有価証券報告書-第15期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)
(1) 業績
当連結会計年度におけるわが国経済は、雇用・所得環境の改善が続くなかで緩やかな回復基調であった一方、通商問題を巡る動向、中国経済の先行き、英国のEU離脱、中東地域を巡る情勢などの海外経済の動向や金融資本市場の変動の影響に加え、消費税率引上げ後の消費者マインドの動向が懸念されるなど不透明な状況が続きました。足もとでは、新型コロナウイルス感染症の流行が世界各国で深刻さを増すなか、景気は急速に悪化しております。また、感染症の影響が収束に向かう見通しは立っておらず、極めて厳しい状況が続くと見込まれております。
このような状況のなか、当連結会計年度においては、長期的な目標水準に向けて持続的かつ力強い成長を達成するため、3ヵ年の「西武グループ中期経営計画(2019~2021年度)」を策定し、「新たな視点でスピード感をもって、イノベーションに挑戦」と「長期的視点での成長基盤の確立」を基本方針として、「新規事業分野の創出」と「既存事業領域の強化」の2点を重点課題に取り組んでまいりました。
こうしたなか、2019年4月に大規模オフィスビル「ダイヤゲート池袋」が開業、当社をはじめとする3社が本社を移転し、所沢との2大拠点化による企業価値の向上に取り組むとともに、働き方改革や生産性向上を推進してまいりました。
また、SDGsを意識した社会課題解決に貢献すべく、持続可能な社会の実現に向けた取り組み「サステナビリティアクション」を積極的に推進してまいりました。「西武グループ環境方針」を策定し、環境負荷低減、環境保全に関する取り組みを進めるとともに、新型省エネ車両の導入及び太陽光発電所建設事業の一部の資金調達において、国内のホールセール債としては陸運業界初となる「グリーンボンド」を発行いたしました。
そのほか、埼玉西武ライオンズがパシフィック・リーグ連覇を果たしました。
2020年1月下旬以降は、新型コロナウイルス感染拡大により、当社グループにおいては、外出の自粛やイベント自粛にともなう行楽需要の低下に加え、インバウンドの減少などの影響を受けました。このような状況のなか、お客さま及び従業員への感染予防・感染拡大防止を目的に、レジャー施設の臨時休業などの営業内容の変更や従業員のテレワーク勤務など、各種対策を実施いたしました。
当連結会計年度における経営成績の概況は、2020年1月下旬以降の新型コロナウイルス感染拡大にともなう上記影響などにより、営業収益は、5,545億90百万円と前期に比べ113億49百万円の減少(前期比2.0%減)となり、営業利益は、568億23百万円と前期に比べ165億8百万円の減少(同22.5%減)となり、償却前営業利益は、1,145億35百万円と前期に比べ127億94百万円の減少(同10.0%減)となりました。
経常利益は、営業利益の減少により、487億70百万円と前期に比べ166億44百万円の減少(同25.4%減)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、減損損失の計上などにより、46億70百万円と前期に比べ407億87百万円の減少(同89.7%減)となりました。
各セグメントにおける業績は以下のとおりであります。
(単位:百万円)
(注)1 調整額については、主に連結会社間取引消去等であります。
2 償却前営業利益は、営業利益に減価償却費及びのれん償却額を加えて算定しております。
①都市交通・沿線事業
都市交通・沿線事業の内訳は鉄道業、バス業、沿線レジャー業、その他であり、それぞれの営業収益は以下のとおりであります。
(単位:百万円)
鉄道業で、雇用情勢の堅調な推移やメットライフドームでの野球・コンサート開催、ムーミンバレーパークなど沿線施設と連携した営業施策の実施に加え、大型連休の行楽需要を着実に取り込みました。しかしながら、2020年2月以降は新型コロナウイルス感染拡大にともなう外出自粛の影響を受け、旅客輸送人員は前期比0.5%減(うち定期0.6%増、定期外2.3%減)となりました。旅客運輸収入は、特急や有料座席指定列車の増発に加え、新型特急車両「Laview」導入効果もありましたが、旅客輸送人員の減少にともない、前期比0.9%減(うち定期0.6%増、定期外2.2%減)となりました。
そのほか、横浜アリーナにおいて、積極的なイベント誘致に努めてまいりました。
都市交通・沿線事業の営業収益は、2019年10月の台風19号にともなう鉄道業の計画運休の影響に加え、西武園ゆうえんちなど沿線レジャー施設が夏季の天候不順の影響を受けたこと、さらには2020年2月以降、新型コロナウイルス感染拡大にともなう外出自粛の影響や、一部の沿線レジャー施設において営業休止などの対応をおこなったことなどにより、1,611億68百万円と前期に比べ19億19百万円の減少(同1.2%減)となりました。営業利益は、減収に加え、一般管理費の増加により、233億67百万円と前期に比べ37億19百万円の減少(同13.7%減)となり、償却前営業利益は、454億72百万円と前期に比べ32億92百万円の減少(同6.8%減)となりました。
都市交通・沿線事業の主要な会社である西武鉄道株式会社の鉄道業の運輸成績は以下のとおりであります。
(西武鉄道株式会社の鉄道業の運輸成績)
(注)1 乗車効率は 延人キロ/(客車走行キロ×平均定員)×100 により、算出しております。
2 千キロ未満、千人未満及び百万円未満を切り捨てて表示しております。
3 運輸雑収は鉄道業以外の収入を含んでおります。
②ホテル・レジャー事業
ホテル・レジャー事業の内訳はホテル業(シティ)、ホテル業(リゾート)、ゴルフ場業、その他であり、それぞれの営業収益は以下のとおりであります。
(単位:百万円)
(注)1 ホテル業(シティ)には主に大都市圏の中心商業地域やターミナル及びその周辺地域に立地するホテルを含んでおります。ホテル業(リゾート)には主に観光地や避暑地に立地するホテルを含んでおります。
2 以降の項目において、ホテル業(シティ)に属するホテルを「シティ」、ホテル業(リゾート)に属するホテルを「リゾート」と称する場合があります。
3 会員制ホテル事業「プリンス バケーション クラブ」はリゾートに含んでおります。
ホテル業の宿泊部門では、レベニューマネジメント(注1)を着実に実施するとともに、大型連休においては行楽需要の着実な取り込みに注力いたしました。宴会部門では、MICE(注2)が堅調に推移し、食堂部門では、都内のホテルにおける積極的な営業施策の実施などにより、堅調に推移いたしました。そのほか、会員制ホテル事業「プリンス バケーション クラブ」について、2019年7月に3施設を開業したことに加え、ホテル業全体でラグビーワールドカップ開催にともなう需要を着実に取り込みました。
(注)1 レベニューマネジメントとは、需要予測に基づき、適切な時期に適切な価格にてお客さまにサービスを提供し、利益を最大化する手法であります。
2 MICEとは、企業などの会議(Meeting)、企業などがおこなう報奨・研修旅行(インセンティブ旅行)(Incentive Travel)、国際機関・団体、学会などがおこなう国際会議(Convention)、展示会・見本市、イベント(Exhibition/Event)の頭文字であり、多くの集客交流が見込まれるビジネスイベントなどの総称であります。
そのほか、ステイウェル ホールディングス Pty Ltdにおいて、新たに開業したホテルが増収に寄与するとともに、前期に事業を取得したAB ホテルズ Ltdが運営する「The Arch London」を、2019年9月に海外で展開するラグジュアリーブランド「The Prince Akatoki」の1号店として、英国・ロンドンにおいて「The Prince Akatoki London」にリブランドオープンいたしました。
ホテル・レジャー事業の営業収益は、上記の取り組みをおこなったものの、2019年10月の台風19号などの自然災害の影響に加え、2020年1月下旬以降、新型コロナウイルス感染拡大にともないホテル業における予約キャンセルや予約ペースの鈍化、また、横浜・八景島シーパラダイスなど一部のレジャー施設における営業休止などにより、2,091億53百万円と前期に比べ106億47百万円の減少(同4.8%減)となりました。営業利益は、減収に加え、将来の成長に資する経費の増加などにより、80億54百万円と前期に比べ116億87百万円の減少(同59.2%減)となり、償却前営業利益は、254億34百万円と前期に比べ106億42百万円の減少(同29.5%減)となりました。
ホテル・レジャー事業の主要な会社である株式会社プリンスホテルのホテル業(シティ)及びホテル業(リゾート)の定量的な指標は以下のとおりであります。
(ホテル施設概要)
(注)1 面積1,000㎡以上の宴会場は20室であります。
2 シティの代表例として高輪・品川エリア、リゾートの代表例として軽井沢エリアを記載しております。
3 高輪・品川エリアに含まれるホテルはザ・プリンス さくらタワー東京、グランドプリンスホテル高輪、グランドプリンスホテル新高輪、品川プリンスホテルであります。
4 軽井沢エリアに含まれるホテルはザ・プリンス 軽井沢、ザ・プリンス ヴィラ軽井沢、軽井沢プリンスホテルであります。
5 リゾートの施設数、客室数に会員制ホテル事業「プリンス バケーション クラブ」の3施設71部屋を含んでおります。
(ホテル業の営業指標)
(注)1 シティの代表例として高輪・品川エリア、リゾートの代表例として軽井沢エリアを記載しております。
2 高輪・品川エリアに含まれるホテルはザ・プリンス さくらタワー東京、グランドプリンスホテル高輪、グランドプリンスホテル新高輪、品川プリンスホテルであります。
3 軽井沢エリアに含まれるホテルはザ・プリンス 軽井沢、ザ・プリンス ヴィラ軽井沢、軽井沢プリンスホテルであります。
4 RevPARとは、Revenue Per Available Roomの略であり、宿泊に係る収入を客室総数で除したものであります。
5 ホテル業の営業指標については、工事等により営業休止中の施設・客室を含んでおりません。
6 会員制ホテル事業「プリンス バケーション クラブ」はリゾートに含んでおります。
(宿泊客の内訳)
(単位:名、%)
③不動産事業
不動産事業の内訳は不動産賃貸業、その他であり、それぞれの営業収益は以下のとおりであります。
(単位:百万円)
不動産賃貸業で、2019年4月に開業したダイヤゲート池袋が増収に寄与したほか、軽井沢・プリンスショッピングプラザなどの商業施設が積極的なプロモーションや営業施策を実施したことにより、堅調に推移いたしました。
また、2019年9月に入居を開始したエミリブ東長崎を含め、賃貸住宅が高稼働を継続し、好調に推移いたしました。
そのほか、西武池袋線保谷駅にてマンションの引渡しをおこないました。
不動産事業の営業収益は、マンションの引渡し戸数の減少により、663億40百万円と前期に比べ33億10百万円の減少(同4.8%減)となりました。営業利益は、減収に加え、ダイヤゲート池袋にかかる減価償却費が増加したことにより、181億46百万円と前期に比べ19億49百万円の減少(同9.7%減)となりました。償却前営業利益は、299億24百万円と前期に比べ4億95百万円の減少(同1.6%減)となりました。
不動産事業の定量的な指標は以下のとおりであります。
(建物賃貸物件の営業状況)
(注)1 土地の賃貸は含んでおりません。
2 2019年3月期の期末空室率はダイヤゲート池袋の竣工により、一時的に上昇しております。
④建設事業
建設事業の内訳は建設業、その他であり、それぞれの営業収益は以下のとおりであります。
(単位:百万円)
(注)建設業には西武建設株式会社による兼業事業売上高を含んでおります。西武建設株式会社は、保有不
動産の一部を賃貸しており、当該売上高を建設業の営業収益に計上しております。
建設業で、公共工事や民間住宅工事の施工を進めたほか、厳正な受注管理や原価管理の徹底などにより利益率の改善にも努めてまいりました。
そのほか、造園請負工事や、西武建材株式会社の仕入販売が好調に推移いたしました。
これらの結果、建設事業の営業収益は、1,117億71百万円と前期に比べ20億81百万円の増加(同1.9%増)となりました。営業利益は、西武造園株式会社の前期における台風復旧関連工事の剥落などにより56億37百万円と前期に比べ2億53百万円の減少(同4.3%減)となり、償却前営業利益は、60億88百万円と前期に比べ2億26百万円の減少(同3.6%減)となりました。
建設事業の定量的な指標は以下のとおりであります。
(建設業の受注高の状況)
(単位:百万円)
⑤ハワイ事業
ハワイ事業では、2018年6月にリニューアルオープンしたウェスティン ハプナ ビーチ リゾートが増収に寄与したほか、プリンス ワイキキ、マウナ ケア ビーチ ホテルでは、積極的なプロモーション活動や営業施策が奏功し、宿泊部門と飲食部門において、堅調に推移いたしました。
これらの結果、ハワイ事業の営業収益は、224億85百万円と前期に比べ33億96百万円の増加(同17.8%増)となり、営業利益は、5億11百万円と前期に比べ18億88百万円の増加(前期は、営業損失13億77百万円)となり、償却前営業利益は、32億93百万円と前期に比べ20億87百万円の増加(同173.1%増)となりました。
ハワイ事業の定量的な指標は以下のとおりであります。
(ホテルの営業指標)
(注)RevPARとは、Revenue Per Available Roomの略であり、宿泊に係る収入を客室総数で除したもの
であります。
⑥その他
西武ライオンズでは、好調なチーム成績や各種営業施策の実施により、観客動員数が前期比で増加したことや、メットライフドームにおいて積極的にコンサートを開催したことなどにより増収となりました。近江事業では、土山サービスエリアが新名神高速道路の新ルート開通もあり堅調に推移いたしました。
しかしながら、新型コロナウイルス感染拡大にともない、西武ライオンズにおけるシーズン開幕時期の延期に加え、伊豆箱根事業や近江事業において2020年2月以降外出自粛などの影響を受けたことにより、営業収益は、415億47百万円と前期に比べ3億84百万円の減少(同0.9%減)となりました。営業利益は、減収に加え、メットライフドームエリア改修計画に係る減価償却費の増加などにより、6億4百万円と前期に比べ6億48百万円の減少(同51.8%減)となり、償却前営業利益は、40億5百万円と前期に比べ3億7百万円の減少(同7.1%減)となりました。
(2) 生産、受注及び販売の実績
当社グループは役務提供を中心とした事業展開をおこなっており、生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。このため生産、受注及び販売の実績については、「(1)業績」におけるセグメントの業績に関連付けて示しております。
(3) 財政状態、経営成績の分析
文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。連結財務諸表の作成にあたっては、会計上の見積りをおこなう必要があり、特に以下の事項は、経営者の会計上の見積りの判断が財政状態及び経営成績に重要な影響を及ぼすと考えております。
(固定資産の減損処理)
当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。
減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定にあたっては、外部の情報等を含む入手可能な情報に基づき慎重に検討しておりますが、見積り額の前提とした経営環境に変化が生じ、結果として将来キャッシュ・フローが減少した場合には、減損処理が必要となる可能性があります。
(繰延税金資産の回収可能性)
当社グループは、繰延税金資産について定期的に回収可能性を検討し、当該資産の回収が不確実と考えられる部分に対して評価性引当額を計上しております。回収可能性の判断においては、将来の課税所得見込額と実行可能なタックス・プランニングを考慮して、将来の税金負担額を軽減する効果を有すると考えられる範囲で繰延税金資産を計上しております。
将来の課税所得見込額はその時の業績等により変動するため、見積り額の前提とした経営環境に変化が生じ、結果として課税所得見込額が減少した場合には、繰延税金資産の修正をおこなう可能性があります。
なお、新型コロナウイルス感染拡大による会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 追加情報 重要な会計上の見積り」に記載されているとおりであります。
② 財政状態の分析
1 資産
流動資産は、1,219億68百万円と前連結会計年度末に比べ125億44百万円減少いたしました。その主たる要因は、未成工事支出金の減少(67億38百万円)であります。
固定資産は、1兆5,858億16百万円と前連結会計年度末に比べ86億1百万円減少いたしました。その主たる要因は、投資有価証券の減少(191億4百万円)であります。
以上の結果、総資産は1兆7,077億84百万円と前連結会計年度末に比べ211億45百万円減少いたしました。
2 負債
流動負債は、3,963億36百万円と前連結会計年度末に比べ290億97百万円増加いたしました。その主たる要因は、短期借入金の増加(381億16百万円)であります。
固定負債は、9,380億20百万円と前連結会計年度末に比べ9億55百万円減少いたしました。その主たる要因は、長期借入金の減少(174億99百万円)であります。
以上の結果、負債合計は1兆3,343億56百万円と前連結会計年度末に比べ281億42百万円増加いたしました。
3 純資産
純資産は、3,734億27百万円と前連結会計年度末に比べ492億87百万円減少いたしました。その主たる要因は、自己株式の取得を実施したことなどによる自己株式の増加(160億22百万円)、退職給付に係る調整累計額の減少(139億57百万円)及びその他有価証券評価差額金の減少(135億58百万円)であります。
なお、自己資本比率は前連結会計年度末に比べ2.6ポイント低下し21.5%となっております。
③ 経営成績の分析
1 営業収益及び営業利益
営業収益は、第3四半期連結会計期間まではホテル・レジャー事業におけるRevPARの上昇、ハワイ事業の収益向上、都市交通・沿線事業において運輸収入の増加があったことなどにより増収となるも、2020年1月下旬以降の新型コロナウイルス感染拡大の影響により、5,545億90百万円(前期比2.0%減)となり、営業利益は減収による減益に加え、減価償却費や販管費が増加したことなどにより、568億23百万円(同22.5%減)となりました。
なお、各セグメントにおける業績につきましては、「(1) 業績」をご覧ください。
2 営業外損益及び経常利益
営業外収益は、前期に計上した為替差益(247百万円)が今期は為替差損(399百万円)に転じたことなどにより、33億82百万円(同2.7%減)となり、営業外費用は114億35百万円(同0.4%増)となりました。
以上の結果、経常利益は487億70百万円(同25.4%減)となりました。
3 特別損益及び親会社株主に帰属する当期純利益
特別利益は、前期に計上したポスティングに係る入札額受入益(11億12百万円)がなくなったことなどにより、19億40百万円(同30.6%減)となりました。
特別損失は、減損損失の増加(219億59百万円)などにより、319億38百万円(同307.7%増)となりました。
以上の結果、税金等調整前当期純利益は187億73百万円(同68.9%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は46億70百万円(同89.7%減)となりました。
(4) キャッシュ・フローの分析
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ17億87百万円増加し、当連結会計年度末には280億56百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益187億73百万円に、減価償却費や法人税等の支払額などを調整した結果、1,014億58百万円の資金収入となりました。前連結会計年度に比べ133億54百万円の資金収入の増加となりましたが、その主たる要因は、売上債権の増減額による収入の増加(257億37百万円)であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、966億55百万円の資金支出となり、前連結会計年度に比べ235億86百万円の資金支出の増加となりました。その主たる要因は、有形及び無形固定資産の取得による支出の増加(293億91百万円)であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、自己株式の取得による支出や配当金の支払などにより、30億25百万円の資金支出となったものの、借入金の増加などにより、前連結会計年度に比べ148億72百万円の資金支出の減少となりました。
(5) 資本の財源及び資金の流動性について
当社グループの資金調達は、金融機関からの借入や社債の発行など、市場環境や金利動向などを総合的に勘案しながら決定しており、鉄道業・ホテル業を中心とした日々の収入金により必要な流動性資金を確保するとともに、キャッシュマネジメントシステム(CMS)などによりグループ内余剰資金の有効活用に努めております。
足もとでは、新型コロナウイルス感染拡大及び2020年4月7日に発出された緊急事態宣言にともない、鉄道業、バス業などにおいて外出自粛により利用客が減少しているほか、一部の施設において臨時休業をおこなっていることから、日々の収入金が減少しております。回復時期が不透明なこの状況下においては、事態が長引くことも想定し、資金調達やキャッシュ流出抑制により、必要運転資金を確保いたします。
当連結会計年度末の手元現預金は283億円と、過年度と同水準を維持していることに加え、本年4月に主力取引金融機関から330億円の借入をおこなったほか、コミットメントラインを追加で設定し、総額600億円から総額最大1,500億円へ拡大しており、今後も必要に応じて適宜新規借入等の資金調達をおこなうことで、手元流動性の充実をはかります。
また、不要不急のコストを事態収束まで先送りするとともに、人件費などの固定費を圧縮し収益構造改善に努めることにより、キャッシュ流出を抑制しております。設備投資についても事態収束までは先送りしてまいりますが、「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画」に記載のとおり、新宿線連続立体交差事業やホームドア整備などのお客さまならびに従業員の安全・安心を確保するために必要な設備投資や、西武園ゆうえんちリニューアルやグランエミオ所沢Ⅱ期、メットライフドームエリア改修計画などの将来の成長につながる設備投資については実施をいたします。そうした中で、借入金・貸出コミットメントライン契約に関する財務制限条項抵触リスクに対しては、金融機関と適時適切な情報共有をはかりながら必要に応じて協議を進めてまいります。
株主還元につきましては、2021年3月期の連結業績予想を未定としていることから、配当予想も未定としておりますが、「第4 提出会社の状況 3 配当政策」に記載のとおり、グループ全体の経営基盤の強化や企業価値の向上をはかり、内部留保を充実させることで財務体質を強化し、安定配当をおこなうという基本方針に変更はございません。「西武グループ長期戦略」における財務戦略では、ステークホルダーへの還元と、成長に資する投資の実施を最適なバランスでおこなっていくことを方針として定めており、これらに鑑み、中長期的には、成長に資する投資を積極的に実施していくとともに、さらなる株主還元の充実をはかるべく連結配当性向を30%まで引き上げることを目標とし、利益配分に努めてまいります。
(6) 経営成績に重要な影響を与える要因について
本項目においては、当社グループ全体の事業基盤に一層影響を及ぼす可能性のある新型コロナウイルス感染症に関して、その影響等を記載いたします。
・新型コロナウイルス感染症に関する影響等 新型コロナウイルス感染症の感染拡大の防止のため、当社グループの各事業においては、一部の施設で臨時休業をしており、鉄道やバス、タクシーなど営業を継続している事業においては、消毒や換気、営業形態、営業時間の変更等、感染予防・感染拡大の防止に努めています。
しかしながら、新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、国内外の各種経済情勢への影響が長期化した場合や、海外からの観光客の減少が継続した場合、都市交通・沿線事業やホテル・レジャー事業等における一部施設の休業やお客さまの出控えの継続、及びソーシャルディスタンスを意識した営業形態への変更を余儀なくされお客さまが減少する場合、ならびに「Afterコロナ」の社会において、リモートワークの普及による通勤の減少や、オンライン上での交流の活発化による外出の減少等の価値変容が生じた場合に、営業収益の減少や対策費用が発生し、当社グループの業績及び財務状況に一層影響を与える可能性があります。
当社グループの従業員については、グループ各社の情報通信インフラの状況に応じたリモートワークを活用した在宅勤務の実施、オフィス在社人員の削減や、業務上やむを得ず出勤する場合における、通勤電車の混雑時間帯を明確に避けた出退勤(時差出退勤)の徹底、罹患又は濃厚接触者の発生に備えた「新型コロナウイルス対応基準」の設定等、万全の注意を払っておりますが、従業員への感染が拡大した際、通常営業に支障が出ることが懸念されます。この場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。
また、新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、減収にともなう営業キャッシュ・フローの低下が見込まれるものの、不要不急のコスト、設備投資を繰り延べ、収益構造を改善し、キャッシュ・フローのコントロールに努めるとともに、借入やコミットメントラインの拡大などにより、足元の必要運転資金を確保しております。今後についても、取引先金融機関から資金調達をおこなう方向で既に協議しており、さらに必要な資金を確保できる体制を整えております。しかし、新型コロナウイルス感染症の長期化により資金需要がさらに拡大した場合、当社グループの業績及び財務状況に一層影響を与える可能性があります。
さらに、与信管理については、取引先に対する賃料の減額、支払いサイトの見直しなど柔軟に対応しながら、当該リスクの対応策として取引先の財務状況の把握、債券残高の把握、与信チェックにより与信管理体制の強化に努めております。しかしながら、新型コロナウイルス感染症の長期化により、各種取引先の資金繰りの一斉悪化や、デフォルト等により、多額の代金の回収に支障を来した場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。
新型コロナウイルス感染拡大による当社グループの業績に与える影響に関しては、2020年4月7日に発出された緊急事態宣言にともない、鉄道業、バス業などにおいて外出自粛により利用客が減少したほか、一部を除きホテルやゴルフ場、レジャー施設などにおいて臨時休業をおこないました。そのため、鉄道業の運輸収入は3月の対前期比23.0%減から4月は51.0%減に、ホテル業のRevPARも3月の対前期比76.4%減から4月は94.7%減へと減少率が大きくなっており、5月についても、緊急事態宣言の延長により、引き続き大きな影響を受けました。緊急事態宣言の解除にともない、5月下旬以降は、鉄道業においては通勤や通学の再開、ホテル業においてはリゾートを中心に予約が増えており、お客さまのご利用は少しずつ増加しておりますが、状況は流動的であり、当社グループの2021年3月期の業績に与える影響を有価証券報告書提出日現在で合理的に算定することは困難であります。
(7) 経営者の問題意識と今後の方針について
当社グループは、当社設立以降、「峻別と集中」と「企業価値の極大化」をコンセプトにした「基盤整備期」、そして、2014年の東京証券取引所市場第一部上場を契機に、成長への「シフトチェンジ期」として、成長を加速してまいりました。2018~2020年度においては、これまでのバリューアップ投資の果実を収穫するとともに、将来の事業拡大に向けて財務体質の強化や新たな事業分野・領域を拡大していく期間としております。2019年度においては、「西武グループ中期経営計画(2019~2021年度)」(以下「現行計画」という。)を推進するとともに、2020年代という新たな時代を見据え、「西武グループ中期経営計画(2020~2022年度)」(以下「新中期経営計画」という。)につきましても、策定を進めておりました。
しかしながら、2020年1月下旬以降、新型コロナウイルス感染拡大により、景気は足もとで大幅に下押しされており、先行きについても厳しい状況が続くと見込まれております。事業環境が想定と大きく変わってきていることから、計画内容を再検証する必要があると考えたため、新中期経営計画の策定を見送るとともに、現行計画を取り下げることといたしました。
また、この先も本格的な回復時期が不透明な中、有価証券報告書提出日現在で業績への影響を合理的に算出することが困難であることから、2021年3月期の通期連結業績予想及び配当予想につきましては、未定としております。
当社グループは、当面はこの難局を乗り越えることに注力すべく、「2020年度における事業上の重要事項」に基づき、事業継続に万全を期してまいります。新型コロナウイルス感染症の影響は、短期間では収束せず、これを前提に事業を継続していく必要があると考えております。また、コロナ禍による人々の価値変容、行動変容は当社グループの事業にも大きな影響を与えると考えており、これに対してグループのビジネスモデルも変革させていくべく、社内で議論を積み重ねております。
こうした中、以下3点をコロナ禍における行動指針として全従業員に徹底しております。
1点目は、お客さまならびに従業員といった全ステークホルダーの安全・安心を最優先に確保すること。
2点目は、行動変容、価値変容が起こる中で、変化するニーズをお客さま目線で適時的確に把握し、スピード感をもってサービス展開をおこなうこと。
3点目は、上記を踏まえたうえで、“きれいな利益”を生み出すことを徹底的に追求すること。
この3点を従業員の行動指針とすることで、お客さま、社会に対しても「ほほえみと元気」をご提供できるよう事業運営をおこなってまいります。
Withコロナ、Afterコロナの社会に向け、当社グループが元々得意とする人の移動、モノや場所を用意するハード面の強みにプラスして、生活、時間を創り出すソフトも提供できる究極の生活応援企業へと進化することで、企業価値の極大化に向け、成長を果たしてまいります。

当連結会計年度におけるわが国経済は、雇用・所得環境の改善が続くなかで緩やかな回復基調であった一方、通商問題を巡る動向、中国経済の先行き、英国のEU離脱、中東地域を巡る情勢などの海外経済の動向や金融資本市場の変動の影響に加え、消費税率引上げ後の消費者マインドの動向が懸念されるなど不透明な状況が続きました。足もとでは、新型コロナウイルス感染症の流行が世界各国で深刻さを増すなか、景気は急速に悪化しております。また、感染症の影響が収束に向かう見通しは立っておらず、極めて厳しい状況が続くと見込まれております。
このような状況のなか、当連結会計年度においては、長期的な目標水準に向けて持続的かつ力強い成長を達成するため、3ヵ年の「西武グループ中期経営計画(2019~2021年度)」を策定し、「新たな視点でスピード感をもって、イノベーションに挑戦」と「長期的視点での成長基盤の確立」を基本方針として、「新規事業分野の創出」と「既存事業領域の強化」の2点を重点課題に取り組んでまいりました。
こうしたなか、2019年4月に大規模オフィスビル「ダイヤゲート池袋」が開業、当社をはじめとする3社が本社を移転し、所沢との2大拠点化による企業価値の向上に取り組むとともに、働き方改革や生産性向上を推進してまいりました。
また、SDGsを意識した社会課題解決に貢献すべく、持続可能な社会の実現に向けた取り組み「サステナビリティアクション」を積極的に推進してまいりました。「西武グループ環境方針」を策定し、環境負荷低減、環境保全に関する取り組みを進めるとともに、新型省エネ車両の導入及び太陽光発電所建設事業の一部の資金調達において、国内のホールセール債としては陸運業界初となる「グリーンボンド」を発行いたしました。
そのほか、埼玉西武ライオンズがパシフィック・リーグ連覇を果たしました。
2020年1月下旬以降は、新型コロナウイルス感染拡大により、当社グループにおいては、外出の自粛やイベント自粛にともなう行楽需要の低下に加え、インバウンドの減少などの影響を受けました。このような状況のなか、お客さま及び従業員への感染予防・感染拡大防止を目的に、レジャー施設の臨時休業などの営業内容の変更や従業員のテレワーク勤務など、各種対策を実施いたしました。
当連結会計年度における経営成績の概況は、2020年1月下旬以降の新型コロナウイルス感染拡大にともなう上記影響などにより、営業収益は、5,545億90百万円と前期に比べ113億49百万円の減少(前期比2.0%減)となり、営業利益は、568億23百万円と前期に比べ165億8百万円の減少(同22.5%減)となり、償却前営業利益は、1,145億35百万円と前期に比べ127億94百万円の減少(同10.0%減)となりました。
経常利益は、営業利益の減少により、487億70百万円と前期に比べ166億44百万円の減少(同25.4%減)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、減損損失の計上などにより、46億70百万円と前期に比べ407億87百万円の減少(同89.7%減)となりました。
各セグメントにおける業績は以下のとおりであります。
(単位:百万円)
| セグメントの名称 | 営業収益 | 営業利益 | 償却前営業利益 | ||||||
| 当連結会計年度 | 前期比 増減 | 前期比 増減率 (%) | 当連結会計年度 | 前期比 増減 | 前期比 増減率 (%) | 当連結会計年度 | 前期比 増減 | 前期比 増減率 (%) | |
| 都市交通・沿線事業 | 161,168 | △1,919 | △1.2 | 23,367 | △3,719 | △13.7 | 45,472 | △3,292 | △6.8 |
| ホテル・レジャー事業 | 209,153 | △10,647 | △4.8 | 8,054 | △11,687 | △59.2 | 25,434 | △10,642 | △29.5 |
| 不動産事業 | 66,340 | △3,310 | △4.8 | 18,146 | △1,949 | △9.7 | 29,924 | △495 | △1.6 |
| 建設事業 | 111,771 | 2,081 | 1.9 | 5,637 | △253 | △4.3 | 6,088 | △226 | △3.6 |
| ハワイ事業 | 22,485 | 3,396 | 17.8 | 511 | 1,888 | - | 3,293 | 2,087 | 173.1 |
| その他 | 41,547 | △384 | △0.9 | 604 | △648 | △51.8 | 4,005 | △307 | △7.1 |
| 合計 | 612,468 | △10,784 | △1.7 | 56,321 | △16,369 | △22.5 | 114,219 | △12,878 | △10.1 |
| 調整額 | △57,878 | △565 | - | 501 | △139 | △21.7 | 315 | 83 | 36.2 |
| 連結数値 | 554,590 | △11,349 | △2.0 | 56,823 | △16,508 | △22.5 | 114,535 | △12,794 | △10.0 |
(注)1 調整額については、主に連結会社間取引消去等であります。
2 償却前営業利益は、営業利益に減価償却費及びのれん償却額を加えて算定しております。
①都市交通・沿線事業
都市交通・沿線事業の内訳は鉄道業、バス業、沿線レジャー業、その他であり、それぞれの営業収益は以下のとおりであります。
(単位:百万円)
| 2019年3月期 | 2020年3月期 | 増減額 | |||
| 営業収益 | 163,088 | 161,168 | △1,919 | ||
| 鉄道業 | 106,549 | 106,488 | △60 | ||
| バス業 | 26,351 | 25,847 | △504 | ||
| 沿線レジャー業 | 22,551 | 21,590 | △960 | ||
| その他 | 7,636 | 7,242 | △393 | ||
鉄道業で、雇用情勢の堅調な推移やメットライフドームでの野球・コンサート開催、ムーミンバレーパークなど沿線施設と連携した営業施策の実施に加え、大型連休の行楽需要を着実に取り込みました。しかしながら、2020年2月以降は新型コロナウイルス感染拡大にともなう外出自粛の影響を受け、旅客輸送人員は前期比0.5%減(うち定期0.6%増、定期外2.3%減)となりました。旅客運輸収入は、特急や有料座席指定列車の増発に加え、新型特急車両「Laview」導入効果もありましたが、旅客輸送人員の減少にともない、前期比0.9%減(うち定期0.6%増、定期外2.2%減)となりました。
そのほか、横浜アリーナにおいて、積極的なイベント誘致に努めてまいりました。
都市交通・沿線事業の営業収益は、2019年10月の台風19号にともなう鉄道業の計画運休の影響に加え、西武園ゆうえんちなど沿線レジャー施設が夏季の天候不順の影響を受けたこと、さらには2020年2月以降、新型コロナウイルス感染拡大にともなう外出自粛の影響や、一部の沿線レジャー施設において営業休止などの対応をおこなったことなどにより、1,611億68百万円と前期に比べ19億19百万円の減少(同1.2%減)となりました。営業利益は、減収に加え、一般管理費の増加により、233億67百万円と前期に比べ37億19百万円の減少(同13.7%減)となり、償却前営業利益は、454億72百万円と前期に比べ32億92百万円の減少(同6.8%減)となりました。
都市交通・沿線事業の主要な会社である西武鉄道株式会社の鉄道業の運輸成績は以下のとおりであります。
(西武鉄道株式会社の鉄道業の運輸成績)
| 種別 | 単位 | 2019年3月期 | 2020年3月期 | |
| 営業日数 | 日 | 365 | 366 | |
| 営業キロ | キロ | 176.6 | 176.6 | |
| 客車走行キロ | 千キロ | 175,200 | 177,016 | |
| 輸送人員 | 定期 | 千人 | 417,162 | 419,719 |
| 定期外 | 千人 | 248,080 | 242,268 | |
| 計 | 千人 | 665,242 | 661,988 | |
| 旅客運輸収入 | 定期 | 百万円 | 45,638 | 45,912 |
| 定期外 | 百万円 | 54,895 | 53,668 | |
| 計 | 百万円 | 100,533 | 99,580 | |
| 運輸雑収 | 百万円 | 3,997 | 4,070 | |
| 収入合計 | 百万円 | 104,530 | 103,651 | |
| 一日平均収入 | 百万円 | 275 | 272 | |
| 乗車効率 | % | 40.0 | 39.4 | |
(注)1 乗車効率は 延人キロ/(客車走行キロ×平均定員)×100 により、算出しております。
2 千キロ未満、千人未満及び百万円未満を切り捨てて表示しております。
3 運輸雑収は鉄道業以外の収入を含んでおります。
②ホテル・レジャー事業
ホテル・レジャー事業の内訳はホテル業(シティ)、ホテル業(リゾート)、ゴルフ場業、その他であり、それぞれの営業収益は以下のとおりであります。
(単位:百万円)
| 2019年3月期 | 2020年3月期 | 増減額 | |||
| 営業収益 | 219,801 | 209,153 | △10,647 | ||
| ホテル業(シティ) | 128,079 | 120,015 | △8,064 | ||
| ホテル業(リゾート) | 42,185 | 40,183 | △2,002 | ||
| ゴルフ場業 | 12,783 | 12,294 | △489 | ||
| その他 | 36,751 | 36,660 | △91 | ||
(注)1 ホテル業(シティ)には主に大都市圏の中心商業地域やターミナル及びその周辺地域に立地するホテルを含んでおります。ホテル業(リゾート)には主に観光地や避暑地に立地するホテルを含んでおります。
2 以降の項目において、ホテル業(シティ)に属するホテルを「シティ」、ホテル業(リゾート)に属するホテルを「リゾート」と称する場合があります。
3 会員制ホテル事業「プリンス バケーション クラブ」はリゾートに含んでおります。
ホテル業の宿泊部門では、レベニューマネジメント(注1)を着実に実施するとともに、大型連休においては行楽需要の着実な取り込みに注力いたしました。宴会部門では、MICE(注2)が堅調に推移し、食堂部門では、都内のホテルにおける積極的な営業施策の実施などにより、堅調に推移いたしました。そのほか、会員制ホテル事業「プリンス バケーション クラブ」について、2019年7月に3施設を開業したことに加え、ホテル業全体でラグビーワールドカップ開催にともなう需要を着実に取り込みました。
(注)1 レベニューマネジメントとは、需要予測に基づき、適切な時期に適切な価格にてお客さまにサービスを提供し、利益を最大化する手法であります。
2 MICEとは、企業などの会議(Meeting)、企業などがおこなう報奨・研修旅行(インセンティブ旅行)(Incentive Travel)、国際機関・団体、学会などがおこなう国際会議(Convention)、展示会・見本市、イベント(Exhibition/Event)の頭文字であり、多くの集客交流が見込まれるビジネスイベントなどの総称であります。
そのほか、ステイウェル ホールディングス Pty Ltdにおいて、新たに開業したホテルが増収に寄与するとともに、前期に事業を取得したAB ホテルズ Ltdが運営する「The Arch London」を、2019年9月に海外で展開するラグジュアリーブランド「The Prince Akatoki」の1号店として、英国・ロンドンにおいて「The Prince Akatoki London」にリブランドオープンいたしました。
ホテル・レジャー事業の営業収益は、上記の取り組みをおこなったものの、2019年10月の台風19号などの自然災害の影響に加え、2020年1月下旬以降、新型コロナウイルス感染拡大にともないホテル業における予約キャンセルや予約ペースの鈍化、また、横浜・八景島シーパラダイスなど一部のレジャー施設における営業休止などにより、2,091億53百万円と前期に比べ106億47百万円の減少(同4.8%減)となりました。営業利益は、減収に加え、将来の成長に資する経費の増加などにより、80億54百万円と前期に比べ116億87百万円の減少(同59.2%減)となり、償却前営業利益は、254億34百万円と前期に比べ106億42百万円の減少(同29.5%減)となりました。
ホテル・レジャー事業の主要な会社である株式会社プリンスホテルのホテル業(シティ)及びホテル業(リゾート)の定量的な指標は以下のとおりであります。
(ホテル施設概要)
| 施設数 (か所) | 客室数 (室) | 宴会場数 (室) | 宴会場面積 (㎡) | |
| シティ | 15 | 10,625 | 214 | 51,076 |
| 高輪・品川エリア | 4 | 5,144 | 107 | 20,351 |
| リゾート | 31 | 6,764 | 83 | 21,824 |
| 軽井沢エリア | 3 | 712 | 11 | 3,670 |
(注)1 面積1,000㎡以上の宴会場は20室であります。
2 シティの代表例として高輪・品川エリア、リゾートの代表例として軽井沢エリアを記載しております。
3 高輪・品川エリアに含まれるホテルはザ・プリンス さくらタワー東京、グランドプリンスホテル高輪、グランドプリンスホテル新高輪、品川プリンスホテルであります。
4 軽井沢エリアに含まれるホテルはザ・プリンス 軽井沢、ザ・プリンス ヴィラ軽井沢、軽井沢プリンスホテルであります。
5 リゾートの施設数、客室数に会員制ホテル事業「プリンス バケーション クラブ」の3施設71部屋を含んでおります。
(ホテル業の営業指標)
| 2019年3月期 | 2020年3月期 | ||
| RevPAR(円) | シティ | 13,473 | 12,566 |
| 高輪・品川エリア | 13,811 | 12,474 | |
| リゾート | 10,319 | 9,757 | |
| 軽井沢エリア | 22,085 | 20,585 | |
| 宿泊部門全体 | 12,435 | 11,636 | |
| 平均販売室料(円) | シティ | 15,845 | 16,089 |
| 高輪・品川エリア | 15,397 | 15,487 | |
| リゾート | 16,439 | 16,401 | |
| 軽井沢エリア | 30,529 | 29,811 | |
| 宿泊部門全体 | 16,003 | 16,174 |
| 客室稼働率(%) | シティ | 85.0 | 78.1 |
| 高輪・品川エリア | 89.7 | 80.5 | |
| リゾート | 62.8 | 59.5 | |
| 軽井沢エリア | 72.3 | 69.1 | |
| 宿泊部門全体 | 77.7 | 71.9 |
(注)1 シティの代表例として高輪・品川エリア、リゾートの代表例として軽井沢エリアを記載しております。
2 高輪・品川エリアに含まれるホテルはザ・プリンス さくらタワー東京、グランドプリンスホテル高輪、グランドプリンスホテル新高輪、品川プリンスホテルであります。
3 軽井沢エリアに含まれるホテルはザ・プリンス 軽井沢、ザ・プリンス ヴィラ軽井沢、軽井沢プリンスホテルであります。
4 RevPARとは、Revenue Per Available Roomの略であり、宿泊に係る収入を客室総数で除したものであります。
5 ホテル業の営業指標については、工事等により営業休止中の施設・客室を含んでおりません。
6 会員制ホテル事業「プリンス バケーション クラブ」はリゾートに含んでおります。
(宿泊客の内訳)
(単位:名、%)
| 2019年3月期 | 比率 | 2020年3月期 | 比率 | |
| 宿泊客 | 5,020,309 | 100.0 | 4,649,850 | 100.0 |
| 邦人客 | 3,678,164 | 73.3 | 3,481,011 | 74.9 |
| 外国人客 | 1,342,145 | 26.7 | 1,168,839 | 25.1 |
③不動産事業
不動産事業の内訳は不動産賃貸業、その他であり、それぞれの営業収益は以下のとおりであります。
(単位:百万円)
| 2019年3月期 | 2020年3月期 | 増減額 | |||
| 営業収益 | 69,651 | 66,340 | △3,310 | ||
| 不動産賃貸業 | 46,652 | 48,528 | 1,875 | ||
| その他 | 22,998 | 17,812 | △5,185 | ||
不動産賃貸業で、2019年4月に開業したダイヤゲート池袋が増収に寄与したほか、軽井沢・プリンスショッピングプラザなどの商業施設が積極的なプロモーションや営業施策を実施したことにより、堅調に推移いたしました。
また、2019年9月に入居を開始したエミリブ東長崎を含め、賃貸住宅が高稼働を継続し、好調に推移いたしました。
そのほか、西武池袋線保谷駅にてマンションの引渡しをおこないました。
不動産事業の営業収益は、マンションの引渡し戸数の減少により、663億40百万円と前期に比べ33億10百万円の減少(同4.8%減)となりました。営業利益は、減収に加え、ダイヤゲート池袋にかかる減価償却費が増加したことにより、181億46百万円と前期に比べ19億49百万円の減少(同9.7%減)となりました。償却前営業利益は、299億24百万円と前期に比べ4億95百万円の減少(同1.6%減)となりました。
不動産事業の定量的な指標は以下のとおりであります。
(建物賃貸物件の営業状況)
| 期末貸付面積 (千㎡) | 期末空室率 (%) | |||
| 2019年3月期 | 2020年3月期 | 2019年3月期 | 2020年3月期 | |
| 商業施設 | 244 | 246 | 1.0 | 1.0 |
| オフィス・住宅 | 184 | 208 | 11.0 | 2.0 |
(注)1 土地の賃貸は含んでおりません。
2 2019年3月期の期末空室率はダイヤゲート池袋の竣工により、一時的に上昇しております。
④建設事業
建設事業の内訳は建設業、その他であり、それぞれの営業収益は以下のとおりであります。
(単位:百万円)
| 2019年3月期 | 2020年3月期 | 増減額 | |||
| 営業収益 | 109,690 | 111,771 | 2,081 | ||
| 建設業 | 81,484 | 80,252 | △1,231 | ||
| その他 | 28,206 | 31,519 | 3,313 | ||
(注)建設業には西武建設株式会社による兼業事業売上高を含んでおります。西武建設株式会社は、保有不
動産の一部を賃貸しており、当該売上高を建設業の営業収益に計上しております。
建設業で、公共工事や民間住宅工事の施工を進めたほか、厳正な受注管理や原価管理の徹底などにより利益率の改善にも努めてまいりました。
そのほか、造園請負工事や、西武建材株式会社の仕入販売が好調に推移いたしました。
これらの結果、建設事業の営業収益は、1,117億71百万円と前期に比べ20億81百万円の増加(同1.9%増)となりました。営業利益は、西武造園株式会社の前期における台風復旧関連工事の剥落などにより56億37百万円と前期に比べ2億53百万円の減少(同4.3%減)となり、償却前営業利益は、60億88百万円と前期に比べ2億26百万円の減少(同3.6%減)となりました。
建設事業の定量的な指標は以下のとおりであります。
(建設業の受注高の状況)
(単位:百万円)
| 2019年3月期 | 2020年3月期 | |||
| 期首繰越高 | 100,542 | 88,975 | ||
| 期中受注高 | 69,527 | 68,793 | ||
| 期末繰越高 | 88,975 | 77,871 | ||
⑤ハワイ事業
ハワイ事業では、2018年6月にリニューアルオープンしたウェスティン ハプナ ビーチ リゾートが増収に寄与したほか、プリンス ワイキキ、マウナ ケア ビーチ ホテルでは、積極的なプロモーション活動や営業施策が奏功し、宿泊部門と飲食部門において、堅調に推移いたしました。
これらの結果、ハワイ事業の営業収益は、224億85百万円と前期に比べ33億96百万円の増加(同17.8%増)となり、営業利益は、5億11百万円と前期に比べ18億88百万円の増加(前期は、営業損失13億77百万円)となり、償却前営業利益は、32億93百万円と前期に比べ20億87百万円の増加(同173.1%増)となりました。
ハワイ事業の定量的な指標は以下のとおりであります。
(ホテルの営業指標)
| 2019年3月期 | 2020年3月期 | |
| RevPAR (円) | 26,162 | 32,123 |
| RevPAR (米ドル) | 227.49 | 279.33 |
| 平均販売室料 (円) | 35,956 | 38,782 |
| 平均販売室料 (米ドル) | 312.66 | 337.23 |
| 客室稼働率 (%) | 72.8 | 82.8 |
(注)RevPARとは、Revenue Per Available Roomの略であり、宿泊に係る収入を客室総数で除したもの
であります。
⑥その他
西武ライオンズでは、好調なチーム成績や各種営業施策の実施により、観客動員数が前期比で増加したことや、メットライフドームにおいて積極的にコンサートを開催したことなどにより増収となりました。近江事業では、土山サービスエリアが新名神高速道路の新ルート開通もあり堅調に推移いたしました。
しかしながら、新型コロナウイルス感染拡大にともない、西武ライオンズにおけるシーズン開幕時期の延期に加え、伊豆箱根事業や近江事業において2020年2月以降外出自粛などの影響を受けたことにより、営業収益は、415億47百万円と前期に比べ3億84百万円の減少(同0.9%減)となりました。営業利益は、減収に加え、メットライフドームエリア改修計画に係る減価償却費の増加などにより、6億4百万円と前期に比べ6億48百万円の減少(同51.8%減)となり、償却前営業利益は、40億5百万円と前期に比べ3億7百万円の減少(同7.1%減)となりました。
(2) 生産、受注及び販売の実績
当社グループは役務提供を中心とした事業展開をおこなっており、生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。このため生産、受注及び販売の実績については、「(1)業績」におけるセグメントの業績に関連付けて示しております。
(3) 財政状態、経営成績の分析
文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。連結財務諸表の作成にあたっては、会計上の見積りをおこなう必要があり、特に以下の事項は、経営者の会計上の見積りの判断が財政状態及び経営成績に重要な影響を及ぼすと考えております。
(固定資産の減損処理)
当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。
減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定にあたっては、外部の情報等を含む入手可能な情報に基づき慎重に検討しておりますが、見積り額の前提とした経営環境に変化が生じ、結果として将来キャッシュ・フローが減少した場合には、減損処理が必要となる可能性があります。
(繰延税金資産の回収可能性)
当社グループは、繰延税金資産について定期的に回収可能性を検討し、当該資産の回収が不確実と考えられる部分に対して評価性引当額を計上しております。回収可能性の判断においては、将来の課税所得見込額と実行可能なタックス・プランニングを考慮して、将来の税金負担額を軽減する効果を有すると考えられる範囲で繰延税金資産を計上しております。
将来の課税所得見込額はその時の業績等により変動するため、見積り額の前提とした経営環境に変化が生じ、結果として課税所得見込額が減少した場合には、繰延税金資産の修正をおこなう可能性があります。
なお、新型コロナウイルス感染拡大による会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 追加情報 重要な会計上の見積り」に記載されているとおりであります。
② 財政状態の分析
1 資産
流動資産は、1,219億68百万円と前連結会計年度末に比べ125億44百万円減少いたしました。その主たる要因は、未成工事支出金の減少(67億38百万円)であります。
固定資産は、1兆5,858億16百万円と前連結会計年度末に比べ86億1百万円減少いたしました。その主たる要因は、投資有価証券の減少(191億4百万円)であります。
以上の結果、総資産は1兆7,077億84百万円と前連結会計年度末に比べ211億45百万円減少いたしました。
2 負債
流動負債は、3,963億36百万円と前連結会計年度末に比べ290億97百万円増加いたしました。その主たる要因は、短期借入金の増加(381億16百万円)であります。
固定負債は、9,380億20百万円と前連結会計年度末に比べ9億55百万円減少いたしました。その主たる要因は、長期借入金の減少(174億99百万円)であります。
以上の結果、負債合計は1兆3,343億56百万円と前連結会計年度末に比べ281億42百万円増加いたしました。
3 純資産
純資産は、3,734億27百万円と前連結会計年度末に比べ492億87百万円減少いたしました。その主たる要因は、自己株式の取得を実施したことなどによる自己株式の増加(160億22百万円)、退職給付に係る調整累計額の減少(139億57百万円)及びその他有価証券評価差額金の減少(135億58百万円)であります。
なお、自己資本比率は前連結会計年度末に比べ2.6ポイント低下し21.5%となっております。
③ 経営成績の分析
1 営業収益及び営業利益
営業収益は、第3四半期連結会計期間まではホテル・レジャー事業におけるRevPARの上昇、ハワイ事業の収益向上、都市交通・沿線事業において運輸収入の増加があったことなどにより増収となるも、2020年1月下旬以降の新型コロナウイルス感染拡大の影響により、5,545億90百万円(前期比2.0%減)となり、営業利益は減収による減益に加え、減価償却費や販管費が増加したことなどにより、568億23百万円(同22.5%減)となりました。
なお、各セグメントにおける業績につきましては、「(1) 業績」をご覧ください。
2 営業外損益及び経常利益
営業外収益は、前期に計上した為替差益(247百万円)が今期は為替差損(399百万円)に転じたことなどにより、33億82百万円(同2.7%減)となり、営業外費用は114億35百万円(同0.4%増)となりました。
以上の結果、経常利益は487億70百万円(同25.4%減)となりました。
3 特別損益及び親会社株主に帰属する当期純利益
特別利益は、前期に計上したポスティングに係る入札額受入益(11億12百万円)がなくなったことなどにより、19億40百万円(同30.6%減)となりました。
特別損失は、減損損失の増加(219億59百万円)などにより、319億38百万円(同307.7%増)となりました。
以上の結果、税金等調整前当期純利益は187億73百万円(同68.9%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は46億70百万円(同89.7%減)となりました。
(4) キャッシュ・フローの分析
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ17億87百万円増加し、当連結会計年度末には280億56百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益187億73百万円に、減価償却費や法人税等の支払額などを調整した結果、1,014億58百万円の資金収入となりました。前連結会計年度に比べ133億54百万円の資金収入の増加となりましたが、その主たる要因は、売上債権の増減額による収入の増加(257億37百万円)であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、966億55百万円の資金支出となり、前連結会計年度に比べ235億86百万円の資金支出の増加となりました。その主たる要因は、有形及び無形固定資産の取得による支出の増加(293億91百万円)であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、自己株式の取得による支出や配当金の支払などにより、30億25百万円の資金支出となったものの、借入金の増加などにより、前連結会計年度に比べ148億72百万円の資金支出の減少となりました。
(5) 資本の財源及び資金の流動性について
当社グループの資金調達は、金融機関からの借入や社債の発行など、市場環境や金利動向などを総合的に勘案しながら決定しており、鉄道業・ホテル業を中心とした日々の収入金により必要な流動性資金を確保するとともに、キャッシュマネジメントシステム(CMS)などによりグループ内余剰資金の有効活用に努めております。
足もとでは、新型コロナウイルス感染拡大及び2020年4月7日に発出された緊急事態宣言にともない、鉄道業、バス業などにおいて外出自粛により利用客が減少しているほか、一部の施設において臨時休業をおこなっていることから、日々の収入金が減少しております。回復時期が不透明なこの状況下においては、事態が長引くことも想定し、資金調達やキャッシュ流出抑制により、必要運転資金を確保いたします。
当連結会計年度末の手元現預金は283億円と、過年度と同水準を維持していることに加え、本年4月に主力取引金融機関から330億円の借入をおこなったほか、コミットメントラインを追加で設定し、総額600億円から総額最大1,500億円へ拡大しており、今後も必要に応じて適宜新規借入等の資金調達をおこなうことで、手元流動性の充実をはかります。
また、不要不急のコストを事態収束まで先送りするとともに、人件費などの固定費を圧縮し収益構造改善に努めることにより、キャッシュ流出を抑制しております。設備投資についても事態収束までは先送りしてまいりますが、「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画」に記載のとおり、新宿線連続立体交差事業やホームドア整備などのお客さまならびに従業員の安全・安心を確保するために必要な設備投資や、西武園ゆうえんちリニューアルやグランエミオ所沢Ⅱ期、メットライフドームエリア改修計画などの将来の成長につながる設備投資については実施をいたします。そうした中で、借入金・貸出コミットメントライン契約に関する財務制限条項抵触リスクに対しては、金融機関と適時適切な情報共有をはかりながら必要に応じて協議を進めてまいります。
株主還元につきましては、2021年3月期の連結業績予想を未定としていることから、配当予想も未定としておりますが、「第4 提出会社の状況 3 配当政策」に記載のとおり、グループ全体の経営基盤の強化や企業価値の向上をはかり、内部留保を充実させることで財務体質を強化し、安定配当をおこなうという基本方針に変更はございません。「西武グループ長期戦略」における財務戦略では、ステークホルダーへの還元と、成長に資する投資の実施を最適なバランスでおこなっていくことを方針として定めており、これらに鑑み、中長期的には、成長に資する投資を積極的に実施していくとともに、さらなる株主還元の充実をはかるべく連結配当性向を30%まで引き上げることを目標とし、利益配分に努めてまいります。
(6) 経営成績に重要な影響を与える要因について
本項目においては、当社グループ全体の事業基盤に一層影響を及ぼす可能性のある新型コロナウイルス感染症に関して、その影響等を記載いたします。
・新型コロナウイルス感染症に関する影響等 新型コロナウイルス感染症の感染拡大の防止のため、当社グループの各事業においては、一部の施設で臨時休業をしており、鉄道やバス、タクシーなど営業を継続している事業においては、消毒や換気、営業形態、営業時間の変更等、感染予防・感染拡大の防止に努めています。
しかしながら、新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、国内外の各種経済情勢への影響が長期化した場合や、海外からの観光客の減少が継続した場合、都市交通・沿線事業やホテル・レジャー事業等における一部施設の休業やお客さまの出控えの継続、及びソーシャルディスタンスを意識した営業形態への変更を余儀なくされお客さまが減少する場合、ならびに「Afterコロナ」の社会において、リモートワークの普及による通勤の減少や、オンライン上での交流の活発化による外出の減少等の価値変容が生じた場合に、営業収益の減少や対策費用が発生し、当社グループの業績及び財務状況に一層影響を与える可能性があります。
当社グループの従業員については、グループ各社の情報通信インフラの状況に応じたリモートワークを活用した在宅勤務の実施、オフィス在社人員の削減や、業務上やむを得ず出勤する場合における、通勤電車の混雑時間帯を明確に避けた出退勤(時差出退勤)の徹底、罹患又は濃厚接触者の発生に備えた「新型コロナウイルス対応基準」の設定等、万全の注意を払っておりますが、従業員への感染が拡大した際、通常営業に支障が出ることが懸念されます。この場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。
また、新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、減収にともなう営業キャッシュ・フローの低下が見込まれるものの、不要不急のコスト、設備投資を繰り延べ、収益構造を改善し、キャッシュ・フローのコントロールに努めるとともに、借入やコミットメントラインの拡大などにより、足元の必要運転資金を確保しております。今後についても、取引先金融機関から資金調達をおこなう方向で既に協議しており、さらに必要な資金を確保できる体制を整えております。しかし、新型コロナウイルス感染症の長期化により資金需要がさらに拡大した場合、当社グループの業績及び財務状況に一層影響を与える可能性があります。
さらに、与信管理については、取引先に対する賃料の減額、支払いサイトの見直しなど柔軟に対応しながら、当該リスクの対応策として取引先の財務状況の把握、債券残高の把握、与信チェックにより与信管理体制の強化に努めております。しかしながら、新型コロナウイルス感染症の長期化により、各種取引先の資金繰りの一斉悪化や、デフォルト等により、多額の代金の回収に支障を来した場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。
新型コロナウイルス感染拡大による当社グループの業績に与える影響に関しては、2020年4月7日に発出された緊急事態宣言にともない、鉄道業、バス業などにおいて外出自粛により利用客が減少したほか、一部を除きホテルやゴルフ場、レジャー施設などにおいて臨時休業をおこないました。そのため、鉄道業の運輸収入は3月の対前期比23.0%減から4月は51.0%減に、ホテル業のRevPARも3月の対前期比76.4%減から4月は94.7%減へと減少率が大きくなっており、5月についても、緊急事態宣言の延長により、引き続き大きな影響を受けました。緊急事態宣言の解除にともない、5月下旬以降は、鉄道業においては通勤や通学の再開、ホテル業においてはリゾートを中心に予約が増えており、お客さまのご利用は少しずつ増加しておりますが、状況は流動的であり、当社グループの2021年3月期の業績に与える影響を有価証券報告書提出日現在で合理的に算定することは困難であります。
(7) 経営者の問題意識と今後の方針について
当社グループは、当社設立以降、「峻別と集中」と「企業価値の極大化」をコンセプトにした「基盤整備期」、そして、2014年の東京証券取引所市場第一部上場を契機に、成長への「シフトチェンジ期」として、成長を加速してまいりました。2018~2020年度においては、これまでのバリューアップ投資の果実を収穫するとともに、将来の事業拡大に向けて財務体質の強化や新たな事業分野・領域を拡大していく期間としております。2019年度においては、「西武グループ中期経営計画(2019~2021年度)」(以下「現行計画」という。)を推進するとともに、2020年代という新たな時代を見据え、「西武グループ中期経営計画(2020~2022年度)」(以下「新中期経営計画」という。)につきましても、策定を進めておりました。
しかしながら、2020年1月下旬以降、新型コロナウイルス感染拡大により、景気は足もとで大幅に下押しされており、先行きについても厳しい状況が続くと見込まれております。事業環境が想定と大きく変わってきていることから、計画内容を再検証する必要があると考えたため、新中期経営計画の策定を見送るとともに、現行計画を取り下げることといたしました。
また、この先も本格的な回復時期が不透明な中、有価証券報告書提出日現在で業績への影響を合理的に算出することが困難であることから、2021年3月期の通期連結業績予想及び配当予想につきましては、未定としております。
当社グループは、当面はこの難局を乗り越えることに注力すべく、「2020年度における事業上の重要事項」に基づき、事業継続に万全を期してまいります。新型コロナウイルス感染症の影響は、短期間では収束せず、これを前提に事業を継続していく必要があると考えております。また、コロナ禍による人々の価値変容、行動変容は当社グループの事業にも大きな影響を与えると考えており、これに対してグループのビジネスモデルも変革させていくべく、社内で議論を積み重ねております。
こうした中、以下3点をコロナ禍における行動指針として全従業員に徹底しております。
1点目は、お客さまならびに従業員といった全ステークホルダーの安全・安心を最優先に確保すること。
2点目は、行動変容、価値変容が起こる中で、変化するニーズをお客さま目線で適時的確に把握し、スピード感をもってサービス展開をおこなうこと。
3点目は、上記を踏まえたうえで、“きれいな利益”を生み出すことを徹底的に追求すること。
この3点を従業員の行動指針とすることで、お客さま、社会に対しても「ほほえみと元気」をご提供できるよう事業運営をおこなってまいります。
Withコロナ、Afterコロナの社会に向け、当社グループが元々得意とする人の移動、モノや場所を用意するハード面の強みにプラスして、生活、時間を創り出すソフトも提供できる究極の生活応援企業へと進化することで、企業価値の極大化に向け、成長を果たしてまいります。
