半期報告書-第109期(2024/04/01-2024/09/30)

【提出】
2024/11/13 16:16
【資料】
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【項目】
32項目
経営者の視点による当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に関する分析・検討内容は次のとおりであります。なお、当社はオンライン証券取引サービスの単一セグメントであるため、セグメントごとの記載を省略しております。
なお、文中の将来に関する事項は、当中間会計期間の末日現在において、当社が判断したものであります。
(1) 経営成績の状況及び分析
当中間会計期間の国内株式市場は、期首に40,600円台で取引を開始した日経平均株価が、日米の長期金利上昇や半導体関連の将来的な需要の不透明さ、中東情勢の緊迫化などを背景に軟調に始まりました。4月中旬に一時37,000円台まで落ち込んだ後は、日銀が緩和的な金融政策の維持を発表したこと、米主要3指数が過去最高値を更新した流れを受け、5月中旬には39,000円台まで回復しました。その後、薄商いの状態が続きましたが、6月末までには円安進行を背景に輸出関連株に買いが集まり、株価は堅調に推移しました。7月に入ると米ハイテク株上昇の流れを受け、半導体関連株を中心に日本株に波及、株価は堅調に推移し7月11日に史上最高値の42,224円を記録しました。その後は、米大統領選を巡る警戒感による円高進行や、米ハイテク企業の下落から半導体関連株を中心に売りが広がり39,100円台まで下落しました。さらに8月に入ると、日銀の利上げ発表による円高進行や、米雇用統計によるリセッション懸念からリスク回避姿勢が強まり、株価は急落し8月5日には過去最大の下げ幅4,451円安を記録し、31,458円をつけました。その後は、日銀が早期利上げに慎重な姿勢を示したことや、米国のリセッション懸念の後退から38,000円台まで回復しました。9月は、日銀の段階的な利上げ発言や、米大統領選におけるトランプ氏劣勢の見方から円高が加速、輸出株をはじめ幅広い銘柄が売られ、株価は35,600円台まで下落しました。その後は米利下げ発表から円安が進展し、日経平均株価は続伸。月末は高市氏総裁就任への期待や石破氏の就任決定を受け、株価は大きく上下し、9月末の日経平均株価は37,900円台で取引を終えました。
このような市場環境の中で、二市場(東京、名古屋の各証券取引所)合計の株式等売買代金は、前中間会計期間と比較して25%増加しました。当社の主たる顧客層である個人投資家については、堅調な株価推移と大きく株価が動いた局面で取引が拡大したことを背景に売買が増え、二市場全体における個人の株式等委託売買代金は同30%増加となりました。なお、二市場における個人の株式等委託売買代金の割合は24%と、前中間会計期間の23%からやや上昇しました。当社の株式等委託売買代金については同11%の増加となりました。
当中間会計期間における当社の取組みとしては、認知度向上を目的として、若い世代に人気のゲーム「フォートナイト」を活用し、オリジナルゲーム「MONEY TRADE FIGHT by松井証券」を公開しました。株式取引については、東証売買内訳データをもとにした情報サービスを「松井証券 日本株アプリ」に追加し、投資情報の拡充を図りました。FXについては、eスポーツイベントへの協賛をはじめとしたプロモーションや、日々の取引における損益が一目で確認できる「損益カレンダー」の提供を開始しました。米国株については、取扱銘柄の拡充のほか、米国株四季報のキャンペーンを展開し、取引の拡大に努めました。その他、銀行サービス「MATSUI Bank」で米ドル外貨普通預金金利を年2.00%(税引後年1.5937%)まで引き上げ、米ドルが取引しやすい環境を整えました。投資の「おもしろさ」を投資家に伝えるYouTube公式チャンネルにおいては、登録者数は引き続き業界No.1を維持し、37万人を突破しました。投資情報メディア「マネーサテライト」においては、経済指標のLIVE解説や著名な専門家の冠番組を配信するなど、顧客向けの情報発信の拡充に努めました。
以上を背景に、当中間会計期間においては、株式等委託売買代金の増加等により、受入手数料が10,593百万円(対前中間会計期間比9.7%増)となりました。また、信用取引買平均残高が増加したこと等により、金融収支は同15.5%増の6,855百万円となりました。
この結果、営業収益は20,285百万円(同15.1%増)と大幅な増加となりました。また、純営業収益は19,373百万円(同15.8%増)、営業利益は8,900百万円(同22.3%増)、経常利益は8,902百万円(同22.9%増)となり、中間純利益は6,097百万円(同28.3%増)となりました。
収益・費用の主な項目については以下の通りです。
(受入手数料)
受入手数料は10,593百万円(同9.7%増)となりました。そのうち、委託手数料は10,067百万円(同10.0%増)となりました。これは主として、株式等委託売買代金の増加によるものです。
(トレーディング損益)
トレーディング損益は、主としてFX取引のトレーディング益により、1,925百万円(同68.8%増)の利益となりました。
(金融収支)
金融収益から金融費用を差し引いた金融収支は6,855百万円(同15.5%増)となりました。これは主として、信用取引買平均残高が増加したことによるものです。
(販売費・一般管理費)
販売費・一般管理費は、同10.8%増の10,473百万円となりました。これは主として、減価償却費が同16.9%の増加となったことや、事務委託費の増加により事務費が同9.4%の増加となったこと、人件費が同12.3%の増加となったこと、広告宣伝費の増加等により取引関係費が同7.2%の増加となったことによるものです。
(注)当中間会計期間に表示方法の変更を行ったことに伴い、営業収益、金融収支及びトレーディング損益の増減率は、当該変更を反映した組替後の数値を記載しております。詳細は「第4 経理の状況 注記事項 (表示方法の変更)」をご参照ください。
(2) 経営成績に重要な影響を与える要因について
当社の主たる事業は、個人投資家向けの株式等委託売買業務であり、収入項目としては受入手数料、とりわけ株式等売買に関する委託手数料が当社の業績に重要な影響を及ぼします。また、主として信用取引に起因する金融収益についても当社の業績に重要な影響を及ぼす要因となります。しかしながら、その水準はともに株式市場の相場環境に大きく左右されます。
(3) 財政状態の状況及び分析
当社の主な資産は、顧客からの預り金や受入保証金等を信託銀行に預託した顧客分別金信託(預託金に含まれます)と、信用取引貸付金を中心とする信用取引資産です。一方、信用取引貸付金に充当することを目的として、短期借入金等による調達を行っております。当社の主な負債は、預り金、受入保証金及び短期借入金です。
当中間会計期間末の資産合計は、対前事業年度末比6.8%減の1,092,357百万円となりました。これは主として、預り金の減少等に伴い預託金が同14.0%減の602,212百万円となったことによるものです。
負債合計は、同7.4%減の1,014,964百万円となりました。これは主として、預り金が同9.0%減の387,357百万円となったことによるものです。なお、信用取引借入金は同83.6%減の7,027百万円となりましたが、短期借入金は同13.0%増の270,000百万円となっており、両者の合算では同1.7%減となりました。また、信用取引貸付金は同2.0%減の305,478百万円となりました。
純資産合計は、同1.4%増の77,393百万円となりました。当中間会計期間においては、2024年3月期期末配当金5,146百万円を計上する一方、中間純利益6,097百万円を計上しております。
(4) キャッシュ・フローの状況及び分析
当中間会計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、455百万円のプラス(前中間会計期間は19,530百万円のマイナス)となりました。これは主に、預託金が減少したことに伴いキャッシュ・フローがプラスとなった一方、預り金が減少したことに伴うキャッシュ・フローがマイナスとなったことや、信用取引資産及び信用取引負債の増減によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、2,008百万円のマイナス(前中間会計期間は5,230百万円のマイナス)となりました。これは、無形固定資産の取得による支出が主な要因です。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、25,914百万円のプラス(前中間会計期間は1,813百万円のプラス)となりました。これは、短期借入金が純増加となったことが主な要因です。
以上の結果、当中間会計期間末における現金及び現金同等物の残高は、100,610百万円(前中間会計期間末は59,481百万円)となりました。
(5) 資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社が行う資金調達は、主として信用取引貸付金の原資に対応するものです。経常的な信用取引貸付金の増減については、銀行等金融機関からの短期借入金の増減を中心に対応しております。信用取引貸付金の水準が大きく増加する場合に備えて、社債による資金調達を機動的に行えるよう発行登録も行っておりますが、当中間会計期間末現在においては、信用取引貸付金と内部留保の水準を踏まえ、資金調達の大部分はコール・マネーを含む短期借入金によっております。
なお、複数の金融機関と当座貸越契約やコミットメントライン契約を締結することで、資金調達の安全性を確保しております。
(6) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当中間会計期間において、重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定に重要な変更はありません。
(7) 経営方針・経営戦略等
当中間会計期間において、経営方針・経営戦略等に重要な変更はありません。
(8) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当中間会計期間において、当社が優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題に重要な変更はなく、新たに生じた課題もありません。
(9) 研究開発活動
該当事項はありません。