四半期報告書-第106期第2四半期(令和3年7月1日-令和3年9月30日)

【提出】
2021/11/12 15:26
【資料】
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【項目】
32項目
経営者の視点による当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に関する分析・検討内容は次のとおりであります。なお、当社はオンライン証券取引サービスの単一セグメントであるため、セグメントごとの記載を省略しております。
なお、文中の将来に関する事項は、当四半期会計期間の末日現在において、当社が判断したものであります。
(1) 経営成績の状況及び分析
当第2四半期累計期間の国内株式市場は、期首に29,400円台で取引を開始した日経平均株価が、4月上旬に30,000円台を回復しましたが、国内の新型コロナウイルスの感染拡大を背景に、上値が重い展開となりました。5月には、米長期金利の上昇に伴う世界的なハイテク株安や、量的金融緩和の縮小(テーパリング)議論の早期化が懸念されたことを受けて株価は大きく値を下げ、27,000円台半ばまで下落しました。その後は、ワクチン接種の進展や経済正常化への期待から上昇基調となりましたが、7月以降、世界的な新型コロナ変異株の感染拡大や国内の緊急事態宣言の発令で経済正常化の遅れが嫌気されたことなどから下落する展開となりました。9月に入ると、菅首相退陣の意向が報道されたことを受け、新総裁が打ち出す経済政策に対する期待感から株価は大きく上昇し、30,000円台を回復しました。しかし、下旬には、中国不動産大手の恒大集団による債務不履行懸念や、米国の長期金利上昇への警戒感の高まり、自民党総裁選の結果等を背景に株価は下落し、9月末の日経平均株価は29,400円台で取引を終えました。
このような市場環境の中で、二市場(東京、名古屋の各証券取引所)合計の株式等売買代金は、前第2四半期累計期間と比較して5%増加しました。当社の主たる顧客層である個人投資家についても、9月に大きく株価が動いたことを受けて取引が拡大し、二市場全体における個人の株式等委託売買代金は同4%増加しました。二市場における個人の株式等委託売買代金の割合は22%と、前第2四半期累計期間と同様の水準となりました。また、当社の株式等委託売買代金についても、同6%の増加となりました。
当第2四半期累計期間における当社の取組みとしては、株式取引において、25歳以下の若年層を対象に取引手数料の無料化を実施しました。また、新スマートフォンアプリ「松井証券株アプリ」の機能を拡充し、貸株サービスの利用を可能とする他、チャート機能やランキング情報の拡充等を実施しました。FXについては、新ブランド「松井証券MATSUI FX」のプロモーションを積極的に展開し、顧客基盤の拡大に努めました。投資信託については、プロモーションを継続的に展開するほか、取扱銘柄の拡充を実施しました。その他、投資情報メディア「マネーサテライト」において、若年層や投資初心者の方も楽しく資産運用を学べる動画や、投資判断に役立つマーケット関連の動画をタイムリーに配信するなど、サービスクオリティの向上に努めました。
以上を背景に、当第2四半期累計期間においては、株式等委託売買代金は同6%増加したものの、委託手数料率の低下等により、受入手数料は8,719百万円(同0.8%減)となりました。また、信用取引平均買残高が増加したこと等により、金融収支は同33.5%増の5,653百万円となりました。
この結果、営業収益は15,316百万円(同8.0%増)、純営業収益は14,747百万円(同9.7%増)となりました。また、営業利益は6,624百万円(同12.9%増)、経常利益は6,647百万円(同12.4%増)となりました。投資有価証券売却益2,590百万円を計上したこともあり、四半期純利益は6,397百万円(同16.6%増)となりました。新型コロナウイルス感染症問題は株式市場に影響を与えておりますが、市場の動向そのものを別とすれば、オンライン証券という当社の業態の性質もあり、業績への重要な影響はありませんでした。
収益・費用の主な項目については以下の通りです。
(受入手数料)
受入手数料は8,719百万円(同0.8%減)となりました。そのうち、委託手数料については、株式等委託売買代金が同6%増加したものの、委託手数料率の低下等により、8,309百万円(同1.4%減)となりました。
(トレーディング損益)
トレーディング損益は、主としてFX取引のトレーディング益により、374百万円の利益となりました。
(金融収支)
金融収益から金融費用を差し引いた金融収支は5,653百万円(同33.5%増)となりました。これは主として、信用取引平均買残高が増加したことによるものです。
(販売費・一般管理費)
販売費・一般管理費は、同7.3%増の8,123百万円となりました。これは主として、広告宣伝費の増加等による取引関係費の増加(同14.2%増)によるものです。
(営業外損益)
営業外損益は合計で23百万円の利益となりました。これは主として、受取配当金47百万円によるものです。
(特別損益)
特別損益は合計で2,569百万円の利益となりました。これは主として、投資有価証券売却益2,590百万円によるものです。
(2) 経営成績に重要な影響を与える要因について
当社の主たる事業は、個人投資家向けの株式等委託売買業務であり、収入項目としては受入手数料、とりわけ株式等売買に関する委託手数料が当社の業績に重要な影響を及ぼします。また、主として信用取引に起因する金融収益についても当社の業績に重要な影響を及ぼす要因となります。しかしながら、その水準はともに株式市場の相場環境に大きく左右されます。
(3) 財政状態の状況及び分析
当社の主な資産は、顧客からの預り金や受入保証金等を信託銀行に預託した顧客分別金信託(預託金に含まれます)と、信用取引貸付金を中心とする信用取引資産です。一方、信用取引貸付金に充当することを目的として、短期借入金等による調達を行っております。当社の主な負債は、預り金、受入保証金及び短期借入金です。
当第2四半期会計期間末の資産合計は、対前事業年度末比1.9%減の943,815百万円となりました。これは主として、顧客の信用取引の売建の減少に伴い、売建に必要な有価証券の調達が減少した結果、借入有価証券担保金が同30.1%減の21,226百万円となったことによるものです。
負債合計は、同2.0%減の864,976百万円となりました。これは主として、短期借入金が同5.3%減の196,900百万円となったことや、信用取引貸証券受入金が同19.4%減の38,529百万円となったことによるものです。なお、信用取引貸証券受入金は、顧客の信用取引の売建に係る売付代金相当額です。
純資産合計は、同0.5%減の78,839百万円となりました。当第2四半期累計期間においては、2021年3月期期末配当金5,139百万円を計上する一方、四半期純利益6,397百万円を計上しております。
(4) キャッシュ・フローの状況及び分析
当第2四半期累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
信用取引資産及び信用取引負債の増減額は18,053百万円のマイナスとなりましたが、税引前四半期純利益9,216百万円に加え、有価証券担保貸付金の減少、立替金及び預り金の増減額、預託金の減少等により、営業活動によるキャッシュ・フローは、9,539百万円のプラス(前第2四半期累計期間は59,959百万円のマイナス)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、890百万円のプラス(前第2四半期累計期間は33百万円のマイナス)となりました。当第2四半期累計期間においては、無形固定資産の取得による支出1,532百万円を計上する一方、投資有価証券の売却による収入2,597百万円を計上しております。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、16,187百万円のマイナス(前第2四半期累計期間は68,172百万円のプラス)となりました。これは、短期借入金の純減少が主な要因です。
以上の結果、当第2四半期会計期間末における現金及び現金同等物の残高は、54,040百万円(前第2四半期会計期間末は63,524百万円)となりました。
(5) 資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社が行う資金調達は、主として信用取引貸付金の増加に対応するものですが、経常的な信用取引貸付金の増減については、銀行等金融機関からの短期借入金の増減を中心に対応しております。信用取引貸付金の水準が大きく増加する場合に備えて、社債による資金調達を機動的に行えるよう発行登録も行っておりますが、当第2四半期会計期間末現在においては、信用取引貸付金と内部留保の水準を踏まえ、資金調達の大部分はコール・マネーを含む短期借入金によっております。
なお、複数の金融機関と当座貸越契約やコミットメントライン契約を締結することで、資金調達の安全性を確保しております。
また、新型コロナウイルス感染症問題による資金調達への重要な影響はありませんでした。
(6) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当第2四半期累計期間において、重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定に重要な変更はありません。
(7) 経営方針・経営戦略等
当第2四半期累計期間において、経営方針・経営戦略等に重要な変更はありません。
(8) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第2四半期累計期間において、当社が優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題に重要な変更はなく、新たに生じた課題もありません。
(9) 研究開発活動
該当事項はありません。