有価証券報告書-第74期(令和3年4月1日-令和4年3月31日)

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2022/06/22 9:24
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(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
なお、第1四半期連結会計期間より、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用しております。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(会計方針の変更)」に記載のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症再拡大の影響により経済活動には力強さが欠けたものの、緊急事態宣言等が解除されて以降は個人消費が上向き、景気は緩やかな回復基調にありました。一方で、世界的な半導体不足によるサプライチェーンの混乱や国際情勢の経済への影響が、景気回復の減速要因として懸念されるなか、依然として先行き不透明な状況で推移しております。
貨物自動車運送業界におきましては、景気回復の遅れにより企業間物流の貨物輸送量が低迷するなか、原油価格の高騰などコスト増加要因もあり、先行き不透明な状況下にありました。
このような状況のもと当社グループにおきましては、倉庫機能を有したターミナルや3PL拠点となる流通センターの増設により、お客様の物流を受託する一貫輸送を推進し貨物輸送量の増加に取り組んでまいりました。また、12月には、糸島市(福岡県)と「災害時における物資輸送等に関する協定」を締結し、中期経営計画の基本方針の1つである安全・安心な社会づくりへの貢献にも取り組んでまいりました。
以上の結果、当連結会計年度の売上高は2,912億66百万円(前期比2.0%増)、営業利益は220億91百万円(前期比4.5%増)、経常利益は231億96百万円(前期比3.2%増)となり、親会社株主に帰属する当期純利益は167億63百万円(前期比9.4%増)となりました。
これらをセグメント別に見た事業の概要は、次のとおりであります。
[運送事業]
運送事業におきましては、4月に福井越前営業所(福井県)、12月に福岡糸島営業所(福岡県)、広島観音支店(広島県)を開設し、輸送品質向上のための集配拠点整備に努めてまいりました。また、25mダブル連結トラックの路線拡大を進めるとともに、名阪特急「アーバンライナー」や高速夜行バスを利用した貨客混載輸送の開始、専用ブロックトレイン「福山レールエクスプレス号」の延伸など幹線輸送の効率化と多様化を進め、労働力不足への対応や環境負荷の対策に取り組んでまいりました。
以上の結果、売上高は2,543億64百万円(前期比1.2%増)、営業利益は208億10百万円(前期比9.4%増)となりました。
[流通加工事業]
流通加工事業におきましては、多様化するお客様のニーズにお応えするため、12月に流通加工業務に特化した福岡空港流通センター(福岡県)を開設し、保管機能の拡大を図るとともに、既存施設の稼働率の向上にも努めてまいりました。
以上の結果、売上高は197億96百万円(前期比7.3%増)、営業利益は33億57百万円(前期比4.7%増)となりました。
[国際事業]
国際事業におきましては、海上輸送の混乱による海上運賃の高騰、海外でのトラック輸送における需要拡大、さらには一部業種での輸入貨物の回復などにより順調に推移いたしました。
以上の結果、売上高は108億64百万円(前期比37.9%増)、営業利益は5億35百万円(前期比76.3%増)となりました。
[その他事業]
その他事業におきましては、緊急事態宣言等による断続的な活動制限により各事業ともに振るわず低調に推移いたしました。なお、売上高については当連結会計年度より「収益認識に関する会計基準」等を適用しております。
以上の結果、売上高は62億40百万円(前期比20.6%減)、営業利益は16億28百万円(前期比29.8%減)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度に比べ29億53百万円増加し387億22百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
主に税金等調整前当期純利益249億39百万円の計上により321億39百万円の資金収入(前年同期は332億19百万円の資金収入)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
主に有形固定資産の取得による支出156億57百万円、無形固定資産の取得による支出8億88百万円により167億77百万円の資金支出(前年同期は182億97百万円の資金支出)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
主に長期借入れによる収入474億35百万円があったものの、自己株式の取得による支出338億71百万円、長期借入金の返済による支出230億11百万円及び配当金の支払額24億43百万円により125億20百万円の資金支出(前年同期は40億66百万円の資金支出)となりました。
③輸送及び収入の状況
当連結会計年度における収入実績等をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(ⅰ) 運送事業
貨物運送事業、港湾運送事業及びその他付帯事業に関する実績
(イ) 輸送実績
車両所有状況最大積載屯数(屯)前連結会計年度
(自 2020年4月1日
至 2021年3月31日)
当連結会計年度
(自 2021年4月1日
至 2022年3月31日)
台数(台)延最大積載屯数(屯)台数(台)延最大積載屯数(屯)
大型車6 ~12.54,23549,8644,18949,531
(トラクター)395-427-
(トレーラー)12.3 ~2468510,09070710,332
中型車3 ~4.253,96912,8123,90512,626
小型車0.35 ~27,16713,6057,11613,410
合計-16,45186,37216,34485,900
車両稼働状況稼働日数254253
延実在車両数5,986千台5,971千台
延実働車両数4,165千台4,141千台
車両稼働率69.6%69.4%
輸送屯数11,273千屯11,692千屯
総走行距離473,954千キロ480,315千キロ

(ロ) 営業収入の地域別状況
区分前連結会計年度
(自 2020年4月1日
至 2021年3月31日)
当連結会計年度
(自 2021年4月1日
至 2022年3月31日)
前期比(%)
北海道・東北地区26,598百万円27,012百万円101.6
関東地区105,693百万円105,674百万円100.0
中部地区45,335百万円47,302百万円104.3
近畿地区77,969百万円78,686百万円100.9
中国・四国地区64,784百万円65,569百万円101.2
九州地区29,363百万円29,217百万円99.5
合計349,745百万円353,463百万円101.1

(注) 金額は、発送運賃収入及びその他の付帯収入であり、状況を正確に表すため、地域間の内部売上高を含めて記載しております。
(ハ) 従業員1人当たりの月額営業収入
区分前連結会計年度
(自 2020年4月1日
至 2021年3月31日)
当連結会計年度
(自 2021年4月1日
至 2022年3月31日)
前期比(%)
1か月平均営業収入29,145百万円29,455百万円101.1
平均在籍従業員数20,267人20,591人101.6
1人当たりの月額営業収入1,438千円1,430千円99.5

(ニ) 燃料の購入量及び使用量
区分前連結会計年度
(自 2020年4月1日
至 2021年3月31日)
当連結会計年度
(自 2021年4月1日
至 2022年3月31日)
期首在庫量
(kℓ)
購入量
(kℓ)
使用量
(kℓ)
期末在庫量
(kℓ)
期首在庫量
(kℓ)
購入量
(kℓ)
使用量
(kℓ)
期末在庫量
(kℓ)
軽油2,830113,897113,7632,9642,964115,929115,8483,044

(ホ) 燃料価格の推移
区分2020年9月2021年3月2021年9月2022年3月
軽油86.7円91.3円110.4円122.5円

(注) 市場価格は、経済産業省 資源エネルギー庁 資源・燃料部石油流通課発行の大口需要者向け軽油ローリー渡価格に基づく1ℓ当たりの半期ごとの平均値であります。
(ヘ) 一般貨物自動車運送事業運賃
a 特別積合せ貨物運送
現行の運賃は、2020年8月19日付国土交通大臣に届出した運賃に基づき収受しております。
この基準運賃表の一部を示せば次のとおりであります。
区分10Kgまで20Kgまで30Kgまで100Kgまで200Kgまで500Kgまで1,000Kgまで
50Kmまで1,750円1,920円2,120円3,200円4,790円10,100円19,270円
100Kmまで1,800円1,960円2,150円3,320円5,140円11,040円21,250円
200Kmまで1,810円2,100円2,260円3,840円6,100円13,570円26,740円
500Kmまで1,890円2,260円2,470円5,160円8,560円20,470円41,090円

b 特別積合せ貨物運送以外
現行の運賃は、2021年3月11日付各運輸支局に届出した車扱距離制運賃に基づき収受しております。
この基準運賃表の一部(中国運輸支局届出分)を示せば次のとおりであります。
区分小型車
(2トン車クラス)
中型車
(4トン車クラス)
大型車
(10トン車クラス)
トレーラー
(20トン車クラス)
10Kmまで13,000円15,060円19,220円23,980円
20Kmまで14,580円16,920円21,730円27,260円
100Kmまで27,200円31,740円41,830円53,420円
200Kmまで42,950円50,020円66,180円85,030円

(ト) 営業収入実績
区分前連結会計年度
(自 2020年4月1日
至 2021年3月31日)
当連結会計年度
(自 2021年4月1日
至 2022年3月31日)
前期比(%)
貨物運送事業249,677百万円252,946百万円101.3
港湾運送事業106百万円122百万円114.3
その他付帯事業1,554百万円1,296百万円83.4
合計251,339百万円254,364百万円101.2

(ⅱ) 流通加工事業
倉庫業及び流通加工業に関する実績
(イ) 施設の状況
区分前連結会計年度末
(2021年3月31日)
当連結会計年度末
(2022年3月31日)
流通加工事業場面積860,719㎡899,803㎡
事業所数109か所119か所

(ロ) 営業収入実績
区分前連結会計年度
(自 2020年4月1日
至 2021年3月31日)
当連結会計年度
(自 2021年4月1日
至 2022年3月31日)
前期比(%)
流通加工業18,444百万円19,796百万円107.3

(ⅲ) 国際事業
国際利用運送業及び通関業に関する実績
(イ) 施設の状況
区分前連結会計年度末
(2021年3月31日)
当連結会計年度末
(2022年3月31日)
保税蔵置場面積7,373㎡6,397㎡
設置数6か所5か所
通関業許可取得状況16か所15か所

(ロ) 営業収入実績
区分前連結会計年度
(自 2020年4月1日
至 2021年3月31日)
当連結会計年度
(自 2021年4月1日
至 2022年3月31日)
前期比(%)
国際運送業1,774百万円2,815百万円158.7
国際利用運送業3,375百万円5,189百万円153.7
通関業2,730百万円2,859百万円104.8
合計7,879百万円10,864百万円137.9

(ⅳ) その他事業
不動産等の賃貸業、ボウリング事業及びその他の事業に関する実績
(イ) 施設の貸付及びボウリングの状況
区分前連結会計年度
(自 2020年4月1日
至 2021年3月31日)
当連結会計年度
(自 2021年4月1日
至 2022年3月31日)
不動産等賃貸業
建物面積1,086,043㎡1,086,043㎡
土地面積1,413,432㎡1,411,334㎡
機器台数1,474台1,416台
ボウリング事業
ゲーム回数178千回207千回
入場者人数48千人57千人

(ロ) 営業収入実績
区分前連結会計年度
(自 2020年4月1日
至 2021年3月31日)
当連結会計年度
(自 2021年4月1日
至 2022年3月31日)
前期比(%)
不動産等賃貸業7,151百万円6,219百万円87.0
物品販売事業3,638百万円2,842百万円78.1
コンビニエンスストア事業1,510百万円1,549百万円102.6
損害保険代理業433百万円407百万円94.0
ボウリング事業97百万円108百万円111.3
労働者派遣業(委託業務)696百万円628百万円90.3
その他事業2,129百万円2,159百万円101.4
合計15,658百万円13,916百万円88.9

(注) 上記金額は、状況を正確に表わすため、セグメント間の内部売上高を含めて記載しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度におきましては、新型コロナウイルス感染症再拡大の影響により経済活動の完全な回復には至らず、企業間物流の貨物輸送量は前年度からの回復はみせたものの、感染症拡大前の水準には達しませんでした。このようななか、生産性の向上を目的に、配送ルートや構内作業の見直し、外注費の抑制に取り組んだ結果、営業利益は前年を上回ることができたと判断しております。
(ⅰ) 財政状態の分析
資産につきましては、主に現金及び預金が増加したことにより、流動資産が29億99百万円増加したことや、投資有価証券の時価評価により、投資その他の資産が49億円増加した結果、総資産は前連結会計年度末に比べて62億23百万円増加し4,781億47百万円となりました。
負債につきましては、主に1年内返済予定の長期借入金が増加したことにより流動負債が176億19百万円増加した結果、負債合計は前連結会計年度末に比べて232億97百万円増加し2,218億43百万円となりました。
純資産につきましては、主に自己株式が増加したことにより株主資本が200億95百万円減少した結果、純資産は前連結会計年度末に比べて170億73百万円減少し2,563億4百万円となりました。
(ⅱ) 経営成績の分析
当連結会計年度における売上高は、貨物輸送量が回復したことにより、前連結会計年度より57億48百万円増加し2,912億66百万円となりました。
営業利益は、自社化における人件費の増加、原油価格高騰による燃料費の増加はありましたが、生産性の向上に取り組み外注費を抑制した結果、前連結会計年度より9億46百万円増加し220億91百万円となりました。
経常利益は、営業外費用の増加はありましたが、営業利益が増加したことにより、前連結会計年度より7億29百万円増加し231億96百万円となりました。
親会社株主に帰属する当期純利益は、経常利益が増加したことや収用補償金の発生により、前連結会計年度より14億42百万円増加し167億63百万円となりました。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
営業方針にそって積極的な設備投資を行っておりますが、営業キャッシュ・フローと資金調達をもって進めております。資金調達については、経営指標としております有利子負債対自己資本比率を意識しつつ行っており、設備投資による売上拡大、利益率の改善を図りつつROEにつきましても向上を目指しております。
当社グループにおける運転資金需要は、事業活動に携わる者の人件費や傭車費等の外注費及び燃料費等が主なものとなっております。また、設備資金需要の主なものは、サービスの向上や事業拡大を目的としたトラックターミナル及び流通倉庫の建設と省力化を目的とした仕分装置への投資等となっております。
なお、長期的な資金繰りの安定性の確保のためコミットメントライン契約を従来から締結しております。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成にあたって用いた当社グループの重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1. 連結財務諸表等」の「連結財務諸表 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。
連結財務諸表の作成に当たっては、会計上の見積りを行う必要があり、各引当金の計上、繰延税金資産の回収可能性の判断等については、過去の実績や他の合理的と考えられる方法により見積りを行っております。但し、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果はこれらの見積りと異なる可能性があります。