向の影響を受けます。
大和証券投資信託委託では、R&Iファンド大賞において表彰された複数のファンド、NISA、iDeCo向け資産形成型商品やETFなど、投資家の資産形成ステージに応じた商品を提供しており、特にETFを中心に運用資産残高を拡大させた結果、当第3四半期連結累計期間において、公募投資信託の運用資産残高は前連結会計年度末比8.6%増の17.3兆円となりました。不動産アセット・マネジメントでは、大和リアル・エステート・アセット・マネジメントが運用する2019年12月末の運用資産残高は9,336億円となっております。また、当社はサムティアセットマネジメントのサブスポンサーを務めており、同社が運用するサムティ・レジデンシャル投資法人の2019年12月末の運用資産残高は1,097億円となっております。不動産アセット・マネジメント2社の運用資産残高の合計は1兆433億円となっております。
その結果、当第3四半期連結累計期間のアセット・マネジメント部門の純営業収益は前年同期比2.3%減の356億円、経常利益は同9.3%減の198億円となりました。アセット・マネジメント部門の当第3四半期連結累計期間の純営業収益及び経常利益のグループ全体の連結純営業収益及び連結経常利益に占める割合は、それぞれ11.2%及び36.6%でした。
(注)当社の持分法適用関連会社であった大和住銀投信投資顧問株式会社は、三井住友アセットマネジメント株式会社と合併し、2019年4月1日に三井住友DSアセットマネジメント株式会社となりました。
[投資部門]
投資部門は主に、連結子会社である大和企業投資、大和PIパートナーズ及び大和エナジー・インフラで構成されます。投資部門の主な収益源は、投資先の新規上場(IPO)・M&A等による売却益や、投資事業組合への出資を通じたキャピタルゲインのほか、契約に基づきファンドから受領する、管理運営に対する管理報酬や投資成果に応じた成功報酬です。
当第3四半期連結累計期間において、大和企業投資は、引き続き国内外の成長企業への投資を行ったほか、大和PIパートナーズは、ローン、不良債権、不動産、国内外のPE投資を着実に実行しました。また、大和エナジー・インフラでは、太陽光発電事業や英国の配電事業への出資、ドイツの再生可能エネルギー投資企業との戦略的提携を行うなど、持続可能な開発目標(SDGs)に資するエネルギー・インフラ関連投資を拡大しました。
当第3四半期連結累計期間は、前年同期にあった大型のエクイティ投資先の売却益がなかったことに加え、既存投資案件の再評価に伴う損失を計上したことから、投資部門の純営業損失は17億円、経常損失は40億円となりました。
[その他]
その他の事業には、主に大和総研と大和総研ビジネス・イノベーションからなる大和総研グループによるリサーチ・コンサルティング業務及びシステム業務のほか、大和ネクスト銀行による銀行業務などが含まれます。
大和総研は、当社グループのシステム開発を着実に遂行したほか、高付加価値のソリューション提案により、顧客との関係を強化し、当社グループのビジネスに貢献しました。
大和総研ビジネス・イノベーションは、大口顧客向けシステム開発案件を手掛けたこと等により、当社グループの収益に貢献しました。
大和ネクスト銀行では、2017年11月に導入した「えらべる預金」の「応援定期預金」が2019年12月の第3回「ジャパンSDGsアワード」における特別賞「SDGsパートナーシップ賞」を受賞しました。また、銀行代理業者である大和証券と連携した各種キャンペーンを引き続き実施し、当第3四半期連結会計期間末の預金残高(譲渡性預金含む)は前連結会計年度末比16.8%増の4兆2,973億円、銀行口座数は同2.2%増の139万口座となりました。
その結果、その他・調整等に係る純営業収益は285億円(前年同期345億円)、経常利益は6億円(前年同期29億円)となりました。その他・調整等の当第3四半期連結累計期間の純営業収益及び経常利益のグループ全体の連結純営業収益及び連結経常利益に占める割合は、それぞれ9.0%及び1.2%でした。
③ 経営方針・経営戦略等及び経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当第3四半期連結累計期間において、経営方針・経営戦略等及び経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等について、第82期有価証券報告書の「目標とする経営指標の達成状況等」に記載した経営指標から重要な変更及び新たに生じた事項はありません。
④ 経営成績の前提となる当第3四半期連結累計期間のマクロ経済環境
<海外の状況>世界経済は緩やかに拡大しているものの、米国のトランプ大統領が保護主義的な通商政策を強力に推進し米中間の貿易摩擦が長期化する中、世界経済の減速傾向が続いています。IMF(国際通貨基金)によれば、2018年の世界経済成長率は3.6%と前年を下回る伸びにとどまり、2019年は3.0%とさらに鈍化したと見込まれます。地域別では、先進国では米国やユーロ圏、イギリスの減速を主因に、2018年の2.3%の成長から、2019年は1.7%まで成長率が低下したと見込まれています。また、新興国についても、2019年は下記のように幅広い地域で減速したと見込まれています。
米国経済では、2019年4-6月期の実質GDP成長率が前期比年率2.0%増となりました。1-3月期にあった政府閉鎖や悪天候などの一時的な下押し要因がなかったことに加えて、雇用・所得環境の改善が続いたことで個人消費が堅調な伸びとなり、実質GDPを押し上げました。一方で、海外経済の減速や貿易摩擦の悪化を受けて、輸出や設備投資が減少に転じたことから、実質GDP成長率の伸び率は1-3月期から縮小しました。7-9月期に入っても、企業部門の停滞が続く一方、底堅い個人消費の増加や、金利低下を背景とした住宅投資の持ち直しを主因として米国経済は緩やかな拡大が続き、実質GDP成長率は前期比年率2.1%増となりました。雇用・所得環境の改善および低金利を背景とした家計部門の拡大は10-12月期も継続し、実質GDP成長率は前期比年率2.1%増と、前期と同程度の伸びとなりました。しかし、海外経済の減速傾向が続いていることや、米中対立をはじめとする通商政策をめぐる不透明感によって、輸出や生産では停滞が見られています。製造業を中心とした企業の景況感の悪化によって、設備投資は2019年4-6月期以降、3四半期連続で減少しました。
トランプ大統領の政権運営は米国内外で混乱を招いており、先行きに関する不確実性が高い状態が続いています。米国内では、下院でのトランプ大統領の弾劾決議に象徴されるように野党である民主党とトランプ大統領の対立は激しさを増しています。対外関係では、中国との貿易摩擦の悪化が続いたものの、12月には米中間で第1段階の貿易合意が成立し、なお不透明感が強い状況は続いていますが対立が激化するリスクは若干和らぐこととなりました。
金融面では、景気の先行きに対する不透明感が強まる中、FRB(連邦準備制度理事会)が景気に配慮した「ハト派」の姿勢にシフトしました。2019年7月のFOMC(連邦公開市場委員会)では、それまでの利上げ路線から転じて、およそ10年ぶりの利下げが決定され、9月、10月のFOMCでも追加利下げが実施されました。また、FRBのバランスシート縮小は7月に停止され、10月にはバランスシートを再度拡大していく方針が決定されました。
欧州経済(ユーロ圏経済)では、緩やかな成長が続いているものの、成長ペースが減速傾向にあります。2019年4-6月期の実質GDP成長率は前期比年率0.6%増となり、前期の同1.8%増から伸び率が縮小しました。雇用者所得の増加が続く中、個人消費を中心とした内需が底堅く推移する一方、外需の落ち込みによって成長率が押し下げられました。米中摩擦の激化や、長引くイギリスのEU離脱問題などによる不透明感が外需の下押し要因となり、特に外需依存度が高いドイツは4-6月期にはマイナス成長に陥りました。外需を巡る不透明感は7-9月期に入っても払拭されず、製造業の景況感が低い水準で推移する中、企業は設備投資に対して慎重な姿勢を続けました。7-9月期のユーロ圏の実質GDP成長率は前期比年率1.1%増と、前期からはわずかに成長が加速しましたが緩やかな伸びにとどまりました。また、10-12月期に入ると、外需の停滞が続いたことに加えて、雇用者数の増加ペースが鈍化したことで、これまで成長を下支えしてきた個人消費も減速し、実質GDP成長率は前期比年率0.4%増と非常に低い伸びとなりました。
金融面では、ECB(欧州中央銀行)が2018年末まで非伝統的な金融緩和政策の軌道修正を進めてきました。しかしながら、世界経済の不透明さが増し、ユーロ圏の景気減速が鮮明になる中で、2019年3月、ECBは次の利上げの可能性を2019年秋から2020年以降に先送りし、6月にはこれを2020年後半まで先送りしました。さらに9月には、3年半ぶりとなる利下げを実施したことに加えて、量的緩和政策の再開を決定し、再び金融緩和路線へと舵を切りました。
新興市場国・発展途上国経済は、2018年の実質GDP成長率が4.5%と、3年ぶりに成長が鈍化しました。その大きな要因となったのは、世界第2位の経済規模を持つ中国で、2018年1-3月期の6.8%をピークに成長率の低下傾向が続いていることです。2019年に入ると、中国の1-3月期の実質GDP成長率は6.4%と、前期から横ばいとなり、成長率の低下に一旦歯止めがかかったように見えましたが、4-6月期の実質GDP成長率は6.2%、7-9月期には6.0%、10-12月期には6.0%と、成長率の鈍化傾向が続き、2019年通年の実質GDP成長率は前年比6.1%となりました。中国政府は、貿易摩擦をきっかけとした景気失速を回避すべく財政・金融の両面から大規模な経済対策を打ち出しており、内需を下支えする効果が期待されます。米中を中心とした貿易摩擦の激化の影響は世界全体に及んでおり、中国以外の新興国経済にも大きな打撃を与えています。新興国全体では、上記のような中国の成長率の鈍化に加えて、ASEANやロシア、中南米など、幅広い地域で減速が見込まれ、2019年の成長率は3.9%と、2018年の4.5%から低下したと見込まれています。
他方、世界経済の減速を受けて、FRBをはじめとする各国中央銀行が金融緩和を実施し、世界的に金利が低下したことは、新興国への資金流入を促し、新興国経済を下支えする要因になると期待されています。また、経済対策によって中国経済の減速に歯止めがかかれば、その効果は他の新興国へも波及するとみられることから、中国の経済対策への期待感が高まっています。
<日本の状況>日本経済は、平均してみれば緩やかな回復基調が続いています。ただし、海外経済の減速や貿易摩擦の影響によって輸出が停滞する中、製造業を中心とした企業部門では減速感が高まっています。また、2019年10月に実施された消費増税によって増税前に駆け込み需要が発生し成長率を押し上げた一方で、増税後の10-12月期はその反動減が景気を下押しする要因となっています。
2019年4-6月期の実質GDP成長率は前期比年率2.0%増となりました。成長を牽引したのは、GDPに占めるウエイトの大きい個人消費が前期比年率2.4%増と、堅調な伸びとなったことです。個人消費の裏付けとなる雇用・所得環境の着実な改善が続いたことに加え、ゴールデンウィークの10連休が個人消費の押し上げに寄与しました。7-9月期は、7月の悪天候によって個人消費は一旦減速することになりましたが、10月の消費増税に向けた駆け込み需要が発生したため、9月末にかけて個人消費は大きく増加しました。この結果、7-9月期の個人消費は前期比年率2.2%増となり、実質GDPは前期比年率1.8%増と4四半期連続で増加しました。一方、10月以降は駆け込み需要の反動減が顕在化し、個人消費は大きく落ち込んでいます。
住宅投資は、2018年7-9月期以降、5四半期連続で増加が続いています。低金利の継続や雇用・所得環境の改善に加えて、個人消費と同様に消費増税前の駆け込み需要が押し上げ要因となりました。ただし、消費増税後の住宅取得に対する支援策がとられたことにより、駆け込み需要は過去の消費増税時に比べると小幅なものとなり、2019年7-9月期に入ると駆け込み需要からの反動減が顕在化し始め、住宅着工は低位で推移しています。
企業の設備投資は、2019年4-6月期に2四半期ぶりの増加となりました。高水準の企業収益や低金利、労働需給の逼迫など企業を取り巻く環境に変化はなく、人手不足に対応した合理化・省人化投資や、競争力を維持するための機械・設備の更新、研究開発投資などの増加基調が続いています。日銀短観(12月調査)の2019年度の設備投資計画をみても、大企業を中心に設備投資の増加が続くことが見込まれています。もっとも、米中対立の長期化や消費増税後の反動減の影響などから、企業の景況感は悪化傾向にあり、設備投資に対する態度にも慎重さが増しつつあります。
金融面では、日本銀行による短期金利に加えて長期金利も操作対象とする金融緩和措置が継続しています。また、世界経済の減速懸念が強まる中、日本銀行は2019年4月の金融政策決定会合において、少なくとも2020年春頃まで金融緩和措置を続けることを表明しました。2019年度前半は、FRBによる利下げへの期待の高まり、および7月、9月の利下げ実施によって世界的に金利が低下する中、日本の長期金利も低下基調を強めました。さらに9月には、米国による対中追加関税の拡大を受け、世界的にリスク回避の動きが強まる中、安全資産とされる日本国債の需要が高まり、10年国債利回りは一時△0.29%前後と、2016年7月以来の水準まで低下しました。しかし、FRBによる2019年の3回の利下げは、米国経済および世界経済の見通しを改善させ、米国の長期金利は9月には下げ止まり、リスク回避によって低下基調を強めていた日本の10年債利回りは、9月を底に上昇基調に転じました。
為替市場をみると、対ドルでは、世界経済に対する過度に悲観的な見方が後退したことから、2019年年初からは円安・ドル高傾向で推移し、4月には一時112円台まで円安が進みました。しかし、5月に入ると米国による対中関税率の追加引き上げをきっかけに米中貿易摩擦激化への警戒感が高まり、再びリスク回避の動きが強まりました。また、世界経済の減速感が強まる中、FRBによる金融緩和およびさらなる追加緩和への期待によって日米金利差が縮小したことも円高・ドル安要因となり、8月には一時105円台前半まで円高が進みました。他方、リスク回避傾向が弱まった9月以降は再び円安傾向となりました。対ユーロでも対ドルと同様に、2019年年初から4月にかけて円安傾向で推移した後、4月半ばから9月初旬までは円高傾向で推移し、9月中旬以降円安方向へと転じています。
株式市場は、引き続き海外経済・市場の動向に左右される展開となりました。2019年に入りFRBがそれまでの引き締め路線から緩和的な政策スタンスへと転じたことにより、2018年末の過度な景気悪化懸念が後退し、世界的に株価は上昇基調となりました。日経平均も2019年年初から上昇基調が続き、4月の半ばには2018年12月以来およそ4ヵ月ぶりに22,000円台を回復しました。しかし、5月に米中貿易摩擦激化に対する懸念が再燃したことで、株価は下落に転じました。6月にはFRBによる利下げ期待の高まりによる金利低下、米国株高を受けて、日経平均も一時上昇に転じましたが、7-9月期に入ると、再び米中交渉の動向に左右される形で、下落と上昇を繰り返す展開となりました。しかし、10-12月期に入るとFRB、ECBによる金融緩和を受け米国の株価は史上最高値を更新し、米国株市場の上昇にあわせる形で日経平均も上昇基調となりました。
2019年12月末の日経平均株価は23,656円62銭(同年9月末比1,900円78銭高)、10年国債利回りは△0.025%(同0.190ポイントの上昇)、為替は1ドル109円15銭(同1円29銭の円安)となりました。
(3) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当第3四半期連結累計期間において、事業上及び財務上の対処すべき課題について、重要な変更及び新たに生じた事項はありません。
(4) 研究開発活動
該当事項はありません。
(5) 資本の財源及び流動性に係る情報
① 流動性の管理
<財務の効率性と安定性の両立>当社グループは、多くの資産及び負債を用いて有価証券関連業務を中心としたビジネスを行っており、ビジネスを継続する上で十分な流動性を効率的かつ安定的に確保することを資金調達の基本方針としております。
当社グループの資金調達手段には、社債、ミディアム・ターム・ノート、金融機関借入、コマーシャル・ペーパー、コールマネー、預金受入等の無担保調達、現先取引、レポ取引等の有担保調達があり、これらの多様な調達手段を適切に組み合わせることにより、効率的かつ安定的な資金調達の実現を図っております。
財務の安定性という観点では、環境が大きく変動した場合においても、業務の継続に支障をきたすことのないよう、平時から安定的に資金を確保するよう努めると同時に、危機発生等により、新規の資金調達及び既存資金の再調達が困難となる場合も想定し、調達資金の償還期限及び調達先の分散を図っております。
当社は、平成26年金融庁告示第61号による連結流動性カバレッジ比率(以下、「LCR」という。)の最低基準の遵守が求められております。当社の当第3四半期日次平均のLCRは135.7%となっており、上記金融庁告示による要件を満たしております。また、当社は、上記金融庁告示による規制上のLCRのほかに、独自の流動性管理指標を用いた流動性管理態勢を構築しております。即ち、一定期間内に期日が到来する無担保調達資金及び同期間にストレスが発生した場合の資金流出見込額に対し、様々なストレスシナリオを想定したうえで、それらをカバーする流動性ポートフォリオが保持されていることを日次で確認しております。その他、1年以上の長期間に亘りストレス環境が継続することを想定した場合に、保有資産を維持するための長期性資金調達状況の十分性を計測及びモニタリングしており、1年間無担保資金調達が行えない場合でも業務の継続が可能となるように取り組んでおります。
当第3四半期日次平均のLCRの状況は次のとおりです。
(単位:億円)
<グループ全体の資金管理>当社グループでは、グループ全体での適正な流動性確保という基本方針の下、当社が一元的に資金の流動性の管理・モニタリングを行っております。当社は、当社固有のストレス又は市場全体のストレスの発生により新規の資金調達及び既存資金の再調達が困難となる場合も想定し、短期の無担保調達資金について、当社グループの流動性ポートフォリオが十分に確保されているかをモニタリングしております。また、当社は、必要に応じて当社からグループ各社に対し、機動的な資金の配分・供給を行うと共に、グループ内で資金融通を可能とする態勢を整えることで、効率性に基づく一体的な資金調達及び資金管理を行っております。
<コンティンジェンシー・ファンディング・プラン>当社グループは、流動性リスクへの対応の一環として、コンティンジェンシー・ファンディング・プランを策定しております。同プランは、信用力の低下等の内生的要因や金融市場の混乱等の外生的要因によるストレスの逼迫度に応じた報告体制や資金調達手段の確保などの方針を定めており、これにより当社グループは機動的な対応により流動性を確保する態勢を整備しております。
当社グループのコンティンジェンシー・ファンディング・プランは、グループ全体のストレスを踏まえて策定しており、変動する金融環境に機動的に対応するため、定期的な見直しを行っております。
また、金融市場の変動の影響が大きく、その流動性確保の重要性の高い大和証券株式会社、株式会社大和ネクスト銀行及び海外証券子会社においては、更に個別のコンティンジェンシー・ファンディング・プランも策定し、同様に定期的な見直しを行っております。
なお、当社は、子会社のコンティンジェンシー・ファンディング・プランの整備状況について定期的にモニタリングしており、必要に応じて想定すべき危機シナリオを考慮して子会社の資金調達プランやコンティンジェンシー・ファンディング・プランそのものの見直しを行い、更には流動性の積み増しを実行すると同時に資産圧縮を図るといった事前の対策を講じることとしております。
② 株主資本
当社グループが株式や債券、デリバティブ等のトレーディング取引、貸借取引、引受業務、ストラクチャード・ファイナンス、M&A、プリンシパル・インベストメント、証券担保ローン等の有価証券関連業を中心とした幅広い金融サービスを展開するためには、十分な資本を確保する必要があります。また、当社グループは、日本のみならず、海外においても有価証券関連業務を行っており、それぞれの地域において法規制上必要な資本を維持しなければなりません。
当第3四半期連結会計期間末の株主資本は、前連結会計年度末比59億円減少し、1兆1,905億円となりました。また、資本金及び資本剰余金の合計は4,780億円となっております。利益剰余金は親会社株主に帰属する四半期純利益490億円を計上したほか、配当金311億円の支払いを行った結果、前連結会計年度末比175億円増加の8,232億円となりました。自己株式の控除額は同234億円増加し、1,107億円となっております。
(1) 財政状態の分析
<資産の部>当第3四半期連結会計期間末の総資産は前連結会計年度末比3兆2,827億円(15.5%)増加の24兆4,094億円となりました。内訳は流動資産が同3兆486億円(14.9%)増加の23兆4,542億円であり、このうち現金・預金が同1,544億円(3.7%)増加の4兆3,077億円、有価証券が同869億円(10.7%)増加の8,993億円、トレーディング商品が同6,312億円(9.4%)増加の7兆3,473億円、有価証券担保貸付金が同2兆401億円(34.2%)増加の8兆139億円となっております。固定資産は同2,341億円(32.5%)増加の9,552億円となっております。
<負債の部・純資産の部>負債合計は前連結会計年度末比3兆2,520億円(16.4%)増加の23兆1,222億円となりました。内訳は流動負債が同3兆4,166億円(20.0%)増加の20兆4,986億円であり、このうちトレーディング商品が同1,470億円(3.1%)増加の4兆8,948億円、約定見返勘定が同4,458億円(174.3%)増加の7,016億円、有価証券担保借入金が同2兆4,887億円(41.8%)増加の8兆4,367億円、銀行業における預金が同6,276億円(17.3%)増加の4兆2,601億円、短期借入金が同5,932億円(44.2%)減少の7,481億円となっております。固定負債は同1,646億円(5.9%)減少の2兆6,196億円であり、このうち社債が同1,631億円(12.0%)減少の1兆1,987億円となっております。
純資産合計は同307億円(2.4%)増加の1兆2,871億円となりました。資本金及び資本剰余金の合計は4,780億円となりました。利益剰余金は親会社株主に帰属する四半期純利益を490億円計上したほか、配当金311億円の支払いを行ったこと等により、同175億円(2.2%)増加の8,232億円となっております。自己株式の控除額は同234億円(26.9%)増加の1,107億円、その他有価証券評価差額金は同34億円(7.2%)増加の510億円、為替換算調整勘定は同26億円(44.2%)減少の33億円、非支配株主持分は11.9倍の382億円となっております。
(2) 経営成績の分析
① 事業全体の状況
当第3四半期連結累計期間の営業収益は前年同期比4.6%減の5,116億円、純営業収益は同5.4%減の3,156億円となりました。
受入手数料は1,982億円と、同9.2%の減収となりました。委託手数料は、株式取引が減少したことにより、同14.7%減の390億円となりました。引受業務では、複数の大型エクイティ引受案件等が貢献した前年同期と比べ、引受け・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の手数料は減少し、同30.5%減の247億円となりました。
トレーディング損益は、顧客のアクティビティが活発となったことで債券収益が増加し、同14.0%増の754億円となりました。
販売費・一般管理費は同0.8%減の2,777億円となりました。取引関係費は投信販売会社への支払手数料や、販売促進に関連する費用の減少により同4.5%減の519億円、人件費は国内の賞与などが減少したことにより同0.9%減の1,371億円、減価償却費はシステムの更改や、海外子会社における新リース基準の適用により同21.1%増の230億円となっております。
以上より、経常利益は同23.6%減の500億円となりました。
これに特別損益を加え、法人税等及び非支配株主に帰属する四半期純利益を差し引いた結果、親会社株主に帰属する四半期純利益は前年同期比2.6%減の490億円となりました。
② セグメント情報に記載された区分ごとの状況
純営業収益及び経常利益をセグメント別に分析した状況は次のとおりであります。
(単位:百万円)
純営業収益又は純営業損失(△) | 経常利益又は経常損失(△) | ||||||||
2018年 12月期 | 2019年 12月期 | 対前年同期 増減率 | 構成比率 | 2018年 12月期 | 2019年 12月期 | 対前年同期 増減率 | 構成比率 | ||
リテール部門 | 144,313 | 125,182 | △13.3% | 39.4% | 22,737 | 4,853 | △78.7% | 9.0% | |
ホールセール部門 | 116,284 | 127,962 | 10.0% | 40.3% | 17,907 | 28,789 | 60.8% | 53.2% | |
グローバル・マーケッツ | 78,821 | 90,192 | 14.4% | 28.4% | 11,484 | 21,373 | 86.1% | 39.5% | |
グローバル・インベストメント ・バンキング | 37,462 | 37,769 | 0.8% | 11.9% | 5,633 | 7,051 | 25.2% | 13.0% | |
アセット・マネジメント部門 | 36,486 | 35,645 | △2.3% | 11.2% | 21,850 | 19,808 | △9.3% | 36.6% | |
投資部門 | 2,086 | △1,715 | - | - | 15 | △4,081 | - | - | |
その他・調整等 | 34,577 | 28,564 | - | 9.0% | 2,983 | 654 | - | 1.2% | |
連結 計 | 333,746 | 315,638 | △5.4% | 100.0% | 65,495 | 50,023 | △23.6% | 100.0% |
[リテール部門]
リテール部門の主な収益源は、国内の個人投資家及び未上場会社のお客様の資産管理・運用に関する商品・サービスの手数料であり、経営成績に重要な影響を与える要因には、お客様動向を左右する国内外の金融市場及び経済環境の状況に加え、お客様のニーズに合った商品の開発状況や引受け状況及び販売戦略が挙げられます。
当第3四半期連結累計期間においては、ラップ口座サービスの契約資産残高が堅調に推移し過去最高水準となったものの、低調な顧客アクティビティからエクイティ収益は減少しました。また、株式投資信託の販売額が減少し、投信募集手数料が減少しました。
その結果、当第3四半期連結累計期間のリテール部門における純営業収益は前年同期比13.3%減の1,251億円、経常利益は同78.7%減の48億円となりました。リテール部門の当第3四半期連結累計期間の純営業収益及び経常利益のグループ全体の連結純営業収益及び連結経常利益に占める割合は、それぞれ39.4%及び9.0%でした。
[ホールセール部門]
ホールセール部門は、機関投資家等を対象に有価証券のセールス及びトレーディングを行うグローバル・マーケッツと、事業法人、金融法人等が発行する有価証券の引き受け、M&Aアドバイザリー業務や上場コンサルティング業務を行うグローバル・インベストメント・バンキングによって構成されます。グローバル・マーケッツの主な収益源は、機関投資家に対する有価証券の売買に伴って得る取引手数料及びトレーディング収益です。グローバル・インベストメント・バンキングの主な収益源は、引受業務やM&Aアドバイザリー業務によって得る引受け・売出し手数料とM&A関連手数料です。グローバル・マーケッツにおいては、国際的な地政学リスクや経済状況等で変化する金融市場の動向や、それに伴う顧客フローの変化が、経営成績に重要な影響を与える要因となります。グローバル・インベストメント・バンキングにおいては、顧客企業の資金調達手段の決定やM&Aの需要を左右する国内外の経済環境等に加え、当社が企業の需要を捉え、案件を獲得できるかが経営成績に重要な影響を与える要因となります。
グローバル・マーケッツは増収増益となりました。エクイティ収益は、顧客のアクティビティが低調に推移したことから減収となりましたが、フィクスト・インカム収益は低金利環境下でクレジット投資が堅調となったことに加えて、当第3四半期連結会計期間において海外で米国債を中心に販売が特に好調であったことから増収となりました。これらの結果、当第3四半期連結累計期間の純営業収益は前年同期比14.4%増の901億円、経常利益は同86.1%増の213億円となりました。
グローバル・インベストメント・バンキングでは、エクイティの引受け・売出し手数料が複数の大型エクイティ募集・売出し案件でジョイント・グローバル・コーディネーターや主幹事を務めた前年同期と比べ、減収となりました。その一方でM&Aビジネスにおいては、DC Advisoryが関与する海外・クロスボーダー案件や、国内案件が収益に貢献し、増収となりました。これらの結果、当第3四半期連結累計期間の純営業収益は前年同期比0.8%増の377億円、経常利益は同25.2%増の70億円となりました。
当第3四半期連結累計期間のホールセール部門における純営業収益は前年同期比10.0%増の1,279億円、経常利益は同60.8%増の287億円となりました。ホールセール部門の当第3四半期連結累計期間の純営業収益及び経常利益のグループ全体の連結純営業収益及び連結経常利益に占める割合は、それぞれ40.3%及び53.2%でした。
[アセット・マネジメント部門]
アセット・マネジメント部門の収益は、主に当社連結子会社の大和証券投資信託委託における投資信託の組成と運用に関する報酬と、連結子会社の大和リアル・エステート・アセット・マネジメント及びサムティ・レジデンシャル投資法人の不動産運用収益によって構成されます。また、当社持分法適用関連会社である三井住友DSアセットマネジメント(注)の投資信託の組成と運用及び投資顧問業務に関する報酬からの利益、同じく持分法適用関連会社である大和証券オフィス投資法人の不動産運用収益からの利益は、それぞれ当社の持分割合に従って経常利益に計上されます。経営成績に重要な影響を与える要因としては、マーケット環境によって変動する顧客の投資信託及び投資顧問サービスへの需要と、マーケット環境に対するファンドの運用パフォーマンスや、顧客の関心を捉えたテーマ性のある商品開発等による商品自体の訴求性が挙げられます。大和リアル・エステート・アセット・マネジメント、サムティ・レジデンシャル投資法人及び大和証券オフィス投資法人の経営成績は、国内の不動産市場・オフィス需要の動向の影響を受けます。
大和証券投資信託委託では、R&Iファンド大賞において表彰された複数のファンド、NISA、iDeCo向け資産形成型商品やETFなど、投資家の資産形成ステージに応じた商品を提供しており、特にETFを中心に運用資産残高を拡大させた結果、当第3四半期連結累計期間において、公募投資信託の運用資産残高は前連結会計年度末比8.6%増の17.3兆円となりました。不動産アセット・マネジメントでは、大和リアル・エステート・アセット・マネジメントが運用する2019年12月末の運用資産残高は9,336億円となっております。また、当社はサムティアセットマネジメントのサブスポンサーを務めており、同社が運用するサムティ・レジデンシャル投資法人の2019年12月末の運用資産残高は1,097億円となっております。不動産アセット・マネジメント2社の運用資産残高の合計は1兆433億円となっております。
その結果、当第3四半期連結累計期間のアセット・マネジメント部門の純営業収益は前年同期比2.3%減の356億円、経常利益は同9.3%減の198億円となりました。アセット・マネジメント部門の当第3四半期連結累計期間の純営業収益及び経常利益のグループ全体の連結純営業収益及び連結経常利益に占める割合は、それぞれ11.2%及び36.6%でした。
(注)当社の持分法適用関連会社であった大和住銀投信投資顧問株式会社は、三井住友アセットマネジメント株式会社と合併し、2019年4月1日に三井住友DSアセットマネジメント株式会社となりました。
[投資部門]
投資部門は主に、連結子会社である大和企業投資、大和PIパートナーズ及び大和エナジー・インフラで構成されます。投資部門の主な収益源は、投資先の新規上場(IPO)・M&A等による売却益や、投資事業組合への出資を通じたキャピタルゲインのほか、契約に基づきファンドから受領する、管理運営に対する管理報酬や投資成果に応じた成功報酬です。
当第3四半期連結累計期間において、大和企業投資は、引き続き国内外の成長企業への投資を行ったほか、大和PIパートナーズは、ローン、不良債権、不動産、国内外のPE投資を着実に実行しました。また、大和エナジー・インフラでは、太陽光発電事業や英国の配電事業への出資、ドイツの再生可能エネルギー投資企業との戦略的提携を行うなど、持続可能な開発目標(SDGs)に資するエネルギー・インフラ関連投資を拡大しました。
当第3四半期連結累計期間は、前年同期にあった大型のエクイティ投資先の売却益がなかったことに加え、既存投資案件の再評価に伴う損失を計上したことから、投資部門の純営業損失は17億円、経常損失は40億円となりました。
[その他]
その他の事業には、主に大和総研と大和総研ビジネス・イノベーションからなる大和総研グループによるリサーチ・コンサルティング業務及びシステム業務のほか、大和ネクスト銀行による銀行業務などが含まれます。
大和総研は、当社グループのシステム開発を着実に遂行したほか、高付加価値のソリューション提案により、顧客との関係を強化し、当社グループのビジネスに貢献しました。
大和総研ビジネス・イノベーションは、大口顧客向けシステム開発案件を手掛けたこと等により、当社グループの収益に貢献しました。
大和ネクスト銀行では、2017年11月に導入した「えらべる預金」の「応援定期預金」が2019年12月の第3回「ジャパンSDGsアワード」における特別賞「SDGsパートナーシップ賞」を受賞しました。また、銀行代理業者である大和証券と連携した各種キャンペーンを引き続き実施し、当第3四半期連結会計期間末の預金残高(譲渡性預金含む)は前連結会計年度末比16.8%増の4兆2,973億円、銀行口座数は同2.2%増の139万口座となりました。
その結果、その他・調整等に係る純営業収益は285億円(前年同期345億円)、経常利益は6億円(前年同期29億円)となりました。その他・調整等の当第3四半期連結累計期間の純営業収益及び経常利益のグループ全体の連結純営業収益及び連結経常利益に占める割合は、それぞれ9.0%及び1.2%でした。
③ 経営方針・経営戦略等及び経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当第3四半期連結累計期間において、経営方針・経営戦略等及び経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等について、第82期有価証券報告書の「目標とする経営指標の達成状況等」に記載した経営指標から重要な変更及び新たに生じた事項はありません。
④ 経営成績の前提となる当第3四半期連結累計期間のマクロ経済環境
<海外の状況>世界経済は緩やかに拡大しているものの、米国のトランプ大統領が保護主義的な通商政策を強力に推進し米中間の貿易摩擦が長期化する中、世界経済の減速傾向が続いています。IMF(国際通貨基金)によれば、2018年の世界経済成長率は3.6%と前年を下回る伸びにとどまり、2019年は3.0%とさらに鈍化したと見込まれます。地域別では、先進国では米国やユーロ圏、イギリスの減速を主因に、2018年の2.3%の成長から、2019年は1.7%まで成長率が低下したと見込まれています。また、新興国についても、2019年は下記のように幅広い地域で減速したと見込まれています。
米国経済では、2019年4-6月期の実質GDP成長率が前期比年率2.0%増となりました。1-3月期にあった政府閉鎖や悪天候などの一時的な下押し要因がなかったことに加えて、雇用・所得環境の改善が続いたことで個人消費が堅調な伸びとなり、実質GDPを押し上げました。一方で、海外経済の減速や貿易摩擦の悪化を受けて、輸出や設備投資が減少に転じたことから、実質GDP成長率の伸び率は1-3月期から縮小しました。7-9月期に入っても、企業部門の停滞が続く一方、底堅い個人消費の増加や、金利低下を背景とした住宅投資の持ち直しを主因として米国経済は緩やかな拡大が続き、実質GDP成長率は前期比年率2.1%増となりました。雇用・所得環境の改善および低金利を背景とした家計部門の拡大は10-12月期も継続し、実質GDP成長率は前期比年率2.1%増と、前期と同程度の伸びとなりました。しかし、海外経済の減速傾向が続いていることや、米中対立をはじめとする通商政策をめぐる不透明感によって、輸出や生産では停滞が見られています。製造業を中心とした企業の景況感の悪化によって、設備投資は2019年4-6月期以降、3四半期連続で減少しました。
トランプ大統領の政権運営は米国内外で混乱を招いており、先行きに関する不確実性が高い状態が続いています。米国内では、下院でのトランプ大統領の弾劾決議に象徴されるように野党である民主党とトランプ大統領の対立は激しさを増しています。対外関係では、中国との貿易摩擦の悪化が続いたものの、12月には米中間で第1段階の貿易合意が成立し、なお不透明感が強い状況は続いていますが対立が激化するリスクは若干和らぐこととなりました。
金融面では、景気の先行きに対する不透明感が強まる中、FRB(連邦準備制度理事会)が景気に配慮した「ハト派」の姿勢にシフトしました。2019年7月のFOMC(連邦公開市場委員会)では、それまでの利上げ路線から転じて、およそ10年ぶりの利下げが決定され、9月、10月のFOMCでも追加利下げが実施されました。また、FRBのバランスシート縮小は7月に停止され、10月にはバランスシートを再度拡大していく方針が決定されました。
欧州経済(ユーロ圏経済)では、緩やかな成長が続いているものの、成長ペースが減速傾向にあります。2019年4-6月期の実質GDP成長率は前期比年率0.6%増となり、前期の同1.8%増から伸び率が縮小しました。雇用者所得の増加が続く中、個人消費を中心とした内需が底堅く推移する一方、外需の落ち込みによって成長率が押し下げられました。米中摩擦の激化や、長引くイギリスのEU離脱問題などによる不透明感が外需の下押し要因となり、特に外需依存度が高いドイツは4-6月期にはマイナス成長に陥りました。外需を巡る不透明感は7-9月期に入っても払拭されず、製造業の景況感が低い水準で推移する中、企業は設備投資に対して慎重な姿勢を続けました。7-9月期のユーロ圏の実質GDP成長率は前期比年率1.1%増と、前期からはわずかに成長が加速しましたが緩やかな伸びにとどまりました。また、10-12月期に入ると、外需の停滞が続いたことに加えて、雇用者数の増加ペースが鈍化したことで、これまで成長を下支えしてきた個人消費も減速し、実質GDP成長率は前期比年率0.4%増と非常に低い伸びとなりました。
金融面では、ECB(欧州中央銀行)が2018年末まで非伝統的な金融緩和政策の軌道修正を進めてきました。しかしながら、世界経済の不透明さが増し、ユーロ圏の景気減速が鮮明になる中で、2019年3月、ECBは次の利上げの可能性を2019年秋から2020年以降に先送りし、6月にはこれを2020年後半まで先送りしました。さらに9月には、3年半ぶりとなる利下げを実施したことに加えて、量的緩和政策の再開を決定し、再び金融緩和路線へと舵を切りました。
新興市場国・発展途上国経済は、2018年の実質GDP成長率が4.5%と、3年ぶりに成長が鈍化しました。その大きな要因となったのは、世界第2位の経済規模を持つ中国で、2018年1-3月期の6.8%をピークに成長率の低下傾向が続いていることです。2019年に入ると、中国の1-3月期の実質GDP成長率は6.4%と、前期から横ばいとなり、成長率の低下に一旦歯止めがかかったように見えましたが、4-6月期の実質GDP成長率は6.2%、7-9月期には6.0%、10-12月期には6.0%と、成長率の鈍化傾向が続き、2019年通年の実質GDP成長率は前年比6.1%となりました。中国政府は、貿易摩擦をきっかけとした景気失速を回避すべく財政・金融の両面から大規模な経済対策を打ち出しており、内需を下支えする効果が期待されます。米中を中心とした貿易摩擦の激化の影響は世界全体に及んでおり、中国以外の新興国経済にも大きな打撃を与えています。新興国全体では、上記のような中国の成長率の鈍化に加えて、ASEANやロシア、中南米など、幅広い地域で減速が見込まれ、2019年の成長率は3.9%と、2018年の4.5%から低下したと見込まれています。
他方、世界経済の減速を受けて、FRBをはじめとする各国中央銀行が金融緩和を実施し、世界的に金利が低下したことは、新興国への資金流入を促し、新興国経済を下支えする要因になると期待されています。また、経済対策によって中国経済の減速に歯止めがかかれば、その効果は他の新興国へも波及するとみられることから、中国の経済対策への期待感が高まっています。
<日本の状況>日本経済は、平均してみれば緩やかな回復基調が続いています。ただし、海外経済の減速や貿易摩擦の影響によって輸出が停滞する中、製造業を中心とした企業部門では減速感が高まっています。また、2019年10月に実施された消費増税によって増税前に駆け込み需要が発生し成長率を押し上げた一方で、増税後の10-12月期はその反動減が景気を下押しする要因となっています。
2019年4-6月期の実質GDP成長率は前期比年率2.0%増となりました。成長を牽引したのは、GDPに占めるウエイトの大きい個人消費が前期比年率2.4%増と、堅調な伸びとなったことです。個人消費の裏付けとなる雇用・所得環境の着実な改善が続いたことに加え、ゴールデンウィークの10連休が個人消費の押し上げに寄与しました。7-9月期は、7月の悪天候によって個人消費は一旦減速することになりましたが、10月の消費増税に向けた駆け込み需要が発生したため、9月末にかけて個人消費は大きく増加しました。この結果、7-9月期の個人消費は前期比年率2.2%増となり、実質GDPは前期比年率1.8%増と4四半期連続で増加しました。一方、10月以降は駆け込み需要の反動減が顕在化し、個人消費は大きく落ち込んでいます。
住宅投資は、2018年7-9月期以降、5四半期連続で増加が続いています。低金利の継続や雇用・所得環境の改善に加えて、個人消費と同様に消費増税前の駆け込み需要が押し上げ要因となりました。ただし、消費増税後の住宅取得に対する支援策がとられたことにより、駆け込み需要は過去の消費増税時に比べると小幅なものとなり、2019年7-9月期に入ると駆け込み需要からの反動減が顕在化し始め、住宅着工は低位で推移しています。
企業の設備投資は、2019年4-6月期に2四半期ぶりの増加となりました。高水準の企業収益や低金利、労働需給の逼迫など企業を取り巻く環境に変化はなく、人手不足に対応した合理化・省人化投資や、競争力を維持するための機械・設備の更新、研究開発投資などの増加基調が続いています。日銀短観(12月調査)の2019年度の設備投資計画をみても、大企業を中心に設備投資の増加が続くことが見込まれています。もっとも、米中対立の長期化や消費増税後の反動減の影響などから、企業の景況感は悪化傾向にあり、設備投資に対する態度にも慎重さが増しつつあります。
金融面では、日本銀行による短期金利に加えて長期金利も操作対象とする金融緩和措置が継続しています。また、世界経済の減速懸念が強まる中、日本銀行は2019年4月の金融政策決定会合において、少なくとも2020年春頃まで金融緩和措置を続けることを表明しました。2019年度前半は、FRBによる利下げへの期待の高まり、および7月、9月の利下げ実施によって世界的に金利が低下する中、日本の長期金利も低下基調を強めました。さらに9月には、米国による対中追加関税の拡大を受け、世界的にリスク回避の動きが強まる中、安全資産とされる日本国債の需要が高まり、10年国債利回りは一時△0.29%前後と、2016年7月以来の水準まで低下しました。しかし、FRBによる2019年の3回の利下げは、米国経済および世界経済の見通しを改善させ、米国の長期金利は9月には下げ止まり、リスク回避によって低下基調を強めていた日本の10年債利回りは、9月を底に上昇基調に転じました。
為替市場をみると、対ドルでは、世界経済に対する過度に悲観的な見方が後退したことから、2019年年初からは円安・ドル高傾向で推移し、4月には一時112円台まで円安が進みました。しかし、5月に入ると米国による対中関税率の追加引き上げをきっかけに米中貿易摩擦激化への警戒感が高まり、再びリスク回避の動きが強まりました。また、世界経済の減速感が強まる中、FRBによる金融緩和およびさらなる追加緩和への期待によって日米金利差が縮小したことも円高・ドル安要因となり、8月には一時105円台前半まで円高が進みました。他方、リスク回避傾向が弱まった9月以降は再び円安傾向となりました。対ユーロでも対ドルと同様に、2019年年初から4月にかけて円安傾向で推移した後、4月半ばから9月初旬までは円高傾向で推移し、9月中旬以降円安方向へと転じています。
株式市場は、引き続き海外経済・市場の動向に左右される展開となりました。2019年に入りFRBがそれまでの引き締め路線から緩和的な政策スタンスへと転じたことにより、2018年末の過度な景気悪化懸念が後退し、世界的に株価は上昇基調となりました。日経平均も2019年年初から上昇基調が続き、4月の半ばには2018年12月以来およそ4ヵ月ぶりに22,000円台を回復しました。しかし、5月に米中貿易摩擦激化に対する懸念が再燃したことで、株価は下落に転じました。6月にはFRBによる利下げ期待の高まりによる金利低下、米国株高を受けて、日経平均も一時上昇に転じましたが、7-9月期に入ると、再び米中交渉の動向に左右される形で、下落と上昇を繰り返す展開となりました。しかし、10-12月期に入るとFRB、ECBによる金融緩和を受け米国の株価は史上最高値を更新し、米国株市場の上昇にあわせる形で日経平均も上昇基調となりました。
2019年12月末の日経平均株価は23,656円62銭(同年9月末比1,900円78銭高)、10年国債利回りは△0.025%(同0.190ポイントの上昇)、為替は1ドル109円15銭(同1円29銭の円安)となりました。
(3) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当第3四半期連結累計期間において、事業上及び財務上の対処すべき課題について、重要な変更及び新たに生じた事項はありません。
(4) 研究開発活動
該当事項はありません。
(5) 資本の財源及び流動性に係る情報
① 流動性の管理
<財務の効率性と安定性の両立>当社グループは、多くの資産及び負債を用いて有価証券関連業務を中心としたビジネスを行っており、ビジネスを継続する上で十分な流動性を効率的かつ安定的に確保することを資金調達の基本方針としております。
当社グループの資金調達手段には、社債、ミディアム・ターム・ノート、金融機関借入、コマーシャル・ペーパー、コールマネー、預金受入等の無担保調達、現先取引、レポ取引等の有担保調達があり、これらの多様な調達手段を適切に組み合わせることにより、効率的かつ安定的な資金調達の実現を図っております。
財務の安定性という観点では、環境が大きく変動した場合においても、業務の継続に支障をきたすことのないよう、平時から安定的に資金を確保するよう努めると同時に、危機発生等により、新規の資金調達及び既存資金の再調達が困難となる場合も想定し、調達資金の償還期限及び調達先の分散を図っております。
当社は、平成26年金融庁告示第61号による連結流動性カバレッジ比率(以下、「LCR」という。)の最低基準の遵守が求められております。当社の当第3四半期日次平均のLCRは135.7%となっており、上記金融庁告示による要件を満たしております。また、当社は、上記金融庁告示による規制上のLCRのほかに、独自の流動性管理指標を用いた流動性管理態勢を構築しております。即ち、一定期間内に期日が到来する無担保調達資金及び同期間にストレスが発生した場合の資金流出見込額に対し、様々なストレスシナリオを想定したうえで、それらをカバーする流動性ポートフォリオが保持されていることを日次で確認しております。その他、1年以上の長期間に亘りストレス環境が継続することを想定した場合に、保有資産を維持するための長期性資金調達状況の十分性を計測及びモニタリングしており、1年間無担保資金調達が行えない場合でも業務の継続が可能となるように取り組んでおります。
当第3四半期日次平均のLCRの状況は次のとおりです。
(単位:億円)
日次平均 (自 2019年10月 至 2019年12月) | |||
適格流動資産 | (A) | 23,561 | |
資金流出額 | (B) | 32,565 | |
資金流入額 | (C) | 15,206 | |
連結流動性カバレッジ比率(LCR) | |||
算入可能適格流動資産の合計額 | (D) | 23,561 | |
純資金流出額 | (B)-(C) | 17,359 | |
連結流動性カバレッジ比率 | (D)/((B)-(C)) | 135.7% |
<グループ全体の資金管理>当社グループでは、グループ全体での適正な流動性確保という基本方針の下、当社が一元的に資金の流動性の管理・モニタリングを行っております。当社は、当社固有のストレス又は市場全体のストレスの発生により新規の資金調達及び既存資金の再調達が困難となる場合も想定し、短期の無担保調達資金について、当社グループの流動性ポートフォリオが十分に確保されているかをモニタリングしております。また、当社は、必要に応じて当社からグループ各社に対し、機動的な資金の配分・供給を行うと共に、グループ内で資金融通を可能とする態勢を整えることで、効率性に基づく一体的な資金調達及び資金管理を行っております。
<コンティンジェンシー・ファンディング・プラン>当社グループは、流動性リスクへの対応の一環として、コンティンジェンシー・ファンディング・プランを策定しております。同プランは、信用力の低下等の内生的要因や金融市場の混乱等の外生的要因によるストレスの逼迫度に応じた報告体制や資金調達手段の確保などの方針を定めており、これにより当社グループは機動的な対応により流動性を確保する態勢を整備しております。
当社グループのコンティンジェンシー・ファンディング・プランは、グループ全体のストレスを踏まえて策定しており、変動する金融環境に機動的に対応するため、定期的な見直しを行っております。
また、金融市場の変動の影響が大きく、その流動性確保の重要性の高い大和証券株式会社、株式会社大和ネクスト銀行及び海外証券子会社においては、更に個別のコンティンジェンシー・ファンディング・プランも策定し、同様に定期的な見直しを行っております。
なお、当社は、子会社のコンティンジェンシー・ファンディング・プランの整備状況について定期的にモニタリングしており、必要に応じて想定すべき危機シナリオを考慮して子会社の資金調達プランやコンティンジェンシー・ファンディング・プランそのものの見直しを行い、更には流動性の積み増しを実行すると同時に資産圧縮を図るといった事前の対策を講じることとしております。
② 株主資本
当社グループが株式や債券、デリバティブ等のトレーディング取引、貸借取引、引受業務、ストラクチャード・ファイナンス、M&A、プリンシパル・インベストメント、証券担保ローン等の有価証券関連業を中心とした幅広い金融サービスを展開するためには、十分な資本を確保する必要があります。また、当社グループは、日本のみならず、海外においても有価証券関連業務を行っており、それぞれの地域において法規制上必要な資本を維持しなければなりません。
当第3四半期連結会計期間末の株主資本は、前連結会計年度末比59億円減少し、1兆1,905億円となりました。また、資本金及び資本剰余金の合計は4,780億円となっております。利益剰余金は親会社株主に帰属する四半期純利益490億円を計上したほか、配当金311億円の支払いを行った結果、前連結会計年度末比175億円増加の8,232億円となりました。自己株式の控除額は同234億円増加し、1,107億円となっております。