有価証券報告書-第14期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)
(1) 業績
当連結会計年度におけるわが国経済は、輸出や生産の一部に弱さも見られるものの、雇用・所得環境の改善が続くなかで緩やかに回復しております。しかしながら、先行きについては、通商問題の動向が世界経済に与える影響や海外経済と政策に関する不確実性、金融資本市場の変動の影響が懸念されるなど不透明な状況であります。
このような状況のなか、当連結会計年度においては、長期的な目標水準に向けて持続的かつ力強い成長を達成するため、3ヵ年の「西武グループ中期経営計画(2018~2020年度)」を策定し、前回計画(2017~2019年度)に引き続き「新たな視点でスピード感をもって、イノベーションに挑戦」と「長期的視点での成長基盤の確立」を基本方針として、「新規事業分野の創出」と「既存事業領域の強化」の2点を重点課題に取り組んでまいりました。
こうした中で新規事業分野の創出のため、アイデアと社会をつなぐ、アクセラレーターの枠を超えた事業創出プログラム「SWING」の開始や、VCファンドへ出資など積極的な取り組みを実施しました。
また、ホテル・レジャー事業では、海外ラグジュアリーブランド「The Prince Akatoki」を創設し、イギリス・ロンドンと中国・広州での出店を決定いたしました。都市交通・沿線事業では、新型特急車両「Laview」が運行を開始したほか、不動産事業では、2019年2月にオフィスビル「ダイヤゲート池袋」が竣工いたしました。
当連結会計年度における経営成績の概況は、営業収益は、5,659億39百万円と前期に比べ353億7百万円の増加(前期比6.7%増)となり、営業利益は、733億32百万円と前期に比べ90億72百万円の増加(同14.1%増)となり、償却前営業利益は、1,273億29百万円と前期に比べ117億49百万円の増加(同10.2%増)となりました。
経常利益は、営業利益の増加により、654億15百万円と前期に比べ99億24百万円の増加(同17.9%増)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、454億57百万円と前期に比べ25億48百万円の増加(同5.9%増)となりました。
各セグメントにおける業績は以下のとおりであります。
(単位:百万円)
(注)1 調整額については、主に連結会社間取引消去等であります。
2 償却前営業利益は、営業利益に減価償却費及びのれん償却額を加えて算定しております。
①都市交通・沿線事業
都市交通・沿線事業の内訳は鉄道業、バス業、沿線レジャー業、その他であり、それぞれの営業収益は以下のとおりであります。
(単位:百万円)
鉄道業で、雇用情勢の堅調な推移やメットライフドームでの野球・イベント開催、2018年3月のグランエミオ所沢Ⅰ期開業に加え、メッツァビレッジなど沿線に新たにオープンした施設と連携した営業施策の実施などにより、旅客輸送人員は、前期比1.0%増(うち定期1.1%増、定期外0.9%増)、旅客運輸収入は、有料座席指定列車「拝島ライナー」の導入などもあり、前期比1.2%増(うち定期1.1%増、定期外1.3%増)となりました。
また、バス業で、西武バスIC定期券の利用が好調に推移いたしました。
これらの結果、都市交通・沿線事業の営業収益は、1,630億88百万円と前期に比べ10億32百万円の増加(同0.6%増)となりました。しかしながら、営業利益は、電気動力費や燃料費に加え、一般管理費の増加もあり、270億87百万円と前期に比べ1億67百万円の減少(同0.6%減)となり、償却前営業利益は、487億65百万円と前期に比べ2億96百万円の減少(同0.6%減)となりました。
都市交通・沿線事業の主要な会社である西武鉄道株式会社の鉄道業の運輸成績は以下のとおりであります。
(西武鉄道株式会社の鉄道業の運輸成績)
(注)1 乗車効率は 延人キロ/(客車走行キロ×平均定員)×100 により、算出しております。
2 千キロ未満、千人未満及び百万円未満を切り捨てて表示しております。
3 運輸雑収は鉄道業以外の収入を含んでおります。
②ホテル・レジャー事業
ホテル・レジャー事業の内訳はホテル業(シティ)、ホテル業(リゾート)、ゴルフ場業、その他であり、それぞれの営業収益は以下のとおりであります。
(単位:百万円)
(注)1 ホテル業(シティ)には主に大都市圏の中心商業地域やターミナル及びその周辺地域に立地するホテルを含んでおります。ホテル業(リゾート)には主に観光地や避暑地に立地するホテルを含んでおります。
2 以降の項目において、ホテル業(シティ)に属するホテルを「シティ」、ホテル業(リゾート)に属するホテルを「リゾート」と称する場合があります。
ホテル業で、2017年10月に開業した名古屋プリンスホテル スカイタワーや前期にリニューアルオープンしたホテルが増収に寄与いたしました。また、宿泊部門では、増加する訪日外国人需要をとらえ、レベニューマネジメント(注1)を着実に実施したことにより、シティ・リゾートともにRevPAR(注2)が前期比で上昇いたしました。宴会部門では、MICE(注3)が好調に推移し、食堂部門では、都内のホテルにおけるレストランリニューアルや積極的な営業施策の実施などにより、堅調に推移いたしました。
(注)1 レベニューマネジメントとは、需要予測に基づき、適切な時期に適切な価格にてお客さまにサービスを提供し、利益を最大化する手法であります。
2 RevPARとは、Revenue Per Available Roomの略であり、宿泊に係る収入を客室総数で除したものであります。
3 MICEとは、企業などの会議(Meeting)、企業などがおこなう報奨・研修旅行(インセンティブ旅行)(Incentive Travel)、国際機関・団体、学会などがおこなう国際会議(Convention)、展示会・見本市、イベント(Exhibition/Event)の頭文字であり、多くの集客交流が見込まれるビジネスイベントなどの総称であります。
そのほか、2017年10月に事業を取得したStayWell社が増収に寄与いたしました。また、株式会社横浜八景島が、2018年6月に開業した上越市立水族博物館 うみがたりにおいて、指定管理者として運営を開始し、好調に推移いたしました。
これらの結果、ホテル・レジャー事業の営業収益は、2,198億1百万円と前期に比べ149億46百万円の増加(同7.3%増)となりました。営業利益は、将来の成長に資する経費が増加したものの、増収により、197億41百万円と前期に比べ24億41百万円の増加(同14.1%増)となり、償却前営業利益は、360億77百万円と前期に比べ33億37百万円の増加(同10.2%増)となりました。
ホテル・レジャー事業の主要な会社である株式会社プリンスホテルのホテル業(シティ)及びホテル業(リゾート)の定量的な指標は以下のとおりであります。
(ホテル施設概要)
(注)1 面積1,000㎡以上の宴会場は20室であります。
2 シティの代表例として高輪・品川エリア、リゾートの代表例として軽井沢エリアを記載しております。
3 高輪・品川エリアに含まれるホテルはザ・プリンス さくらタワー東京、グランドプリンスホテル高輪、グランドプリンスホテル新高輪、品川プリンスホテルであります。
4 軽井沢エリアに含まれるホテルはザ・プリンス 軽井沢、ザ・プリンス ヴィラ軽井沢、軽井沢プリンスホテルであります。
(ホテル業の営業指標)
(注)1 シティの代表例として高輪・品川エリア、リゾートの代表例として軽井沢エリアを記載しております。
2 高輪・品川エリアに含まれるホテルはザ・プリンス さくらタワー東京、グランドプリンスホテル高輪、グランドプリンスホテル新高輪、品川プリンスホテルであります。
3 軽井沢エリアに含まれるホテルはザ・プリンス 軽井沢、ザ・プリンス ヴィラ軽井沢、軽井沢プリンスホテルであります。
4 RevPARとは、Revenue Per Available Roomの略であり、宿泊に係る収入を客室総数で除したものであります。
5 ホテル業の営業指標については、工事等により営業休止中の施設・客室を含んでおりません。
(宿泊客の内訳)
(単位:名、%)
③不動産事業
不動産事業の内訳は不動産賃貸業、その他であり、それぞれの営業収益は以下のとおりであります。
(単位:百万円)
不動産賃貸業で、2016年7月にグランドオープンした東京ガーデンテラス紀尾井町において、オフィスの賃料収入が増加したほか、2018年3月に開業したグランエミオ所沢Ⅰ期やエミリブ鷺ノ宮が増収に寄与いたしました。また、軽井沢・プリンスショッピングプラザが、積極的なプロモーションや営業施策を実施したことにより、好調に推移いたしました。
そのほか、西武池袋線保谷駅にてマンション販売を実施いたしました。
これらの結果、不動産事業の営業収益は、696億51百万円と前期に比べ73億58百万円の増加(同11.8%増)となり、営業利益は、200億95百万円と前期に比べ42億77百万円の増加(同27.0%増)となり、償却前営業利益は、304億20百万円と前期に比べ53億43百万円の増加(同21.3%増)となりました。
不動産事業の定量的な指標は以下のとおりであります。
(建物賃貸物件の営業状況)
(注)1 土地の賃貸は含んでおりません。
2 期末空室率はダイヤゲート池袋の竣工により、一時的に上昇しております。
④建設事業
建設事業の内訳は建設業、その他であり、それぞれの営業収益は以下のとおりであります。
(単位:百万円)
(注)建設業には西武建設株式会社による兼業事業売上高を含んでおります。西武建設株式会社は、保有不
動産の一部を賃貸しており、当該売上高を建設業の営業収益に計上しております。
建設業で、鉄道工事や分譲住宅の建設、公共工事、リノベーション工事の施工を進めたほか、厳正な受注管理や継続的な与信管理に加え、原価管理についても強化に努めてまいりました。
これらの結果、建設事業の営業収益は、1,096億90百万円と前期に比べ96億87百万円の増加(同9.7%増)となり、営業利益は、58億90百万円と前期に比べ11億38百万円の増加(同24.0%増)となり、償却前営業利益は、63億15百万円と前期に比べ11億63百万円の増加(同22.6%増)となりました。
建設事業の定量的な指標は以下のとおりであります。
(建設業の受注高の状況)
(単位:百万円)
⑤ハワイ事業
ハワイ事業では、2017年4月にリニューアルオープンしたプリンス ワイキキで積極的なプロモーション活動や顧客満足度の向上に努めた結果、客室稼働率・平均販売室料ともに前期を上回り、飲食部門も好調に推移いたしました。また、ハワイ島ではキラウエア火山の噴火によりキャンセルが発生したものの、マウナケアビーチホテルが、宿泊部門と飲食部門において好調に推移したほか、ハプナビーチプリンスホテルが、2018年6月にウェスティン ハプナ ビーチ リゾートとしてリニューアルオープンをいたしました。
これらの結果、ハワイ事業の営業収益は、190億89百万円と前期に比べ37億14百万円の増加(同24.2%増)となり、営業損失は、13億77百万円と前期に比べ6億25百万円の改善(前期は、営業損失20億2百万円)となり、償却前営業利益は、12億6百万円と前期に比べ11億9百万円の増加となりました。
ハワイ事業の定量的な指標は以下のとおりであります。
(ホテルの営業指標)
(注)RevPARとは、Revenue Per Available Roomの略であり、宿泊に係る収入を客室総数で除したもの
であります。
⑥その他
伊豆箱根事業では、訪日外国人需要を取り込んだことで貸切バスが好調に推移したほか、2018年4月に箱根芦ノ湖において水陸両用バス「NINJABUS WATER SPIDER」の運航を開始いたしました。近江事業では、2017年8月に開業した守山駅前近江鉄道ビル「cocotto MORIYAMA」が増収に寄与いたしました。また、埼玉西武ライオンズが10年ぶりにパシフィック・リーグ優勝を果たし、クライマックスシリーズを開催したことや、各種営業施策の実施などにより、観客動員数が前期比で増加したほか、選手関連グッズの販売が好調に推移いたしました。
これらの結果、営業収益は、419億31百万円と前期に比べ25億4百万円の増加(同6.4%増)となり、営業利益は、12億52百万円と前期に比べ2億4百万円の増加(同19.5%増)となり、償却前営業利益は、43億12百万円と前期に比べ3億52百万円の増加(同8.9%増)となりました。
(2) 生産、受注及び販売の実績
当社グループは役務提供を中心とした事業展開をおこなっており、生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。このため生産、受注及び販売の実績については、「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)業績」におけるセグメントの業績に関連付けて示しております。
(3) 財政状態、経営成績の分析
文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
なお、「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 平成30年2月16日)等を当連結会計年度から適用しており、財政状態については遡及処理後の前連結会計年度末の数値で比較をおこなっております。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成にあたって重要となる会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載されているとおりであります。
当社グループは、退職給付に係る負債及び退職給付に係る資産、税効果会計、貸倒引当金、棚卸資産の評価、投資その他の資産の評価などに関して、過去の実績や当該取引の状況に照らして、合理的と考えられる見積り及び判断をおこない、その結果を資産・負債の帳簿価額及び収益・費用の金額に反映して連結財務諸表を作成しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
② 財政状態の分析
1 資産
流動資産は、1,345億12百万円と前連結会計年度末に比べ220億97百万円増加いたしました。その主たる要因は、受取手形及び売掛金の増加(195億68百万円)であります。
固定資産は、1兆5,944億17百万円と前連結会計年度末に比べ376億8百万円増加いたしました。その主たる要因は、有形固定資産及び無形固定資産の増加(369億25百万円)であります。
以上の結果、総資産は1兆7,289億29百万円と前連結会計年度末に比べ597億6百万円増加いたしました。
2 負債
流動負債は、3,672億38百万円と前連結会計年度末に比べ384億56百万円増加いたしました。その主たる要因は、西武鉄道株式会社等の工事未払金が増加したことなどによる流動負債「その他」の増加(137億2百万円)及び前受金の増加(136億26百万円)であります。
固定負債は、9,389億76百万円と前連結会計年度末に比べ65億17百万円減少いたしました。その主たる要因は、長期借入金の減少(122億57百万円)であります。
以上の結果、負債合計は1兆3,062億14百万円と前連結会計年度末に比べ319億39百万円増加いたしました。
3 純資産
純資産は、4,227億15百万円と前連結会計年度末に比べ277億67百万円増加いたしました。その主たる要因は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上(454億57百万円)であります。
なお、自己資本比率は前連結会計年度末に比べ0.8ポイント上昇し24.1%となっております。
③ 経営成績の分析
1 営業収益及び営業利益
営業収益は、ホテル・レジャー事業においてRevPARの上昇やMICEが堅調に推移したこと、不動産事業において東京ガーデンテラス紀尾井町における賃料収入の増加があったこと、建設事業において建築工事やリノベーション工事の増加があったことなどにより、5,659億39百万円(前期比6.7%増)となり、営業利益は増収による増益により、733億32百万円(同14.1%増)となりました。
なお、各セグメントにおける業績につきましては、「(1) 業績」をご覧ください。
2 営業外損益及び経常利益
営業外収益は34億75百万円(同5.6%増)となり、支払利息の減少(4億59百万円)などにより、営業外費用は113億92百万円(同5.5%減)となりました。
以上の結果、経常利益は654億15百万円(同17.9%増)となりました。
3 特別損益及び親会社株主に帰属する当期純利益
ポスティングに係る入札額受入益の増加(10億58百万円)などにより、特別利益は27億95百万円(同29.6%増)となりました。
投資有価証券評価損(11億20百万円)の計上などにより、特別損失は78億34百万円(同17.0%増)となりました。
以上の結果、税金等調整前当期純利益は603億76百万円(同18.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は454億57百万円(同5.9%増)となりました。
(4) キャッシュ・フローの分析
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ33億59百万円減少し、当連結会計年度末には262億69百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益603億76百万円に、減価償却費や法人税等の支払額などを調整した結果、881億4百万円の資金収入となりました。前連結会計年度に比べ156億68百万円の資金収入の減少となりましたが、その主たる要因は、売上債権の増減額による収入の減少(257億38百万円)であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、730億69百万円の資金支出となり、前連結会計年度に比べ150億14百万円の資金支出の減少となりました。その主たる要因は、有形及び無形固定資産の取得による支出の減少(129億64百万円)であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、自己株式の取得による支出や配当金の支払などにより、178億98百万円の資金支出となり、前連結会計年度に比べ43億48百万円の資金支出の増加となりました。
(5) 資本の財源及び資金の流動性について
当社グループの資金調達は、金融機関からの借入や社債の発行など、市場環境や金利動向などを総合的に勘案しながら決定しております。
また、当社グループは、鉄道業・ホテル業を中心とした日々の収入金により、必要な流動性資金を十分に確保しており、キャッシュマネジメントシステム(CMS)などによりグループ内余剰資金の有効活用に努めております。
また、当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含むネット有利子負債の残高は8,785億8百万円、ネット有利子負債/EBITDA倍率は6.9倍となっております。2019年度を初年度とする中期経営計画では、企業活動から得られる営業キャッシュ・フローを資金として、ホームドア整備や会員制ホテル事業「プリンス バケーション クラブ」、グランエミオ所沢Ⅱ期などの設備投資を実行していくとともに、将来の大規模投資に備えるために、生産性の向上や設備投資の厳選、借入の返済に努め、2021年度にはネット有利子負債の残高は8,565億円、ネット有利子負債/EBITDA倍率は6.2倍を計画しております。
(6) 経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。本項目においては、そのうち当社グループ全体の事業基盤に直ちに影響を及ぼす可能性のある重要なものに関して、その影響と可能な対策を記載いたします。
① 経済情勢
当社グループは、日本国内を主たるマーケットとして事業を展開しており、各種経済情勢の影響を受けております。消費の低迷や雇用状況の悪化、企業活動の停滞、需要の減少、民間工事及び公共工事の減少、不動産市況の低迷、海外経済の下振れ、地政学的リスク等が、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。そのため、グループの大きな強みである保有資産を有効活用して、「既存事業領域の強化」に取り組むとともに、既存事業領域を超えたダイナミズムをともなう成長のため、「新規事業分野の創出」にも取り組んでまいります。合わせて、効率的な経営を実現するため、ICTの利活用や省メンテナンス機器の導入、コスト管理の強化などローコストオペレーション体制を確立し、さらなる企業体質の強化をはかってまいります。
また、グループ内外との連携を積極的にはかることでお客さまの満足度向上に常に取り組み、収益力の強化を目指してまいります。
② 法的規制等
当社グループの各事業においては、それぞれ法的規制を受けております。
例えば、都市交通・沿線事業等においては鉄道事業法、道路運送法等の法的規制を受けております。具体的には鉄道業では国土交通大臣による事業経営の許可、上限運賃等の認可等、また、バス業やタクシー業においても事業経営の許可等があります。ホテル・レジャー事業では、旅館業法や食品衛生法等の法的規制を受けております。具体的にはホテル業における旅館業法による事業経営の許可等があります。不動産事業では、宅地建物取引業法、都市計画法、建築基準法、建設業法、土壌汚染対策法等の法的規制を受けております。
これら現在の規制に重要な変更や新たな規制が設けられた場合には、規制を遵守するために必要な費用が増加する可能性があり、また、規制に対応できなかった場合は、当社グループの活動が制限される等、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があるため、規制の変更・新設に関する情報やその影響等を事前に当社において調査・把握し、当社グループへの影響を最小限にとどめるよう努めております。
③ 自然災害・事故等
大規模な事故、地震や台風その他気候変動に起因する自然災害、テロ行為等が発生した場合、その対策費用の発生及びビジネスモデルの転換等により、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。この点、当社グループは、「安全・安心」を最重要課題と認識し、グループ事業運営に取り組んでまいりました。具体的には、運輸安全マネジメント体制をはじめとする都市交通・沿線事業における安全性向上の取り組みや、ホテル・レジャー事業における施設の安全対策等、グループ事業運営にあたり安全管理には万全の注意を払っております。
④ 少子高齢化
当社グループでは、都市交通・沿線事業やホテル・レジャー事業等お客さまの生活に密着した事業を展開しております。そのため、少子高齢化による就業・就学人口の減少や将来的な人口の減少により鉄道業やバス業等における輸送人員の減少、レジャー施設の利用人員の減少等が懸念され、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、人口構造の変化といったパラダイムシフトに対応すべく、「インバウンド(訪日外国人)」、「シニア」、「こども」といったマーケットへターゲットを拡大するなど、新たなビジネスモデルを育成しております。
(7) 経営者の問題意識と今後の方針について
当社グループは、当社設立以降、「峻別と集中」と「企業価値の極大化」をコンセプトにした「基盤整備期」、そして、2014年の東京証券取引所市場第一部上場を契機に、成長への「シフトチェンジ期」として、成長を加速してまいりました。2018~2020年度においては、これまでのバリューアップ投資の果実を収穫するとともに、将来の事業拡大に向けて財務体質の強化や新たな事業分野・領域を拡大していく期間としております。今後とも企業価値の極大化に向け、あらゆる場面でお客さまの生活を応援していく企業グループとなることで、より一層の持続的かつ力強い成長を目指してまいります。
足もとの事業環境は、雇用・所得環境の改善が続くなかで緩やかに回復しておりますが、先行きについては、海外経済の不確実性や金融資本市場の変動の影響が懸念されるなど不透明な状況であります。このような事業環境下において、長期的な目標水準を目指すロードマップとして、2017~2019年度中期経営計画をベースに個別施策ならびに数値計画の見直しを実施し、3ヵ年の「西武グループ中期経営計画(2019~2021年度)」を策定いたしました。そのなかでは、持続的かつ力強い成長を実現していくために、引き続き「既存事業領域の強化」と「新規事業分野の創出」を重点的に対応すべき課題として掲げております。このため、6つの重点施策(第一部第2の1「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照ください。)に取り組み、これまでのバリューアップの果実収穫に加え、将来の事業拡大に向け、財務体質の強化や新たな事業分野・領域への拡大を加速し、新たな経営のフェーズに着実につなげてまいります。さらに、「デジタル経営(DX)の推進」と「サステナビリティアクションの推進」の2点を全体的なトピックとしております。
「デジタル経営(DX)の推進」は、業務プロセスや顧客に関するデジタルデータを活用することによりマーケティング力強化や新規事業・新規サービス創出につなげ、収益力向上をはかるという「攻めの視点」、デジタルを活用した業務の自動化や高度化という「守りの視点」の両面から、最適なデジタル経営を推進してまいります。
「サステナビリティアクションの推進」は、SDGsを意識した社会課題解決への取り組みを「サステナビリティアクション」として、安全、環境、社会、会社文化といった4領域において12項目のアジェンダを設定し、重点的に取り組んでまいります。
また、当計画期間においては、将来の成長に資する設備投資を優先しつつ、2022年度以降の大規模投資に備えるため、財務体質の改善に努めるとともに、財務体質や設備投資のバランスを鑑みながら、より一層株主還元の充実をはかってまいります。
当連結会計年度におけるわが国経済は、輸出や生産の一部に弱さも見られるものの、雇用・所得環境の改善が続くなかで緩やかに回復しております。しかしながら、先行きについては、通商問題の動向が世界経済に与える影響や海外経済と政策に関する不確実性、金融資本市場の変動の影響が懸念されるなど不透明な状況であります。
このような状況のなか、当連結会計年度においては、長期的な目標水準に向けて持続的かつ力強い成長を達成するため、3ヵ年の「西武グループ中期経営計画(2018~2020年度)」を策定し、前回計画(2017~2019年度)に引き続き「新たな視点でスピード感をもって、イノベーションに挑戦」と「長期的視点での成長基盤の確立」を基本方針として、「新規事業分野の創出」と「既存事業領域の強化」の2点を重点課題に取り組んでまいりました。
こうした中で新規事業分野の創出のため、アイデアと社会をつなぐ、アクセラレーターの枠を超えた事業創出プログラム「SWING」の開始や、VCファンドへ出資など積極的な取り組みを実施しました。
また、ホテル・レジャー事業では、海外ラグジュアリーブランド「The Prince Akatoki」を創設し、イギリス・ロンドンと中国・広州での出店を決定いたしました。都市交通・沿線事業では、新型特急車両「Laview」が運行を開始したほか、不動産事業では、2019年2月にオフィスビル「ダイヤゲート池袋」が竣工いたしました。
当連結会計年度における経営成績の概況は、営業収益は、5,659億39百万円と前期に比べ353億7百万円の増加(前期比6.7%増)となり、営業利益は、733億32百万円と前期に比べ90億72百万円の増加(同14.1%増)となり、償却前営業利益は、1,273億29百万円と前期に比べ117億49百万円の増加(同10.2%増)となりました。
経常利益は、営業利益の増加により、654億15百万円と前期に比べ99億24百万円の増加(同17.9%増)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、454億57百万円と前期に比べ25億48百万円の増加(同5.9%増)となりました。
各セグメントにおける業績は以下のとおりであります。
(単位:百万円)
| セグメントの名称 | 営業収益 | 営業利益 | 償却前営業利益 | ||||||
| 当連結会計年度 | 前期比 増減 | 前期比 増減率 (%) | 当連結会計年度 | 前期比 増減 | 前期比 増減率 (%) | 当連結会計年度 | 前期比 増減 | 前期比 増減率 (%) | |
| 都市交通・沿線事業 | 163,088 | 1,032 | 0.6 | 27,087 | △167 | △0.6 | 48,765 | △296 | △0.6 |
| ホテル・レジャー事業 | 219,801 | 14,946 | 7.3 | 19,741 | 2,441 | 14.1 | 36,077 | 3,337 | 10.2 |
| 不動産事業 | 69,651 | 7,358 | 11.8 | 20,095 | 4,277 | 27.0 | 30,420 | 5,343 | 21.3 |
| 建設事業 | 109,690 | 9,687 | 9.7 | 5,890 | 1,138 | 24.0 | 6,315 | 1,163 | 22.6 |
| ハワイ事業 | 19,089 | 3,714 | 24.2 | △1,377 | 625 | - | 1,206 | 1,109 | - |
| その他 | 41,931 | 2,504 | 6.4 | 1,252 | 204 | 19.5 | 4,312 | 352 | 8.9 |
| 合計 | 623,252 | 39,244 | 6.7 | 72,691 | 8,519 | 13.3 | 127,098 | 11,008 | 9.5 |
| 調整額 | △57,313 | △3,936 | - | 641 | 552 | 626.1 | 231 | 741 | - |
| 連結数値 | 565,939 | 35,307 | 6.7 | 73,332 | 9,072 | 14.1 | 127,329 | 11,749 | 10.2 |
(注)1 調整額については、主に連結会社間取引消去等であります。
2 償却前営業利益は、営業利益に減価償却費及びのれん償却額を加えて算定しております。
①都市交通・沿線事業
都市交通・沿線事業の内訳は鉄道業、バス業、沿線レジャー業、その他であり、それぞれの営業収益は以下のとおりであります。
(単位:百万円)
| 2018年3月期 | 2019年3月期 | 増減額 | |||
| 営業収益 | 162,056 | 163,088 | 1,032 | ||
| 鉄道業 | 106,354 | 106,549 | 195 | ||
| バス業 | 25,937 | 26,351 | 413 | ||
| 沿線レジャー業 | 22,095 | 22,551 | 455 | ||
| その他 | 7,668 | 7,636 | △32 | ||
鉄道業で、雇用情勢の堅調な推移やメットライフドームでの野球・イベント開催、2018年3月のグランエミオ所沢Ⅰ期開業に加え、メッツァビレッジなど沿線に新たにオープンした施設と連携した営業施策の実施などにより、旅客輸送人員は、前期比1.0%増(うち定期1.1%増、定期外0.9%増)、旅客運輸収入は、有料座席指定列車「拝島ライナー」の導入などもあり、前期比1.2%増(うち定期1.1%増、定期外1.3%増)となりました。
また、バス業で、西武バスIC定期券の利用が好調に推移いたしました。
これらの結果、都市交通・沿線事業の営業収益は、1,630億88百万円と前期に比べ10億32百万円の増加(同0.6%増)となりました。しかしながら、営業利益は、電気動力費や燃料費に加え、一般管理費の増加もあり、270億87百万円と前期に比べ1億67百万円の減少(同0.6%減)となり、償却前営業利益は、487億65百万円と前期に比べ2億96百万円の減少(同0.6%減)となりました。
都市交通・沿線事業の主要な会社である西武鉄道株式会社の鉄道業の運輸成績は以下のとおりであります。
(西武鉄道株式会社の鉄道業の運輸成績)
| 種別 | 単位 | 2018年3月期 | 2019年3月期 | |
| 営業日数 | 日 | 365 | 365 | |
| 営業キロ | キロ | 176.6 | 176.6 | |
| 客車走行キロ | 千キロ | 174,298 | 175,200 | |
| 輸送人員 | 定期 | 千人 | 412,680 | 417,162 |
| 定期外 | 千人 | 245,969 | 248,080 | |
| 計 | 千人 | 658,650 | 665,242 | |
| 旅客運輸収入 | 定期 | 百万円 | 45,137 | 45,638 |
| 定期外 | 百万円 | 54,211 | 54,895 | |
| 計 | 百万円 | 99,348 | 100,533 | |
| 運輸雑収 | 百万円 | 4,097 | 3,997 | |
| 収入合計 | 百万円 | 103,445 | 104,530 | |
| 一日平均収入 | 百万円 | 272 | 275 | |
| 乗車効率 | % | 39.8 | 40.0 | |
(注)1 乗車効率は 延人キロ/(客車走行キロ×平均定員)×100 により、算出しております。
2 千キロ未満、千人未満及び百万円未満を切り捨てて表示しております。
3 運輸雑収は鉄道業以外の収入を含んでおります。
②ホテル・レジャー事業
ホテル・レジャー事業の内訳はホテル業(シティ)、ホテル業(リゾート)、ゴルフ場業、その他であり、それぞれの営業収益は以下のとおりであります。
(単位:百万円)
| 2018年3月期 | 2019年3月期 | 増減額 | |||
| 営業収益 | 204,854 | 219,801 | 14,946 | ||
| ホテル業(シティ) | 119,776 | 128,079 | 8,303 | ||
| ホテル業(リゾート) | 40,677 | 42,185 | 1,508 | ||
| ゴルフ場業 | 12,575 | 12,783 | 208 | ||
| その他 | 31,825 | 36,751 | 4,925 | ||
(注)1 ホテル業(シティ)には主に大都市圏の中心商業地域やターミナル及びその周辺地域に立地するホテルを含んでおります。ホテル業(リゾート)には主に観光地や避暑地に立地するホテルを含んでおります。
2 以降の項目において、ホテル業(シティ)に属するホテルを「シティ」、ホテル業(リゾート)に属するホテルを「リゾート」と称する場合があります。
ホテル業で、2017年10月に開業した名古屋プリンスホテル スカイタワーや前期にリニューアルオープンしたホテルが増収に寄与いたしました。また、宿泊部門では、増加する訪日外国人需要をとらえ、レベニューマネジメント(注1)を着実に実施したことにより、シティ・リゾートともにRevPAR(注2)が前期比で上昇いたしました。宴会部門では、MICE(注3)が好調に推移し、食堂部門では、都内のホテルにおけるレストランリニューアルや積極的な営業施策の実施などにより、堅調に推移いたしました。
(注)1 レベニューマネジメントとは、需要予測に基づき、適切な時期に適切な価格にてお客さまにサービスを提供し、利益を最大化する手法であります。
2 RevPARとは、Revenue Per Available Roomの略であり、宿泊に係る収入を客室総数で除したものであります。
3 MICEとは、企業などの会議(Meeting)、企業などがおこなう報奨・研修旅行(インセンティブ旅行)(Incentive Travel)、国際機関・団体、学会などがおこなう国際会議(Convention)、展示会・見本市、イベント(Exhibition/Event)の頭文字であり、多くの集客交流が見込まれるビジネスイベントなどの総称であります。
そのほか、2017年10月に事業を取得したStayWell社が増収に寄与いたしました。また、株式会社横浜八景島が、2018年6月に開業した上越市立水族博物館 うみがたりにおいて、指定管理者として運営を開始し、好調に推移いたしました。
これらの結果、ホテル・レジャー事業の営業収益は、2,198億1百万円と前期に比べ149億46百万円の増加(同7.3%増)となりました。営業利益は、将来の成長に資する経費が増加したものの、増収により、197億41百万円と前期に比べ24億41百万円の増加(同14.1%増)となり、償却前営業利益は、360億77百万円と前期に比べ33億37百万円の増加(同10.2%増)となりました。
ホテル・レジャー事業の主要な会社である株式会社プリンスホテルのホテル業(シティ)及びホテル業(リゾート)の定量的な指標は以下のとおりであります。
(ホテル施設概要)
| 施設数 (か所) | 客室数 (室) | 宴会場数 (室) | 宴会場面積 (㎡) | |
| シティ | 15 | 10,635 | 215 | 51,312 |
| 高輪・品川エリア | 4 | 5,136 | 108 | 20,711 |
| リゾート | 28 | 6,751 | 89 | 22,354 |
| 軽井沢エリア | 3 | 712 | 11 | 3,670 |
(注)1 面積1,000㎡以上の宴会場は20室であります。
2 シティの代表例として高輪・品川エリア、リゾートの代表例として軽井沢エリアを記載しております。
3 高輪・品川エリアに含まれるホテルはザ・プリンス さくらタワー東京、グランドプリンスホテル高輪、グランドプリンスホテル新高輪、品川プリンスホテルであります。
4 軽井沢エリアに含まれるホテルはザ・プリンス 軽井沢、ザ・プリンス ヴィラ軽井沢、軽井沢プリンスホテルであります。
(ホテル業の営業指標)
| 2018年3月期 | 2019年3月期 | ||
| RevPAR(円) | シティ | 12,732 | 13,473 |
| 高輪・品川エリア | 13,354 | 13,811 | |
| リゾート | 9,889 | 10,319 | |
| 軽井沢エリア | 20,980 | 22,085 | |
| 宿泊部門全体 | 11,786 | 12,435 | |
| 平均販売室料(円) | シティ | 15,196 | 15,845 |
| 高輪・品川エリア | 14,830 | 15,397 | |
| リゾート | 16,208 | 16,439 | |
| 軽井沢エリア | 31,713 | 30,529 | |
| 宿泊部門全体 | 15,466 | 16,003 |
| 客室稼働率(%) | シティ | 83.8 | 85.0 |
| 高輪・品川エリア | 90.0 | 89.7 | |
| リゾート | 61.0 | 62.8 | |
| 軽井沢エリア | 66.2 | 72.3 | |
| 宿泊部門全体 | 76.2 | 77.7 |
(注)1 シティの代表例として高輪・品川エリア、リゾートの代表例として軽井沢エリアを記載しております。
2 高輪・品川エリアに含まれるホテルはザ・プリンス さくらタワー東京、グランドプリンスホテル高輪、グランドプリンスホテル新高輪、品川プリンスホテルであります。
3 軽井沢エリアに含まれるホテルはザ・プリンス 軽井沢、ザ・プリンス ヴィラ軽井沢、軽井沢プリンスホテルであります。
4 RevPARとは、Revenue Per Available Roomの略であり、宿泊に係る収入を客室総数で除したものであります。
5 ホテル業の営業指標については、工事等により営業休止中の施設・客室を含んでおりません。
(宿泊客の内訳)
(単位:名、%)
| 2018年3月期 | 比率 | 2019年3月期 | 比率 | |
| 宿泊客 | 4,839,187 | 100.0 | 5,020,309 | 100.0 |
| 邦人客 | 3,652,410 | 75.5 | 3,678,164 | 73.3 |
| 外国人客 | 1,186,777 | 24.5 | 1,342,145 | 26.7 |
③不動産事業
不動産事業の内訳は不動産賃貸業、その他であり、それぞれの営業収益は以下のとおりであります。
(単位:百万円)
| 2018年3月期 | 2019年3月期 | 増減額 | |||
| 営業収益 | 62,292 | 69,651 | 7,358 | ||
| 不動産賃貸業 | 42,506 | 46,652 | 4,145 | ||
| その他 | 19,785 | 22,998 | 3,213 | ||
不動産賃貸業で、2016年7月にグランドオープンした東京ガーデンテラス紀尾井町において、オフィスの賃料収入が増加したほか、2018年3月に開業したグランエミオ所沢Ⅰ期やエミリブ鷺ノ宮が増収に寄与いたしました。また、軽井沢・プリンスショッピングプラザが、積極的なプロモーションや営業施策を実施したことにより、好調に推移いたしました。
そのほか、西武池袋線保谷駅にてマンション販売を実施いたしました。
これらの結果、不動産事業の営業収益は、696億51百万円と前期に比べ73億58百万円の増加(同11.8%増)となり、営業利益は、200億95百万円と前期に比べ42億77百万円の増加(同27.0%増)となり、償却前営業利益は、304億20百万円と前期に比べ53億43百万円の増加(同21.3%増)となりました。
不動産事業の定量的な指標は以下のとおりであります。
(建物賃貸物件の営業状況)
| 期末貸付面積 (千㎡) | 期末空室率 (%) | |||
| 2018年3月期 | 2019年3月期 | 2018年3月期 | 2019年3月期 | |
| 商業施設 | 244 | 244 | 1.1 | 1.0 |
| オフィス・住宅 | 172 | 184 | 1.9 | 11.0 |
(注)1 土地の賃貸は含んでおりません。
2 期末空室率はダイヤゲート池袋の竣工により、一時的に上昇しております。
④建設事業
建設事業の内訳は建設業、その他であり、それぞれの営業収益は以下のとおりであります。
(単位:百万円)
| 2018年3月期 | 2019年3月期 | 増減額 | |||
| 営業収益 | 100,002 | 109,690 | 9,687 | ||
| 建設業 | 74,054 | 81,484 | 7,429 | ||
| その他 | 25,947 | 28,206 | 2,258 | ||
(注)建設業には西武建設株式会社による兼業事業売上高を含んでおります。西武建設株式会社は、保有不
動産の一部を賃貸しており、当該売上高を建設業の営業収益に計上しております。
建設業で、鉄道工事や分譲住宅の建設、公共工事、リノベーション工事の施工を進めたほか、厳正な受注管理や継続的な与信管理に加え、原価管理についても強化に努めてまいりました。
これらの結果、建設事業の営業収益は、1,096億90百万円と前期に比べ96億87百万円の増加(同9.7%増)となり、営業利益は、58億90百万円と前期に比べ11億38百万円の増加(同24.0%増)となり、償却前営業利益は、63億15百万円と前期に比べ11億63百万円の増加(同22.6%増)となりました。
建設事業の定量的な指標は以下のとおりであります。
(建設業の受注高の状況)
(単位:百万円)
| 2018年3月期 | 2019年3月期 | |||
| 期首繰越高 | 89,755 | 100,542 | ||
| 期中受注高 | 84,599 | 69,527 | ||
| 期末繰越高 | 100,542 | 88,975 | ||
⑤ハワイ事業
ハワイ事業では、2017年4月にリニューアルオープンしたプリンス ワイキキで積極的なプロモーション活動や顧客満足度の向上に努めた結果、客室稼働率・平均販売室料ともに前期を上回り、飲食部門も好調に推移いたしました。また、ハワイ島ではキラウエア火山の噴火によりキャンセルが発生したものの、マウナケアビーチホテルが、宿泊部門と飲食部門において好調に推移したほか、ハプナビーチプリンスホテルが、2018年6月にウェスティン ハプナ ビーチ リゾートとしてリニューアルオープンをいたしました。
これらの結果、ハワイ事業の営業収益は、190億89百万円と前期に比べ37億14百万円の増加(同24.2%増)となり、営業損失は、13億77百万円と前期に比べ6億25百万円の改善(前期は、営業損失20億2百万円)となり、償却前営業利益は、12億6百万円と前期に比べ11億9百万円の増加となりました。
ハワイ事業の定量的な指標は以下のとおりであります。
(ホテルの営業指標)
| 2018年3月期 | 2019年3月期 | |
| RevPAR (円) | 18,465 | 26,162 |
| RevPAR (米ドル) | 175.86 | 227.49 |
| 平均販売室料 (円) | 30,539 | 35,956 |
| 平均販売室料 (米ドル) | 290.85 | 312.66 |
| 客室稼働率 (%) | 60.5 | 72.8 |
(注)RevPARとは、Revenue Per Available Roomの略であり、宿泊に係る収入を客室総数で除したもの
であります。
⑥その他
伊豆箱根事業では、訪日外国人需要を取り込んだことで貸切バスが好調に推移したほか、2018年4月に箱根芦ノ湖において水陸両用バス「NINJABUS WATER SPIDER」の運航を開始いたしました。近江事業では、2017年8月に開業した守山駅前近江鉄道ビル「cocotto MORIYAMA」が増収に寄与いたしました。また、埼玉西武ライオンズが10年ぶりにパシフィック・リーグ優勝を果たし、クライマックスシリーズを開催したことや、各種営業施策の実施などにより、観客動員数が前期比で増加したほか、選手関連グッズの販売が好調に推移いたしました。
これらの結果、営業収益は、419億31百万円と前期に比べ25億4百万円の増加(同6.4%増)となり、営業利益は、12億52百万円と前期に比べ2億4百万円の増加(同19.5%増)となり、償却前営業利益は、43億12百万円と前期に比べ3億52百万円の増加(同8.9%増)となりました。
(2) 生産、受注及び販売の実績
当社グループは役務提供を中心とした事業展開をおこなっており、生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。このため生産、受注及び販売の実績については、「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)業績」におけるセグメントの業績に関連付けて示しております。
(3) 財政状態、経営成績の分析
文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
なお、「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 平成30年2月16日)等を当連結会計年度から適用しており、財政状態については遡及処理後の前連結会計年度末の数値で比較をおこなっております。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成にあたって重要となる会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載されているとおりであります。
当社グループは、退職給付に係る負債及び退職給付に係る資産、税効果会計、貸倒引当金、棚卸資産の評価、投資その他の資産の評価などに関して、過去の実績や当該取引の状況に照らして、合理的と考えられる見積り及び判断をおこない、その結果を資産・負債の帳簿価額及び収益・費用の金額に反映して連結財務諸表を作成しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
② 財政状態の分析
1 資産
流動資産は、1,345億12百万円と前連結会計年度末に比べ220億97百万円増加いたしました。その主たる要因は、受取手形及び売掛金の増加(195億68百万円)であります。
固定資産は、1兆5,944億17百万円と前連結会計年度末に比べ376億8百万円増加いたしました。その主たる要因は、有形固定資産及び無形固定資産の増加(369億25百万円)であります。
以上の結果、総資産は1兆7,289億29百万円と前連結会計年度末に比べ597億6百万円増加いたしました。
2 負債
流動負債は、3,672億38百万円と前連結会計年度末に比べ384億56百万円増加いたしました。その主たる要因は、西武鉄道株式会社等の工事未払金が増加したことなどによる流動負債「その他」の増加(137億2百万円)及び前受金の増加(136億26百万円)であります。
固定負債は、9,389億76百万円と前連結会計年度末に比べ65億17百万円減少いたしました。その主たる要因は、長期借入金の減少(122億57百万円)であります。
以上の結果、負債合計は1兆3,062億14百万円と前連結会計年度末に比べ319億39百万円増加いたしました。
3 純資産
純資産は、4,227億15百万円と前連結会計年度末に比べ277億67百万円増加いたしました。その主たる要因は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上(454億57百万円)であります。
なお、自己資本比率は前連結会計年度末に比べ0.8ポイント上昇し24.1%となっております。
③ 経営成績の分析
1 営業収益及び営業利益
営業収益は、ホテル・レジャー事業においてRevPARの上昇やMICEが堅調に推移したこと、不動産事業において東京ガーデンテラス紀尾井町における賃料収入の増加があったこと、建設事業において建築工事やリノベーション工事の増加があったことなどにより、5,659億39百万円(前期比6.7%増)となり、営業利益は増収による増益により、733億32百万円(同14.1%増)となりました。
なお、各セグメントにおける業績につきましては、「(1) 業績」をご覧ください。
2 営業外損益及び経常利益
営業外収益は34億75百万円(同5.6%増)となり、支払利息の減少(4億59百万円)などにより、営業外費用は113億92百万円(同5.5%減)となりました。
以上の結果、経常利益は654億15百万円(同17.9%増)となりました。
3 特別損益及び親会社株主に帰属する当期純利益
ポスティングに係る入札額受入益の増加(10億58百万円)などにより、特別利益は27億95百万円(同29.6%増)となりました。
投資有価証券評価損(11億20百万円)の計上などにより、特別損失は78億34百万円(同17.0%増)となりました。
以上の結果、税金等調整前当期純利益は603億76百万円(同18.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は454億57百万円(同5.9%増)となりました。
(4) キャッシュ・フローの分析
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ33億59百万円減少し、当連結会計年度末には262億69百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益603億76百万円に、減価償却費や法人税等の支払額などを調整した結果、881億4百万円の資金収入となりました。前連結会計年度に比べ156億68百万円の資金収入の減少となりましたが、その主たる要因は、売上債権の増減額による収入の減少(257億38百万円)であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、730億69百万円の資金支出となり、前連結会計年度に比べ150億14百万円の資金支出の減少となりました。その主たる要因は、有形及び無形固定資産の取得による支出の減少(129億64百万円)であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、自己株式の取得による支出や配当金の支払などにより、178億98百万円の資金支出となり、前連結会計年度に比べ43億48百万円の資金支出の増加となりました。
(5) 資本の財源及び資金の流動性について
当社グループの資金調達は、金融機関からの借入や社債の発行など、市場環境や金利動向などを総合的に勘案しながら決定しております。
また、当社グループは、鉄道業・ホテル業を中心とした日々の収入金により、必要な流動性資金を十分に確保しており、キャッシュマネジメントシステム(CMS)などによりグループ内余剰資金の有効活用に努めております。
また、当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含むネット有利子負債の残高は8,785億8百万円、ネット有利子負債/EBITDA倍率は6.9倍となっております。2019年度を初年度とする中期経営計画では、企業活動から得られる営業キャッシュ・フローを資金として、ホームドア整備や会員制ホテル事業「プリンス バケーション クラブ」、グランエミオ所沢Ⅱ期などの設備投資を実行していくとともに、将来の大規模投資に備えるために、生産性の向上や設備投資の厳選、借入の返済に努め、2021年度にはネット有利子負債の残高は8,565億円、ネット有利子負債/EBITDA倍率は6.2倍を計画しております。
(6) 経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。本項目においては、そのうち当社グループ全体の事業基盤に直ちに影響を及ぼす可能性のある重要なものに関して、その影響と可能な対策を記載いたします。
① 経済情勢
当社グループは、日本国内を主たるマーケットとして事業を展開しており、各種経済情勢の影響を受けております。消費の低迷や雇用状況の悪化、企業活動の停滞、需要の減少、民間工事及び公共工事の減少、不動産市況の低迷、海外経済の下振れ、地政学的リスク等が、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。そのため、グループの大きな強みである保有資産を有効活用して、「既存事業領域の強化」に取り組むとともに、既存事業領域を超えたダイナミズムをともなう成長のため、「新規事業分野の創出」にも取り組んでまいります。合わせて、効率的な経営を実現するため、ICTの利活用や省メンテナンス機器の導入、コスト管理の強化などローコストオペレーション体制を確立し、さらなる企業体質の強化をはかってまいります。
また、グループ内外との連携を積極的にはかることでお客さまの満足度向上に常に取り組み、収益力の強化を目指してまいります。
② 法的規制等
当社グループの各事業においては、それぞれ法的規制を受けております。
例えば、都市交通・沿線事業等においては鉄道事業法、道路運送法等の法的規制を受けております。具体的には鉄道業では国土交通大臣による事業経営の許可、上限運賃等の認可等、また、バス業やタクシー業においても事業経営の許可等があります。ホテル・レジャー事業では、旅館業法や食品衛生法等の法的規制を受けております。具体的にはホテル業における旅館業法による事業経営の許可等があります。不動産事業では、宅地建物取引業法、都市計画法、建築基準法、建設業法、土壌汚染対策法等の法的規制を受けております。
これら現在の規制に重要な変更や新たな規制が設けられた場合には、規制を遵守するために必要な費用が増加する可能性があり、また、規制に対応できなかった場合は、当社グループの活動が制限される等、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があるため、規制の変更・新設に関する情報やその影響等を事前に当社において調査・把握し、当社グループへの影響を最小限にとどめるよう努めております。
③ 自然災害・事故等
大規模な事故、地震や台風その他気候変動に起因する自然災害、テロ行為等が発生した場合、その対策費用の発生及びビジネスモデルの転換等により、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。この点、当社グループは、「安全・安心」を最重要課題と認識し、グループ事業運営に取り組んでまいりました。具体的には、運輸安全マネジメント体制をはじめとする都市交通・沿線事業における安全性向上の取り組みや、ホテル・レジャー事業における施設の安全対策等、グループ事業運営にあたり安全管理には万全の注意を払っております。
④ 少子高齢化
当社グループでは、都市交通・沿線事業やホテル・レジャー事業等お客さまの生活に密着した事業を展開しております。そのため、少子高齢化による就業・就学人口の減少や将来的な人口の減少により鉄道業やバス業等における輸送人員の減少、レジャー施設の利用人員の減少等が懸念され、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、人口構造の変化といったパラダイムシフトに対応すべく、「インバウンド(訪日外国人)」、「シニア」、「こども」といったマーケットへターゲットを拡大するなど、新たなビジネスモデルを育成しております。
(7) 経営者の問題意識と今後の方針について
当社グループは、当社設立以降、「峻別と集中」と「企業価値の極大化」をコンセプトにした「基盤整備期」、そして、2014年の東京証券取引所市場第一部上場を契機に、成長への「シフトチェンジ期」として、成長を加速してまいりました。2018~2020年度においては、これまでのバリューアップ投資の果実を収穫するとともに、将来の事業拡大に向けて財務体質の強化や新たな事業分野・領域を拡大していく期間としております。今後とも企業価値の極大化に向け、あらゆる場面でお客さまの生活を応援していく企業グループとなることで、より一層の持続的かつ力強い成長を目指してまいります。
足もとの事業環境は、雇用・所得環境の改善が続くなかで緩やかに回復しておりますが、先行きについては、海外経済の不確実性や金融資本市場の変動の影響が懸念されるなど不透明な状況であります。このような事業環境下において、長期的な目標水準を目指すロードマップとして、2017~2019年度中期経営計画をベースに個別施策ならびに数値計画の見直しを実施し、3ヵ年の「西武グループ中期経営計画(2019~2021年度)」を策定いたしました。そのなかでは、持続的かつ力強い成長を実現していくために、引き続き「既存事業領域の強化」と「新規事業分野の創出」を重点的に対応すべき課題として掲げております。このため、6つの重点施策(第一部第2の1「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照ください。)に取り組み、これまでのバリューアップの果実収穫に加え、将来の事業拡大に向け、財務体質の強化や新たな事業分野・領域への拡大を加速し、新たな経営のフェーズに着実につなげてまいります。さらに、「デジタル経営(DX)の推進」と「サステナビリティアクションの推進」の2点を全体的なトピックとしております。
「デジタル経営(DX)の推進」は、業務プロセスや顧客に関するデジタルデータを活用することによりマーケティング力強化や新規事業・新規サービス創出につなげ、収益力向上をはかるという「攻めの視点」、デジタルを活用した業務の自動化や高度化という「守りの視点」の両面から、最適なデジタル経営を推進してまいります。
「サステナビリティアクションの推進」は、SDGsを意識した社会課題解決への取り組みを「サステナビリティアクション」として、安全、環境、社会、会社文化といった4領域において12項目のアジェンダを設定し、重点的に取り組んでまいります。
また、当計画期間においては、将来の成長に資する設備投資を優先しつつ、2022年度以降の大規模投資に備えるため、財務体質の改善に努めるとともに、財務体質や設備投資のバランスを鑑みながら、より一層株主還元の充実をはかってまいります。