有価証券報告書-第21期(2025/04/01-2026/03/31)
(1) 業績
当社グループは、前連結会計年度において、メガトレンドや昨今の経営環境の変化に対し、グループの持つ強みを生かし、社会的価値と企業価値を極大化していくため、不動産事業を核とした成長戦略からなる「西武グループ長期戦略2035」(以下、「長期戦略」)を策定いたしました。2035年のありたい姿(アウトカム)を「Resilience & Sustainability」とし、「安全・安心とともに、かけがえのない空間と時間を創造する」企業グループを目指してまいります。
当連結会計年度においては、長期戦略における「種まき期」の「西武グループ中期経営計画(2024~2026年度)」(以下、「中期経営計画」)の2ヵ年目として、株価や資本コストを重視した経営をおこない、今後とも持続的かつ健全な成長を目指していく上で、以下4点の取り組みを進めてまいりました。
<長期戦略及び中期経営計画の取り組み>
「①不動産事業を核として持続的な成長を実現」
当社グループが掲げるキャピタルリサイクルモデルの実現に向け、2025年4月に株式会社西武不動産、株式会社西武不動産投資顧問、株式会社西武不動産プロパティマネジメント、株式会社西武不動産ビルマネジメントによる4社体制を始動いたしました。キャピタルリサイクルについては、保有物件の流動化に加え、継続的な物件取得(エクイティ投資含む)や、取得物件のバリューアップを実施いたしました。また、都心エリアの再開発については、2025年12月に東京都より高輪エリア(B-1地区)に関する都市計画の変更が告示されました。これに基づき、株式会社西武不動産は関係各所と調整をおこないながら、開発計画の具体化を進めてまいりました。
株式会社西武不動産投資顧問においては、当連結会計年度にキャピタルリサイクル推進の要となる総合不動産投資顧問業・投資運用業のライセンスを取得いたしました。また、不動産事業の強化を目的として、株式会社西武不動産において2026年3月に株式会社イーグランドに対する公開買付けを公表いたしました。なお、有価証券報告書提出日現在、当該公開買付けは完了しております。
なお、当連結会計年度より、不動産事業を核とした当社グループの成長戦略の進捗を示すべく、賃貸等不動産の含み益に加え、今後再開発が予定されているエリアの含み益を加算して算出する修正PBR②※1を開示いたしました。
さらには、事業ポートフォリオを最適化するため、2024年度より導入している西武ROIC※2を判断材料として、資本効率性の向上を図ってまいります。
※1 修正PBR②の計算に使用する1株当たり純資産は、各期末の自己資本に各期末時点
での賃貸等不動産の含み益(税引後)、高輪エリア、芝公園エリア(東京プリンスホテ
ル)、品川エリア、軽井沢エリアの含み益(税引後)を加算して算出しております。
含み益は各期末時点での現況から判断された不動産鑑定評価に基づいております。
※2 営業利益×0.7/(有形無形固定資産*+販売用不動産) により、算出しております。
*負担金工事の前受金分(固定資産を圧縮する金額)を控除しております。
「②インバウンド需要の取り込み、値上げの継続、国内外250ホテル体制の構築(MC拡大)に
よるホテル・レジャー事業の収益性向上」
国内ホテル業では、インバウンド個人や邦人客の取り込みなどによるRevPAR※3成長に加え、お客さまへの新たな体験価値を創出するため、軽井沢プリンスホテルのイースト・ウエストエリアにおけるコテージの改装(約290億円)や、品川プリンスホテルのメインタワー・アネックスタワーへのバリューアップ投資(約220億円)など、主要なホテルを中心に戦略的な設備投資を進めております。海外ホテル業では、2026年春のリニューアル完了を目指し、マウナ ケア ビーチ ホテルの改装工事を実施してまいりました。
また、250ホテル体制構築に向け、2025年9月に株式会社西武・プリンスホテルズワールドワイドは、アメリカ発のライフスタイルホテルブランド「エースホテル」を運営するAce Group International LLC及び同社の子会社等の全株式を取得し、子会社化いたしました。さらに、基幹ブランドであるプリンスホテルとして、ベトナム初出店となる「Prince Hotel Da Nang」を2025年10月1日に、福岡市内初出店となる「福岡プリンスホテル ももち浜」を2026年3月17日に開業いたしました。
※3 Revenue Per Available Roomの略であり、宿泊に係る収入を客室総数で除したもので
あります。
「③企業価値向上につながる成長投資を優先しつつ、株主還元の安定性および継続的な強化を
図る」
DOE2.0%を下限とする累進配当を導入しており、安定的な配当とあわせ、収益向上を通じた増配を実現していくことを配当方針としております。当事業年度の年間配当金につきましては、上記配当方針のもと、足元の業績を勘案のうえ、期末配当を2円増配し、1株当たり42円(中間配当金20円、期末配当金22円)といたしました。
また、自己株式取得につきましては、バランスシートの状況を踏まえ、機動的に実施することとしており、2024年12月13日より実施していた700億円の自己株式取得については、2025年12月12日に終了し、2026年1月22日に取得した株式をすべて消却いたしました。(取得・消却した株式の総数:17,687,400株)
「④長期戦略・中期経営計画を実行するための基盤となるコーポレート・ガバナンスを強化」
取締役会と経営会議の実効性の向上を図るべく、それぞれの役割を再定義し、運用の見直しや深化などコーポレートガバナンス・コード改訂を見据え、経営基盤の高度化を進めてまいりました。加えて、政策保有株式に関する当社方針に則り、保有意義について定性的観点および定量的観点から合理性を検証し、4銘柄について売却(うち2銘柄は全量売却)いたしました。
当連結会計年度における経営成績の概況は、保有物件の流動化や国内ホテル業におけるインバウンド需要の取り込み、鉄道業における需要の増加などがあるものの、東京ガーデンテラス紀尾井町の流動化を実行した反動などにより、営業収益は、5,132億86百万円と前期に比べ3,878億45百万円の減少(前期比43.0%減)となりました。営業利益は、減収に加え、賃上げを含む人件費や設備投資の増加にともなう減価償却費等の各種費用の増加などにより、455億22百万円と前期に比べ2,472億12百万円の減少(同84.4%減)となり、償却前営業利益は、1,028億65百万円と前期に比べ2,442億60百万円の減少(同70.4%減)となりました。
経常利益は、458億21百万円と前期に比べ2,418億18百万円の減少(同84.1%減)となり、親会社株主に帰属する当期純利益は、388億57百万円と前期に比べ2,193億25百万円の減少(同84.9%減)となりました。
各セグメントにおける業績は以下のとおりであります。
(単位:百万円)
(注)1 調整額については、主に連結会社間取引消去等であります。
2 償却前営業利益は、営業利益に減価償却費及びのれん償却額を加えて算定しております。
①不動産事業
不動産事業の内訳は開発・賃貸業、投資運用業、マネジメント業、その他であり、それぞれの営業収益は以下のとおりであります。
(単位:百万円)
開発・賃貸業では、キャピタルリサイクルの推進に向け、新規物件を13件取得したほか、不動産エクイティ投資を6件実施いたしました。新規取得物件につきましては、バリューアップを実施することにより、物件価値向上を図ってまいりました。
投資運用業では、保有物件の流動化をおこないました。
マネジメント業では、アセットマネジメント、プロパティマネジメント及びビルマネジメントをおこなっており、各機能の専門性を強化してまいりました。
不動産事業の営業収益は、保有物件の流動化があるものの、2025年2月28日に実施した東京ガーデンテラス紀尾井町の流動化の反動により、839億98百万円と前期に比べ3,966億9百万円の減少(同82.5%減)となりました。営業利益は、減収により、123億95百万円と前期に比べ2,252億22百万円の減少(同94.8%減)となり、償却前営業利益は、206億47百万円と前期に比べ2,274億70百万円の減少(同91.7%減)となりました。
不動産事業の定量的な指標は以下のとおりであります。
(建物賃貸物件の営業状況)
(注)1 土地の賃貸は含んでおりません。
2 当連結会計年度の期末空室率(オフィス・住宅)の増加については、新築物件の取得により一時的に
上昇しているものです。
②ホテル・レジャー事業
ホテル・レジャー事業の内訳は国内ホテル業(保有・リース)、国内ホテル業(MC・FC)、海外ホテル業(保有・リース)、海外ホテル業(MC・FC)、スポーツ業(保有・リース)、スポーツ業(MC・FC)、その他であり、それぞれの営業収益は以下のとおりであります。
(単位:百万円)
国内ホテル業では、会員プログラムの顧客データを活用したお客さまへのサービスの向上、レベニューマネジメント強化による収益性の向上に取り組んでまいりました。また、お客さまへのさらなる体験価値を創出するため、ザ・プリンス パークタワー東京やザ・プリンス 軽井沢において、客室やクラブラウンジ等を改装いたしました。
海外ホテル業では、2025年9月に株式会社西武・プリンスホテルズワールドワイドにおいて、アメリカ発のライフスタイルホテルブランド「エースホテル」を運営するAce Group International LLC及び同社の子会社等の全株式を取得し、子会社化いたしました。また、2026年春のリニューアル完了を目指し、マウナ ケア ビーチ ホテルの改装工事を実施してまいりました。
ホテル・レジャー事業の営業収益は、海外ホテル業におけるマウナ ケア ビーチ ホテルの改装工事にともなう影響や、一部アジア地域からの国内ホテル利用控えがあったものの、国内ホテル業におけるインバウンド個人や邦人客の取り込みにより、2,504億81百万円と前期に比べ92億22百万円の増加(同3.8%増)となりました。営業利益は、賃上げを含む人件費等の各種費用の増加などがあったものの、増収により、226億58百万円と前期に比べ40億18百万円の増加(同21.6%増)となり、償却前営業利益は、403億7百万円と前期に比べ65億98百万円の増加(同19.6%増)となりました。
ホテル・レジャー事業の国内ホテル業(保有・リース)、国内ホテル業(MC・FC)、海外ホテル業(保有・リース)、海外ホテル業(MC・FC)の定量的な指標は以下のとおりであります。
(国内ホテル業の運営形態別施設概要)
(国内ホテル業のエリア別施設概要)
(注)1 面積1,000㎡以上の宴会場は21室であります。
2 首都圏・中日本の代表例として高輪・品川エリア、東日本の代表例として軽井沢エリアを記載しております。
3 高輪・品川エリアに含まれるホテルはザ・プリンス さくらタワー東京、グランドプリンスホテル高輪、グランドプリンスホテル新高輪、品川プリンスホテルであります。
4 軽井沢エリアに含まれるホテルはザ・プリンス 軽井沢、ザ・プリンス ヴィラ軽井沢、軽井沢プリンスホテルであります。
(海外ホテル業の施設概要)
(注)1 海外ホテル業(保有・リース)の代表例としてハワイエリア、ラグジュアリーブランドであるThe Prince Akatokiを記載しております。
2 ハワイエリアに含まれるホテルはプリンス ワイキキ、マウナ ケア ビーチ ホテル、ウェスティン ハプナ ビーチ リゾートの3ホテルであります。
(国内ホテル業の運営形態別営業指標)
(国内ホテル業のエリア別営業指標)
(注)1 首都圏・中日本の代表例として高輪・品川エリア、東日本の代表例として軽井沢エリアを記載しております。
2 高輪・品川エリアに含まれるホテルはザ・プリンス さくらタワー東京、グランドプリンスホテル高輪、グランドプリンスホテル新高輪、品川プリンスホテルであります。
3 軽井沢エリアに含まれるホテルはザ・プリンス 軽井沢、ザ・プリンス ヴィラ軽井沢、軽井沢プリンスホテルであります。
(海外ホテル業の営業指標)
・ハワイエリアの営業指標
・The Prince Akatoki Londonの営業指標
(注)1 海外ホテル業の代表例としてハワイエリア、ラグジュアリーブランドであるThe Prince Akatokiのうち、直営のThe Prince Akatoki Londonを記載しております。
2 ハワイエリアに含まれるホテルはプリンス ワイキキ、マウナ ケア ビーチ ホテル、ウェスティン ハプナ ビーチ リゾートの3ホテルであります。
(国内ホテル業における宿泊客の内訳)
(単位:名、%)
③都市交通・沿線事業
都市交通・沿線事業の内訳は鉄道業、バス業、沿線生活サービス業、スポーツ業、その他であり、それぞれの営業収益は以下のとおりであります。
(単位:百万円)
鉄道業では、永続的に鉄道事業を運営し、お客さまへ良質かつ快適なサービスを提供するため、2026年3月に鉄道旅客運賃を改定し、あわせて小児IC運賃については均一化も実施いたしました。お客さまの利便性向上や踏切による交通渋滞の解消、鉄道により分断されているまちの一体化に向けた取り組みとして、2025年6月29日に東村山駅付近の新宿線下り線を高架化いたしました。また、山口線(レオライナー)での新型車両「L00系」や、環境負荷の少ない他社からの譲受車両「サステナ車両※」を導入いたしました。さらに、デジタル技術活用による駅・運転業務や施設メンテナンスの効率化に加え、クレジットカードやスマートフォン等で利用可能なタッチ決済による乗車サービスの拡大など、お客さまサービスの高度化を図りました。そのほか、西武鉄道株式会社は横瀬町と「まちづくりに関する包括連携協定」、清瀬市と「地域活性化包括連携協定」を締結するなど、沿線自治体・地域との連携を深める施策にも取り組みました。
バス業では、路線バス事業にて、運転士不足の影響が続く一方、輸送力を適正化するとともに、堅調に回復する移動需要を着実に取り込むなど、効率的な事業運営に努めました。また、都区内エリアにおいては、2025年6月に運賃改定を実施し、多摩・埼玉エリアにおきましても2026年7月に運賃改定の実施を予定しております。貸切バス事業についても、契約単価のさらなる底上げを図りました。
※ 他社から譲受したVVVFインバータ制御車両を西武鉄道株式会社独自の呼称として定義
したものであります。
都市交通・沿線事業の営業収益は、エミテラス所沢の開業影響など、外出需要の増加により、1,567億46百万円と前期に比べ40億79百万円の増加(同2.7%増)となりました。営業利益は、鉄道業の設備投資の増加にともなう減価償却費や、人件費等の各種費用の増加などにより、95億46百万円と前期に比べ17億68百万円の減少(同15.6%減)となり、償却前営業利益は、344億94百万円と前期に比べ5億31百万円の増加(同1.6%増)となりました。
都市交通・沿線事業の主要な会社である西武鉄道株式会社の鉄道業の運輸成績は以下のとおりであります。
(西武鉄道株式会社の鉄道業の運輸成績)
(注)1 乗車効率は 延人キロ/(客車走行キロ×平均定員)×100 により、算出しております。
2 千キロ未満、千人未満及び百万円未満を切り捨てて表示しております。
3 運輸雑収は鉄道業以外の収入を含んでおります。
④その他
スポーツ事業では、プロ野球球団である埼玉西武ライオンズの試合開催時における快適な観戦環境の提供に向けた暑さ対策やキャッシュレス化を進めたほか、ベルーナドームを活用したイベントを開催するなど、魅力あるスポーツ・エンターテインメント体験を提供してまいりました。
伊豆箱根事業及び近江事業においては、地域社会・経済の発展に寄与すべく、「地域の足」の維持と「地域付加価値」の最大化を軸に、多様なステークホルダーとの連携を図ってまいりました。
伊豆箱根事業では、乗合バス・タクシー事業にて観光需要を確実に取り込んだほか、一部路線・エリアにおいて運賃改定を実施いたしました。また、伊豆・三津シーパラダイスではさらなるお客さま満足度の向上のため、体験コーナーをはじめとした一部施設のリニューアルを実施いたしました。
近江事業では、乗合バス・タクシー事業にて運賃改定を実施いたしました。また、2025年秋に滋賀県で開催された「わたSHIGA輝く国スポ・障スポ」において、バス・タクシーによる選手・関係者輸送など、大会運営を支える輸送を安定的に提供するとともに、需要を取り込みました。
新規事業では、株式会社ブルーインキュベーションを通じて複数のスタートアップ企業に対する投資を実行し、2025年6月には西武グループが所有する北海道富良野市内の土地において、軽井沢蒸留酒製造株式会社による世界有数のウイスキー蒸留所「富良詩(ふらりす)蒸留所」の建設を決定いたしました。
営業収益は、2024年12月25日に実施した奥ジャパン株式会社の完全子会社化や、埼玉西武ライオンズにおける観客動員数の増加などにより、546億66百万円と前期に比べ33億69百万円の増加(同6.6%増)となりました。営業利益は、賃上げを含む人件費等の各種費用の増加などにより、16億48百万円と前期に比べ4億16百万円の減少(同20.2%減)となり、償却前営業利益は、64億89百万円と前期に比べ1億36百万円の減少(同2.1%減)となりました。
(2) 生産、受注及び販売の実績
当社グループは役務提供を中心とした事業展開をおこなっており、生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。このため生産、受注及び販売の実績については、「(1)業績」におけるセグメントの業績に関連付けて示しております。
(3) 財政状態、経営成績の分析
文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 重要な会計上の見積り」に記載されているとおりであります。
② 財政状態の分析
1 資産
流動資産は、1,537億35百万円と前連結会計年度末に比べ2,060億80百万円減少いたしました。その主たる要因は、現金及び預金の減少(1,691億50百万円)であります。
固定資産は、1兆5,769億19百万円と前連結会計年度末に比べ1,026億15百万円増加いたしました。その主たる要因は、有形固定資産及び無形固定資産の増加(459億27百万円)及び投資有価証券の増加(357億69百万円)であります。
以上の結果、総資産は1兆7,306億54百万円と前連結会計年度末に比べ1,034億65百万円減少いたしました。
2 負債
流動負債は、3,631億37百万円と前連結会計年度末に比べ669億42百万円減少いたしました。その主たる要因は、未払法人税等の減少(820億47百万円)であります。
固定負債は、7,929億79百万円と前連結会計年度末に比べ439億32百万円減少いたしました。その主たる要因は、長期借入金の減少(538億43百万円)であります。
以上の結果、負債合計は1兆1,561億17百万円と前連結会計年度末に比べ1,108億74百万円減少いたしました。
3 純資産
純資産は、5,745億37百万円と前連結会計年度末に比べ74億8百万円増加いたしました。その主たる要因は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上(388億57百万円)、その他有価証券評価差額金の増加(202億38百万円)及び自己株式の取得及び消却による資本剰余金の減少(688億86百万円)であります。
なお、自己資本比率は前連結会計年度末に比べ2.2ポイント上昇し32.9%となっております。
③ 経営成績の分析
1 営業収益及び営業利益
営業収益は、レジデンスの流動化や、インバウンド需要の取り込みなどにより増収になったものの、前期に東京ガーデンテラス紀尾井町の流動化を実施したことにより、5,132億86百万円(前期比43.0%減)となり、営業利益は減収による減益により、455億22百万円(同84.4%減)となりました。
なお、各セグメントにおける業績につきましては、「(1) 業績」をご覧ください。
2 営業外損益及び経常利益
営業外収益は、為替差益(35億8百万円)の計上などにより、85億7百万円(同98.9%増)となり、営業外費用は、82億8百万円(同12.4%減)となりました。
以上の結果、経常利益は458億21百万円(同84.1%減)となりました。
3 特別損益及び親会社株主に帰属する当期純利益
特別利益は、工事負担金等受入額の増加(559億3百万円)があったものの、前期に計上した負ののれん発生益(540億96百万円)がなくなったことなどにより、681億5百万円(同10.3%減)となりました。
特別損失は、工事負担金等圧縮額の増加(559億2百万円)などにより、685億48百万円(同398.0%増)となりました。
以上の結果、税金等調整前当期純利益は453億78百万円(同87.0%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は388億57百万円(同84.9%減)となりました。
(4) キャッシュ・フローの分析
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ2,208億46百万円減少し、当連結会計年度末には561億7百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益453億78百万円に、減価償却費や棚卸資産の増減額、法人税等の支払額などを調整した結果、15億28百万円の資金収入となり、前連結会計年度に比べ4,728億49百万円の資金収入の減少となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、1,457億57百万円の資金支出となり、前連結会計年度に比べ520億65百万円の資金支出の増加となりました。その主たる要因は、有形及び無形固定資産の取得による支出の増加であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、767億33百万円の資金支出となり、前連結会計年度に比べ596億61百万円の資金支出の減少となりました。その主たる要因は、借入金の返済の減少であります。
(5) 資本の財源及び資金の流動性について
(キャピタルリサイクルの実施)
当社グループは、「不動産事業を核として持続的な成長」を実現するため、資本効率性を追求し、保有とキャピタルリサイクルの両輪で成長させるビジネスモデルを展開しております。当連結会計年度においても、引き続き保有物件の流動化を実施いたしました。今後は、外部環境の変化を踏まえ、厳格な投資規律のもと、各開発案件の価値最大化を追求するとともに、私募REIT(西武ファンド)を活用したキャピタルリサイクルを基盤とする不動産戦略を軸に、聖域なき流動化の検討、継続的なキャピタルリサイクルを実施してまいります。そして、得られた資金を成長投資へ再配分することで、保有資産の収益力向上とNAV成長を実現し、不動産価値の最大化をはかってまいります。
(資金調達〈キャッシュイン〉)
当社グループでは、鉄道業及びホテル業を中心とした日々の事業活動によって営業キャッシュ・フローを安定的に確保し、必要な資金に充当しております。
不動産事業での取得物件に対するバリューアップ、既存物件の賃料引き上げや最有効活用の検討、ホテル・レジャー事業でのMC(マネジメントコントラクト)を中心とした国内外250ホテル体制の実現に向けたネットワークの拡大や主要ホテルを中心とした設備投資による収益力の向上、都市交通・沿線事業での鉄道旅客運賃改定の実施及び戦略的な設備投資により、営業キャッシュ・フローの最大化に努めております。
さらに、上記に加えて、2027年度中に組成を予定している総合型の私募REITを活用し、品川プリンスホテルの底地の一部流動化をはじめとする継続的なキャピタルリサイクルを実施することで、キャッシュインの増加をはかってまいります。
不足する資金については、金融機関からの借入や社債の発行など、市場環境や金利動向を総合的に勘案し、最適な資金調達手段を選択しております。加えて、固定資産の比率が高い事業特性を踏まえ、長期負債を中心とした資金調達をおこなうとともに、年度ごとの返済額平準化を進めております。あわせて、調達手段の多様化や適正な借入水準の維持による財務健全性の確保に努め、外部格付の維持・向上にも取り組んでおります。
(資金使途〈キャッシュアウト〉)
当社グループでは、「成長投資を優先しつつ、株主還元も拡充させていく」方針のもと、資金使途を決定しております。
当連結会計年度は、総額1,507億30百万円の設備投資を実施いたしました。不動産事業では、キャピタルリサイクルの推進に向け、引き続き物件取得やバリューアップ投資などを進めてまいりました。ホテル・レジャー事業では、マウナ ケア ビーチ ホテルの改装工事を実施したほか、品川プリンスホテルや軽井沢プリンスホテル コテージなどの主要ホテルを中心に設備投資を決定・着手しております。あわせて、国内外250ホテル体制の実現に向け、株式会社西武・プリンスホテルズワールドワイドは、アメリカ発のライフスタイルホテルブランド「エースホテル」を運営するAce Group International LLC及び同社の子会社等の全株式を取得し、子会社化いたしました。都市交通・沿線事業では、安全・安心のさらなる追求と沿線価値向上のための設備投資などに資金を充当しております。加えて、当社グループ各事業において、職場環境の改善や、従業員の満足度向上を企図した設備投資を実施してまいりました。
当事業年度の配当金につきましては、「第4 提出会社の状況 3 配当政策」に記載のとおり、足元の業績を勘案のうえ、期末配当を2円増配し、1株当たりの普通配当を42円としております。また、2025年12月12日に700億円の自己株式取得が終了し、2026年1月22日に取得した株式すべての消却を実施いたしました。2027年3月期の配当予想についても、1株当たり年間配当金42円としており、長期戦略で定めた株主還元方針に則り、DOE2.0%を下限とする累進配当を実現し、安定的な配当とあわせ、収益向上を通じた増配を目指してまいります。自己株式の取得については、「足元の株価水準」・「当社が認識する1株当たりNAVの目線」・「今後の成長投資の状況」・「バランスシート影響(外部格付への影響等)」などを考慮し、機動的に実施してまいります。
また、今後の成長投資については、外部環境の変化を踏まえ、厳格な投資規律のもと、価値最大化を追求してまいります。引き続き、保有資産の収益力向上とNAV成長を実現し、持続的な企業価値向上をはかってまいります。
(資金の流動性)
鉄道業・ホテル業を中心とした日々の収入金により必要な流動性資金を確保するとともに、キャッシュマネジメントシステムなどによりグループ内余剰資金の有効活用に努めております。
(6) 経営者の問題意識と今後の方針について
地盤を有する都市交通・沿線事業という、我が国において唯一無二の事業ポートフォリオを擁しております。こうした強みを最大限に発揮することは、単なるグループの利益追求にとどまらず、地域経済ひいては、日本社会そのものの持続的発展に寄与することに他なりません。この大きな使命感を胸に、経営の舵を取ってまいります。
翌連結会計年度は、長期戦略にて「種まき期」と位置付けた中期経営計画(2024~2026年度)の最終年度であります。「種まき期」とは、将来の飛躍に向けた構造的変革と戦略的投資を断行し、「不動産を核とした持続的な成長」を実現するための経営基盤を確立する時期であり、「育成期」と位置付ける次期中期経営計画(2027~2029年度)期間以降にさらなる飛躍を果たす上での重要な局面を迎えております。攻めと守り双方の施策を完遂することで、2035年に向けた成長軌道を確固たるものとしてまいります。
経営の最大のテーマは、不動産価値の最大化によるNAV成長の実現であり、持続的な企業価値・株主価値の向上を図ることであります。また、資本コストを意識しながら、「恒常的なROE8%を達成するとともに、2035年度に10%を目指す。」という長期戦略で掲げた財務KPI達成にも取り組んでまいります。
翌連結会計年度は、不動産事業においては、保有とキャピタルリサイクルの両輪による持続的成長モデルを一層加速させる段階にあります。西武グループが保有する物件の資本効率性を検証するとともに、その結果に応じた戦略を果断に断行し、流動化した場合にはそこから得た資金を都心エリア、西武鉄道沿線の再開発、リゾート開発などへ再投資することで、NAV成長を実現してまいります。また、都心の大規模再開発については、外部環境の変化を踏まえ、厳格な投資規律のもとで価値最大化を追求するとともに、2027年度中に総合型の私募REITを組成することで、キャピタルリサイクルを加速させてまいります。また、M&A・アライアンスの戦略的活用により、総合不動産業としての事業領域を非連続的に拡大し、さらなる成長を追求してまいります。不動産事業は、当社グループの成長エンジンであると同時に、都市と地域の未来を形づくる事業であるという誇りと責任を持って、取り組んでまいります。
ホテル・レジャー事業においては、「日本をオリジンとしたグローバルホテルチェーン」の確立という高い志のもと、パフォーマンスの向上とネットワークの拡大を両輪として推進してまいります。記憶に残る体験を提供し、ロイヤル顧客を醸成することで、ブランドの求心力を高めてまいります。また、国内外への出店を積極的に拡大しながら、西武グループならではのホスピタリティと体験価値を世界に発信してまいります。訪日外国人の増加が続く今日、我が国の観光立国としての競争力を高める一翼を担う存在として、その責任を果たしてまいります。
都市交通・沿線事業においては、安全・安心を事業の根幹としながら、「住みたい沿線」「訪れたい沿線」の実現を追求してまいります。特に、鉄道業・バス業は、地域社会のライフラインであると同時に、西武グループの重要な事業基盤です。この事業を永続的に力強く運営し続けることが、我々の社会的責任の核心と認識しております。
人財戦略については、いかなる戦略も、それを担う人なくしては実現しないという信念を持っております。西武グループの最大の資産は人であります。社員一人ひとりの成長と働きがいを支える環境の整備に真剣に向き合い、「はたらく人を、ほほえむ人へ。」を実現してまいります。高い志を持ちプロフェッショナルとして活躍できる人財を育み、組織全体の総合力を高めることが、長期戦略を実現するための根幹をなす力になると確信しております。
株主還元につきましては、企業価値向上につながる成長投資を優先しつつも、DOE2.0%を下限とする累進配当を基本とし、安定的な配当と収益向上を通じた増配を目指しております。今後も、資本効率性の向上により、株主還元の強化をはかってまいります。
「でかける人を、ほほえむ人へ。」のグループビジョンに基づき、お客さま・地域社会・そして日本の未来とともに歩む企業グループとして、長期戦略にて掲げた「Resilience & Sustainability - 安全・安心とともに、かけがえのない空間と時間を創造する -」というアウトカムの実現に向け、グループ総力を挙げて邁進してまいります。長期戦略の確実な実現を通じて、トータルステークホルダーサティスファクションの向上を、必ずや成し遂げてまいります。

当社グループは、前連結会計年度において、メガトレンドや昨今の経営環境の変化に対し、グループの持つ強みを生かし、社会的価値と企業価値を極大化していくため、不動産事業を核とした成長戦略からなる「西武グループ長期戦略2035」(以下、「長期戦略」)を策定いたしました。2035年のありたい姿(アウトカム)を「Resilience & Sustainability」とし、「安全・安心とともに、かけがえのない空間と時間を創造する」企業グループを目指してまいります。
当連結会計年度においては、長期戦略における「種まき期」の「西武グループ中期経営計画(2024~2026年度)」(以下、「中期経営計画」)の2ヵ年目として、株価や資本コストを重視した経営をおこない、今後とも持続的かつ健全な成長を目指していく上で、以下4点の取り組みを進めてまいりました。
<長期戦略及び中期経営計画の取り組み>

「①不動産事業を核として持続的な成長を実現」
当社グループが掲げるキャピタルリサイクルモデルの実現に向け、2025年4月に株式会社西武不動産、株式会社西武不動産投資顧問、株式会社西武不動産プロパティマネジメント、株式会社西武不動産ビルマネジメントによる4社体制を始動いたしました。キャピタルリサイクルについては、保有物件の流動化に加え、継続的な物件取得(エクイティ投資含む)や、取得物件のバリューアップを実施いたしました。また、都心エリアの再開発については、2025年12月に東京都より高輪エリア(B-1地区)に関する都市計画の変更が告示されました。これに基づき、株式会社西武不動産は関係各所と調整をおこないながら、開発計画の具体化を進めてまいりました。
株式会社西武不動産投資顧問においては、当連結会計年度にキャピタルリサイクル推進の要となる総合不動産投資顧問業・投資運用業のライセンスを取得いたしました。また、不動産事業の強化を目的として、株式会社西武不動産において2026年3月に株式会社イーグランドに対する公開買付けを公表いたしました。なお、有価証券報告書提出日現在、当該公開買付けは完了しております。
なお、当連結会計年度より、不動産事業を核とした当社グループの成長戦略の進捗を示すべく、賃貸等不動産の含み益に加え、今後再開発が予定されているエリアの含み益を加算して算出する修正PBR②※1を開示いたしました。
さらには、事業ポートフォリオを最適化するため、2024年度より導入している西武ROIC※2を判断材料として、資本効率性の向上を図ってまいります。
※1 修正PBR②の計算に使用する1株当たり純資産は、各期末の自己資本に各期末時点
での賃貸等不動産の含み益(税引後)、高輪エリア、芝公園エリア(東京プリンスホテ
ル)、品川エリア、軽井沢エリアの含み益(税引後)を加算して算出しております。
含み益は各期末時点での現況から判断された不動産鑑定評価に基づいております。
※2 営業利益×0.7/(有形無形固定資産*+販売用不動産) により、算出しております。
*負担金工事の前受金分(固定資産を圧縮する金額)を控除しております。
「②インバウンド需要の取り込み、値上げの継続、国内外250ホテル体制の構築(MC拡大)に
よるホテル・レジャー事業の収益性向上」
国内ホテル業では、インバウンド個人や邦人客の取り込みなどによるRevPAR※3成長に加え、お客さまへの新たな体験価値を創出するため、軽井沢プリンスホテルのイースト・ウエストエリアにおけるコテージの改装(約290億円)や、品川プリンスホテルのメインタワー・アネックスタワーへのバリューアップ投資(約220億円)など、主要なホテルを中心に戦略的な設備投資を進めております。海外ホテル業では、2026年春のリニューアル完了を目指し、マウナ ケア ビーチ ホテルの改装工事を実施してまいりました。
また、250ホテル体制構築に向け、2025年9月に株式会社西武・プリンスホテルズワールドワイドは、アメリカ発のライフスタイルホテルブランド「エースホテル」を運営するAce Group International LLC及び同社の子会社等の全株式を取得し、子会社化いたしました。さらに、基幹ブランドであるプリンスホテルとして、ベトナム初出店となる「Prince Hotel Da Nang」を2025年10月1日に、福岡市内初出店となる「福岡プリンスホテル ももち浜」を2026年3月17日に開業いたしました。
※3 Revenue Per Available Roomの略であり、宿泊に係る収入を客室総数で除したもので
あります。
「③企業価値向上につながる成長投資を優先しつつ、株主還元の安定性および継続的な強化を
図る」
DOE2.0%を下限とする累進配当を導入しており、安定的な配当とあわせ、収益向上を通じた増配を実現していくことを配当方針としております。当事業年度の年間配当金につきましては、上記配当方針のもと、足元の業績を勘案のうえ、期末配当を2円増配し、1株当たり42円(中間配当金20円、期末配当金22円)といたしました。
また、自己株式取得につきましては、バランスシートの状況を踏まえ、機動的に実施することとしており、2024年12月13日より実施していた700億円の自己株式取得については、2025年12月12日に終了し、2026年1月22日に取得した株式をすべて消却いたしました。(取得・消却した株式の総数:17,687,400株)
「④長期戦略・中期経営計画を実行するための基盤となるコーポレート・ガバナンスを強化」
取締役会と経営会議の実効性の向上を図るべく、それぞれの役割を再定義し、運用の見直しや深化などコーポレートガバナンス・コード改訂を見据え、経営基盤の高度化を進めてまいりました。加えて、政策保有株式に関する当社方針に則り、保有意義について定性的観点および定量的観点から合理性を検証し、4銘柄について売却(うち2銘柄は全量売却)いたしました。
当連結会計年度における経営成績の概況は、保有物件の流動化や国内ホテル業におけるインバウンド需要の取り込み、鉄道業における需要の増加などがあるものの、東京ガーデンテラス紀尾井町の流動化を実行した反動などにより、営業収益は、5,132億86百万円と前期に比べ3,878億45百万円の減少(前期比43.0%減)となりました。営業利益は、減収に加え、賃上げを含む人件費や設備投資の増加にともなう減価償却費等の各種費用の増加などにより、455億22百万円と前期に比べ2,472億12百万円の減少(同84.4%減)となり、償却前営業利益は、1,028億65百万円と前期に比べ2,442億60百万円の減少(同70.4%減)となりました。
経常利益は、458億21百万円と前期に比べ2,418億18百万円の減少(同84.1%減)となり、親会社株主に帰属する当期純利益は、388億57百万円と前期に比べ2,193億25百万円の減少(同84.9%減)となりました。
各セグメントにおける業績は以下のとおりであります。
(単位:百万円)
| 営業収益 | 営業利益 | 償却前営業利益 | |||||||
| セグメントの名称 | 当連結 会計年度 | 前期比 増減 | 前期比 増減率 (%) | 当連結 会計年度 | 前期比 増減 | 前期比 増減率 (%) | 当連結 会計年度 | 前期比 増減 | 前期比 増減率 (%) |
| 不動産事業 | 83,998 | △396,609 | △82.5 | 12,395 | △225,222 | △94.8 | 20,647 | △227,470 | △91.7 |
| ホテル・レジャー事業 | 250,481 | 9,222 | 3.8 | 22,658 | 4,018 | 21.6 | 40,307 | 6,598 | 19.6 |
| 都市交通・沿線事業 | 156,746 | 4,079 | 2.7 | 9,546 | △1,768 | △15.6 | 34,494 | 531 | 1.6 |
| その他 | 54,666 | 3,369 | 6.6 | 1,648 | △416 | △20.2 | 6,489 | △136 | △2.1 |
| 合計 | 545,894 | △379,938 | △41.0 | 46,249 | △223,388 | △82.8 | 101,939 | △220,476 | △68.4 |
| 調整額 | △32,608 | △7,907 | - | △726 | △23,824 | - | 925 | △23,784 | △96.3 |
| 連結数値 | 513,286 | △387,845 | △43.0 | 45,522 | △247,212 | △84.4 | 102,865 | △244,260 | △70.4 |
(注)1 調整額については、主に連結会社間取引消去等であります。
2 償却前営業利益は、営業利益に減価償却費及びのれん償却額を加えて算定しております。
①不動産事業
不動産事業の内訳は開発・賃貸業、投資運用業、マネジメント業、その他であり、それぞれの営業収益は以下のとおりであります。
(単位:百万円)
| 2025年3月期 | 2026年3月期 | 増減額 | |||
| 営業収益 | 480,608 | 83,998 | △396,609 | ||
| 開発・賃貸業 | 44,345 | 34,803 | △9,542 | ||
| 投資運用業 | 403,263 | 9,785 | △393,478 | ||
| マネジメント業 | 8,353 | 15,946 | 7,593 | ||
| その他 | 24,645 | 23,464 | △1,181 | ||
開発・賃貸業では、キャピタルリサイクルの推進に向け、新規物件を13件取得したほか、不動産エクイティ投資を6件実施いたしました。新規取得物件につきましては、バリューアップを実施することにより、物件価値向上を図ってまいりました。
投資運用業では、保有物件の流動化をおこないました。
マネジメント業では、アセットマネジメント、プロパティマネジメント及びビルマネジメントをおこなっており、各機能の専門性を強化してまいりました。
不動産事業の営業収益は、保有物件の流動化があるものの、2025年2月28日に実施した東京ガーデンテラス紀尾井町の流動化の反動により、839億98百万円と前期に比べ3,966億9百万円の減少(同82.5%減)となりました。営業利益は、減収により、123億95百万円と前期に比べ2,252億22百万円の減少(同94.8%減)となり、償却前営業利益は、206億47百万円と前期に比べ2,274億70百万円の減少(同91.7%減)となりました。
不動産事業の定量的な指標は以下のとおりであります。
(建物賃貸物件の営業状況)
| 期末貸付面積 (千㎡) | 期末空室率 (%) | |||
| 2025年3月期 | 2026年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 | |
| 商業施設 | 290 | 280 | 1.6 | 1.4 |
| オフィス・住宅 | 111 | 130 | 2.9 | 4.5 |
(注)1 土地の賃貸は含んでおりません。
2 当連結会計年度の期末空室率(オフィス・住宅)の増加については、新築物件の取得により一時的に
上昇しているものです。
②ホテル・レジャー事業
ホテル・レジャー事業の内訳は国内ホテル業(保有・リース)、国内ホテル業(MC・FC)、海外ホテル業(保有・リース)、海外ホテル業(MC・FC)、スポーツ業(保有・リース)、スポーツ業(MC・FC)、その他であり、それぞれの営業収益は以下のとおりであります。
(単位:百万円)
| 2025年3月期 | 2026年3月期 | 増減額 | |||
| 営業収益 | 241,259 | 250,481 | 9,222 | ||
| 国内ホテル業(保有・リース) | 151,698 | 153,896 | 2,197 | ||
| 国内ホテル業(MC・FC) | 12,892 | 15,804 | 2,911 | ||
| 海外ホテル業(保有・リース) | 33,933 | 36,686 | 2,752 | ||
| 海外ホテル業(MC・FC) | 529 | 992 | 463 | ||
| スポーツ業(保有・リース) | 15,551 | 16,244 | 693 | ||
| スポーツ業(MC・FC) | 2,447 | 2,601 | 154 | ||
| その他 | 24,205 | 24,254 | 48 | ||
国内ホテル業では、会員プログラムの顧客データを活用したお客さまへのサービスの向上、レベニューマネジメント強化による収益性の向上に取り組んでまいりました。また、お客さまへのさらなる体験価値を創出するため、ザ・プリンス パークタワー東京やザ・プリンス 軽井沢において、客室やクラブラウンジ等を改装いたしました。
海外ホテル業では、2025年9月に株式会社西武・プリンスホテルズワールドワイドにおいて、アメリカ発のライフスタイルホテルブランド「エースホテル」を運営するAce Group International LLC及び同社の子会社等の全株式を取得し、子会社化いたしました。また、2026年春のリニューアル完了を目指し、マウナ ケア ビーチ ホテルの改装工事を実施してまいりました。
ホテル・レジャー事業の営業収益は、海外ホテル業におけるマウナ ケア ビーチ ホテルの改装工事にともなう影響や、一部アジア地域からの国内ホテル利用控えがあったものの、国内ホテル業におけるインバウンド個人や邦人客の取り込みにより、2,504億81百万円と前期に比べ92億22百万円の増加(同3.8%増)となりました。営業利益は、賃上げを含む人件費等の各種費用の増加などがあったものの、増収により、226億58百万円と前期に比べ40億18百万円の増加(同21.6%増)となり、償却前営業利益は、403億7百万円と前期に比べ65億98百万円の増加(同19.6%増)となりました。
ホテル・レジャー事業の国内ホテル業(保有・リース)、国内ホテル業(MC・FC)、海外ホテル業(保有・リース)、海外ホテル業(MC・FC)の定量的な指標は以下のとおりであります。
(国内ホテル業の運営形態別施設概要)
| 施設数 (か所) | 客室数 (室) | 宴会場数 (室) | 宴会場面積 (㎡) | |
| 国内ホテル業 | 61 | 20,482 | 319 | 77,959 |
| 保有・リース | 43 | 13,486 | 238 | 51,022 |
| MC・FC | 18 | 6,996 | 81 | 26,937 |
(国内ホテル業のエリア別施設概要)
| 施設数 (か所) | 客室数 (室) | 宴会場数 (室) | 宴会場面積 (㎡) | |
| 首都圏・中日本 | 26 | 10,935 | 222 | 47,682 |
| 高輪・品川エリア | 4 | 5,104 | 101 | 20,000 |
| 東日本 | 19 | 5,490 | 38 | 14,252 |
| 軽井沢エリア | 3 | 675 | 11 | 3,670 |
| 西日本 | 16 | 4,057 | 59 | 16,025 |
(注)1 面積1,000㎡以上の宴会場は21室であります。
2 首都圏・中日本の代表例として高輪・品川エリア、東日本の代表例として軽井沢エリアを記載しております。
3 高輪・品川エリアに含まれるホテルはザ・プリンス さくらタワー東京、グランドプリンスホテル高輪、グランドプリンスホテル新高輪、品川プリンスホテルであります。
4 軽井沢エリアに含まれるホテルはザ・プリンス 軽井沢、ザ・プリンス ヴィラ軽井沢、軽井沢プリンスホテルであります。
(海外ホテル業の施設概要)
| 施設数 (か所) | 客室数 (室) | 宴会場数 (室) | |
| 海外ホテル業 | 35 | 5,540 | 93 |
| 保有・リース | 13 | 1,507 | 33 |
| ハワイエリア | 3 | 1,062 | 22 |
| The Prince Akatoki | 1 | 82 | 3 |
| MC・FC | 22 | 4,033 | 60 |
(注)1 海外ホテル業(保有・リース)の代表例としてハワイエリア、ラグジュアリーブランドであるThe Prince Akatokiを記載しております。
2 ハワイエリアに含まれるホテルはプリンス ワイキキ、マウナ ケア ビーチ ホテル、ウェスティン ハプナ ビーチ リゾートの3ホテルであります。
(国内ホテル業の運営形態別営業指標)
| 2025年3月期 | 2026年3月期 | ||
| RevPAR(円) | 保有・リース | 16,852 | 17,921 |
| MC・FC | 13,809 | 16,958 | |
| 宿泊部門全体 | 15,919 | 17,603 | |
| 平均販売室料(円) | 保有・リース | 22,622 | 22,916 |
| MC・FC | 21,184 | 24,619 | |
| 宿泊部門全体 | 22,221 | 23,432 |
| 客室稼働率(%) | 保有・リース | 74.5 | 78.2 |
| MC・FC | 65.2 | 68.9 | |
| 宿泊部門全体 | 71.6 | 75.1 |
(国内ホテル業のエリア別営業指標)
| 2025年3月期 | 2026年3月期 | ||
| RevPAR(円) | 首都圏・中日本 | 18,235 | 19,948 |
| 高輪・品川エリア | 17,362 | 19,017 | |
| 東日本 | 13,181 | 14,462 | |
| 軽井沢エリア | 29,959 | 33,336 | |
| 西日本 | 12,038 | 14,166 | |
| 宿泊部門全体 | 15,919 | 17,603 | |
| 平均販売室料(円) | 首都圏・中日本 | 24,131 | 25,222 |
| 高輪・品川エリア | 21,389 | 22,573 | |
| 東日本 | 21,708 | 23,263 | |
| 軽井沢エリア | 44,195 | 45,848 | |
| 西日本 | 16,789 | 18,381 | |
| 宿泊部門全体 | 22,221 | 23,432 |
| 客室稼働率(%) | 首都圏・中日本 | 75.6 | 79.1 |
| 高輪・品川エリア | 81.2 | 84.3 | |
| 東日本 | 60.7 | 62.2 | |
| 軽井沢エリア | 67.8 | 72.7 | |
| 西日本 | 71.7 | 77.1 | |
| 宿泊部門全体 | 71.6 | 75.1 |
(注)1 首都圏・中日本の代表例として高輪・品川エリア、東日本の代表例として軽井沢エリアを記載しております。
2 高輪・品川エリアに含まれるホテルはザ・プリンス さくらタワー東京、グランドプリンスホテル高輪、グランドプリンスホテル新高輪、品川プリンスホテルであります。
3 軽井沢エリアに含まれるホテルはザ・プリンス 軽井沢、ザ・プリンス ヴィラ軽井沢、軽井沢プリンスホテルであります。
(海外ホテル業の営業指標)
・ハワイエリアの営業指標
| 2025年3月期 | 2026年3月期 | |
| RevPAR (円) | 43,358 | 40,549 |
| RevPAR (米ドル) | 321.17 | 281.59 |
| 平均販売室料 (円) | 53,939 | 57,191 |
| 平均販売室料 (米ドル) | 399.54 | 397.16 |
| 客室稼働率 (%) | 80.4 | 70.9 |
・The Prince Akatoki Londonの営業指標
| 2025年3月期 | 2026年3月期 | |
| RevPAR (円) | 44,851 | 50,181 |
| RevPAR (ポンド) | 246.66 | 269.33 |
| 平均販売室料 (円) | 61,083 | 56,620 |
| 平均販売室料 (ポンド) | 335.92 | 303.89 |
| 客室稼働率 (%) | 73.4 | 88.6 |
(注)1 海外ホテル業の代表例としてハワイエリア、ラグジュアリーブランドであるThe Prince Akatokiのうち、直営のThe Prince Akatoki Londonを記載しております。
2 ハワイエリアに含まれるホテルはプリンス ワイキキ、マウナ ケア ビーチ ホテル、ウェスティン ハプナ ビーチ リゾートの3ホテルであります。
(国内ホテル業における宿泊客の内訳)
(単位:名、%)
| 2025年3月期 | ||||||
| 邦人客 | 外国人客 | 計 | ||||
| 比率 | 比率 | 比率 | ||||
| 宿泊客 | 3,320,629 | 66.6 | 1,665,633 | 33.4 | 4,986,262 | 100.0 |
| 保有・リース | 2,238,258 | 1,179,196 | 3,417,454 | |||
| MC・FC | 1,082,371 | 486,437 | 1,568,808 | |||
| 2026年3月期 | ||||||
| 邦人客 | 外国人客 | 計 | ||||
| 比率 | 比率 | 比率 | ||||
| 宿泊客 | 3,421,558 | 66.5 | 1,721,951 | 33.5 | 5,143,509 | 100.0 |
| 保有・リース | 2,256,565 | 1,175,049 | 3,431,614 | |||
| MC・FC | 1,164,993 | 546,902 | 1,711,895 | |||
③都市交通・沿線事業
都市交通・沿線事業の内訳は鉄道業、バス業、沿線生活サービス業、スポーツ業、その他であり、それぞれの営業収益は以下のとおりであります。
(単位:百万円)
| 2025年3月期 | 2026年3月期 | 増減額 | |||
| 営業収益 | 152,667 | 156,746 | 4,079 | ||
| 鉄道業 | 104,238 | 107,019 | 2,781 | ||
| バス業 | 24,877 | 25,557 | 679 | ||
| 沿線生活サービス業 | 17,228 | 17,835 | 607 | ||
| スポーツ業 | 2,461 | 2,602 | 141 | ||
| その他 | 3,861 | 3,731 | △129 | ||
鉄道業では、永続的に鉄道事業を運営し、お客さまへ良質かつ快適なサービスを提供するため、2026年3月に鉄道旅客運賃を改定し、あわせて小児IC運賃については均一化も実施いたしました。お客さまの利便性向上や踏切による交通渋滞の解消、鉄道により分断されているまちの一体化に向けた取り組みとして、2025年6月29日に東村山駅付近の新宿線下り線を高架化いたしました。また、山口線(レオライナー)での新型車両「L00系」や、環境負荷の少ない他社からの譲受車両「サステナ車両※」を導入いたしました。さらに、デジタル技術活用による駅・運転業務や施設メンテナンスの効率化に加え、クレジットカードやスマートフォン等で利用可能なタッチ決済による乗車サービスの拡大など、お客さまサービスの高度化を図りました。そのほか、西武鉄道株式会社は横瀬町と「まちづくりに関する包括連携協定」、清瀬市と「地域活性化包括連携協定」を締結するなど、沿線自治体・地域との連携を深める施策にも取り組みました。
バス業では、路線バス事業にて、運転士不足の影響が続く一方、輸送力を適正化するとともに、堅調に回復する移動需要を着実に取り込むなど、効率的な事業運営に努めました。また、都区内エリアにおいては、2025年6月に運賃改定を実施し、多摩・埼玉エリアにおきましても2026年7月に運賃改定の実施を予定しております。貸切バス事業についても、契約単価のさらなる底上げを図りました。
※ 他社から譲受したVVVFインバータ制御車両を西武鉄道株式会社独自の呼称として定義
したものであります。
都市交通・沿線事業の営業収益は、エミテラス所沢の開業影響など、外出需要の増加により、1,567億46百万円と前期に比べ40億79百万円の増加(同2.7%増)となりました。営業利益は、鉄道業の設備投資の増加にともなう減価償却費や、人件費等の各種費用の増加などにより、95億46百万円と前期に比べ17億68百万円の減少(同15.6%減)となり、償却前営業利益は、344億94百万円と前期に比べ5億31百万円の増加(同1.6%増)となりました。
都市交通・沿線事業の主要な会社である西武鉄道株式会社の鉄道業の運輸成績は以下のとおりであります。
(西武鉄道株式会社の鉄道業の運輸成績)
| 種別 | 単位 | 2025年3月期 | 2026年3月期 | |
| 営業日数 | 日 | 365 | 365 | |
| 営業キロ | キロ | 176.6 | 176.6 | |
| 客車走行キロ | 千キロ | 170,407 | 170,229 | |
| 輸送人員 | 定期 | 千人 | 355,907 | 363,429 |
| 定期外 | 千人 | 249,221 | 255,790 | |
| 計 | 千人 | 605,128 | 619,219 | |
| 旅客運輸収入 | 定期 | 百万円 | 40,434 | 41,246 |
| 定期外 | 百万円 | 58,112 | 60,019 | |
| 計 | 百万円 | 98,547 | 101,266 | |
| 運輸雑収 | 百万円 | 3,256 | 3,067 | |
| 収入合計 | 百万円 | 101,803 | 104,333 | |
| 一日平均収入 | 百万円 | 269 | 277 | |
| 乗車効率 | % | 36.2 | 37.0 | |
(注)1 乗車効率は 延人キロ/(客車走行キロ×平均定員)×100 により、算出しております。
2 千キロ未満、千人未満及び百万円未満を切り捨てて表示しております。
3 運輸雑収は鉄道業以外の収入を含んでおります。
④その他
スポーツ事業では、プロ野球球団である埼玉西武ライオンズの試合開催時における快適な観戦環境の提供に向けた暑さ対策やキャッシュレス化を進めたほか、ベルーナドームを活用したイベントを開催するなど、魅力あるスポーツ・エンターテインメント体験を提供してまいりました。
伊豆箱根事業及び近江事業においては、地域社会・経済の発展に寄与すべく、「地域の足」の維持と「地域付加価値」の最大化を軸に、多様なステークホルダーとの連携を図ってまいりました。
伊豆箱根事業では、乗合バス・タクシー事業にて観光需要を確実に取り込んだほか、一部路線・エリアにおいて運賃改定を実施いたしました。また、伊豆・三津シーパラダイスではさらなるお客さま満足度の向上のため、体験コーナーをはじめとした一部施設のリニューアルを実施いたしました。
近江事業では、乗合バス・タクシー事業にて運賃改定を実施いたしました。また、2025年秋に滋賀県で開催された「わたSHIGA輝く国スポ・障スポ」において、バス・タクシーによる選手・関係者輸送など、大会運営を支える輸送を安定的に提供するとともに、需要を取り込みました。
新規事業では、株式会社ブルーインキュベーションを通じて複数のスタートアップ企業に対する投資を実行し、2025年6月には西武グループが所有する北海道富良野市内の土地において、軽井沢蒸留酒製造株式会社による世界有数のウイスキー蒸留所「富良詩(ふらりす)蒸留所」の建設を決定いたしました。
営業収益は、2024年12月25日に実施した奥ジャパン株式会社の完全子会社化や、埼玉西武ライオンズにおける観客動員数の増加などにより、546億66百万円と前期に比べ33億69百万円の増加(同6.6%増)となりました。営業利益は、賃上げを含む人件費等の各種費用の増加などにより、16億48百万円と前期に比べ4億16百万円の減少(同20.2%減)となり、償却前営業利益は、64億89百万円と前期に比べ1億36百万円の減少(同2.1%減)となりました。
(2) 生産、受注及び販売の実績
当社グループは役務提供を中心とした事業展開をおこなっており、生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。このため生産、受注及び販売の実績については、「(1)業績」におけるセグメントの業績に関連付けて示しております。
(3) 財政状態、経営成績の分析
文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 重要な会計上の見積り」に記載されているとおりであります。
② 財政状態の分析
1 資産
流動資産は、1,537億35百万円と前連結会計年度末に比べ2,060億80百万円減少いたしました。その主たる要因は、現金及び預金の減少(1,691億50百万円)であります。
固定資産は、1兆5,769億19百万円と前連結会計年度末に比べ1,026億15百万円増加いたしました。その主たる要因は、有形固定資産及び無形固定資産の増加(459億27百万円)及び投資有価証券の増加(357億69百万円)であります。
以上の結果、総資産は1兆7,306億54百万円と前連結会計年度末に比べ1,034億65百万円減少いたしました。
2 負債
流動負債は、3,631億37百万円と前連結会計年度末に比べ669億42百万円減少いたしました。その主たる要因は、未払法人税等の減少(820億47百万円)であります。
固定負債は、7,929億79百万円と前連結会計年度末に比べ439億32百万円減少いたしました。その主たる要因は、長期借入金の減少(538億43百万円)であります。
以上の結果、負債合計は1兆1,561億17百万円と前連結会計年度末に比べ1,108億74百万円減少いたしました。
3 純資産
純資産は、5,745億37百万円と前連結会計年度末に比べ74億8百万円増加いたしました。その主たる要因は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上(388億57百万円)、その他有価証券評価差額金の増加(202億38百万円)及び自己株式の取得及び消却による資本剰余金の減少(688億86百万円)であります。
なお、自己資本比率は前連結会計年度末に比べ2.2ポイント上昇し32.9%となっております。
③ 経営成績の分析
1 営業収益及び営業利益
営業収益は、レジデンスの流動化や、インバウンド需要の取り込みなどにより増収になったものの、前期に東京ガーデンテラス紀尾井町の流動化を実施したことにより、5,132億86百万円(前期比43.0%減)となり、営業利益は減収による減益により、455億22百万円(同84.4%減)となりました。
なお、各セグメントにおける業績につきましては、「(1) 業績」をご覧ください。
2 営業外損益及び経常利益
営業外収益は、為替差益(35億8百万円)の計上などにより、85億7百万円(同98.9%増)となり、営業外費用は、82億8百万円(同12.4%減)となりました。
以上の結果、経常利益は458億21百万円(同84.1%減)となりました。
3 特別損益及び親会社株主に帰属する当期純利益
特別利益は、工事負担金等受入額の増加(559億3百万円)があったものの、前期に計上した負ののれん発生益(540億96百万円)がなくなったことなどにより、681億5百万円(同10.3%減)となりました。
特別損失は、工事負担金等圧縮額の増加(559億2百万円)などにより、685億48百万円(同398.0%増)となりました。
以上の結果、税金等調整前当期純利益は453億78百万円(同87.0%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は388億57百万円(同84.9%減)となりました。
(4) キャッシュ・フローの分析
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ2,208億46百万円減少し、当連結会計年度末には561億7百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益453億78百万円に、減価償却費や棚卸資産の増減額、法人税等の支払額などを調整した結果、15億28百万円の資金収入となり、前連結会計年度に比べ4,728億49百万円の資金収入の減少となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、1,457億57百万円の資金支出となり、前連結会計年度に比べ520億65百万円の資金支出の増加となりました。その主たる要因は、有形及び無形固定資産の取得による支出の増加であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、767億33百万円の資金支出となり、前連結会計年度に比べ596億61百万円の資金支出の減少となりました。その主たる要因は、借入金の返済の減少であります。
(5) 資本の財源及び資金の流動性について
(キャピタルリサイクルの実施)
当社グループは、「不動産事業を核として持続的な成長」を実現するため、資本効率性を追求し、保有とキャピタルリサイクルの両輪で成長させるビジネスモデルを展開しております。当連結会計年度においても、引き続き保有物件の流動化を実施いたしました。今後は、外部環境の変化を踏まえ、厳格な投資規律のもと、各開発案件の価値最大化を追求するとともに、私募REIT(西武ファンド)を活用したキャピタルリサイクルを基盤とする不動産戦略を軸に、聖域なき流動化の検討、継続的なキャピタルリサイクルを実施してまいります。そして、得られた資金を成長投資へ再配分することで、保有資産の収益力向上とNAV成長を実現し、不動産価値の最大化をはかってまいります。
(資金調達〈キャッシュイン〉)
当社グループでは、鉄道業及びホテル業を中心とした日々の事業活動によって営業キャッシュ・フローを安定的に確保し、必要な資金に充当しております。
不動産事業での取得物件に対するバリューアップ、既存物件の賃料引き上げや最有効活用の検討、ホテル・レジャー事業でのMC(マネジメントコントラクト)を中心とした国内外250ホテル体制の実現に向けたネットワークの拡大や主要ホテルを中心とした設備投資による収益力の向上、都市交通・沿線事業での鉄道旅客運賃改定の実施及び戦略的な設備投資により、営業キャッシュ・フローの最大化に努めております。
さらに、上記に加えて、2027年度中に組成を予定している総合型の私募REITを活用し、品川プリンスホテルの底地の一部流動化をはじめとする継続的なキャピタルリサイクルを実施することで、キャッシュインの増加をはかってまいります。
不足する資金については、金融機関からの借入や社債の発行など、市場環境や金利動向を総合的に勘案し、最適な資金調達手段を選択しております。加えて、固定資産の比率が高い事業特性を踏まえ、長期負債を中心とした資金調達をおこなうとともに、年度ごとの返済額平準化を進めております。あわせて、調達手段の多様化や適正な借入水準の維持による財務健全性の確保に努め、外部格付の維持・向上にも取り組んでおります。
(資金使途〈キャッシュアウト〉)
当社グループでは、「成長投資を優先しつつ、株主還元も拡充させていく」方針のもと、資金使途を決定しております。
当連結会計年度は、総額1,507億30百万円の設備投資を実施いたしました。不動産事業では、キャピタルリサイクルの推進に向け、引き続き物件取得やバリューアップ投資などを進めてまいりました。ホテル・レジャー事業では、マウナ ケア ビーチ ホテルの改装工事を実施したほか、品川プリンスホテルや軽井沢プリンスホテル コテージなどの主要ホテルを中心に設備投資を決定・着手しております。あわせて、国内外250ホテル体制の実現に向け、株式会社西武・プリンスホテルズワールドワイドは、アメリカ発のライフスタイルホテルブランド「エースホテル」を運営するAce Group International LLC及び同社の子会社等の全株式を取得し、子会社化いたしました。都市交通・沿線事業では、安全・安心のさらなる追求と沿線価値向上のための設備投資などに資金を充当しております。加えて、当社グループ各事業において、職場環境の改善や、従業員の満足度向上を企図した設備投資を実施してまいりました。
当事業年度の配当金につきましては、「第4 提出会社の状況 3 配当政策」に記載のとおり、足元の業績を勘案のうえ、期末配当を2円増配し、1株当たりの普通配当を42円としております。また、2025年12月12日に700億円の自己株式取得が終了し、2026年1月22日に取得した株式すべての消却を実施いたしました。2027年3月期の配当予想についても、1株当たり年間配当金42円としており、長期戦略で定めた株主還元方針に則り、DOE2.0%を下限とする累進配当を実現し、安定的な配当とあわせ、収益向上を通じた増配を目指してまいります。自己株式の取得については、「足元の株価水準」・「当社が認識する1株当たりNAVの目線」・「今後の成長投資の状況」・「バランスシート影響(外部格付への影響等)」などを考慮し、機動的に実施してまいります。
また、今後の成長投資については、外部環境の変化を踏まえ、厳格な投資規律のもと、価値最大化を追求してまいります。引き続き、保有資産の収益力向上とNAV成長を実現し、持続的な企業価値向上をはかってまいります。
(資金の流動性)
鉄道業・ホテル業を中心とした日々の収入金により必要な流動性資金を確保するとともに、キャッシュマネジメントシステムなどによりグループ内余剰資金の有効活用に努めております。
(6) 経営者の問題意識と今後の方針について
![]() | 有価証券報告書提出日現在、インフレの進行や金利上昇、そして昨今の中東情勢緊迫化をはじめとした地政学リスクの高まりなど、我が国を取り巻く社会経済環境ならび事業環境は、急速に変容しております。将来予測が極めて困難な「VUCAの時代」であり、その只中にあって、経営者に求められるのは、目先の変化への対応力だけではありません。不確実性を正面から受け止め、むしろその変化の中に成長の種を見出し、確固たる意志とビジョンをもって前途を切り拓く力こそが問われていると、認識しております。 私は2026年4月1日付で、代表取締役社長執行役員兼COOに加え、新たにCEOの職責を担うこととなりました。2024年5月9日に策定した「西武グループ長期戦略2035」(以下、「長期戦略」)の実現を次なるステージへと牽引してまいります。 当社グループは、日本全国に保有する優良不動産、国内外に広がるホテル・レジャーネットワーク、強固な |
地盤を有する都市交通・沿線事業という、我が国において唯一無二の事業ポートフォリオを擁しております。こうした強みを最大限に発揮することは、単なるグループの利益追求にとどまらず、地域経済ひいては、日本社会そのものの持続的発展に寄与することに他なりません。この大きな使命感を胸に、経営の舵を取ってまいります。
翌連結会計年度は、長期戦略にて「種まき期」と位置付けた中期経営計画(2024~2026年度)の最終年度であります。「種まき期」とは、将来の飛躍に向けた構造的変革と戦略的投資を断行し、「不動産を核とした持続的な成長」を実現するための経営基盤を確立する時期であり、「育成期」と位置付ける次期中期経営計画(2027~2029年度)期間以降にさらなる飛躍を果たす上での重要な局面を迎えております。攻めと守り双方の施策を完遂することで、2035年に向けた成長軌道を確固たるものとしてまいります。
経営の最大のテーマは、不動産価値の最大化によるNAV成長の実現であり、持続的な企業価値・株主価値の向上を図ることであります。また、資本コストを意識しながら、「恒常的なROE8%を達成するとともに、2035年度に10%を目指す。」という長期戦略で掲げた財務KPI達成にも取り組んでまいります。
翌連結会計年度は、不動産事業においては、保有とキャピタルリサイクルの両輪による持続的成長モデルを一層加速させる段階にあります。西武グループが保有する物件の資本効率性を検証するとともに、その結果に応じた戦略を果断に断行し、流動化した場合にはそこから得た資金を都心エリア、西武鉄道沿線の再開発、リゾート開発などへ再投資することで、NAV成長を実現してまいります。また、都心の大規模再開発については、外部環境の変化を踏まえ、厳格な投資規律のもとで価値最大化を追求するとともに、2027年度中に総合型の私募REITを組成することで、キャピタルリサイクルを加速させてまいります。また、M&A・アライアンスの戦略的活用により、総合不動産業としての事業領域を非連続的に拡大し、さらなる成長を追求してまいります。不動産事業は、当社グループの成長エンジンであると同時に、都市と地域の未来を形づくる事業であるという誇りと責任を持って、取り組んでまいります。
ホテル・レジャー事業においては、「日本をオリジンとしたグローバルホテルチェーン」の確立という高い志のもと、パフォーマンスの向上とネットワークの拡大を両輪として推進してまいります。記憶に残る体験を提供し、ロイヤル顧客を醸成することで、ブランドの求心力を高めてまいります。また、国内外への出店を積極的に拡大しながら、西武グループならではのホスピタリティと体験価値を世界に発信してまいります。訪日外国人の増加が続く今日、我が国の観光立国としての競争力を高める一翼を担う存在として、その責任を果たしてまいります。
都市交通・沿線事業においては、安全・安心を事業の根幹としながら、「住みたい沿線」「訪れたい沿線」の実現を追求してまいります。特に、鉄道業・バス業は、地域社会のライフラインであると同時に、西武グループの重要な事業基盤です。この事業を永続的に力強く運営し続けることが、我々の社会的責任の核心と認識しております。
人財戦略については、いかなる戦略も、それを担う人なくしては実現しないという信念を持っております。西武グループの最大の資産は人であります。社員一人ひとりの成長と働きがいを支える環境の整備に真剣に向き合い、「はたらく人を、ほほえむ人へ。」を実現してまいります。高い志を持ちプロフェッショナルとして活躍できる人財を育み、組織全体の総合力を高めることが、長期戦略を実現するための根幹をなす力になると確信しております。
株主還元につきましては、企業価値向上につながる成長投資を優先しつつも、DOE2.0%を下限とする累進配当を基本とし、安定的な配当と収益向上を通じた増配を目指しております。今後も、資本効率性の向上により、株主還元の強化をはかってまいります。
「でかける人を、ほほえむ人へ。」のグループビジョンに基づき、お客さま・地域社会・そして日本の未来とともに歩む企業グループとして、長期戦略にて掲げた「Resilience & Sustainability - 安全・安心とともに、かけがえのない空間と時間を創造する -」というアウトカムの実現に向け、グループ総力を挙げて邁進してまいります。長期戦略の確実な実現を通じて、トータルステークホルダーサティスファクションの向上を、必ずや成し遂げてまいります。

