四半期報告書-第105期第1四半期(令和2年4月1日-令和2年6月30日)

【提出】
2020/08/13 15:15
【資料】
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【項目】
31項目
経営者の視点による当社の財政状態及び経営成績の状況に関する分析・検討内容は次のとおりであります。なお、当社はオンライン証券取引サービスの単一セグメントであるため、セグメントごとの記載を省略しております。
(1) 経営成績の状況及び分析
当第1四半期累計期間の国内株式市場は、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う世界経済悪化への警戒感から、日経平均株価が2月下旬以降急落し、その後やや値を戻した18,600円台で開始しました。4月は、欧米で新型コロナウイルスの感染者数がピークアウトしたとの見方が広がったことや、世界各国の大規模な経済対策の決定を受けて株価は上昇しましたが、中旬以降は急速な原油安の影響等もあり、上値の重い展開となりました。5月上旬も、米中対立への懸念や低調な国内企業決算が上値を抑える場面がありましたが、下旬以降、欧米における経済活動再開への期待や国内の緊急事態宣言の解除、ワクチン開発の進展期待等から株価は続伸し、6月上旬には約3ヶ月半ぶりに23,000円を回復しました。その後は、急速な株価上昇に伴う高値警戒感や、新型コロナウイルスの感染第2波への懸念から上値は抑えられ、6月末の日経平均株価は22,200円台で取引を終えました。
このような市場環境の中で、二市場(東京、名古屋の各証券取引所)合計の株式等売買代金は、前第1四半期累計期間と比較して25%増加しました。当社の主たる顧客層である個人投資家についても、株価上昇に伴う買い余力の増加や、値動きの激しい相場環境を背景に取引が拡大し、二市場全体における個人の株式等委託売買代金は、同61%と大幅に増加しました。その結果、二市場における個人の株式等委託売買代金の割合は22%と、前第1四半期累計期間の17%から大きく上昇しました。また、当社の株式等委託売買代金についても顧客が取引を活発化させたことから、同54%の増加となりました。
当第1四半期累計期間における当社の取組みとしては、新たな投資情報ツールとして、アクティビストを含む大口投資家の取引動向を把握し、株価チャートと組み合わせて利用できる「アクティビスト追跡ツール」の提供を開始しました。また、投資信託について、信託報酬の一部をお客様に現金で還元する日本初のサービス「投信毎月現金還元サービス」を開始し、昨年12月に開始した販売手数料の完全無料化とあわせて、投資信託の購入・保有に伴うお客様のコスト負担削減に取り組みました。その他、7月には、FXについて全通貨ペアのスプレッドを縮小するなど、サービスの向上に努めました。
以上を背景に、当第1四半期累計期間においては、株式等委託売買代金の増加等により受入手数料が4,671百万円(対前第1四半期累計期間比55.5%増)となりました。また、信用取引平均買残高は減少したものの、その他の金融収支の増加により金融収支も同3.7%増の1,934百万円となりました。
この結果、営業収益は7,164百万円(同28.9%増)、純営業収益は6,830百万円(同32.5%増)となりました。また、営業利益は2,977百万円(同55.5%増)、経常利益は3,034百万円(同52.0%増)、四半期純利益は2,108百万円(同53.4%増)となりました。前第1四半期累計期間と比較して、営業収益、純営業収益、営業利益、経常利益、四半期純利益は大幅な増加となりました。新型コロナウイルスの感染拡大は株式市場に影響を与えておりますが、市場の動向そのものを別とすれば、オンライン証券という当社の業態の性質もあり、業績への重要な影響はありませんでした。
収益・費用の主な項目については以下の通りです。
(受入手数料)
受入手数料は4,671百万円(同55.5%増)となりました。そのうち、委託手数料は4,517百万円(同58.8%増)となりました。これは主として、株式等委託売買代金が同54%増となったことによるものです。
(トレーディング損益)
トレーディング損益は、主としてFX取引のトレーディング益により、225百万円の利益となりました。
(金融収支)
金融収益から金融費用を差し引いた金融収支は1,934百万円(同3.7%増)となりました。これは主として、信用取引平均買残高は減少したものの、その他の金融収支が増加したことによるものです。
(販売費・一般管理費)
販売費・一般管理費は、同19.0%増の3,853百万円となりました。これは主として、広告宣伝費や取引所費の増加等による取引関係費の増加(同41.4%増)によるものです。
(営業外損益)
営業外損益は合計で58百万円の利益となりました。これは主として、受取配当金56百万円によるものです。
(2) 経営成績に重要な影響を与える要因について
当社の主たる事業は、個人投資家向けの株式等委託売買業務であり、収入項目としては受入手数料、とりわけ株式等売買に関する委託手数料が当社の業績に重要な影響を及ぼします。また、主として信用取引に起因する金融収益についても当社の業績に重要な影響を及ぼす要因となります。しかしながら、その水準はともに株式市場の相場環境に大きく左右されます。
(3) 財政状態の状況及び分析
当第1四半期会計期間末の資産合計は、対前事業年度末比17.4%増の831,291百万円となりました。これは主として、預り金や受入保証金等の増加に伴い預託金が同14.5%増の514,312百万円となったことや、信用取引貸付金が同29.2%増の199,333百万円となったことによるものです。
負債合計は、同20.0%増の753,903百万円となりました。これは主として、信用取引貸付金の増加等に伴い短期借入金が同72.5%増の136,100百万円となったことや、受入保証金が同12.3%増の238,625百万円、預り金が同9.6%増の295,929百万円となったことによるものです。
純資産合計は、同3.6%減の77,388百万円となりました。当第1四半期累計期間においては、2020年3月期期末配当金5,780百万円を計上する一方、四半期純利益2,108百万円を計上しております。
当社の主な資産は、顧客からの預り金や受入保証金等を信託銀行に預託した顧客分別金信託(預託金に含まれます)と、信用取引貸付金を中心とする信用取引資産です。一方、信用取引貸付金に充当することを目的として、短期借入金等による調達を行っております。当社の主な負債は、預り金、受入保証金及び短期借入金です。
当第1四半期会計期間末において、預り金は同9.6%増の295,929百万円、受入保証金は同12.3%増の238,625百万円となりました。これに伴い、預託金は同14.5%増の514,312百万円となりました。また、信用取引貸付金が同29.2%増の199,333百万円となったことに伴い、短期借入金は同72.5%増の136,100百万円となりました。
(4) 資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社が行う資金調達は、主として信用取引貸付金の増加に対応するものですが、経常的な信用取引貸付金の増減については、銀行等金融機関からの短期借入金の増減を中心に対応しております。信用取引貸付金の水準が大きく増加する場合に備えて、社債による資金調達を機動的に行えるよう発行登録も行っておりますが、当第1四半期会計期間末現在においては、信用取引貸付金と内部留保の水準を踏まえ、資金調達の大部分はコール・マネーを含む短期借入金によっております。
なお、複数の金融機関と当座貸越契約やコミットメントライン契約を締結することで、資金調達の安全性を確保しております。
また、新型コロナウイルス感染拡大に伴う資金調達への重要な影響はありませんでした。
(5) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当第1四半期累計期間において、重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定に重要な変更はありません。
(6) 経営方針・経営戦略等
当第1四半期累計期間において、経営方針・経営戦略等に重要な変更はありません。
(7) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第1四半期累計期間において、当社が優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題に重要な変更はなく、新たに生じた課題もありません。
(8) 研究開発活動
該当事項はありません。