有価証券報告書-第76期(2023/04/01-2024/03/31)

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2024/06/24 10:18
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(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症に対する行動制限の緩和に伴う経済活動の正常化を背景に人の流れが活発化するとともに、インバウンド需要の増加などにより、景気は回復基調にありました。一方、資源高や円安等を背景とした物価上昇などの国内景気への影響が懸念され、依然として先行き不透明な状況で推移しております。
貨物自動車運送業界におきましては、物価上昇などによる消費活動の下押し要因により、荷動きは低調に推移するなか、物流の2024年問題や環境問題などへの対応に加え、人件費や燃料費をはじめとしたコストアップもあり、厳しい経営環境が続いております。
このような状況のもと当社グループにおきましては、倉庫機能を兼ね備えた物流センターの増設により複合一貫輸送サービスを活用した売上の拡大に取り組むとともに、業務形態に対応した職種の新設による採用強化やダブル連結トラックの導入等による自社の輸送力の増強と業務の効率化を図ってまいりました。また、持続可能な輸送サービスの提供の実現に向け、浪速運送株式会社との業務提携、ハコベル株式会社及び株式会社タイミーへの資本参画を行うなどパートナーシップの強化を進め、パートナー企業と協業し安定した輸送体制の構築にも努めるとともに、専用ブロックトレイン「福山レールエクスプレス号」へのモーダルシフトや水素燃料電池トラックや電気小型トラック等の導入による環境負荷の低減にも取り組んでまいりました。
以上の結果、当連結会計年度の売上高は2,875億63百万円(前期比2.0%減)、営業利益は104億48百万円(前期比51.1%減)、経常利益は129億73百万円(前期比43.6%減)となり、親会社株主に帰属する当期純利益は78億34百万円(前期比62.3%減)となりました。
これらをセグメント別に見た事業の概要は、次のとおりであります。
[運送事業]
運送事業におきましては、昨年9月に千葉八千代支店、11月に北海道北広島支店を新設し、12月に大阪船場支店のリニューアルを行うなど、複合一貫輸送サービスの強化に努めてまいりました。また、共同運行、輸送マッチングシステムとの連携、人材マッチングアプリ活用等のパートナー企業との協業により、輸送力の増強と業務の効率化に取り組んでまいりましたが、物価上昇などによる消費活動の下押し要因もあり、貨物輸送量は低調に推移いたしました。
以上の結果、売上高は2,488億41百万円(前期比1.6%減)、営業利益は102億9百万円(前期比49.2%減)となりました。
[流通加工事業]
流通加工事業におきましては、新設の千葉八千代支店、北海道北広島支店、大阪船場支店は倉庫機能のさらなる拡充を図るなど、多様化するお客様ニーズに対応した営業強化をすすめてまいりました。また、人件費や光熱費の上昇などのコスト増加要因に対応した料金改定を行ってまいりましたが、取扱量の減少により低調に推移いたしました。
以上の結果、売上高は208億73百万円(前期比1.1%減)、営業利益は29億71百万円(前期比14.2%減)となりました。
[国際事業]
国際事業におきましては、コロナ禍からの回復もあり通関取扱い件数は増加いたしましたが、海上コンテナ不足を起因とした国際物流の混乱が正常化したことに伴い、高騰していた海上運賃も下落傾向となり低調に推移いたしました。なお、7月にASEAN域内での海上貨物の自社での取り扱いを目的に総合物流会社を連結子会社化いたしました。
以上の結果、売上高は107億5百万円(前期比15.4%減)、営業利益は3億7百万円(前期比49.8%減)となりました。
[その他事業]
その他事業におきましては、新たに連結子会社化した事業会社による工事収入の増加や国内外の団体旅行の回復により、商品販売収入が増加いたしました。
以上の結果、売上高は71億43百万円(前期比7.5%増)、営業利益は12億5百万円(前期比18.3%減)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度に比べ144億71百万円減少し290億53百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
主に税金等調整前当期純利益127億42百万円の計上により185億3百万円の資金収入(前年同期は310億18百万円の資金収入)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
主に有形固定資産の取得による支出250億8百万円により267億96百万円の資金支出(前年同期は76億96百万円の資金支出)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
主に借入金の返済により61億85百万円の資金支出(前年同期は185億77百万円の資金支出)となりました。
③輸送及び収入の状況
当連結会計年度における収入実績等をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(ⅰ) 運送事業
貨物運送事業、港湾運送事業及びその他付帯事業に関する実績
(イ) 輸送実績
車両所有状況最大積載屯数(屯)前連結会計年度
(自 2022年4月1日
至 2023年3月31日)
当連結会計年度
(自 2023年4月1日
至 2024年3月31日)
台数(台)延最大積載屯数(屯)台数(台)延最大積載屯数(屯)
大型車6 ~12.54,11448,8294,13349,411
(トラクター)410-516-
(トレーラー)12.3 ~2482611,79888812,553
中型車3 ~4.253,93512,6723,93112,598
小型車0.35 ~27,23013,5497,19613,499
合計-16,51586,84916,66488,063
車両稼働状況稼働日数254253
延実在車両数5,997千台6,064千台
延実働車両数4,175千台4,208千台
車両稼働率69.6%69.4%
輸送屯数11,608千屯11,404千屯
総走行距離468,780千キロ466,513千キロ

(ロ) 営業収入の地域別状況
区分前連結会計年度
(自 2022年4月1日
至 2023年3月31日)
当連結会計年度
(自 2023年4月1日
至 2024年3月31日)
前期比(%)
北海道・東北地区26,861百万円26,373百万円98.2
関東地区103,595百万円101,349百万円97.8
中部地区47,907百万円47,127百万円98.4
近畿地区77,627百万円76,702百万円98.8
中国・四国地区64,345百万円63,727百万円99.0
九州地区29,114百万円25,136百万円86.3
合計349,452百万円340,416百万円97.4

(注) 金額は、発送運賃収入及びその他の付帯収入であり、状況を正確に表すため、地域間の内部売上高を含めて記載しております。
(ハ) 従業員1人当たりの月額営業収入
区分前連結会計年度
(自 2022年4月1日
至 2023年3月31日)
当連結会計年度
(自 2023年4月1日
至 2024年3月31日)
前期比(%)
1か月平均営業収入29,121百万円28,368百万円97.4
平均在籍従業員数20,533人20,399人99.3
1人当たりの月額営業収入1,418千円1,390千円98.1

(ニ) 燃料の購入量及び使用量
区分前連結会計年度
(自 2022年4月1日
至 2023年3月31日)
当連結会計年度
(自 2023年4月1日
至 2024年3月31日)
期首在庫量
(kℓ)
購入量
(kℓ)
使用量
(kℓ)
期末在庫量
(kℓ)
期首在庫量
(kℓ)
購入量
(kℓ)
使用量
(kℓ)
期末在庫量
(kℓ)
軽油3,044113,724114,5882,1802,180114,077114,0372,220

(ホ) 燃料価格の推移
区分2022年9月2023年3月2023年9月2024年3月
軽油123.3円121.4円127.0円126.2円

(注) 市場価格は、経済産業省 資源エネルギー庁 資源・燃料部石油流通課発行の大口需要者向け軽油ローリー渡価格に基づく1ℓ当たりの半期ごとの平均値であります。
(ヘ) 一般貨物自動車運送事業運賃
a 特別積合せ貨物運送
現行の運賃は、2023年12月15日付国土交通大臣に届出した運賃に基づき収受しております。
この基準運賃表の一部を示せば次のとおりであります。
区分10Kgまで20Kgまで30Kgまで100Kgまで200Kgまで500Kgまで1,000Kgまで
50Kmまで2,130円2,340円2,580円3,880円5,800円12,230円23,320円
100Kmまで2,180円2,380円2,610円4,030円6,230円13,370円25,720円
200Kmまで2,200円2,550円2,740円4,660円7,390円16,430円32,370円
500Kmまで2,290円2,740円3,000円6,250円10,390円24,780円49,720円

b 特別積合せ貨物運送以外
現行の運賃は、2021年3月11日付各運輸支局に届出した車扱距離制運賃に基づき収受しております。
この基準運賃表の一部(中国運輸支局届出分)を示せば次のとおりであります。
区分小型車
(2トン車クラス)
中型車
(4トン車クラス)
大型車
(10トン車クラス)
トレーラー
(20トン車クラス)
10Kmまで13,000円15,060円19,220円23,980円
20Kmまで14,580円16,920円21,730円27,260円
100Kmまで27,200円31,740円41,830円53,420円
200Kmまで42,950円50,020円66,180円85,030円

(ト) 営業収入実績
区分前連結会計年度
(自 2022年4月1日
至 2023年3月31日)
当連結会計年度
(自 2023年4月1日
至 2024年3月31日)
前期比(%)
貨物運送事業251,582百万円247,677百万円98.4
港湾運送事業102百万円113百万円110.3
その他付帯事業1,260百万円1,050百万円83.3
合計252,945百万円248,841百万円98.4

(ⅱ) 流通加工事業
倉庫業及び流通加工業に関する実績
(イ) 施設の状況
区分前連結会計年度末
(2023年3月31日)
当連結会計年度末
(2024年3月31日)
流通加工事業場面積926,632㎡962,588㎡
事業所数120か所122か所

(ロ) 営業収入実績
区分前連結会計年度
(自 2022年4月1日
至 2023年3月31日)
当連結会計年度
(自 2023年4月1日
至 2024年3月31日)
前期比(%)
流通加工業21,104百万円20,873百万円98.9

(ⅲ) 国際事業
国際利用運送業及び通関業に関する実績
(イ) 施設の状況
区分前連結会計年度末
(2023年3月31日)
当連結会計年度末
(2024年3月31日)
保税蔵置場面積5,547㎡5,547㎡
設置数5か所5か所
通関業許可取得状況15か所15か所

(ロ) 営業収入実績
区分前連結会計年度
(自 2022年4月1日
至 2023年3月31日)
当連結会計年度
(自 2023年4月1日
至 2024年3月31日)
前期比(%)
国際運送業3,364百万円2,634百万円78.3
国際利用運送業6,392百万円4,815百万円75.3
通関業2,904百万円3,040百万円104.7
国際事業収入その他-百万円215百万円-
合計12,660百万円10,705百万円84.6

(ⅳ) その他事業
不動産等の賃貸業、ボウリング事業及びその他の事業に関する実績
(イ) 施設の貸付及びボウリングの状況
区分前連結会計年度
(自 2022年4月1日
至 2023年3月31日)
当連結会計年度
(自 2023年4月1日
至 2024年3月31日)
不動産等賃貸業
建物面積1,061,381㎡1,095,532㎡
土地面積1,395,882㎡1,433,671㎡
機器台数1,374台1,341台
ボウリング事業
ゲーム回数234千回234千回
入場者人数67千人72千人

(ロ) 営業収入実績
区分前連結会計年度
(自 2022年4月1日
至 2023年3月31日)
当連結会計年度
(自 2023年4月1日
至 2024年3月31日)
前期比(%)
不動産等賃貸業6,177百万円6,243百万円101.1
物品販売事業3,210百万円3,464百万円107.9
コンビニエンスストア事業1,556百万円1,607百万円103.2
損害保険代理業409百万円411百万円100.5
ボウリング事業120百万円132百万円109.9
労働者派遣業(委託業務)534百万円523百万円98.0
その他事業2,143百万円2,277百万円106.2
合計14,152百万円14,660百万円103.6

(注) 上記金額は、状況を正確に表わすため、セグメント間の内部売上高を含めて記載しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
(ⅰ) 財政状態の分析
資産につきましては、主に現金及び預金が減少したことにより、流動資産が131億33百万円減少しましたが、投資有価証券の時価評価により投資その他の資産が286億34百万円増加した結果、総資産は前連結会計年度末に比べて263億75百万円増加し5,033億91百万円となりました。
負債につきましては、主に長期借入金が減少したことにより固定負債が250億45百万円減少しましたが、1年内返済予定の長期借入金が増加したことにより流動負債が253億87百万円増加した結果、負債合計は前連結会計年度末に比べて3億41百万円増加し2,069億75百万円となりました。
純資産につきましては、主に評価益の増加により、その他有価証券評価差額金が192億37百万円増加したことや、親会社株主に帰属する当期純利益78億34百万円の計上により株主資本が68億80百万円増加した結果、純資産は前連結会計年度末に比べて260億33百万円増加し2,964億15百万円となりました。
(ⅱ) 経営成績の分析
当連結会計年度における売上高は、物価上昇などの消費活動の下押し要因もあり、貨物輸送量が減少し運送収入が減少したことや、国際物流の混乱が正常化したことに伴う海上運賃の下落により国際事業収入が減少したことなどにより、前連結会計年度より57億95百万円減少し2,875億63百万円となりました。
営業利益は、主力の運送事業の売上が低迷するなか、より一層厳しくなる労働環境の改善に向けた人件費や傭車費の増加などにより前連結会計年度より109億26百万円減少し104億48百万円となりました。
経常利益は、受取補償金の増加などにより営業外収益が増加しましたが、営業利益が減少したことにより、前連結会計年度より100億12百万円減少し129億73百万円となりました。
親会社株主に帰属する当期純利益は、経常利益が減少したことに加え、特別利益が減少したことにより、前連結会計年度より129億56百万円減少し78億34百万円となりました。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
安定的な営業キャッシュ・フローの確保、有利子負債対自己資本比率を意識した資金調達及び保有資産の有効活用によるキャッシュインを原資とし、安定成長の下支えとなるインフラや収益性の高い事業への積極的な投資を行い、売上拡大、利益率の改善を図りつつROEの向上を目指しております。また、当社グループは、効率の良い資金運用を行うため、キャッシュ・マネジメント・システムを導入しております。各国内連結子会社の資金繰りの当社での一元管理と支払代行業務により余剰資金の圧縮に努めるとともに、グループ全体の必要資金の管理を徹底しております。
当社グループにおける運転資金需要は、事業活動に携わる者の人件費や傭車費等の外注費及び燃料費等が主なものとなっております。また、設備資金需要の主なものは、サービスの向上や事業拡大を目的としたトラックターミナル及び流通倉庫の建設と省力化を目的とした仕分装置への投資等となっております。
なお、長期的な資金繰りの安定性の確保のためコミットメントライン契約を従来から締結しております。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成にあたって用いた当社グループの重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1. 連結財務諸表等」の「連結財務諸表 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。
連結財務諸表の作成に当たっては、会計上の見積りを行う必要があり、各引当金の計上、繰延税金資産の回収可能性の判断等については、過去の実績や他の合理的と考えられる方法により見積りを行っております。但し、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果はこれらの見積りと異なる可能性があります。