有価証券報告書-第103期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)
「企業内容等の開示に関する内閣府令の一部を改正する内閣府令」(平成31年1月31日内閣府令第3号)による改正後の「企業内容等の開示に関する内閣府令」第二号様式記載上の注意(32)の規定を当事業年度に係る有価証券報告書から適用しております。
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。また、当社はオンライン証券取引サービスの単一セグメントであるため、セグメントごとの記載を省略しております。
(1) 経営成績の状況及び分析
当事業年度の国内株式市場は、2018年3月に米政府が中国に対する大幅な関税引き上げを発表したことを受けて日経平均株価が急落し、その後値を戻した21,400円台で開始しました。その後、米長期金利の上昇を受けた円安ドル高の進行や、国内主要企業の好調な決算発表などを受けて株価は緩やかに上昇を続け、5月下旬に3ヵ月ぶりに23,000円を回復しました。7月には、米国による中国への追加関税発動などを背景に21,500円台まで下落しましたが、米株式市場の堅調な動きや円安ドル高の進行を受けて反発すると、その後も米中貿易摩擦への過度の警戒感が後退したことなどから続伸し、9月には8カ月ぶりに24,000円を回復しました。しかし、10月に入ると、米中間の緊張の高まりや米長期金利の上昇による景気減速への警戒感から世界的な株安となり、中国経済の減速懸念なども背景に21,000円台まで下落しました。11月には22,000円台に値を戻しましたが、12月下旬には米FRBの利上げに伴う米株価、原油価格の下落等を受け、19,100円台まで急落しました。年明け以降は、米中貿易交渉の進展期待や米金融引き締めによる景気後退懸念が和らいだこと、中国の景気刺激策への期待などから株価は緩やかに上昇し、2月中旬に21,000円を回復しました。その後は、欧州の景気減速懸念や英国のEU離脱を巡る動向への警戒感などから様子見ムードが広がり、3月末の日経平均株価は21,205円で取引を終えました。 このような市場環境の中で、二市場(東京、名古屋の各証券取引所)合計の株式等売買代金は、前事業年度と比較して4%減少しました。当社の主たる顧客層である個人投資家についても、主に米中貿易摩擦を背景とした先行きへの不透明感や、昨年12月の株価急落の影響から積極的な売買が手控えられ、二市場全体における個人の株式等委託売買代金は同14%減少しました。その結果、二市場における個人の株式等委託売買代金の割合は、前事業年度の19%から17%に低下しております。当社の株式等委託売買代金についても低調に推移し、同20%の減少となりました。 当事業年度における当社の取組みとしては、株式取引において、価格改善サービス「ベストマッチ」や「貸株サービス」を開始したほか、全ての気配値を閲覧できる「フル板情報サービス」の提供やIPO(新規公開)、PO(公募・売出し)の申込手順の改善、入金サービスの拡充など、取引の利便性向上に努めました。投資信託については、購入時の銘柄選びや保有する銘柄の見直しをサポートする新たなロボアドバイザー「投信提案ロボ」「投信見直しロボ」の提供を開始したほか、若年層の資産形成を後押しすることを目的に、株式会社MILIZEと共同開発したライフプランシミュレーションツール「松井FP」の提供を開始しました。また、投資未経験者に投資を身近に感じてもらい、将来に向けた資産形成を後押しすることを目的として、当社独自のポイントサービス「松井証券ポイント」を開始しました。その他、マーケットの変動通知や注文発注に対応したFX向けLINE公式アカウントの開設や、音声による情報提供サービス「Amazon Alexa」に対応するスキルの提供開始など、新たな情報ツールや取引チャネルの拡充にも注力しました。 以上を背景に、当事業年度においては、株式等委託売買代金の減少により受入手数料が14,986百万円(対前事業年度比21.0%減)となりました。また、金融収支も同5.0%減の9,798百万円となりました。
この結果、営業収益は27,313百万円(同15.2%減)、純営業収益は25,999百万円(同14.7%減)となりました。また、営業利益は13,451百万円(同27.4%減)、経常利益は13,592百万円(同27.1%減)、当期純利益は9,562百万円(同25.9%減)となりました。
収益・費用の主な項目については以下の通りです。
(受入手数料)
受入手数料は14,986百万円(同21.0%減)となりました。そのうち、委託手数料は14,285百万円(同21.7%減)となりました。これは主として、株式等委託売買代金が同20%減となったことによるものです。
(トレーディング損益)
トレーディング損益は、主としてFX取引のトレーディング益により、1,214百万円の利益となりました。
(金融収支)
金融収益から金融費用を差し引いた金融収支は9,798百万円(同5.0%減)となりました。これは主として一日信用取引を含む信用取引売り建てに伴う収益の減少によるものです。
(販売費・一般管理費)
販売費・一般管理費は、同5.0%増の12,547百万円となりました。これは主として、創業100周年記念臨時賞与の支給や派遣社員費用の増加等に伴う人件費の増加(同12.5%増)、事務委託費の増加による事務費の増加(同13.3%増)、減価償却費の増加(同9.2%増)によるものです。なお、主として株式等委託売買代金の減少に伴う取引所費の減少等を背景に、取引関係費が減少(同4.0%減)しております。
(営業外損益)
営業外損益は合計で140百万円の利益となりました。これは主として、受取配当金126百万円によるものです。
(特別損益)
特別損益は合計で132百万円の利益となりました。これは主として、金融商品取引責任準備金戻入144百万円を計上したことによるものです。
なお、当社は、株主資本コスト(8%)を上回るROE(自己資本当期純利益率)を中長期的に達成することを経営目標としておりますが、当事業年度のROEは9.8%となりました。株式等委託売買代金の減少等を背景に、前事業年度の13.4%から低下しましたが、目標値を達成しており、今後も中長期的な資本効率の向上に努めます。
(2) 経営成績に重要な影響を与える要因について
当社の主たる事業は、個人投資家向けの株式等委託売買業務であり、収入項目としては受入手数料、とりわけ株式等売買に関する委託手数料が当社の業績に重要な影響を及ぼします。また、主として信用取引に起因する金融収益についても当社の業績に重要な影響を及ぼす要因となります。しかしながら、その水準はともに株式市場の相場環境に大きく左右されます。
(3) 財政状態の状況及び分析
当事業年度末の資産合計は、対前事業年度末比16.8%減の695,993百万円となりました。これは主として、信用取引貸付金が同37.0%減の194,027百万円となったことによるものです。
負債合計は、同18.7%減の599,414百万円となりました。これは主として、短期借入金が同47.9%減の97,800百万円となったことによるものです。
純資産合計は、同2.2%減の96,579百万円となりました。当事業年度においては、2018年3月期期末配当金及び2019年3月期中間配当金計11,811百万円を計上する一方、当期純利益9,562百万円を計上しております。
当社の主な資産は、顧客からの預り金や受入保証金等を信託銀行に預託した顧客分別金信託(預託金に含まれます)と、信用取引貸付金を中心とする信用取引資産です。一方、信用取引貸付金に充当することを目的として、短期借入金等による調達を行っております。当社の主な負債は、預り金、受入保証金及び短期借入金です。
当事業年度末において、預り金は同5.6%減の238,794百万円、受入保証金は同2.7%減の202,329百万円となりました。これに伴い、預託金は同6.8%減の424,512百万円となりました。また、信用取引貸付金が同37.0%減の194,027百万円と減少したことに伴い、短期借入金が同47.9%減の97,800百万円、信用取引借入金が同89.2%減の4,016百万円となりました。
(4) キャッシュ・フローの状況及び分析
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、103,499百万円のプラス(前事業年度は39,665百万円のマイナス)となりました。これは、信用取引資産及び信用取引負債の増減、預託金の減少が主な要因です。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、2,011百万円のマイナス(前事業年度は2,067百万円のマイナス)となりました。これは、無形固定資産の取得による支出が主な要因です。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、101,650百万円のマイナス(前事業年度は51,908百万円のプラス)となりました。これは、短期借入金の純減少が主な要因です。
以上の結果、当事業年度末における現金及び現金同等物の残高は、39,108百万円(前事業年度末は39,269百万円)となりました。
(5) 資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社は、株式ブローキング事業の強化と商品・サービスの拡充を経営戦略として位置付けております。当社は、各事業年度において、オンライン証券取引サービスを継続的に提供するために必要なシステム投資を行っております。当事業年度におきましても、各種新サービスの追加やネットストックシステムの能力強化あるいは改良等に必要なシステム投資を中心とする設備投資を行っており、こうした投資を継続的に実施するための成長資金を必要としております。一方で、日々の業務運営に手元資金を必要としておりますが、ともに当事業年度末現在では内部留保の範囲で十分カバーできる水準です。
手元資金は、株式等委託売買や有価証券貸借取引等に伴う決済の他、顧客への出金等に対応するために十分な水準を確保しておりますが、日々の決済等の状況により、必ずしもその水準は一定しません。
当社が行う資金調達は、主として信用取引貸付金の増加に対応するものですが、経常的な信用取引貸付金の増減については、銀行等金融機関からの短期借入金の増減を中心に対応しております。信用取引貸付金の水準が大きく増加する場合に備えて、社債による資金調達を機動的に行えるよう発行登録も行っておりますが、当事業年度末現在においては、信用取引貸付金と内部留保の水準を踏まえ、資金調達の大部分はコール・マネーを含む短期借入金によっております。
当社は、中長期的に株主資本コストを上回るROEを達成することを経営目標としており、株主還元は、株主資本コスト相当額以上を配当として実施する方針です。当事業年度末現在の株主資本コストは、資本資産評価モデルを参考に8%と想定していることから、経営目標として中長期的に8%を上回るROEを達成するとともに、配当政策として各期8%以上の純資産配当率(DOE)を実現することとしております。併せて、各期の配当性向については60%以上とすることとしております。
当社は当事業年度末現在で十分な水準の自己資本規制比率を維持しておりますが、株主還元後も結果として内部留保が増加する場合においては、信用取引貸付金の原資や設備投資資金等として有効に活用いたします。
(6) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表において見積もりに基づき計上されている主な勘定科目としては、貸借対照表上の貸倒引当金があります。貸倒引当金は、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権については個別債権の回収可能性を勘案し、回収不能見込額を計上しております。一般債権の貸倒実績率は原則として過去三年間の実績をもとに算出しております。貸倒引当金の金額は、以後の各事業年度の信用取引に伴う立替金の発生や個別債権の回収の状況等に応じて貸倒実績率や個別債権の回収可能性の判断が変化することで、増減する可能性があります。
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。また、当社はオンライン証券取引サービスの単一セグメントであるため、セグメントごとの記載を省略しております。
(1) 経営成績の状況及び分析
当事業年度の国内株式市場は、2018年3月に米政府が中国に対する大幅な関税引き上げを発表したことを受けて日経平均株価が急落し、その後値を戻した21,400円台で開始しました。その後、米長期金利の上昇を受けた円安ドル高の進行や、国内主要企業の好調な決算発表などを受けて株価は緩やかに上昇を続け、5月下旬に3ヵ月ぶりに23,000円を回復しました。7月には、米国による中国への追加関税発動などを背景に21,500円台まで下落しましたが、米株式市場の堅調な動きや円安ドル高の進行を受けて反発すると、その後も米中貿易摩擦への過度の警戒感が後退したことなどから続伸し、9月には8カ月ぶりに24,000円を回復しました。しかし、10月に入ると、米中間の緊張の高まりや米長期金利の上昇による景気減速への警戒感から世界的な株安となり、中国経済の減速懸念なども背景に21,000円台まで下落しました。11月には22,000円台に値を戻しましたが、12月下旬には米FRBの利上げに伴う米株価、原油価格の下落等を受け、19,100円台まで急落しました。年明け以降は、米中貿易交渉の進展期待や米金融引き締めによる景気後退懸念が和らいだこと、中国の景気刺激策への期待などから株価は緩やかに上昇し、2月中旬に21,000円を回復しました。その後は、欧州の景気減速懸念や英国のEU離脱を巡る動向への警戒感などから様子見ムードが広がり、3月末の日経平均株価は21,205円で取引を終えました。 このような市場環境の中で、二市場(東京、名古屋の各証券取引所)合計の株式等売買代金は、前事業年度と比較して4%減少しました。当社の主たる顧客層である個人投資家についても、主に米中貿易摩擦を背景とした先行きへの不透明感や、昨年12月の株価急落の影響から積極的な売買が手控えられ、二市場全体における個人の株式等委託売買代金は同14%減少しました。その結果、二市場における個人の株式等委託売買代金の割合は、前事業年度の19%から17%に低下しております。当社の株式等委託売買代金についても低調に推移し、同20%の減少となりました。 当事業年度における当社の取組みとしては、株式取引において、価格改善サービス「ベストマッチ」や「貸株サービス」を開始したほか、全ての気配値を閲覧できる「フル板情報サービス」の提供やIPO(新規公開)、PO(公募・売出し)の申込手順の改善、入金サービスの拡充など、取引の利便性向上に努めました。投資信託については、購入時の銘柄選びや保有する銘柄の見直しをサポートする新たなロボアドバイザー「投信提案ロボ」「投信見直しロボ」の提供を開始したほか、若年層の資産形成を後押しすることを目的に、株式会社MILIZEと共同開発したライフプランシミュレーションツール「松井FP」の提供を開始しました。また、投資未経験者に投資を身近に感じてもらい、将来に向けた資産形成を後押しすることを目的として、当社独自のポイントサービス「松井証券ポイント」を開始しました。その他、マーケットの変動通知や注文発注に対応したFX向けLINE公式アカウントの開設や、音声による情報提供サービス「Amazon Alexa」に対応するスキルの提供開始など、新たな情報ツールや取引チャネルの拡充にも注力しました。 以上を背景に、当事業年度においては、株式等委託売買代金の減少により受入手数料が14,986百万円(対前事業年度比21.0%減)となりました。また、金融収支も同5.0%減の9,798百万円となりました。
この結果、営業収益は27,313百万円(同15.2%減)、純営業収益は25,999百万円(同14.7%減)となりました。また、営業利益は13,451百万円(同27.4%減)、経常利益は13,592百万円(同27.1%減)、当期純利益は9,562百万円(同25.9%減)となりました。
収益・費用の主な項目については以下の通りです。
(受入手数料)
受入手数料は14,986百万円(同21.0%減)となりました。そのうち、委託手数料は14,285百万円(同21.7%減)となりました。これは主として、株式等委託売買代金が同20%減となったことによるものです。
(トレーディング損益)
トレーディング損益は、主としてFX取引のトレーディング益により、1,214百万円の利益となりました。
(金融収支)
金融収益から金融費用を差し引いた金融収支は9,798百万円(同5.0%減)となりました。これは主として一日信用取引を含む信用取引売り建てに伴う収益の減少によるものです。
(販売費・一般管理費)
販売費・一般管理費は、同5.0%増の12,547百万円となりました。これは主として、創業100周年記念臨時賞与の支給や派遣社員費用の増加等に伴う人件費の増加(同12.5%増)、事務委託費の増加による事務費の増加(同13.3%増)、減価償却費の増加(同9.2%増)によるものです。なお、主として株式等委託売買代金の減少に伴う取引所費の減少等を背景に、取引関係費が減少(同4.0%減)しております。
(営業外損益)
営業外損益は合計で140百万円の利益となりました。これは主として、受取配当金126百万円によるものです。
(特別損益)
特別損益は合計で132百万円の利益となりました。これは主として、金融商品取引責任準備金戻入144百万円を計上したことによるものです。
なお、当社は、株主資本コスト(8%)を上回るROE(自己資本当期純利益率)を中長期的に達成することを経営目標としておりますが、当事業年度のROEは9.8%となりました。株式等委託売買代金の減少等を背景に、前事業年度の13.4%から低下しましたが、目標値を達成しており、今後も中長期的な資本効率の向上に努めます。
(2) 経営成績に重要な影響を与える要因について
当社の主たる事業は、個人投資家向けの株式等委託売買業務であり、収入項目としては受入手数料、とりわけ株式等売買に関する委託手数料が当社の業績に重要な影響を及ぼします。また、主として信用取引に起因する金融収益についても当社の業績に重要な影響を及ぼす要因となります。しかしながら、その水準はともに株式市場の相場環境に大きく左右されます。
(3) 財政状態の状況及び分析
当事業年度末の資産合計は、対前事業年度末比16.8%減の695,993百万円となりました。これは主として、信用取引貸付金が同37.0%減の194,027百万円となったことによるものです。
負債合計は、同18.7%減の599,414百万円となりました。これは主として、短期借入金が同47.9%減の97,800百万円となったことによるものです。
純資産合計は、同2.2%減の96,579百万円となりました。当事業年度においては、2018年3月期期末配当金及び2019年3月期中間配当金計11,811百万円を計上する一方、当期純利益9,562百万円を計上しております。
当社の主な資産は、顧客からの預り金や受入保証金等を信託銀行に預託した顧客分別金信託(預託金に含まれます)と、信用取引貸付金を中心とする信用取引資産です。一方、信用取引貸付金に充当することを目的として、短期借入金等による調達を行っております。当社の主な負債は、預り金、受入保証金及び短期借入金です。
当事業年度末において、預り金は同5.6%減の238,794百万円、受入保証金は同2.7%減の202,329百万円となりました。これに伴い、預託金は同6.8%減の424,512百万円となりました。また、信用取引貸付金が同37.0%減の194,027百万円と減少したことに伴い、短期借入金が同47.9%減の97,800百万円、信用取引借入金が同89.2%減の4,016百万円となりました。
(4) キャッシュ・フローの状況及び分析
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、103,499百万円のプラス(前事業年度は39,665百万円のマイナス)となりました。これは、信用取引資産及び信用取引負債の増減、預託金の減少が主な要因です。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、2,011百万円のマイナス(前事業年度は2,067百万円のマイナス)となりました。これは、無形固定資産の取得による支出が主な要因です。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、101,650百万円のマイナス(前事業年度は51,908百万円のプラス)となりました。これは、短期借入金の純減少が主な要因です。
以上の結果、当事業年度末における現金及び現金同等物の残高は、39,108百万円(前事業年度末は39,269百万円)となりました。
(5) 資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社は、株式ブローキング事業の強化と商品・サービスの拡充を経営戦略として位置付けております。当社は、各事業年度において、オンライン証券取引サービスを継続的に提供するために必要なシステム投資を行っております。当事業年度におきましても、各種新サービスの追加やネットストックシステムの能力強化あるいは改良等に必要なシステム投資を中心とする設備投資を行っており、こうした投資を継続的に実施するための成長資金を必要としております。一方で、日々の業務運営に手元資金を必要としておりますが、ともに当事業年度末現在では内部留保の範囲で十分カバーできる水準です。
手元資金は、株式等委託売買や有価証券貸借取引等に伴う決済の他、顧客への出金等に対応するために十分な水準を確保しておりますが、日々の決済等の状況により、必ずしもその水準は一定しません。
当社が行う資金調達は、主として信用取引貸付金の増加に対応するものですが、経常的な信用取引貸付金の増減については、銀行等金融機関からの短期借入金の増減を中心に対応しております。信用取引貸付金の水準が大きく増加する場合に備えて、社債による資金調達を機動的に行えるよう発行登録も行っておりますが、当事業年度末現在においては、信用取引貸付金と内部留保の水準を踏まえ、資金調達の大部分はコール・マネーを含む短期借入金によっております。
当社は、中長期的に株主資本コストを上回るROEを達成することを経営目標としており、株主還元は、株主資本コスト相当額以上を配当として実施する方針です。当事業年度末現在の株主資本コストは、資本資産評価モデルを参考に8%と想定していることから、経営目標として中長期的に8%を上回るROEを達成するとともに、配当政策として各期8%以上の純資産配当率(DOE)を実現することとしております。併せて、各期の配当性向については60%以上とすることとしております。
当社は当事業年度末現在で十分な水準の自己資本規制比率を維持しておりますが、株主還元後も結果として内部留保が増加する場合においては、信用取引貸付金の原資や設備投資資金等として有効に活用いたします。
(6) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表において見積もりに基づき計上されている主な勘定科目としては、貸借対照表上の貸倒引当金があります。貸倒引当金は、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権については個別債権の回収可能性を勘案し、回収不能見込額を計上しております。一般債権の貸倒実績率は原則として過去三年間の実績をもとに算出しております。貸倒引当金の金額は、以後の各事業年度の信用取引に伴う立替金の発生や個別債権の回収の状況等に応じて貸倒実績率や個別債権の回収可能性の判断が変化することで、増減する可能性があります。