四半期報告書-第106期第1四半期(令和3年4月1日-令和3年6月30日)

【提出】
2021/08/13 15:16
【資料】
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【項目】
32項目
経営者の視点による当社の財政状態及び経営成績の状況に関する分析・検討内容は次のとおりであります。なお、当社はオンライン証券取引サービスの単一セグメントであるため、セグメントごとの記載を省略しております。
なお、文中の将来に関する事項は、当四半期会計期間の末日現在において、当社が判断したものであります。
(1) 経営成績の状況及び分析
当第1四半期累計期間の国内株式市場は、期首に29,400円台で取引を開始した日経平均株価が、米政府が公表した大規模なインフラ投資計画や良好な経済指標を背景に、4月上旬には30,000円台を回復しました。しかし、その後は国内の新型コロナウイルスの感染拡大に歯止めがかからず、上値が重い展開となりました。5月に入ると、堅調な米国市場の流れを受けて株価が上昇する場面もありましたが、米長期金利の上昇に伴う世界的なハイテク株安や、量的金融緩和の縮小(テーパリング)議論の早期化が懸念されたことから株価は大きく値を下げ、27,000円台半ばまで下落しました。その後は、ワクチン接種の進展や世界的な経済正常化への期待から上昇基調となり、6月末の日経平均株価は28,700円台で取引を終えました。
このような市場環境の中で、二市場(東京、名古屋の各証券取引所)合計の株式等売買代金は、前第1四半期累計期間と比較して1%減少しました。当社の主たる顧客層である個人投資家についても、軟調な株価推移を背景に積極的な売買が手控えられるなど、二市場全体における個人の株式等委託売買代金は同4%減少しました。その結果、二市場における個人の株式等委託売買代金の割合は21%と、前第1四半期累計期間の22%からやや低下しました。また、当社の株式等委託売買代金についても、同2%の減少となりました。
当第1四半期累計期間における当社の取組みとしては、株式取引において、25歳以下の若年層を対象に取引手数料の無料化を実施しました。また、新スマートフォンアプリ「松井証券株アプリ」の機能を拡充し、貸株サービスの利用を可能としました。FXについては、新ブランド「松井証券MATSUI FX」のプロモーションを積極的に展開し、新規顧客の獲得に努めました。投資信託については、プロモーションを継続的に展開するほか、取扱銘柄の拡充を実施しました。その他、投資情報メディア「マネーサテライト」において、若年層や投資初心者の方も楽しく資産運用を学べる動画や、FX取引をサポートする動画の配信を開始するなど、顧客向けサービスの拡充を実施しました。
以上を背景に、当第1四半期累計期間においては、委託手数料率の低下や株式等委託売買代金の減少等により受入手数料が4,249百万円(対前第1四半期累計期間比9.0%減)となりました。また、信用取引平均買残高が増加したこと等により、金融収支は同44.6%増の2,795百万円となりました。
この結果、営業収益は7,476百万円(同4.4%増)、純営業収益は7,181百万円(同5.1%増)となりました。また、営業利益は3,060百万円(同2.8%増)、経常利益は3,103百万円(同2.2%増)となりました。投資有価証券売却益2,590百万円を計上したこともあり、四半期純利益は3,954百万円(同87.6%増)となりました。前第1四半期累計期間と比較して、四半期純利益は大幅な増加となりました。新型コロナウイルスの感染拡大は株式市場に影響を与えておりますが、市場の動向そのものを別とすれば、オンライン証券という当社の業態の性質もあり、業績への重要な影響はありませんでした。
収益・費用の主な項目については以下の通りです。
(受入手数料)
受入手数料は4,249百万円(同9.0%減)となりました。そのうち、委託手数料は4,062百万円(同10.1%減)となりました。これは主として、委託手数料率の低下や株式等委託売買代金の減少によるものです。
(トレーディング損益)
トレーディング損益は、主としてFX取引のトレーディング益により、137百万円の利益となりました。
(金融収支)
金融収益から金融費用を差し引いた金融収支は2,795百万円(同44.6%増)となりました。これは主として、信用取引平均買残高が増加したことによるものです。
(販売費・一般管理費)
販売費・一般管理費は、同7.0%増の4,122百万円となりました。これは主として、広告宣伝費の増加等による取引関係費の増加(同13.5%増)によるものです。
(営業外損益)
営業外損益は合計で43百万円の利益となりました。これは主として、受取配当金47百万円によるものです。
(特別損益)
特別損益は合計で2,590百万円の利益となりました。これは、投資有価証券売却益2,590百万円によるものです。
(2) 経営成績に重要な影響を与える要因について
当社の主たる事業は、個人投資家向けの株式等委託売買業務であり、収入項目としては受入手数料、とりわけ株式等売買に関する委託手数料が当社の業績に重要な影響を及ぼします。また、主として信用取引に起因する金融収益についても当社の業績に重要な影響を及ぼす要因となります。しかしながら、その水準はともに株式市場の相場環境に大きく左右されます。
(3) 財政状態の状況及び分析
当社の主な資産は、顧客からの預り金や受入保証金等を信託銀行に預託した顧客分別金信託(預託金に含まれます)と、信用取引貸付金を中心とする信用取引資産です。一方、信用取引貸付金に充当することを目的として、短期借入金等による調達を行っております。当社の主な負債は、預り金、受入保証金及び短期借入金です。
当第1四半期会計期間末の資産合計は、対前事業年度末比2.9%減の933,627百万円となりました。これは主として、預り金の減少等に伴い預託金が同4.4%減の539,312百万円となったことによるものです。
負債合計は、同2.9%減の857,294百万円となりました。これは主として、信用取引貸証券受入金が同25.1%減の35,819百万円となったことや、預り金が同2.0%減の329,114百万円となったこと、また、受入保証金が同2.4%減の242,222百万円となったことによるものです。なお、信用取引貸証券受入金は、顧客の信用取引の売建に係る売付代金相当額です。
純資産合計は、同3.6%減の76,332百万円となりました。当第1四半期累計期間においては、2021年3月期期末配当金5,139百万円を計上する一方、四半期純利益3,954百万円を計上しております。
(4) 資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社が行う資金調達は、主として信用取引貸付金の増加に対応するものですが、経常的な信用取引貸付金の増減については、銀行等金融機関からの短期借入金の増減を中心に対応しております。信用取引貸付金の水準が大きく増加する場合に備えて、社債による資金調達を機動的に行えるよう発行登録も行っておりますが、当第1四半期会計期間末現在においては、信用取引貸付金と内部留保の水準を踏まえ、資金調達の大部分はコール・マネーを含む短期借入金によっております。
なお、複数の金融機関と当座貸越契約やコミットメントライン契約を締結することで、資金調達の安全性を確保しております。
また、新型コロナウイルス感染拡大に伴う資金調達への重要な影響はありませんでした。
(5) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当第1四半期累計期間において、重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定に重要な変更はありません。
(6) 経営方針・経営戦略等
当第1四半期累計期間において、経営方針・経営戦略等に重要な変更はありません。
(7) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第1四半期累計期間において、当社が優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題に重要な変更はなく、新たに生じた課題もありません。
(8) 研究開発活動
該当事項はありません。