有価証券報告書-第71期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)

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2019/06/20 9:31
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(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における我が国経済は、世界経済の穏やかな回復を背景に順調な推移を辿っておりましたが、米中貿易摩擦による中国経済への影響が懸念されるなど、急速に先行き不透明感が漂ってまいりました。
貨物自動車運送業界におきましては、輸送量は引き続き増加傾向にありましたが、人手不足に端を発した労働問題は時間規制の強化などからコスト上昇基調を続けており、依然として厳しい経営環境下にありました。
このような状況のもと当社グループは、企業間物流におけるサービス強化と適正な運賃・料金の収受に努め、一方では生産性の向上など経営の効率化に取り組んでまいりました。
以上の結果、当連結会計年度の売上高は2,856億86百万円(前期比6.7%増)、営業利益は194億78百万円(前期比32.3%増)、経常利益は215億53百万円(前期比33.7%増)となり、親会社株主に帰属する当期純利益は149億62百万円(前期比40.3%増)となりました。
これらをセグメント別に見た事業の概要は、次のとおりであります。
なお、当連結会計年度より、報告セグメントの区分方法の見直しを行っており、以下の前期比較については、前連結会計年度の数値を変更後の報告セグメントの区分方法に基づき、組み替えた数値で比較しております。
[運送事業]
運送事業におきましては、7月に養父営業所(兵庫県)、10月に大分杵築営業所、11月に北海道滝川営業所を開設するなど集配拠点の整備を進め、輸送サービスの向上に努めてまいりました。また、7月には株式会社キタザワをグループに加え、首都圏での引越し事業の強化を図ってまいりました。
また、予てから進めてまいりました運賃・料金の見直しを加速する一方、人手不足の恒常化や長時間労働の是正から労務改善問題は喫緊の課題となり、人件費を始めとした外注費への対応や荷役作業の機械化など業務の効率化にも取り組んでまいりました。
以上の結果、売上高は2,517億19百万円(前期比7.1%増)、営業利益は180億24百万円(前期比39.9%増)となりました。
[流通加工事業]
流通加工事業におきましては、新規案件の開拓により、稼働率の向上を図るとともに、料金改定による収益力の向上に努めてまいりました。
以上の結果、売上高は171億27百万円(前期比5.2%増)、営業利益は22億13百万円(前期比0.4%増)となりました。
[国際事業]
国際事業におきましては、タイを起点としたクロスボーダートラック輸送のルート拡大など一層強化してまいりました。また、中国・東南アジアからの輸入貨物の取扱量が堅調であったことから通関事業も好調に推移いたしました。
以上の結果、売上高は90億42百万円(前期比10.9%増)、営業利益は5億91百万円(前期比15.1%増)となりました。
[その他事業]
その他事業におきましては、不動産等賃貸事業では施設の一部に返却があり、商品販売事業も振るわず低調に推移いたしました。
以上の結果、売上高は77億96百万円(前期比5.8%減)、営業利益は27億53百万円(前期比12.8%減)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度に比べ36億40百万円減少し267億42百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
主に法人税等の支払や売上債権の増加により資金が減少しましたが、税金等調整前当期純利益や引当金が増加したことにより305億85百万円(前期比1.6%減)の資金の増加となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
主に有形固定資産の取得による支出や投資有価証券の取得による支出により203億円(前期比8.3%増)の資金の減少となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
主に長期借入金の返済による支出や自己株式の取得による支出により138億70百万円(前期比652.9%増)の資金の減少となりました。
③輸送及び収入の状況
当連結会計年度における収入実績等をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(ⅰ) 運送事業
貨物運送事業、港湾運送事業及びその他付帯事業に関する実績
(イ) 輸送実績
車両所有状況最大積載屯数(屯)前連結会計年度
(自 2017年4月1日
至 2018年3月31日)
当連結会計年度
(自 2018年4月1日
至 2019年3月31日)
台数(台)延最大積載屯数(屯)台数(台)延最大積載屯数(屯)
大型車6 ~12.53,92544,1884,00245,675
(トラクター)237-310-
(トレーラー)12.3 ~244186,3964917,330
中型車3 ~4.253,99812,9684,02513,043
小型車0.35 ~27,11813,5397,15513,585
合計-15,69677,09315,98379,635
車両稼働状況稼働日数255251
延実在車両数5,777千台5,834千台
延実働車両数4,035千台4,019千台
車両稼働率69.8%68.9%
輸送屯数11,498千屯11,624千屯
総走行距離480,292千キロ467,939千キロ

(ロ) 営業収入の地域別状況
区分前連結会計年度
(自 2017年4月1日
至 2018年3月31日)
当連結会計年度
(自 2018年4月1日
至 2019年3月31日)
前期比(%)
北海道・東北地区24,431百万円25,748百万円105.4
関東地区97,360百万円104,314百万円107.1
中部地区42,256百万円45,259百万円107.1
近畿地区74,438百万円78,872百万円106.0
中国・四国地区61,750百万円64,667百万円104.7
九州地区28,515百万円29,688百万円104.1
合計328,752百万円348,551百万円106.0

(注)1 上記金額には、消費税等は含まれておりません。
2 金額は、発送運賃収入及びその他の付帯収入であり、状況を正確に表すため、地域間の内部売上高を含めて記載しております。
(ハ) 従業員1人当たりの月額営業収入
区分前連結会計年度
(自 2017年4月1日
至 2018年3月31日)
当連結会計年度
(自 2018年4月1日
至 2019年3月31日)
前期比(%)
1か月平均営業収入27,396百万円29,045百万円106.0
平均在籍従業員数18,175人18,382人101.1
1人当たりの月額営業収入1,507千円1,580千円104.8

(ニ) 燃料の購入量及び使用量
区分前連結会計年度
(自 2017年4月1日
至 2018年3月31日)
当連結会計年度
(自 2018年4月1日
至 2019年3月31日)
期首在庫量
(kℓ)
購入量
(kℓ)
使用量
(kℓ)
期末在庫量
(kℓ)
期首在庫量
(kℓ)
購入量
(kℓ)
使用量
(kℓ)
期末在庫量
(kℓ)
軽油1,848109,316108,3612,8042,804109,311109,9942,120

(ホ) 燃料価格の推移
区分2017年9月2018年3月2018年9月2019年3月
軽油90.6円99.8円109.0円107.1円

(注) 市場価格は、経済産業省 資源エネルギー庁 資源・燃料部石油流通課発行の大口需要者向け軽油ローリー渡価格に基づく1ℓ当たりの半期ごとの平均値であります。
(ヘ) 一般貨物自動車運送事業運賃
a 特別積合せ貨物運送
現行の運賃は、2018年2月14日付国土交通大臣に届出した運賃に基づき収受しております。
この基準運賃表の一部を示せば次のとおりであります。
区分10Kgまで20Kgまで30Kgまで100Kgまで200Kgまで500Kgまで1,000Kgまで
50Kmまで1,400円1,500円1,700円2,600円4,100円9,000円20,100円
100Kmまで1,400円1,600円1,700円2,800円4,400円10,100円22,600円
200Kmまで1,500円1,800円1,900円3,300円5,500円12,800円29,500円
500Kmまで1,700円2,100円2,200円4,900円8,400円21,100円49,400円

b 特別積合せ貨物運送以外
現行の運賃は、1994年2月15日付自貨第11号通達による車扱距離制運賃に基づき収受しております。
この基準運賃表の一部を示せば次のとおりであります。
区分1トン車まで2トン車まで4トン車まで8トン車まで12トン車まで
10Kmまで5,290円7,460円10,280円17,050円20,260円
20Kmまで8,740円11,100円12,820円
100Kmまで23,670円25,950円30,260円38,780円46,300円
200Kmまで34,280円37,500円43,870円59,040円67,270円
500Kmまで61,730円67,950円79,120円107,190円122,470円

(ト) 営業収入実績
区分前連結会計年度
(自 2017年4月1日
至 2018年3月31日)
当連結会計年度
(自 2018年4月1日
至 2019年3月31日)
前期比(%)
貨物運送事業233,757百万円250,462百万円107.1
港湾運送事業160百万円153百万円95.5
その他付帯事業1,175百万円1,103百万円93.9
合計235,093百万円251,719百万円107.1

(注) 上記金額には、消費税等は含まれておりません。
(ⅱ) 流通加工事業
倉庫業及び流通加工業に関する実績
(イ) 施設の状況
区分前連結会計年度末
(2018年3月31日)
当連結会計年度末
(2019年3月31日)
流通加工事業場面積826,804㎡827,113㎡
事業所数105か所105か所

(ロ) 営業収入実績
区分前連結会計年度
(自 2017年4月1日
至 2018年3月31日)
当連結会計年度
(自 2018年4月1日
至 2019年3月31日)
前期比(%)
倉庫業514百万円729百万円141.9
流通加工業15,762百万円16,398百万円104.0
合計16,276百万円17,127百万円105.2

(注) 上記金額には、消費税等は含まれておりません。
(ⅲ) 国際事業
国際利用運送業及び通関業に関する実績
(イ) 施設の状況
区分前連結会計年度末
(2018年3月31日)
当連結会計年度末
(2019年3月31日)
保税蔵置場面積8,693㎡7,553㎡
設置数6か所6か所
通関業許可取得状況16か所16か所

(ロ) 営業収入実績
区分前連結会計年度
(自 2017年4月1日
至 2018年3月31日)
当連結会計年度
(自 2018年4月1日
至 2019年3月31日)
前期比(%)
国際運送業2,299百万円2,852百万円124.1
国際利用運送業3,457百万円3,504百万円101.4
通関業2,399百万円2,685百万円111.9
合計8,156百万円9,042百万円110.9

(注) 上記金額には、消費税等は含まれておりません。
(ⅳ) その他事業
不動産等の賃貸業、ボウリング事業及びその他の事業に関する実績
(イ) 施設の貸付及びボウリングの状況
区分前連結会計年度
(自 2017年4月1日
至 2018年3月31日)
当連結会計年度
(自 2018年4月1日
至 2019年3月31日)
不動産等賃貸業
建物面積1,078,347㎡1,082,788㎡
土地面積1,401,034㎡1,412,331㎡
機器台数1,787台1,718台
ボウリング事業
ゲーム回数277千回300千回
入場者人数81千人85千人

(ロ) 営業収入実績
区分前連結会計年度
(自 2017年4月1日
至 2018年3月31日)
当連結会計年度
(自 2018年4月1日
至 2019年3月31日)
前期比(%)
不動産等賃貸業8,033百万円7,729百万円96.2
物品販売事業3,583百万円3,620百万円101.0
コンビニエンスストア事業1,459百万円1,463百万円100.3
損害保険代理業410百万円413百万円100.9
ボウリング事業135百万円139百万円103.3
労働者派遣業(委託業務)955百万円932百万円97.6
その他事業2,829百万円4,331百万円153.1
合計17,407百万円18,631百万円107.0

(注)1 上記金額には、消費税等は含まれておりません。
2 上記金額は、状況を正確に表わすため、セグメント間の内部売上高を含めて記載しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。これらの連結財務諸表の作成にあたって、会計方針の継続適用と財務内容の健全化のため保守的に行うよう考慮しております。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
(ⅰ) 財政状態の分析
資産につきましては、主に現金及び預金が減少したことにより、流動資産が20億51百万円減少しましたが、有形固定資産が増加したことにより、固定資産が48億55百万円増加した結果、総資産は前連結会計年度末に比べて28億3百万円増加し4,398億93百万円となりました。
負債につきましては、主に長期借入金(1年内返済予定も含む)が減少したことにより、負債合計は前連結会計年度末に比べて33億79百万円減少し1,875億15百万円となりました。
純資産につきましては、主に自己株式の取得により37億84百万円減少しましたが、利益剰余金が124億12百万円増加したことにより、株主資本が86億38百万円増加した結果、純資産は前連結会計年度末に比べて61億83百万円増加し2,523億77百万円となりました。
(ⅱ) 経営成績の分析
当連結会計年度における売上高は、企業間物流におけるサービス強化と適正な運賃・料金の収受に努め、一方では生産性の向上など経営の効率化に取り組んだ結果、前連結会計年度より178億86百万円増加し2,856億86百万円となりました。
営業利益は、給与・賞与の増額に加え、慢性的な運転手不足や燃料単価の高騰により、人件費や傭車費及び燃料油脂費が増加しましたが、前連結会計年度より47億51百万円増加し194億78百万円となりました。
経常利益は、補助金収入が増加したことや営業利益が増加したことにより、前連結会計年度より54億34百万円増加し215億53百万円となりました。
親会社株主に帰属する当期純利益は、投資有価証券売却益が増加したことや経常利益が増加したことにより、前連結会計年度より42億98百万円増加し149億62百万円となりました。
(ⅲ) 資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社グループの事業活動における運転資金需要は、当社グループの各事業に関わる人件費や傭車費等の外注費となっております。また、設備資金需要の主なものは、事業活動拡大のためのトラックターミナル建設や車両運搬具の取得、更新、さらには省力化を目的とした機械投資となっております。
(ⅳ) 経営者の問題認識と今後の方針
貨物自動車運送業界は、環境対策、安全対策、さらには時間外労働への対応など事業者に課せられた責任は多岐に渡ると認識しております。これらに限らず、社会的責任や安全安心といった経営理念に継続して取り組んでまいります。